特許第5769475号(P5769475)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5769475
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】加工液供給ノズルの品質管理方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 55/02 20060101AFI20150806BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20150806BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   B24B55/02 D
   B23Q11/10 A
   H01L21/78 F
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-85633(P2011-85633)
(22)【出願日】2011年4月7日
(65)【公開番号】特開2012-218102(P2012-218102A)
(43)【公開日】2012年11月12日
【審査請求日】2014年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(72)【発明者】
【氏名】永松 純
(72)【発明者】
【氏名】新島 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正視
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−224065(JP,A)
【文献】 特開2009−283646(JP,A)
【文献】 特開2007−273527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 55/02
B23Q 11/10
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードを含む切削手段とを備えた切削装置に配設され、該チャックテーブルで保持された被加工物に加工液を供給する加工液供給ノズルの品質管理方法であって、
該加工液供給ノズルに加工液を供給して加工液噴出口から加工液を噴出させる噴出ステップと、
該加工液噴出口から噴出した加工液を撮像手段で撮像して撮像画像を形成する撮像ステップと、
該撮像ステップで形成した撮像画像を基に該加工液供給ノズルの良否を判定する判定ステップと、を備え、
該加工液供給ノズルは、加工液供給源から供給された加工液が流入する流入口と、該流入口に連通して該切削ブレードの表裏両面側に配設された一対のパイプと、該切削ブレードに対面するように該各パイプに形成された前記加工液噴出口とを有しており、
前記撮像ステップでは、複数の方向から該加工液供給ノズルを撮像して複数の撮像画像を形成し、
該判定ステップでは、該加工液供給ノズルから加工液を噴出させた場合の加工液の開き角度、噴出した加工液の割れの有無、うねりの有無、噴出した加工液と該加工液供給ノズルとのなす角度を検出し、該加工液供給ノズルの良否を判定することを特徴とする加工液供給ノズルの品質管理方法。
【請求項2】
前記加工液供給ノズルは固体を識別する個体識別マークを有しており、
前記撮像画像は、該加工液供給ノズルの固体を識別する個体識別番号を含んでいる請求項1記載の加工液供給ノズルの品質管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削装置、スピンナ洗浄装置等において、被加工物に切削液、洗浄液等の加工液を供給する加工液供給ノズルの品質管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICやLSI等のデバイスが複数表面に形成された半導体ウエーハや、樹脂基板、各種セラミック基板、ガラス基板等の被加工物は切削装置によって個々のチップに分割され、分割されたチップは各種電気機器に広く利用されている。
【0003】
切削装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードを含む切削手段と、加工中の切削ブレードへ切削液(加工液)を供給する切削液供給ノズル(加工液供給ノズル)から構成され、被加工物を高精度に分割することができる。
【0004】
被加工物を切削中に切削ブレードへ切削液を供給することは、切削加工中の加工熱を冷却する点と、切削によって発生する切削屑を被加工物上面から洗い流す点において非常に重要である。
【0005】
一方、特開平10−270407号公報で開示されるスピンナ洗浄装置では、スピンナテーブルで被加工物(被洗浄物)を保持して回転させながら洗浄液供給ノズルから洗浄液を被加工物(被洗浄物)へ供給することで被加工物(被洗浄物)を洗浄している。
【0006】
切削装置の切削液供給ノズルや、スピンナ洗浄装置の洗浄液供給ノズル等の加工液供給ノズルは、被加工物の加工状態又は被洗浄物の洗浄状態に大きな影響を及ぼすことになり、良好な品質を保つことが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−187849号公報
【特許文献2】特開平10−270407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、これらの加工液供給ノズルの良否判定は、加工液噴出口の形状やバリの有無を作業者が目視で確認していた。しかし、加工液噴出口の形状やバリの有無を目視によって確認するだけでは、加工液が加工液供給ノズルから噴出した際の良否判定が難しかった。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、加工液供給ノズルの良否判定を容易にする加工液供給ノズルの品質管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードを含む切削手段とを備えた切削装置に配設され、該チャックテーブルで保持された被加工物に加工液を供給する加工液供給ノズルの品質管理方法であって、該加工液供給ノズルに加工液を供給して加工液噴出口から加工液を噴出させる噴出ステップと、該加工液噴出口から噴出した加工液を撮像手段で撮像して撮像画像を形成する撮像ステップと、該撮像ステップで形成した撮像画像を基に該加工液供給ノズルの良否を判定する判定ステップと、を備え、該加工液供給ノズルは、加工液供給源から供給された加工液が流入する流入口と、該流入口に連通して該切削ブレードの表裏両面側に配設された一対のパイプと、該切削ブレードに対面するように該各パイプに形成された前記加工液噴出口とを有しており、前記撮像ステップでは、複数の方向から該加工液供給ノズルを撮像して複数の撮像画像を形成し、該判定ステップでは、該加工液供給ノズルから加工液を噴出させた場合の加工液の開き角度、噴出した加工液の割れの有無、うねりの有無、噴出した加工液と該加工液供給ノズルとのなす角度を検出し、該加工液供給ノズルの良否を判定することを特徴とする加工液供給ノズルの品質管理方法が提供される。
【0011】
好ましくは、加工液供給ノズルは固体を識別する個体識別マークを有しており、撮像画像は、加工液供給ノズルの固体を識別する個体識別番号を含んでいる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の加工液供給ノズルの品質管理方法では、加工液供給ノズルに加工液を供給し、加工液噴出口から噴出する加工液を撮像し、撮像した画像に基づいて、加工液供給ノズルの良否を判定するようにしたため、容易に加工液供給ノズルの良否判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】切削装置の外観斜視図である。
図2】ダイシングテープを介して環状フレームに支持された半導体ウエーハの斜視図である。
図3】スピンドルユニットと、スピンドルに固定されるべきマウントフランジとの関係を示す分解斜視図である。
図4】スピンドルユニットと、スピンドルに装着されるべきハブブレードとの関係を示す分解斜視図である。
図5】ハブブレードがスピンドルに装着された状態の斜視図である。
図6】スピンドルユニットと、スピンドルに装着されるべきワッシャーブレードとの関係を示す分解斜視図である。
図7】切削ブレードとホイールカバー部分の斜視図である。
図8】切削ブレードを省略したホイールカバー部分の斜視図である。
図9】切削ブレード及びホイールカバー部分の側面図である。
図10図8の矢印A方向から撮像された撮像画像を示しており、図10(A)は冷却液噴出口から噴出する冷却液の角度を測定している状態を、図10(B)は冷却液噴出口から噴出する冷却液が割れているか否かを確認している状態をそれぞれ示している。
図11図8の矢印B方向から撮像された撮像画像を示しており、冷却液噴出口から噴出する冷却液の振れ具合を検出するのに利用される。
図12図8の矢印C方向から撮像された撮像画像を示しており、冷却液噴出口から噴出する冷却液と冷却液供給ノズルとの角度をなす測定するのに利用される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は半導体ウエーハをダイシングして個々のチップ(デバイス)に分割することのできる切削装置2の外観を示している。本発明の加工液供給ノズルの品質管理方法は、例えば切削装置の冷却液供給ノズルや切削液供給ノズルの品質管理に利用される。
【0017】
切削装置2の前面側には、オペレータが加工条件等の装置に対する指示を入力するための操作手段4が設けられている。装置上部には、オペレータに対する案内画面や後述する撮像手段によって撮像された画像が表示されるCRT等の表示手段6が設けられている。
【0018】
図2に示すように、ダイシング対象の半導体ウエーハWの表面においては、第1のストリートS1と第2のストリートS2とが直交して形成されており、第1のストリートS1と第2のストリートS2とによって区画されて多数のデバイスDがウエーハW上に形成されている。
【0019】
ウエーハWは粘着シートであるダイシングテープTに貼着され、ダイシングテープTの外周縁部は環状フレームFに貼着されている。これにより、ウエーハWはダイシングテープTを介してフレームFに支持された状態となり、図1に示したウエーハカセット8中にウエーハが複数枚(例えば25枚)収容される。ウエーハカセット8は上下動可能なカセットエレベータ9上に載置される。
【0020】
ウエーハカセット8の後方には、ウエーハカセット8から切削前のウエーハWを搬出するとともに、切削後のウエーハをウエーハカセット8に搬入する搬出入手段10が配設されている。ウエーハカセット8と搬出入手段10との間には、搬出入対象のウエーハが一時的に載置される領域である仮置き領域12が設けられており、仮置き領域12には、ウエーハWを一定の位置に位置合わせする位置合わせ手段14が配設されている。
【0021】
仮置き領域12の近傍には、ウエーハWと一体となったフレームFを吸着して搬送する旋回アームを有する搬送手段16が配設されており、仮置き領域12に搬出されたウエーハWは、搬送手段16により吸着されてチャックテーブル18上に搬送され、このチャックテーブル18に吸引されるとともに、複数のクランプ19によりフレームFが固定されることでチャックテーブル18上に保持される。
【0022】
チャックテーブル18は、回転可能且つX軸方向に往復動可能に構成されており、チャックテーブル18のX軸方向の移動経路の上方には、ウエーハWの切削すべきストリートを検出するアライメント手段20が配設されている。
【0023】
アライメント手段20は、ウエーハWの表面を撮像する撮像手段22を備えており、撮像により取得した画像に基づき、パターンマッチング等の画像処理によって切削すべきストリートを検出することができる。撮像手段22によって取得された画像は、表示手段6に表示される。
【0024】
アライメント手段20の左側には、チャックテーブル18に保持されたウエーハWに対して切削加工を施す切削手段24が配設されている。切削手段24はアライメント手段20と一体的に構成されており、両者が連動してY軸方向及びZ軸方向に移動する。
【0025】
切削手段24は、回転可能なスピンドル26の先端に切削ブレード28が装着されて構成され、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能となっている。切削ブレード28は撮像手段22のX軸方向の延長線上に位置している。
【0026】
図3を参照すると、スピンドルと、スピンドルに装着されるブレードマウントとの関係を示す分解斜視図が示されている。スピンドルユニット30のスピンドルハウジング32中には、図示しないサーボモータにより回転駆動されるスピンドル26が回転可能に収容されている。スピンドル26はテーパ部26a及び先端小径部26bを有しており、先端小径部26bには雄ねじ34が形成されている。
【0027】
36はボス部(凸部)38と、ボス部38と一体的に形成された固定フランジ40とから構成されるマウントフランジであり、ボス部38には雄ねじ42が形成されている。さらに、マウントフランジ36は装着穴43を有している。
【0028】
マウントフランジ36は、装着穴43をスピンドル26の先端小径部26b及びテーパ部26aに挿入して、ナット44を雄ねじ34に螺合して締め付けることにより、図4に示すようにスピンドル26の先端部に取り付けられる。
【0029】
図4はマウントフランジ36が固定されたスピンドル26と、切削ブレード28との装着関係を示す分解斜視図である。切削ブレード28はハブブレードと呼ばれ、円形ハブ48を有する円形基台46の外周にニッケル母材中にダイヤモンド砥粒が分散された切刃50が電着されて構成されている。
【0030】
切削ブレード28の装着穴52をマウントフランジ36のボス部38に挿入し、固定ナット54をボス部38の雄ねじ42に螺合して締め付けることにより、図5に示すように切削ブレード28がスピンドル26に取り付けられる。
【0031】
図6を参照すると、リング状またはワッシャー状の切削ブレード56をスピンドル26に装着する様子を示す分解斜視図が示されている。切削ブレード56はその全体が電鋳された切刃(電鋳砥石)から構成されている。
【0032】
マウントフランジ36のボス部38に切削ブレード56を挿入し、さらに着脱フランジ58をボス部38に挿入して、固定ナット54を雄ねじ42に螺合して締め付けることにより、切削ブレード56は固定フランジ40と着脱フランジ58により両側から挟まれてスピンドル26に取り付けられる。
【0033】
図7を参照すると、スピンドルに装着された切削ブレードをホイールカバー(ブレードカバー)60で包囲した状態の斜視図が示されている。図8は切削ブレードを省略した状態のホイールカバー部分の斜視図である。ホイールカバー60にはブレード破損検出器62が取り付けられている。
【0034】
ブレード破損検出器62は、図9に示すように光ファイバー66に接続された発光部64の先端と、同じく光ファイバーに接続された受光部の先端とが切削ブレード28の切刃50を挟んで対向するように位置付けられて構成されている。
【0035】
68はブレード破損検出器62の位置を調整する調整ねじであり、70は調整された位置でブレード破損検出器62を固定する固定ねじである。発光部64の先端にはマーカー72が形成されている。
【0036】
図7を参照すると、スピンドルに装着された切削ブレード28をホイールカバー(ブレードカバー)60で包囲した状態の斜視図が示されている。図8は切削ブレード28を省略したホイールカバー60の斜視図である。
【0037】
ホイールカバー60内には図示しないエアシリンダが収容されており、エアシリンダのピストンロッドの先端に図示しない取り付けプレートが固定されている。この取り付けプレートに冷却液ノズルアセンブリ76がねじ86により締結されている。
【0038】
図8に最もよく示されるように、冷却液ノズルアセンブリ76は、それぞれホース82a,82bが接続される一対の接続パイプ78a,78bと、接続パイプ78a,78bに接続されて切削ブレード28の表裏両面側に伸長するそれぞれパイプから構成された一対の冷却液供給ノズル(加工液供給ノズル)80a,80bを含んでいる。冷却液供給ノズル80a,80bは固体を識別する個体識別マークをそれぞれ有している。
【0039】
81は切削ブレード28に対面するように各冷却液供給ノズル80a,80bに形成された冷却液噴出口(加工液噴出口)である。各冷却液供給ノズル80a,80bは冷却液が流入する流入口を接続パイプ78a,78bの接続部分に有している。各冷却液供給ノズル80a,80bの外側には飛沫カバー84が設けられている。本実施形態では、冷却液として純水中に炭酸ガスを混入した冷却液を使用している。
【0040】
88は切削液ブロック(ノズルブロック)であり、ねじ90によりホイールカバー60に締結されている。切削液ブロック88は、ホース96に接続される接続パイプ92と、接続パイプ92に接続された切削液ノズル94(図9参照)とを含んでいる。
【0041】
切削液ノズル94の先端(切削液供給口)は切削ブレード28の切刃50に向かって開口している。図8に示すように、冷却液ノズルアセンブリ76は矢印Z方向に調整可能であり、切削液ブロック88は矢印Y方向に調整可能である。
【0042】
本発明の加工液供給ノズルの品質管理方法では、まず、冷却液供給源に接続されたホース82a,82bを介して冷却液供給ノズル80a,80bに冷却液を供給して、冷却液供給ノズル80a,80bの冷却液噴出口81から冷却液を噴出させる噴出ステップを実施する。
【0043】
そして、冷却液噴出口81から噴出する冷却液を図8の矢印A方向、B方向及びC方向から撮像する撮像ステップを実施する。次いで、撮像画像をもとに冷却液供給ノズルの良否を判定する判定ステップを実施するが、判定ステップを実施する前に撮像画像を画像処理することが好ましい。
【0044】
画像処理された撮像画像は表示画面上に表示される。画像処理を実行する画像処理システムとしては、例えばKEYENCE社製の超高速フレキシブル画像処理システムXG−7000Seriesを使用することができる。
【0045】
好ましくは、撮像した撮像画像及び撮像画像から画像処理したデータは記憶装置に保管しておき、例えばトラブルが発生した際に画像及びデータを参照してトラブルの解決に利用する。また、必要に応じて撮像画像を加工して、コンピュータシミュレーションにかけるようにしてもよい。
【0046】
撮像ステップは矢印A方向、B方向及びC方向から実施するが、複数のカメラを用いて撮像してもよいし、一台の可動式カメラで冷却液供給ノズル80a,80bをA,B,Cの3方向から撮像するようにしてもよい。或いは、カメラを固定し、冷却液供給ノズル80a,80bを移動するようにしてもよい。続いて、撮像画像をもとに冷却液供給ノズル80a,80bの良否(合格・不合格)を判定する判定ステップを実施する。
【0047】
撮像ステップは、切削装置にホイールカバー60を装着した状態で実施してもよいし、或いは専用の検査装置に冷却ノズルアセンブリを載置して実施するようにしてもよい。
【0048】
図10(A)を参照すると、図8の矢印A方向から撮像された撮像画像を表示した撮像画面100Aが示されている。撮像画像は画像処理によって鮮明化され、冷却液供給ノズル80aの冷却液噴出口81から噴出する冷却液のエッジが検出される。
【0049】
この撮像画面100Aでは、冷却液供給ノズル80aの冷却液噴出口81から噴出された冷却液83の開き角度θを測定し、この開き角度θが所定の許容範囲内にある場合には合格と判定し、許容範囲を外れる場合には不合格と判定する。
【0050】
同様に、冷却液供給ノズル80bの冷却液噴出口81からも冷却液を噴出させ、この冷却液の開き角度を測定し、開き角度が所定の許容範囲内にある場合には合格と判定し、許容範囲を外れる場合には不合格と判定する。
【0051】
そして、撮像画面100Aには左ノズル(Lノズル)80aの開き角度:△を表示し、右ノズル(Rノズル)80bの開き角度:□を表示する。更に、撮像画面100A上には冷却液供給ノズル80a,80bの固体を識別する個体識別番号を表示する。
【0052】
ここで、冷却液供給ノズル80a,80bに表示されている識別マークと、撮像画面100A上の固体識別表示は異なっていてもよい。例えば、冷却液供給ノズル80a,80bに二次元バーコードを付与し、撮像画面100Aには体識別番号として製造番号を表示するようにしてもよい。
【0053】
図10(B)を参照すると、冷却液供給ノズル80aの冷却液噴出口81から噴出した冷却液83が割れているか否かを確認する撮像画像を表示した撮像画面100Bが示されている。撮像画像は画像処理によって鮮明化され、冷却液供給ノズル80aの冷却液噴出口81から噴出する冷却液の割れの有無が検出される。撮像画面100Bで85は空間であり、冷却液噴出口81から噴出された冷却液83は二つに割れている。
【0054】
よって、この場合には、(Lノズル)割れ:NGと表示する。同様に、Rノズル80bの冷却液噴出口81から噴出された冷却液83についても割れがあるか否かを確認し、割れがなかった場合には、(Rノズル)割れ:OKと表示する。
【0055】
図11を参照すると、図8の矢印B方向から撮像された撮像画像を表示する撮像画面100Cが示されている。撮像画像は画像処理によって鮮明化され、冷却液供給ノズル80aの冷却液噴出口81から噴出する冷却液83のうねりの有無が検出される。
【0056】
この撮像画面100Cでは、冷却液供給ノズル80aの3個の冷却液噴出口81から噴出された冷却液83を図8の矢印B方向から撮像し、噴出した冷却液の振れ具合(うねりの有る無し)を検出する。うねりがない場合、或いはうねりが所定範囲内の場合には、(Lノズル)うねり:OKと表示する。
【0057】
同様に、冷却液噴出ノズル80bの冷却液噴出口81から噴出された冷却液を図8の矢印B方向と反対側から撮像し、噴出された冷却液の振れ具合(うねりの有る無し)を検出する。うねりがない場合、或いはうねりが所定範囲内の場合には、(Rノズル)うねり:OKと表示する。
【0058】
図12を参照すると、図8の矢印C方向から撮像された撮像画像を表示する撮像画面100Dが示されている。撮像画像は画像処理によって鮮明化され、冷却液供給ノズル80aの冷却液噴出口81から噴出する冷却液83の噴出角度が検出される。
【0059】
この撮像画面100Dでは、冷却液供給ノズル80aの3個の冷却液噴出口81から噴出された冷却液83と冷却液供給ノズル80aとのなす角度(噴出角度)を測定し、この噴出角度をそれぞれの冷却液噴出口81について表示する。
【0060】
同様に、冷却液供給ノズル80bに冷却液を供給して、冷却液供給ノズル80bの3個の冷却液噴出口81から噴出された冷却液83と冷却液供給ノズル80bとのなす角度(噴出角度)を測定し、それぞれの噴出角度を撮像画面100D上に表示する。測定した噴出角度が許容範囲内にある場合には合格と判定し、噴出角度が許容範囲を外れる場合には不合格と判定する。
【0061】
上述した実施形態では、矢印A,B,C方向から撮像した三つの撮像画像をもとに冷却液噴出口81から噴出される冷却液83の開き角度、割れの有無、うねりの有無、噴出角度の4項目をチェックし、何れか一つの項目でもNGがあると不良と判定する判定ステップを実施する。しかし、撮像画像の枚数やチェック項目は上述した数に限定されるものではない。
【0062】
上述した実施形態では、本発明の加工液供給ノズルの品質管理方法を、切削装置の冷却液供給ノズル80a,80bに適用した例について説明したが、切削液ノズル94から噴出される切削液を複数の方向から撮像し、切削液ノズル94の良否を判定するようにしてもよい。更に、研削装置やスピンナ洗浄装置の加工液供給ノズルに適用するようにしてもよい。
【0063】
上述した実施形態の冷却液供給ノズル80a,80bの品質管理方法では、冷却液供給ノズル80a,80bに冷却液を供給し、冷却液噴出口81から噴出する冷却液を撮像し、撮像画像に基づいて冷却液供給ノズル80a,80bの良否を判定するようにしたため、作業者による良否判定のばらつきが生じることがなく、冷却液供給ノズル80a,80bの定量的な管理が可能となる。
【符号の説明】
【0064】
2 切削装置
18 チャックテーブル
24 切削手段
26 スピンドル
28 切削ブレード
60 ホイールカバー(ブレードカバー)
80a,80b 冷却液供給ノズル
81 冷却液噴出口
83 冷却液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12