(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(e)成分が、エポキシシラン、メルカプトシラン、イソシアネートシラン、アクリルシラン、メタクリルシランから選ばれる少なくとも一種のシランカップリング処理を行ったものである請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[感光性樹脂組成物]
以下、本発明の感光性樹脂組成物で用いられる各成分についてより詳細に説明する。
【0018】
本発明で用いることのできる(a)エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する光ラジカル反応性の樹脂としては、例えば、エポキシ化合物(a1)と不飽和モノカルボン酸(a2)のエステル化物に飽和又は不飽和多塩基酸無水物(a3)を付加した付加反応物等を用いることができる。これらは、次の二段階の反応によって得ることができる。最初の反応(以下、便宜的に「第一の反応」という。)では、エポキシ化合物(a1)と不飽和モノカルボン酸(a2)とが反応する。次の反応(以下、便宜的に「第二の反応」という。)では、第一の反応で生成したエステル化物と、飽和又は不飽和多塩基酸無水物(a3)とが反応する。
【0019】
上記エポキシ化合物(a1)としては、特に制限はないが、例えば、ビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、多官能エポキシ化合物等が挙げられる。ビスフェノール型エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型又はビスフェノールF型とエピクロルヒドリンを反応させて得られるものが適しており、BASF社製、商品名:GY−260、GY−255、XB−2615、三菱化学株式会社製、商品名:jER828、1007、807等のビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールA型、アミノ基含有、脂環式あるいはポリブタジエン変性等のエポキシ化合物が好適である。
【0020】
ノボラック型エポキシ化合物としては、フェノール、クレゾール、ハロゲン化フェノール及びアルキルフェノール等のフェノール類から選ばれる少なくとも一種とホルムアルデヒドとを、酸性触媒下で反応して得られるノボラック類と、エピクロルヒドリンを反応させて得られるものが適しており、新日化エポキシ製造株式会社製、商品名:YDCN−701、704、YDPN−638、602、ダウ・ケミカル社製、商品名:DEN−431、439、BASF社製、商品名:EPN−1299、DIC株式会社製、商品名:N−730、770、865、665、673、VH−4150、4240、日本化薬株式会社製、商品名:EOCN−120、BREN等が挙げられる。
【0021】
その他の構造のエポキシ化合物としては、例えば、サリチルアルデヒド−フェノール又はサリチルアルデヒド−クレゾール型エポキシ化合物(日本化薬株式会社製、商品名:EPPN502H、FAE2500等)、ダウ・ケミカル社製、商品名:DER−330、337、361、ダイセル化学工業株式会社製、商品名:セロキサイド2021、三菱ガス化学株式会社製、商品名:TETRAD−X、C、日本曹達株式会社製、商品名:EPB−13、27等も使用することができる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用され、混合物あるいはブロック共重合物を用いてもよい。
【0022】
上記不飽和モノカルボン酸(a2)としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸や、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類又は飽和若しくは不飽和二塩基酸と不飽和モノグリシジル化合物との半エステル化合物類との反応物が挙げられる。この反応物としては、例えば、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、へキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸等と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等とを、常法により等モル比で反応させて得られる反応物などが挙げられる。これらの不飽和モノカルボン酸は単独又は混合して用いることができる。これらの中でも、アクリル酸が好ましい。
【0023】
飽和又は不飽和多塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。
【0024】
第一の反応では、エポキシ化合物(a1)のエポキシ基と不飽和モノカルボン酸(a2)のカルボキシル基との付加反応により水酸基が生成する。第一の反応における、エポキシ化合物(a1)と不飽和モノカルボン酸(a2)との比率は、エポキシ化合物(a1)のエポキシ基1当量に対して、不飽和モノカルボン酸(a2)が0.7〜1.05当量となる比率であることが好ましく、0.8〜1.0当量となる比率であることがより好ましい。
【0025】
エポキシ化合物(a1)と不飽和モノカルボン酸(a2)とは、有機溶剤に溶解させて反応させることができる。有機溶剤としては、例えば、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などを用いることができる。
【0026】
第一の反応では、反応を促進させるために触媒を用いることが好ましい。触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルホスフィン等を用いることができる。触媒の使用量は、エポキシ化合物(a1)と不飽和モノカルボン酸(a2)の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部とすることが好ましい。
【0027】
第一の反応において、エポキシ化合物(a1)同士又は不飽和モノカルボン酸(a2)
同士、あるいはエポキシ化合物(a1)と不飽和モノカルボン酸(a2)との重合を防止するため、重合防止剤を使用することが好ましい。重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、及びピロガロール等を用いることができる。重合防止剤の使用量は、エポキシ化合物(a1)と不飽和モノカルボン酸(a2)の合計100質量部に対して、0.01〜1質量部とすることが好ましい。第一の反応の反応温度は、60〜150℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。
【0028】
第一の反応では、必要に応じて不飽和モノカルボン酸(a2)と、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の多塩基酸無水物とを併用することができる。
【0029】
第二の反応では、第一の反応で生成した水酸基及びエポキシ化合物(a1)中に元来ある水酸基が、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物(a3)の酸無水物基と半エステル反応すると推察される。ここでは、第一の反応によって得られる樹脂中の水酸基1当量に対して、0.1〜1.0当量の多塩基酸無水物(a3)を反応させることができる。多塩基酸無水物(a3)の量をこの範囲内で調製することによって、(a)成分の酸価を調整することができる。
【0030】
上記のカルボキシル基を有する樹脂としては、CCR−1218H、CCR−1159H、CCR−1222H、PCR−1050、TCR−1335H、ZAR−1035、ZAR−2001H、ZFR−1185及びZCR−1569H(以上、日本化薬株式会社製、商品名)等が商業的に入手可能である。
【0031】
(a)成分としてウレタン結合を有する化合物を使用する場合は、分子内に2つ以上の水酸基及びエチレン性不飽和基を有するエポキシアクリレート化合物と、ジイソシアネート化合物と、カルボキシル基を有するジオール化合物とを反応させて得られるポリウレタン化合物を用いることが好ましい。
【0032】
ポリウレタン化合物は、上記のように、2つ以上の水酸基及びエチレン性不飽和基を有するエポキシアクリレート化合物(以下、「原料エポキシアクリレート」という)、ジイソシアネート化合物(以下、「原料ジイソシアネート」という)、並びにカルボキシル基を有するジオール化合物(以下、「原料ジオール」という)を原料成分として得られる化合物である。これらの原料成分について説明する。
【0033】
上記原料エポキシアクリレートとしては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、フルオレン骨格を有するエポキシ化合物等に(メタ)アクリル酸を反応させて得られる化合物などが挙げられる。
【0034】
上記原料ジイソシアネートとしては、イソシアネート基を2つ有する化合物であれば特に制限なく適用できる。例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリデンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、アリレンスルホンエーテルジイソシアネート、アリルシアンジイソシアネート、N−アシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ノルボルナン−ジイソシアネートメチル等が挙げられる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用される。
【0035】
上記原料ジオールは、分子内に、アルコール性水酸基及び/又はフェノール性水酸基等の水酸基を2つ有するとともに、カルボキシル基を有する化合物である。水酸基としては、感光性樹脂組成物のアルカリ水溶液による現像性を良好にする観点から、アルコール性水酸基を有していることが好ましい。このようなジオール化合物としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等を挙げることができる。
【0036】
次に、上記した原料成分を用いてポリウレタン化合物を製造する工程の例について説明する。ポリウレタン化合物の製造工程では、まず、上記原料エポキシアクリレート及び上記原料ジオールを、上記原料ジイソシアネートと反応させる。かかる反応においては、主に、原料エポキシアクリレートにおける水酸基と原料ジイソシアネートにおけるイソシアネート基との間、及び、原料ジオールにおける水酸基と原料ジイソシアネートにおけるイソシアネート基との間で、いわゆるウレタン化反応が生じる。この反応により、例えば、原料エポキシアクリレートに由来する構造単位と、原料ジオールに由来する構造単位とが、原料ジイソシアネートに由来する構造単位を介して交互に又はブロック的に重合されたポリウレタン化合物が生じる。このようなポリウレタン化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が例示できる。
【0038】
ここで、一般式(1)中、R
7は原料エポキシアクリレートの残基、R
8は原料ジイソシアネートの残基、R
9は炭素数1〜5のアルキル基、R
10は水素原子又はメチル基を示す。なお、残基とは、原料成分から結合に供された官能基を除いた部分の構造をいう。また、式中に複数ある基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、上記ポリウレタン化合物が有する末端の水酸基は、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物で処理されていてもよい。
【0039】
上記のポリウレタン化合物の製造工程では、原料エポキシアクリレート、原料ジオール及び原料ジイソシアネート以外に、これらとは異なるジオール化合物をさらに添加してもよい。これにより、得られるポリウレタン化合物の主鎖構造を変えることが可能となり、後述する酸価等の特性を、所望の範囲に調整できる。また、上記した各工程では、適宜、触媒等を用いてもよい。
【0040】
また、上記のポリウレタン化合物と原料エポキシアクリレートとをさらに反応させてもよい。この反応では、主に上記ポリウレタン化合物における原料ジオール化合物に由来するカルボキシル基と、原料エポキシアクリレートの有するエポキシ基との間で、いわゆるエポキシカルボキシレート化反応が生じる。このようにして得られる化合物は、例えば、上記したポリウレタン化合物から形成される主鎖と、原料エポキシアクリレートに由来するエチレン性不飽和基を含む側鎖とを備えるものとなる。
【0041】
本実施形態のポリウレタン化合物としては、一般式(1)で表される化合物の中でも、ポリウレタンの主骨格の一つとなる原料エポキシアクリレートのハードセグメント部、すなわちR
7が、ビスフェノールA型構造のものが好ましい。このようなポリウレタン化合物は、UXE−3011、UXE−3012、UXE−3024(いずれも日本化薬株式会社製、商品名)等として商業的に入手可能である。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用される。また、かかるポリウレタン化合物を含む感光性樹脂組成物は、HAST耐性をより向上させることができる。
【0042】
これまでに例示した(a)成分のカルボキシル基を有する樹脂は、その酸価が、20〜180mgKOH/gであることが好ましく、30〜150mgKOH/gであることがより好ましく、40〜120mgKOH/gであることが特に好ましい。これにより、感光性樹脂組成物のアルカリ水溶液による現像性が良好となり、優れた解像度が得られるようになる。
【0043】
ここで、酸価は以下の方法により測定することができる。まず、測定樹脂溶液約1gを精秤した後、その樹脂溶液にアセトンを30g添加し、樹脂溶液を均一に溶解する。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行う。そして、次式により酸価を算出する。
A=10×Vf×56.1/(Wp×I)
なお、式中、Aは酸価(mgKOH/g)を示し、VfはKOHの滴定量(mL)を示し、Wpは測定樹脂溶液質量(g)を示し、Iは測定樹脂溶液の不揮発分の割合(質量%)を示す。
【0044】
また、(a)成分のカルボキシル基を有する樹脂の重量平均分子量は、塗膜性の観点から、3000〜30000であることが好ましく、5000〜20000であることがより好ましく、7000〜15000であることが特に好ましい。これらは分子量の異なる樹脂を2種以上組み合わせて使用することも可能である。
【0045】
なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値から求めることができる。
【0046】
本発明で用いる(b)エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマーは、アルカリ現像性を良好にする観点から、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
上記化合物のうち、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、FA−321M(日立化成工業株式会社製、商品名)又はBPE−500(新中村化学工業株式会社製、商品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)は、BPE−1300(新中村化学工業株式会社製、商品名)として商業的に入手可能である。
【0048】
本発明で用いる(c)光重合開始剤としては、使用する露光機の光波長にあわせたものであれば特に制限はなく、公知のものを利用することができる。具体的には例えば、ベンゾフェノン、N,N′−テトラアルキル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパノン−1、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等の芳香族ケトン類;アルキルアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類;ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、9−フェニルアクリジン等のアクリジン誘導体;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]等のオキシムエステル類;7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン等のクマリン系化合物、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合物などが挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
上記の中でも、解像性(レジスト形状)に優れる点では、芳香族ケトン類又は、チオキサントン系化合物を用いることが好ましい。
【0050】
(d)エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノールジグリシジルエーテル等のビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノールジグリシジルエーテル等のビキシレノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及び、それらの二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0051】
これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用される。これらの化合物としては、市販のものを用いることができる。
例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、jER828,jER1001及びjER1002(いずれも三菱化学株式会社製、商品名)等を挙げることができる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、jER807(三菱化学株式会社製、商品名)、YSLV−80(新日鐵化学株式会社製、商品名))等を挙げることができ、ビスフェノールS型エポキシ樹脂としては、EBPS−200(日本化薬株式会社製、商品名)及びエピクロンEXA−1514(DIC株式会社製、商品名)等を挙げることができる。
また、ビフェノール型エポキシ樹脂としては、YL−6121(三菱化学株式会社製、商品名)等を挙げることができ、ビキシレノール型エポキシ樹脂としては、YX−4000(三菱化学株式会社製、商品名)等を挙げることができる。さらに、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ST−2004及びST−2007(いずれも新日化エポキシ製造株式会社製、商品名)等を挙げることができ、上述した二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、ST−5100及びST−5080(いずれも新日化エポキシ製造株式会社製、商品名)等を挙げることができる。
【0052】
上記の中でも、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0053】
(d)エポキシ樹脂の配合量としては、(a)エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する樹脂と、(b)エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマーと、の合計量100質量部に対し、2〜40質量部であることが好ましく、5〜30質量部あることがより好ましい。
【0054】
次に本発明の特徴である平均粒径が動的光散乱法による粒度分布測定において、50nm未満で、かつ、感光性樹脂組成物中に最大粒径が1μm以下で分散されている(e)シリカフィラーついて説明する。
【0055】
本発明で用いられるシリカフィラーは一次粒径のまま、凝集することなく樹脂中の分散させるために、シランカップリング剤を用いる。シランカップリング剤としては、一般的に入手可能なものを用いることができ、例えば、アルキルシラン、アルコキシシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、アミノシラン、アクリルシラン、メタクリルシラン、メルカプトシラン、スルフィドシラン、イソシアネートシラン、サルファーシラン、スチリルシラン、アルキルクロロシラン等が使用可能である。具体的な化合物名としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−ドデシルメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、トリフェニルシラノール、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、n−オクチルジメチルクロロシラン、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチルデン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノシラン等がある。
【0056】
用いるシランカップリング剤として好ましいものは、感光性樹脂組成物に含まれる(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有する樹脂のカルボキシキ基と反応する種類のものが良く、例えば、エポキシシラン、メルカプトシラン、イソシアネートシランが好ましい。これらのシランカップリング剤は、シリカと樹脂の結合を強めるため、永久マスクレジストとした際に膜の強度を強め、また同時に熱膨張係数を大きく低減することが可能なため、温度サイクル試験における耐クラック性等に寄与する。
【0057】
また、アクリルシラン、メタクリルシランを用いても良い。(b)エチレン性不飽和基を有する光重合モノマーのエチレン性不飽和基と反応し前期シランカップリング剤を用いたときと同様の効果を発揮すると考えられる。
【0058】
シリカフィラーの使用量は、全質量部100質量部に対し、25〜70質量部であることが好ましく、25〜60質量部であることがより好ましく、30〜40質量部であることがさらに好ましい。熱膨張係数低減の観点からは、25質量部以上、塗膜性の観点からは、70質量部以下が好ましい。
【0059】
なお、感光性樹脂組成物は、上記した(a)〜(e)成分に加えて、さらに(f)成分として、酸化防止剤を含むことが好ましい。また、(f)成分の酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤であることがより好ましい。
【0060】
本発明の感光性樹脂組成物は、所望の特性に応じてその他の成分をさらに含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、希釈剤が挙げられる。希釈剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類;ベンジルアルコール、シクロヘキサン等の炭化水素類;ジアセトンアルコール、3−メトキシ−1−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン等の脂肪族ケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のエチレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート;ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類及びそのアセテートジエチレングリコールジアルキルエーテル類;トルエン、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ若しくはソルベントナフサ等の石油系溶剤;ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル等のカルボン酸エステル類;アミン、アミド類等の溶剤を単独、又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0061】
さらに、本発明の感光性樹脂組成物は、特に銅等の金属との密着が必要とされる場合、密着性向上剤として、メラミン、ジシアンジアミド、トリアジン化合物及びその誘導体、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の添加剤類を用いることができる。例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン−フェノール−ホルマリン樹脂、ジシアンジアミド、四国化成工業株式会社製イミダゾール系添加剤、商品名:2MZ−AZINE、2E4MZ−AZINE、C11Z−AZINE、2MA−OK等が挙げられる。あるいはエチルジアミノ−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−s−トリアジン等のトリアジン誘導体類が挙げられる。これらの化合物は銅回路との密着性を上げ耐PCT性を向上させ、HAST耐性にも効果がある。これらは(a)から(c)成分の総量100質量部に対して0.1〜10質量部で使用されるのが好ましい。これらの中でもジシアンジアミドを含むことが好ましい。
【0062】
また、必要に応じて、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオジングリーン、ジスアゾイエロー、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック、アゾ系の有機顔料などの着色剤、染料等を用いることができる。さらに、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤、ベントン、モンモリロナイト、エアロジル、アミドワックス等のチキソ性付与剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤、レベリング剤を用いることができる。
【0063】
感光性樹脂組成物中の各成分の含有量は、上記(a)成分は、(a)成分及び(b)成分の総量100質量部に対して、30〜80質量部とすることが好ましく、40〜75質量部とすることがより好ましく、50〜70質量部とすることが特に好ましい。(a)成分の含有量がこの範囲であると、感光性樹脂組成物の塗膜性及び光硬化物の強度がより良好となり、現像性、解像性、はんだ耐熱性や金めっき耐性といった特性を損なうことなく、微細配線間でのHAST耐性に優れ、かつ高耐熱性となる。
【0064】
上記(b)成分の含有量は、(a)成分及び(b)成分の総量100質量部に対して、20〜70質量部とすることが好ましく、25〜50質量部とすることがより好ましく、30〜40質量部とすることが特に好ましい。(b)成分の含有量がこの範囲であると、感光性樹脂組成物の光感度及び塗膜性がより良好となる。
【0065】
感光性樹脂組成物中の(c)各成分の含有量は、成分(a)と(b)の合計100質量部に対して、成分(c)は0.1〜10質量部を配合してなることが好ましく、さらに、0.2〜5質量部でなることがさらに好ましい。
【0066】
[感光性フィルム]
次に、好適な実施形態の感光性フィルムについて説明する。本発明に係る感光性フィルムは、支持体と、該支持体上に形成された本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層とを備えた感光性積層体からなるものである。感光性樹脂組成物層上には、該感光性樹脂組成物層を被覆する保護フィルムをさらに備えていてもよい。
【0067】
上記支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。上記支持体(重合体フィルム)の厚みは、5〜25μmとすることが好ましく、この厚みが5μm未満では、現像前に行う支持フィルム剥離の際に支持フィルムが破れやすくなる傾向があり、25μmを超えると解像度が低下する傾向がある。なお、上記重合体フィルムは、一つを支持体かつ保護フィルムとして感光樹脂組成物層の両面に積層して使用してもよい。
【0068】
上記保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。市販のものとしては、例えば、王子製紙株式会社製の商品名:アルファンMA−410、E−200C、信越フィルム株式会社製等のポリプロピレンフィルム、帝人株式会社製の商品名:PS−25等のPSシリーズ等のポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられるが、これらに限られたものではない。
【0069】
上記保護フィルムの厚みは、1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、5〜30μmであることがさらに好ましく、15〜30μmであることが特に好ましい。この厚みが1μm未満では、ラミネートの際に保護フィルムが破れる傾向があり、100μmを超えると廉価性に劣る傾向がある。なお、保護フィルムは、感光性樹脂組成物層及び支持体の接着力よりも、感光性樹脂組成物層及び保護フィルムの接着力の方が小さいものが好ましく、また、低フィッシュアイのフィルムが好ましい。フィッシュアイとは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸、キャスティング法等によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものである。
【0070】
上記感光性樹脂組成物層は、本発明の感光性樹脂組成物を先に述べたような希釈剤(溶剤)に溶解して固形分30〜70質量%程度の溶液(塗布液)とした後に、かかる溶液(塗布液)を支持体上に塗布して乾燥することにより形成することが好ましい。上記塗布は、例えば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等を用いた公知の方法で行うことができる。また、上記乾燥は70〜150℃、5〜30分間程度で行うことができる。感光性樹脂組成物中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する点から、感光性樹脂組成物の総量に対して3質量%以下とすることが好ましい。
【0071】
上記感光層の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで5〜200μmであることが好ましく、15〜60μmであることがより好ましく、20〜50μmであることが特に好ましい。この厚みが5μm未満では、工業的に塗工困難な傾向があり、200μmを超えると感光性樹脂組成物層内部の感度及び解像度が低下する傾向がある。
【0072】
上記感光性フィルムは、さらにクッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層等を有していてもよい。また、得られた感光性フィルムはシート状、又は巻芯にロール状に巻き取って保管することができる。なお、この際支持体が最も外側になるように巻き取られることが好ましい。上記ロール状の感光性フィルムロールの端面には、端面保護の観点から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの観点から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。また、梱包方法として、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。上記巻芯としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックなどが挙げられる。
【0073】
[レジストパターンの形成方法]
次に、本発明の感光性フィルムを用いたレジストパターンの形成方法について説明する。
【0074】
レジストを形成すべき基板上に、上記した感光性樹脂組成物からなる感光層を形成する。上記感光性フィルムの保護フィルムを感光性樹脂組成物層から剥離させ、露出した面をラミネート等により、基板上に形成された回路パターンを有する導体層を覆うように密着させる。密着性、追従性向上の観点から減圧下で積層する方法も好ましい。なお、感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物のワニスをスクリーン印刷法やロールコータにより塗布する方法等の公知の方法により基板上に塗布することもできる。
【0075】
次いで、マスクパターンを通して、感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射し、照射部の感光性樹脂組成物層を光硬化させる露光工程を行う。
【0076】
さらに、感光層上に支持体が存在している場合にはその支持体を除去した後、ウエット現像又はドライ現像で光硬化されていない部分(未露光部)を除去して現像することにより、レジストパターンを形成することができる。
【0077】
上記ウエット現像の場合、現像液としては、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の安全かつ安定であり操作性が良好なものが、感光性樹脂組成物の種類に対応して用いられる。また、現像方法としては、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法が適宜採用される。
【0078】
上記アルカリ性水溶液の塩基としては、アルカリ金属、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムの水酸化物である水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等、アルカリ金属、アンモニウム等の炭酸塩又は重炭酸塩である炭酸アルカリ又は重炭酸アルカリ、アルカリ金属のリン酸塩であるリン酸ナトリウム、リン酸カリウム等、アルカリ金属のピロリン酸塩であるピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等、安全かつ安定であり、操作性が良好なものが用いられる。
【0079】
また、このようなアルカリ性水溶液としては、例えば、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液が好ましく、そのpHは9〜11の範囲とすることが好ましい。また、このようなアルカリ性水溶液の温度は感光層の現像性に合わせて調節され、20〜50℃とすることが好ましい。さらに、上記アルカリ性水溶液中には、現像を促進させるために界面活性剤、消泡剤等の少量の有機溶剤を混入させてもよい。
【0080】
上記水系現像液としては、水及びアルカリ性水溶液若しくは一種以上の有機溶剤とからなるものが用いられる。ここでアルカリ性水溶液の塩基としては、上記したもの以外に、例えば、ホウ砂、メタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノプロパノール−2、モルホリンが挙げられる。このような水系現像液のpHは、現像処理が充分にできる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、pH8〜12であることが好ましく、pH9〜10であることがより好ましい。
【0081】
上記有機溶剤としては、例えば、アセトン、酢酸エチル、炭素数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが用いられる。このような有機溶剤の濃度は、通常、2〜90質量%であることが好ましい。また、このような有機溶剤の温度は、現像性にあわせて調節することができる。さらに、このような有機溶剤は単独で又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。単独で用いる有機溶剤系現像液としては、例えば、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトンが挙げられる。さらに、上記アルカリ性水溶液中には、現像を促進させるために界面活性剤、消泡剤等の少量の有機溶剤を混入させてもよい。
【0082】
本発明のレジストパターンの形成方法においては、必要に応じて、上記した二種類以上の現像方法を併用してもよい。現像の方式には、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、高圧スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等があり、高圧スプレー方式が解像度向上のためには最も適している。現像後に行われる金属面のエッチングには、例えば、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液等を用いることができる。
【0083】
[感光性永久レジストの好適な実施形態]
本発明の感光性フィルムを用いた感光性永久レジストの好適な実施形態について説明する。
【0084】
上記現像工程終了後、はんだ耐熱性及び耐薬品性等を向上させる目的で、高圧水銀ランプによる紫外線照射や加熱を行うことが好ましい。紫外線を照射させる場合は必要に応じてその照射量を調整することができ、例えば0.05〜10J/cm
2程度の照射量で照射を行うことができる。また、レジストパターンを加熱する場合は、130〜200℃程度の範囲で15〜90分程行われることが好ましい。
【0085】
紫外線照射及び加熱は、両方を行ってもよい。この場合、両方を同時に行ってもよく、いずれか一方を実施した後に他方を実施してもよい。紫外線照射と加熱とを同時に行う場合は、はんだ耐熱性及び耐薬品性をより良好に付与する観点から、60〜150℃に加熱することが好ましい。
【0086】
このようにして形成された感光性永久レジストは、基板にはんだ付けを施した後の配線の保護膜を兼ね、ソルダーレジストの諸特性を有しプリント配線板用、半導体パッケージ基板用、フレキシブル配線板用のソルダーレジストとして用いることが可能である。
【0087】
上記ソルダーレジストは、例えば、基板に対し、めっきやエッチングを施す場合に、めっきレジストやエッチングレジストとして用いられる他、そのまま基板上に残されて、配線等を保護するための保護膜(感光性永久レジスト)として用いられる。
【0088】
また、上記の露光工程において、上記導体層の所定部分が未露光となるパターンを有するマスク又は描画データを用いて露光を行った場合、これを現像することにより、未露光部分が除去され、基板上に形成された導体層の一部が露出した、開口パターンを有するレジストが得られる。その後、上記の感光性永久レジストを形成するのに必要な処理を行うことが好ましい。
【0089】
感光性永久レジストを備えた基板は、その後、半導体素子などの実装(例えば、ワイヤーボンディング、C4はんだ接続)がなされ、そして、パソコン等の電子機器へ装着される。
【0090】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に制限されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【実施例】
【0091】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
(感光性フィルムの作製)
表1及び表2に示した各成分を、そこに示す配合比(質量基準)で混合することにより実施例1〜6、比較例1〜6の感光性樹脂組成物溶液を得た。なお、希釈剤には、メチルエチルケトンを使用した。
【0092】
次いで、調整した感光性樹脂組成物溶液を支持層である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人株式会社製、商品名:G2−16)上に均一に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成し、それを、熱風対流式乾燥機を用いて100℃で約10分間乾燥した。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は、15μmであった。
【0093】
続いて、感光性樹脂組成物層の支持層と接している側とは反対側の表面上に、ポリエチレンフィルム(タマポリ株式会社製、商品名:NF−15)を保護フィルムとして貼り合わせ、支持層/感光性樹脂組成物層/保護フィルムを有してなる感光性フィルムを得た。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
なお、上記表1及び表2中に示す各成分の詳細については、以下のとおりである。
<(a)エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する樹脂>
EXP−2810:酸変性クレゾールノボラック型エポキシアクリレート(DIC株式会社製、商品名)
ZFR−1158:ビスフェノールF型エポキシアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名)
CCR−1219H:クレゾールノボラック型エポキシアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名)
UXE−3024:ポリウレタン化合物(重量平均分子量:10000、酸価:60mgKOH/g、日本化薬株式会社製、商品名)
【0097】
<(b)エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー>
DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名)
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名)
FA−321M:2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン(日立化成工業株式会社製、商品名)
【0098】
<(c)光重合開始剤>
I−907:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(BASF社製、商品名:IRGACURE−907)
DETX−S:2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬株式会社製、商品名)
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASF社製、商品名:LUCIRIN−TPO)
OXE−02:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(BASF社製、商品名:IRGACURE−OXE02)
【0099】
<(d)エポキシ樹脂>
YX4000H:ビフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量190、三菱化学株式会社製、商品名)
YSLV−80:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(新日鐵化学株式会社製、商品名)
NC−3000H:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名)
【0100】
<(e)シリカフィラー>
シリカA:シリカフィラーの平均粒径が10nmであり、シランカップリング剤として、メタクリルシランである3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランでカップリング処理し、上記(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を分子内に少なくとも1つ以上有する樹脂中に分散した。分散状態は、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計(日機装株式会社製、商品名:UPA−EX150)を用いて測定し、最大粒径が1μm以下となっていることを確認した。
シリカB:シリカフィラーの平均粒径が50nmであり、シランカップリング剤として、メタクリルシランである3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランでカップリング処理し、上記(a)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を分子内に少なくとも1つ以上有する樹脂中に分散した。分散状態は、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計(日機装株式会社製、商品名:UPA−EX150)を用いて測定し、最大粒径が1μm以下となっていることを確認した。
シリカC:シリカフィラーの平均粒径が1μmであり、メチルエチルケトン中にスラリー状に分散されているシリカフィラー分散体(株式会社アドマテックス製、商品名:SC2050)使用した。分散状態は、レーザー回折散乱式マイクロトラック粒度分布計(日機装株式会社製、商品名:MT−3100)を用いて測定した。最大粒径は約3μmとなっていることを確認した。
【0101】
(特性評価)
[塗膜性の評価]
得られた感光性フィルムに対し、露光を行わずに、感光性フィルム上のポリエチレンテレフタレートを剥離し、その塗膜表面に指を軽く押し付け、指に対する張り付き程度を以下の基準で評価した。すなわち、指に対する張り付きが認められない、又は、ほとんど認められないものは「3」とし、指に対する張り付きが認められるものは「2」、樹脂が指に付着するほどの強い張り付きが認められるものは「1」とした。結果を表3、表4に示す。
【0102】
[解像性(レジスト形状)の評価]
12μm厚の銅箔をガラスエポキシ基材に積層したプリント配線板用基板(日立化成工業株式会社製、商品名:E−679)の銅表面を砥粒ブラシで研磨し、水洗後、乾燥した。このプリント配線板用基板上に、連続プレス式真空ラミネータ(株式会社名機製作所製、商品名:MVLP−500)を用いて、プレス熱板温度70℃、真空引き時間20秒、ラミネートプレス時間30秒、気圧4kPa以下、圧着圧力0.4MPaの条件の下、ポリエチレンフィルムを剥離した上記感光性フィルムを積層し、評価用積層体を得た。
【0103】
評価用積層体上に、ネガとして2mm角のパターンを有するフォトツールを密着させ、
株式会社オーク製作所製露光機、商品名:EXM−1201を使用して、ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。次いで、常温(25℃)で1時間静置した後、上記積層体上のポリエチレンテレフタレートを剥離し、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液で、最小現像時間(未露光部が現像される最小時間)の2.0倍の時間でスプレー現像を行い、パターンを形成した。
【0104】
このとき解像性の評価として、φ30μmの未露光部が現像され良好なレジスト形状として開口パターンが得られているものを「3」とし、レジスト形状はオーバーハングであるが、開口パターンが得られているものを「2」、開口パターンが得られなかったものは、「1」とした。結果を表3、表4に示す。
【0105】
[金めっき耐性の評価]
上記の2mm角の開口部を有するソルダーレジストを形成した評価用積層体基板を市販の無電解ニッケル/金めっき液を用いて、ニッケルめっき厚5μm、金めっき厚0.1μmとなるようにめっきを行い、ソルダーレジストの外観を実体顕微鏡で観察し次の基準で評価した。すなわち、開口部周辺にソルダーレジストの白化が認められないものは「3」とし、10μm以下で白化、剥れが発生したものを「2」、白化、剥れが大きく発生したものを「1」とした。結果を表3、表4に示す。
【0106】
[HAST耐性の評価]
12μm厚の銅箔をガラスエポキシ基材に積層したプリント配線板用基板(日立化成工業株式会社、商品名:E−679)の銅表面を、エッチングによりライン/スペースが50μm/50μmのくし型電極に加工し、これを評価基板とした。
【0107】
この評価基板におけるくし型電極上に、上記「現像性とはんだ耐熱性の評価」と同様にしてレジストの硬化物からなるソルダーレジストを形成し(くし型電極部分にソルダーレジストが残るように露光し現像、紫外線照射、加熱処理を行い形成)、その後、130℃、85%RH、20V条件下に100時間晒した。その後、抵抗値の測定とマイグレーションの発生の程度を100倍の金属顕微鏡により観察し、次の基準で評価した。すなわち、抵抗値が1.0×10
10Ω以上が保持されており、ソルダーレジスト膜にマイグレーションが発生しなかったものは「3」とし、抵抗値が1.0×10
10Ω以上が保持されていたが、僅かにマイグレーションが発生したものは「2」、抵抗値が1.0×10
10Ω以下となり、マイグレーションが大きく発生したものは「1」とした。結果を表3、表4に示す。
【0108】
[耐クラック性の評価]
上記「現像性とはんだ耐熱性の評価」と同様にソルダーレジストを形成した評価用積層体基板を、−65℃の大気中に15分間晒した後、180℃/分の昇温速度で昇温し、次いで、150℃の大気中に15分間晒した後、180℃/分の降温速度で降温する熱サイクルを1000回繰り返した。このような環境下に晒した後、評価用積層体基板の永久レジスト膜のクラック及び剥離程度を100倍の金属顕微鏡により観察し、次の基準で評価した。すなわち、2mm角の開口部の10箇所を確認して永久レジスト膜のクラック及び剥離を全く観察できなかったものは「3」とし、10箇所中2箇所以下でクラック及び剥離が観察されたものを「2」、10箇所中3箇所以上でクラック及び剥離が観察されたものを「1」とした。結果を表3、表4に示す。
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】
【0111】
上記の評価結果から、本発明の感光性樹脂組成物は、現像性に優れ、微細な開口パターンが形成可能で、かつ充分なHAST耐性を有し、高耐熱性を得るアルカリ現像が可能であり、この感光性樹脂組成物を用いたドライフィルムタイプの感光性フィルムを提供することができることが確認された。さらに本発明の感光性樹脂組成物は、樹脂の熱膨張係数が小さくTCT(テンパラチャーサイクルテスト)に対しての高いクラック耐性を持った信頼性の高い感光性樹脂組成物、及びそれを用いた感光性フィルムを提供することができることが確認された。