特許第5769225号(P5769225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5769225エネルギー貯蔵装置用負極およびこれを含むエネルギー貯蔵装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5769225
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵装置用負極およびこれを含むエネルギー貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/62 20060101AFI20150806BHJP
   H01G 11/22 20130101ALI20150806BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20150806BHJP
   H01M 4/131 20100101ALI20150806BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20150806BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20150806BHJP
【FI】
   H01M4/62 Z
   H01G9/00 301A
   H01M4/13
   H01M4/131
   H01M4/133
   H01M4/134
【請求項の数】12
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2010-229652(P2010-229652)
(22)【出願日】2010年10月12日
(65)【公開番号】特開2011-238585(P2011-238585A)
(43)【公開日】2011年11月24日
【審査請求日】2010年10月12日
【審判番号】不服2014-3901(P2014-3901/J1)
【審判請求日】2014年2月28日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0042555
(32)【優先日】2010年5月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung SDI Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】沈 揆允
(72)【発明者】
【氏名】賈 福鉉
【合議体】
【審判長】 鈴木 正紀
【審判官】 池渕 立
【審判官】 河本 充雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−103069(JP,A)
【文献】 特開2007−522619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/00-4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極活物質と、セラミックコアおよびこのコアの表面に位置する炭素を含む添加剤を含み、
前記セラミックコアはSiO、Al、ZrOまたはこれらの組み合わせであり、
前記添加剤の平均粒径は10nm〜5μmであり、
前記炭素は表面積が1000m/g未満であり
前記炭素は2nm〜2μmの厚さで前記セラミックコアの表面に存在するとともに、前記セラミックコアの表面を全体的にカバーするように存在するか、連結されない塊の形態で前記セラミックコアの表面に存在するエネルギー貯蔵装置用負極。
【請求項2】
前記炭素は結晶質炭素または非晶質炭素より選択される請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用負極。
【請求項3】
前記炭素は、(Dバンド:1360cm−1)面と(Gバンド:1580cm−1)面のラマンスペクトル積分強度比(integral intensity)」であるI(Dバンド:1360cm−1)/I(Gバンド:1580cm−1)が2.61又は2.64である請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用負極。
【請求項4】
前記添加剤の比表面積は10m/g〜3000m/gである請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用負極。
【請求項5】
前記添加剤の比表面積は50m/g〜3000m/gである請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用負極。
【請求項6】
前記添加剤は負極活物質100重量部に対して0.1〜50重量部で含まれる請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用負極。
【請求項7】
前記添加剤は負極活物質100重量部に対して0.5〜30重量部で含まれる請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用負極。
【請求項8】
前記炭素は前記添加剤の全体重量に対して0重量%超過、50重量%以下の含有量で存在する請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用負極。
【請求項9】
前記炭素は前記添加剤の全体重量に対して0.1重量%〜30重量%の含有量で存在する請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用負極。
【請求項10】
前記負極活物質は、リチウム陽イオンを可逆的に挿入/脱離することができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムにドープおよび脱ドープが可能な物質、遷移金属酸化物、またはこれらの組み合わせより選択される請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用負極。
【請求項11】
前記負極は導電剤をさらに含む請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用負極。
【請求項12】
正極活物質を含む正極;
請求項1〜11のうちのいずれか一項に記載の負極;および電解質を含むエネルギー貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、エネルギー貯蔵装置用負極およびこれを含むエネルギー貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学を利用したエネルギー貯蔵装置は、2つの電極とイオン伝達体である電解質および分離膜を内部に含む。
【0003】
このようなエネルギー貯蔵装置の電気化学反応は主に電極の表面で起こる表面反応であり、非均一反応である。この反応は、電解質から解離した化学種が電極の表面まで伝達される物質伝達反応と伝達された化学種が電極表面に一種の電気二重層(electric double layer)を形成する吸脱着反応(非ファラデー反応(non−faradaic reaction))と、電子の供給を直接受けて酸化(または還元)反応をする電子伝達反応(ファラデー反応(faradaic reaction))とに分類することができる。電子の反応を利用する代表的なエネルギー貯蔵装置としてスーパーキャパシタ(または電気二重層キャパシタという)を挙げることができるが、後者としては代表的にリチウム二次電池を挙げることができる。
【0004】
一方、既存のスーパーキャパシタの容量の限界を克服するために、スーパーキャパシタの正極にリチウム二次電池の正極活物質として主に用いられるリチウム金属酸化物を借用するハイブリッドキャパシタが開発中であり、同時にリチウム二次電池もスーパーキャパシタの正極に用いる物質である活性炭をリチウム二次電池の電極に採用してリチウム二次電池の出力特性を向上させる研究が進められている。このような研究の例として、特許文献1および特許文献2を挙げることができる。しかしながら、エネルギー貯蔵装置の容量を増加させるための研究は継続して試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−077458号公報
【特許文献2】特開2001−351688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、負極活物質と、セラミックコアおよびこのコアの表面に位置する炭素を含む添加剤とを含むエネルギー貯蔵装置用負極を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、正極活物質を含む正極、前記負極、および電解質を含むエネルギー貯蔵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、負極活物質と、セラミックコアおよび前記コアの表面に位置する炭素を含む添加剤とを含むエネルギー貯蔵装置用負極を提供する。
【0009】
前記セラミックは、1V未満でリチウムと反応しない酸化物を含むセラミックを1種以上用いてもよい。前記セラミックの具体的な例としては、SiO、Al、ZrO、またはこれらの組み合わせを挙げてもよい。
【0010】
前記炭素は、結晶質炭素、非晶質炭素、またはこれらの組み合わせより選択されてもよい。前記炭素は(Dバンド:1340cm−1〜1365cm−1)面と(Gバンド:1580cm−1〜1595cm−1)面のラマンスペクトル積分強度比(integral intensity)であるD/G(I1340cm−1〜1365cm−1)/I(1580cm−1〜1595cm−1)が1〜4であってもよい。
【0011】
また前記炭素は(002)面におけるCuKα線を用いたX線回折測定時に、層間距離d002が約0.330nm〜約5nmであってもよい。前記炭素は(002)面におけるCuKα線を用いたX線回折測定時に、層間距離d002が約0.330nm〜約2nmであってもよい。
【0012】
前記セラミックコアは、微細な大きさの1次粒子が1つ以上組み立てられた2次粒子であってもよい。また、前記1次粒子の表面に炭素が位置してもよい。このとき、1次粒子の平均粒径はnmサイズであればよく、限定する必要はない。
【0013】
前記セラミックコアまたは1次粒子の表面に位置する炭素は、セラミックコアまたは1次粒子の表面を全体的にカバーするように存在してもよく、部分的にカバーするように存在してもよい。
【0014】
また、前記炭素が存在する形態とは関係なく、炭素は約2nm〜約2μmの厚さで存在してもよい。
【0015】
前記添加剤の平均粒径は約10nm〜約5μmであってもよい。
【0016】
前記添加剤の比表面積は10m/g〜3000m/gであってもよい。前記添加剤は負極活物質100重量部に対して0.1〜50重量部で含まれてもよい。
【0017】
また、前記炭素は、前記添加剤の全体重量に対して0重量%超過、50重量%以下の量で添加剤に存在してもよく、0.1重量%〜30重量%の量で存在してもよい。
【0018】
前記負極活物質は、リチウム陽イオンを可逆的に挿入/脱離することができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムにドープおよび脱ドープが可能な物質、遷移金属酸化物、またはこれらの組み合わせより選択されてもよい。前記エネルギー貯蔵装置の負極は導電剤をさらに含んでもよい。
【0019】
本発明の他の実施形態に係るエネルギー貯蔵装置は、正極活物質を含む正極、上述した負極および電解質を含むエネルギー貯蔵装置を提供する。
【0020】
その他の本発明の実施形態の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一実施形態に係るエネルギー貯蔵装置用負極は、出力特性および容量特性が向上したエネルギー貯蔵装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例1によって製造された添加剤のTEM写真である。
図2A】実施例2によって製造された添加剤の表面に対するTEM−EDAXを測定して示す写真である。
図2B】実施例2によって製造された添加剤の表面に対するTEM−EDAXを測定して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されたものであり、これによって本発明が制限されることはなく、本発明は後述する特許請求の範囲によって定義されるだけである。
【0024】
最近、エネルギー貯蔵装置の出力特性を向上させるために、出力増強素材としてキャパシタ成分である活性炭を正極または負極に添加してイオンの吸脱着を誘導し、低温放電特性または高率放電特性を向上させる研究が進められている。
【0025】
例えば、リチウム二次電池用の正極活物質スラリーに活性炭を添加する場合、活性炭は正極活物質であるリチウム遷移金属酸化物を囲みながら位置してリチウム遷移金属酸化物から電子の供給を受けるようになる。この供給を受けた電子が活性炭の界面に蓄積され、前記界面を中心として電解液から解離したリチウム塩の陰イオン(例:PF)が前記活性炭表面層に非ファラデー反応によって集まり、前記活性炭表面層で陰イオンの吸脱着が起こるためにリチウム二次電池の出力特性を改善させることができる。
【0026】
しかしながら、リチウム二次電池用の負極活物質スラリーに活性炭を添加する場合、リチウム金属に対比して約0V〜約1.5Vの間で電子の反応に伴うファラデー反応が発生するため、正極に活性炭を添加した場合のようなリチウム陽イオンの吸脱着反応は適切に起こらない。
【0027】
むしろ、活性炭の比表面積が約1000m/g〜約3500m/gであるため、前記活性炭内部にリチウム陽イオンが挿入反応によって拡散し、正極とは異なってSEI(solid electrolyte interface)生成反応が起こって大量のSEIを発生するため、電池の容量が大きく低下する現象が発生する。特に、前記活性炭は内部の空隙にリチウム陽イオンが副反応によって蓄積される現象が発生するため、比表面積が1000m/g未満である実質的に気孔を有していない炭素材に比べてSEIがさらに多く生成されるようになる。
【0028】
したがって、エネルギー貯蔵装置用負極に炭素材を添加して用いるためには可能なSEIが少なく生成されながら、イオンの拡散が急速に発生したり、リチウム陽イオンの表面吸脱着が多く起こったりするという新たな構成の炭素材を開発する必要がある。
【0029】
本発明の一実施形態に係るエネルギー貯蔵装置用負極は、負極活物質と、セラミックコアおよび前記セラミックコアの表面上に位置する炭素を含む添加剤とを含む。
【0030】
前記添加剤でコアとして用いられるセラミックは、リチウム陽イオンと反応しないものであれば制限なく使用が可能である。前記添加剤でコア部分に該当するセラミックは、1V未満でリチウムと反応しない酸化物を含むセラミックを1種以上用いてもよい。前記セラミックの具体的な例としては、SiO、Al、ZrO、またはこれらの組み合わせより選択されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0031】
また、前記添加剤でコアは、セラミック微細1次粒子が1つ以上組み立てられた2次粒子形態であってもよい。また、前記1次粒子の表面に炭素が存在してもよい。
【0032】
前記炭素は、表面積が1000m/g未満である実質的に気孔を有していない炭素であれば特に制限されない。前記炭素の例としては、結晶質炭素、非晶質炭素、またはこれらの組み合わせより選択されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0033】
前記結晶質炭素の例としては、無定形、板状、鱗片状(flake)、球形、または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛を挙げてもよく、前記非晶質炭素の例としては、ソフトカーボン(soft carbon)またはハードカーボン(hard carbon)、メゾフェースピッチ炭化物、焼成されたコークスなどを挙げてもよい。
【0034】
前記炭素は(Dバンド:1340cm−1〜1365cm−1)面と(Gバンド:1580cm−1〜1595cm−1)面のラマンスペクトル積分強度比(integral intensity)であるD/G(I1340cm−1〜1365cm−1)/I(1580cm−1〜1595cm−1)が1〜4であってもよい。
【0035】
前記炭素は(002)面におけるCuKα線を用いたX線回折測定時に、層間距離d002が0.330nm〜5nmであってもよい。また、前記炭素は(002)面におけるCuKα線を用いたX線回折測定時に、層間距離d002が0.330nm〜2nmであってもよい。
【0036】
前記添加剤で炭素は添加剤の全体重量に対して0重量%超過、50重量%以下の含有量で存在してもよい。また、添加剤で炭素は添加剤の全体重量に対して0.1重量%〜30重量%の含有量で存在してもよい。
【0037】
前記添加剤で前記セラミックコアまたは1次粒子の表面に位置する炭素は、セラミックコアまたは1次粒子の表面を全体的にカバーするように存在してもよく、部分的にカバーするように存在してもよい。すなわち、炭素はセラミック表面または1次粒子の表面を実質的に約100%完全に覆いながら存在してもよいが、部分的に覆いながら、言い換えればセラミック表面の一部がランダムに外部に露出するように、または1次粒子の表面が露出するように存在してもよい。炭素がセラミックコアの表面または1次粒子の表面に存在する形態は、本発明の効果に影響を与える主な因子ではない。
【0038】
セラミックコアの表面または1次粒子の表面上に存在する炭素がどのような形態で存在するかとは関係く、炭素は約2nm〜約2μmの厚さで存在してもよい。添加剤に存在する炭素は充放電時にリチウムイオンを保有する役割を行うものであり、炭素が前記範囲の厚さで存在する場合、適当な量のリチウムイオンを保有することができ、不可逆容量が発生する問題を防ぐことができる。
【0039】
前記添加剤に存在する炭素としては、結晶質炭素または非結晶質炭素を用いてもよい。
【0040】
このようなセラミックおよびこのセラミック表面に存在する炭素で構成された本発明の一実施形態に係る添加剤は、既存の炭素材、例えば活性炭またはグラフェンナノシートなどに比べて充放電時にSEI反応が極めて少なく起こり、さらに電池効率を向上させることができる。
【0041】
前記セラミックコアおよび前記セラミックコアの表面に位置する炭素を含む添加剤の平均粒径は約10nm〜約5μmである。前記添加剤の平均粒径が前記範囲に属する場合、前記添加剤の表面に位置する炭素の比表面積が広くなるため、前記添加剤を添加して製造されたエネルギー貯蔵装置で陽イオンの吸着が容易に発生する点が良い。
【0042】
前記添加剤の比表面積は約10m/g〜約3000m/gであってもよく、約50m/g〜約3000m/gであってもよい。前記添加剤の比表面積はBET(Brunauer、Emmett、Teller)方法によって測定してもよい。
【0043】
前記添加剤は負極活物質100重量部に対して約0.1〜約50重量部で含まれてもよく、約0.5〜30重量部であってもよい。前記範囲内で、不可逆容量が増加するなどの問題点なく負極に添加剤を用いることによる効果を適切に得ることができる。
【0044】
本発明の一実施形態に係るエネルギー貯蔵装置用負極に添加される前記添加剤は、セラミックコアの表面に炭素を位置させることができるいかなる方法で製造されてもよい。製造方法の例としては液相法、気相法などを挙げてもよい。
【0045】
前記液相法としては浸漬法、スプレー噴霧法などがあり、前記気相法としては化学的蒸着法、プラズマ蒸着法などがある。
【0046】
このうち、液相法について説明すれば次のとおりとなる。
【0047】
炭素前駆体を溶媒に添加して炭素前駆体液を製造する。
【0048】
前記炭素前駆体としては、ジヒドロキシナフタレン、クエン酸(citric acid)、ピッチ、フェノール、フルフリルアルコール、ポリアクリロニトリルなどのようなポリマーなどを用いてもよい。また、前記溶媒としては、アセトン、メタノール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、トルエンなどの有機溶媒を用いてもよい。
【0049】
前記炭素前駆体液の濃度は約1重量%〜約10重量%であってもよい。
【0050】
前記炭素前駆体液にセラミックを添加する。このとき、セラミックとしては、1V未満でリチウムと反応しない酸化物を含むセラミックを1種以上用いてもよい。前記セラミックの具体的な例としては、SiO、Al、ZrO、またはこれらの組み合わせを挙げてもよい。
【0051】
また、前記セラミックの平均粒径は約8nm〜約5μmであってもよい。セラミックの平均粒径が前記範囲に含まれる場合、添加剤が負極極板内に適切に分散され、添加剤を用いることによる効果を適切に得ることができる。
【0052】
前記セラミックの添加量は炭素前駆体100重量部に対して1〜50重量部であってもよい。もちろん、セラミックと炭素前駆体の種類に応じてセラミックの使用量は前記範囲内で適切に調節してもよい。
【0053】
次に、得られた混合物を乾燥し、熱処理する。
【0054】
前記乾燥工程はオーブンで実施する一般的な乾燥工程を実施したり、または噴霧乾燥してもよい。
【0055】
前記熱処理工程は窒素、アルゴン、またはこれらの組み合わせである不活性雰囲気下で実施してもよい。
【0056】
前記熱処理工程は1℃/分〜5℃/分の昇温速度で700℃〜1500℃まで昇温して実施してもよい。または、1℃/分〜5℃/分の昇温速度で炭素前駆体の沸点未満の温度まで1次熱処理した後、この温度で一定の時間維持した後、1℃/分〜5℃/分の昇温速度で700℃〜1500℃まで昇温する2次熱処理工程で実施してもよい。熱処理時間はいかなる方法で実施しても約5〜約15時間程度で実施してもよい。
【0057】
また、前記1次熱処理生成物を炭素前駆体液の製造時に用いられた溶媒に添加して再び濾過した後に2次熱処理工程を実施してもよく、この場合、純度をより向上させることができる。
【0058】
前記エネルギー貯蔵装置用負極に用いられる負極活物質は特に制限されるものではなく、例えばリチウム陽イオンを可逆的に挿入/脱離することができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムにドープおよび脱ドープが可能な物質、または遷移金属酸化物を含む。
【0059】
前記リチウム陽イオンを可逆的に挿入/脱離することができる物質としては炭素物質であり、リチウム陽イオン二次電池で一般に用いられる炭素系負極活物質はいずれのものでも用いてもよく、その代表的な例としては、結晶質炭素、非晶質炭素、またはこれらを共に用いてもよい。前記結晶質炭素の例としては、無定形、板状、鱗片状(flake)、球形、または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛を挙げてもよく、前記非晶質炭素の例としては、ソフトカーボン(soft carbon)またはハードカーボン(hard carbon)、メゾフェースピッチ炭化物、焼成されたコークスなどを挙げてもよい。
【0060】
前記リチウム金属の合金としては、リチウムとNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、Al、およびSnからなる群より選択される金属の合金が用いられてもよい。
【0061】
前記リチウムにドープおよび脱ドープが可能な物質としては、Si、SiO(0<x<2)、Si−Q合金(前記Qはアルカリ金属、アルカリ土金属、第13族元素、第14族元素、遷移金属、希土類元素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Siではない)、Sn、SnO、Sn−R(前記Rはアルカリ金属、アルカリ土金属、第13族元素、第14族元素、遷移金属、希土類元素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Snではない)などを挙げてもよく、またこれらのうちの少なくとも1つとSiOを混合して用いてもよい。前記元素QおよびRとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されることが好ましい。また、これらのうちの少なくとも1つとSiOを混合して用いてもよい。
【0062】
前記遷移金属酸化物としては、バナジウム酸化物、下記化学式(1)または(2)のリチウムバナジウム酸化物、または下記化学式(3)のリチウムチタニウム酸化物などを挙げてもよい。
Lix1y1d12+e1・・・(1)
(前記化学式(1)において、1≦x1≦2.5、0.5≦y1≦1.5、0≦d1≦0.5、0≦e1≦0.5であり、MはMg、Al、Cr、Mo、Ti、W、Zr、Si、Sc、Cu、Nb、Y、またはこれらの組み合わせである。)
Lix2y22−y26−z2・・・(2)
(前記化学式(2)において、0≦x2≦1.2、0≦y2≦2、−2≦z2≦2であり、MはMo、Mn、Co、Ni、またはこれらの組み合わせである。)
Lix3Tiy3−Z3M”Z34−z4・・・(3)
(前記化学式(3)において、0.6≦x3≦2.5、1.2≦y3≦2.3、0≦z3≦0.5、0≦z4≦0.5であり、M”はV、Cr、Nb、Fe、Ni、Co、Mn、W、Al、Ga、またはこれらの組み合わせである。)
【0063】
本発明の一実施形態に係るエネルギー貯蔵装置用負極は、前記負極活物質および添加剤を含む負極活物質層と、これを支持する電流集電体とを含む。
【0064】
前記負極活物質層で負極活物質の含有量は負極活物質層の全体重量に対して80〜97重量%であってもよく、添加剤の含有量は3〜20重量%であってもよい。
【0065】
前記負極活物質層はさらにバインダーを含み、選択的に導電剤をさらに含んでもよい。前記負極活物質層でバインダーの含有量は負極活物質層の全体重量に対して1〜5重量%であってもよい。また、導電剤をさらに含む場合には、負極活物質を70〜97重量%、添加剤を1〜20重量%、バインダーを1〜5重量%、導電剤を1〜5重量%用いてもよい。
【0066】
前記バインダーは負極活物質粒子を互いに適切に付着させ、さらに負極活物質を電流集電体に適切に付着させる役割を行う。前記バインダーとしては、非水溶性バインダー、水溶性バインダー、またはこれらの組み合わせを用いてもよい。
【0067】
前記非水溶性バインダーとしては、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミド、またはこれらの組み合わせを挙げてもよい。
【0068】
前記水溶性バインダーとしては、スチレン−ブタジエンラバー、アクリル化されたスチレン−ブタジエンラバー、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、プロピレンと炭素数が2〜8のオレフィン共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体、またはこれらの組み合わせを挙げてもよい。
【0069】
前記負極バインダーとして水溶性バインダーを用いる場合、粘性を付与することができるセルロース系化合物をさらに含んでもよい。このセルロース系化合物としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはこれらのアルカリ金属塩などを1種以上混合して用いてもよい。前記アルカリ金属としてはNa、K、またはLiを用いてもよい。このような増粘剤の使用含有量はバインダー100重量部に対して0.1〜3重量部であってもよい。
【0070】
前記導電剤は電極に導電性を付与するために用いられるものであり、構成される電池において化学変化を起こさずに電子伝導性材料であれば、いずれのものでも使用が可能である。導電剤の例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質と、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質と、ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマーと、これらの混合物を含む導電性材料とを用いてもよい。
【0071】
前記電流集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステレンス鋼箔、チタニウム箔、ニッケル発砲体(foam)、銅発砲体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを用いてもよい。
【0072】
このような本発明の一実施形態に係るエネルギー貯蔵装置用負極は、キャパシタまたはリチウム二次電池に有用することができる。
【0073】
本発明の他の一実施形態に係るエネルギー貯蔵装置は、正極活物質を含む正極と、前記負極と、電解質とを含む。
【0074】
前記エネルギー貯蔵装置で負極は上述したものと同じであるため、重複する説明は省略する。
【0075】
前記エネルギー貯蔵装置用正極は、電流集電体およびこの電流集電体に形成される正極活物質層を含む。前記正極活物質としては、リチウムの可逆的である挿入および脱離が可能な化合物(リチウム化された挿入化合物)を用いてもよい。具体的には、コバルト、マンガン、ニッケル、およびこれらの組み合わせよる選択される金属とリチウムとの複合酸化物のうちの1種以上のものを用いてもよく、より具体的には、下記の化学式のうちのいずれか1つで表現される化合物を用いてもよい。Li1−b(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5);Li1−b2−c(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);LiE2−b4−c(0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);LiNi1−b−cCoα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.5、0<α≦2);LiNi1−b−cCo2−αα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);LiNi1−b−cCo2−α(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);LiNi1−b−cMnα(0.90≦a≦1.8、≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2);LiNi1−b−cMn2−αα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);LiNi1−b−cMn2−α(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);LiNi(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1);LiNiCoMn(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1);LiNiG(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiCoG(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiMnG(0.90≦a≦1.80.001≦b≦0.1);LiMn(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);QO;QS;LiQS;V;LiV;LiZO;LiNiVO;Li(3−f)(PO(0≦f≦2);Li(3−f)Fe(PO(0≦f≦2);LiFePO
【0076】
前記化学式において、AはNi、Co、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、XはAl、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、DはO、F、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、EはCo、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、TはF、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、GはAl、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、QはTi、Mo、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、ZはCr、V、Fe、Sc、Y、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、JはV、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0077】
もちろん、この化合物の表面にコーティング層を有するものも用いてもよく、または前記化合物とコーティング層を有する化合物を混合して用いてもよい。このコーティング層は、コーティング元素のオキシド、ヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネート、およびコーティング元素のヒドロキシカーボネートからなる群より選択される少なくとも1つのコーティング元素化合物を含んでもよい。これらのコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質であってもよい。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zr、またはこれらの混合物を用いてもよい。コーティング層の形成工程は、前記化合物にこのような元素を用いて正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング、浸漬法など)によってコーティングしてもよく、いかなるコーティング方法を用いても問題はないが、これについては当該分野に従事する者によってよく理解されることができる内容であるため、詳しい説明は省略する。
【0078】
前記正極活物質層で前記正極活物質の含有量は正極活物質層の全体重量に対して90〜98重量%であってもよい。
【0079】
前記正極活物質層はさらにバインダーおよび導電剤を含む。このとき、前記バインダーおよび導電剤の含有量は正極活物質層の全体重量に対してそれぞれ1〜5重量%であってもよい。
【0080】
前記バインダーは正極活物質粒子を互いに適切に付着させ、さらに正極活物質を電流集電体に適切に付着させる役割を行う。バインダーの代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリル化されたスチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどを用いてもよいが、これに限定されるものではない。
【0081】
前記導電剤は電極に導電性を付与するために用いられるものであり、構成される電池において化学変化を起こさずに電子伝導性材料であれば、いずれのものでも使用が可能である。導電剤の例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質と、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末と、金属繊維などの金属系物質と、ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマーと、またはこれらの混合物を含む導電性材料を用いてもよい。
【0082】
前記電流集電体としてはAlを用いてもよいが、これに限定されるものではない。
【0083】
前記負極と正極は活物質、導電剤、およびバインダーを溶媒中で混合して活物質組成物を製造し、この組成物を電流集電体に塗布して製造する。このような電極製造方法は当該分野に広く知られた内容であるため、本明細書において詳細な説明は省略する。前記溶媒としてはN−メチルピロリドンなどを用いてもよいが、これに限定されるものではない。また、負極に水溶性バインダーを用いる場合、負極活物質組成物の製造時に用いられる溶媒として水を用いてもよい。
【0084】
本発明の一実施形態に係るエネルギー貯蔵装置の電解質は、非水性有機溶媒とリチウム塩を含む。
【0085】
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動することができる媒質の役割を行う。非水性有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、または非陽子性溶媒を用いてもよい。前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などが用いられてもよく、前記エステル系溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、ジメチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、γ−ブチロラクトン、デカノリド(decanolide)、バレロラクトン、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)、などを用いてもよい。前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどが用いられてもよく、前記ケトン系溶媒としてはシクロヘキサノンなどが用いられてもよい。また、前記アルコール系溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどが用いられてもよく、前記非陽子性溶媒としては、R−CN(Rは炭素数2〜20の直鎖状、分枝状、または環構造の炭化水素基であり、二重結合方向環またはエーテル結合を含んでもよい)などがトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3−ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン(sulfolane)類などが用いられてもよい。
【0086】
前記非水性有機溶媒は単独または1つ以上を混合して用いてもよく、1つ以上混合して用いる場合の混合比率は目的とする電池性能に応じて適切に調節してもよく、これは当該分野に従事する者によって幅広く理解されることができる。
【0087】
また、前記カーボネート系溶媒の場合、環状(cyclic)カーボネートと鎖状(chain)カーボネートを混合して用いることが良い。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは1:1〜1:9の体積比で混合して用いることが、電解液の性能を優れるように示すことができる。
【0088】
本発明の非水性有機溶媒は、前記カーボネート系溶媒に芳香族炭化水素系の有機溶媒をさらに含んでもよい。このとき、前記カーボネート系溶媒と芳香族炭化水素系の有機溶媒は1:1〜30:1の体積比で混合されてもよい。
【0089】
前記芳香族炭化水素系の有機溶媒としては、下記化学式(4)の芳香族炭化水素系化合物が用いられてもよい。
【0090】
【化1】
【0091】
(前記化学式(4)において、R〜Rはそれぞれ独立的に水素、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。)
【0092】
前記芳香族炭化水素系の有機溶媒の具体的な例としては、ベンゼン、フルオロベンゼン、1,2−ジフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジフルオロベンゼン、1,2,3−トリフルオロベンゼン、1,2,4−トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、アイオドベンゼン、1,2−ジアイオドベンゼン、1,3−ジアイオドベンゼン、1,4−ジアイオドベンゼン、1,2,3−トリアイオドベンゼン、1,2,4−トリアイオドベンゼン、トルエン、フルオロトルエン、2,3−ジフルオロトルエン、2,4−ジフルオロトルエン、2,5−ジフルオロトルエン、2,3,4−トリフルオロトルエン、2,3,5−トリフルオロトルエン、クロロトルエン、2,3−ジクロロトルエン、2,4−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロトルエン、2,3,4−トリクロロトルエン、2,3,5−トリクロロトルエン、アイオドトルエン、2,3−ジアイオドトルエン、2,4−ジアイオドトルエン、2,5−ジアイオドトルエン、2,3,4−トリアイオドトルエン、2,3,5−トリアイオドトルエン、キシレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0093】
前記非水性電解質は電池寿命を向上させるために、ビニレンカーボネートまたは下記化学式(5)のエチレンカーボネート系化合物をさらに含んでもよい。
【0094】
【化2】
【0095】
(前記化学式(5)において、RおよびRはそれぞれ独立的に水素、ハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO)、およびフッ素化された炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選択され、前記RとRのうちの少なくとも1つはハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO)、およびフッ素化された炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選択されるが、ただしRとRがすべて水素ではない。)
【0096】
前記エチレンカーボネート系化合物の代表的な例としては、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネート、またはフルオロエチレンカーボネートなどを挙げてもよい。このような寿命向上の添加剤をさらに用いる場合、その使用量は適切に調節してもよい。
【0097】
前記リチウム塩は有機溶媒に溶解され、電池内でリチウム陽イオンの供給源として作用し、基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極の間のリチウム陽イオンの移動を促進する役割を行う物質である。このようなリチウム塩の代表的な例としては、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiN(SO、Li(CFSON、LiN(SO、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ここで、xおよびyは自然数である)、LiCl、LiI、およびLiB(C(リチウムビスオキサレートボラート(lithium bis(oxalato)borate;LiBOB)からなる群より選択される1つまたは2つ以上を支持(supporting)電解塩として含む。リチウム塩の濃度は0.1〜2.0Mの範囲内で用いることが良い。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれれば、電解質が適切な電導度および粘度を有するために優れた電解質性能を示すことができ、リチウム陽イオンが効果的に移動することができる。
【0098】
エネルギー貯蔵装置の種類に応じて正極と負極の間にセパレータが存在してもよい。このようなセパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライド、またはこれらの2層以上の多層膜が用いられてもよく、ポリエチレン/ポリプロピレン2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層セパレータなどのような混合多層膜が用いられてもよいことはもちろんである。
【0099】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。このような下記の実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【0100】
(実施例1)
炭素が表面に位置するセラミック添加剤の製造
アセトン95重量%にジヒドロキシナフタレン(dihydroxy naphthalene)炭素前駆体5重量%を添加して炭素前駆体液を製造した。前記炭素前駆体液500mlに平均粒径1μm程度のAlを20g添加した後、24時間常温で攪拌した後に濾過した。
【0101】
次に、濾過生成物を120℃の乾燥オーブンで十分に乾燥した後、窒素不活性雰囲気下の常温(25℃)で300℃まで5℃/分の昇温速度で昇温した後、この温度で5時間1次熱処理した。
【0102】
1次熱処理生成物を再びアセトンに添加し、濾過して濾液を除去し、残っている未反応ジヒドロキシナフタレンを除去した。ジヒドロキシナフタレンを除去し、残った濾過生成物(filter cake)を120℃の乾燥オーブンで十分に乾燥させた。
【0103】
次に、前記乾燥生成物をアルゴンを注入した窒素不活性雰囲気下の管上炉で常温で5℃/分の昇温速度で1200℃まで昇温した後、この温度で5時間2次熱処理し、最終的にAl粉末の表面上に炭素が存在する添加剤を製造した。
【0104】
製造された添加剤のTEM写真を図1に(a)および(b)で示した。製造された添加剤で炭素はAl粉末の表面に膜形態であるが、連結しない塊りのように存在したり(図1のa)、膜形態で存在したりもすること(図1のb)が分かる。
【0105】
前記得られた添加剤の平均粒径は約3μmであり、微細なナノ粒子が組み立てられた形態であった。
【0106】
また、Al粉末の表面に存在する炭素は平均的に約4nm〜約50nmの厚さで存在し、添加剤の比表面積は350m/gであった。
【0107】
添加剤で表面に存在する炭素の含有量は全体添加剤重量に対して0.84重量%であった。
【0108】
また、表面に存在する炭素は非晶質炭素であった。この炭素の(Dバンド:1360cm−1)面と(Gバンド:1580cm−1)面のラマンスペクトル積分強度比(integral intensity)であるI(Dバンド:1360cm−1)/I(Gバンド:1580cm−1を測定した結果、2.64が得られた。
【0109】
(実施例2)
炭素が表面に位置するセラミック添加剤の製造
メタノール98重量%にクエン酸炭素前駆体を2重量%を添加して炭素前駆体液を製造した。前記炭素前駆体液500mlに平均粒径が1μmのAlセラミック粉末100gを入れて均一に攪拌した。
【0110】
前記得られた混合液を200℃に加熱されたスプレードライヤー(spray dryer)で噴霧乾燥し、クエン酸(citric acid)が表面にコーティングされたAlセラミック粉末を得た。
【0111】
得られたセラミック粉末を窒素不活性雰囲気を維持する管上炉で2℃/分の昇温速度で常温(25℃)から500℃まで徐々に昇温させた後、この温度で2時間1次熱処理した。
【0112】
次に、1次熱処理生成物を1分あたり5℃/分の昇温速度で500℃から1200℃まで昇温した後、この温度で5時間2次熱処理し、最終的にAl粉末の表面上に炭素が存在する添加剤を製造した。
【0113】
製造された添加剤の平均粒径は約3μmであり、Al粉末の表面に存在する炭素は平均的に約4〜40nmの厚さで存在し、添加剤の比表面積は300m/gであった。
【0114】
添加剤で表面に存在する炭素の含有量は全体添加剤重量に対して0.64重量%であった。
【0115】
また、表面に存在する炭素は非晶質炭素であった。この炭素の(Dバンド:1360cm−1)面と(Gバンド:1580cm−1)面のラマンスペクトル積分強度比(integral intensity)であるI(Dバンド:1360cm−1)/I(Gバンド:1580cm−1を測定した結果、2.61が示された。
【0116】
前記実施例2によって製造された添加剤に対して、炭素が存在する表面とAlのコアに対するTEM−EDAXを測定した。測定結果のうち、炭素が存在する表面に対する結果を図2Aおよび図2Bで示した。
【0117】
図2Aに示すように、Alのコアの表面に炭素が存在することが分かる。特に、図2Bに示すように、炭素ピークが極めて大きく表れたため、Al表面に炭素が存在することが明確に分かる。
【0118】
(実施例3)
実施例1によって製造された添加剤10重量%、黒鉛負極活物質80重量%、およびポリビニリデンフルオライド(PVdF)バインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して負極活物質スラリーを製造した。前記スラリーを10μmの厚さの銅集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して負極を製造した。
【0119】
前記負極、リチウム金属対極、および電解液を用いて半電池を製造した。前記電解液としては、LiPF6リチウム塩が溶解されたエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、およびジエチルカーボネート(3:3:1体積比)混合溶媒を用いた。
【0120】
(実施例4)
実施例1によって製造された添加剤10重量%、石油系ソフトカーボン非晶質炭素負極活物質75重量%、カーボンブラック導電剤5重量%、およびポリビニリデンフルオライドバインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して負極活物質スラリーを製造した。前記スラリーを10μmの厚さの銅集電体にコーティングして負極を製造した。
【0121】
前記負極を用いて前記実施例3と同じように半電池を製造した。
【0122】
(実施例5)
実施例1によって製造された添加剤20重量%、石油系ソフトカーボン非晶質炭素負極活物質65重量%、カーボンブラック導電剤5重量%、およびバインダーとしてポリビニリデンフルオライド10重量%をN−メチルピロリドン溶媒で混合して負極活物質スラリーを製造した。前記スラリーを10μmの厚さの銅集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して負極を製造した。
【0123】
前記負極を用いて前記実施例3と同じように半電池を製造した。
【0124】
(比較例1)
黒鉛負極活物質90重量%とポリビニリデンフルオライドバインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して負極活物質スラリーを製造した。前記スラリーを10μmの厚さの銅集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して負極を製造した。
【0125】
前記負極を用いて前記実施例3と同じように半電池を製造した。
【0126】
(比較例2)
石油系ソフトカーボン非晶質炭素負極活物質85重量%、カーボンブラック導電剤5重量%、およびポリビニリデンフルオライドバインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して負極活物質スラリーを製造した。前記スラリーを10μmの厚さの銅集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して負極を製造した。
【0127】
前記負極を用いて前記実施例3と同じように半電池を製造した。
【0128】
(比較例3)
石油系ソフトカーボン非晶質炭素負極活物質65重量%、比表面積が1400m/gの活性炭添加剤20重量%、カーボンブラック導電剤5重量%、およびポリビニリデンフルオライドバインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して負極活物質スラリーを製造した。前記スラリーを10μmの厚さの銅集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して負極を製造した。
【0129】
前記負極を用いて前記実施例3と同じように半電池を製造した。
【0130】
(比較例4)
石油系ソフトカーボン非晶質炭素負極活物質65重量%、グラフェンナノシート(graphene nanosheet)添加剤20重量%、カーボンブラック導電剤5重量%、およびポリビニリデンフルオライドバインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して負極活物質スラリーを製造した。前記スラリーを10μmの厚さの銅集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して負極を製造した。
【0131】
前記負極を用いて前記実施例3と同じように半電池を製造した。
【0132】
(実施例6)
LiCoO正極活物質65重量%、活性炭20重量%、カーボンブラック導電剤5重量%、およびポリビニリデンフルオライドバインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して正極活物質スラリーを製造し、前記正極活物質スラリーを厚さ15μmのアルミニウム集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して正極を製造した。
【0133】
実施例1によって製造された添加剤10重量%、黒鉛負極活物質80重量%、およびポリビニリデンフルオライドバインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して負極活物質スラリーを製造し、この負極活物質スラリーを厚さ10μmの銅集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して負極を製造した。
【0134】
前記製造された正極と製造された負極の間にポリエチレンセパレータを位置させた後、巻き取ってゼリーロールを製造した。前記製造されたゼリーロールを18mmの直径と65mmの長さの円筒缶に挿入し、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、およびジエチルカーボネート(3:3:1体積比)混合溶媒に1モルのリチウム塩LiPFが溶解された電解液を注液して円筒形リチウム二次電池を完成した。
【0135】
(実施例7)
実施例1によって製造された添加剤20重量%、黒鉛負極活物質70重量%、ポリビニリデンフルオライドバインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して負極活物質スラリーを製造し、この負極活物質スラリーを厚さ10μmの銅集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して負極を製造した。
【0136】
前記負極を用いて実施例6の正極、電解液、およびセパレータを用い、実施例6と同じようにリチウム二次電池を製造した。
【0137】
(実施例8)
実施例1によって製造された添加剤10重量%、石油系ソフトカーボン非晶質炭素負極活物質75重量%、カーボンブラック導電剤5重量%、ポリビニリデンフルオライドバインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して負極活物質スラリーを製造し、この負極活物質スラリーを厚さ10μmの銅集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して負極を製造した。
【0138】
前記負極を用いて実施例6の正極、電解液、およびセパレータを用い、実施例6と同じようにリチウム二次電池を製造した。
【0139】
(実施例9)
実施例1によって製造された添加剤20重量%、石油系ソフトカーボン非晶質炭素負極活物質65重量%、カーボンブラック導電剤5重量%、およびポリビニリデンフルオライドバインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して負極活物質スラリーを製造し、この負極活物質スラリーを厚さ10μmの銅集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して負極を製造した。
【0140】
前記負極を用いて実施例6の正極、電解液、およびセパレータを用い、実施例6と同じようにリチウム二次電池を製造した。
【0141】
(実施例10)
LiCoO正極活物質85重量%、カーボンブラック導電剤5重量%、およびポリビニリデンフルオライドバインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して正極活物質スラリーを製造し、この正極活物質スラリーを厚さ15μmのアルミニウム集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して正極を製造した。
【0142】
実施例1によって製造された添加剤20重量%、黒鉛負極活物質65重量%、カーボンブラック導電剤5重量%、およびポリビニリデンフルオライドバインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して負極活物質スラリーを製造し、この負極活物質スラリーを厚さ10μmの銅集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して負極を製造した。
【0143】
前記製造された正極と製造された負極の間にポリエチレンセパレータを位置させた後、巻き取ってゼリーロールを製造した。前記製造されたゼリーロールを18mmの直径と65mmの長さの円筒缶に挿入し、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、およびジエチルカーボネート(3:3:1体積比)混合溶媒に1モルのリチウム塩LiPFが溶解された電解液を注液して円筒形リチウム二次電池を完成した。
【0144】
(比較例5)
黒鉛負極活物質90重量%、ポリビニリデンフルオライドバインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して負極活物質スラリーを製造し、前記負極活物質スラリーを用いて負極を製造し、この負極活物質スラリーを厚さ10μmの銅集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して負極を製造した。
【0145】
前記負極を用いて実施例6の正極、電解液、およびセパレータを用い、実施例6と同じようにリチウム二次電池を製造した。
【0146】
(比較例6)
石油系ソフトカーボン非晶質炭素負極活物質85重量%、カーボンブラック導電剤5重量%、およびポリビニリデンフルオライドバインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して負極活物質スラリーを製造し、前記負極活物質スラリーを用いて負極を製造し、この負極活物質スラリーを厚さ10μmの銅集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して負極を製造した。
【0147】
前記負極を用いて実施例6の正極、電解液、およびセパレータを用い、実施例6と同じようにリチウム二次電池を製造した。
【0148】
(比較例7)
石油系ソフトカーボン非晶質炭素負極活物質75重量%、活性炭10重量%、カーボンブラック導電剤5重量%、ポリビニリデンフルオライドバインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して負極活物質スラリーを製造し、前記負極活物質スラリーを用いて負極を製造し、この負極活物質スラリーを厚さ10μmの銅集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して負極を製造した。
【0149】
前記負極を用いて実施例6の正極、電解液、およびセパレータを用い、実施例6と同じようにリチウム二次電池を製造した。
【0150】
(比較例8)
石油系ソフトカーボン非晶質炭素負極活物質75重量%、グラフェンナノシート10重量%、カーボンブラック導電剤5重量%、およびポリビニリデンフルオライドバインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して負極活物質スラリーを製造し、この負極活物質スラリーを厚さ10μmの銅集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して負極を製造した。
【0151】
前記負極を用いて実施例6の正極、電解液、およびセパレータを用い、実施例6と同じようにリチウム二次電池を製造した。
【0152】
(比較例9)
LiCoO正極活物質85重量%、カーボンブラック導電剤5重量%、およびポリビニリデンフルオライドバインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して正極活物質スラリーを製造し、前記正極活物質スラリーを厚さ15μmのアルミニウム集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して正極を製造した。
【0153】
黒鉛負極活物質90重量%およびポリビニリデンフルオライドバインダー10重量%をN−メチルピロリドン溶媒中で混合して負極活物質スラリーを製造し、この負極活物質スラリーを厚さ10μmの銅集電体にコーティングした後、乾燥および圧延して負極を製造した。
【0154】
前記製造された正極と製造された負極の間にポリエチレンセパレータを位置させた後、巻き取ってゼリーロールを製造した。前記製造されたゼリーロールを18mmの直径と65mmの長さの円筒缶に挿入し、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、およびジエチルカーボネート(3:3:1体積比)混合溶媒に1モルのリチウム塩LiPFが溶解された電解液を注液して円筒形リチウム二次電池を完成した。
【0155】
前記実施例3〜5および比較例1〜4によって製造されたリチウム二次電池を1Cで充放電を実施し、その1C初期充放電効率を下記表1に記載した。
【0156】
【表1】
【0157】
前記表1において、黒鉛負極活物質を用いる比較例1の場合、1C初期充放電効率が最も優れていることが確認された。すなわち、黒鉛負極活物質を用いた比較例1の場合、黒鉛が他の炭素材に比べて不可逆容量が小さいため、1C充放電で91%の高い充放電効率を表している。
【0158】
また、石油系ソフトカーボン負極活物質を用いた比較例2の場合、1C初期充放電効率が77.5%程度と比較例1よりも低く表れた。
【0159】
同時に、実施例1によって製造された添加剤を含む実施例3〜5の場合は、比較例1および2よりは1C充放電効率が多少低く表れたことが分かる。
【0160】
活性炭添加剤を用いた比較例3の場合、1400m/gの比表面積が極めて大きくてSEI反応が極めて活発に起こることにより、充放電効率が極めて低く表れた。また、グラフェンナノシート(graphene nanosheet)添加剤を用いた比較例4の場合も、SEI反応が極めて活発に起こることにより、充放電効率が極めて低く表れたことが分かる。
【0161】
前記実施例6〜10および比較例6〜9によって製造されたリチウム二次電池を3.0Vカットオフ充電および4.3Vカットオフ放電条件で、充放電速度を1C、5C、20C、50Cに変更しながら充電および放電を各充放電速度で1回ずつ実施した。この充放電実験は5Cで充放電を実施した後、再び1Cでフル充電(full charge)した後に20Cで放電し、再び1Cでフル放電(full discharge)した後に20Cで1回充放電を実施し、1Cでフル充電した後に50Cで放電し、再び1Cでフル放電した後に50Cで1回充放電を実施する方式によって実施した。
【0162】
充電および放電による容量を測定し、1Cに対する5C、10C、および20Cにおける充電および放電容量パーセントをそれぞれ計算し、充電特性および放電特性として下記表2〜4にそれぞれ記載した。また、6Cで500回充放電を実施し、1回充放電時の放電容量に対する500回充放電時の放電容量のパーセントを計算し、下記表2〜4にサイクル寿命特性として示した。下記表2〜4に示す放電特性は、前記実験条件で1Cでフル充電した後の各放電速度における放電特性を示したものである。
【0163】
【表2】
【0164】
前記表2に示すように、実施例1によって製造された添加剤を含む負極を用いた実施例6および7のリチウム二次電池が、高率充放電特性および高率サイクル寿命特性が活性炭とグラフェンナノシートをそれぞれ添加剤として用いた比較例7および8に比べてより優れていることが確認された。
【0165】
比較例7および比較例8は添加剤として用いた活性炭内部のリチウム吸蔵とグラフェンナノシートの露出したエッジ面にリチウム陽イオンが吸蔵して多量のSEIが生成されるため、高率充放電特性およびサイクル寿命特性の結果が低調であることが確認された。
【0166】
特に50C充電特性を比較すれば、実施例6および7の場合には充電特性が得られたために充電がなされることが分かるが、比較例7および8の場合には50C充電特性がまったく表れない、すなわち50C充電がまったくなされないことが分かる。
【0167】
この結果から、実施例6および7のリチウム二次電池が比較例7および8に比べて高率充放電特性が極めて優れていることが分かる。
【0168】
【表3】
【0169】
前記表3に示すように、実施例1によって製造された添加剤を含む負極を用いた実施例8および9のリチウム二次電池が、比較例6によって製造されたリチウム二次電池に比べて高率充放電性能およびサイクル寿命特性が優れていることが確認された。前記表3に示すように、比較例6の場合にも比較例7および8のように50C高率充電特性は得られないことが分かる。
【0170】
また、実施例1によって製造された添加剤を20重量%含む実施例9が添加剤を10重量%含む実施例8よりも高率充放電性能およびサイクル寿命特性がさらに優れていることが分かる。
【0171】
【表4】
【0172】
前記表4に示すように、比較例9の場合、高率充放電特性が極めて良くないことが分かる。比較例9は正極および負極に添加剤を用いずに黒鉛負極活物質を用いた一般的なリチウム二次電池であり、黒鉛負極活物質の構造的な特性ために高率充放電特性が極めて劣化したものと見られる。
【0173】
一般に、炭素の結晶化度が高いほど、炭素材内部に空間がなくて密度が高く、結晶面の配向性(orientation)が良く、リチウム陽イオンの挿入能力が良く、放電特性は優れているが、相対的に充電特性が放電特性に比べて良くない。
【0174】
このような充電特性が放電特性よりも良くない特性は、低率充放電よりも高率充放電時に問題となる。結果的に、前記表4に示すように、比較例9は50C充電特性だけでなく20C充電特性も得られない、すなわち高率充電特性が極めて劣化することが分かる。また、このような高率充電特性が良くないことにより、6Cサイクル寿命特性も得られなかった。
【0175】
これに対し、前記表4に示すように、実施例1で製造された添加剤を負極にのみ用いた実施例10の場合、充電特性が良くない黒鉛負極活物質を用いたにも係わらず、高率充放電特性が得られながらサイクル寿命特性が改善されることが分かる。
【0176】
本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、相違する多様な形態で製造されることができ、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更せずに異なる具体的な形態で実施することができるということを理解できるはずである。したがって、以上で記述した実施例はすべての面において例示的なものであり、限定的なものではないものと理解しなければならない。
図2B
図1
図2A