【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、グリーンサステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発/有害な化学物質を削減できる、又は使わない革新的プロセス及び化学品の開発/高機能不均一触媒の開発と環境調和型化学プロセスの研究開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
Proceedings of SPIE-The International Society for Optical Engineering,2003年,5039(Pt.2),682−688
【文献】
Journalof the American Chemical Society,2005年,127(35),12244−12245
【文献】
Chem. Commun.,2009年,2073−2085
【文献】
鈴木大介、外2名,超原子価ヨウ素化合物を触媒に用いるカルボニル化合物とカルボン酸の酸化的分子間カップリング反応,日本化学会講演予稿集,2010年 3月12日,Vol.90th, No.4,1307
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
酸化剤であるヒドロペルオキシドと触媒前駆体であるヨージド塩とを用いて、カルボン酸とα位に水素原子を持つケトン、アルデヒド及びエステルからなる群より選ばれたカルボニル化合物との分子間反応を行うことにより、前記カルボニル化合物のα位に前記カルボン酸由来のアシロキシ基を導入する、
α−アシロキシカルボニル化合物の製法。
【実施例】
【0030】
[実施例1]
プロピオフェノン(134mg,1.0mmol)と、安息香酸(61.1mg,0.5mmol)と、Bu
4NI(18.5mg,0.05mmol,安息香酸に対して10mol%)を酢酸エチル(5mL)に溶かし、TBHP(5.5M デカン溶液(Aldrich製);0.18mL,1.0mmol,安息香酸に対して2当量)を室温で入れた。反応混合液を75℃のオイルバスに入れて24時間加熱しなら撹拌した。反応終了後、反応液を室温に冷やして、Na
2S
2O
3水溶液とNaHCO
3水溶液で洗った。水層を酢酸エチルで抽出して、有機層を食塩水と水で洗った。得られた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させた。溶媒をエバポレーターで除いた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はHexane:EtOAc=20:1(v/v))によって目的とする生成物である2−ベンゾイロキシ−1−フェニル−1−プロパノンを単離した(126mg,0.495mmol,収率99%)。
【0031】
得られた生成物のスペクトルデータは以下の通り。
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 1.68 (d, J=6.9Hz, 3H), 6.21(q, J=6.9Hz, 1H), 7.43-7.51(m, 4H), 7.56-7.62(m, 2H), 8.01(d, J=6.9Hz, 2H), 8.09(d, J=7.3Hz, 2H);
13C NMR(CDCl
3, 100 MHz) δ 17.1, 71.8, 128.3(2C), 128.4(2C), 128.7(2C), 129.4, 129.7(2C), 133.2, 133.5, 134.3, 165.8, 196.6.
【0032】
[実施例2]
実施例1において、安息香酸を1.0mmol、Bu
4NIを0.1mmol(安息香酸に対して10mol%)、TBHPを2.0mmol(安息香酸に対して2当量)使用し、50時間加熱した以外は、実施例1と同様にして生成物を得た。収率は80%であった。
【0033】
[実施例3]
実施例1において、安息香酸を2.0mmol、Bu
4NIを0.1mmol(プロピオフェノンに対して10mol%)、TBHPを2.0mmol(プロピオフェノンに対して2当量)使用し、68時間加熱した以外は、実施例1と同様にして生成物を得た。収率は80%であった。
【0034】
[実施例4]
実施例1において、安息香酸を1mmol、Bu
4NIを0.1mmol(安息香酸に対して10mol%)、TBHPを1.1mmol(安息香酸に対して1.1当量)使用し、29時間加熱した以外は、実施例1と同様にして生成物を得た。収率は76%であった。
【0035】
[実施例5]
実施例4において、TBHP(5.5M デカン溶液)の代わりにTBHP(70%水溶液)を1.1mmol(安息香酸に対して1.1当量)使用した以外は、実施例4と同様にして生成物を得た。収率は72%であった。
【0036】
[実施例6]
実施例1において、安息香酸を1.0mmol、Bu
4NIの代わりに(C
18H
37)
4NIを0.1mmol(安息香酸に対して10mol%)、TBHPを2.0mmol(安息香酸に対して2当量)使用し、47時間加熱した以外は、実施例1と同様にして生成物を得た。収率は92%であった。なお、(C
18H
37)
4NIは、(C
18H
37)
4NBrから常法により調製した。
【0037】
[実施例7]
実施例1において、安息香酸を1.0mmol、Bu
4NIの代わりにPh
4PIを0.1mmol(安息香酸に対して10mol%)、TBHPを2.0mmol(安息香酸に対して2当量)使用し、52時間加熱した以外は、実施例1と同様にして生成物を得た。収率は76%であった。
【0038】
[実施例8]
実施例1において、安息香酸を1.0mmol、Bu
4NIの代わりにPh
3MePIを0.1mmol(安息香酸に対して10mol%)、TBHPを2.0mmol(安息香酸に対して2当量)使用した以外は、実施例1と同様にして生成物を得た。収率は76%であった。
【0039】
[実施例9]
実施例1において、Bu
4NIの代わりにKIを0.05mmol(安息香酸に対して10mol%)、18−クラウン−6を0.05mmol(安息香酸に対して10mol%)使用した以外は、実施例1と同様にして生成物を得た。収率は84%であった。なお、18−クラウン−6を用いなかった場合には、ヨウ化カリウムが溶媒に溶解しないため、活性が低かった。
【0040】
実施例1〜9の結果を表1に示す。酸化剤の当量や収率は、ケトン及びカルボン酸のうちモル数の少ない方を基準として計算した。表1から明らかなように、触媒前駆体としてアンモニウムヨージドを用いた場合、ケトンとカルボン酸の混合比が2:1(実施例1)の場合には定量的に反応が進行し、混合比が1:1(実施例2)や1:2(実施例3)の場合でも効率よく反応が進行した。また、触媒前駆体として、テトラブチルアンモニウムヨージド(実施例1〜5)や
テトラオクタデシルアンモニウムヨージド(実施例6)を用いた場合のほか、テトラフェニルホスホニウムヨージド(実施例7)やメチルトリフェニルホスホニウムヨージド(実施例8)を用いた場合でも、アルカリ金属のヨージドを用いた場合(実施例9)でも効率よく反応が進行した。また、酸化剤に水分が含まれている場合(実施例5)でも、水分が含まれていない場合(実施例4)と遜色ない程度に反応が進行した。
【0041】
【表1】
【0042】
なお、表1には示さなかったが、TBHPの代わりに30%過酸化水素水(「%」は質量%である)を用いた場合、TBHPを用いた場合に比べて収率は低かったものの、目的とする生成物を得ることができた。また、反応溶媒として、THFや1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトニトリルを用いた場合も、酢酸エチルを用いた場合と同等か若干低い収率で目的とする生成物を得ることができた。反応溶媒として、ジクロロエタンやトルエンを用いた場合には、目的とする生成物は得られたが、酢酸エチルを用いた場合に比べて収率が低かった。表2に、各種溶媒を用いて、実施例1に準じて反応を行ったときの結果を示す。但し、反応温度は75℃ではなく、50℃とした。実施例10は、実施例3と比べて反応温度が75℃から50℃に低くなっているため、その分収率が低くなっている。この実施例10は溶媒が酢酸エチルであるが、溶媒をTHF(実施例11)、アセトニトリル(実施例12)、ジエチルエーテル(実施例13)に変更した場合でも、同等か若干低い収率で目的とする生成物が得られた。このことから、実施例11〜13の溶媒は、酢酸エチルと同様、今回の反応に適していることがわかる。
【0043】
【表2】
【0044】
[実施例14〜42]
カルボニル化合物とカルボン酸との分子間酸化的カップリング反応を種々検討した。ここでは、表3及び表4に示す生成物が得られるようなカルボニル化合物R
1C(=O)CH
2R
2とカルボン酸R
3COOHとを用いて、表3及び表4に示すカルボン酸のモル数、反応条件で実施例1に準じて反応を行った。その結果を表3及び表4に示す。酸化剤の当量や収率は、ケトン及びカルボン酸のうちモル数の少ない方を基準として計算した。
【0045】
実施例14〜24のように、プロピオフェノンのベンゼン環の置換基(R)を電子供与基や電子吸引基のいずれにした場合でも、効率よく反応が進行した。特に、実施例16や実施例18では、50℃でもほぼ定量的に反応が進行した。また、実施例25,26のように、安息香酸のベンゼン環の置換基(R)を電子供与基や電子吸引基のいずれにした場合でも、効率よく反応が進行した。また、実施例27,28のように、脱保護が容易なイミダゾリ−2−イル基をカルボニル炭素の隣接基として導入した基質においても、効率よく反応が進行した。また、実施例29〜35のように、芳香族カルボン酸に限らず、飽和脂肪族カルボン酸や不飽和脂肪族カルボン酸でも生成物が高収率で得られた。特に、アクリル酸(実施例32,33)やメタクリル酸(実施例34,35)は重合しやすい不飽和脂肪族カルボン酸であるが、いずれも重合反応ではなく分子間酸化的カップリング反応が選択的に効率よく進行した。更に、プロピオフェノンの代わりに、実施例36〜38のようにブチルフェニルケトン、クロロプロピルフェニルケトンを用いた場合や実施例39のように環状の脂肪族ケトンを用いた場合のほか、実施例40,41のように1,3−ジケトンや1,3−ジエステルを用いた場合でも、比較的効率よく反応が進行した。興味深いことに、実施例42のようにアルデヒドを用いた場合でも、反応が速やかに進行し、高収率で目的とする生成物が得られた。表3,4には示さなかったが、プロピオフェノンの代わりにアセトフェノンを用いた場合には、目的とする生成物は得られたものの、収率は低かった。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
実施例14〜42で得られた生成物のスペクトルデータは以下のとおり。
【0049】
実施例14,15の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 1.67 (d, J=6.8Hz, 3H), 6.15 (q, J=6.8Hz, 1H), 7.16 (t, J=8.3Hz, 2H), 7.45 (t, J=7.6Hz, 2H), 7.58 (t, J=7.6Hz,1H), 8.00-8.09 (m, 4H).
【0050】
実施例16,17の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 300MHz) δ 1.66 (d, J=6.9Hz, 3H), 6.13 (q, J=6.9, 1H), 7.43-7.48 (m, 4H), 7.59 (t, J=7.3Hz, 1H), 7.95 (d, J=7.3Hz, 2H), 8.08 (d, J=6.8Hz, 2H).
【0051】
実施例18,19の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 1.66 (d, J=6.9Hz, 3H), 6.12 (q, J=6.9Hz, 1H), 7.45 (t, J=7.8Hz, 2H), 7.59 (t, J=7.8Hz, 1H), 7.63 (t, J=8.7Hz, 2H), 7.87 (d, J=8.7Hz, 2H), 8.08 (d, J=7.8Hz, 2H).
【0052】
実施例20,21の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 1.71 (d, J=6.8Hz, 3H), 6.24 (q, J=6.8Hz, 1H), 7.39-7.50 (m, 5H), 7.56-7.64 (m, 3H), 7.71 (d, J=8.7Hz, 2H), 8.07-8.12 (m, 4H);
13C NMR (CDCl
3, 100MHz) δ 17.2, 71.9, 127.3 (2C), 127.4 (2C), 128.3, 128.4 (2C), 128.9 (2C), 129.1 (2C), 129.5, 129.9 (2C), 133.1, 133.3, 139.7, 146.2, 166.0, 196.2.
【0053】
実施例22の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 1.66 (d, J=6.9Hz, 3H), 2.42 (s,3H), 6.20 (q, J=6.9Hz, 1H), 7.29 (d, J=8.2Hz, 2H), 7.47 (t, J=7.3Hz, 2H), 7.58 (d, J=7.3Hz, 1H), 7.91 (d, J=8.2Hz, 2H), 8.10 (d, J=7.3Hz, 2H).
【0054】
実施例23,24の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 1.67 (d, J=6.9Hz, 3H), 3.88 (s, 3H), 6.18 (q, J=6.9Hz, 1H), 6.96 (d, J=8.7Hz, 2H), 7.45 (t, J=7.6Hz, 2H),7.57 (t, J=7.6Hz, 1H), 8.00 (d, J=8.7Hz, 2H), 8.10 (d, J=7.6Hz, 2H).
【0055】
実施例25の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 1.68 (d, J=6.9Hz, 3H), 2.41 (s,3H), 6.19 (q, J=6.9Hz, 1H), 7.23-7.26 (m, 2H), 7.48 (t, J=7.3Hz, 2H), 7.59 (t, J=7.3Hz, 1H), 7.95-8.01 (m, 4H).
【0056】
実施例26の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 1.71 (d, J=6.9Hz, 3H), 6.25 (q,J=6.9Hz, 1H), 7.52 (t, J=7.3Hz, 2H), 7.63 (t, J=7.3Hz, 1H), 8.00 (d, J=8.7Hz, 1H), 8.26-8.31 (m, 4H).
【0057】
実施例27の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 1.76 (d, J=6.9Hz, 3H), 4.01 (s,3H), 6.40 (q, J=6.9Hz, 1H), 7.07 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 7.45 (t, J=7.8Hz, 2H), 7.58 (t, J=7.8Hz, 1H), 8.12 (d, J=7.8Hz, 2H).
【0058】
実施例28の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 1.78 (d, J=7.3Hz, 3H), 6.41 (q,J=7.3Hz, 1H), 7.14-7.50 (m, 10H), 8.06 (d, J=7.3Hz, 2H).
【0059】
実施例29,30の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 1.52 (d, J=6.9Hz, 3H), 2.14 (s, 3H), 5.89 (q, J=6.9Hz, 1H), 7.45 (dt, J=2.3, 8.7Hz, 2H), 7.88 (dt, J=2.3,8.7Hz, 2H).
【0060】
実施例31の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 0.96 (t, J=7.3Hz, 3H), 1.51 (d, J=7.3Hz, 3H), 1.62-1.72 (m, 2H), 2.38 (dt, J=2.3, 7.3Hz, 2H), 5.90 (q, J=7.3Hz, 1H), 7.45 (d, J=8.7Hz, 2H), 7.88 (d, J=8.7Hz, 2H).
【0061】
実施例32,33の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 1.56 (d, J=7.3Hz, 3H), 5.92 (dd, J=1.4, 10.5Hz, 1H), 5.98 (q, J=6.9Hz, 1H), 6.20 (dd, J=10.5, 17.4Hz, 1H), 6.46 (dd, J=1.4, 17.4Hz, 1H), 7.45 (d, J=8.2Hz, 2H), 7.90 (d, J=8.2Hz, 2H);
13C NMR (CDCl
3, 100MHz) δ 16.8, 71.2, 127.4, 129.0 (2C), 129.7 (2C), 131.8, 132.5, 139.8, 165.2, 195.4.
【0062】
実施例34,35の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 1.56 (d, J=6.9Hz, 3H), 1.96 (s, 3H), 5.65 (s, 1H), 5.94 (q, J=6.9Hz, 1H), 6.21 (s, 1H), 7.45 (d, J=8.2Hz,2H), 7.90 (d, J=8.2Hz, 2H);
13C NMR (CDCl
3, 100MHz) δ 16.8, 18.0, 71.4, 126.5,128.9 (2C), 129.7 (2C), 132.6, 135.3, 139.8, 166.5, 195.6.
【0063】
実施例36,37の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 1.00 (t, J=7.3Hz, 3H), 1.53-1.63 (m, 2H), 1.96-2.02 (m, 2H), 6.12 (dd, J=5.0, 7.8Hz, 1H), 7.44-7.51 (m, 4H), 7.56-7.62 (m, 2H), 8.05 (d, J=8.7Hz, 2H), 8.10 (d, J=7.3Hz, 2H).
【0064】
実施例38の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 2.43-2.48 (m, 2H), 3.74-3.86 (m, 2H), 6.38 (t, J=6.4Hz, 1H), 7.44-7.54 (m, 4H), 7.58-7.64 (m, 2H), 8.04 (d, J=7.3Hz, 2H), 8.09 (d, J=7.3Hz, 2H);
13C NMR (CDCl
3, 100MHz) δ34.1, 40.6, 72.3, 128.3 (2C), 128.4 (2C), 128.8 (2C), 129.0, 129.7 (2C), 133.4, 133.8, 134.0, 165.7,1952.
【0065】
実施例39の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 0.97 (s, 9H), 1.4-1.50 (m, 1H),1.69-1.82 (m, 2H), 2.13-2.18 (m, 1H), 2.42-2.58 (m, 3H), 5.45 (dd, J=6.4, 11.9Hz, 1H), 7.48 (t, J=8.2Hz, 2H), 7.57 (t, J=8.2Hz, 1H), 8.09 (d, J=8.2Hz, 2H).
【0066】
実施例40の生成物(ケトエノール互変異性体との混合物):
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 2.07 (s, 3H, enol), 2.41 (s, 3H, ketone), 5.73 (s, 1H, ketone), 7.48-7.54 (m, 2H), 7.62-7.68 (m, 1H), 8.12 (dd, J=0.9, 8.3Hz, ketone), 8.19 (dd, J=0.9, 8.3Hz, enol).
【0067】
実施例41の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 3.88 (s, 6H), 5.81 (s, 1H), 7.48 (t, J=7.8Hz, 2H), 7.62 (t, J=7.8Hz, 1H), 8.15 (d, J=7.8Hz, 2H).
【0068】
実施例42の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) δ 3.20 (dd, J=8.2, 14.7Hz, 1H), 3.30 (dd, J=4.6, 14.7Hz, 1H), 5.43 (dd, J=4.6, 8.2Hz, 1H), 7.23-7.34 (m, 5H), 7.45 (t, J=7.3Hz, 2H), 7.60 (t, J=7.3Hz, 1H), 8.03 (d, J=7.3Hz, 2H), 9.67 (s,1H);
13C NMR (CDCl
3, 100MHz) δ 35.1, 79.0, 127.0, 128.4 (2C), 128.5 (2C), 128.9, 129.3 (2C), 129.6 (2C), 133.4, 135.3, 165.8, 198.0.
【0069】
[実施例43〜50]
カルボニル化合物とカルボン酸との分子間酸化的カップリング反応を種々検討した。ここでは、表5に示す生成物が得られるようなカルボニル化合物R
1C(=O)CH
2R
2とカルボン酸R
3CO
2Hとを用いて、表5に示す反応条件で実施例1に準じて反応を行った。その結果を表5に示す。酸化剤の当量や収率は、ケトン及びカルボン酸のうちモル数の少ない方を基準として計算した。
【0070】
実施例43,44のように、カルボニル化合物としてヘテロ環を持つケトン、カルボン酸として安息香酸を用いた場合でも、効率よく反応が進行した。また、実施例45,46のように、カルボニル化合物として1,3−ジケトンや1,3−ケトエステル、カルボン酸として安息香酸を用いた場合でも、効率よく反応が進行した。また、実施例47〜50のように、カルボニル化合物としてプロピオフェノン、カルボン酸としてアクリル酸又はメタクリル酸を用いた場合でも、実施例32〜35と同様、アクリル酸又はメタクリル酸の不飽和結合が酸化されたり、アクリル酸又はメタクリル酸の重合反応が進行したりすることなく、分子間酸化的カップリング反応が選択的に効率よく進行した。
【0071】
【表5】
【0072】
実施例43〜50で得られた生成物のスペクトルデータは以下のとおり。
【0073】
実施例43の生成物:TLC, R
f = 0.25 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (neat) 3060, 1710, 1451, 1272, 1117, 976 cm
-1;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 1.75 (d, J = 7.4 Hz, 3H), 6.65 (q, J = 7.4 Hz, 1H), 7.43-7.49 (m, 2H), 7.52 (ddd, J = 1.4, 4.6, 7.8 Hz, 1H), 7.55-7.61 (m, 1H), 7.87 (dt, J = 1.8, 7.8 Hz, 1H), 8.08-8.14 (m, 3H), 8.71-8.74 (m, 1H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) δ 16.9, 72.1, 122.7, 127.6, 128.3, 129.6, 129.8, 133.1, 137.0, 148.9, 151.3, 166.0, 197.2; HRMS (FAB+) m/z calcd for C
15H
14NO
3 (M+H) 256.0974, found 256.0977.
【0074】
実施例44の生成物:TLC, R
f = 0.29 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (CHCl
3) 3020, 1719, 1674, 1415, 1271, 1115 cm
-1;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 1.72 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 5.97 (q, J = 7.0 Hz, 1H), 7.16 (dd, J = 4.0, 5.0 Hz, 1H), 7.44-7.49 (m, 2H), 7.56-7.62 (m, 1H), 7.70 (dd, J = 1.4, 5.0 Hz, 1H), 7.88 (dd, J = 1.4, 4.0 Hz, 1H), 8.09-8.13 (m, 2H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) δ 17.5, 72.7, 128.1, 128.2, 129.1, 129.6, 132.6, 133.2, 134.4, 140.2, 165.6, 189.4; HRMS (FAB+) m/z calcd for C
14H
13O
3S (M+H) 261.0585, found 261.0582.
【0075】
実施例45の生成物:TLC, R
f = 0.34 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (neat) 3060, 1727, 1691, 1450, 1275, 1115 cm
-1;
1H NMR (keto and enol tautomers, CDCl
3, 400 MHz) δ 2.20 (s, 3H, enol), 2.41 (s, 3H, keto), 6.49 (s, 1H, keto), 7.30-7.35 (m, 2H, enol), 7.37-7.42 (m, 1H, enol), 7.45-7.55 (m, 4H, keto; 2H, enol), 7.60-7.67 (m, 2H, keto and enol), 7.77-7.81 (m, 2H, enol), 8.07-8.13 (m, 4H, keto, 2H, enol), 15.24 (s, 1H, enol);
13C NMR (keto and enol tautomers, CDCl
3, 100 MHz) δ 22.3, 26.9, 82.3, 127.3, 128.0, 128.2, 128.4, 128.5, 128.7, 129.4, 129.9, 130.0, 131.4, 133.0, 133.8, 133.9, 134.1, 134.2, 164.8, 165.0, 175.0, 190.8, 191.7, 199.5; HRMS (FAB+) m/z calcd for C
17H
15O
4 (M+H) 283.0970, found 283.0966.
【0076】
実施例46の生成物:TLC, R
f = 0.37 (hexane-EtOAc = 4:1);
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 1.52 (s, 9H), 2.43 (s, 3H), 5.63 (s, 1H), 7.45-7.51 (m, 2H), 7.59-7.64 (m, 1H), 8.11-8.16 (m, 2H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) δ 27.3, 27.7, 78.5, 83.9, 128.4, 128.5, 129.9, 133.7, 163.2, 165.0, 197.8.
【0077】
実施例47,48の生成物:TLC, R
f = 0.37 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (neat) 2990, 1726, 1698, 1408, 1196, 971 cm
-1;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 1.58 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 5.90 (dd, J = 1.4, 10.4 Hz, 1H), 6.06 (q, J = 6.9 Hz, 1H), 6.22 (dd, J = 10.4, 17.4 Hz, 1H), 6.22 (dd, J = 1.4, 17.4 Hz, 1H), 7.46-7.52 (m, 2H), 7.57-7.63 (m, 1H), 7.94-7.98 (m, 2H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) δ 17.0, 71.4, 127.6, 128.4, 128.7, 131.8, 133.5, 134.2, 165.3, 196.6; HRMS (FAB+) m/z calcd for C
12H
13O
3 (M+H) 205.0865, found 205.0864.
【0078】
実施例49,50の生成物:TLC, R
f = 0.29 (hexane-EtOAc = 8:1); IR (neat) 2988, 1719, 1698, 1450, 1166, 971 cm
-1;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 1.58 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.97 (s, 3H), 5.64 (s, 1H), 6.01 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 6.22 (s, 1H), 7.46-7.51 (m, 2H), 7.57-7.62 (m, 1H), 7.94-7.98 (m, 2H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) δ 17.0, 18.1, 71.5, 126.4, 128.3, 128.6, 133.4, 134.3, 135.5, 166.6, 196.8; HRMS (FAB+) m/z calcd for C
13H
15O
3 (M+H) 219.1021, found 219.1018
【0079】
[実施例51〜61]
アルデヒドとカルボン酸との分子間酸化的カップリング反応を、表6に示す反応式及び反応条件で、反応温度を50℃にし、実施例1に準じて行った。その結果を表6に示す。なお、表6の反応式の「EtOAc(0.2M)」は、酢酸エチルの体積あたりのアルデヒドのモル数を表す。また、主たる副生物はセルフアルドール縮合生成物と酸化的脱水素化生成物(3−フェニル−2−ペンテナール)であった。
【0080】
カルボン酸として酢酸を用いた場合、実施例51のように、アミンを添加しなかった例では、30時間反応後の目的物の収率と副生物の収率はそれぞれ60%、約20%であった。これに対して、ピロリジン(実施例52〜54)やピペリジン(実施例55〜57)を添加したところ、目的物の収率が向上し、副生物の生成が抑制される傾向が見られた。副生物の生成を抑制する効果は、添加量がアルデヒドに対して2〜5当量、特に2当量のときに顕著に現れた。添加物として2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン(実施例58)やモルフォリン(実施例59)をアルデヒドに対して2当量添加した場合にも、副生物の生成を抑制する効果が見られた。なお、実施例58では目的物の収率が落ちているように見えるが、副生物が少ないことから、反応時間を長くすれば目的物の収率が向上すると予測される。実施例52〜59では2級アミンを添加物として用いたが、実施例60では1級アミンを添加物として用いた。この場合にも、2級アミンと同様の傾向が見られたが、効果は2級アミンの方が高かった。
【0081】
カルボン酸として安息香酸を用いた場合、前出の実施例42のように、アミンを添加しなかった例では、20時間反応後の収率は67%であり、副生物は多数存在していた。これに対して、ピペリジンを添加したところ(実施例61)、目的物の収率が94%と劇的に向上し、副生物の生成も大きく抑制された。また、単離収率も89%と高かった。
【0082】
【表6】
【0083】
実施例51〜60で得られた目的物のスペクトルデータは以下の通り。
【0084】
実施例51〜60の目的物:TLC, R
f = 0.46 (hexane-EtOAc = 1:1); IR (neat) 3020, 1739, 1373, 1216 1033 cm
-1;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 2.13 (s, 3H), 3.02 (dd, J = 8.7, 14.6 Hz, 1H), 3.18 (dd, J = 4.8, 14.6 Hz, 1H), 5.23 (dd, J = 4.8, 8.7 Hz, 1H), 7.18-7.35 (m, 5H), 9.56 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) δ 20.6, 35.0, 78.6, 127.1, 128.6, 129.3, 135.4, 170.4, 198.0; HRMS (FAB+) m/z calcd for C
11H
13O
3 (M+H) 193.0865, found 193.0868.
【0085】
[実施例62〜72]
アルデヒドとカルボン酸との分子間酸化的カップリング反応を、添加物としてピペリジンを用いて行った。すなわち、表7に示す生成物が得られるようなアルデヒドR
1CH
2CH
2CHOとカルボン酸R
2CO
2Hとを用いて、ピペリジン存在下、表7に示す反応条件で、実施例1に準じて反応を行った。その結果を表7に示す。
【0086】
実施例62〜72のように、カルボニル化合物として種々のアルデヒドを用いた場合でも、効率よく反応が進行した。このうち、実施例62,63のように、カルボン酸としてアクリル酸又はメタクリル酸を用いた場合でも、実施例32〜35,47〜50と同様、アクリル酸又はメタクリル酸の不飽和結合が酸化されたり、アクリル酸又はメタクリル酸の重合反応が進行したりすることなく、分子間酸化的カップリング反応が選択的に効率よく進行した。
【0087】
【表7】
【0088】
実施例62〜72で得られた生成物のスペクトルデータは以下のとおり。
【0089】
実施例62の生成物:TLC, R
f = 0.47 (hexane-EtOAc = 1:1); IR (neat) 3032, 2925, 1726, 1408, 1269, 1187, 1073 cm
-1;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 3.09 (dd, J = 8.4, 14.7 Hz, 1H), 3.22 (dd, J = 4.5, 14.7 Hz, 1H), 5.29 (dd, J = 4.5, 8.4 Hz, 1H), 5.92 (dd, J = 0.9, 10.4 Hz, 1H), 6.18 (dd, J = 10.4, 17.4 Hz, 1H), 6.46 (dd, J = 1.4, 17.4 Hz, 1H), 7.20-7.34 (m, 5H), 9.58 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) δ 35.1, 78.7, 127.1, 127.2, 128.6, 129.3, 132.4, 135.3, 165.4, 198.0; HRMS (FAB+) m/z calcd for C
12H
13O
3 (M+H) 205.0865, found 205.0865.
【0090】
実施例63の生成物:TLC, R
f = 0.50 (hexane-EtOAc = 1:1); IR (neat) 2927, 1740, 1719, 1455, 1295, 1163 cm
-1;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 1.95 (s, 3H), 3.09 (dd, J = 8.6, 14.7 Hz, 1H), 3.21 (dd, J = 4.8, 14.7 Hz, 1H), 5.23 (ddd, J = 0.9, 4.8, 8.6 Hz, 1H), 5.65 (t, J = 1.4 Hz, 1H), 6.18 (t, J = 1.4, Hz, 1H), 7.20-7.34 (m, 5H), 9.58 (d, J = 0.9 Hz, 1H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) δ 18.1, 35.2, 78.9, 127.1, 128.6, 129.4, 135.2, 135.4, 166.7, 198.3; HRMS (FAB+) m/z calcd for C
13H
15O
3 (M+H) 219.1021, found 219.1020.
【0091】
実施例64の生成物:TLC, R
f = 0.37 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (neat) 2960, 2930, 2861, 1722, 1452, 1273, 1112 cm
-1;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 0.90 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 1.26-1.42 (m, 4H), 1.46-1.57 (m, 2H), 1.78-2.01 (m, 2H), 5.22 (dd, J = 5.1, 8.2 Hz, 1H), 7.46-7.51 (m, 2H), 7.59-7.64 (m, 1H), 8.08-8.12 (m, 2H), 9.64 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) δ 13.9, 22.3, 24.6, 28.7, 31.3, 78.7, 128.4, 129.1, 129.7, 133.4, 166.1, 198.5; HRMS (FAB+) m/z calcd for C
14H
19O
3 (M+H) 235.1334, found 235.1333.
【0092】
実施例65の生成物: TLC, R
f = 0.34 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (neat) 2935, 2860, 1740, 1720, 1452, 1272, 1114 cm
-1;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 1.51-1.60 (m, 2H), 1.66-1.76 (m, 2H), 1.87-2.04 (m, 2H), 2.64 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 5.21 (dd, J = 5.0, 8.2 Hz, 1H), 7.15-7.20 (m, 3H), 7.24-7.30 (m, 2H), 7.45-7.51 (m, 2H), 7.59-7.64 (m, 1H), 8.06-8.10 (m, 2H), 9.63 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) δ 24.4, 28.6, 30.9, 35.4, 78.5, 125.7, 128.2, 128.3, 128.4, 129.0, 129.7, 133.4, 141.9, 166.0, 198.4; HRMS (FAB+) m/z calcd for C
19H
21O
3 (M+H) 297.1491, found 297.1496.
【0093】
実施例66の生成物:. TLC, R
f = 0.47 (hexane-EtOAc = 1:1); IR (neat) 2979, 1726, 1452, 1273, 1176, 1115 cm
-1;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 1.26 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 1.82-2.08 (m, 4H), 2.40 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 4.14 (q, J = 6.9 Hz, 2H), 5.24 (dd, J = 4.6, 8.7 Hz, 1H), 7.46-7.52 (m, 2H), 7.59-7.64 (m, 1H), 8.09-8.14 (m, 2H), 9.65 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) δ 14.1, 20.4, 28.2, 33.6, 60.4, 78.3, 128.5, 129.0, 129.8, 133.6, 166.0, 172.8, 198.1; HRMS (FAB+) m/z calcd for C
15H
19O
5 (M+H) 279.1232, found 279.1232.
【0094】
実施例67の生成物:TLC, R
f = 0.32 (hexane-EtOAc = 1:1); IR (neat) 2934, 2863, 1720, 1453, 1272, 1113, 1027 cm
-1;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 1.57-1.75 (m, 4H), 1.86-2.04 (m, 2H), 3.49 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 4.49 (s, 2H), 5.22 (dd, J = 4.4, 8.2 Hz, 1H), 7.23-7.36 (m, 5H), 7.44-7.50 (m, 2H), 7.58-7.63 (m, 1H), 8.08-8.12 (m, 2H), 9.62 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) δ 21.8, 28.6, 29.3, 69.6, 72.8, 78.6, 127.4, 127.5, 128.3, 128.4, 129.0, 129.8, 133.5, 138.3, 166.0, 198.3; HRMS (FAB+) m/z calcd for C
20H
23O
4 (M+H) 327.1596, found 327.1597.
【0095】
実施例68の生成物:TLC, R
f = 0.40 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (neat) 2930, 2857, 1740, 1723, 1269, 1098 cm
-1;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 0.04 (s, 6H), 0.88 (s, 9H), 1.33-1.45 (m, 4H), 1.48-1.56 (m, 4H), 1.85-2.00 (m, 2H), 3.60 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 5.22 (dd, J = 4.6, 8.2 Hz, 1H), 7.46-7.51 (m, 2H), 7.59-7.64 (m, 1H), 8.08-8.12 (m, 2H), 9.64 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) δ -5.36, 18.3, 24.9, 25.5, 25.9, 28.7, 29.0, 32.6, 63.0, 78.7, 128.4, 129.1, 129.7, 133.4, 166.0, 198.4; HRMS (FAB+) m/z calcd for C
21H
35O
4Si (M+H) 379.2305, found 379.2311.
【0096】
実施例69の生成物:TLC, R
f = 0.45 (hexane-EtOAc = 1:1); IR (neat) 2934, 1721, 1452, 1271, 1112, 1044 cm
-1;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 1.30-1.45 (m, 4H), 1.45-1.70 (m, 4H), 1.86-2.02 (m, 2H), 3.35 (s, 3H), 3.52 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 4.61 (s, 2H), 5.22 (dd, J = 5.0, 8.2 Hz, 1H), 7.46-7.52 (m, 2H), 7.59-7.64 (m, 1H), 8.09-8.12 (m, 2H), 9.64 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) δ 24.9, 25.9, 28.7, 29.0, 29.5, 55.0, 67.5, 78.6, 96.3, 128.4, 129.0, 129.7, 133.5, 166.0, 198.4; HRMS (FAB+) m/z calcd for C
17H
25O
5 (M+H) 309.1702, found 309.1711.
【0097】
実施例70の生成物:TLC, R
f = 0.56 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (neat) 2936, 1740, 1720, 1452, 1272, 1114 cm
-1;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 1.35-1.58 (m, 6H), 1.74-1.82 (m, 2H), 1.86-2.02 (m, 2H), 3.53 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 5.23 (dd, J = 4.2, 8.2 Hz, 1H), 7.46-7.52 (m, 2H), 7.59-7.65 (m, 1H), 8.09-8.12 (m, 2H), 9.65 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) δ 24.8, 26.5, 28.5, 28.7, 32.3, 44.9, 78.6, 128.5, 129.0, 129.8, 133.5, 166.1, 198.5; HRMS (FAB+) m/z calcd for C
15H
20ClO
3 (M+H) 283.1101, found 283.1100.
【0098】
実施例71の生成物:TLC, R
f = 0.40 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (neat) 2927, 2855, 1740, 1722, 1452, 1271, 1113 cm
-1;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 1.25-1.41 (m, 8H), 1.47-1.55 (m, 2H), 1.85-1.98 (m, 2H), 2.00-2.07 (m, 2H), 4.89-5.02 (m. 2H), 5.22 (dd, J = 4.6, 8.2 Hz, 1H), 5.80 (tdd, J = 6.4, 10.1, 17.0 Hz, 1H), 7.46-7.52 (m, 2H), 7.59-7.64 (m, 1H), 8.09-8.13 (m, 2H), 9.64 (d, J = 0.9 Hz, 1H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) δ 24.9, 28.7, 28.8, 28.9, 29.1, 29.2, 33.7, 78.7, 114.2, 128.5, 129.1, 129.8, 133.5, 139.0, 166.1, 198.6; HRMS (FAB+) m/z calcd for C
18H
25O
3 (M+H) 289.1804, found 289.1801.
【0099】
実施例72の生成物:TLC, R
f = 0.43 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (neat) 2925, 2854, 1740, 1724, 1453, 1270, 1112 cm
-1;
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 0.88 (t, J = 6.8 Hz, 3H), 1.18-1.43 (m, 18H), 1.46-1.56 (m, 2H), 1.85-2.07 (m, 6H), 5.22 (dd, J = 5.0, 8.2 Hz, 1H), 5.29-5.39 (m, 2H), 7.46-7.52 (m, 2H), 7.59-7.64 (m, 1H), 8.09-8.12 (m, 2H), 9.64 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) δ 14.1, 22.6, 24.9, 27.0, 27.1, 28.8, 28.9, 29.1, 29.2, 29.4, 29.5, 29.6, 29.7, 31.8, 78.7, 128.4, 129.1, 129.5, 129.8, 130.0, 133.4, 166.0, 198.4; HRMS (FAB+) m/z calcd for C
25H
39O
3 (M+H) 387.2899, found 387.2900.
【0100】
[実施例73〜77]
プロピオフェノンと安息香酸との分子間酸化的カップリング反応を、酸化剤としてTBHP(デカン溶液)、溶媒として酢酸エチルを用いて行ったときの基質濃度について検討した。実験手順は実施例1に準じて行った。表8にその結果を示す。なお、基質濃度は、酢酸エチルの体積あたりのプロピオフェノンのモル数を表す。表8から明らかなように、基質濃度にかかわらず、反応は効率よく進行した(実施例73〜76)。また、酢酸エチルを用いなかった場合でも、反応は効率よく進行した(実施例77)。
【0101】
【表8】
【0102】
[実施例78〜82]
カルボニル化合物とカルボン酸との分子間酸化的カップリング反応を種々検討した。すなわち、表9に示す生成物が得られるようなケトンR
1C(=O)CH
2R
2とカルボン酸(メタクリル酸又は安息香酸)とを用いて、表9に示す反応条件で、実施例1に準じて反応を行った。その結果を表9に示す。
【0103】
【表9】
【0104】
表9の生成物のスペクトルデータは以下のとおり。
【0105】
実施例78の生成物:
1H NMR (CDCl
3, 300 MHz) δ 1.98 (s, 3H), 2.53-2.59 (m, 1H), 2.75-2.83 (m, 1H), 3.60-3.73 (m, 2H), 4.26-4.32 (m, 1H), 4.33-4.40 (m, 1H), 5.28 (dd, J = 7.1, 10.6 Hz, 1H), 5.67 (s, 1H), 6.20 (s, 1H).
【0106】
実施例79の生成物:TLC, R
f = 0.33 (hexane-EtOAc = 4:1);
1H NMR (CDCl
3, 300 MHz) δ 1.99 (s, 3H), 3.10 (dd, J = 4.8, 17.4 Hz, 1H), 3.67 (dd, J = 7.0, 17.4 Hz, 1H), 5.43 (dd, J = 4.8, 8.0 Hz, 1H), 5.67 (s, 1H), 6.22 (s, 1H), 7.55-7.60 (m, 1H), 7.64-7.70 (m, 2H).
【0107】
実施例80の生成物:R
f = 0.30 (hexane-EtOAc = 4:1);
1H NMR (CDCl
3, 300 MHz) δ 2.03 (s, 3H), 2.29-2.41(m,1H), 2.41-2.49 (m, 1H), 3.07-3.15 (m, 1H), 3.19-3.30 (m, 1H), 5.62 (dd, J = 5.0, 13.2 Hz, 1H), 5.67 (s, 1H), 6.26 (s, 1H), 7.25-7.31 (m, 1H), 7.31-7.37 (m, 1H), 7.49-7.55 (m, 1H), 8.01-8.06 (m, 1H).
【0108】
実施例81の生成物:R
f = 0.32 (hexane-EtOAc = 4:1);
1H NMR (CDCl
3, 300 MHz) δ 2.38-2.51 (m, 1H), 2.51-2.59 (m, 1H), 3.11-3.20 (m, 1H), 3.26-3.35 (m, 1H), 5.81 (dd, J = 5.0, 13.3 Hz, 1H), 7.28-7.33 (m, 1H), 7.33-7.39 (m, 1H), 7.44-7.50 (m, 2H), 7.50-7.57 (m, 1H), 7.57-7.62 (m, 1H), 8.06 (dd, J = 0.9, 7.8 Hz, 1H), 8.13-8.18 (m, 2H).
【0109】
実施例82の生成物:TLC, R
f = 0.45 (hexane-EtOAc = 4:1);
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ 2.00 (s, 3H), 5.67 (s, 1H), 6.22 (s, 1H), 6.90 (s, 1H), 7.33-7.45 (m, 5H), 7.46-7.56 (m, 3H), 7.93-7.99 (m, 2H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) δ 18.2, 77.6, 126.9, 128.5, 128.6, 128.7, 129.0, 129.2, 133.4, 133.6, 134.6, 135.4, 166.7, 193.8.
【0110】
[実施例83〜87]
4−ter−ブチルシクロヘキサノンとメタクリル酸との分子間酸化的カップリング反応を種々検討した。すなわち、表10に示す反応条件で、実施例1に準じて反応を行った。その結果を表10に示す。この反応では、モノアシロキシ体とジアシロキシ体のほか、未同定の副生物が得られた。モノアシロキシ体とジアシロキシ体は、両方とも単一なジアステレオマー(全ての置換基がエクアトリアル)であった。
【0111】
【表10】
【0112】
実施例83〜87で得られた生成物のスペクトルデータは以下のとおり。
【0113】
モノアシロキシ体:R
f = 0.26 (hexane-EtOAc = 8:1);
1H NMR (CDCl
3, 300 MHz) δ 0.95 (s, 9H), 1.39-1.52 (m, 1H), 1.58-1.78 (m, 2H), 1.98 (s, 3H), 2.08-2.17 (m, 1H), 2.32-2.39 (m, 1H), 2.44 (ddd, J = 0.9, 6.0, 14.0 Hz, 1H), 2.52 (ddd, J = 2.7, 4.6, 14.0 Hz, 1H), 5.28 (dd, J = 6.4, 12.4 Hz, 1H), 5.63 (s, 1H), 6.21 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) d 18.3, 27.6, 28.0, 32.4, 34.1, 39.5, 45.8, 76.2, 126.2, 135.7, 166.3, 204.8.
【0114】
ジアシロキシ体:R
f = 0.24 (hexane-EtOAc = 8:1);
1H NMR (CDCl
3, 300 MHz) δ 0.98 (s, 9H), 1.61-1.71 (m, 2H), 1.78-1.89 (m, 1H), 1.97 (s, 6H), 2.35-2.44 (m, 2H), 5.39 (dd, J = 6.0, 12.8 Hz, 2H), 5.63 (s, 2H), 6.22 (s, 2H);
13C NMR (CDCl
3, 100 MHz) d 18.2, 27.5, 32.4, 33.9, 41.5, 74.8, 166.0, 198.9.
【0115】
[実施例88〜90]
分子間酸化的カップリング反応に用いる酸化剤の種類について検討した。その結果を表11に示す。実施例88,89は、プロピオフェノンとメタクリル酸との反応を、それぞれ過酸化水素水、クメンヒドロペルオキシドを酸化剤として用いた例である。表11で酸化剤の「%」は質量%である。参考までに、同様の反応をTBHPを酸化剤として用いた実施例49の結果も併せて表11に示した。いずれの酸化剤でも、収率の高低は別として、目的物であるα−アシロキシカルボニル化合物が得られた。また、実施例90は、プロピオフェノンと安息香酸との反応をクメンヒドロペルオキシドを酸化剤として用いた例である。参考までに、同様の反応をTBHPを酸化剤として用いた実施例74の結果も併せて表11に示した。この場合も、いずれの酸化剤でも目的物であるα−アシロキシカルボニル化合物が得られた。
【0116】
【表11】
【0117】
本出願は、2010年3月5日に出願された日本国特許出願第2010-049003号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容全てが本明細書中に含まれる。