(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された該被加工物に切削加工を施す切削ブレード及び該切削ブレードに切削液を供給するノズルを有する加工手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物を撮像する撮像手段と、を備えた切削装置であって、
該撮像手段は、該チャックテーブルに保持された該被加工物の表面と対向する対物レンズを備えた顕微鏡と、該顕微鏡の周囲を覆い撮像用の開口を一部に備えた底部を有する顕微鏡ボックスと、遮蔽時と撮像時とで該底部の該開口を選択的に開閉するシャッターと、エアー供給源と連通し該チャックテーブルに保持された該被加工物の撮像領域にエアーを噴出し該被加工物上に滞留する該切削液を除去するエアー噴出手段とを具備し、
該エアー噴出手段は、該顕微鏡ボックスの内部に配設されたエアー噴出口から該開口を通過させてエアーを噴出する内部エアー噴出機構と、該顕微鏡ボックスの外部に配設されたエアー噴出口からエアーを噴出する外部エアー噴出機構と、からなり、
該外部エアー噴出機構は、該エアー噴出口の向き及び高さを調整する調整手段を備え、該シャッターが該開口を開放する前にエアーを噴出して予め該被加工物上の該切削液をおおよそ除去することで、該開口を開放後に噴出される該内部エアー噴出機構のエアー噴出によって該切削液の水滴が飛散し、該開口を通って該顕微鏡の対物レンズに付着するのを防ぐことを特徴とする切削装置。
【背景技術】
【0002】
半導体装置製造工程や各種の電子部品製造工程においては、ダイシングソーと呼ばれる極薄の切削ブレードを高速回転させることで、被加工物を個々の製品やチップに分割する切削装置(ダイシング装置)が使用されている。
【0003】
切削装置による切削加工では、切削ブレードの周囲に配設されたノズルから被加工物及び切削ブレードに対し切削水が掛けられる。切削水は、切削加工によって発生する切削屑が被加工物表面に付着しないように洗浄する目的や、加工によって発生する熱を冷却するという目的で用いられる。
【0004】
他方、微細化・小型化が進む半導体ウェーハや電子部品については、切削加工において分割をする際に、切断位置を高精度に調整する必要がある。
【0005】
このため、高倍率の顕微鏡を備え、加工領域に隣接する撮像領域において切断位置を撮像、検出する構成とする切削装置が知られており、このような切削装置について開示する文献も存在する(例えば、特許文献1,2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで切削加工中には切削液が大量に使用されるため、加工領域に切削液を多く含んだ雰囲気が発生し、隣接する撮像領域にこの雰囲気が流れ込むことが想定される。
【0008】
このようなことから、特許文献2に開示されるように、防塵・防滴を目的とする顕微鏡ボックス(密閉カバー)に顕微鏡を収容する形態が知られている。顕微鏡ボックスにはシャッター手段により開閉する開口が設けられ、撮像中以外は顕微鏡ボックスのシャッター手段にて開口を遮蔽することで雰囲気が流入するのを防ぐとともに、撮像が必要な際には、シャッター手段にて開口を開き、開口を通じて撮像する構成としている。
【0009】
また、例えば、切削溝を確認するなどの目的で、被加工物を切削加工中に撮像する場合では、被加工物の上面には通常切削液が乗っていることになる。撮像箇所に切削液が乗っていると鮮明に撮像できないため、顕微鏡ボックス内に設けられたエアブロー手段からのエアーで切削液を吹き飛ばし、被加工物の上面から切削液を除去した後に撮像がなされる。
【0010】
ところが、エアーで吹き飛ばされた切削液の水滴が開口を通って顕微鏡ボックス内に侵入してしまうことや、侵入した切削液により顕微鏡の対物レンズが曇ったり、開閉シャッター駆動部や、顕微鏡に接続されたCCDカメラの故障の原因となるなどの不具合の発生が懸念される。このため、エアーを強力に吹き付けられないという問題があった。
【0011】
また、顕微鏡ボックス内に設けられたエアブロー手段は、狭い顕微鏡ボックス内に顕微鏡と共に収容されるものであるが、開口を通って撮像領域へエアーを吹き付ける構成となっているため、エアブロー手段の角度や高さ等の調整幅が小さいものであった。このため、充分な切削液の除去能力が発揮できないという問題があった。
【0012】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エアーの角度や高さ等の調整幅が大きく、且つ、エアーを強力に吹き付けて切削液を吹き飛ばすことを可能とする構成の切削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、被加工物を保持するチャックテーブルと、チャックテーブルに保持された被加工物に切削加工を施す切削ブレード及び切削ブレードに切削液を供給するノズルを有する加工手段と、チャックテーブルに保持された被加工物を撮像する撮像手段と、を備えた切削装置であって、撮像手段は、チャックテーブルに保持された被加工物の表面と対向する対物レンズを備えた顕微鏡と、顕微鏡の周囲を覆い撮像用の開口を一部に備えた底部を有する顕微鏡ボックスと、遮蔽時と撮像時とで底部の開口を選択的に開閉するシャッターと、エアー供給源と連通しチャックテーブルに保持された被加工物の撮像領域にエアーを噴出し被加工物上に滞留する切削液を除去するエアー噴出手段とを具備し、エアー噴出手段は、顕微鏡ボックスの内部に配設されたエアー噴出口から開口を通過させてエアーを噴出する内部エアー噴出機構と、顕微鏡ボックスの外部に配設されたエアー噴出口からエアーを噴出する外部エアー噴出機構と、からなり、外部エアー噴出機構は、エアー噴出口の向き及び高さを調整する調整手段を備え、シャッターが開口を開放する前にエアーを噴出して予め被加工物上の切削液をおおよそ除去することで、開口を開放後に噴出される内部エアー噴出機構のエアー噴出によって切削液の水滴が飛散し、開口を通って顕微鏡の対物レンズに付着するのを防ぐことを特徴とする切削装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、エアー噴出手段が顕微鏡ボックスの外部にも搭載されているため、顕微鏡ボックスの開口を開放する前に、強力なエアーで予め大まかに被加工物上の切削液を除去することができる。外部エアーが噴出される際には、切削液が飛散することになるが、開口がシャッターにより閉じられるため、飛散した水滴が顕微鏡ボックスに侵入する恐れがない。
【0015】
さらに、顕微鏡ボックス外に設置する外部エアー噴出機構は顕微鏡ボックスという囲いによる規制もなく、外部エアーの経路に開口が配置されるという制限も無くなるため、エアー噴出口の角度(向き)や高さを調整する範囲が広くなり、オペレータによる外部エアーノズルへのアクセスも顕微鏡ボックス内にある場合に比べ容易であるため、調整作業がしやすいという効果も奏する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態としての切削装置2の外観斜視図を示している。
【0018】
図1に示すように、切削装置2は、切削装置2に向かって左側に配置される加工領域4と、向かって右側に配置される搬出入領域6を備えている。加工領域4の上方には、タッチパネル機能を備えた表示モニタ8が備えられる。
【0019】
加工領域4と搬出入領域6は、板状の仕切壁部11によって遮られている。仕切壁部11の下部には、加工領域4と搬出入領域6とを連通させるゲート11aが形成されており、このゲート11aを通過してチャックテーブル19を移動させることにより、チャックテーブル19上に保持された半導体ウェーハWなどの被加工物が、加工領域4と搬出入領域6の間で移動される。
【0020】
搬出入領域6の内部には、撮像ユニット22が設けられており、撮像ユニット22によってチャックテーブル19に保持されたウェーハWを撮像することができるようになっている。撮像ユニット22内には、後述するように顕微鏡60(
図4参照)が設けられている。
【0021】
加工領域4は、その右側に配置される仕切壁部11のほか、切削装置2に向かって切削ユニット24の後ろ側に配置される板状の仕切壁部12、さらには、上面仕切壁部13a、左側仕切壁部13b、正面仕切壁部13cを有する防護カバー13によって取囲まれることで、閉じられた空間として区画形成される。好ましくは、防護カバー13は、内部を視認可能とする透明体にて構成される。
【0022】
図2は、被加工物となるウェーハWについて示すものであり、ウェーハWは粘着テープT(ダイシングテープ)に貼着され、粘着テープTの外周縁部が環状フレームFに貼着されて被加工物ユニットUが形成される。被加工物ユニットUでは、ウェーハWは粘着テープTを介して環状フレームFに支持された状態となる。
【0023】
図2に示されるように、ウェーハWの表面には、第1の分割予定ラインS1と第2の分割予定ラインS2とが直交して形成されており、第1の分割予定ラインS1と第2の分割予定ラインS2によって区画された各領域に半導体パッケージDが形成されている。
【0024】
図3では、切削ユニット24によりフレームFに支持されたウェーハWを分割予定ライン(ストリート)に沿って切削する様子の斜視図が示されている。25は切削ユニット24のスピンドルハウジングであり、スピンドルハウジング25中に図示しないサーボモータにより回転駆動されるスピンドル26が回転可能に収容されている。切削ブレード28は電鋳ブレードであり、ニッケル母材中にダイヤモンド砥粒が分散されてなる切刃28aをその外周部に有している。
【0025】
30は切削ブレード28をカバーするブレードカバーであり、
図3において切削ブレード28の裏側の側面に沿って伸長する図示しない切削水ノズル、及び、切削水を切削ブレード28の切刃28aとウェーハWとの接触領域に噴射する切削水噴射ノズル35が取り付けられている。
【0026】
切削水供給部34からの切削水は、約0.3Mpaに加圧されている。ブレードカバー30に設けた図示しない切削水ノズルには、パイプ32を介して切削水が供給される。同様に、ブレードカバー30に設けた切削水噴射ノズル35には、パイプ37を介して切削水が供給される。切削水噴射ノズル35からは毎分1.6〜2.0リットルの流量で噴射される。
【0027】
40は着脱カバーであり、ねじ42によりブレードカバー30に着脱可能に取り付けられている。着脱カバー40は切削ブレード28の側面に沿って伸長する切削水ノズル44を有している。切削水ノズル44には、パイプ46を介して切削水が供給される。
【0028】
以上のように、本実施形態の切削装置2では、被加工物としてのウェーハWを保持するチャックテーブル19と、チャックテーブル19に保持されたウェーハWに切削加工を施す切削ブレード28及び切削ブレード28に切削液を供給するノズル(
図3の切削水噴射ノズル35,切削水ノズル44)を有する加工手段である切削ユニット24と、チャックテーブル19に保持されたウェーハWを撮像する撮像手段としての撮像ユニット22と、を備える構成としている。
【0029】
次に、本発明において特徴的な構成である撮像ユニット22(撮像手段)の構成について説明する。
図4乃至
図8に示すように、撮像ユニット22は、チャックテーブル19に保持されたウェーハWの表面と対向する対物レンズ61を備えた顕微鏡60と、顕微鏡60の周囲を覆い撮像用の開口64aを一部に備えた底部64bを有する顕微鏡ボックス64と、遮蔽時と撮像時とで底部64bの開口64aを選択的に開閉するシャッター66と、図示せぬエアー供給源と連通しチャックテーブル19に保持されたウェーハWの撮像領域にエアーを噴出しウェーハW上に滞留する切削液を除去する内部エアー噴出機構71と外部エアー噴出機構73を有するエアー噴出手段とを具備している。
【0030】
以下詳細に説明すると、撮像ユニット22は、箱状の顕微鏡ボックス64内に顕微鏡60を収容してなるものであり、顕微鏡60によって、適宜ウェーハWの表面を撮像し、ウェーハWにおける切断位置の検出をすべく構成される。
【0031】
顕微鏡ボックス64は、顕微鏡60の防塵・防滴を目的として設けられるものであって、底部64bに形設される開口64aを除き、顕微鏡ボックス64内が密閉されるように構成されている。
【0032】
開口64aは、シャッター66により開閉されるべく構成されており、シャッター66により開口64aが閉じられることで顕微鏡ボックス64内が密閉される。これにより、ウェーハWに供給される切削液や、ウェーハWから吹き飛ばされる切削液が、顕微鏡ボックス64内へと侵入することが防がれる。
【0033】
一方で、顕微鏡60によりウェーハWの表面の撮像が必要な際には、シャッター66が開かれて開口64aが開放され、対物レンズ61がウェーハWの表面に対向し、ウェーハWの表面の撮像が可能となっている。開口64aは、対物レンズ61の直下に配置される。
【0034】
シャッター66は、
図6に示すように、開口64aを上から塞ぐのに十分な面積を有する板状部材(遮蔽板)にて構成され、顕微鏡ボックス64内において底部64b上に設置されるアクチュエータ67のロッド67aに接続されている。
【0035】
このような構成により、アクチュエータ67の駆動によるロッド67aの伸縮に連動してシャッター66が移動し、ロッド67aが伸長された際には開口64aがシャッター66にて閉鎖され、ロッド67aが縮長された際にはシャッター66が移動して開口64aが開放される。
【0036】
図4に示すように、顕微鏡ボックス64の内部には、内部エアー噴出機構71が配設される。内部エアー噴出機構71は、顕微鏡60の外装部60aに固定される固定ブロック71aと、固定ブロック71aから開口64aに向かって突出し、開口64aを通じてウェーハWの表面へと内部エアー71Aを噴出させる内部エアーノズル71bと、を有している。内部エアーノズル71bは、エアー供給管71cを通じて図示せぬエアー供給源に接続されている。
【0037】
内部エアー噴出機構71の内部エアーノズル71bの先端部には、エアー噴出口71hが形成されており、エアー噴出口71hから内部エアー71Aが噴出される。なお、
図4においては、シャッター66が開かれて開口64aが開放された状態が示されており、シャッター66を仮想線で示している。
【0038】
内部エアー71Aの風圧は、切削液80が吹き飛ばされて開口64aを通じて顕微鏡ボックス64内に侵入することがないように、開口64aの下方となる位置においてウェーハWの表面に残された僅かな切削液80を取り除く程度の風圧に設定される。
【0039】
図5に示すように、顕微鏡ボックス64の外部には、外部エアー噴出機構73が配設される。外部エアー噴出機構73は、顕微鏡ボックス64の側壁部64cに固定される固定ブロック73aと、固定ブロック73aからウェーハWの表面に向かって突出し、ウェーハWの表面へと外部エアー73Aを噴出させる外部エアーノズル73bと、を有している。外部エアーノズル73bは、エアー供給管73cを通じて図示せぬエアー供給源に接続されている。
【0040】
外部エアーノズル73bの外部エアーノズル73bの先端部には、エアー噴出口73hが形成されており、エアー噴出口73hから外部エアー73Aが噴出される。なお、
図5においては、シャッター66が閉じられて開口64aが閉鎖された状態が示されている。
【0041】
外部エアー73Aの風圧は、ウェーハWの表面に乗っている切削液80を十分に吹き飛ばすことができるように、強力に設定されることが好ましい。
【0042】
図7に示すように、固定ブロック73aは、ボルト73m,73nによって顕微鏡ボックス64の側壁部64cに固定される。固定ブロック73aには、上下方向に貫通する縦孔部73dが形設されており、下側の開放部から外部エアーノズル73bが挿入されている。
【0043】
固定ブロック73aには、縦孔部73dと連通する横ネジ孔73eが設けられており、横ネジ孔73eに調整ボルト73fを螺挿し、調整ボルト73fの先端部を外部エアーノズル73bの周面に当接させることで、外部エアーノズル73bが縦孔部73dから抜け落ちないように、固定ブロック73aに固定される。
【0044】
図5に示すように、外部エアーノズル73bにおいて、固定ブロック73aから下方に突出される部位は斜め方向に屈曲されており、顕微鏡ボックス64の開口64aの直下にあるウェーハWの表面の部位に向けて外部エアー73Aを吹き付けることができるように、指向性を有する構成としている。
【0045】
そして、この外部エアーノズル73bから噴出される外部エアー73Aの向きは、調整ボルト73fを緩めて外部エアーノズル73bの固定を解除し、外部エアーノズル73bの上下位置変更、角度位置変更を行うことで、調整できる。調整後は、再び調整ボルト73fを締結することで、外部エアーノズル73bを固定できる。
【0046】
この外部エアーノズル73bの調整作業は、調整ボルト73fが顕微鏡ボックス64の外部に配置されているため、容易に行える。また、外部エアーノズル73bは顕微鏡ボックス64の外部に配置されているため、その調整可能な範囲を広く確保できることになり、
図8に示すように、外部エアーノズル73bのエアー噴出口73hの上下位置、角度位置(向き)の設定について自由度の広い構成が実現される。
【0047】
なお、
図9及び
図10に示す外部エアー噴出機構75の実施形態のように、2本の外部エアーノズル75b,75bを設けることとしてもよい。この構成では、固定ブロック75aに対し、外部エアーノズル75b,75bがそれぞれ調整ボルト75f,75fにて個別に調整可能に固定されることで、2本の外部エアーノズル75b,75bから噴出されるエアーの組み合わせによる外部エアーを実現できる。
【0048】
例えば、2本の外部エアーノズル75b,75bからの外部エアーを一箇所に集中させることで、より強力な風圧で切削液80を吹き飛ばす(除去する)ことや、広範囲に向けて外部エアーが放出されるよう2本の外部エアーノズル75b,75bの角度を設定し、より広範囲で切削液80を吹き飛ばすことなどが考えられる。
【0049】
以上のように、エアー噴出手段は、顕微鏡ボックス64の内部に配設されたエアー噴出口71hから開口64aを通過させて内部エアー71Aを噴出する内部エアー噴出機構71と、顕微鏡ボックス64の外部に配設されたエアー噴出口73hから外部エアー73Aを噴出する外部エアー噴出機構73と、からなっている。
【0050】
そして、
図5に示すように、外部エアー噴出機構75は、エアー噴出口73hの向き及び高さを調整するための調整ボルト73fからなる調整手段を備えることとし、顕微鏡60によるウェーハWの撮像がされる際には、シャッター66が開口64aを開放する前に外部エアー73Aを噴出し予めウェーハW上の切削液80をおおよそ除去する。
【0051】
このように、エアー噴出手段が顕微鏡ボックス64の外部にも搭載されているため、顕微鏡ボックス64の開口64aを開放する前に、強力な外部エアー73Aで予め大まかにウェーハW上の切削液80を除去することができる。
【0052】
そして、外部エアー73Aが噴出される際には、切削液80が飛散することになるが、開口64aがシャッター66により閉じられるため、飛散した水滴が顕微鏡ボックスに侵入する恐れがない。
【0053】
さらに、顕微鏡ボックス64外に設置する外部エアー噴出機構73は顕微鏡ボックス64という囲いによる規制もなく、外部エアー73Aの経路(通り道)に開口64aが配置されるという制限も無くなるため、エアー噴出口73hの角度(向き)や高さの調整可能範囲が広くなり、オペレータによる外部エアーノズル73bへのアクセスも顕微鏡ボックス64内にある場合に比べ容易であるため、調整作業がしやすいという効果も奏する。
【0054】
そして、外部エアー噴出機構73によりウェーハW上の切削液80をおおよそ除去した後、
図4に示すように、シャッター66が開かれて開口64aが開放され、内部エアー71AがウェーハWに対して噴出される。これにより、開口64aの下方となる位置においてウェーハWの表面に残された僅かな切削液80が除去され、ウェーハWの表面を露出させることができ、顕微鏡60によるウェーハW表面の鮮明な撮像が可能となる。
【0055】
この内部エアー71Aが噴出される際には、予め、外部エアー73Aによっておおよその切削液80がウェーハWから除去されているため、開口64aを開放後に噴出される内部エアー噴出機構71の内部エアー71A噴出によって切削液80の水滴が飛散し、開口64aを通って顕微鏡60の対物レンズ61に付着するのを防ぐことが可能となる。