(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の焼結体及びその製造方法を実施するための形態について説明する。
なお、以下の実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0016】
「焼結体」
本実施形態の焼結体は、酸化イットリウム及び繊維状炭素を含有してなる焼結体であり、相対密度が97%以上、体積固有抵抗値が0.5Ω・cm以上かつ10Ω・cm以下であり、繊維状炭素は、三次元に分散するとともに、その凝集径が5μm以下である。
【0017】
この焼結体では、ハロゲン系プラズマに対して特に耐食性の高い酸化イットリウム(Y
2O
3)粒子がマトリックスを構成している。
この酸化イットリウム粒子の平均粒子径は、0.1μm以上かつ10μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以上かつ5μm以下である。
ここで、酸化イットリウム粒子の平均粒子径を0.1μm以上かつ10μm以下と限定した理由は、平均粒子径が0.1μm未満では、焼結体中における酸化イットリウムの粒界総数が増加するために、導電性を発現させるためには繊維状炭素の添加量を増加させる必要があるが、繊維状炭素の添加量を増加させると耐食性が低下するので好ましくなく、一方、平均粒子径が10μmを超えると、繊維状炭素の添加量が減少するので、導電性は向上するが、焼結体中における酸化イットリウムの粒界総数が減少するので、繊維状炭素が局所的に存在(偏在)することとなり、焼結体内での導電性に偏りが生じ、真空プロセス装置に適用した場合に、異常放電等が発生する虞があるので好ましくない。
【0018】
この焼結体では、繊維状炭素が三次元に分散している。ここで、「繊維状炭素が三次元に分散する」とは、繊維状炭素が特定の配向性を示すことなくランダムに配置しており、酸化イットリウム粒子同士の間(粒界)に分散しているという意味である。すなわち、この焼結体から一定体積を取り、この体積中に含まれる繊維状炭素それぞれの長手方向の平均値を取った場合、この平均値が零となるということである。
この繊維状炭素としては、直径30nm以下、長さ10μm以下の単層カーボンナノチューブ(SWCNT:Single Walled Carbon Nanotube)、二層カーボンナノチューブ(DWCNT:Double Walled Carbon Nanotube)、多層カーボンナノチューブ(MWCNT:Multi Walled Carbon Nanotube)の群から選択される1種または2種以上が用いられる。
【0019】
この繊維状炭素は、酸化イットリウム粒子同士の間(粒界)にランダムに存在することにより、これら繊維状炭素同士が一部で接触してネットワークを形成し、よって、焼結体中の粒界に導電パスを形成している。
なお、この繊維状炭素は、酸化イットリウム粒子同士の間(粒界)に必ず存在している必要はなく、繊維状炭素が存在しない粒界があってもよい。
【0020】
この繊維状炭素は、酸化イットリウム粒子からなるマトリックス中に、繊維状炭素が単体、あるいは、単体の繊維状炭素が複数本凝集した凝集体として存在しており、この凝集体の凝集径(凝集体の直径)は5μm以下、好ましくは2μm以下となっている。
ここで、凝集径が5μmを超えると、ハロゲン系プラズマにより繊維状炭素が消失し易くなり、耐食性が低下し、導電性の低下、パーティクルの発生を引き起こすので、好ましくない。特に、半導体製造装置用部材として使用した際には、凝集体の部分がプラズマにより選択的に消耗してしまい、その結果、耐食性の低下、導電性の低下、パーティクルの発生が生じることとなり、半導体製造装置用部材として不適当であり、また、凝集体が焼結を阻害する要因となり、低圧焼成時に焼結体の密度が向上せず、体積抵抗率の低下も不十分なものとなる。さらに、導電パスが形成しづらく、焼結体に求められる導電性を発現させるためには、繊維状炭素の含有量を高くする必要がある。
【0021】
この繊維状炭素の含有率は、0.5体積%以上かつ5体積%以下であることが好ましく、より好ましくは1体積%以上かつ3体積%以下である。
ここで、繊維状炭素の含有率が0.5体積%より低いと、導電パスの形成が不十分なものとなり、焼結体に必要とされる導電性を発現させることができず、一方、繊維状炭素の含有率が5体積%を超えると、繊維状炭素が10μmより大きい粗大凝集体を形成し易くなり、耐食性が低下する。
【0022】
この焼結体は、その相対密度、すなわち真密度(d
0)の理論密度(d
t)に対する比(d
0/d
t)を百分率で表した場合、97%以上と緻密なものとなっている。
【0023】
また、この焼結体の体積固有抵抗値は、0.5Ω・cm以上かつ10Ω・cm以下である。
ここで、焼結体の体積固有抵抗値を0.5Ω・cm未満にするには、繊維状炭素の含有率を高める必要があるが、含有率を高めると、繊維状炭素が凝集を生じ易くなり、耐食性が低下してしまうので好ましくない。また、コストの面でも経済的ではない。一方、体積固有抵抗値が10Ω・cmを超えると、様々な真空プロセス装置での各種条件下で使用する場合、同時に使用される真空プロセス装置用部材と電気的整合性をとることが難しく、設計上の制約が生じるので好ましくない。
【0024】
この焼結体は、ハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに対する耐食性及び熱伝導性に優れており、体積固有抵抗値が10Ω・cm以下と導電性にも優れている。
この焼結体をエッチング装置、スパッタリング装置、CVD装置等の真空プロセス装置の構成部材に適用した場合、設計上の制約が少なく、適用範囲も広く、汎用性に優れている。
【0025】
「焼結体の製造方法」
本実施形態の焼結体の製造方法は、上記の焼結体を製造する方法であって、酸化イットリウムスラリーと繊維状炭素スラリーとを混合して混合スラリーとする混合スラリー調製工程と、前記混合スラリーを噴霧乾燥し顆粒とする顆粒作製工程と、前記顆粒を1MPa以上かつ20MPa以下の加圧下にて焼成し焼結体とする焼成工程と、を有する方法である。
【0026】
ここで、繊維状炭素を凝集させることなく、酸化イットリウムと繊維状炭素とを複合化させるためには、予め繊維状炭素を分散媒中に単独で均一に分散させたスラリーを調製しておくことが好ましい。そこで、予め、酸化イットリウム粒子を分散媒中に均一に分散させた酸化イットリウムスラリーと、繊維状炭素を分散媒中に均一に分散させた繊維状炭素スラリーとを、個別に調製する。
【0027】
酸化イットリウムスラリーを調製するには、分散媒に、酸化イットリウム粒子を、その含有率が40質量%以上かつ70質量%となるように添加して混合する。
ここで、酸化イットリウム粒子の含有率を40質量%以上かつ70質量%とした理由は、酸化イットリウムスラリーと繊維状炭素スラリーとを混合して混合スラリーを調製した際に、混合スラリーが高粘度化するのを防止するためである。
【0028】
また、繊維状炭素スラリーを調製するには、分散媒に、繊維状炭素(固形分)を、その含有率が0.5質量%以上かつ1.5質量%以下となるように添加し、この繊維状炭素及び分散媒を含む混合物に対して分散処理を施す。
ここで、繊維状炭素スラリーにおける繊維状炭素の含有率を0.5質量%以上かつ1.5質量%以下とした理由は、繊維状炭素の含有率が1.5質量%を超えると、繊維状炭素が再び凝集する虞があるばかりでなく、繊維状炭素スラリーが高粘度化し、繊維状炭素凝集体の解こう、分散が困難になり、さらには、酸化イットリウムスラリーと混合した場合に均一な混合スラリーが得られない等の問題が生じるからである。
【0029】
なお、繊維状炭素スラリーにおける繊維状炭素の含有率は1.5質量%以下であれば特に問題ないが、繊維状炭素の含有率を必要以上に下げると、スラリー中の繊維状炭素の絶対量が減少しかつ溶媒の量が過剰となり、製造上非効率かつ高コストとなる等の問題が生じる。それ故、繊維状炭素の含有率の下限値は0.5質量%が好ましい。
【0030】
この繊維状炭素スラリー中の繊維状炭素の平均二次粒子径は、400nm以下であることが好ましい。
繊維状炭素の平均二次粒子径が400nmを超えると、酸化イットリウムスラリーと混合、乾燥する際に、繊維状炭素が凝集してしまい、その後焼成した際に得られる焼結体中の繊維状炭素の凝集体が粗大となり、耐食性が低下してしまうので好ましくない。
繊維状炭素スラリー中の繊維状炭素の平均二次粒子径を400nm以下とすることにより、酸化イットリウムスラリーと混合する際に、繊維状炭素が混合スラリー中および乾燥時に再凝集することを抑止することができる。この結果、焼結体中での繊維状炭素が粗大凝集物を形成せずに、酸化イットリウム粒子の粒界中に三次元的に分散し、効率的に導電パスを形成することができる。
【0031】
これら酸化イットリウムスラリー及び繊維状炭素スラリーに用いられる分散媒としては、水および有機溶媒が使用可能である。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、オクタノール等の一価アルコール類およびその変性体;α−テルピネオール等の単環式モノテルペンに属するアルコール類;ブチルカルビトール等のカルビトール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類が好適に用いられ、これらの溶媒のうち1種または2種以上を用いることができる。
【0032】
これらのスラリーを調製する際に分散剤やバインダーを添加してもよい。
分散剤やバインダーとしては、例えば、ポリカルボン酸アンモニウム塩等のポリカルボン酸塩、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の有機高分子等が用いられる。
【0033】
分散処理としては、繊維状炭素自体の凝集力が強いために、まず前分散として、機械的な力を加えて解こうを行う必要がある。前分散方法としては、特に限定されないが、高速ホモジナイザー等が挙げられる。
その後の分散処理としては、特に限定されないが、超音波ホモジナイザー、ビーズミル、超高圧粉砕機等の分散機が用いられる。
【0034】
次いで、この酸化イットリウムスラリーと繊維状炭素スラリーとを混合して混合スラリーとする。
混合方法としては、特に限定されないが、例えば、回転二枚刃式ホモジナイザーと湿式ボールミルを組み合わせた方法が用いられる。
【0035】
次いで、この混合スラリーを噴霧乾燥法により噴霧乾燥し、酸化イットリウム粒子と繊維状炭素との混合粒子からなる顆粒を得る。
ここでは、混合スラリーを加熱された気流中に噴霧し乾燥することにより、混合スラリー中の酸化イットリウム粒子及び繊維状炭素それぞれの分散性を保持したまま、これらを含む混合粒子を急速に乾燥させ、造粒することができる。
ここでは、混合スラリーの噴霧乾燥条件を、後段の焼成工程において良好な特性が得られるような大きさの顆粒が得られるように、適宜調整する。
例えば、顆粒の平均粒子径が30μm〜100μm等の大きさになるように、混合スラリーの噴霧乾燥条件を調整する。
【0036】
次いで、この顆粒を1MPa以上かつ20MPa以下の加圧下にて焼成し、焼結体とする。
ここで、焼成時の圧力を1MPa以上かつ20MPa以下とした理由は、圧力が1MPa未満では、得られた焼結体の密度が低くなり、耐食性が低下し、また、緻密な焼結体が得られず導電性も高くなり、半導体製造装置用部材として使用する際に用途が限定されてしまい、汎用性が損なわれるからである。一方、圧力が20MPaを超えると、得られた焼結体の密度、導電性とも問題はないが、部材の大型化に伴う大型焼結体の焼結装置を設計する際に、加圧面積に制限が生じる。
【0037】
焼成時の雰囲気としては、繊維状炭素の酸化を防止する必要があることから、窒素(N
2)、アルゴン(Ar)等の不活性雰囲気が好ましい。
また、焼成温度は、1600℃以上かつ1850℃以下が好ましい。
顆粒を1600℃以上かつ1850℃以下にて焼成することが好ましい理由は、焼成温度が1600℃未満では、繊維状炭素が酸化イットリウムの焼結を阻害し、97%以上の相対密度の焼結体を得ることができないからであり、一方、焼成温度が1850℃を超えると、酸化イットリウムと繊維状炭素が直接反応して炭化物を形成してしまうからである。
また、焼成時間は、緻密な焼結体が得られるのに十分な時間であればよく、例えば、1〜6時間である。
【0038】
このように、顆粒の焼成時に、1MPa以上かつ20MPa以下の加圧を同時に行うことにより、酸化イットリウムの粒成長を抑止しつつ焼結体の密度を向上させることができ、繊維状炭素が形成する導電パスの切断を行うことなく、10Ω・cm以下の導電性を発現することができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
「実施例1」
A.焼結体の作製
直径10nm〜50nm、長さ1μm〜25μmの多層カーボンナノチューブ(CNT)を、純水中に、多層カーボンナノチューブの含有率(固形分)が0.5質量%となるように加え、分散剤を添加後、回転二枚刃式ホモジナイザー装置により解こう前処理を行った。次いで、超音波ホモジナイザーにより5時間分散処理を行った。得られたカーボンナノチューブスラリーの二次粒子径は300nmであった。
【0041】
また、平均粒子径が3μmの酸化イットリウム粉体を、純水中に、酸化イットリウム粉体の含有率(固形分)が40質量%となるように加え、分散剤を添加後、攪拌機で攪拌を行い、酸化イットリウムスラリーを調整した。
次いで、これらカーボンナノチューブスラリーと酸化イットリウムスラリーを、固形分中のカーボンナノチューブの含有率が3体積%となるように、調製混合し、攪拌機で攪拌し、混合スラリーを調製した。
【0042】
次いで、この混合スラリーを噴霧乾燥法により、カーボンナノチューブと酸化イットリウムの複合粒子を乾燥、造粒した。得られた顆粒の粒子径は30〜100μmであった。
次いで、この顆粒を、窒素(N
2)ガスを用いた不活性雰囲気中にて脱脂処理した後、アルゴン雰囲気下、1850℃、圧力20MPaにて2時間焼成を行い、実施例1の焼結体を作製した。
【0043】
B.焼結体の評価
上記の焼結体の相対密度、体積固有抵抗値、カーボンナノチューブ(CNT)の凝集径、消耗レート及び熱伝導率を測定し、評価した。評価方法は下記のとおりである。
(1)相対密度
焼結体の真密度(d
0)をアルキメデス法により測定し、この真密度(d
0)の理論密度(d
t)に対する比(d
0/d
t)を百分率で表し、相対密度(%)とした。
(2)体積固有抵抗値
抵抗率計 ロレスタGP(三菱化学アナリテック社製)を用いて、四端子法により、測定電圧を10Vとして測定した。
【0044】
(3)CNTの凝集径
焼結体の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)により50000倍にて観察し、CNTの凝集体12個それぞれの凝集径を測定し、その平均値を算出した。
(4)消耗レート
六フッ化イオウ(SF
6)、酸素ガス及びアルゴンガスの混合ガス中にて、プラ
ズマを3時間暴露し、消耗レート(nm/hr)を測定し、この測定値により耐食性を評価した。
(5)熱伝導率
日本工業規格JIS R 1611「ファインセラミックスのフラッシュ法による熱拡散率・比熱容量・熱伝導率の測定方法」に規定されたレーザーフラッシュ法により測定した。ここでは、試験片の形状を、直径10mm、厚み2mmの円板状とした。
【0045】
これらの測定の結果、焼結体の相対密度は99.7%、体積固有抵抗値は1.7Ω・cm、CNTの凝集径は1.9μm、消耗レートは172.6nm/hr、熱伝導率は10.6W/m・Kであった。
【0046】
「実施例2」
超音波ホモジナイザーによる分散処理を10時間として、カーボンナノチューブスラリーの平均二次粒子径を170nmとした他は、実施例1に準じて実施例2の焼結体を作製し、評価した。
得られた焼結体の相対密度は99.9%、体積固有抵抗値は0.8Ω・cm、CNTの凝集径は1.2μm、消耗レートは154.7nm/hr、熱伝導率は11.4W/m・Kであった。
【0047】
「実施例3」
圧力1MPaにて2時間焼成を行った他は、実施例1に準じて実施例3の焼結体を作製し、評価した。
得られた焼結体の相対密度は97.1%、体積固有抵抗値は5.2Ω・cm、CNTの凝集径は2.4μm、消耗レートは190.5nm/hr、熱伝導率は10.2W/m・Kであった。
【0048】
「実施例4」
カーボンナノチューブスラリーと酸化イットリウムスラリーを、固形分中のカーボンナノチューブの含有率が0.5体積%となるように、調製混合、攪拌して混合スラリーを調製した他は、実施例1に準じて実施例4の焼結体を作製し、評価した。
得られた焼結体の相対密度は99.9%、体積固有抵抗値は9.9Ω・cm、CNTの凝集径は0.5μm、
CNTの凝集径は2.4μm、消耗レートは122.2nm/hr、熱伝導率は13.8W/m・Kであった。
【0049】
「実施例5」
固形分中のカーボンナノチューブの含有率を5.0体積%とした他は、実施例1に準じて実施例5の焼結体を作製し、評価した。
得られた焼結体の相対密度は99.4%、体積固有抵抗値は0.5Ω・cm、CNTの凝集径は4.8μm、消耗レートは251.4nm/hr、熱伝導率は9.1W/m・Kであった。
【0050】
「実施例6」
超音波ホモジナイザーによる分散処理を4時間として、カーボンナノチューブスラリーの二次粒子径を400nmとした他は、実施例1に準じて実施例6の焼結体を作製し、評価した。
得られた焼結体の相対密度は99.6%、体積固有抵抗値は2.0Ω・cm、CNTの凝集径は2.2μm、消耗レートは188.4nm/hr、熱伝導率は10.3W/m・Kであった。
【0051】
「比較例1」
超音波ホモジナイザーによる分散処理を1時間として、カーボンナノチューブスラリーの平均二次粒子径を860nmとした他は、実施例1に準じて比較例1の焼結体を作製し、評価した。
得られた焼結体の相対密度は99.0%、体積固有抵抗値は12Ω・cm、CNTの凝集径は8.2μm、消耗レートは356.2nm/hr、熱伝導率は9.6W/m・Kであった。
【0052】
「比較例2」
加圧せずに焼成を行った他は、実施例1に準じて比較例2の焼結体を作製し、評価した。
得られた焼結体の相対密度は92.8%、体積固有抵抗値は42Ω・cm、CNTの凝集径は3.2μm、消耗レートは228.7nm/hr、熱伝導率は9.9W/m・Kであった。
【0053】
「比較例3」
カーボンナノチューブを添加しなかった(カーボンナノチューブの含有率が0.0体積%)とした他は、実施例1に準じて比較例3の焼結体を作製し、評価した。
得られた焼結体の相対密度は100.0%、体積固有抵抗値は10
8Ω・cm以上(測定限界値以上)、消耗レートは100.0nm/hr、熱伝導率は16.0W/m・Kであった。
【0054】
「比較例4」
固形分中のカーボンナノチューブの含有率を10.0体積%とした他は、実施例1に準じて比較例4の焼結体を作製し、評価した。
得られた焼結体の相対密度は98.1%、体積固有抵抗値は0.1Ω・cm、CNTの凝集径は12.2μm、消耗レートは601.4nm/hr、熱伝導率は8.5W/m・Kであった。
実施例1〜5及び比較例1〜4の測定結果を表1に示す。
【0055】
【表1】