【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、反応性に優れ、無黄変性、高硬度を有するポリウレタン樹脂の材料となりうる新規なイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記一般式(1)で表されるポリイソシアナート化合物であることを特徴とするイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物及びその製造法に関するものである。
【0009】
【化1】
(式中、m1は0または1を表し、nは1〜5の整数を表す。)
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
本発明のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物は、上記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とするものであり、m1は0または1を表し、溶剤への溶解性が高く、しかも原料の入手が容易なことからm1は0であることが好ましい。また、nは1〜5の整数を表す。そして、該nは本発明のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物におけるイソシアヌレート環繰り返し単位数を示すものであり、該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物は、nが1〜5のいずれかの整数を示すイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物、つまり、nが1のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物単独、nが2のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物単独、nが3のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物単独、nが4のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物単独又はnが5のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物単独はもとより、例えばnが1のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物とnが2のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の混合物;nが1のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物、nが2のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物とnが3のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の混合物;nが1のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物、nが2のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物、nが3のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物とnが4のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の混合物等に代表される混合物をも含むものである。その中でも該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の粘性が低く、しかも溶剤への溶解性が高くなることからnが1のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物であることが好ましく、nが1のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物10〜90重量%及びnが2〜5から選択される少なくとも1種以上のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物90〜10重量%からなる混合物であることが好ましく、特にnが1のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物30〜70重量%及びnが2〜5から選択される少なくとも1種以上のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物70〜30重量%からなる混合物であることが好ましい。ここで、nが6を越えるイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物である場合、粘性が高くなるとともに溶剤への溶解性に劣るばかりか、官能基であるイソシアナート基の数が多すぎることになり、その取り扱い性に大きく劣るものとなる。
【0011】
そして、本発明の上記一般式(1)で表されるイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物としては、特に無黄変性、高硬度を有する樹脂材料として有用性が期待されることから、下記一般式(2)乃至一般式(5)のいずれかに示されるイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物であることが好ましく、その中でも特に溶剤への溶解性が高く、しかも原料の入手が容易なことから一般式(2)または一般式(3)で表されるイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物であることが好ましい。
【0012】
【化2】
(式中、n1は1〜5の整数を表す。)
【0013】
【化3】
(式中、n2は1〜5の整数を表す。)
【0014】
【化4】
(式中、n3は1〜5の整数を表す。)
【0015】
【化5】
(式中、n4は1〜5の整数を表す。)
本発明のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の製造法としては、該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の製造が可能であればいかなる製造方法を用いてもよく、例えば下記一般式(6)で表されるジハロゲン化物とシアン酸塩とを反応することにより、効率的に製造することが可能である。
【0016】
【化6】
(式中、Xはそれぞれ独立して塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、m2は0又は1を表す。)
上記一般式(6)において、m2は0または1を表し、特に溶剤への溶解性が高く、しかも原料の入手が容易なことからm2は0が好ましい。また、Xはそれぞれ独立して塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、特に該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の生産性に優れることから塩素原子または臭素原子が好ましく、特に塩素原子が好ましい。
【0017】
該一般式(6)で表されるジハロゲン化物としては、例えばトランス−1,2−ビス(クロロメチル)ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、シス−1,2−ビス(クロロメチル)ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、トランス−1,2−ビス(ブロモメチル)ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、シス−1,2−ビス(ブロモメチル)ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、トランス−1,2−ビス(ヨードメチル)ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、シス−1,2−ビス(ヨードメチル)ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、トランス−1−クロロメチル−2−ブロモメチルビシクロ(2.2.1)ヘプタン、トランス−1−ブロモメチル−2−ヨードメチルビシクロ(2.2.1)ヘプタン、シス−1−クロロメチル−2−ブロモメチルビシクロ(2.2.1)ヘプタン、シス−1−ブロモメチル−2−ヨードメチルビシクロ(2.2.1)ヘプタン、トランス−1,2−ビス(クロロメチル)テトラシクロ(6.2.1.1
3,6.0
2,7)ドデカン、シス−1,2−ビス(クロロメチル)テトラシクロ(6.2.1.1
3,6.0
2,7)ドデカン、トランス−1,2−ビス(ブロモメチル)テトラシクロ(6.2.1.1
3,6.0
2,7)ドデカン、シス−1,2−ビス(ブロモメチル)テトラシクロ(6.2.1.1
3,6.0
2,7)ドデカン、トランス−1,2−ビス(ヨードメチル)テトラシクロ(6.2.1.1
3,6.0
2,7)ドデカン、シス−1,2−ビス(ヨードメチル)テトラシクロ(6.2.1.1
3,6.0
2,7)ドデカン、トランス−1−クロロメチル−2−ブロモメチルテトラシクロ(6.2.1.1
3,6.0
2,7)ドデカン、トランス−1−ブロモメチル−2−ヨードメチルテトラシクロ(6.2.1.1
3,6.0
2,7)ドデカン、シス−1−クロロメチル−2−ブロモメチルテトラシクロ(6.2.1.1
3,6.0
2,7)ドデカン、シス−1−ブロモメチル−2−ヨードメチルテトラシクロ(6.2.1.1
3,6.0
2,7)ドデカンが挙げられ、その中でも、簡便に効率よく製造できることからトランス−1,2−ビス(クロロメチル)ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、シス−1,2−ビス(クロロメチル)ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、トランス−1,2−ビス(ブロモメチル)ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、シス−1,2−ビス(ブロモメチル)ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、トランス−1,2−ビス(ヨードメチル)ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、シス−1,2−ビス(ヨードメチル)ビシクロ(2.2.1)ヘプタンが好ましく、特に安定性が高く、入手が容易であること等からトランス−1,2−ビス(クロロメチル)ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、シス−1,2−ビス(クロロメチル)ビシクロ(2.2.1)ヘプタンがさらに好ましい。
【0018】
該一般式(6)で表されるジハロゲン化物の製造法としては、例えば市販されているシクロペンタジエンと1,4−ジクロロ−2−ブテンを特開2009−184935号公報に開示されている方法により不飽和環状ジハロゲン化物を製造した後、該不飽和環状ジハロゲン化物の二重結合部位を水素化することによりジハロゲン化物とする方法を挙げることができる。
【0019】
また、該シアン酸塩としては、例えばシアン酸リチウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム、シアン酸ルビジウム、シアン酸セシウム、シアン酸銀等が挙げられ、その中でも入手が容易であることから、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウムが好ましい。これらシアン酸塩は単独で用いても2種類以上混合して用いてもよい。その際のシアン酸塩の純度としては特に制限はなく、例えば70%以上のものが用いられ、特に副反応を抑制することができることから、純度90%以上のものが好ましく、さらに好ましくは純度95%以上のものである。
【0020】
該一般式(6)で表されるジハロゲン化物と該シアン酸塩の仕込み比率については、該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の製造が可能である限りにおいて制限はなく、その中でも効率的な製造が可能となることから該ジハロゲン化物に対し該シアン酸塩を1.5〜50当量とすることが好ましく、特に2〜10当量が好ましく、さらに2〜6当量が好ましい。
【0021】
該一般式(6)で表されるジハロゲン化物と該シアン酸塩との反応による該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の製造においては、該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の製造効率を高くするために必要に応じて相間移動触媒、ルイス酸触媒、ハロゲン化金属触媒、クラウンエーテル触媒等を添加することができる。
【0022】
該相間移動触媒としては、例えば4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等を挙げることができ、該4級アンモニウム塩としては、例えば塩化テトラメチルアンモニウム塩、塩化テトラプロピルアンモニウム塩、塩化テトラブチルアンモニウム塩、臭化テトラエチルアンモニウム塩、臭化テトラブチルアンモニウム塩等を挙げることができる。該4級ホスホニウム塩としては、例えば塩化テトラブチルホスホニウム塩、塩化テトラフェニルホスホニウム塩、臭化テトラブチルホスホニウム塩等を挙げることができる。そして、より安定性が高く該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の生産効率に優れることから4級アンモニウム塩であることが好ましく、さらに入手が容易であることから臭化テトラエチルアンモニウム塩、臭化テトラブチルアンモニウム塩であることが好ましい。これら相関移動触媒は単独で用いるのみならず2種類以上混合して用いることも可能である。
【0023】
該ルイス酸触媒としては、例えばルイス酸性を示すハロゲン化金属若しくはその錯体又は有機ハロゲン化金属を挙げることができ、該ハロゲン化金属としては、例えばフッ化ホウ素(III)、塩化アルミニウム(III)、塩化スズ(IV)、塩化アンチモン(III)、塩化チタン(IV)、塩化鉄(III)、臭化亜鉛(II)、塩化銅(I)、塩化銅(II)等が挙げられる。該ハロゲン化金属錯体としては、例えば上記ハロゲン化金属とのエーテル錯体、アンモニア錯体、有機アミン錯体、トリフェニルホスフィン錯体等が挙げられる。該有機ハロゲン化金属としては、例えばEt
2AlCl、EtAlCl
2等を挙げることができる。そして、より安定性が高く該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の生産効率に優れることからハロゲン化金属であることが好ましく、特にフッ化ホウ素(III)、塩化銅(I)、塩化銅(II)であることが好ましい。これらルイス酸触媒は単独で用いるのみならず、2種類以上混合して用いることも可能である。
【0024】
該ハロゲン化金属触媒としては、例えばヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ルビジウム、ヨウ化セシウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化ルビジウム、臭化セシウム等を挙げることができ、より安定性が高く該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の生産効率に優れることからヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムが好ましい。これらハロゲン化金属触媒は単独で用いるのみならず、2種類以上混合して用いることが可能である。
【0025】
該クラウンエーテル触媒としては、例えば18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、15−クラウン−5、12−クラウン−4等が挙げられ、より安定性が高く該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の生産効率に優れることから18−クラウン−6、15−クラウン−5が好ましい。該クラウンエーテルは単独で用いるのみならず、2種類以上混合して用いることが可能である。
【0026】
これらの相間移動触媒、ルイス酸触媒、ハロゲン化金属触媒、クラウンエーテル触媒の仕込み比率は、該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の製造が可能である限りにおいて制限はなく、より効率的な製造を行うことが可能となることから該一般式(6)で表されるジハロゲン化物に対して0.1〜80mol%であることが好ましく、さらに0.5〜20mol%であることが好ましく、特に1〜10mol%であることが好ましい。
【0027】
また、該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物を製造する際には、生産効率を高めるために必要に応じ副反応抑制剤を用いることが可能であり、該副反応抑制剤としては、例えば第2族金属塩を挙げることができる。該第2族金属塩としては、例えば安息香酸カルシウム、ギ酸カルシウム、コハク酸カルシウム、酢酸カルシウム、シアン酸カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、硝酸カルシウム、石炭酸カルシウム、ナフテン酸カルシウム、フタル酸カルシウム、ベンゼンスルホン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、硫酸カルシウム、トルエンスルホン酸カルシウム、ギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、硝酸マグネシウム、ナフテン酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、ギ酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、臭化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、ナフテン酸ストロンチウム、プロピオン酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、酢酸亜鉛、シアン酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硝酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、硫酸亜鉛、安息香酸バリウム、ギ酸バリウム、酢酸バリウム、塩化バリウム、臭化バリウム、硝酸バリウム、ナフテン酸バリウム、プロピオン酸バリウム、硫酸バリウム、トリフルオロ酢酸カルシウム、トリフルオロ酢酸バリウム、トリフルオロ酢酸マグネシウム、トリフルオロ酢酸亜鉛等を挙げることができ、より安定性が高く該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の生産効率に優れることから酢酸カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、硫酸マグネシウムが好ましく、さらに塩化カルシウム、塩化マグネシウムが好ましい。また、これら第2族金属塩は単独で用いるのみならず、2種類以上混合して用いることも可能である。該第2族金属塩を使用する際の仕込み量については、該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の製造が可能である限りにおいて制限はなく、より効率的な製造が可能となることから該シアン酸塩に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、特に0.2〜25重量%であることが好ましく、さらに0.3〜15重量%であることが好ましい。
【0028】
該一般式(6)で表されるジハロゲン化物とシアン酸塩との反応により該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の製造する際には、溶媒中で反応を行うことが可能であり、該溶媒としては該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の製造が可能である限りにおいて制限はなく、特に生成する該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物と溶媒との反応を抑制し効率よく該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物を製造することが可能となることから、非プロトン性溶媒であることが好ましい。該非プロトン性溶媒としては、特に限定はなく、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒;ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族溶媒、等を挙げることができる。そして、その中でも、特に反応速度が速くなり、効率よく該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物を製造することが可能となることから誘電率が15〜60である溶媒が好ましく、さらに該一般式(6)で表されるジハロゲン化物と該シアン酸塩の相溶性を高めることができることからアミド溶媒、スルホキシド溶媒であることが好ましく、特にジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンまたはジメチルスルホキシドであることが好ましい。また、これら溶剤は1種又は2種以上の混合物を用いても良い。
【0029】
該一般式(6)で表されるジハロゲン化物と該シアン酸塩との反応により該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物を製造する際の反応温度に制限はなく、例えば20〜300℃、好ましくは50〜250℃であり、さらに好ましくは90〜200℃である。また、反応圧力にも制限はなく、常圧でも加圧下でも実施でき、特に常圧であることが好ましい。さらに、反応時間に関しては、反応温度、原料の基質濃度等により適宜選択することが可能であり、その中でも1分〜200時間であることが好ましく、特に5分〜50時間であることが好ましい。反応の際の雰囲気に制限はなく、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスによって置換して反応を行うことができる。そして、該イソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物を製造する際の反応は、回分式、半回分式、連続式のいずれで実施することも可能である。
【0030】
本発明のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物は、上述のように該一般式(1)におけるnが1〜5の整数を表す構造を有するものであり、nが1〜5のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物の混合物であってもよい。また、nが1〜5のいずれかのイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物単独とする際には、該混合物より公知の方法により単離することが可能であり、例えば液体クロマトグラフィー等により単離することが可能である。
【0031】
本発明のイソシアヌレート環含有脂環族ポリイソシアナート化合物は、無黄変性、高硬度、耐熱性及び耐候性を有するポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂の原料として期待されるものである。