(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記照明形状を交換する段階は、前記補正絞り(17;26;40)の変更に加えて、像視野にわたる前記照明の均一性を適応させるための更に別の補正要素(41)の適用又は交換を実施する段階を伴うことを特徴とする請求項8に記載の方法。
投影の前に照明及び結像光(8)の部分遮光のための補正絞り(17;26;40)の絞り縁部(19;25;38、39)が、結像光学アセンブリ(16)の構成要素での該照明及び結像光(8)の反射の結果として生じる歪曲収差が少なくとも部分的に補償されるように調節されていることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、冒頭で言及した種類の投影露光装置をその照明パラメータ、特に、歪曲、テレセントリック性、及び楕円度の照明パラメータが改善されるような方法で開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する投影露光装置を用いて本発明により達成される。
【0007】
本発明によると、照明光学ユニットの照明パラメータ、特に、対物面の上流の結像光学群の歪曲効果には、補正絞りの絞り縁部を用いて影響を与えることができることが認識されている。これは、これらのパラメータの所定値からの偏差が最小にされるような方法でこれらのパラメータを最適化するのに利用することができる。従って、絞り縁部の形態は、特に、対物面の上流の結像光学アセンブリによって引き起こされる歪曲収差の事前補償のために事前に定めることができる。特に、照明光学ユニットの瞳ファセットミラーの遮光は、対物面の上流の結像光学アセンブリの異なる形状及び異なる照明環境に適応させることが可能である。一例として、補正絞りの絞り縁部の楕円形縁部輪郭は、これに対応して楕円形に予備成形された光線ビームと対物面の上流にある下流の結像光学アセンブリの歪曲効果との組合せが、物体視野の視野点の照明の望ましい回転対称照明角度分布をもたらすという結果を有する可能性がある。
【0008】
請求項2及び請求項3に記載の補正絞りの配置は、投影露光装置の照明光学ユニットの構造条件によっては好ましいものである。
【0009】
請求項4に記載の瞳ファセットミラーは、物体視野にわたる照明手段分布の所定の事前設定を可能にする。
【0010】
請求項5に記載の遮光は、この場合の絞り縁部を個々のファセットの形態に適応させる必要なしに投影露光装置の照明パラメータの精密な事前設定を可能にする。この種類の絞り縁部は、比較的少ない経費で製造することができる。
【0011】
補正絞りの歪曲補正の特性は、視野ファセットミラーを有する請求項6に記載の照明光学ユニットの構成において特に良好に現れる。
【0012】
請求項7に記載の弓形視野ファセットは、一般的に、照明される弓形物体視野に関連して用いられる。弓形視野は、多くの場合に、対物面の上流の結像光学アセンブリの一部である請求項8に記載のかすめ入射のためのミラー(かすめ入射ミラー)によって生成される。補正絞りは、特に、かすめ入射のためのこのミラーによって引き起こされる歪曲効果が補償されることを保証する。
【0013】
請求項9に記載の投影露光装置では、補正絞りは、瞳ファセットミラーと合わせて構造ユニットとして構成することができる。この構造ユニットは、特に、瞳ファセットミラーに接続されて1つの同じ瞳ファセットミラーと共に異なる補正絞りを用いることを可能にする補正絞り交換可能ホルダを含むことができる。交換可能ホルダは、代替的に、瞳ファセットミラーとは独立した構成要素とすることもできる。
【0014】
請求項10に記載の補正区画は、本発明による補正絞りの特に単純な構成である。絞りの未補正周方向輪郭は、未補正絞りの絞り縁部から出射し、視野、すなわち、例えば、照明又は投影光学ユニットの物体視野又は像視野の中心を通って延びる光線によって定めることができる。角度空間におけるこれらの光線、すなわち、照明角度分布の周辺光線が、単純な幾何学形態、すなわち、例えば、主光線方向の周囲の正円、複数の円、正方形、楕円、台形、矩形、正弦曲線又は余弦曲線形態によって表すことができる限りは、まだ未補正の周方向輪郭が存在する。補正絞りの周方向輪郭が、より大きな未補正周方向輪郭から外れる補正量は、特に、部分的に遮光される光源像の直径の一部分の領域に収まる。この場合、補正量は、特に、光源像の直径の1%と90%の間で変更することができる。補正量は、好ましくは、光源像の直径の10%と80%の間、より好ましくは、20%と70%の間、より好ましくは、30%と60%の間、より好ましくは、40%と50%の間にある。
【0015】
最初に言及した目的は、本発明により請求項11に規定した特徴を有する投影露光装置によって更に達成される。
【0016】
本発明によると、テレセントリック性及び楕円度の照明パラメータは、補正絞りの絞り縁部を用いて影響を与えることができることが更に認識されている。これは、これらのパラメータの所定値からの偏差を最小にするような方法でこれらのパラメータを最適化するのに利用することができる。従って、絞り縁部の形態は、特に、物体視野の照明のテレセントリック性及び楕円度の補正に向けて事前に定めることができる。特に、瞳ファセットミラーの遮光は、放射線源の異なる形状及び異なる照明環境に適応させることができる。この遮光は、瞳ファセットミラーの個々のファセット自体が遮光されるように、瞳ファセットミラーの直近で達成することができる。代替として、補正絞りは、瞳ファセットミラーに隣接して配置するのではなく、瞳ファセットミラーに対して共役な瞳平面の領域に配置することができる。これらの場合の各々において、一部の個々のファセット又はこれらの個々のファセットに割り当てられた一部の光源像のいずれかは、1つの同じ絞り縁部によって部分的に遮光される。
【0017】
請求項12及び請求項13に記載の構成の利点は、請求項9及び請求項10を参照して上記に既に説明したものに対応する。
【0018】
テレセントリック性及び楕円度の照明パラメータから成る厳しい要件は、請求項14に記載の補正プロフィールによって満たすことができる。請求項10に関して上記に提供した説明は、連続する補正プロフィールが未補正周方向輪郭から外れる最大補正量に適用可能である。
【0019】
請求項15に記載の未補正周方向輪郭の事前設定は、補正絞りの絞り縁部プロフィールの構成のための最適化に対する開始値を構成する。対応する最適化方法は、容易に取り扱い可能な計算複雑度で実施することができる。代替として、補正絞りの周方向輪郭の未補正周方向輪郭からの段階的偏位も可能である。請求項10に関して上記に提供した説明は、絞りの未補正周方向輪郭及び補正量の相対サイズに関連して適用可能である。
【0020】
請求項16に記載の調節可能な補正絞りは、テレセントリック性及び楕円度の照明パラメータの精密な調節及び従って精密な最適化を可能にする。
【0021】
請求項17に記載の補正絞りは、特に単純な構成を有する。特に、そのような絞りを用いて、所定のフィルファクタ(fill factor)を有する従来の設定が可能である。
【0022】
請求項18に記載の補正絞りは、テレセントリック性及び楕円度の照明パラメータに関して補正された環状照明環境を保証する。ここでもまた、絞り縁部の少なくとも1つの形態は、特に、照明のテレセントリック性及び楕円度の補正に向けて事前に定められる。
【0023】
請求項19に記載の補正絞りを用いると、補正された双極、四重極、又は他の多極設定を生成することができる。他の補正された照明環境も可能である。この変形でも、絞り縁部の少なくとも1つの形態は、特に、照明のテレセントリック性及び楕円度の補正に向けて事前に定めることができる。
【0024】
請求項20に記載の投影露光装置は、特に高い分解能及び従って非常に細かい物体構造の転送を可能にする。EUV光又は放射線源の有用な放射線は、例えば、10と30nmの間の波長を有する。
【0025】
本発明に不可欠な構成要素は補正絞りであり、これは、次に、照明光学ユニットの構造ユニットに統合することができる。従って、本発明の目的は、請求項21に記載の照明光学ユニットによって既に達成することができ、これは、適切な場合には、従来技術から既に公知の投影光学ユニットと共に組み合わされる。この場合、請求項11に記載の構成も補正絞りとして用いることができる。
【0026】
本発明の更に別の目的は、異なるEUV放射線源に基づいて、同時にテレセントリック性及び楕円度補正された照明の間で変更することができる投影露光装置のための作動方法を規定することである。
【0027】
この目的は、本発明により請求項22に記載の作動方法を用いて達成される。例えば、光スループットから成る要件に依存して、投影露光装置は、異なるEUV放射線源又は異なる集光器を用いて作動させることができる。放射線源及び集光器の両方を含む照明モジュールは、交換することもできる。用いられ、かつ対応する照明モジュール内に収容された照射源に依存して、この照射源に適応させた補正絞りが用いられる。補正絞りはまた、1つの同じ放射線源の場合に異なる照明環境を事前に定めるために交換することができる。従って、照明環境の交換は、第1の照明形状(illumination geometry)の第2の照明形状との交換を構成する。
【0028】
これより以下で均一性補正要素とも呼ぶ請求項23に記載の補正要素の適応又は交換により、照明形状の変更が最初に像視野にわたる照明の均一性に対して望ましくない影響を有する場合であっても、照明形状の交換の後に最適化された像視野照明を保証することができる。均一性補正要素は、次に、像視野にわたる均一性が所定限度内に留まることを保証する。補正絞り及び均一性補正要素の設計では、テレセントリック性、楕円度、及び均一性が所定許容限度内に収まるまで、適切な場合には反復処理が行われる。
【0029】
本発明による投影露光装置が請求項24に記載の微細構造素子の製造に用いられる時には、従来技術と比較してより良好に制御可能なテレセントリック性及び楕円度の照明パラメータに起因してより高い構造分解能が可能である。
【0030】
請求項25に記載の方法の利点は、請求項1から請求項10に記載の投影露光装置を参照して上記に既に説明したものに対応する。
【0031】
本発明の例示的な実施形態を図面を参照して以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】EUV投影マイクロリソグラフィのための投影露光装置を通じる子午断面の概略図である。
【
図2】EUV放射線源による視野ファセットミラーの表面上のエネルギ分布の表示を有する
図1による投影露光装置の照明光学ユニットの視野ファセットミラーの拡大縮尺における平面図である。
【
図3】EUV放射線源による瞳ファセットミラーの表面上のエネルギ分布の表示を有する
図1による投影露光装置の照明光学ユニットの瞳ファセットミラーの拡大縮尺における平面図である。
【
図4】投影露光装置の照明光学ユニットによって照らされる物体視野の視野中心における入射瞳の走査積分照明を示す図である。
【
図5】照明光学ユニットの瞳平面内又はそれに隣接して配置された絞りの
図4による照明に対する効果を示す図である。
【
図6】
図1による投影露光装置の第1のEUV放射線源の照明光学ユニットの中間焦点におけるエネルギ分布を示す図である。
【
図7】
図6によるEUV放射線源による視野ファセットミラーの表面上のエネルギ分布の表示を有する
図2による視野ファセットミラーを示す図である。
【
図8】
図6によるEUV放射線源によって生成される照明光学ユニットの瞳ファセットミラー上のエネルギ分布を示す図である。
【
図9】
図6によるEUV光源によって物体視野の視野中心において生成される入射瞳の走査積分照明を示す図である。
【
図10】照明光学ユニットの瞳平面内又はそれに隣接して配置された絞りの更に別の実施形態の
図9による照明に対する効果を
図5と同様の図で示し、補正絞りのプロフィールに加えて未補正絞りのプロフィールを同様に再現した図である。
【
図11】
図10による未補正絞り及び補正済み絞りの内側絞り縁部のプロフィールを再現する極座標グラフである。
【
図12】未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における物体視野の位置に対する均一性の依存性を示す図である。
【
図13】未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における物体視野の位置に対するフィルファクタσの依存性を示す図である。
【
図14】未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における物体視野の位置に対するx−テレセントリック性の依存性を示す図である。
【
図15】未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における物体視野の位置に対するy−テレセントリック性の依存性を示す図である。
【
図16】未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における物体視野の位置に対する楕円度0/90の依存性を示す図である。
【
図17】未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における物体視野の位置に対する楕円度−45/45の依存性を示す図である。
【
図18】EUV放射線源の更に別の実施形態の場合の
図1による投影露光装置のEUV放射線源の照明光学ユニットの中間焦点におけるエネルギ分布を示す図である。
【
図19】
図18によるEUV放射線源による視野ファセットミラーの表面上のエネルギ分布の表示を有する
図2による視野ファセットミラーを示す図である。
【
図20】
図18によるEUV放射線源によって生成される照明光学ユニットの瞳ファセットミラー上のエネルギ分布を示す図である。
【
図21】
図18によるEUV光源によって物体視野の視野中心において生成される入射瞳の走査積分照明を示す図である。
【
図22】照明光学ユニットの瞳平面内又はそれに隣接して配置された絞りの更に別の実施形態の
図18による照明に対する効果を
図10と同様の図で示す図である。
【
図23】
図22による未補正絞り及び補正済み絞りの内側絞り縁部のプロフィールを再現する極座標グラフである。
【
図24】
図22による未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における物体視野の位置に対する均一性の依存性を示す図である。
【
図25】
図22による未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における物体視野の位置に対するフィルファクタの依存性を示す図である。
【
図26】
図22による未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における物体視野の位置に対するx−テレセントリック性の依存性を示す図である。
【
図27】
図22による未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における物体視野の位置に対するy−テレセントリック性の依存性を示す図である。
【
図28】
図22による未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における物体視野の位置に対する楕円度0/90の依存性を示す図である。
【
図29】
図22による未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における物体視野の位置に対する楕円度−45/45の依存性を示す図である。
【
図30】
図1による投影露光装置における使用のための視野ファセットミラーの更に別の実施形態を角度依存放射による面発光器の形態にあるEUV放射線源と共に例示する平面図である。
【
図31】
図30による面発光器による瞳ファセットミラーの更に別の実施形態の照明を
図3と同様の図で示す図である。
【
図32】
図30による面発光器によって物体視野の中心において照らされる入射瞳の走査積分照明を
図4と同様の図で示す図である。
【
図33】照明光学ユニットの瞳平面内又はそれに隣接して配置された絞りの更に別の実施形態の
図30による照明に対する効果を
図10と同様の図で示す図である。
【
図34】
図33による未補正絞り及び補正済み絞りの内側絞り縁部のプロフィールを再現する極座標グラフである。
【
図35】未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における
図30による面発光器を用いて照らされる物体視野の位置に対する均一性の依存性を示す図である。
【
図36】未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における
図30による面発光器を用いて照らされる物体視野の位置に対するフィルファクタの依存性を示す図である。
【
図37】未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における
図30による面発光器を用いて照らされる物体視野の位置に対するx−テレセントリック性の依存性を示す図である。
【
図38】未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における
図30による面発光器を用いて照らされる物体視野の位置に対するy−テレセントリック性の依存性を示す図である。
【
図39】未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における
図30による面発光器を用いて照らされる物体視野の位置に対する楕円度0/90の依存性を示す図である。
【
図40】未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における
図30による面発光器を用いて照らされる物体視野の位置に対する楕円度−45/45の依存性を示す図である。
【
図41】リング補正絞りの未補正及び補正済み内側及び外側絞り縁部、及び
図1の投影露光装置における使用のための瞳ファセットミラーの更に別の実施形態に対する効果を
図10と同様の図で示す図である。
【
図42】
図41による未補正絞り及び補正済み絞りの内側絞り縁部のプロフィールを再現する極座標グラフである。
【
図43】
図41による未補正の及びそれぞれ補正済みの補正絞りを用いた時の未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における物体視野の位置に対するx−テレセントリック性の依存性を示す図である。
【
図44】
図41による未補正の及びそれぞれ補正済みの補正絞りを用いた時の未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における物体視野の位置に対するy−テレセントリック性の依存性を示す図である。
【
図45】
図41による未補正の及びそれぞれ補正済みの補正絞りを用いた時の未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における物体視野の位置に対する楕円度0/90の依存性を示す図である。
【
図46】
図41による未補正の及びそれぞれ補正済みの補正絞りを用いた時の未補正絞り縁部のプロフィール及び補正済み絞り縁部のプロフィールの場合における物体視野の位置に対する楕円度−45/45の依存性を示す図である。
【
図47】付加的な補正要素を有するEUV投影マイクロリソグラフィのための投影露光装置を
図1と同様の図で示す図である。
【
図48】
図47による投影露光装置の照明光学ユニットにおける使用のための視野ファセットミラーを補正要素と共に
図2と同様の図において拡大縮尺で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、マイクロリソグラフィのための投影露光装置を子午断面で略示している。投影露光装置1の照明システム2は、放射線源3に加えて、対物面5内の物体視野を露光するための照明光学ユニット4を有する。この場合、物体視野に配置された図面には示していないレチクルが露光される。投影光学ユニット6は、物体視野を像平面7の像視野内に結像するように機能する。レチクル上の構造は、像平面7内の像視野領域に配置されて同じく図面には示していないウェーハの感光層上へと結像される。
【0034】
例示を容易にするために、
図1には、直交xyz座標システムを示している。
図1では、x方向は、作図面に入り込むように作図面に対して垂直に延びている。
図1では、y方向、すなわち、レチクル及びウェーハの走査方向は、左に向って延びている。
図1では、z方向は、上に向って延びている。例示しているEUV放射線8は、x=0において対物面5に入射する。
【0035】
放射線源3は、放射される有用な放射線が10nmと30nmの範囲にあるEUV放射線源である。放射線源3から出射するEUV放射線8は、集光器9によって集光される。対応する集光器は、EP1,225,481Aから公知である。集光器9の下流では、EUV放射線8は、視野ファセットミラー11上に入射する前に中間焦点面10を通って伝播する。以下では、EUV放射線8を照明及び結像光とも呼ぶ。
【0036】
図2は、視野ファセットミラー11の拡大平面図を示している。視野ファセットミラー11は、列と行で配置された複数のファセット群12を含み、更にこのファセット群の各々は、複数の湾曲した個々のファセット13を含む。視野ファセットミラー11は、個々のファセット13の個数に関して異なる複数の異なる種類のファセット群12から構成される。例えば、
図2の左下に示している視野ファセット群12aは、9個の個々のファセット13へと細分化される。他の視野ファセット群12は、より多い又はより少ない個々のファセット13を有する。集光器9によって生成される中心遮光に起因して、視野ファセットミラー11の中心領域は、視野ファセットを持たない。
【0037】
視野ファセットミラー11から反射されるEUV放射線8は、多数の放射線部分ビームから構成され、各部分ビームは、特定の個々のファセット13によって反射される。更に、各部分ビームは、部分ビームに割り当てられた瞳ファセットミラー15の個々のファセット14(
図3を参照されたい)に入射する。瞳の個々のファセット14は円形であり、特に瞳ファセットミラー15の中心において六方最密充填として存在するように、その配列において高密充填される。視野ファセットミラー11を用いて、瞳ファセットミラー15の個々のファセット14の場所に2次光源が生成される。瞳ファセットミラー15は、投影光学ユニット6の瞳平面に一致するか又はそれに対して光学的に共役な照明光学ユニット4の平面に配置される。従って、瞳ファセットミラー15上でのEUV放射線8の強度分布は、対物面5内の物体視野の照明の照明角度分布と直接相関する。
【0038】
瞳ファセットミラー15及び転送光学ユニット16の形態にある結像光学アセンブリを用いて、視野ファセットミラー11の視野の個々のファセット13が、対物面5内に結像される。転送光学ユニット16は、瞳ファセットミラー15の下流に配置された3つの反射ミラー16a、16b、及び16cを有する。
【0039】
視野ファセットミラー11の場合の視野の個々のファセット13は、照明される物体視野の形態を有する。そのような視野ファセットは、例えば、US6、452、661及びUS6、195、201から公知である。
【0040】
補正絞り17は、瞳ファセットミラー15の反射面に隣接して配置される。照明光学ユニット4を通過するEUV放射線8は、補正絞り17を通過すべきである。
図1によるEUV放射線8のビーム経路では、EUV放射線8は、補正絞り17を2度通過する。EUV放射線は、通路開口部18を通過するEUV放射線のみが補正絞り17によって透過されてEUV放射線8の残りが遮蔽されるように、補正絞り17によって遮蔽される。
【0041】
図5は、第1の実施形態の補正絞り17を示している。補正絞り17は、厳密に1つの絞り縁部19によって境界が定められた中心通路開口部18を有する。2時の位置と3時の位置の間において、絞り縁部19は、通路開口部18内に部分円の形態で突出する補正区画20を有する。
【0042】
補正区画20を除いては、補正絞り17の通路開口部18は円形である。通路開口部18の周方向輪郭、すなわち、この場合半径が、通路開口部18のより大きい半径から外れ、そこで小さくなるのは補正区画20の領域内でのみである。
【0043】
更に
図5は、補正絞り17の対物面5内の中心物体視野点の照明に対する効果を示している。この図は、通路開口部18の内部に対物面5内の中心物体視野点(x=0)の入射瞳の走査積分照明を示している。この物体視野点の補正絞り17を用いない走査積分照明全体を
図4に示している。従って、
図4の図は、EUV放射線8の放射線部分ビームが、瞳の個々のファセット14によって表される照明方向のうちのどの方向からどれ程のエネルギ又は強度で対物面を通じてx=0においてy方向に走査される対物面5内のレチクル点に入射するかを示している。
【0044】
投影露光装置1はスキャナ型のものである。これは、対物面5内のレチクル及び像平面7内のウェーハの両方が投影露光装置1の作動中にy方向に連続して移動されることを意味する。
【0045】
更に、
図2は、EUV放射線8が個々のファセット13のファセット群12上に入射する際の強度又はエネルギ(I/E)を示している。放射線源3の面的分布及び集光器9の結像効果に起因して、視野ファセットミラー11上のEUV放射線8の強度又はエネルギ入射は、完全には均一ではなく、
図2の右のI/rグラフ内に示しているように、視野ファセットミラー11の半径rにわたって最大値I
maxと最小値I
minの間で異なる。
図2には、視野ファセットミラー11の平面図とI/rグラフの間に異なるハッチング領域へと細分化した垂直のI
relを示している。ハッチングが高密である程、相対強度I
relは、これらのハッチングに従って視野の個々のファセット13上で常に高くなる。これは、対応するI
rel棒グラフを示しているその後の図において同様に当て嵌まることである。
【0046】
この場合、最大値は、小さい半径の領域、すなわち、視野ファセットミラー11の内側領域で得られ、最小値は、大きい半径の領域、すなわち、視野ファセットミラー11の外側領域で得られる。放射線源3及び集光器9の仕様に依存して、比I
max/I
minは異なるものとすることができる。実際には、1.05と10の間の比I
max/I
minが可能である。
図2で右に示しているグラフは、半径rにわたる強度又はエネルギI/Eの分布を略示している。この強度又はエネルギは、半径が大きくなる時に連続的に低減する。
【0047】
視野ファセットミラー11の個々のファセット13上に入射する異なるエネルギ又は強度に起因して、エネルギ又は強度を伝送するEUV放射線の異なる放射線部分ビームが、瞳の個々のファセット14にも入射する。これは、
図3における瞳の個々のファセット14の異なる表示で見分けられる。視野の個々のファセット13は、隣接する視野の個々のファセット13が、互いに大きく分離して位置する瞳の個々のファセット14を照明するように向きが定められるので、異なるエネルギ又は強度を有するEUV放射線8の放射線部分ビームは、一般的に、隣接する瞳の個々のファセット14上に入射する。
【0048】
瞳の個々のファセット14上への放射線部分ビームの入射は、理想的には、全ての放射線部分ビームの重ね合わせのエネルギ又は強度重心が投影光学ユニット6の入射瞳の中心に正確に位置し、同じエネルギ又は強度が投影光学ユニット6の入射瞳の任意の表面区画、特に、任意の4つの象限(quadrant)又は一般的に任意の区画上に入射するようなものである。
【0049】
テレセントリック性は、エネルギ又は強度の重心位置に対する測定変数として用いられる。
【0050】
照らされる物体視野の各視野点では、この視野点に割り当てられた光束の重心光線が定められる。この場合、重心光線は、この視野点から出射する光束のエネルギ重み付きの方向を有する。理想的には、各視野点において、重心光線は、照明光学ユニット4又は投影光学ユニット6によって事前に定められた主光線に対して平行に延びている。
【0051】
主光線の方向s
ρ0(x、y)は、照明光学ユニット4又は投影光学ユニット6の設計データに基づいて既知である。主光線は、視野点において、この視野点と投影光学ユニット6の入射瞳の中心点との間を結ぶ線によって定められる。対物面5内の物体視野内の視野点x、yにおける重心光線の方向は、次式で計算される。
【0053】
E(u、v、x、y)は、瞳座標u、vに依存し、すなわち、対応する視野点x、yから見た照明角度に依存する視野点x、yにおけるエネルギ分布である。ここで、
【0055】
は、点x、y上に入射する総エネルギである。
【0056】
図3に示している例では、例えば、中心物体視野点x
0、y
0では、それぞれの瞳の個々のファセット14の位置によって定められる方向u、vからの放射線部分ビームの放射が見える。この照明の場合、重心光線sは、瞳の個々のファセット14に割り当てられた放射線部分ビームの異なるエネルギ又は強度が合成されて全ての瞳の個々のファセット14にわたって積分された主光線方向に対して平行に延びる重心光線方向を形成する時にのみ主光線に沿って延びている。これは、理想的な場合にのみ現れる。実際には、重心光線方向s
ρ(x、y)と主光線方向s
ρ0(x、y)の間に偏差が存在し、この偏差をテレセントリック性誤差t
ρ(x、y)と呼ぶ。
【0058】
投影露光装置1の実際の作動中には、特定の物体視野の場合の静的テレセントリック性誤差を補正する必要はなく、x=x
0において走査積分されるテレセントリック性誤差を補正すべきである。走査積分テレセントリック性誤差は、次式になる。
【0060】
従って、補正されるのは、走査中に対物面5内の物体視野を通って進むレチクル上の点(x、例えば、x
0)が、エネルギ重み付き方式の積分方式で被るテレセントリック性誤差である。この場合、x−テレセントリック性誤差とy−テレセントリック性誤差の間の区別がつけられる。x−テレセントリック性誤差は、重心光線の主光線からの走査方向に対して垂直な偏差として定められる。y−テレセントリック性誤差は、重心光線の主光線からの走査方向の偏差として定められる。
【0061】
図4は、走査中に、点x=0、すなわち、物体視野中心に入射するエネルギの角度u、vに依存する分布20bを示している。すなわち、この図は、x=0、すなわち、物体視野中心におけるE’(u、v、x)=∫dyE(u、v、x、y)を示している。
【0062】
図5は、
図4によるこの走査積分照明に対する補正絞り17の効果を示している。補正区画20は、高いエネルギ又は強度で走査積分照明に寄与する瞳の個々のファセット14を区画的に遮蔽する。従って、補正区画20は、重心光線方向及び従ってテレセントリック性誤差の有効な補正をもたらす。
【0063】
テレセントリック性誤差に加えて、楕円度は、対物面5内の物体視野の照明品質を評価するための更に別の測定変数である。この場合、楕円度の判断は、投影光学ユニット6の入射瞳にわたるエネルギ又は強度の分布に関するより正確な説明を可能にする。この目的のために、入射瞳は8つの八分円に細分化され、
図3では、これらの八分円を数学的な慣例としてO
1からO
8まで反時計回りに連続して番号を振っている。以下では、入射瞳の八分円O
1からO
8が視野点の照明に寄与するエネルギ又は強度の寄与は、エネルギ又は強度寄与I
1からI
8と呼ぶ。
【0064】
以下の変数は、−45°/45°楕円度として表す。
【0066】
更に、以下の変数は、0°/90°楕円度として表す。
【0068】
テレセントリック性誤差に関して上記に提供した説明に対応する方式で、
図3による例にあるように、特定の物体視野点x
0、y
0に対して又はこれに代えて走査積分照明(x=x
0、yに関して積分)に対して楕円度を求めることができる。
【0069】
補正絞り17の補正区画20の効果は、補正絞り17を通過するEUV放射線8によって照らされる物体視野点が、主光線に対して平行な重心光線方向(テレセントリック性誤差=0)を有しながら走査積分方式で照らされ、入射瞳の全ての八分円O
1からO
8から物体視野点上に同じエネルギ又は強度が入射する(E
-45°/45°=E
0°/90°=1)というようなものである。
【0070】
投影露光装置1の場合、放射線源3及び集光器9を含む照明モジュール21は、投影露光装置1に適応させた異なる放射線源及び異なる集光器を含む交換照明モジュール22と交換することができる。投影露光装置1の例示していない実施形態では、放射線源3のみ又は集光器9のみを交換し、それぞれの他方の構成要素9、3が投影露光装置1に留まるようにすることも可能である。
【0071】
図6は、交換照明モジュール22により、中間焦点面10内に生成されるエネルギ分布を示している。これに関連付けられた放射線源3は、1つの長主軸及び等しい長さの2つの短主軸を有する楕円体の形態を有する。この場合、長軸は、集光器9と視野ファセットミラー11の間の光線方向に延びている。
【0072】
図7は、交換照明モジュール22を用いた照明によって生成された視野ファセットミラー11の半径にわたる強度又はエネルギI/Eの分布を示している。エネルギ又は強度は、視野ファセットミラー11の半径rにわたって最小エネルギ又は強度I
minと最大エネルギ又は強度I
maxとの間で変動する。
図2による分布に関連して上記に提供した説明は、比I
max/I
minに対しても成り立つ。
【0073】
図7による視野ファセットミラー11の照明は、
図8に略示している瞳ファセットミラー15の照明をもたらす。円形の瞳ファセット14内では、各場合にこれらの個々のファセット14の中心区画のみが照らされる。個々のファセット14のこの中心の照明を光源像とも呼ぶ。投影光学ユニット6の入射瞳内には、物体視野点x=0に対する照明22aが走査積分方式で発生し、これを
図9に示している。
【0074】
図10は、周方向区画内のある一定の領域にのみ示している未補正(uncorrected)絞り24の内側絞り縁部23全体を破線で、同じく周方向区画内のある一定の領域にのみ示している補正(correction)絞り26の内側絞り縁部25全体を実線で示している。
【0075】
図11は、絞り縁部23及び25の正確な半径プロフィールを極座標で拡大方式で示している。この場合、破線の余弦曲線半径プロフィール27は、未補正絞り24に関連する。大幅に調節され、半径プロフィール27と比較するとより高い周波数にある実線の半径プロフィール28は、補正絞り26に関連する。
図11による半径プロフィールは、
図10の9時の位置に位置する円周点−πで始まり、次に、内側絞り縁部23、25は、反計時方向に進む。π/2の少し前にある補正絞り26の半径プロフィール28の特徴的な大域的(global)最小点29は、
図10による図では、補正絞り26を領域毎に示している約1時の位置に見られる。
【0076】
未補正絞り24の周方向輪郭は、テレセントリック性誤差及び楕円度の両方ができる限り低い好ましい値であると仮定する補正絞り26の形態を計算するための最適化アルゴリズムの開始点を成す。補正絞り26のプロフィールは、絞り24の未補正周方向輪郭から絞り縁部に沿って補正量だけ連続的に外れている。
【0077】
σ=0.5を有する従来の照明環境は、絞り24、26を用いて達成することができる。σ=0.5は、投影光学ユニット6の最大可能開口半径の半分だけしか照らされないことを意味する。
【0078】
一方を未補正絞り24を有する投影露光装置1とした補正絞り26を有する投影露光装置1との性能比較をパラメータグラフに基づいて
図12から
図17に示している。各場合に、未補正絞り24を用いた時のパラメータ分布を実線で、補正絞り26を用いた時のパラメータ分布を破線で示している。各場合に、パラメータは、x=−50mmとx=50mmの間の走査積分方式で示している。
【0079】
図12は、走査積分方式におけるx=−50mmとx=50mmの間の視野位置に対する均一性の分布を示している。この場合、均一性は、放射線が入射して来る方向とは関係なく、物体視野点で走査積分方式で見られるエネルギ又は強度の積分を表している。
【0080】
図13は、σ値を示している。補正絞りを用いると、視野領域にわたって小さい偏差しか持たずに、0.5と0.502の間に設定を一定に保つことができることを明瞭に見ることができる。
【0081】
図14は、x−テレセントリック性をmradで示している。x−テレセントリック性は、重心光線の主光線からのx方向、すなわち、走査方向に対して垂直な偏差として定められる。補正絞り26を用いた時のx−テレセントリック性の変動範囲は、未補正絞り26を用いた時のx−テレセントリック性の変動範囲と比較して明らかに縮小していることを明瞭に識別することができる。補正絞り26を用いた時には、x−テレセントリック性は、物体視野にわたって−0.4mradと+0.4mradの間でしか変化しない。
【0082】
図15は、y−テレセントリック性を同じくmradで示している。y−テレセントリック性は、重心光線の主光線からの走査方向yの偏差として定められる。補正絞り26を用いた時には、y−テレセントリック性を事実上殆ど視野にわたって−0.2mradと0mradの間に保つことができる。
【0083】
図16は、楕円度E
0°/90°をパーセントで示している。未補正絞り24を用いた時でさえも良好なこの値では、補正絞り26を用いることによって有意な差は生じない。
【0084】
図17は、視野に対する楕円度E
-45°/45°の分布を示している。未補正絞り24と比較して補正絞り26の使用が楕円度値の帯域幅の有意な縮小を如何に引き起こすかを明瞭に見ることができる。補正絞り26を用いた時には、楕円度は99%と102%の間でしか変化しない。
【0085】
交換照明モジュール22’及び更に別の補正絞りの更に別の実施形態を
図18から
図29を参照して以下に説明する。
図1から
図17を参照して上記に既に説明したものに対応する構成要素は、同じ参照番号を有し、再度詳細に解説しないことにする。
【0086】
図18から
図29による実施形態の場合には、放射線源3のみが交換され、集光器9は交換されない。
【0087】
図18は、交換照明モジュール22’を用いた時の中間焦点面10内のエネルギ又は強度の分布を示している。交換照明モジュール22’の場合、放射線源3は楕円体の形態の発光器であり、その長主軸は、集光器9と視野ファセットミラー11との間で光線方向に対して垂直に延びている。
【0088】
交換照明モジュール22’の使用は、エネルギ又は強度I/Eによる視野ファセットミラー11の照明を生じ、これを
図19の右手のグラフに定性的に示している。エネルギ又は強度は、高いエネルギ又は強度I
maxと低いエネルギ又は強度I
minとの間で波状又は段階方式で低減する。
図2による強度I
min、I
maxに関連して上記に提供した説明は、この2つの強度の比においても成り立つ。
【0089】
図20は、交換照明モジュール22’が用いられた時の瞳ファセットミラー15の照明を
図8に対応する方式で略示している。
【0090】
図21は、瞳ファセットミラー15を通じての視野中心(x=0)における物体視野点の走査積分照明を
図9に対応する方式で示している。
【0091】
図22は、交換照明モジュール22’と連係する方式で構成された未補正絞り24及び補正絞り26を
図10による図に対応する方式で示している。
図23は、内側絞り縁部23(未補正絞り24)及び25(補正絞り26)の半径の極座標分布を
図11に対応する方式で示している。
【0092】
図24から
図29は、未補正絞り24と比較した補正絞り26の補正効果を
図12から
図17によるものに対応する図で示している。補正絞り26を用いた時には、x−テレセントリック性は、−0.5mradと0.5mradの間でしか変化しない。y−テレセントリック性は、0.1mradと0.55mradの間でしか変化しない。楕円度E
0°/90°は、100%と104%の間でしか変化しない。楕円度E
-45°/45°は、99%と103%の間でしか変化しない。
【0093】
交換照明モジュール22’’及び更に別の補正絞りを用いた投影露光装置の更に別の実施形態を
図30から
図40を参照して以下に例示する。
図1から
図29による実施形態を参照して上記に既に説明したものに対応する構成要素は、同じ参照番号を有し、再度詳細に解説しないことにする。
【0094】
交換照明モジュール22’’の場合には、角度依存放射を有する面発光器として構成された放射線源の使用が為される。
【0095】
図30から
図40による実施形態における視野ファセットミラー11の代わりに用いられる視野ファセットミラー30の個々のファセット29は、曲面ではなく、細長い矩形である。個々のファセット29は組み合わされて、矩形のファセット群31を構成する。
【0096】
図30から
図40による実施形態の場合、視野ファセットミラー30の個々のファセット29及びファセット群31は、対物面5内で照明される物体視野の形態を持たない。この実施形態では、物体視野の近くのミラー16cの代わりに対物面5内で照明視野を成形するミラー16c’が用いられる。この視野成形ミラー16’cによって生成される歪曲を補償するために、瞳ファセットミラー15の代わりに用いられる瞳ファセットミラー33の瞳の個々のファセット32は、瞳ファセットミラー15の場合のように原点34に対して回転対称に配置されず、補償方式で変形された方式で配置される。瞳ファセットミラー33の場合、この変形された方式での配列は、瞳の個々のファセット32の完全に同心ではないファセットリングでの配列により、ファセットリングの間の距離を
図31の原点34の下よりもこの原点の上で大きくすることによって達成される。
【0097】
瞳の個々のファセット32の分布に加えて、
図31は、視野ファセットミラーのEUV放射線8の放射線部分ビームに割り当てられた視野の個々のファセット29の
図30の右手側のグラフに示しているような異なるエネルギ又は強度を有する照明に起因して異なるエネルギ又は強度を有するこれらの放射線部分ビームによる瞳の個々のファセット32の照明も示している。
図2による視野ファセットミラー11の照明の場合のものと同様の方式で、
図30による視野ファセットミラー30の照明の場合にも、中心領域は、縁部領域よりも高いエネルギ又は強度で照らされる。強度又はエネルギ(I又はE)は、中心強度I
maxから縁部側強度又はエネルギI
minに向って連続的に低下する。
図2による照明の場合の対応する比に関連して上記に提供した説明は、比I
max/I
minにおいても成り立つ。
【0098】
図32は、次に、中心物体視野点(x=0)の走査積分照明を略示している。
図33は、一方で未補正絞り24の内側絞り縁部23、及び他方で補正絞り26の内側絞り縁部25を
図10に対応する方式で示している。
図34は、一方で未補正絞り24の半径プロフィール27、及び他方で補正絞り24の半径プロフィール28を
図11に対応する方式で極座標の図において示している。補正絞り26に特徴的なものは、極座標0、すなわち、
図33の3時の位置における更に別の局所的最大値である。この局所的最大値の結果、外側から見て第3のファセットリングに位置するこの局所的最大値の位置の瞳の個々のファセット29は、未補正絞り24を用いた時にほぼ半分に低減されるが、補正絞り26を用いた時には完全に透過される。
【0099】
図35から
図40は、均一性、設定、テレセントリック性、及び楕円度の光学変数の視野プロフィールを
図12から
図17に対応する方式で示している。
【0100】
補正絞り26を用いた時には、視野にわたって見られるように、設定された目標設定σ=0.6が僅かの偏差しか伴わずに常時得られる。未補正絞り24の使用と比較すると、補正絞り26の使用によって主にy−テレセントリック性が大幅に改善され、0からの僅かな偏差しか持たない。楕円度E
0°/90°及びE
-45°/45°の場合の変動範囲も、未補正絞り24の使用と比較すると、補正絞り26の使用によって低減される。
【0101】
図41から46は、補正絞り及びその効果の更に別の実施形態を示している。
図1から40に関連して既に上述したものに対応する構成要素は、同じ参照番号を有し、再度詳細に説明しない。
図41による実施形態の場合は、既に上述の照明モジュールの1つ、例えば、照明モジュール21が用いられる。
【0102】
図41は、環状照明環境を生成するために補正絞り17又は26の代わりに配置することができる未補正環状絞り37の内側絞り縁部35及び外側絞り縁部36を破線で示している。補正済み絞り37は、内側絞り縁部35と外側絞り縁部36の間のリング内でのみEUV放射線8を透過する。
【0103】
図41は、
図1による投影露光装置1において補正絞り17、26の代わりに用いることができる補正絞り40の内側絞り縁部38及び外側絞り縁部39を実線で示している。絞り縁部38、39は、リング形の通路開口部18aの境界を定める。
【0104】
一方で絞り縁部35、38の半径プロフィール27、28、及び他方で絞り縁部36、39の半径プロフィール27、28は、
図41でこれらの縁部を識別する線が領域毎に互いに重なって延びるほどの小さい程度でしか異ならない。未補正絞り37の半径プロフィール27と補正絞り40の半径プロフィール28との差は、−πとπの間の半径プロフィール27、28を示す
図42による極の図においてより明瞭になる。極角0、すなわち、
図41の3時の位置の場合、未補正絞り37は、内側絞り縁部35及び外側絞り縁部36の両方において、補正絞り40が内側絞り縁部38及び外側絞り縁部39において有するものよりも大きい半径を有する。これは、補正絞りが3時の位置の領域内で外側瞳の個々のファセット14の光をより少なく、内側瞳の個々のファセット14の光をより多く透過するという効果を有する。
【0105】
図43から
図46は、テレセントリック性及び楕円度の光学パラメータに対する補正絞り40の効果を
図14から
図17におけるものに対応するパラメータ図で示している。
【0106】
図43は、補正絞り40が用いられた時に、x−テレセントリック性が0.5mradと−0.5mradの間の僅かな間隔でしか変化しないことを示している。
【0107】
図44は、補正絞り40が用いられた時に、y−テレセントリック性が0mradと0.5mradの間でしか変化しないことを示している。
【0108】
図45は、補正絞り40を用いる時に、楕円度E
0°/90°が98.5%と103%の間でしか変化しないことを示している。
【0109】
図46は、補正絞り40を用いることにより、楕円度E
-45°/45°の変動も、未補正絞り37を用いた場合よりも狭い範囲、すなわち、96.5%と102.5%の間で変化することを示している。
【0110】
図1による投影露光装置1の光学設計に対する代替として、投影光学ユニット6は、その入射瞳が照明光学ユニット4の光学構成要素の領域内に位置するような方法で構成することができる。それによって瞳ファセットミラー15の領域内に共役な瞳平面を形成するための転送光学ユニット16の結像ミラー16a、16bを不要にすることができる。この場合、瞳ファセットミラー15は、投影光学ユニット6の入射瞳平面内に直接配置され、瞳ファセットミラー15から出射する光は、ミラー16cと同様の方式で配置された偏向ミラーを通じて対物面5に直接誘導される。
【0111】
補正絞り17、26、40は、瞳ファセットミラー15、33が配置された瞳平面に対して共役な瞳平面に配置することができる。この配置は、EUV放射線8が補正絞り17、26、40を一度だけ通過するもの、すなわち、前進及び戻り通過でなく通過するようなものとすることができる。
【0112】
補正絞り17、26、40は、瞳ファセットミラー15、33の少なくとも一部の瞳の個々のファセット14、32が、1つの同じ絞り縁部19、25、38、39によって部分的に遮光されるように瞳ファセットミラーを遮蔽する。
【0113】
補正絞り17は、静的絞り縁部19を有する。代替として、絞り縁部は、少なくとも補正区画20内でその半径を調節することができる。この調節は、例えば、双方向矢印20bの方向で通路開口部18内に導入するか又はそこから引っ込めることができる可動の舌状部20a(
図5を参照されたい)によって達成することができる。
【0114】
補正絞り26、40の絞り縁部28及び38、39は、それらの半径プロフィールを調節することができる。これは、セグメント化した設計、例えば、虹彩絞り方式での補正絞り26、40の構成、又は互いに独立して移動することができる縁部区画を有する補正絞り26、40の構成によって達成することができる。
【0115】
調節可能な環状補正絞り40の場合には、2つの絞り縁部のうちの1つのみを調節可能にすることができる。代替として、両方の絞り縁部、すなわち、内側絞り縁部及び外側絞り縁部を調節可能にすることができる。
【0116】
図1から
図46を参照して上記に説明してきた補正絞り17、26、40の方式の補正絞りは、従来設定又は環状設定に限定されない。同じ手法で特別に成形された境界縁部が装備された補正絞りを双極設定、四重極設定、多極設定、又はそうでなければいずれか他の特異な設定を設定するのに用いることができる。そのような設定の例はUS6,452,661B1に見出される。双極及び四重極補正絞りは、外側絞り縁部によって境界が定められたそれぞれ2つ及び4つの通路開口部を有する。本発明による補正絞りの場合には、例えば、US6,452,661B1によるものとは対照的に、絞り縁部のうちの少なくとも1つの形態は、照明のテレセントリック性及び楕円度の補正のために、瞳ファセットミラーの個々のファセットの部分遮光に向けて事前に定められる。
【0117】
図47は、投影露光装置1の更に別の例示的な実施形態を示している。以下では、この投影露光装置1を
図1に示しているものと異なる点に関してのみ説明する。
図47による投影露光装置1は、視野ファセットミラー11、30に隣接する均一性補正要素41を有する。この均一性補正要素は、例えば、EP1,291,721A1に説明されている方式で構成することができ、すなわち、複数の回転可能な個々のブレードを有することができる。代替として、均一性補正要素41は、US6,013,401A1に説明されている方式で構成することができる。均一性補正要素41は、視野ファセットミラー11、30に隣接して、すなわち、投影光学ユニット6の視野平面の領域に配置される。
図47には、均一性補正要素の別の位置41aを対物面5に隣接して示している。
【0118】
以下では、均一性補正要素41の更に別の変形を投影露光装置1において視野ファセットミラー11、30の代わりに用いることができる視野ファセットミラー42の更に別の実施形態に関連する
図48を参照して説明する。視野ファセットミラー42は、合計で312個の視野の個々のファセット43へと細分化される。視野の個々のファセット43は、視野ファセットミラー11、30の視野の個々のファセットと同じく、視野ファセットミラー42の担持構造(示していない)内に装着される。視野の個々のファセット43は矩形であり、視野の個々のファセット43の短辺は、走査方向yに沿って延び、長辺は、それに対して垂直、すなわち、x方向に沿って延びている。
【0119】
図48は、内側照明半径44と外側照明半径45の間の視野ファセットミラー42の環状照明を例示的に略示している。
【0120】
視野の個々のファセット43は、4つの列と72の行に細分化される。視野の個々のファセット43は、上下に配置されたブロックで配置され、各々は、13個の視野の個々のファセット43を有する。上下に配置されたこれらのブロックのうちの6個は、各場合に視野ファセットミラー42の列を形成する。照明システム2の集光器9のシェルのスポークの第1の影46を2つの内側の列の間に示している。第1の影46に対して垂直に配置された第2の影47と共に、これらにより、視野ファセットミラー42上で中心に位置決めされた十字形の影構造が生じる。視野ファセットミラー42の場合の視野の個々のファセット43の配列は、2つの影46、47の領域内には視野ファセットが配置されないようなものとすることができる。
【0121】
2つの影46、47は、視野ファセットミラーを4つの4つの象限Q1からQ4へと細分化する。これらの4つの象限の各々には、絞り群48が割り当てられる。4つの絞り群48は、互いに
図48による実施形態の均一性補正要素41を形成する。各絞り群48は、各場合に4つの象限Q1からQ4内の視野の個々のファセット43の2つの外側ブロックに割り当てられた個々の指形絞り49の2つの部分群を有する。これらの割り当てられたブロックは、外側照明半径45によって照明部分と非照明部分とに細分化された視野の個々のファセット43を有するものである。
【0122】
4つの絞り群48の個々の指形絞り49は、これらが、これらに割り当てられた視野の個々のファセット43の照明部分を領域毎に明確な方式で遮光することができるように、互いに独立してx方向に変位することができる。この領域的な遮光は、これらの視野の個々のファセット43に割り当てられた瞳の個々のファセットが照らされる際の強度に影響を及ぼす。この照明に直接関連するのは均一性、すなわち、像視野を通じての走査中にウェーハ区画において見られる強度又はエネルギの変化である。
【0123】
投影露光装置1の作動中に、補正絞り17、26、40の間で変更を行うことによって異なる補正設定の間で変更を行うことができる。照明環境は、従来技術からそれ自体公知のように、ここでは様々な手法で変更することができる。設定を変更する1つの可能性は、瞳平面内で照明光を目標絞り込み方式でマスク遮蔽することである。特に、補正絞り17、26、40自体がこの目的に用いられる。照明環境の変更は、同様に特定の瞳の個々のファセットがそれ以降照らされないように、視野の個々のファセットを目標絞り込み方式でマスク遮蔽することによって達成することができ、それによって同じく像視野内の照明角度分布が変化する。均一性補正要素41は、視野ファセットをマスク遮蔽するのに用いることができる。例示的に、個々の指形絞り49を用いると、対応する視野の個々のファセット43の望ましい遮光、及び従ってそれに割り当てられた瞳の個々のファセットの遮光を照明環境に対する対応する効果を伴って引き起こすことができる。最後に、US6,658、084B2に説明されている照明環境の変更の変形が可能である。この場合、設定を変更するために、視野の個々のファセットは、瞳の個々のファセットに可変的に割り当てられる。
【0124】
均一性補正要素41の適応又は交換は、照明環境の変更及び/又は異なる照明モジュールの間の変更の下流に配置することができる。これは、照明環境の変更又は照明モジュールの変更が、均一性に影響を及ぼす可能性があり、この影響は、均一性補正要素41を用いて再度補正することができることを考慮したものである。一方で「照明環境の変更」及び/又は「照明モジュールの変更」の段階、更にまた「均一性補正要素の適合及び/又は交換」の段階も、望ましい均一性を有する特定の目標照明環境を得るために反復して実施することができる。
【0125】
異なる照明モジュール21、22、22’、22’’の間の変更を伴う投影露光装置1における作動方法が更に可能である。この目的のために、投影露光装置1は、最初に、照明モジュールの21、22、22’、22’’のうちの最初のもので照らされる。この場合、それぞれの照明モジュール21、22、22’、22’’による照明のテレセントリック性及び楕円度の補正に向けて設けられたそれぞれの補正絞り17、26、40が用いられる。次に、照明モジュールは、第2の照明モジュールと交換される。例示的に、照明モジュール21は、交換照明モジュール22と交換することができる。この場合、
図10による補正絞りは、
図22による補正絞り26と交換される。その後投影露光装置1は、交換照明モジュール22を用いて作動し続ける。
【0126】
補正絞り17、26、40は、瞳ファセットミラー15、33に隣接して、又はそうでなければ瞳ファセットミラー15、33に対する照明光学ユニット4の共役瞳平面の領域に配置することができる。各場合に、投影光学ユニット6の入射瞳内の瞳ファセットミラー15、33の個々のファセット14、32に割り当てられた少なくとも一部の光源像は、補正絞り17、26、40の1つの同じ絞り縁部19、25、38、39によって部分的に遮光される。
【0127】
補正絞り17、26、40の使用はまた、転送光学ユニット16、特に、かすめ入射に対するミラー16c(かすめ入射ミラー)によって引き起こされる歪曲収差を補償することを可能にする。例えば、EP1,067,437B1においてそこの
図18から
図22の説明に関連した歪曲収差を引用する。例えば、
図1の補正絞り17の場所で楕円形補正絞りを用い、更にそれによって達成されるEUV放射線8のビームが瞳平面内で楕円形であるというEUV放射線8ビームの事前設定を用いると、これらの楕円形にも関わらず、下流の転送光学ユニット16の歪曲効果によって回転対称な照明角度分布を対物面5内の視野点において得ることができる。この歪曲補償は又、補正絞り17の場所における補正絞りの絞り縁部のいずれか他の非回転対称形態によって引き起こすことができる。絞り縁部の正確な形態は、転送光学ユニット16の下流の歪曲効果に依存して事前に定められる。