(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
===システム構成===
本発明の一実施形態である画質改善画像生成システムの構成例について説明する。
図1に示すように、画質改善画像生成システムは、クライアント10及び画質改善画像生成装置20を含んで構成されている。そして、クライアント10及び画質改善画像生成装置20は、ネットワーク30を介して通信可能に接続されている。
【0011】
クライアント10は、例えば、パーソナルコンピュータや携帯情報端末、携帯電話機等の情報処理装置である。クライアント10は、例えば判読対象となる画像(合成元画像及び合成対象画像)を、ネットワーク30を介して画質改善画像生成装置20に送信する。そして、クライアント10は、画質改善画像生成装置20で生成され、ネットワーク30を介して送信されてくる動画(異種画像特徴合成動画)を表示する。
【0012】
画質改善画像生成装置20は、例えば、PCサーバやワークステーション等の情報処理装置である。画質改善画像生成装置20は、クライアント10から送信されてくる画像の特徴を強調表示するための動画を生成し、ネットワーク30を介してクライアント10に動画を送信する。
【0013】
ネットワーク30は、例えば、インターネットやLAN(Local Area Network)等であり、クライアント10と画質改善画像生成装置20とを通信可能に接続する。なお、ネットワーク30は、有線とすることもできるし、無線とすることもできる。
【0014】
<<<クライアントの構成>>>
クライアント10の構成について説明する。
図2に示すように、クライアント10は、CPU(Central Processing Unit)40、メモリ41、記憶装置42、表示インタフェース(I/F)43、入力インタフェース(I/F)44、通信インタフェース(I/F)45、及び記録媒体読取装置46を含んで構成されている。
【0015】
CPU40は、メモリ41に格納されたプログラムを実行することにより、クライアント10を統括制御し、クライアント10における様々な機能を実現する。メモリ41は、例えばRAM(Random Access Memory)等であり、プログラムやデータ等の一時的な記憶領域として用いられる。記憶装置42は、例えばハードディスク等の記憶領域であり、プログラムや様々なデータ等が格納される。表示インタフェース43は、ディスプレイ等の表示装置50に画像を表示させるためのビデオカード等のインタフェース装置である。
【0016】
入力インタフェース44は、キーボードやマウス、各種デジタル機器等の入力装置51からデータを入力するためのUSB(Universal Serial Bus)やPS/2(Personal System/2)等のインタフェース装置である。通信インタフェース45は、ネットワーク30を介してデータの送受信を行うためのネットワークカード等のインタフェース装置である。記録媒体読取装置46は、CD−ROMやメモリカード等の記録媒体52に格納されたプログラムや各種データを読み取るためのCD−ROMドライブやメモリカードインタフェース等のインタフェース装置である。
【0017】
なお、クライアント10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラやデジタルカメラ等の入力装置51を介して画像を取得し、記憶装置42に格納する。また、クライアント10は、判読対象となる画像を、例えば、記録媒体52から読み取り、記憶装置42に格納することができる。また、クライアント10は、例えば、ネットワーク30を介して他の情報処理装置(不図示)から画像を取得することもできる。
【0018】
<<<画質改善画像生成装置の構成>>>
次に、画質改善画像生成装置20の構成について説明する。
図3に、画質改善画像生成装置20のハードウェア構成例を示す。画質改善画像生成装置20は、CPU60、メモリ61、記憶装置62、通信インタフェース63、及び記録媒体読取装置64を含んで構成されている。
【0019】
CPU60は、メモリ61に格納されたプログラムを実行することにより、画質改善画像生成装置20を統括制御し、画質改善画像生成装置20における様々な機能を実現する。メモリ61は、例えばRAM等であり、プログラムやデータ等の一時的な記憶領域として用いられる。記憶装置62は、例えばハードディスク等の記憶領域であり、プログラムや様々なデータ等が格納される。通信インタフェース63は、ネットワーク30を介してデータの送受信を行うためのネットワークカード等のインタフェース装置である。記録媒体読取装置64は、CD−ROMやメモリカード等の記録媒体53に格納されたプログラムや各種データを読み取るためのCD−ROMドライブやメモリカードインタフェース等のインタフェース装置である。
【0020】
<<<画質改善画像生成装置20の第1の実施形態>>>
図4に示すように、画質改善画像生成装置20の第1の実施形態である画質改善画像生成装置20aは、特徴強調処理部70、エンボス画像生成部71、エッジ強調画像生成部72、異種画像特徴合成画像生成部73、及び異種画像特徴合成動画生成部74を含んで構成されている。特徴強調処理部70等の機能ブロックは、CPU60がメモリ61に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
【0021】
特徴強調処理部70(第1及び第2強調処理部)は、メモリ61に格納された画像のうち、合成対象画像を読み出し、合成対象画像に対してテクスチャ強調処理やエッジ強調処理等の強調処理を施す。ここで、合成対象画像とは、例えばCCDカメラ等の入力装置51から得られる合成元画像の合成相手であり、前述した特徴強調処理が施される前の画像である。また、テクスチャ強調処理では、画像に対し、相関、分散、コントラスト、エントロピー等のフィルタが適用され、エッジ強調処理では、画像に対し、1次微分・差分型のPrewittフィルタや、1次微分・テンプレート型のRobinsonフィルタ等が適用される。ここで、特徴強調処理部70は、合成対象画像に対して少なくとも2種類以上の特徴強調処理を施す。このため、特徴強調処理部70では、異なる種類の特徴が強調された複数の特徴強調画像が生成される。そして、特徴強調処理部70は、特徴強調処理が施された複数の特徴強調画像をメモリ61に格納する。
【0022】
エンボス画像生成部71(第1及び第2エッジ強調画像生成部)は、メモリ61から特徴強調処理が施された複数の特徴強調画像を読み出す。そして、エンボス画像生成部71は、複数の特徴強調画像のそれぞれに対して複数方向を光源とみなす複数のエンボス画像を生成する。なお、生成された複数のエンボス画像はメモリ61に格納される。
【0023】
エンボス画像生成部71は、
図5に例示されるように、特徴強調画像の北側を0度として右回りで45度ずつ角度をずらした8方向を照射方向として、8つのエンボス画像を生成することができる。この場合、各照射方向におけるエンボス処理に用いられるフィルタ係数は、例えば、
図6(a)〜(h)に示した3×3の行列とすることができる。なお、
図6(a)〜(h)に示したフィルタ係数は一例であり、行列内の数値(重み)や行列のサイズを変更することも可能である。
【0024】
エンボス画像生成部71におけるエンボス処理の一例を示す。本実施の形態では、合成対象画像の各画素の画像濃度値は、例えば8ビット(0〜255)であるとする。
図7に例示されるように、エンボス処理前の特徴強調画像の一部を示す3×3の画素の中心の値が“18”、左上の値が“5”、右下の値が“135”であるとする。このとき、
図6(d)に示したフィルタ係数を用いてエンボス処理を行うと、3×3の中心画素のエンボス処理後の値は、(−5+135)+128=258となる。ただし、エンボス画像生成部71は、エンボス処理後の値が“255”を越えている場合は、画像濃度値が255以下となるように調整する。このようにして、特徴強調画像の各画素に対してエンボス処理が行われる。なお、エンボス処理では複数の画素の差が求められるため、特徴強調画像に対してエンボス処理が施されると、特徴強調画像のエッジが強調されることになる。
【0025】
エッジ強調画像生成部72(第1及び第2エッジ強調画像生成部)は、メモリ61から特徴強調処理が施された複数の特徴強調画像を読み出す。そして、エッジ強調画像生成部72は、エンボス画像生成部71と同様に、複数の特徴強調画像のそれぞれに対して複数方向のエッジのそれぞれを強調するエッジ強調処理を施して、複数のエッジ強調画像を生成する。なお、生成された複数のエッジ強調画像はメモリ61に格納される。
【0026】
異種画像特徴合成画像生成部73(合成画像生成部)は、例えば、メモリ61から複数のエンボス画像を読み出し、これら複数のエンボス画像のそれぞれに対し、メモリ61から読み出された合成元画像を合成して、複数の異種画像特徴合成画像を生成する。なお、合成元画像は、いわゆる判読対象となる元画像であり、前述のように、CCDカメラ等の入力装置51から得られる。また、異種画像特徴合成画像生成部73は、例えば、メモリ61から複数のエッジ強調画像を読み出し、これら複数のエッジ強調画像のそれぞれに対し、メモリ61から読み出された合成元画像を合成して、複数の異種画像特徴合成画像を生成する。そして、異種画像特徴合成画像生成部73は、生成した複数の異種画像特徴合成画像をメモリ61に格納する。
【0027】
異種画像特徴合成動画生成部74(合成動画生成部)は、例えば、メモリ61に格納された複数の異種画像特徴合成画像を読み出し、これらの複数の異種画像特徴合成画像が連続的に切り替えて表示される異種画像特徴合成動画を生成する。そして、生成された画像特徴合成動画は、メモリ61に格納される。
【0028】
===画面説明===
次に、クライアント10に表示される画面について説明する。
図8に例示されるように、異種画像特徴合成動画を生成する際の条件等を入力するための動画生成画面100は、合成元画像入力エリア110、合成対象画像入力エリア111、動画生成条件選択エリア112、及び動画表示画面生成ボタン113を含んでいる。なお、クライアント10の利用者は、例えば、マウス(入力装置51)を通じて画面上の各エリア110、111、112及びボタン113にカーソルを合わせた後、マウス及びキーボード(入力装置51)を通じて所定の入力をするようになっている。
【0029】
動画生成画面100は、例えば、クライアント10がWebブラウザ等から画質改善画像生成装置20aの所定のURL(Uniform Resource Locator)を参照することによって画質改善画像生成装置20aから送信されてくるHTML(Hyper Markup Text Language)等により実現される。なお、画質改善画像生成装置20aにアクセスせずに、クライアント10内部のプログラムによって動画生成画面が起動されることとしてもよい。
【0030】
合成元画像入力エリア110では、合成元画像(いわゆる元画像)の格納先(ファイルパス名等)が入力される。また、合成元画像入力エリア110では、入力された合成元画像が、RGB画像(R画像(赤色画像)、G画像(緑色画像)、及びB画像(青色画像))であるか、単バンド画像であるかが選択されるようになっている。
【0031】
合成対象画像入力エリア111では、合成対象画像が合成元画像であるか否かが選択される。そして、合成対象画像入力エリア111では、合成対象画像が合成元画像以外の画像である(“その他”)と選択された場合、合成対象画像の格納先が入力されるようになっている。
【0032】
動画生成条件選択エリア112は、方向選択エリア112a、フィルタ選択エリア112b、表示順序選択エリア112c、及び表示速度選択エリア112dに分かれている。
【0033】
方向選択エリア112aでは、特徴強調処理が施された複数の特徴強調画像に対し、エンボス処理、またはエッジ強調処理を施す際の方向が選択されるようになっている。本実形態では、4方向、8方向、及び16方向の何れかが選択されるようになっている。
【0034】
フィルタ選択エリア112bでは、複数のエンボス画像が生成される際に用いられるエンボス処理の種類、または複数のエッジ強調画像が生成される際に用いられるエッジ強調処理の種類が選択されるようになっている。ここで、パターンA〜Cは、エンボス処理のための異なるフィルタ係数(行列のサイズや重み等)を表わしている。また、複数のエッジ強調画像が生成される際には、Perwittフィルタ、Robinsonフィルタ、及びLaplacianフィルタの何れかが選択できる。
【0035】
表示順序選択エリア112cでは、異種画像特徴合成動画に含まれる複数の異種画像特徴合成画像の表示順序が選択されるようになっている。本実施形態では、右回り、左回り、ランダム、一方向、たすきがけの何れかが選択されるようになっている。
【0036】
表示速度選択エリア112dでは、異種画像特徴合成動画における異種画像特徴合成画像の切り替わる速度が選択されるようになっている。本実施形態では、4fps(flame per second)、8fps、16fpsの何れかが選択されるようになっている。
【0037】
動画表示画面生成ボタン113は、クライアント10に、例えば
図9に示すような動画表示画面130を表示させるためのものである。
【0038】
動画表示画面130は、例えば、動画生成画面100の動画表示画生成ボタン113が押下された後に、クライアント10がWebブラウザ等から画質改善画像生成装置20aの所定のURLを参照することによって画質改善画像生成装置20aから送信されてくるHTML等により実現される。
【0039】
動画表示画面130は、特徴強調処理選択エリア135、合成元画像表示領域136、及び異種画像特徴合成動画表示領域137を含んでいる。
【0040】
特徴強調処理選択エリア135は、バンド選択エリア135a、及びフィルタ選択エリア135bに分かれている。
【0041】
バンド選択エリア135aは、動画生成画面100で選択された合成対象画像がRGB画像である場合、特徴強調処理が施される画像がRGB画像のうち、どのバンドの画像であるかが選択されるようになっている。
【0042】
フィルタ選択エリア135bでは、選択されたバンドの合成対象画像(単バンドの合成対象画像)に対し施される強調処理の種類が複数選択されるようになっている。ただし、ここで、“元画像”は、強調処理を施さないことを意味する。また、“分散”、“エネルギー”〜“鮮鋭化ラプラシアン”等は、単バンドの合成対象画像に対し、テクスチャ強調処理やエッジ強調処理を施すためのフィルタの種類である。また、“元画像”と表示された領域には、Rバンド、Gバンド、Bバンドのうち選択された単バンドの合成元画像が表示され、“分散”、“エネルギー”等の各領域には、単バンドの合成元画像に対し、それぞれの強調処理が施された画像が表示される。したがって、利用者は、フィルタ選択エリア135bに表示された画像を確認しながら、使用するフィルタを選択できる。なお、
図9の例では、“エネルギー”及び“データレンジ”の2つのフィルタが選択されている。また、本実施形態では、フィルタ選択エリア135bで少なくとも一つの領域が選択されると、各エリア110〜112,135で選択または入力された情報が画質改善画像生成装置20aに送信される。
【0043】
合成元画像表示領域136には、合成元画像入力エリア110で指定された合成元画像が表示される。
【0044】
異種画像特徴合成動画表示領域137には、画質改善画像生成装置20aから送信されてくる動画が表示される。異種画像特徴合成動画表示領域137に表示される動画は、例えば、Macromedia Flash(登録商標)等により実現される。
【0045】
===処理説明===
次に、画質改善画像生成装置20aを用いた画質改善画像生成システムにおける処理の流れについて説明する。
【0046】
図10に例示されるように、まず、クライアント10では、合成元画像及び合成対象画像が選択される(S1001)。具体的には、動画生成画面100における、合成元画像入力エリア110及び合成対象画像入力エリア111において、合成元画像及び合成対象画像の格納先がそれぞれ入力される。
【0047】
また、クライアント10では、異種画像特徴合成動画を生成するための動画生成条件が選択される(S1002)。具体的には、動画生成画面100における動画生成条件選択エリア112において、方向、フィルタ(エンボス・エッジ強調)、表示順序、及び表示速度が選択される。
【0048】
そして、動画生成画面100の動画表示画面生成ボタン113が押下されると、クライアント10には指定された合成元画像を含む動画表示画面130が表示され、単バンドの合成対象画像に対する特徴強調処理が選択される(S1003)。具体的には、特徴強調処理選択エリア135において、特徴強調処理が施される合成対象画像のバンド、及び、特徴強調処理を施すフィルタが選択される。
【0049】
特徴強調処理を施すフィルタが選択されると、クライアント10は、入力または選択された画像、動画生成条件、及び特徴強調処理を画質改善画像生成装置20aに送信する(S1004)。
【0050】
画質改善画像生成装置20aは、クライアント10から送信されてくる画像、動画生成条件、及び特徴強調処理を受信し(S1005)、メモリ61に格納する。
画質改善画像生成装置20aは、メモリ61から画像、動画生成条件、及び特徴強調処理を読み出し、異種画像特徴合成動画の生成処理を実行し(S1006)、メモリ61に格納する。
画質改善画像生成装置20aは、メモリ61から異種画像特徴合成動画を読み出してクライアント10に送信する(S1007)。
【0051】
クライアント10は、画質改善画像生成装置20aから送信されてくる異種画像特徴合成動画を受信し(S1008)、画像表示画面130の異種画像特徴合成動画表示領域137に動画を表示する(S1009)。
【0052】
<<<異種画像特徴合成動画生成の処理について>>>
ここで、異種画像特徴合成動画生成処理(S1006)について、
図11に例示するフローチャート及び
図12の処理イメージ図を用いて詳細に説明する。
【0053】
特徴強調処理部70は、メモリ61に格納された合成対象画像を読み出し、合成対象画像が、カラー画像(RGB画像)であるか単バンド画像であるかを判定する(S1101)。合成対象画像がカラー画像の場合(S1101:カラー)、特徴強調処理部70は、指定されたバンドの合成対象画像を生成する(S1102)。一方、合成対象画像が単バンドである場合(S1101:単バンド)、または、処理S1102にて単バンドの合成対象画像が生成された場合、特徴強調処理部70は、単バンドの合成対象画像に対し、指定された特徴強調処理を施す(S1103)。
図12の例では、指定された特徴強調処理の数“n”が、例えば“5”であるとしているため、異なる特徴が強調された5枚の特徴強調画像151〜155が生成され、メモリ61に格納される。
【0054】
エンボス画像生成部71は、メモリ61に格納された特徴強調画像151〜155に対し、エンボス処理を施すことが選択されている場合(S1104:エンボス)、特徴強調画像151〜155及び動画生成条件を読み出す。そして、エンボス画像生成部71は、特徴強調画像151〜155のそれぞれに対して、指定された照射方向及びエンボスパターンに従ったエンボス処理を施して複数のエンボス画像を生成する(S1105)。
図12の例では、特徴強調画像151に対し、照射方向を45度刻みとする8つのエンボス処理が施されることにより、8枚のエンボス画像160a〜160hが生成される。また、特徴強調画像152に対し、照射方向を45度刻みとする8つのエンボス処理が施されることにより、8枚のエンボス画像161a〜161hが生成される。なお、特徴強調画像153〜155も、特徴強調画像151と同様の処理が施される。このため、本実施形態では40枚(40=5×8)のエンボス画像が生成され、メモリ61に格納される。
【0055】
エッジ強調画像生成部72は、メモリ61に格納された特徴強調画像151〜155に対し、エッジ強調処理を施すことが選択されている場合(S1104:エッジ)、特徴強調画像151〜155及び動画生成条件を読み出す。そして、エッジ強調画像生成部72は、特徴強調画像151〜155のそれぞれに対して、指定された方向及びフィルタの種類に従ったエッジ強調処理を施して複数のエッジ強調画像を生成する(S1106)。
図12の例では、特徴強調画像151に対し、45度刻みの8つのエッジ強調処理が施されることにより、8枚のエッジ強調画像160a〜160hが生成される。なお、特徴強調画像152〜155も、特徴強調画像151と同様の処理が施される。このため、本実施形態では40枚(40=5×8)のエッジ強調画像が生成され、メモリ61に格納される。
【0056】
異種画像特徴合成画像生成部73は、エンボス画像生成部71もしくはエッジ強調画像生成部72で生成された画像と、合成元画像とをメモリ61から読み出して合成し、異種画像特徴合成画像を生成する(S1107)。ここで、
図12において、例えば40枚のエンボス画像が生成され、合成元画像がカラー画像170である場合について説明する。異種画像特徴合成画像生成部73は、照射方向が“0”度の5枚のエンボス画像160a〜164aと、カラー画像170とを合成し、異種画像特徴合成画像180aを生成する。また、異種画像特徴合成画像生成部73は、照射方向が“45”度の5枚のエンボス画像160b〜164bと、カラー画像170とを合成し、異種画像特徴合成画像180bを生成する。このように、異種画像特徴合成画像生成部73は、方向が等しい複数のエンボス画像と、カラー画像170とを合成し、8枚の異種画像特徴合成画像180a〜180hを生成する。そして、生成された異種画像特徴合成画像180a〜180hは、メモリ61に格納される。なお、ここでは、エンボス画像及び合成元画像が合成される例を説明したが、エッジ強調画像及び合成元画像が合成される場合も同様である。また、合成元画像が、単バンド画像171である場合も、カラー画像170の場合と同様である。
【0057】
異種画像特徴合成動画生成部74は、メモリ61に格納された8枚の異種画像特徴合成画像180a〜180hを読み出し、指定された表示順序及び表示速度に従って、異種画像特徴合成動画190を生成する(S1108)。なお、この画像特徴合成動画190は、メモリ61に格納される。
【0058】
なお、処理S1107で実行される異種画像特徴合成画像は、例えば、以下の式(1)、(2)を用いて求めることができる。具体的には、異種画像特徴合成画像180の各画素の画素値をQ(i)とし、カラー画像170の各画素の画素値をPとし、エッジ強調画像160〜164の画素の画素値の和をE(i)とし、iをエッジ強調処理の方向を示す1〜8の自然数とすると、画素値Q(i)は、例えば、画素値E(i)が128以上の場合には次式(1)によって求めることができ、画素値E(i)が128未満の場合には次式(2)によって求めることができる。
Q(i)=2×(P+E(i)−P×E(i)/255)−255・・・(1)
Q(i)=P×E(i)×2/255・・・(2)
【0059】
===動画生成例===
画質改善画像生成装置20aを用いた場合の異種画像特徴合成動画の生成例について説明する。なお、生成例では、特徴強調処理を施すフィルタとして、“エネルギー”及び“データレンジ”の特徴量を強調するフィルタが選択されていることとする。さらに、生成例では、特徴強調画像に対し、照射方向を45度刻みの8方向のエンボス処理が施されることが選択され、異種画像特徴合成画像の表示される順序を右回りとしている。
【0060】
図13(a)に示された画像は、合成元画像及び合成対象画像となる内視鏡画像(カラー)である。このため、
図13(a)に示した画像が、例えば
図12に示す合成元のカラー画像170となる。また、
図13(b)に示された画像は、合成対象画像の単バンド画像(G画像)であり、単バンド画像150に相当する。
【0061】
また、
図14(a)に示された画像は、単バンド画像150における“エネルギー”の特徴量が強調された特徴強調画像151であり、
図14(b)に示された画像は、単バンド画像150における“データレンジ”の特徴量が強調された特徴強調画像152である。本例では、
図14から明らかなように、特徴強調画像151では強調されていない箇所が、特徴強調画像152で強調される。
【0062】
そして、本実施形態では、特徴強調画像151に対して8方向のエンボス処理が施され、
図15に示すように、8枚のエンボス画像160a〜160hが生成される。この結果、エンボス画像160a〜160hでは、単バンド画像150の“エネルギー”の特徴量がより強調されることになる。
【0063】
また、特徴強調画像152に対しても8方向のエンボス処理が施され、
図16に示すように、8枚のエンボス画像161a〜161hが生成される。この結果、エンボス画像161a〜161hでは、単バンド画像150の“データレンジ”の特徴量がより強調されることになる。
【0064】
次に、異種画像特徴合成画像の例を示す。
図17に例示されるように合成元画像であるカラー画像170に、エネルギーの特徴量が強調されたエンボス画像160a〜160hの夫々と、データレンジの特徴量が強調されたエンボス画像161a〜161hの夫々とを合成することにより、異種画像特徴合成画像180a〜180hが生成されている。
【0065】
そして、
図18に示すように、異種画像特徴合成動画190は、異種画像特徴合成画像180a〜180hが、指定された表示速度で右回りに繰り返し表示されるものとなっている。
図19(a)に示された画像は、クライアント10の動画表示画面130における合成元画像表示領域136に表示される合成元画像(カラー画像170)である。また、
図19(b)に示された画像は、異種画像特徴合成動画表示領域137に表示される異種画像特徴合成動画190を便宜上静止画として例示した画像である。なお、
図19の異種画像特徴合成動画190における静止画は、実際の動的陰影変化を把握する上での単に一つの目安を与えるものである。
図19(b)に示す異種画像特徴合成動画190における静止画は、単バンド画像150の異なる2つの特徴量が強調されており、カラー画像170の画質を反映していることがわかる。つまり、異種画像特徴合成動画190では、カラー画像170の画質が維持されつつ、カラー画像170の特徴が強調されている。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明した。前述したように、本実施形態では、単バンド画像150(合成対象画像)に対して2種類の強調処理が施されて、2枚の特徴強調画像151,152が生成される。そして、特徴強調画像151,152のそれぞれに対し、複数方向のエッジのそれぞれを強調する処理(例えば、エンボス処理)が施されるため、特徴強調画像151,152のそれぞれの特徴がさらに強調される。この結果、異種画像特徴合成動画190(合成動画)においては、カラー画像170(合成元画像)の画質が維持されつつ、擬似回転錯視の誘発によって特徴強調画像151,152のそれぞれの特徴が強調・鮮鋭化される。なお、本実施形態における複数の強調処理の内容は異なっているため、ある強調処理で強調できない特徴量は、他の強調処理で強調されることにより補完される。このため、本実施形態で生成された動画は、例えば、一種類の特徴強調画像のみに基づいて生成された動画よりも鮮鋭化される。具体的には、
図20(a)に示す画像は、“エネルギー”の特徴量のみが強調された特徴強調画像151に対してエンボス処理が施され、生成された合成動画を便宜上静止画として例示した画像である。また、
図20(b)に示す画像は、“データレンジ”の特徴量のみが強調された特徴強調画像152に対してエンボス処理が施され、生成された合成動画を便宜上静止画として例示した画像である。
図20に示された2枚の画像と、本実施形態で生成された
図19(b)の画像とを比較すると、本実施形態で生成された画像は、カラー画像170(合成元画像)の特徴がより強調・鮮鋭化されていることがわかる。
【0067】
さらに、
図21(a)に示された画像は、単バンド画像150における“コントラスト”の特徴量が強調された特徴強調画像153である。特徴強調画像153と、
図14に示した、“エネルギー”の特徴量が強調された特徴強調画像151、“データレンジ”の特徴量が強調された特徴強調画像152を比較すると、特徴強調画像151,152では強調されていない箇所が、特徴強調画像153で強調されている。そして、
図21(b)に示された画像は、3つの異なる特徴量が強調された特徴強調画像151〜153に基づいて生成された異種画像特徴合成動画190を便宜上静止画として例示した画像である。なお、
図21(b)の異種画像特徴合成動画190における静止画は、実際の動的陰影変化を把握する上での単に一つの目安を与えるものである。
図21(b)に示す異種画像特徴合成動画190における静止画は、単バンド画像150の異なる3つの特徴量が強調されているため、カラー画像170の画質が維持されつつ、カラー画像170の特徴がより強調されている。
【0068】
また、例えば、特徴強調画像151,152のそれぞれに対しては、同一(例えば、8方向、Prewittフィルタ)のエッジ強調処理が施されている。したがって、特徴強調画像151,152のそれぞれで強調された特徴量に対し、同様の錯視を誘発させることが可能となる。
【0069】
また、特徴強調画像151,152のそれぞれに対して同一(同パターン)のエンボス処理を施すことによっても、特徴強調画像151,152のそれぞれで強調された特徴量に対し、同様の錯視を誘発させることが可能となる。
【0070】
また、本実施形態では、単バンド画像150(合成対象画像)に対し、複数の異なるエッジ強調処理またはテクスチャ強調処理を施すことにより、合成対象画像の様々な特徴量を強調することができる。
【0071】
また、合成対象画像は、合成元画像とは異なる画像であることとしてもよい。これにより、例えば、合成対象画像の特徴をより際立たせることができる。
【0072】
また、合成対象画像は、合成元画像と同一の画像であることとしてもよい。これにより、例えば、合成対象画像の特徴を判読し易くすることができる。
【0073】
また、合成元画像は、R画像,G画像,B画像を含むカラー画像170であるため、合成元画像が単バンド画像である場合と比較すると、異種画像特徴合成動画190(合成動画)の画質の維持及び特徴の強調をより向上させることができる。
【0074】
以上述べたように、本実施形態では、様々な特徴が強調された異種画像特徴合成動画190を生成することができる。したがって、画質改善画像生成装置20aは、例えば、医療画像分析、土地被覆変化解析(環境変化分析)、鉱物探査(リニアメント解析)、防災(被災領域の分析把握)、検査計測画像分析等に利用することができる。また、
図19に示された画像は2種類の特徴強調処理が施された結果であるが、
図21(b)に例示したように、3種類以上の強調処理が施された場合も、本実施例と同様に、合成元画像の画質を改善することができる。
【0075】
<<<画質改善画像生成装置の第2の実施形態>>>
図22に示すように、画質改善画像生成装置20の第2の実施形態である画質改善画像生成装置20bは、フレーム画像抽出部80、特徴強調処理部81、エンボス画像生成部82、異種画像特徴合成画像生成部83、及び異種画像特徴合成動画生成部84を含んで構成されている。フレーム画像抽出部80等の機能ブロックは、CPU60がメモリ61に格納されたプログラムを実行することにより実現される。なお、画質改善画像生成装置20bに実現される機能ブロックのうち、画質改善画像生成装置20aで実現される機能ブロックと同じ名称の機能ブロックは、画質改善画像生成装置20aで実現される機能ブロックと同様である。このため、これらの機能ブロックに関しては、簡単に説明する。
【0076】
フレーム画像抽出部80は、動画(カラー)に含まれる全てのフレーム画像を抽出し、最初のフレーム画像から順番にメモリ61に格納する。
【0077】
特徴強調処理部81(第1及び第2強調処理部)は、メモリ61に格納されるフレーム画像を最初のフレーム画像から順番に読み出す。また、特徴強調処理部81は、読み出したフレーム画像の単バンド画像(例えば、G画像)を合成対象画像としてテクスチャ強調処理やエッジ強調処理等の強調処理を施す。そして、特徴強調処理部81は、特徴強調処理が施された複数の特徴強調画像をメモリ61に格納する。
【0078】
エンボス画像生成部82(第1及び第2エッジ強調画像生成部)は、メモリ61から特徴強調処理が施された複数の特徴強調画像を読み出す。そして、エンボス画像生成部82は、複数の特徴強調画像のそれぞれに対して複数方向を光源とみなす複数のエンボス画像を生成する。なお、生成された複数のエンボス画像はメモリ61に格納される。
【0079】
異種画像特徴合成画像生成部83(合成画像生成部)は、例えば、メモリ61から複数のエンボス画像を読み出し、これら複数のエンボス画像のそれぞれに対し、メモリ61から読み出された合成元画像を合成して、複数の異種画像特徴合成画像を生成する。そして、異種画像特徴合成画像生成部73は、生成した複数の異種画像特徴合成画像をメモリ61に格納する。
【0080】
異種画像特徴合成動画生成部84(合成動画生成部)は、例えば、メモリ61に格納された複数の異種画像特徴合成画像を読み出し、これらの複数の異種画像特徴合成画像が連続的に切り替えて表示される異種画像特徴合成動画を生成する。そして、生成された画像特徴合成動画は、メモリ61に格納される。
【0081】
===画面説明===
次に、クライアント10に表示される画面について説明する。
図23に例示されるように、異種画像特徴合成動画を生成する際の条件等を入力するための動画生成画面200は、動画入力エリア210、動画生成条件選択エリア211、及び動画表示画面生成ボタン212を含んでいる。
【0082】
動画入力エリア210では、判読対象となる動画(いわゆる元動画)の格納先(ファイルパス名等)が入力される。
【0083】
動画生成条件選択エリア112は、特徴強調エリア211a、方向選択エリア211b、エンボスフィルタ選択エリア211c、表示順序選択エリア211d、及び表示速度選択エリア211eに分かれている。
【0084】
特徴強調エリア211aでは、合成対象画像に対し施される強調処理の種類が複数選択されるようになっている。なお、ここで、“分散,エネルギー”〜“鮮鋭化ラプラシアン”等は、合成対象画像に対し、テクスチャ強調処理やエッジ強調処理を施すためのフィルタの種類である。
【0085】
方向選択エリア211bでは、特徴強調処理が施された複数の特徴強調画像に対し、エンボス処理を施す際の方向が選択されるようになっている。本実形態では、4方向、8方向、及び16方向の何れかが選択されるようになっている。
【0086】
エンボスフィルタ選択エリア211cでは、複数のエンボス画像が生成される際に用いられるエンボス処理の種類が選択されるようになっている。ここで、パターンA〜Cは、エンボス処理のための異なるフィルタ係数(行列のサイズや重み等)を表わしている。
【0087】
表示順序選択エリア211dでは、異種画像特徴合成動画に含まれる複数の異種画像特徴合成画像の表示順序が選択されるようになっている。本実施形態では、右回り、左回り、ランダム、一方向、たすきがけの何れかが選択されるようになっている。
【0088】
表示速度選択エリア211eでは、異種画像特徴合成動画における異種画像特徴合成画像の切り替わる速度が選択されるようになっている。本実施形態では、4fps(flame per second)、8fps、16fpsの何れかが選択されるようになっている。
【0089】
動画表示画面生成ボタン212は、前述したエリア210,211で選択または入力された情報を画質改善画像生成装置20bに送信するためのものである。また、動画表示画面生成ボタン212は、クライアント10には、例えば
図24に示すような動画表示画面230を表示させるためのボタンである。
【0090】
動画表示画面230は、元動画表示領域235、異種画像特徴合成動画表示領域236、及び操作領域237を含んでいる。
元動画表示領域235には、動画入力エリア210で指定された動画が表示される。
異種画像特徴合成動画表示領域236には、画質改善画像生成装置20bから送信されてくる動画が表示される。
操作領域237には、元動画、及び異種画像特徴合成動画を一括して、再生、巻戻し等をさせるためのボタンが含まれている。なお、詳細は後述するが、動画表示画面230に表示される元動画、および異種画像特徴合成動画は同期して再生される。
【0091】
===処理説明===
次に、画質改善画像生成装置20bを用いた画質改善画像生成システムにおける処理の流れについて説明する。
【0092】
図25に例示されるように、まず、クライアント10では、判読対象となる動画(元動画)が選択される(S2001)。具体的には、動画生成画面200における、動画入力エリア210において、動画の格納先が入力される。
【0093】
また、クライアント10では、異種画像特徴合成動画を生成するための動画生成条件が選択される(S2002)。具体的には、動画生成画面200における動画生成条件選択エリア211において、特徴強調、方向、エンボスフィルタの種類、表示順序、及び表示速度が選択される。
【0094】
そして、動画生成画面200の動画表示画面生成ボタン212が押下されると、クライアント10は、入力または選択された動画及び動画生成条件を画質改善画像生成装置20bに送信する(S2003)。
【0095】
画質改善画像生成装置20bは、クライアント10から送信されてくる動画、動画生成条件を受信し(S2004)、メモリ61に格納する。
画質改善画像生成装置20bは、メモリ61から動画、及び動画生成条件を読み出し、異種画像特徴合成動画の生成処理を実行し(S2005)、メモリ61に格納する。
画質改善画像生成装置20bは、メモリ61から異種画像特徴合成動画を読み出してクライアント10に送信する(S2006)。
【0096】
クライアント10は、画質改善画像生成装置20bから送信されてくる異種画像特徴合成動画を受信し(S2007)、動画表示画面230における元動画表示領域235に指定された動画(元動画)を表示し、異種画像特徴合成動画表示領域236に異種画像特徴合成動画を表示する(S2008)。
【0097】
<<<異種画像特徴合成動画生成の処理について>>>
ここで、異種画像特徴合成動画生成処理(S2005)について、
図26に例示するフローチャート、及び
図27の処理イメージ図を用いて詳細に説明する。
【0098】
フレーム画像抽出部80は、動画に含まれる全てのフレーム画像を抽出し、最初のフレーム画像から順番にメモリ61に格納する(S2101)。
図27の例では、指定された動画には例えば1000枚のフレーム画像A1〜A1000が含まれることとする。このため、動画の最初(1番目)のフレーム画像であるフレーム画像A1から、最後(1000番目)のフレーム画像であるフレーム画像A1000まで順番にメモリ61に格納される。
【0099】
特徴強調処理部81は、処理対象のフレーム画像の番号を“1”だけインクリメントし、該当する番号のフレーム画像をメモリ61から取得する(S2102)。なお、本実施形態では、初期状態においては処理対象のフレーム画像の番号は“0”であることとする。このため、処理S2102が初めて実行されると、フレーム画像A1が取得されることになる。そして、特徴強調処理部81は、処理対象として取得したフレーム画像から単バンドの合成対象画像を生成する(S2103)。
図27の例では、単バンド画像300が生成され、メモリ61に格納される。
【0100】
そして、特徴強調処理部81は、単バンドの合成対象画像に対し、指定された特徴強調処理を施す(S2104)。
図12の例では、指定された特徴強調処理が、例えば“エネルギー”及び“データレンジ”の2つであるとしているため、“エネルギー”の特徴量が強調された特徴強調画像310と、“データレンジ”の特徴量が強調された特徴強調画像311とが生成され、メモリ61に格納される。
【0101】
エンボス画像生成部82は、メモリ61に格納された特徴強調画像310,311のそれぞれに対し、指定された照射方向及びエンボスパターンに従ったエンボス処理を施して複数のエンボス画像を生成する(S2105)。
図27の例では、特徴強調画像310に対し、照射方向を45度刻みとする8つのエンボス処理が施されることにより、8枚のエンボス画像320a〜320hが生成される。また、特徴強調画像311に対し、照射方向を45度刻みとする8つのエンボス処理が施されることにより、8枚のエンボス画像321a〜321hが生成される。このため、本実施形態では16枚(16=2×8)のエンボス画像が生成され、メモリ61に格納される。
【0102】
異種画像特徴合成画像生成部83は、生成されたエンボス画像と、合成元画像である処理対象のフレーム画像とをメモリ61から読み出して合成し、異種画像特徴合成画像を生成する(S2106)。ここで、
図27の例では、異種画像特徴合成画像生成部83は、照射方向が“0”度の2枚のエンボス画像320a,321aと、処理対象のフレーム画像とを合成し、異種画像特徴合成画像350aを生成する。また、異種画像特徴合成画像生成部83は、照射方向が“45”度の2枚のエンボス画像320b,321bと、処理対象のフレーム画像とを合成し、異種画像特徴合成画像350bを生成する。このように、異種画像特徴合成画像生成部83は、方向が等しい複数のエンボス画像と、処理対象のフレーム画像とを合成し、8枚の異種画像特徴合成画像350a〜350hを生成する。そして、生成された異種画像特徴合成画像350a〜350hは、順次メモリ61に格納される。つまり、異種画像特徴合成画像生成部83は、処理対象のフレーム画像に対し、8枚の異種画像特徴合成画像を生成して、メモリ61に格納する。なお、
図27の例では、1番目(最初)のフレーム画像A1に対して生成された8枚の異種画像特徴合成画像は、異種画像特徴合成画像B1〜B8としてメモリ61に格納され、2番目のフレーム画像A2に対して生成された8枚の異種画像特徴合成画像は、異種画像特徴合成画像B9〜B16としてメモリ61に格納される。なお、3番目〜1000番目までのフレーム画像A3〜A1000に対して生成された画像も、前述した場合と同様である。
【0103】
そして、異種画像特徴合成画像生成部83は、処理対処のフレーム画像が最後のフレーム画像であるか否かを判定する(S2107)。処理対象のフレーム画像が、最後のフレーム画像でない場合(S2107:NO)、処理S2102が再び実行される。一方、処理対象のフレーム画像が、最後のフレーム画像である場合(S2107:YES)、異種画像特徴合成動画生成部84は、メモリ61に格納された異種画像特徴合成画像を順次読み出し、指定された表示順序及び表示速度に従って、異種画像特徴合成動画を生成する(S2108)。
図27の例では、メモリ61に格納された8000枚の異種画像特徴合成画像B1〜B8000を順次読み出され、異種画像特徴合成動画400が生成される。なお、この画像特徴合成動画400は、メモリ61に格納される。また、動画表示画面230には、フレーム画像A1が再生される際には、フレーム画像A1に基づいて生成された8枚の異種画像特徴合成画像B1〜B8が再生され、フレーム画像A2が再生される際には、フレーム画像A2に基づいて生成された8枚の異種画像特徴合成画像B9〜B16が再生される。このように、動画表示画面230に表示される元動画、および異種画像特徴合成動画は同期して再生される。
【0104】
===動画生成例===
画質改善画像生成装置20bを用いた場合の異種画像特徴合成動画の生成例について説明する。なお、生成例では、特徴強調処理を施すフィルタとして、“エネルギー”及び“データレンジ”の特徴量を強調するフィルタが選択されていることとする。さらに、生成例では、特徴強調画像に対し、照射方向を45度刻みの8方向のエンボス処理が施されることが選択され、異種画像特徴合成画像の表示される順序を右回りとしている。
【0105】
図28(a)には、判読対象となる内視鏡動画(元動画)を例示し、
図28(b)には、元動画に基づいて生成された異種画像特徴合成動画400を例示している。なお、
図28の画像は、元動画、及び異種画像特徴合成動画400を便宜上静止画として例示するものであり、実際の動的陰影変化を把握する上での単に一つの目安を与えるものである。また、元動画は、クライアント10の動画表示画面230の元動画表示領域235に表示され、異種画像特徴合成動画400は、異種画像特徴合成動画表示領域236に表示される。
【0106】
図28の元動画と、異種画像特徴合成動画400とを比較すると、異種画像特徴合成動画400では、元動画における“ぼけ”(例えば手振れ等に起因するボケ)が改善されるとともに、元動画の画質を維持しつつ、画像特徴が鮮鋭化されている。
【0107】
例えば癌の診断においては、淡い発赤域、退色域といった周囲の粘膜と比べてわずかな変化や、極軽微な凹凸をとらえることが重要である。従来の内視鏡では、
図28(a)に示すように、色調の変化や、軽微な凹凸までも浮き彫りにするような画像を得ることはできなかった。しかしながら、
図28(a)の内視鏡動画(元動画)に対し、異種画像特徴合成処理を施した場合、
図28(b)の異種画像特徴合成動画400に示すように、色調の変化や、軽微な凹凸までも浮き彫りにすることが可能となる。したがって、医療用内視鏡で取得された画像の異種画像特徴合成動画を生成すると、周囲の粘膜から鮮明に癌の境界を認識することができ、早期癌の発見率を向上させることも可能となる。
【0108】
また、内視鏡画像が撮影される際、内視鏡カメラの位置、及び観測対象物の位置は時々刻々と変化し続ける。つまり、内視鏡カメラの視点、及び観測対象物の位置(視準点)はともに移動(変化)する。通常、視点及び視準点が変化する場合には、いわゆる“ぶれ”が生じるため、
図28(a)の内視鏡動画(元動画)には“ぼけ”が発生する。しかしながら、元画像に対して異種画像特徴合成処理を施すことにより、
図28(b)に示すように、画質が改善(例えば“ぼけ”が改善)された画像(異種画像特徴合成動画400)を得ることができる。
【0109】
“ぼけ”の改善は、“擬似回転錯視”が誘発された際の“残像錯視効果”によるものである。元動画の1枚のフレーム画像に対して生成された8枚の異種画像特徴合成画像B1〜B8(エンボス画像)を見ると、凹凸についての錯視が光の照射方向によって異なっている。このため、異種画像特徴合成画像B1〜B8を、連続表示させることにより“擬似回転錯視”が誘発され“残像錯視効果”が発生する。
【0110】
このように、“撮像としての動画”そのものに擬似回転錯視効果、残像錯視効果が反映されたことにより、従来の画像(
図28(a))では得られなかった鮮鋭化された画像(
図28(b))を初めて得ることが可能となった。なお、
図28(b)に示す異種画像特徴合成動画400では、元画像(
図28(a))の画質そのものを維持しつつ、画像全体にわたる鮮鋭化と画像特徴強調効果が得られている。
【0111】
なお、例えば、1秒間に撮影するフレーム画像の数が極めて多いハイスピードカメラを用いた場合であっても、視点及び視準点が変化した際に発生する“ぼけ”を防止することはできない。しかしながら、ハイスピードカメラで撮影された動画に対し、本実施形態の異種画像特徴合成処理を施すことにより、視点及び視準点が変化した際に発生する“ぼけ”を防止することが可能である。
【0112】
また、
図28の内視鏡画像は、カメラ等の視点及び観測対象物の位置(視準点)がともに移動する場合の一例であるが、視点及び視準点の何れか一方が移動する場合や、両方が不動の場合であっても、異種画像特徴合成処理を施すことにより元画像の画質を改善することができる。なお、視点及び視準点が“不動”の際に取得される画像としては、例えば、CT(Computerized Tomography)スキャンやコンクリート圧縮強度試験において取得される画像が該当する。また、視点が“不動”かつ視準点が“移動”の際に取得される画像としては、例えば、橋げた調査の際に取得される画像が該当する。さらに、視点が“移動”かつ視準点が“不動”の際に取得される画像としては、例えば、コンクリート壁面調査の際に取得される画像が該当する。したがって、CTスキャンの画像や、コンクリート壁面調査の際に取得される画像等に対して、本実施形態の処理を施すことにより、元画像の鮮鋭化が可能となる。
【0113】
本実施形態では、“動画”及び“静止画”ともに、複数の画像特徴を任意に合成して、画像特徴複数合成動画(例えば、異種画像特徴合成動画190,400)を生成することができる。そして、複数の画像特徴を合成するパターン(組み合わせ)の数は非常に多い。このため、判読対象となる画像(“動画”及び“静止画”)がどのような画像であっても、
複数の画像特徴を合成するパターンを変化させることにより、判読対象となる画像に適した画像特徴複数合成動画を生成することができる。つまり、画像を判読する際に、発見的画像判読支援が展開できることになる。
【0114】
前述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されるとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0115】
例えば、前述した実施の形態においては、クライアント10を用いた構成としたが、クライアント10を用いず、画質改善画像生成装置20において、画像の選択、動画生成条件の入力、動画の表示等が行われることとしてもよい。
【0116】
また、例えば、本実施形態では異種画像特徴合成動画400を生成する際には、単バンド画像300に対し2種類の特徴を強調した特徴強調画像310,311を生成したが、1種の特徴を強調した特徴強調画像310のみに基づいて異種画像特徴合成動画400を生成しても良い。このような場合であっても、元画像より画質が改善された画像(異種画像特徴合成動画400)を得ることができる。ただし、本実施形態の様に、2種類の特徴を強調した特徴強調画像310,311を用いるほうが、1種類のみの特徴強調画像を用いるよりも、元画像の画質をより改善することができる。