特許第5768991号(P5768991)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5768991
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】新規なシリルイソシアヌレート化合物
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/18 20060101AFI20150806BHJP
   C08G 77/26 20060101ALI20150806BHJP
   G03F 7/11 20060101ALN20150806BHJP
【FI】
   C07F7/18 Q
   C07F7/18 S
   C07F7/18 U
   C08G77/26
   !G03F7/11 503
【請求項の数】1
【全頁数】71
(21)【出願番号】特願2014-190538(P2014-190538)
(22)【出願日】2014年9月18日
(62)【分割の表示】特願2012-500662(P2012-500662)の分割
【原出願日】2011年2月18日
(65)【公開番号】特開2015-51972(P2015-51972A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2014年9月18日
(31)【優先権主張番号】特願2010-34503(P2010-34503)
(32)【優先日】2010年2月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100163360
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 知篤
(72)【発明者】
【氏名】中島 誠
(72)【発明者】
【氏名】菅野 裕太
(72)【発明者】
【氏名】柴山 亘
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−001796(JP,A)
【文献】 特開平11−012544(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/093057(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/104552(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/055598(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 7/18
C08G 77/26
G03F 7/11
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(E−1):
【化1】
(式中、R19はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基を表し、R20は炭素原子数1乃至10のアルキレン基又はスルフィド結合、エーテル結合、若しくはエステル結合を介した炭素原子数2乃至10のアルキレン基を表し、R21及びR22はそれぞれ独立して炭素原子数1乃至3のアルキル基、又はグリシジル基を表す。)で表される加水分解性オルガノシラン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造に使用される基板とレジスト(例えば、フォトレジスト、電子線レジスト)との間に下層膜を形成するための組成物に関する。詳しくは、半導体装置製造のリソグラフィー工程においてフォトレジストの下層に使用される下層膜を形成するためのリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に関する。また、当該下層膜形成組成物を用いたレジストパターンの形成方法に関する。
レジスト下層膜形成組成物は窒素原子上の置換基としてシリル基を含むポリマーを含有し、特にはシリルイソシアヌレートに代表されるポリマーを含む。さらに本発明は該組成物を構成する新規の加水分解性オルガノシラン(シリルイソシアヌレート化合物)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から半導体装置の製造において、フォトレジストを用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。前記微細加工はシリコンウェハー等の半導体基板上にフォトレジストの薄膜を形成し、その上に半導体デバイスに転写するパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線などの活性光線を照射し、現像し、得られたパターンが形成されたフォトレジスト膜を保護膜として基板をエッチング処理することにより、基板表面に、前記パターンに対応する微細凹凸を形成する加工法である。ところが、近年、半導体デバイスの高集積度化が進み、使用される活性光線も紫外線からKrFエキシマレーザー(248nm)、さらにArFエキシマレーザー(193nm)へと短波長化される傾向にある。これに伴い活性光線の半導体基板からの反射の影響が大きな問題となってきた。
【0003】
また、半導体基板とフォトレジストとの間の下層膜として、シリコンやチタン等の金属元素を含むハードマスクとして知られる膜を使用することが行なわれている(例えば、特許文献1参照)。この場合、レジストとハードマスクでは、その構成成分に大きな違いが有るため、それらのドライエッチングによって除去される速度は、ドライエッチングに使用されるガス種に大きく依存する。そして、ガス種を適切に選択することにより、フォトレジストの膜厚の大きな減少を伴うことなく、ハードマスクをドライエッチングによって除去することが可能となる。
このように、近年の半導体装置の製造においては、反射防止効果を初め、さまざまな効果を達成するために、半導体基板とフォトレジストの間にレジスト下層膜が配置されるようになってきている。そして、これまでもレジスト下層膜用の組成物の検討が行なわれてきているが、その要求される特性の多様性などから、レジスト下層膜用の新たな材料の開発が望まれている。
【0004】
また、シアヌール酸を含むポリシロキサン材料から形成される膜のリソグラフィープロセスへの適用について開示されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−258813号公報
【特許文献2】国際公開WO2009/034998号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、半導体装置の製造に用いることのできるリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を提供することにある。詳しくは、ハードマスクとして使用できるレジス
ト下層膜を形成するためのリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を提供することである。また、反射防止膜として使用できるレジスト下層膜を形成するためのリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を提供することである。また、レジストとのインターミキシングを起こさず、レジストに比較して大きなドライエッチング速度を有するリソグラフィー用レジスト下層膜及び該下層膜を形成するためのレジスト下層膜形成組成物を提供することである。さらに本発明は、該組成物の主成分として斯かるレジスト下層膜の形成に特に有用な新規シリルイソシアヌレート化合物の加水分解性オルガノシランを提供することを目的とする。
【0007】
また、パターンの微細化の進行に伴い、基板からの活性光の反射防止のために高屈折率のレジスト下層膜が求められるようになってきた。フェニル基に代表されるようなクロモファーでは高い屈折率が得られるものの活性光の吸収係数が高く、適切な光学定数を調整することができない。一方、イソシアヌレート基は高い屈折率と低い吸収係数のため、光学定数を調整するのが容易であることは既に報告されているが、既報では一分子中にビスシラン構造又はトリスシラン構造を有するシランを用いるためにゲル化し易いという問題があり、安定なポリマーを得ることが難しいといった課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の新規シリルイソシアヌレート化合物である下記式(E−1):
【化1】
(式中、R19はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基を表し、R20は炭素原子数1乃至10のアルキレン基又はスルフィド結合、エーテル結合、若しくはエステル結合を介した炭素原子数2乃至10のアルキレン基を表し、R21及びR22はそれぞれ炭素原子数1乃至3のアルキル基、又はグリシジル基を表す。)で表される加水分解性オルガノシランに関する。
また本発明は、下記第1観点乃至第16観点に示す発明にも関する。
第1観点として、シラン化合物として加水分解性オルガノシラン、その加水分解物、又はその加水分解縮合物を含むリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物であって、該加水分解性オルガノシランとして、下記式(1):
【化2】
〔式中Rは式(2):
【化3】
[式(2)において、Rは水素原子、又は炭素原子数1乃至10のアルキル基、アルケニル基、エポキシ基、スルホニル基、若しくはそれらを含む有機基を表し、Rは炭素原子数1乃至10のアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基、スルフィド結合、エーテル結合、エステル結合、又はそれらの組み合わせを表し、Xは式(3)、式(4)、又は式
(5):
【化4】
(式(3)、式(4)、及び式(5)において、R乃至R10はそれぞれ水素原子、又は炭素原子数1乃至10のアルキル基、アルケニル基、エポキシ基、スルホニル基、若しくはそれらを含む有機基を表す。)を表す。]を表し、且つSi−C結合によりケイ素原子と結合しているものであり、Rはアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、もしくはシアノ基を有する有機基、又はそれらの組み合わせを表し且つSi−C結合によりケイ素原子と結合しているものであり、Rはアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基を表し、aは1の整数を表し、bは0又は1の整数を表し、a+bは1又は2の整数を表す。〕で表される加水分解性オルガノシランを含む組成物、
第2観点として、前記シラン化合物として、式(6):
【化5】
(式中R11はアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、スルホニル基、スルフィド結合、エーテル結合、エステル結合、スルホンアミド基、もしくはシアノ基を有する有機基、又はそれらの組み合わせであり且つSi−C結合によりケイ素原子と結合しているものであり、R12はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基を表し、cは0乃至3の整数を表す。)で表される加水分解性シランと、前記式(1)で表される加水分解性オルガノシランとの組み合わせ、それらの加水分解物、又はそれらの加水分解縮合物を含む第1観点に記載の組成物。
第3観点として、前記シラン化合物として前記式(1)で表される加水分解性オルガノシランの加水分解縮合物、又は前記式(1)で表されるオルガノシランと式(6)で表される加水分解性シランとの加水分解縮合物をポリマーとして含む第1観点又は第2観点に記載の組成物、
第4観点として、更に前記シラン化合物として、前記式(7):
【化6】
(式中R13は環状アミン又はそれを含む有機基を表し、且つSi−N結合又はSi−C結合によりケイ素原子と結合しているものであり、R14はアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、もしくはシアノ基を有する有機基、又はそれらの組み合わせを表し且つSi−C結合によりケイ素原子と結合しているものであり、R15はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基を表し、dは1又は2の整数を表し、eは0又は1の整数を表し、d+eは1又は2の整数を表す。)で表される加水分解性オルガノシラン、その加水分解物、又はその
加水分解縮合物を含む第1観点乃至第3観点のいずれか一つに記載の組成物、
第5観点として、更に前記シラン化合物として、前記式(8):
【化7】
(式中R16はアルコキシフェニル基、アシルオキシフェニル基又はそれを含む有機基を表し、且つSi−C結合によりケイ素原子と結合しているものであり、R17はアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、もしくはシアノ基を有する有機基、又はそれらの組み合わせを表し且つSi−C結合によりケイ素原子と結合しているものであり、R18はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基を表し、R16とR17は互いに環を形成することもでき、fは1又は2の整数を表し、gは0又は1の整数を表し、f+gは1又は2の整数を表す。)で表される加水分解性オルガノシラン、その加水分解物、又はその加水分解縮合物を含む第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載の組成物、
第6観点として、更に酸を含む第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載の組成物、
第7観点として、更に塩を含む第1観点乃至第6観点のいずれか一つに記載の組成物、
第8観点として、更に水を含む第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載の組成物、
第9観点として、更にビスフェノールS、又はその誘導体を含む第1観点乃至第8観点のいずれか一つに記載の組成物、
第10観点として、前記式(1)で表される加水分解性オルガノシランがジアリルイソシアヌレートを含む加水分解性オルガノシランであり、前記式(6)で表される加水分解性シランがテトラアルコキシシランであるところのシラン化合物を少なくとも含む第2観点乃至第9観点のいずれか一つに記載の組成物、
第11観点として、前記式(1)で表される加水分解性オルガノシランがジアリルイソシアヌレートを含む加水分解性オルガノシランであり、前記式(6)で表される加水分解性シランがテトラアルコキシシラン及び置換若しくは非置換のフェニルトリアルコキシシランであるところのシラン化合物を少なくとも含む第2観点乃至第9観点のいずれか一つに記載の組成物、
第12観点として、前記式(1)の加水分解性オルガノシランがジアリルイソシアヌレートを含む加水分解性オルガノシランと、前記式(6)で表される加水分解性シランがテトラアルコキシシランであり、式(8)で表される加水分解性オルガノシランがアルコキシフェニル基を含む加水分解性オルガノシランであるところのシラン化合物を少なくとも含む第4観点乃至第9観点のいずれか一つに記載の組成物、
第13観点として、前記式(1)で表される加水分解性オルガノシランがジアリルイソシアヌレートを含む加水分解性オルガノシランであり、式(6)で表される加水分解性シランがテトラアルコキシシラン及び置換若しくは非置換のフェニルトリアルコキシシランであり、前記式(8)で表される加水分解性オルガノシランがアルコキシフェニル基を含む加水分解性オルガノシランであるところのシラン化合物を少なくとも含む第4観点乃至第9観点のいずれか一つに記載の組成物、
第14観点として、第1観点乃至第13観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成することによって得られるレジスト下層膜、
第15観点として、第1観点乃至第13観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物を半導体基板上に塗布し、焼成してレジスト下層膜を形成する工程、該レジスト下層膜の上にレジスト膜形成組成物を塗布しレジスト膜を形成する工程、該レジスト膜を露光する工程、露光後に該レジスト膜を現像しパターン化されたレジスト膜を得る工程、該パターン化されたレジスト膜によりレジスト下層膜をエッチングしてパターン化する工程、及び該パターン化されたレジスト膜とレジスト下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法、
第16観点として、半導体基板上に有機下層膜を形成する工程、該有機下層膜上に第1
観点乃至第13観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物を塗布し焼成してレジスト下層膜を形成する工程、該レジスト下層膜の上にレジスト膜形成組成物を塗布しレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、露光後に該レジストを現像しパターン化されたレジスト膜を得る工程、該パターン化されたレジスト膜によりレジスト下層膜をエッチングしてパターン化する工程、該パターン化されたレジスト下層膜により有機下層膜をエッチングしてパターン化する工程、及び該パターン化された有機下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のレジスト下層膜はハードマスクとして機能するものであり、前記式(1)で表される加水分解性オルガノシランの構造中のアルコキシ基やアシルオキシ基、ハロゲン基等の加水分解性基は加水分解乃至部分加水分解してシラノール基を形成し、その後にこのシラノール基間の縮合反応によりポリオルガノシロキサン構造のポリマーを形成する。このポリオルガノシロキサン構造はハードマスクとしての十分な機能を有している。
【0010】
また、ポリオルガノシロキサン構造に含まれる結合部位は、炭素−炭素結合よりもハロゲン系ガスによるドライエッチング速度が高い炭素−窒素結合、炭素−酸素結合を有しているので、上層のレジストパターンをこのレジスト下層膜に転写する際に有効である。
【0011】
そして、ポリオルガノシロキサン構造を有する膜(中間膜)は、その下に存在する有機下層膜のエッチングや、基板の加工(エッチング)にハードマスクとして有効である。即ち、基板加工時や有機下層膜のエッチングに用いる酸素系ドライエッチングガスに対して十分な耐ドライエッチング性を有するものである。
即ち、本発明のレジスト下層膜はこれらの上層レジスト膜のドライエッチング速度よりも高いエッチング速度と、基板加工時等の耐ドライエッチング性とを具備することができる。
【0012】
また、本発明のレジスト下層膜形成組成物において、式(1)で表されるイソシアヌレート含有加水分解性オルガノシランを用いることで、ゲル化せずに容易にポリマーを得ることが可能であり、且つ高い屈折率及び低い吸光係数等の光学定数を容易に調整できる。また、イソシアヌレート基は表面改質能が高く、レジスト膜、基板及び基板上の有機下層膜との密着性が高いレジスト下層膜を作成可能である。
さらに、本発明のレジスト下層膜形成組成物から形成されるレジスト下層膜は、半導体装置の製造において、レジスト下層膜として使用することができ、ハードマスクとしての機能の他に反射防止膜としての機能を備えることもできる。
また、本発明のレジスト下層膜形成組成物は、レジストとのインターミキシングをおこさないレジスト下層膜を形成できる。
さらに、本発明の該レジスト下層膜形成組成物を使用することで、微細なパターンを形成するために薄膜のレジスト膜を使用しても基板を良好にパターニングすることができる。
本発明の新規なシリルイソシアヌレート化合物は上記レジスト下層膜形成組成物に適用したとき、得られるレジスト下層膜形成組成物は上述の効果を特に顕著に奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は原料の合成例1で得られたシラン(E−2)のNMRスペクトルを示す図である。
図2図2は原料の合成例2で得られたシラン(E−3)のNMRスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明では基板上にレジスト下層膜を塗布法により形成するか、又は基板上の有機下層膜を介してその上にレジスト下層膜を塗布法により形成し、そのレジスト下層膜上にレジスト膜(例えば、フォトレジスト、電子線レジスト)を形成する。そして、マスクを介して露光し、現像することによりレジスト膜にレジストパターンを形成し、そのレジストパターンの形成されたレジスト膜を用いてレジスト下層膜をドライエッチングしてパターンの転写を行い、そのパターン化されたレジスト下層膜により基板を加工するか、又は有機下層膜をエッチングによりパターンを転写しその有機下層膜により基板の加工を行う。
【0015】
レジスト膜に微細なパターンを形成する上で、パターン倒れを防ぐためにレジスト膜厚が薄くなる傾向がある。レジストの薄膜化によりその下層に存在する膜にレジスト膜のパターンを転写するためのドライエッチングは、上層の膜よりも下層膜のエッチング速度が高くなければパターン転写ができない。本発明では基板上に有機下層膜を介するか、又は有機下層膜を介さずに本願レジスト下層膜(無機系シリコン系化合物含有)を被覆し、その上にレジスト膜(有機レジスト膜)を被覆する。有機系成分の膜と無機系成分の膜はエッチングガスの選択によりドライエッチング速度が大きく異なり、有機系成分の膜は酸素系ガスでドライエッチング速度が高くなり、一方無機系成分の膜はハロゲン含有ガスでドライエッチング速度が高くなる。
例えばレジスト膜にレジストパターンを形成し、その下層に存在している本願レジスト下層膜をハロゲン含有ガスでドライエッチングしてレジスト下層膜にパターンを転写し、そのパターンを転写されたレジスト下層膜を用いてハロゲン含有ガスで基板加工を行う。あるいは、パターンを転写されたレジスト下層膜を用いて、その下層の有機下層膜を酸素系ガスでドライエッチングして有機下層膜にパターン転写を行い、そのパターン転写された有機下層膜を用いて、ハロゲン含有ガスで基板加工を行う。
【0016】
本発明はシラン化合物として加水分解性オルガノシラン、その加水分解物、又はその加水分解縮合物を含み、該シラン化合物が前記式(1)で表される加水分解性オルガノシランであるリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に関する。
【0017】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、該組成物に含まれるシラン化合物全体中のケイ素原子に対して、式(2)で表される部分構造を有するケイ素原子を50モル%未満、例えば0.5乃至30モル%、0.5乃至25モル%、0.5乃至15モル%、又は0.5乃至1モル%の割合で含有することができる。
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、式(1)で表される加水分解性オルガノシラン、その加水分解物、又はその加水分解縮合物と、溶剤とを含む。そして任意成分として酸、水、アルコール、硬化触媒、酸発生剤、他の有機ポリマー、吸光性化合物、及び界面活性剤等を含むことができる。
本発明のレジスト下層膜形成組成物における固形分は、例えば0.1乃至50質量%、0.1乃至30質量%、又は0.1乃至25質量%である。ここで固形分とはレジスト下層膜形成組成物の全成分から溶剤成分を除いた成分である。
固形分中に占める加水分解性オルガノシラン、その加水分解物、及びその加水分解縮合物の割合は、20質量%以上であり、例えば50乃至100質量%、60乃至100質量%、70乃至100質量%である。
【0018】
本発明に用いられる加水分解性オルガノシランは式(1)で表される構造を有する。
式(1)中のRは式(2)で表される構造で表され、且つSi−C結合によりケイ素原子と結合しているものである。そして、Rはアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、もしくはシアノ基を有する有機基、又はそれらの組み合わせであり且つSi−C結合によりケイ素原子と結合しているものである。Rはアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロ
ゲン基を表す。aは1の整数を表し、bは0又は1の整数を表し、(a+b)は1又は2の整数を表す。
【0019】
式(2)において、Rは水素原子、又は炭素原子数1乃至10のアルキル基、アルケニル基、エポキシ基、スルホニル基、若しくはそれらを含む有機基を表し、Rは炭素原子数1乃至10のアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基、スルフィド結合、エーテル結合、エステル結合、又はそれらの組み合わせを表し、Xは式(3)、式(4)、又は式(5)を表すものである。
式(3)、式(4)、及び式(5)において、R乃至R10はそれぞれ水素原子、又は炭素原子数1乃至6のアルキル基、アルケニル基、エポキシ基、スルホニル基、若しくはそれらを含む有機基を表す。
【0020】
上記アルキル基は直鎖又は分枝を有する炭素原子数1乃至10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、1−エチル−n−プロピル基、n−ヘキシル基、1−メチル−n−ペンチル基、2−メチル−n−ペンチル基、3−メチル−n−ペンチル基、4−メチル−n−ペンチル基、1,1−ジメチル−n−ブチル基、1,2−ジメチル−n−ブチル基、1,3−ジメチル−n−ブチル基、2,2−ジメチル−n−ブチル基、2,3−ジメチル−n−ブチル基、3,3−ジメチル−n−ブチル基、1−エチル−n−ブチル基、2−エチル−n−ブチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピル基及び1−エチル−2−メチル−n−プロピル基等が挙げられる。
また上記アルキル基は環状アルキル基を用いることもでき、例えば炭素原子数1乃至10の環状アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、1−メチル−シクロプロピル基、2−メチル−シクロプロピル基、シクロペンチル基、1−メチル−シクロブチル基、2−メチル−シクロブチル基、3−メチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロプロピル基、2,3−ジメチル−シクロプロピル基、1−エチル−シクロプロピル基、2−エチル−シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1−メチル−シクロペンチル基、2−メチル−シクロペンチル基、3−メチル−シクロペンチル基、1−エチル−シクロブチル基、2−エチル−シクロブチル基、3−エチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロブチル基、1,3−ジメチル−シクロブチル基、2,2−ジメチル−シクロブチル基、2,3−ジメチル−シクロブチル基、2,4−ジメチル−シクロブチル基、3,3−ジメチル−シクロブチル基、1−n−プロピル−シクロプロピル基、2−n−プロピル−シクロプロピル基、1−i−プロピル−シクロプロピル基、2−i−プロピル−シクロプロピル基、1,2,2−トリメチル−シクロプロピル基、1,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、2,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、1−エチル−2−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−1−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−2−メチル−シクロプロピル基及び2−エチル−3−メチル−シクロプロピル基等が挙げられる。
また上記炭素原子数1乃至10のアルキレン基は上述のアルキル基から誘導されるアルキレン基を例示することができる。
【0021】
上記アリール基としては炭素原子数6乃至20のアリール基が挙げられ、例えばフェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、o−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、o−フルオロフェニル基、p−メルカプトフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−アミノフェニル基、p−シアノフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、o−ビフ
ェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基及び9−フェナントリル基が挙げられる。
【0022】
上記アルケニル基としては炭素原子数2乃至10のアルケニル基であり、例えばエテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−メチル−1−エテニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−エチルエテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−n−プロピルエテニル基、1−メチル−1−ブテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、2−エチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、1−i−プロピルエテニル基、1,2−ジメチル−1−プロペニル基、1,2−ジメチル−2−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、2−シクロペンテニル、3−シクロペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−メチル−1−ペンテニル基、1−メチル−2−ペンテニル基、1−メチル−3−ペンテニル基、1−メチル−4−ペンテニル基、1−n−ブチルエテニル基、2−メチル−1−ペンテニル基、2−メチル−2−ペンテニル基、2−メチル−3−ペンテニル基、2−メチル−4−ペンテニル基、2−n−プロピル−2−プロペニル基、3−メチル−1−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、3−メチル−3−ペンテニル基、3−メチル−4−ペンテニル基、3−エチル−3−ブテニル基、4−メチル−1−ペンテニル基、4−メチル−2−ペンテニル基、4−メチル−3−ペンテニル基、4−メチル−4−ペンテニル基、1,1−ジメチル−2−ブテニル基、1,1−ジメチル−3−ブテニル基、1,2−ジメチル−1−ブテニル基、1,2−ジメチル−2−ブテニル基、1,2−ジメチル−3−ブテニル基、1−メチル−2−エチル−2−プロペニル基、1−s−ブチルエテニル基、1,3−ジメチル−1−ブテニル基、1,3−ジメチル−2−ブテニル基、1,3−ジメチル−3−ブテニル基、1−i−ブチルエテニル基、2,2−ジメチル−3−ブテニル基、2,3−ジメチル−1−ブテニル基、2,3−ジメチル−2−ブテニル基、2,3−ジメチル−3−ブテニル基、2−i−プロピル−2−プロペニル基、3,3−ジメチル−1−ブテニル基、1−エチル−1−ブテニル基、1−エチル−2−ブテニル基、1−エチル−3−ブテニル基、1−n−プロピル−1−プロペニル基、1−n−プロピル−2−プロペニル基、2−エチル−1−ブテニル基、2−エチル−2−ブテニル基、2−エチル−3−ブテニル基、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル基、1−t−ブチルエテニル基、1−メチル−1−エチル−2−プロペニル基、1−エチル−2−メチル−1−プロペニル基、1−エチル−2−メチル−2−プロペニル基、1−i−プロピル−1−プロペニル基、1−i−プロピル−2−プロペニル、1−メチル−2−シクロペンテニル基、1−メチル−3−シクロペンテニル基、2−メチル−1−シクロペンテニル基、2−メチル−2−シクロペンテニル基、2−メチル−3−シクロペンテニル基、2−メチル−4−シクロペンテニル基、2−メチル−5−シクロペンテニル基、2−メチレン−シクロペンチル基、3−メチル−1−シクロペンテニル基、3−メチル−2−シクロペンテニル基、3−メチル−3−シクロペンテニル基、3−メチル−4−シクロペンテニル基、3−メチル−5−シクロペンテニル基、3−メチレン−シクロペンチル基、1−シクロヘキセニル基、2−シクロヘキセニル基及び3−シクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0023】
上記アラルキル基はアリール基で置換されたアルキル基であり、例えばフェニルで置換された炭素原子数1乃至炭素原子数10のアルキルが挙げられ、具体例としてベンジル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基等が挙げられる。
【0024】
またこれらのフッ素、塩素、臭素、又はヨウ素等のハロゲン原子が置換した有機基が挙げられる。
【0025】
上記エポキシ基を有する有機基としては、グリシドキシメチル基、グリシドキシエチル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシブチル基、エポキシシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0026】
上記アクリロイル基を有する有機基としては、アクリロイルメチル基、アクリロイルエチル基、アクリロイルプロピル基等が挙げられる。
【0027】
上記メタクリロイル基を有する有機基としては、メタクリロイルメチル基、メタクリロイルエチル基、メタクリロイルプロピル基等が挙げられる。
【0028】
上記メルカプト基を有する有機基としては、エチルメルカプト基、ブチルメルカプト基、ヘキシルメルカプト基、オクチルメルカプト基等が挙げられる。
シアノ基を有する有機基としては、シアノエチル基、シアノプロピル基等が挙げられる。
【0029】
上記スルホニル基を有する有機基は、メチルスルホニル基、アリルスルホニル基、フェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0030】
式(1)中のRを表す炭素原子数1乃至20のアルコキシ基としては、炭素原子数1乃至20の直鎖、分岐、環状のアルキル部分を有するアルコキシ基が挙げられる。直鎖又は分岐のアルコキシとしては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチロキシ基、1−メチル−n−ブトキシ基、2−メチル−n−ブトキシ基、3−メチル−n−ブトキシ基、1,1−ジメチル−n−プロポキシ基、1,2−ジメチル−n−プロポキシ基、2,2−ジメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−n−プロポキシ基、n−ヘキシロキシ基、1−メチル−n−ペンチロキシ基、2−メチル−n−ペンチロキシ基、3−メチル−n−ペンチロキシ基、4−メチル−n−ペンチロキシ基、1,1−ジメチル−n−ブトキシ基、1,2−ジメチル−n−ブトキシ基、1,3−ジメチル−n−ブトキシ基、2,2−ジメチル−n−ブトキシ基、2,3−ジメチル−n−ブトキシ基、3,3−ジメチル−n−ブトキシ基、1−エチル−n−ブトキシ基、2−エチル−n−ブトキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1,2,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロポキシ基及び1−エチル−2−メチル−n−プロポキシ基等が、また環状のアルコキシ基としてはシクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、1−メチル−シクロプロポキシ基、2−メチル−シクロプロポキシ基、シクロペンチロキシ基、1−メチル−シクロブトキシ基、2−メチル−シクロブトキシ基、3−メチル−シクロブトキシ基、1,2−ジメチル−シクロプロポキシ基、2,3−ジメチル−シクロプロポキシ基、1−エチル−シクロプロポキシ基、2−エチル−シクロプロポキシ基、シクロヘキシロキシ基、1−メチル−シクロペンチロキシ基、2−メチル−シクロペンチロキシ基、3−メチル−シクロペンチロキシ基、1−エチル−シクロブトキシ基、2−エチル−シクロブトキシ基、3−エチル−シクロブトキシ基、1,2−ジメチル−シクロブトキシ基、1,3−ジメチル−シクロブトキシ基、2,2−ジメチル−シクロブトキシ基、2,3−ジメチル−シクロブトキシ基、2,4−ジメチル−シクロブトキシ基、3,3−ジメチル−シクロブトキシ基、1−n−プロピル−シクロプロポキシ基、2−n−プロピル−シクロプロポキシ基、1−i−プロピル−シクロプロポキシ基、2−i−プロピル−シクロプロポキシ基、1,2,2−トリメチル−シクロプロポキシ基、1,2,3−トリメチル−シクロプロポキシ基、2,2,3−トリメチル−シクロプロポキシ基、1−エチル−2−メチル−シクロプロポキシ基、2−エチル−1−メチル−シクロプロポ
キシ基、2−エチル−2−メチル−シクロプロポキシ基及び2−エチル−3−メチル−シクロプロポキシ基等が挙げられる。
【0031】
式(1)中のRを表す炭素原子数2乃至20のアシルオキシ基は、例えばメチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、i−プロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、i−ブチルカルボニルオキシ基、s−ブチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基、1−メチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2−メチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、3−メチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、2,2−ジメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、n−ヘキシルカルボニルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、3−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、4−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,3−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2,2−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2,3−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、3,3−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1−エチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2−エチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1,2,2−トリメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−2−メチル−n−プロピルカルボニルオキシ、フェニルカルボニルオキシ基及びトシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0032】
式(1)中のRを表すハロゲン基としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0033】
式(1)で表される加水分解性オルガノシランは以下に例示することができる。
【化8】
【化9】
【化10】
【0034】
式(1)で表される加水分解性オルガノシランは、市販品を用いることができるが合成することもできる。
例えば、ジアルケニルシアヌール酸を有するアルコキシシランは、イソシアン酸エステルを塩基性触媒の存在下で反応させて得ることもできる。
【化11】
上記反応においてケイ素含有イソシアン酸エステル中のR23は炭素原子数1乃至6のアルキル基を表し、R24は炭素原子数1乃至6のアルキル基又はフェニル基を表し、R25は炭素原子数2乃至4のアルキレン基を表し、hは0、1又は2の整数であり、他方のイソシアン酸エステル中のR26は炭素原子数2乃至4のアルケニル基を表す。塩基性触媒はMOR27で表され、このR27は水素原子、又はメチル基、エチル基等のアルキル基を表し、Mはリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属を表し、イソシアン
酸エステル混合物の100質量部に0.1乃至5質量部の割合で含有することができる。このアルキル基、アルキレン基は上述の中の例示物の該当炭素原子数の官能基を例示することができる。この反応は無溶媒で行う事もできるが、ベンゼン、ヘキサン、トルエン、ヘプタン等の非極性溶媒中で行うことができる。反応温度は60乃至150℃の範囲で行うことができる。この方法で(3−トリエトキシシリルプロピル)ジアリルイソシアヌレート等を合成することができる。このアルコキシシランは特開平6−1796号に記載の方法に従って合成することができる。
【0035】
例えば、下記(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレートは以下の方法で合成することができる。
【化12】
300mlの3つ口フラスコに、イソシアヌル酸モノアリル30.0g、トリエトシキシラン36.42g、塩化白金酸(VI)水和物0.09g、トルエン100mlを入れ、100℃にて6時間反応を行う。その後、トルエン、過剰に含まれているトリエトキシシランをエバポレーターにより除去を行った。その後、ジクロロメタン100ml、蒸留水50ml×3にて抽出操作を行い、硫酸マグネシウムにて脱水後、エバポレーターにてジクロロメタンを除去し生成物を得ることができる。
イソシアヌル酸モノアリルをイソシアヌル酸ジメチルモノアリルやイソシアヌル酸ジグリシジルモノアリルに代えることにより、(3−トリエトキシシリルプロピル)ジメチルイソシアヌレートや(3−トリエトキシシリルプロピル)ジグリシジルイソシアヌレートを合成することができる。
【0036】
例えば、下記ジアルキルシアヌール酸を有するアルコキシシランは以下の方法で合成することができる。
【化13】
300mlの3つ口フラスコに、イソシアヌル酸ジメチルモノアリル10.00g、(3−メルカプトプロピル)トリエトキシシラン24.18g、アゾビスイソブチロニトリル0.21g、メチルエチルケトン100mlをいれ、95℃にて6時間反応を行う。その後、メチルエチルケトンをエバポレーターにより除去を行う。その後、ジクロロメタン100ml、蒸留水50ml×3にて抽出操作を行い、硫酸マグネシウムにて脱水後、エバポレーターにてジクロロメタンを除去し、粗生成物を得ることができる。得られた粗生成物を蒸留により精製を行い化合物を得ることができる。
【0037】
本発明では式(1)で表される加水分解性オルガノシランと、式(6)で表される加水分解性オルガノシランを併用して使用することができる。
すなわち、式(1)で表される加水分解性オルガノシラン、その加水分解物、又はその加水分解縮合物と、式(6)で表される加水分解性シラン、その加水分解物、又はその加水分解縮合物を併用して使用することができる。
上記の式(1)で表される加水分解性オルガノシランと、式(6)で表される加水分解
性シランとの割合はモル比で1:0乃至1:200の範囲で使用することができる。良好なレジスト形状を得るためには式(1)で表される加水分解性オルガノシランと、式(6)で表される加水分解性シランとの割合はモル比で1:199乃至1:2の範囲で用いることができる。
これらは加水分解縮合物(ポリオルガノシロキサンのポリマー)として使用することが好ましく、式(1)で表される加水分解性オルガノシランと式(6)で表される加水分解性シランとの加水分解縮合物(ポリオルガノシロキサンのポリマー)を用いることが好ましい。
【0038】
式(6)で表される加水分解性シラン中のR11はアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、スルホニル基、スルフィド結合、エーテル結合、エステル結合、スルホンアミド基、もしくはシアノ基を有する有機基、又はそれらの組み合わせであり且つSi−C結合によりケイ素原子と結合しているものであり、R12はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基を表し、cは0乃至3の整数を表す。
【0039】
式(6)中のR11で表されるアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクロロイル基、メルカプト基、スルホンアミド基、もしくはシアノ基を有する有機基、更にはR12で表される加水分解性基に含まれるアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基は、上述式(1)に記載されたものを例示することができる。
上記スルホンアミド基としてはフェニルスルホンアミド基、メチルスルホンアミド基を例示することができる。
【0040】
式(6)で表される加水分解性シランは例えば、テトラメトキシシラン、テトラクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアセチキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアミロキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリベンジルオキシシラン、メチルトリフェネチルオキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、αーグリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノ
キシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルエチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3、3、3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、フェニルスルホニルアミノプロピルトリエトキシシラン、メチルスルホニルアミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルスルホニルアミノプロピルトリメトキシシラン、メチルスルホニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ベンゼンスルホンアミド、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]メタンスルホンアミド、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アリルスルホンアミド、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ビニルスルホンアミド等が挙げられる。
【0041】
また式(6)で表される加水分解性シランは以下の化合物を包含するものである。なお化合物中のR12は式(6)中のR12と同じである。
【化14】
【化15】
【化16】
【0042】
本発明ではシラン化合物として、更に式(7)で表される環状アミノ基を有する加水分解性オルガノシラン、その加水分解物、又は加水分解縮合物を含むことができる。
環状アミノ基を有する加水分解性オルガノシランは、そのケイ素原子が組成物中の全シラン化合物のケイ素原子の1モル%未満、好ましくは0.99乃至0.01モル%となる範囲で用いることができる。
式(7)中、R13は環状アミン又はそれを含む有機基であり、且つSi−N結合又はSi−C結合によりケイ素原子と結合しているものである。式(7)中、R14はアルキ
ル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、もしくはシアノ基を有する有機基、又はそれらの組み合わせであり且つSi−C結合によりケイ素原子と結合しているものである。式(7)中、R15はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基である。dは1又は2の整数を表し、eは0又は1の整数を表し、d+eは1又は2の整数を表す。これらのアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アラルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アシルオキシ基、ハロゲン基等は上述の記載を例示することができる。
【0043】
式(7)で表される加水分解性オルガノシランの具体例は以下に例示することができる。
【化17】
【0044】
本発明ではシラン化合物として、更に式(8)で表されるアルコキシフェニル基もしくはアシルオキシフェニル基を有する加水分解性オルガノシラン、その加水分解物、又はその加水分解縮合物を含むことができる。
アルコキシフェニル基又はアシルオキシフェニル基を有する加水分解性オルガノシランは、そのケイ素原子が全シラン化合物のケイ素原子中の1モル%未満、好ましくは0.9
9乃至0.01モル%の範囲で用いることができる。
式(8)中、R16はアルコキシフェニル基又はアシルオキシフェニル基又はそれを含む有機基であり、且つSi−C結合によりケイ素原子と結合しているものである。式(8)中、R17はアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、もしくはシアノ基を有する有機基、又はそれらの組み合わせであり且つSi−C結合によりケイ素原子と結合しているものである。式(8)中、R18はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基である。式(8)中、R16とR17は互いに環を形成することもできる。fは1又は2の整数を表し、gは0又は1の整数を表し、f+gは1又は2の整数を表す。これらのアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アラルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アシルオキシ基、ハロゲン基等は上述の記載を例示することができる。
【0045】
式(8)で表される加水分解性オルガノシランは以下の化合物を包含するものである。なお化合物中のR18は式(8)中のR18と同じである。
【化18】
【化19】
【0046】
また、式(8)で表される加水分解性オルガノシランの具体例は以下に例示することができる。
【化20】
【化21】
【0047】
本発明の一態様は、式(1)で表される加水分解性オルガノシランがジアリルイソシアヌレートを含む加水分解性オルガノシランであり、式(6)で表される加水分解性シランがテトラアルコキシシランであるところのシラン化合物を少なくとも含む組成物である。
また本発明の一態様は、式(1)で表される加水分解性オルガノシランがジアリルイソシアヌレートを含むシラン化合物であり、式(6)で表される加水分解性オルガノシランがテトラアルコキシシラン及び置換若しくは非置換のフェニルトリアルコキシシランであるところのシラン化合物を少なくとも含む組成物である。
また本発明の一態様は、式(1)で表される加水分解性オルガノシランがジアリルイソシアヌレートを含む加水分解性オルガノシランであり、式(6)で表される加水分解性シランがテトラアルコキシシランであり、式(8)で表される加水分解性オルガノシランがアルコキシフェニル基含む加水分解性オルガノシランであるところのシラン化合物を少なくとも含む組成物である。
また本発明の一態様は、式(1)で表される加水分解性オルガノシランがジアリルイソシアヌレートを含むシラン化合物であり、式(6)で表される加水分解性シランがテトラアルコキシシラン及び置換若しくは非置換のフェニルトリアルコキシシランであり、式(8)で表される加水分解性オルガノシランがアルコキシフェニル基含む加水分解性オルガノシランであるところのシラン化合物を少なくとも含む組成物である。
【0048】
式(1)で表される加水分解性オルガノシランと式(6)で表される加水分解性シランとの加水分解縮合物の具体例は、以下に例示される。
【化22】
【0049】
式(1)で表される加水分解性オルガノシランの加水分解縮合物(ポリオルガノシロキサン)、又は式(1)で表される加水分解性オルガノシランと式(6)で表される加水分解性シランとの加水分解縮合物(ポリオルガノシロキサン)は、重量平均分子量300乃至1000000、300乃至100000、又は300乃至20000の縮合物として得ることができる。これらの分子量はGPC分析によるポリスチレン換算で得られる分子量である。更に式(7)で表される加水分解性オルガノシランの加水分解縮合物や、式(
8)で表される加水分解性オルガノシランの加水分解縮合物を加える場合でも、重量平均分子量300乃至1000000、300乃至100000、又は300乃至20000の縮合物として得ることができる。
GPCの測定条件は、例えばGPC装置(商品名HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)、GPCカラム(商品名ShodexKF803L、KF802、KF801、昭和電工製)、カラム温度は40℃、溶離液(溶出溶媒)はテトラヒドロフラン、流量(流速)は1.0ml/min、標準試料はポリスチレン(昭和電工株式会社製)を用いて行うことができる。
【0050】
上記加水分解性のオルガノシラン又はシラン中のアルコキシシリル基、アシルオキシシリル基、又はハロゲン化シリル基の加水分解には、加水分解性基の1モル当たり、0.5乃至100モル、好ましくは1乃至10モルの水を用いる。
また、加水分解性基の1モル当たり0.001乃至10モル、好ましくは0.001乃至1モルの加水分解触媒を用いることができる。
加水分解と縮合を行う際の反応温度は、通常20乃至120℃である。
加水分解は完全に加水分解を行うことも、部分加水分解することでも良い。即ち、加水分解縮合物中に加水分解物やモノマーが残存していても良い。
加水分解し縮合させる際に触媒を用いることができる。
加水分解触媒としては、金属キレート化合物、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基を挙げることができる。
【0051】
上記加水分解触媒としての金属キレート化合物は、例えばトリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトア
セテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタン、等のチタンキレート化合物;トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、等のジルコニウムキレート化合物;トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物;などを挙げることができる。
【0052】
上記加水分解触媒としての有機酸は、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができる。
【0053】
上記加水分解触媒としての無機酸は、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等を挙げることができる。
【0054】
上記加水分解触媒としての有機塩基は、例えばピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等を挙げることができる。
【0055】
上記加水分解触媒としての無機塩基としては、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。
【0056】
これら触媒の内、金属キレート化合物、有機酸、無機酸が好ましく、これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0057】
上記加水分解に用いられる有機溶媒としては、例えばn−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、i−プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾール等のモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等のケトン系溶媒;エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコ
ール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のエステル系溶媒;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等の含窒素系溶媒;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトン等の含硫黄系溶媒等を挙げることができる。これらの溶剤は1種又は2種以上の組み合わせで用いることができる。
例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートが好ましい。
【0058】
また、アセトンなどのケトン類やテトラヒドロフランなどの非アルコール系の極性溶媒が好ましく、本発明に用いられる式(1)の加水分解性オルガノシラン(加水分解中シランの分子中の加水分解基が2乃至3個を有するシラン)を原料に用いる場合には好ましい。しかし、分子中の加水分解基を5個乃至9個有する加水分解性オルガノシランでは、この様なアセトン溶媒では加水分解と縮合が進み過ぎゲル化を生じやすい。
【0059】
加水分解性オルガノシランを溶剤中で触媒を用いて加水分解し縮合し、得られた加水分解縮合物(ポリマー)の溶液から減圧蒸留等により副生成物のアルコールや用いた加水分解触媒や水を同時に除去することができる。また、加水分解に用いた酸や塩基触媒を中和やイオン交換により取り除くことができる。そして、その加水分解縮合物を含む本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物には安定化のために酸(有機酸)、塩、水、アルコール、又はそれらの組み合わせを添加することができる。
【0060】
上記有機酸としては、例えばシュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、フタル酸、クエン酸、グルタル酸、クエン酸、乳酸、サリチル酸等が挙げられる。中でも、シュウ酸、マレイン酸等が好ましい。加える有機酸は縮合物(
ポリオルガノシロキサン)100質量部に対して0.5乃至5.0質量部である。また加える水としては純水、超純水、イオン交換水等を用いることができ、その添加量はレジスト下層膜形成組成物100質量部に対して1乃至20質量部とすることができる。
【0061】
また、添加剤としてビスフェノールS、又はビスフェノールS誘導体を添加することができる。ビスフェノールS、又はビスフェノールS誘導体はポリオルガノシロキサン100質量部に対して、0.01乃至20質量部、又は0.01乃至10質量部、又は0.01乃至5質量部である。
好ましいビスフェノールS、又はビスフェノールS誘導体は以下に例示される。
【化23】
【0062】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は塩を含有することができる。塩は、加水分解縮合物からなるポリオルガノシロキサンを含有する塗布膜を加熱し硬化させるときに硬化触媒の働きをする。
塩としては、アンモニウム塩、ホスフィン類、ホスホニウム塩、スルホニウム塩を用いることができる。
【0063】
アンモニウム塩としては、式(D−1):
【化24】
(但し、mは2乃至11、nは2乃至3の整数を、R28はアルキル基又はアリール基を、Yは陰イオンを表す。)で表される構造を有する第4級アンモニウム塩、
式(D−2):
【化25】
(但し、R29、R30、R31及びR32はそれぞれ独立してアルキル基又はアリール基を、Nは窒素原子を、Yは陰イオンを表し、且つR29、R30、R31及びR32はそれぞれ独立してC−N結合により窒素原子と結合されているものを表す。)で表される構造を有する第4級アンモニウム塩、
式(D−3):
【化26】
(但し、R33及びR34はそれぞれ独立してアルキル基又はアリール基を、Yは陰イオンを表す。)で表される構造を有する第4級アンモニウム塩、
式(D−4):
【化27】
(但し、R35はアルキル基又はアリール基を、Yは陰イオンを表す。)で表される構造を有する第4級アンモニウム塩、
式(D−5):
【化28】
(但し、R36及びR37はそれぞれ独立してアルキル基又はアリール基を、Yは陰イオンを表す。)で表される構造を有する第4級アンモニウム塩、
式(D−6):
【化29】
(但し、oは2乃至11、pは2乃至3の整数を、Hは水素原子を、Yは陰イオンを表す)で表される構造を有する第3級アンモニウム塩が挙げられる。
【0064】
また、ホスホニウム塩としては、式(D−7):
【化30】
(但し、R38、R39、R40、及びR41はそれぞれ独立してアルキル基又はアリール基を、Pはリン原子を、Yは陰イオンを表し、且つR38、R39、R40、及びR41はそれぞれC−P結合によりリン原子と結合されているものを表す。)で表される第4級ホスホニウム塩が挙げられる。
【0065】
また、スルホニウム塩としては、式(D−8):
【化31】
(但し、R42、R43、及びR44はそれぞれ独立してアルキル基又はアリール基を、Sは硫黄原子を、Yは陰イオンを表し、且つR42、R43、及びR44はそれぞれC−S結合により硫黄原子と結合されているものを表す。)で表される第3級スルホニウム塩が挙げられる。
【0066】
上記の式(D−1)で表される化合物は、アミンから誘導される第4級アンモニウム塩であり、mは2乃至11、nは2乃至3の整数を表す。この第4級アンモニウム塩のR28は炭素原子数1乃至18、好ましくは2乃至10のアルキル基又は炭素原子数6乃至18、好ましくは6乃至10のアリール基を表し、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基等の直鎖アルキル基や、ベンジル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ジシクロペンタジエニル基等が挙げられる。また陰イオン(Y)としては、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO)、スルホナト(−SO)、アルコラート(−O)等の酸基を挙げることができる。
【0067】
上記の式(D−2)で表される化合物は、R29303132で表され
る第4級アンモニウム塩である。この第4級アンモニウム塩のR29、R30、R31及びR32はそれぞれ独立して炭素原子数1乃至18のアルキル基又は炭素原子数6乃至18アリール基、又はSi−C結合によりケイ素原子と結合しているシラン化合物を表す。陰イオン(Y)としては、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO)、スルホナト(−SO)、アルコラート(−O)等の酸基を挙げることができる。この第4級アンモニウム塩は、市販品で入手する事が可能であり、例えばテトラメチルアンモニウムアセテート、テトラブチルアンモニウムアセテート、塩化トリエチルベンジルアンモニウム、臭化トリエチルベンジルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化トリブチルベンジルアンモニウム、塩化トリメチルベンジルアンモニウム等が例示される。
【0068】
上記の式(D−3)で表される化合物は、1−置換イミダゾールから誘導される第4級アンモニウム塩であり、R33及びR34はそれぞれ独立して炭素原子数1乃至18のアルキル基又は炭素原子数6乃至18のアリール基を表し、R33及びR34の炭素原子数の総和が7以上で有ることが好ましい。例えばR33としてはメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、ベンジル基を、R34としてはベンジル基、オクチル基、オクタデシル基を例示する事ができる。陰イオン(Y)としては、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO)、スルホナト(−SO)、アルコラート(−O)等の酸基を挙げることができる。この化合物は、市販品で入手する事もできるが、例えば1−メチルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール等のイミダゾール系化合物と、臭化ベンジル、臭化メチル等のハロゲン化アルキルやハロゲン化アリールとを反応させて製造する事ができる。
【0069】
上記の式(D−4)で表される化合物は、ピリジンから誘導される第4級アンモニウム塩であり、R35は炭素原子数1乃至18、好ましくは炭素原子数4乃至18のアルキル基又は炭素原子数6乃至18のアリール基を表し、例えばブチル基、オクチル基、ベンジル基、ラウリル基を例示する事ができる。陰イオン(Y)としては、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO)、スルホナト(−SO)、アルコラート(−O)等の酸基を挙げることができる。この化合物は、市販品として入手する事もできるが、例えばピリジンと、塩化ラウリル、塩化ベンジル、臭化ベンジル、臭化メチル、臭化オクチル等のハロゲン化アルキル、又はハロゲン化アリールとを反応させて製造する事ができる。この化合物は例えば、塩化N−ラウリルピリジニウム、臭化N−ベンジルピリジニウム等を例示する事ができる。
【0070】
上記の式(D−5)で表される化合物は、ピコリン等に代表される置換ピリジンから誘導される第4級アンモニウム塩であり、R36は炭素原子数1乃至18、好ましくは4乃至18のアルキル基又は炭素原子数6乃至18のアリール基を表し、例えばメチル基、オクチル基、ラウリル基、ベンジル基等を例示する事ができる。R37は炭素原子数1乃至18のアルキル基又は炭素原子数6乃至18のアリール基を表し、例えばピコリンから誘導される第4級アンモニウムである場合はR37はメチル基を表す。陰イオン(Y)としては、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO)、スルホナト(−SO)、アルコラート(−O)等の酸基を挙げることができる。この化合物は市販品として入手する事もできるが、例えばピコリン等の置換ピリジンと、臭化メチル、臭化オクチル、塩化ラウリル、塩化ベンジル、臭化ベンジル等のハロゲン化アルキル、又はハロゲン化アリールとを反応させて製造する事ができる。この化合物としては例えば、N−ベンジルピコリニウムクロライド、N−ベンジルピコリニウムブロマイド、N−ラウリルピコリニウムクロライド等を例示することができる。
【0071】
上記の式(D−6)で表される化合物は、アミンから誘導される第3級アンモニウム塩であり、oは2乃至11、pは2乃至3の整数を表す。また陰イオン(Y)としては、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO)、スルホナト(−SO)、アルコラート(−O)等の酸基を挙げることができる。アミンとカルボン酸やフェノール等の弱酸との反応によって製造する事ができる。カルボン酸としてはギ酸や酢酸が挙げられ、ギ酸を使用した場合は、陰イオン(Y)は(HCOO)であり、酢酸を使用した場合は、陰イオン(Y)は(CHCOO)である。またフェノールを使用した場合は、陰イオン(Y)は(C)である。
【0072】
上記の式(D−7)で表される化合物は、R38394041の構造を有する第4級ホスホニウム塩である。R38、R39、R40、及びR41はそれぞれ独立して炭素原子数1乃至18のアルキル基又は炭素原子数6乃至18のアリール基、又はSi−C結合によりケイ素原子と結合しているシラン化合物を表すが、好ましくはR38乃至R41の4つの置換基の内で3つがフェニル基又は置換されたフェニル基を表し、例えばフェニル基やトリル基を例示する事ができ、また残りの1つは炭素原子数1乃至18のアルキル基、アリール基、又はSi−C結合によりケイ素原子と結合しているシラン化合物を表す。また陰イオン(Y)としては、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO)、スルホナト(−SO)、アルコラート(−O)等の酸基を挙げることができる。
【0073】
この化合物は市販品として入手する事が可能であり、例えばハロゲン化テトラn−ブチルホスホニウム、ハロゲン化テトラn−プロピルホスホニウム等のハロゲン化テトラアルキルホスホニウム、ハロゲン化トリエチルベンジルホスホニウム等のハロゲン化トリアルキルベンジルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルメチルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルエチルホスホニウム等のハロゲン化トリフェニルモノアルキルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルベンジルホスホニウム、ハロゲン化テトラフェニルホスホニウム、ハロゲン化トリトリルモノアリールホスホニウム、或いはハロゲン化トリトリルモノアルキルホスホニウム(ハロゲン原子は塩素原子又は臭素原子)が挙げられる。特に、ハロゲン化トリフェニルメチルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルエチルホスホニウム等のハロゲン化トリフェニルモノアルキルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルベンジルホスホニウム等のハロゲン化トリフェニルモノアリールホスホニウム、ハロゲン化トリトリルモノフェニルホスホニウム等のハロゲン化トリトリルモノアリールホスホニウムや、ハロゲン化トリトリルモノメチルホスホニウム等のハロゲン化トリトリルモノアルキルホスホニウム(ハロゲン原子は塩素原子又は臭素原子)が好ましい。
【0074】
また、ホスフィン類としては、メチルホスフィン、エチルホスフィン、プロピルホスフィン、イソプロピルホスフィン、イソブチルホスフィン、フェニルホスフィン等の第一ホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジイソプロピルホスフィン、ジイソアミルホスフィン、ジフェニルホスフィン等の第二ホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン等の第三ホスフィンが挙げられる。
【0075】
上記の式(D−8)で表される化合物は、R424344の構造を有する第3級スルホニウム塩である。R42、R43、及びR44はそれぞれ独立して炭素原子数1乃至18のアルキル基又は炭素原子数6乃至18のアリール基、又はSi−C結合によりケイ素原子と結合しているシラン化合物を表すが、好ましくはR42乃至R44の4つの置換基の内で3つがフェニル基又は置換されたフェニル基を表し、例えばフェニル基やトリル基を例示する事ができ、また残りの1つは炭素原子数1乃至18のアルキル基、又は炭素原子数6乃至18のアリール基を表す。また陰イオン(Y)としては、塩素イ
オン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO)、スルホナト(−SO)、アルコラート(−O)等の酸基を挙げることができる。これらのアルキル基、アリール基は上述の中の例示物の該当炭素原子数の官能基を例示することができる。
【0076】
この化合物は市販品として入手する事が可能であり、例えばハロゲン化トリn−ブチルスルホニウム、ハロゲン化トリn−プロピルスルホニウム等のハロゲン化テトラアルキルスルホニウム、ハロゲン化ジエチルベンジルスルホニウム等のハロゲン化トリアルキルベンジルスルホニウム、ハロゲン化ジフェニルメチルスルホニウム、ハロゲン化ジフェニルエチルスルホニウム等のハロゲン化ジフェニルモノアルキルスルホニウム、ハロゲン化トリフェニルスルホニウム、(ハロゲン原子は塩素原子又は臭素原子)、トリn−ブチルスルホニウムカルボキシラート、トリn−プロピルスルホニウムカルボキシラート等のテトラアルキルホスフォニウムカルボキシラート、ジエチルベンジルスルホニウムカルボキシラート等のトリアルキルベンジルスルホニウムカルボキシラート、ジフェニルメチルスルホニウムカルボキシラート、ジフェニルエチルスルホニウムカルボキシラート等のジフェニルモノアルキルスルホニウムカルボキシラート、トリフェニルスルホニウムカルボキシラート、が挙げられる。特に、ハロゲン化トリフェニルスルホニウム、トリフェニルスルホニウムカルボキシラートが好ましい。
【0077】
塩はポリオルガノシロキサン100質量部に対して、0.01乃至10質量部、又は0.01乃至5質量部、又は0.01乃至3質量部である。
【0078】
本発明のリソグラフィー用下層膜形成組成物は、上記の成分の他、必要に応じて有機ポリマー化合物、光酸発生剤及び界面活性剤等を含むことができる。
有機ポリマー化合物を使用することにより、本発明のリソグラフィー用下層膜形成組成物から形成されるレジスト下層膜のドライエッチング速度(単位時間当たりの膜厚の減少量)、減衰係数及び屈折率等を調整することができる。
有機ポリマー化合物としては特に制限はなく、種々の有機ポリマーを使用することができる。縮重合ポリマー及び付加重合ポリマー等を使用することができる。例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ポリビニルエーテル、フェノールノボラック、ナフトールノボラック、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート等の付加重合ポリマー及び縮重合ポリマーを使用することができる。吸光部位として機能するベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、トリアジン環、キノリン環、及びキノキサリン環等の芳香環構造を有する有機ポリマーが好ましく使用される。
【0079】
そのような有機ポリマー化合物としては、例えば、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、スチレン、ヒドロキシスチレン、ベンジルビニルエーテル及びN−フェニルマレイミド等の付加重合性モノマーをその構造単位として含む付加重合ポリマーや、フェノールノボラック及びナフトールノボラック等の縮重合ポリマーが挙げられる。
【0080】
上記有機ポリマー化合物として付加重合ポリマーが使用される場合、そのポリマー化合物は単独重合体でもよく共重合体であってもよい。付加重合ポリマーの製造には付加重合性モノマーが使用される。そのような付加重合性モノマーとしてはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、アクリルアミド化合物、メタクリルアミド化合物、ビニル化合物、スチレン化合物、マレイミド化合物、マレイン酸無水物、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0081】
上記アクリル酸エステル化合物としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ノルマルヘキシルアクリレート、イソプロピルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2−トリクロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、5−アクリロイルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン及びグリシジルアクリレート等が挙げられる。
【0082】
上記メタクリル酸エステル化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ノルマルヘキシルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,2−トリクロロエチルメタクリレート、2−ブロモエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、5−メタクリロイルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、グリシジルメタクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート及びブロモフェニルメタクリレート等が挙げられる。
【0083】
上記アクリルアミド化合物としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド及びN−アントリルアクリルアミド等が挙げられる。
【0084】
上記メタクリルアミド化合物、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド及びN−アントリルアクリルアミド等が挙げられる。
【0085】
上記ビニル化合物としては、ビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ビニル酢酸、ビニルトリメトキシシラン、2−クロロエチルビニルエーテル、2−メトキシエチルビニルエーテル、ビニルナフタレン及びビニルアントラセン等が挙げられる。
【0086】
上記スチレン化合物としては、スチレン、ヒドロキシスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メトキシスチレン、シアノスチレン及びアセチルスチレン等が挙げられる。
【0087】
上記マレイミド化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド及びN−ヒドロキシエチルマレイミド等が挙げられる。
【0088】
上記有機ポリマー化合物として縮重合ポリマーが使用される場合、そのようなポリマーとしては、例えば、グリコール化合物とジカルボン酸化合物との縮重合ポリマーが挙げられる。グリコール化合物としてはジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ブチレングリコール等が挙げられる。
【0089】
上記ジカルボン酸化合物としては、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、無水マレイ
ン酸等が挙げられる。また、例えば、ポリピロメリットイミド、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミドが挙げられる。
【0090】
上記有機ポリマー化合物にヒドロキシル基が含有されている場合は、このヒドロキシル基はポリオルガノシロキサンと架橋反応を形成することができる。
有機ポリマー化合物としては、重量平均分子量が、例えば1000乃至1000000であり、又は3000乃至300000であり、又は5000乃至200000であり、又は10000乃至100000であるポリマー化合物を使用することができる。
有機ポリマー化合物は一種のみを使用することができ、又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
有機ポリマー化合物が使用される場合、その割合としては、縮合物(ポリオルガノシロキサン)100質量部に対して、1乃至200質量部、又は5乃至100質量部、又は10乃至50質量部、又は20乃至30質量部である。
【0091】
本発明のレジスト下層膜形成組成物では酸発生剤を含有することができる。
酸発生剤としては、熱酸発生剤や光酸発生剤が挙げられる。
上記光酸発生剤は、レジストの露光時に酸を生ずる。そのため、下層膜の酸性度の調整ができる。これは、下層膜の酸性度を上層のレジストとの酸性度に合わせるための一方法である。また、下層膜の酸性度の調整によって、上層に形成されるレジストのパターン形状の調整ができる。
本発明のレジスト下層膜形成組成物に含まれる光酸発生剤としては、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、及びジスルホニルジアゾメタン化合物等が挙げられる。
【0092】
上記オニウム塩化合物としてはジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフエート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロノルマルブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロノルマルオクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート及びビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート等のヨードニウム塩化合物、及びトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロノルマルブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート及びトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のスルホニウム塩化合物等が挙げられる。
【0093】
上記スルホンイミド化合物としては、例えばN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロノルマルブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド及びN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタルイミド等が挙げられる。
【0094】
上記ジスルホニルジアゾメタン化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、及びメチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタン等が挙げられる。
【0095】
上記光酸発生剤は一種のみを使用することができ、又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
光酸発生剤が使用される場合、その割合としては、縮合物(ポリオルガノシロキサン)100質量部に対して、0.01乃至5質量部、又は0.1乃至3質量部、又は0.5乃
至1質量部である。
【0096】
上記界面活性剤は、本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を基板に塗布した際に、ピンホール及びストレーション等の発生を抑制するのに有効である。
本発明のレジスト下層膜形成組成物に含まれる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフエノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロツクコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、商品名エフトップEF301、EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製)、商品名メガファック(登録商標)F171、F173、R−08、R−30(DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、商品名アサヒガード(登録商標)AG710,サーフロン(登録商標)S−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、及びオルガノシロキサンポリマ−KP341(信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は単独で使用してもよいし、また二種以上の組み合わせで使用することもできる。界面活性剤が使用される場合、その割合としては、縮合物(ポリオルガノシロキサン)100質量部に対して0.0001乃至5質量部、又は0.001乃至3質量部、又は0.01乃至0.5質量部である。
【0097】
また、本発明のレジスト下層膜形成組成物には、レオロジー調整剤及び接着補助剤等を添加することができる。レオロジー調整剤は、下層膜形成組成物の流動性を向上させるのに有効である。接着補助剤は、半導体基板又はレジストと下層膜の密着性を向上させるのに有効である。
【0098】
上記レオロジー調整剤としては、レオロジー調整剤としては、例えばジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジノルマルブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、ジノニルマレート等のマレイン酸誘導体、メチルオレート、ブチルオレート、テトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体、またはノルマルブチルステアレート、グリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体を挙げることができる。これらのレオロジー調整剤は、レジスト下層膜形成組成物の全組成物100質量%に対して通常30質量%未満の割合で配合される。
【0099】
上記接着補助剤としては、例えば、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類、ビニルトリクロロシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン類、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン等の複素環式化合物、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア等の尿素又はチオ尿素化合物を挙げることができる。接着補助剤は、レジスト下層膜形成組成物の全組成物100質量%に対して通常5質量%未満、好ましくは2質量%未満の割合で配合される。
【0100】
本発明のレジスト下層膜形成組成物に使用される溶剤としては、前記の固形分を溶解できる溶剤であれば、特に制限なく使用することができる。そのような溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエテルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン、N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、メチルイソブチルカルビノール、及びγ−ブチロラクトン等を挙げることができる。これらの溶剤は単独で、又は二種以上の組み合わせで使用することができる。
【0101】
以下、本発明のレジスト下層膜形成組成物の使用について説明する。
半導体装置の製造に使用される基板(例えば、シリコンウェハー基板、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、ガラス基板、ITO基板、ポリイミド基板、及び低誘電率材料(low−k材料)被覆基板等)の上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明のレジスト下層膜形成組成物が塗布され、その後、焼成することによりレジスト下層膜が形成される。焼成する条件としては、焼成温度80乃至500℃、又は80℃乃至250℃、焼成時間0.3乃至60分間の中から適宜、選択される。好ましくは、焼成温度150℃乃至500℃、焼成時間0.5乃至2分間である。ここで、形成される下層膜の膜厚としては、例えば、10乃至1000nmであり、又は20乃至500nmであり、又は50乃至300nmであり、又は100乃至200nm、又は10乃至100nmである。
【0102】
次いでそのレジスト下層膜の上に、例えばフォトレジスト膜が形成される。フォトレジスト膜の形成は、周知の方法、すなわち、フォトレジスト組成物溶液の下層膜上への塗布及び焼成によって行うことができる。フォトレジスト膜の膜厚としては例えば50乃至10000nmであり、又は100乃至2000nmであり、又は200乃至1000nm、又は30乃至200nmである。
【0103】
本発明では基板上に有機下層膜を成膜した後、この上に本発明のレジスト下層膜を成膜し、更にその上にフォトレジスト膜を形成することができる。これにより微細なパターン加工のためにフォトレジスト膜のパターン幅が狭くなり、パターン倒れを防ぐ為にフォトレジスト膜を薄く被覆した場合でも、適切なエッチングガスを選択することにより基板の加工が可能になる。例えば、フォトレジストに対して十分に早いエッチング速度となるフッ素系ガスをエッチングガスとして本発明のレジスト下層膜の加工が可能であり、また本発明のレジスト下層膜に対して十分に早いエッチング速度となる酸素系ガスをエッチングガスとして有機下層膜の加工が可能であり、更に有機下層膜に対して十分に早いエッチング速度となるフッ素系ガスをエッチングガスとして基板の加工を行うことができる。
【0104】
本発明のレジスト下層膜の上に形成される膜のフォトレジストとしては露光に使用される光に感光するものであれば特に限定はない。ネガ型フォトレジスト及びポジ型フォトレジストのいずれも使用できる。ノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤とからなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物とアルカリ可溶性バインダーと光酸発生剤とからなる化学増幅型フォトレジスト、及び酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤とからなる化学増幅型フォトレジストなどがある。例えば、シプレー社製商品名APEX−E、住友化学工業(株)製商品名PAR710、及び信越化学工業(株)製商品名SEPR430等が挙げられる。また、例えば、Proc.SPIE,Vol.3999,330−334(2000)、Proc.SPIE,Vol.3999,357−364(2000)、やProc.SPIE,Vol.3999,365−374(2000)に記載されているような、含フッ素原子ポリマー系フォトレジストを挙げることができる。
【0105】
次に、所定のマスクを通して露光が行なわれる。露光には、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)及びF2エキシマレーザー(波長157nm)等を使用することができる。露光後、必要に応じて露光後加熱(post exposure bake)を行うこともできる。露光後加熱は、加熱温度70℃乃至150℃、加熱時間0.3乃至10分間から適宜、選択された条件で行われる。
【0106】
また、本発明ではレジストとしてフォトレジストに代えて電子線リソグラフィー用レジ
ストを用いることができる。電子線レジストとしてはネガ型、ポジ型いずれも使用できる。酸発生剤と酸により分解してアルカリ溶解速度を変化させる基を有するバインダーからなる化学増幅型レジスト、アルカリ可溶性バインダーと酸発生剤と酸により分解してレジストのアルカリ溶解速度を変化させる低分子化合物とからなる化学増幅型レジスト、酸発生剤と酸により分解してアルカリ溶解速度を変化させる基を有するバインダーと酸により分解してレジストのアルカリ溶解速度を変化させる低分子化合物とからなる化学増幅型レジスト、電子線によって分解してアルカリ溶解速度を変化させる基を有するバインダーからなる非化学増幅型レジスト、電子線によって切断されアルカリ溶解速度を変化させる部位を有するバインダーからなる非化学増幅型レジストなどがある。これらの電子線レジストを用いた場合も照射源を電子線としてフォトレジストを用いた場合と同様にレジスト膜にレジストパターンを形成することができる。
【0107】
次いで、現像液によって現像が行なわれる。これにより、例えばポジ型フォトレジストが使用された場合は、露光された部分のフォトレジスト膜が除去され、フォトレジストパターンが形成される。
【0108】
現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリンなどの水酸化四級アンモニウムの水溶液、エタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミンなどのアミン水溶液等のアルカリ性水溶液を例として挙げることができる。さらに、これらの現像液に界面活性剤などを加えることもできる。現像の条件としては、温度5乃至50℃、時間10乃至600秒から適宜選択される。
【0109】
そして、このようにしてパターンの形成されたフォトレジスト膜(上層)を保護膜として本発明のレジスト下層膜(中間層)を除去してパターン化が行われ、次いでパターン化されたフォトレジスト膜(上層)及び本発明のレジスト下層膜(中間層)からなる膜を保護膜として、有機下層膜(下層)を除去してパターン化が行われる。最後に、パターン化された本発明のレジスト下層膜(中間層)及び有機下層膜(下層)を保護膜として、半導体基板の加工が行なわれる。
また、基板上に有機下層膜を形成していない場合は、パターン化されたフォトレジスト及び本発明のレジスト下層膜(中間層)からなる膜を保護膜として、半導体基板の加工が行なわれる。
【0110】
フォトレジスト膜がパターン化された後、まず、フォトレジスト膜が除去された部分の本発明のレジスト下層膜(中間層)をドライエッチングによって取り除き、有機下層膜(下層)を露出させる。本発明のレジスト下層膜のドライエッチングにはテトラフルオロメタン(CF)、パーフルオロシクロブタン(C)、パーフルオロプロパン(C)、トリフルオロメタン、一酸化炭素、アルゴン、酸素、窒素、六フッ化硫黄、ジフルオロメタン、三フッ化窒素及び三フッ化塩素、塩素、トリクロロボラン及びジクロロボラン等のガスを使用することができる。レジスト下層膜のドライエッチングにはハロゲン系ガスを使用することが好ましい。ハロゲン系ガスによるドライエッチングでは、基本的に有機物質からなるフォトレジスト膜及び有機下層膜は除去されにくい。それに対し、ケイ素原子を多く含む本発明のレジスト下層膜はハロゲン系ガスによって速やかに除去される。そのため、レジスト下層膜のドライエッチングに伴うフォトレジストの膜厚の減少を抑えることができる。そして、その結果、フォトレジストを薄膜で使用することが可能となる。
レジスト下層膜のドライエッチングはフッ素系ガスによることが好ましく、フッ素系ガスとしては、例えば、テトラフルオロメタン(CF)、パーフルオロシクロブタン(C)、パーフルオロプロパン(C)、トリフルオロメタン、及びジフルオロメタン(CH)等が挙げられる。
【0111】
その後、パターン化されたフォトレジスト膜及び本発明のレジスト下層膜からなる膜を保護膜として有機下層膜の除去が行われる。有機下層膜(下層)は酸素系ガスによるドライエッチングによって行なわれることが好ましい。ケイ素原子を多く含む本発明のレジスト下層膜は、酸素系ガスによるドライエッチングでは除去されにくいからである。
【0112】
最後に、半導体基板の加工が行なわれる。半導体基板の加工はフッ素系ガスによるドライエッチングによって行なわれることが好ましい。
フッ素系ガスとしては、例えば、テトラフルオロメタン(CF)、パーフルオロシクロブタン(C)、パーフルオロプロパン(C)、トリフルオロメタン、及びジフルオロメタン(CH)等が挙げられる。
【0113】
また、本発明のレジスト下層膜の上層には、フォトレジスト膜の形成前に有機系の反射防止膜を形成することができる。そこで使用される反射防止膜組成物としては特に制限はなく、これまでリソグラフィープロセスにおいて慣用されているものの中から任意に選択して使用することができる。また、慣用されている方法、例えば、スピナー、コーターによる塗布及び焼成によって反射防止膜の形成を行うことができる。
また、本発明のレジスト下層膜形成組成物が塗布される基板は、その表面にCVD法などで形成された有機系又は無機系の反射防止膜を有するものであってもよく、その上に本発明の下層膜を形成することもできる。
【0114】
本発明のレジスト下層膜形成組成物より形成されるレジスト下層膜は、また、リソグラフィープロセスにおいて使用される光の波長によっては、その光に対する吸収を有することがある。そして、そのような場合には、基板からの反射光を防止する効果を有する反射防止膜として機能することができる。さらに、本発明の下層膜は、基板とフォトレジストとの相互作用の防止するための層、フォトレジストに用いられる材料又はフォトレジストへの露光時に生成する物質の基板への悪作用を防ぐ機能とを有する層、加熱焼成時に基板から生成する物質の上層フォトレジストへの拡散を防ぐ機能を有する層、及び半導体基板誘電体層によるフォトレジスト層のポイズニング効果を減少させるためのバリア層等として使用することも可能である。
また、レジスト下層膜形成組成物より形成されるレジスト下層膜は、デュアルダマシンプロセスで用いられるビアホールが形成された基板に適用され、ホールを隙間なく充填することができる埋め込み材として使用できる。また、凹凸のある半導体基板の表面を平坦化するための平坦化材として使用することもできる。
【0115】
また、本発明は、原料として用いられる下記式(E−1):
【化32】
(式中、R19はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基である。R20は炭素原子数1乃至10のアルキレン基又はスルフィド結合、エーテル結合、若しくはエステル結合を介した炭素原子数2乃至10のアルキレン基である。R21及びR22はそれぞれ炭素原子数1乃至3のアルキル基、又はグリシジル基である。)で表される新規化合物に関する。
19は上述のアルコキシ基、アシルオキシ基、及びハロゲン基を表すことができ、特にメトキシ基又はエトキシ基が好ましい。R20の炭素原子数1乃至10のアルキレン基
は上述の炭素原子数1乃至10のアルキル基に対応するアルキレン基を例示することができ、特にプロピレン基が好ましい。R21及びR22の炭素原子数1乃至3のアルキル基はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を例示することができる。
【0116】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0117】
(原料の合成例1)
300mlの3つ口フラスコに、イソシアヌル酸モノアリル30.0g(0.1774mol)、トリエトキシシラン36.42g(0.2217mol、ビニル基1モルに対して1.25当量)、塩化白金酸(VI)水和物0.09g、トルエン100mlを入れ、100℃にて6時間反応を行った。その後、トルエン、過剰に含まれているトリエトキシシランをエバポレーターにより除去した。その後、ジクロロメタン100ml、蒸留水50ml×3にて抽出操作を行い、硫酸マグネシウムにて脱水後、エバポレーターにてジクロロメタンを除去し、粗生成物を得た。得られた粗生成物を蒸留により精製を行い、目的物である式(E−2)で表される化合物を得た。
得られた化合物に関しては、H−NMR測定により同定を行った。測定は試料管:5mm、溶媒:重水素化クロロホルム、測定温度:室温、パルス間隔:5秒、積算回数:32回、基準試料:テトラメチルシラン(TMS)で行った。
H−NMR(400MHz):0.63〜0.68ppm(t、2H)、1.20〜1.24ppm(t、9H)、1.71〜1.80ppm(m、2H)、3.80〜3.88ppm(q、6H)、3.82〜3.88ppm(t、2H)、9.36ppm(s、2H)
【化33】
【0118】
(原料の合成例2)
マグネチックスターラーを備えた200mlの四口フラスコに、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート10.00g、トルエン60.00gを仕込み、室温にて攪拌した。次に、karstedt触媒(白金(0)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体 0.1Mキシレン溶液)700μlを添加した後、トリエトキシシラン7.1mlを滴下し、室温にて19時間攪拌した。反応終了後、反応液を濃縮乾燥し、粗物を得た。これを、減圧蒸留にて、外温240℃/圧力0.7torrの条件で留出させ、式(E−3)で表される化合物を13.46g得た(85%)。
NMRの測定条件は上記と同様に行った。
H−NMR(400MHz)inCDCl:0.62〜0.67ppm(m、2H)、1.22ppm(t、J=7.0Hz、9H)、1.73〜1.79ppm(m、2H)、2.68〜2.71ppm(m、2H)、2.82ppm(dd、J=4.9Hz、4.0Hz、2H)、3.23〜3.28ppm(m、2H)、3.81ppm(q、J=7.0Hz、6H)、3.86〜3.91ppm(m、2H)、4.00ppm(dd、J=14.0Hz、4.9Hz、2H)、4.17ppm(ddd、J=14.0Hz、5.5Hz、2.2Hz、2H)
【化34】
【0119】
(原料の合成例3)
300mlの3つ口フラスコに、イソシアヌル酸ジメチルモノアリル10.00g、(3−メルカプトプロピル)トリエトキシシラン24.18g、アゾビスイソブチロニトリル0.21g、メチルエチルケトン100mlをいれ、95℃にて6時間反応を行った。その後、メチルエチルケトンをエバポレーターにより除去した。その後、ジクロロメタン100ml、蒸留水50ml×3にて抽出操作を行い、硫酸マグネシウムにて脱水後、エバポレーターにてジクロロメタンを除去し、粗生成物を得た。得られた粗生成物を蒸留により精製を行い、目的物である式(E−4)で表される化合物を得た。
NMRの測定条件は上記と同様に行った。
H−NMR(400MHz):0.71〜0.75ppm(t、2H)、1.20〜1.25ppm(t、9H)、1.65〜1.73ppm(quint、2H)、1.90〜1.98ppm(quint、2H)、2.53〜2.57ppm(m、4H)、3.35ppm(s、6H)、3.79〜3.85ppm(quartet、6H)、3.98〜4.02ppm(t、2H)
【化35】
【0120】
(原料の合成例4)
300mlの3つ口フラスコに、イソシアヌル酸ジメチルモノアリル10.0g、トリエトシキシラン12.49g、塩化白金酸(VI)水和物0.03g、メチルエチルケトン100mlを入れ、100℃にて6時間反応を行った。その後、メチルエチルケトン、過剰に含まれているトリエトキシシランをエバポレーターにより除去した。その後、ジクロロメタン100ml、蒸留水50ml×3にて抽出操作を行い、硫酸マグネシウムにて脱水後、エバポレーターにてジクロロメタンを除去し、粗生成物を得た。得られた粗生成物を蒸留により精製を行い、目的物である式(E−5)で表される化合物を得た。
NMRの測定条件は上記と同様に行った。
H−NMR(400MHz):0.59〜0.65ppm(t、2H)、1.14〜1.23ppm(t、9H)、1.68〜1.76ppm(quint、2H)、3.30〜3.32ppm(s、6H)、3.69〜3.86ppm(m、8H)
【化36】
【0121】
(合成例1)
テトラエトキシシラン49.74g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン9.12g(15mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジアリルイソシアヌレート21.16g(15mol%)、アセトン106.35gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸22.74gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート142gを加え、反応副生物であるエタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−1)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1900であった。
【化37】
【0122】
(合成例2)
テトラエトキシシラン51.46g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン9.44g(15mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジメチルイソシアヌレート19.13g(15mol%)、アセトン105.88gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸23.53gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート142gを加え、反応副生物であるエタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−2)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1900であった。
【化38】
【0123】
(合成例3)
テトラエトキシシラン54.77g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン10.04g(15mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジアリルイソシアヌレート7.77g(5mol%)、フェニルトリメトキシシラン7.45g(10mol%)、アセトン104.98gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸25.04gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート142gを加え、反応副生物であるエタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−3)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1500であった。
【化39】
【0124】
(合成例4)
テトラエトキシシラン55.45g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン10.17g(15mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジメチルイソシアヌレート6.87g(5mol%)、フェニルトリメトキシシラン7.54g(10mol%)、アセトン104.79gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸25.35gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート142gを加え、反応副生物であるエタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように
調整した。得られた式(3−4)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1900であった。
【化40】
【0125】
(合成例5)
テトラエトキシシラン55.82g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン10.24g(15mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート6.38g(5mol%)、フェニルトリメトキシシラン7.59g(10mol%)、アセトン104.69gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸25.52gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート142gを加え、反応副生物であるエタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−5)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1600であった。
【化41】
【0126】
(合成例6)
テトラエトキシシラン54.36g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン9.97g(15mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジグリシジルイソシアヌレート8.30g(5mol%)、フェニルトリメトキシシラン7.39g(10mol%)、アセトン105.09gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの硝酸24.85gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート142gを加え、反応副生物であるエタノール、水、硝酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレング
リコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−6)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw2500であった。
【化42】
【0127】
(合成例7)
テトラエトキシシラン54.56g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン9.81g(14.7mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジアリルイソシアヌレート7.74g(5mol%)、フェニルトリメトキシシラン7.42g(10mol%)、N−(3−トリエトキシシリプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール0.31g(0.3mol%)、アセトン105.03gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.10mol/lの塩酸24.95gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノエチルエーテル142gを加え、反応副生物であるエタノール、メタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノエチルエーテル溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−7)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1500であった。
【化43】
【0128】
(合成例8)
テトラエトキシシラン55.23g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン9.93g(14.7mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジメチルイソシアヌレート6.85g(5mol%)、フェニルトリメトキシシラン7.51g(10mol%)、N−(3−トリエトキシシリプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール0.31g(0.3mol%)、アセトン104.85gを300mlのフラスコに入れ、混合溶
液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.10mol/lの塩酸25.25gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノエチルエーテル142gを加え、反応副生物であるエタノール、メタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノエチルエーテル溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−8)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1900であった。
【化44】
【0129】
(合成例9)
テトラエトキシシラン57.42g(75mol%)、メチルトリエトキシシラン9.63g(14.7mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジアリルイソシアヌレート7.60g(5mol%)、4−(メトキシメトキシ)トリメトキシシリルベンゼン4.75g(5mol%)、N−(3−トリエトキシシリプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール0.30g(0.3mol%)、アセトン105.10gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.10mol/lの塩酸24.83gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液にプロピレングリコールモノエチルエーテル142gを加え、反応副生物であるエタノール、メタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノエチルエーテル溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−9)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1750であった。
【化45】
【0130】
(合成例10)
テトラエトキシシラン48.42g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン11.84g(20mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジアリルイソシアヌレート6.87g(5mol%)、4−メトキシベンジルトリメトキシシラン4.02g(5mol%)、アセトン106.72gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸22.14gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート142gを加え、反応副生物であるメタノール、エタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−15)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1700であった。
【化46】
【0131】
(合成例11)
テトラエトキシシラン48.36g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン11.65g(19.7mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジアリルイソシアヌレート6.86g(5mol%)、4−メトキシベンジルトリメトキシシラン4.02g(5mol%)、N−(3−トリエトキシシリプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール0.27g(0.3mol%)、アセトン106.73gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.10mol/lの塩酸22.11gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液にプロピレングリコールモノ
エチルエーテル142gを加え、反応副生物であるエタノール、メタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノエチルエーテル溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−16)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1800であった。
【化47】
【0132】
(合成例12)
テトラエトキシシラン49.07g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン15.00g(25mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジアリルイソシアヌレート6.96g(5mol%)、アセトン106.54gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸22.43gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート142gを加え、反応副生物であるエタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−17)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1800であった。
【化48】
【0133】
(合成例13)
テトラエトキシシラン49.01g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン14
.80g(24.7mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジアリルイソシアヌレート6.95g(5mol%)、N−(3−トリエトキシシリプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール0.28g(0.3mol%)、アセトン106.56gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.10mol/lの塩酸22.41gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。反応溶液にプロピレングリコールモノエチルエーテル142gを加え、反応副生物であるエタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノエチルエーテル溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−18)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1800であった。
【化49】
【0134】
(合成例14)
テトラエトキシシラン48.36g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン11.65g(19.7mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジアリルイソシアヌレート6.86g(5mol%)、(4−エトキシフェニル)トリメトキシシラン4.02g(5mol%)、N−(3−トリエトキシシリプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール0.27g(0.3mol%)、アセトン106.73gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.10mol/lの塩酸22.11gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。反応溶液にプロピレングリコールモノエチルエーテル142gを加え、反応副生物であるエタノール、メタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノエチルエーテル溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−19)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1700であった。
【化50】
【0135】
(合成例15)
テトラエトキシシラン48.50g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン11.68g(19.7mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジアリルイソシアヌレート6.88g(5mol%)、(4−メトキシフェニル)トリメトキシシラン3.80g(5mol%)、N−(3−トリエトキシシリプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール0.27g(0.3mol%)、アセトン106.70gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.10mol/lの塩酸22.17gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。反応溶液にプロピレングリコールモノエチルエーテル142gを加え、反応副生物であるエタノール、メタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノエチルエーテル溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−20)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1800であった。
【化51】
【0136】
(合成例16)
テトラエトキシシラン47.53g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン11.45g(19.7mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジアリルイソシアヌレート6.74g(5mol%)、((4−アセトキシフェニル)エチル)トリエトキシシラン5.32g(5mol%)、N−(3−トリエトキシシリプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール0.27g(0.3mol%)、アセトン106.96gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.10mol/lの塩酸21.73gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。反応溶液にプロピレングリコ
ールモノエチルエーテル142gを加え、反応副生物であるエタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノエチルエーテル溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−21)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1800であった。
【化52】
【0137】
(合成例17)
テトラエトキシシラン48.06g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン11.58g(19.7mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジアリルイソシアヌレート6.81g(5mol%)、(4−(1−メトキシエトキシ)フェニル)トリメトキシシラン4.49g(5mol%)、N−(3−トリエトキシシリプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール0.27g(0.3mol%)、アセトン106.82gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.10mol/lの塩酸21.97gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。反応溶液にプロピレングリコールモノエチルエーテル142gを加え、反応副生物であるエタノール、メタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノエチルエーテル溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−22)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1800であった。
【化53】
【0138】
(合成例18)
テトラエトキシシラン48.24g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン11.62g(19.7mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジアリルイソシアヌレート6.84g(5mol%)、ベンジルトリエトキシシラン4.21g(5mol%)、N−(3−トリエトキシシリプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール0.27g(0.3mol%)、アセトン106.77gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.10mol/lの塩酸22.05gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。反応溶液にプロピレングリコールモノエチルエーテル142gを加え、反応副生物であるエタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノエチルエーテル溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−23)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1700であった。
【化54】
【0139】
(合成例19)
テトラエトキシシラン48.66g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン11.72g(19.7mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジアリルイソシアヌレート6.90g(5mol%)、(4−メチルフェニル)トリメトキシシラン3.54g(5mol%)、N−(3−トリエトキシシリプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール0.27g(0.3mol%)、アセトン106.65gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.10mol/lの塩酸22.25gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。反応溶液にプロピレングリコールモノエチルエーテル142gを加え、反応副生物であるエタノール、メタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノエチルエーテル溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−24)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1700であった。
【化55】
【0140】
(合成例20)
テトラエトキシシラン48.04g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン11.57g(19.7mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジアリルイソシアヌレート6.81g(5mol%)、(4−クロロフェニル)トリエトキシシラン4.53g(5mol%)、N−(3−トリエトキシシリプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール0.27g(0.3mol%)、アセトン106.82gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.10mol/lの塩酸21.96gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。反応溶液にプロピレングリコールモノエチルエーテル142gを加え、反応副生物であるエタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノエチルエーテル溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−25)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1700であった。
【化56】
【0141】
(合成例21)
テトラエトキシシラン48.01g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン11.56g(19.7mol%)、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジアリルイソシアヌレート6.81g(5mol%)、(4−ブロモフェニル)トリメトキシシラン4.56g(5mol%)、N−(3−トリエトキシシリプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール0.27g(0.3mol%)、アセトン106.83gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.10mol/lの塩酸21.96gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。反応溶液にプロピレングリコールモノエチルエーテル142gを加え、反応副生物であるエタノール、メタノール、水、塩酸を減圧留
去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノエチルエーテル溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−26)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1700であった。
【化57】
【0142】
(比較合成例1)
テトラエトキシシラン50.95g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン9.34g(15mol%)、フェニルトリメトキシシラン10.39g(15mol%)、アセトン106.02gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸23.29gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート142gを加え、反応副生物であるエタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−10)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1400であった。
【化58】
【0143】
(比較合成例2)参考例
テトラエトキシシラン55.23g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン10.13g(15mol%)、4−(メトキシメトキシ)トリメトキシシリルベンゼン14.67g(15mol%)、アセトン104.85gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸25.25
gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート142gを加え、反応副生物であるエタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−11)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1450であった。
【化59】
【0144】
(比較合成例3)参考例
テトラエトキシシラン55.46g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン10.17g(15mol%)、2,2−ジエトキシ−1,5−(オルト−フェニレン)−1−オキサ−2−シラペンタン14.40g(15mol%)、アセトン104.79gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸25.36gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート142gを加え、反応副生物であるエタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−12)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1600であった。
【化60】
【0145】
(比較合成例4)
テトラエトキシシラン44.04g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン8.08g(15mol%)、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート27.90g(15mol%)、アセトン107.92gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸20.14gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させたが、一部、ゲル化が生じ、溶液は白濁した。得られたポリマーは式(3−13)で表されるポリマーに相当すると考えられる。
【化61】
【0146】
(比較合成例5)
テトラエトキシシラン53.22g(70mol%)、メチルトリエトキシシラン9.76g(15mol%)、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート9.81g(5mol%)、フェニルトリメトキシシラン7.24g(10mol%)、アセトン105.40gを300mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸24.33gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート142gを加え、反応副生物であるエタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコール
モノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15重量パーセントとなるように調整した。得られた式(3−14)で表されるポリマーのGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw11000であった。
【化62】
【0147】
(レジスト下層膜の調製)
上記合成例1乃至21及び比較合成例1乃至3及び5で得られたケイ素含有ポリマー、酸、硬化触媒、添加剤、溶媒、水を表1に表す割合で混合し、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、実施例1乃至25、比較例1及び2、参考例1及び2のレジスト下層膜形成組成物の溶液をそれぞれ調製した。表1中のポリマーの添加割合はポリマー溶液の添加量ではなく、ポリマー自体の添加量を示した。
表1中でマレイン酸はMA、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドはBTAC、N−(3−トリエトキシシリプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールはIMTEOS、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートはTPS105、マレイン酸モノトリフェニルスルフォニウムはTPSMA、ビスフェノールSはBPS、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートはPGMEA、プロピレングリコールモノエチルエーテルはPGEE、プロピレングリコールモノメチルエーテルはPGMEと略した。水は超純水を用いた。各添加量は質量部で示した。
【0148】
【表1】
【0149】
【表2】
【0150】
(耐溶剤性試験)
実施例1乃至25、比較例1及び2、参考例1及び2で調製したケイ素含有レジスト下層膜形成組成物をシリコンウェハー上にスピンコート法にてそれぞれ塗布し、240℃のホットプレート上で1分間焼成しケイ素含有レジスト下層膜を形成した。その後、上塗りレジスト組成物の溶剤に用いられるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに1分間浸漬した。浸漬の前後でのレジスト下層膜の膜厚の変化が1nm以下である場合は「良好」と判断し「○」で示し、膜厚変化がそれ以上である場合は「不良」と判断し「×」で示した。
【0151】
(光学定数測定)
実施例1乃至25、比較例1及び2、参考例1及び2で調製したケイ素含有レジスト下層膜形成組成物をスピナーを用い、シリコンウェハー上にそれぞれ塗布した。ホットプレート上で240℃1分間加熱し、ケイ素含有レジスト下層膜(膜厚0.05μm)を形成した。そして、これらのレジスト下層膜を分光エリプソメーター(J.A. Woollam社製、VUV−VASE VU−302)を用い、波長193nmでの屈折率(n値)及び光学吸光係数(k値、減衰係数とも呼ぶ)を測定した。
【0152】
(有機下層膜の調製)
200mLのフラスコにアセナフチレンを16.5g、4−ヒドロキシスチレンを1.5g、溶媒として1,2−ジクロロエタンを60g添加した。重合開始剤としてトリフル
オロホウ素を1g加え、60℃まで昇温後、24時間反応させた。この溶液にメタノール1L、水500gを加え再沈殿精製を行い、得られた白色個体をろ過後、乾燥し、白色重合体11gを得た。
下記の得られたポリマーを13C−NMR、H−NMR及びGPC測定したところ、アセナフチレン:4−ヒドロキシスチレン=86:14であった。
得られたポリマーの平均分子量(Mw):6000であり、分子量分布は(Mw/Mn)=1.5であった。
【化63】
【0153】
得られたポリマー10gにテトラメトキシメチルグリコールウリル(三井サイテック(株)製、商品名パウダーリンク1174)1.0g、架橋触媒としてパラトルエンスルホン酸を0.01g、界面活性剤としてメガファック(登録商標)R−30(DIC(株)製、商品名)を0.03gを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート101.57g、プロピレングリコールモノメチルエーテル25.39gに溶解させた。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いる有機下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0154】
(ドライエッチング速度の測定)
ドライエッチング速度の測定には以下のエッチャー及びエッチングガスを用いた。
ES401(日本サイエンティフィック(株)製):CF
RIE−10NR(サムコ(株)製):O
実施例1乃至25、比較例1及び2、参考例1及び2で調製したケイ素含有レジスト下層膜形成組成物の溶液をスピナーを用い、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で240℃1分間加熱し、ケイ素含有レジスト下層膜(膜厚0.08μm(CFガスでのエッチング速度測定用)、0.05μm(Oガスでのエッチング速度測定用))をそれぞれ形成した。そしてエッチングガスとしてCF又はOを用いてエッチング速度を求めた。また、同様に有機下層膜形成組成物をスピナーを用い、シリコンウェハー上に塗膜を形成した。エッチングガスとしてOガスを使用してドライエッチング速度を測定し、実施例1乃至25、比較例1及び2、参考例1及び2のケイ素含有レジスト下層膜のドライエッチング速度との比較を行った。
【0155】
表1には、上記下層膜の193nmの波長での屈折率n、193nmの波長での光学吸収係数k、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に対する耐溶剤性、フッ素系ガス(CFガス)でのエッチレート(エッチング速度:nm/分)、(本願レジスト下層膜)/(有機下層膜)のエッチレート比より求めた酸素系ガス(Oガス)耐性を示した。
【表3】
【0156】
(レジストパターニング評価)
上記式で得られた有機下層膜(下層)形成組成物をシリコンウェハー上に塗布し、ホットプレート上で240℃で1分間加熱し、膜厚200nmの有機下層膜(A層)を得た。その上に、実施例1乃至25、比較例1及び2で得られたケイ素含有レジスト下層膜(中間層)形成組成物を塗布し、ホットプレート上で240℃で1分間加熱し、ケイ素含有レジスト下層膜(B層)を得た。実施例1乃至12及び比較例1及び2の組成物から形成したケイ素含有レジスト下層膜(中間層)の膜厚は20nm、実施例13乃至25の組成物から形成したケイ素含有レジスト下層膜(中間層)の膜厚は40nmであった。
その上に市販のフォトレジスト溶液(住友化学工業(株)製、商品名PAR855)をスピナーによりそれぞれ塗布し、ホットプレート上で100℃にて1分間加熱し、膜厚150nmのフォトレジスト膜(上層)を形成した。レジストのパターニングはASML社製液浸露光機TWINSCAN XT:1900Giスキャナー(波長193nm、NA、σ:1.20、0.94/0.74(C−quad)液浸液:水)を用いて行った。ターゲットは現像後にフォトレジストのライン幅及びそのライン間の幅が0.05μmであ
る、いわゆるラインアンドスペース(デンスライン)であり、ライン本数が15本形成されるように設定されたマスクを通して露光を行った。
その後、ホットプレート上105℃で60秒間ベークし、冷却後、60秒シングルパドル式工程にて2.38質量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(現像液)で現像した。
【0157】
(保存安定性評価)
製造直後のレジスト下層膜形成組成物のシリコンウェハー上への塗布膜厚測定及びリソグラフィー評価を行い、その後レジスト下層膜形成組成物を35℃2ヶ月間保存し、再度、塗布膜厚測定及びリソグラフィー評価を行った。
リソグラフィーが行われた後のレジストパターン裾形状においてラインがストレートなものを良好とし、アンダーカット(底部の細り)、フッティング(底部の太り)、パターン剥がれを不良とした。また、一部分に僅かなフッティングが見られる場合でも実用上問題のない場合は良好(ただし一部フッティング)とした。
35℃2ヶ月保存後の塗布膜厚変化がない場合は○で示し、変化があった場合はその変化量を示した。
【0158】
【表4】
【0159】
(表面偏在性評価)
レジスト下層膜中の式(1)で表される加水分解性オルガノシランを含むシラン組成物が加水分解と縮合を起こしたポリシロキサンを主成分とする本願のレジスト下層膜中で、式(1)で表される加水分解性オルガノシランに由来するシロキサン成分の膜中の分布を調べた。
膜中の分布を調べるため走査型X線光電子分光分析による深さ方向の組成分析を行った。実施例5のレジスト下層膜形成組成物をシリコンウェハー上にスピンコート法にて塗布し、240℃のホットプレート上で1分間焼成させ50nmのケイ素含有レジスト下層膜を形成した。ULVAC−PHI社製XPS装置PHI Quantera SXMを用いてイソシアヌレートのカルボニルの炭素のC1sピーク及びN1sピークを測定した。
その結果、最表面にカルボニルの炭素と窒素のピークを確認し、イソシアヌレート基が表面に偏在していることが確認された。表面に選択的に偏在することで、レジストと接する界面を効果的に改質していると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0160】
ハードマスクとして又は反射防止膜として使用できるレジスト下層膜を形成するためのリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物、並びに該組成物の主成分として、該レジスト下層膜の形成に特に有効な新規シリルイソシアヌレート化合物である加水分解性オルガノシランを提供することができる。
図1
図2