(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770374
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】樹脂組成物、これを用いて形成された光学フィルム、これを含む偏光板及び液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
C08L 33/04 20060101AFI20150806BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20150806BHJP
C08L 69/00 20060101ALI20150806BHJP
C08F 220/18 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
C08L33/04
G02B5/30
C08L69/00
C08F220/18
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-520152(P2014-520152)
(86)(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公表番号】特表2014-520926(P2014-520926A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】KR2013004790
(87)【国際公開番号】WO2013180504
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2014年1月10日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0059449
(32)【優先日】2012年6月1日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0062199
(32)【優先日】2013年5月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ウム、ジュン−ゲウン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ナム−ジェオン
【審査官】
藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−216491(JP,A)
【文献】
特開2009−300918(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/079920(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/095870(WO,A1)
【文献】
特表2010−540693(JP,A)
【文献】
特表2012−514759(JP,A)
【文献】
特表2012−518052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 33/00 − 35/08
C08F 220/00 − 222/40
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(a)(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体と、(b)マレイミド系単量体と、(c)アルキル(メタ)アクリレート系単量体とを重合して形成された共重合体を含む、
光学フィルム形成用樹脂組成物。
【請求項2】
前記樹脂組成物は、(B)ポリカーボネートをさらに含む、
請求項1に記載の光学フィルム形成用樹脂組成物。
【請求項3】
前記共重合体(A)は、共重合体100重量部を基準に、
(a)(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体0.5〜40重量部と、
(b)マレイミド系単量体1〜15重量部と、
(c)アルキル(メタ)アクリレート系単量体50〜98重量部と、
を含む、
請求項1または2に記載の光学フィルム形成用樹脂組成物。
【請求項4】
前記(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体は、メタクリロイルモルホリン、アクリロイルモルホリン及びフェニルアクリロイルモルホリンからなる群から選択される少なくとも一つである、
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学フィルム形成用樹脂組成物。
【請求項5】
前記マレイミド系単量体は、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、イソプロピルマレイミド、ブチルマレイミド、アリルマレイミド、ベンジルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、ニトロフェニルマレイミド、N−ヒドロキシマレイミド、N−メトキシマレインイミド、N−エトキシマレインイミド、モノクロロフェニルマレイミド、ジクロロフェニルマレイミド、モノメチルフェニルマレイミド、ジメチルフェニルマレイミド及びエチルメチルフェニルマレイミドからなる群から選択される少なくとも一つである、
請求項1から4のいずれか1項に記載の光学フィルム形成用樹脂組成物。
【請求項6】
前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルエタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一つである、
請求項1から5のいずれか1項に記載の光学フィルム形成用樹脂組成物。
【請求項7】
前記共重合体(A)は、共単量体としてスチレン系単量体をさらに含む、
請求項1から6のいずれか1項に記載の光学フィルム形成用樹脂組成物。
【請求項8】
前記スチレン系単量体は、前記共重合体100重量部を基準に0.1〜5.0重量部でさらに含まれる、
請求項7に記載の光学フィルム形成用樹脂組成物。
【請求項9】
前記スチレン系単量体は、スチレン、α‐メチルスチレン、p‐ブロモスチレン、p‐メチルスチレン及びp‐クロロスチレンからなる群から選択される1種以上である、
請求項7または8に記載の光学フィルム形成用樹脂組成物。
【請求項10】
前記ポリカーボネート(B)は、樹脂組成物全体100重量部を基準に0.5〜5重量部の含量で含まれる、
請求項2に記載の光学フィルム形成用樹脂組成物。
【請求項11】
(A)(a)(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体、(b)マレイミド系単量体及び(c)アルキル(メタ)アクリレート系単量体を重合して形成された共重合体と、
(B)ポリカーボネートと、
を含む、
樹脂組成物。
【請求項12】
(A)(a)(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体と、(b)マレイミド系単量体と、(c)アルキル(メタ)アクリレート系単量体とを重合して形成された共重合体を含み、
前記共重合体(A)は、共重合体100重量部を基準に、
(a)(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体0.5〜40重量部と、
(b)マレイミド系単量体1〜15重量部と、
(c)アルキル(メタ)アクリレート系単量体50〜98重量部と、
を含む、
樹脂組成物。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか一項に記載の光学フィルム形成用樹脂組成物で製造される、光学フィルム。
【請求項14】
(A)(a)(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体と、(b)マレイミド系単量体と、(c)アルキル(メタ)アクリレート系単量体とを重合して形成された共重合体を含む樹脂組成物で製造される、光学フィルム。
【請求項15】
請求項11又は請求項12に記載の樹脂組成物で製造される、光学フィルム。
【請求項16】
前記光学フィルムは、熱膨張係数が50〜80ppm/℃である、
請求項13から請求項15までの何れか一項に記載の光学フィルム。
【請求項17】
前記光学フィルムは、下記数式1で定義される面方向の位相差(Rin)の絶対値及び下記式2で定義される厚さ方向の位相差(Rth)の絶対値がそれぞれ5nm以下である、
請求項13から請求項16までの何れか一項に記載の光学フィルム。
[数式1]
Rin=(nx−ny)×d
[数式2]
Rth=(nz−ny)×d
前記数式1及び数式2中、
nxは光学フィルムの面方向の屈折率のうち最も大きな屈折率であり、
nyは光学フィルムの面方向の屈折率のうちnxと垂直な方向の屈折率であり、
nzは厚さ方向の屈折率であり、
dはフィルムの厚さである。
【請求項18】
前記光学フィルムは、偏光板用保護フィルムである、
請求項17に記載の光学フィルム。
【請求項19】
偏光子と、
前記偏光子の少なくとも一つの面に配置される、請求項13から請求項18までの何れか一項に記載の光学フィルムと、
を含む、偏光板。
【請求項20】
請求項19に記載の偏光板を含む、液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物及びこれを用いて形成された光学フィルムに関し、より詳細には、(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体と、マレイミド系単量体と、アルキル(メタ)アクリレート系単量体とを重合して形成された共重合体を含む樹脂組成物、これを用いて形成された光学フィルム、これを含む偏光板及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイは、陰極線管ディスプレイに比べて消費電力が低く、体積が小さくて軽いことから携帯が容易であるため、光学ディスプレイ素子として広く普及されている。通常、液晶ディスプレイは、液晶セルの両側に偏光板を設置した基本構成を有し、駆動回路の電界印加の有無によって液晶セルの配向が変わり、偏光板から出た透過光の特性が変わることにより、光の可視化がなされる。
【0003】
このような偏光板は、通常、偏光子と保護フィルムで構成される。この際、上記偏光子としては、ポリビニルアルコール(PVA)等の親水性高分子にヨード又は二色性染料を吸着させて延伸配向させたものが通常用いられている。一方、上記保護フィルムは、偏光子の耐久性及び機械的物性を増大させるためのものであり、偏光子の一面又は両面に接着剤を介して付着されることができる。
【0004】
一方、上記保護フィルムは、偏光子の光学物性を変化させないように位相差特性が少ないフィルムであることが好ましく、特に、面方向及び厚さ方向の位相差がゼロ(0)水準に維持されることが好ましい。しかしながら、通常の光学フィルムは外部応力によって位相差値が多少変化するという問題がある。
【0005】
また、偏光子は、水分及び熱に非常に敏感な特性を有していることから、外部環境により偏光子の寸法が変わりやすいため、偏光板が曲がるカール現象及びこれによる光漏れ現象が発生しやすい。このような光漏れ現象はディスプレイの画質を低下させる主な要因となるため、偏光板のカール特性の抑制はディスプレイ技術分野で非常に重要な課題の一つとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためのものであり、低い熱膨張係数を有して偏光板のカール発生を抑制することができる光学フィルム用樹脂組成物、これを用いて製造された光学フィルム、偏光板及びこれを含む液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、(A)(a)(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体と、(b)マレイミド系単量体と、(c)アルキル(メタ)アクリレート系単量体とを重合して形成された共重合体を含む樹脂組成物が提供される。
【0008】
一方、上記共重合体(A)は、共重合体100重量部を基準に、(a)(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体0.5〜40重量部と、(b)マレイミド系単量体1〜15重量部と、(c)アルキル(メタ)アクリレート系単量体50〜98重量部と、を含むことが好ましい。
【0009】
上記(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体は、メタクリロイルモルホリン、アクリロイルモルホリン及びフェニルアクリロイルモルホリンからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
【0010】
上記マレイミド系単量体は、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、イソプロピルマレイミド、ブチルマレイミド、アリルマレイミド、ベンジルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、ニトロフェニルマレイミド、ヒドロキシマレイミド、メトキシマレイミド、エトキシマレイミド、モノクロロフェニルマレイミド、ジクロロフェニルマレイミド、モノメチルフェニルマレイミド、ジメチルフェニルマレイミド、及びエチルメチルフェニルマレイミドからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
【0011】
上記アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルエタクリレートヒドロキシエチルメタクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
【0012】
上記共重合体(A)は、共単量体としてスチレン系単量体をさらに含むことができる。この場合、上記スチレン系単量体は、上記共重合体100重量部を基準に0.1〜5.0重量部の含量で含まれることができる。
【0013】
上記スチレン系単量体は、スチレン、α‐メチルスチレン、p‐ブロモスチレン、p‐メチルスチレン及びp‐クロロスチレンからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
【0014】
一方、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、(B)ポリカーボネート樹脂をさらに含むことができる。上記ポリカーボネート(B)は、樹脂組成物全体100重量部を基準に0.5〜5重量部の含量で含まれることが好ましい。この場合、上記樹脂組成物を用いて製造された光学フィルムの面方向の位相差の絶対値及び厚さ方向の位相差の絶対値をそれぞれ5nm以下に調節することができるため、保護フィルムとして有用に用いられることができる。
【0015】
上記樹脂組成物は、コンパウンディング樹脂であることが好ましい。
【0016】
本発明の他の実施形態によれば、上記樹脂組成物を用いて形成された光学フィルムが提供される。上記光学フィルムは、偏光子用保護フィルムであることが好ましい。
【0017】
よって、本発明は、上記光学フィルムを含む偏光板及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明による樹脂組成物は、光学的特性に優れると共に光学的透明度に優れ、ヘイズが少なく、機械的強度に優れ、特に、熱膨張係数が低いため、外部温度変化による寸法変化が小さいフィルムを提供することができる。したがって、本発明の樹脂組成物を用いて形成された光学フィルムは、多様な用途にディスプレイ装置等の情報電子装置に用いられることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、(A)(a)(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体と、(b)マレイミド系単量体と、(c)アルキル(メタ)アクリレート系単量体とを重合して形成された共重合体を含む樹脂組成物が提供される。
【0021】
本明細書において、共重合体とは、本明細書中の単量体という要素が重合されて共重合体樹脂内に繰り返し単位として含まれるものを意味する。本明細書において、上記共重合体は、ブロック共重合体又はランダム共重合体であることができるが、これに制限されるものではない。また、上記共重合体(A)は、上述した(a)〜(c)の単量体からなる三元共重合体に限定されず、本発明の目的を外れない範囲内で、上述した単量体以外にも他の単量体を共単量体としてさらに含むことができる。
【0022】
前述した各単量体の特性により、これらから製造される光学フィルムの位相差特性は、各成分の組成、延伸方向、延伸比及び延伸方法によって変わる。したがって、本発明では、上記各成分の組成と延伸方法を調節して光学フィルムを製造することができる。
【0023】
本発明において、上記(a)(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体は、水によく溶ける親水性の特性を有し、水素結合のような相互作用により高分子内で物理的な架橋を形成し、これを含む本発明の樹脂組成物で製造されたフィルムに弾性を付与するためのものである。弾性が増加すると、熱膨張係数が減少し、熱膨張係数が減少すると、寸法変化が減少するため、応力による位相差値の変化が少ないフィルムを提供することができる。
【0024】
上記(a)(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体は、(メタ)アクリロイルモルホリン単量体又はその誘導体のことであり、上記(メタ)アクリロイルモルホリン単量体は、メタクリロイルモルホリン又はアクリロイルモルホリン、好ましくはアクリロイルモルホリンである。一方、本発明に使用可能な(メタ)アクリロイルモルホリン誘導体は、例えば、置換又は非置換の(メタ)アクリロイルモルホリンである。この際、上記(メタ)アクリロイルモルホリンに置換可能な置換基としては、アルキル基、芳香族基、ヘテロ原子を含むサイクリック基等が挙げられ、フェニルアクリロイルモルホリン等が好ましい。
【0025】
上記(a)(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体の含量は、共重合体100重量部を基準に、0.5〜40重量部程度、好ましくは1〜30重量部程度、より好ましくは5〜20重量部程度である。上記(a)(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体が上記含量範囲の場合、含量に比例してフィルムの熱膨張係数が減少する効果がある。また、20重量部以下の場合は、樹脂組成物及びフィルムの色相が透明性を帯びる。
【0026】
本発明において、上記(b)マレイミド系単量体は、樹脂組成物及びフィルムの耐熱性を向上させ、ポリカーボネート樹脂とのコンパウンディング相溶性を向上させるためのものである。
【0027】
上記(b)マレイミド系単量体は、その具体的な例として、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、イソプロピルマレイミド、ブチルマレイミド、アリルマレイミド、ベンジルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、ニトロフェニルマレイミド、ヒドロキシマレイミド、メトキシマレイミド、エトキシマレイミド、モノクロロフェニルマレイミド、ジクロロフェニルマレイミド、モノメチルフェニルマレイミド、ジメチルフェニルマレイミド、及びエチルメチルフェニルマレイミドからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
【0028】
上記(b)マレイミド系単量体の含量は、共重合体100重量部を基準に、1〜15重量部程度であることが好ましく、3〜10重量部程度であることがより好ましい。マレイミド系単量体の含量が上記範囲の場合、樹脂組成物又はフィルムの耐熱性が強化され、ポリカーボネート(B)樹脂とよく混合され、析出なしにフィルムの製膜をすることができる。
【0029】
本発明において、(c)アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、高透明な光学的特性を樹脂組成物又はフィルムに付与するためのものである。
【0030】
上記(c)アルキル(メタ)アクリレート系単量体とは、「アルキルアクリレート系単量体」と「アルキルメタクリレート系単量体」をすべて含むものを意味する。上記アルキル(メタ)アクリレート系単量体のアルキル部分(moiety)は、炭素数が1〜6であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルエタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一つであることができるが、これに制限されるものではない。
【0031】
上記(c)アルキル(メタ)アクリレート系単量体の含量は、共重合体100重量部を基準に、50〜98重量部程度であることが好ましく、65〜90重量部程度であることがより好ましい。その含量が上記範囲の場合、樹脂組成物又はフィルムの光透過度に優れ、耐熱性が維持されることができる。
【0032】
一方、本発明において、上記(a)(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体は、光学フィルムに負の複屈折特性と、弱い程度の正の厚さ方向の位相差特性を付与し、上記(b)マレイミド系単量体は、光学フィルムに弱い程度の正の複屈折特性と、負の厚さ方向の位相差(R
th)特性を付与する。一方、(c)アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、モルホリン系単量体と同様の程度の負の複屈折特性と、正の厚さ方向の位相差(R
th)特性を付与する。
【0033】
ここで、負の複屈折特性とは、フィルム延伸時、延伸方向と垂直な方向に屈折率が最も大きくなる特性を意味し、正の複屈折特性とは、延伸方向に屈折率が最も大きくなる特性を意味する。
【0034】
一方、本明細書において、面方向の位相差値(R
in)及び厚さ方向の位相差値(R
th)はそれぞれ下記式1及び式2により定義された値を意味し、負の厚さ方向の位相差は下記式2で表示されるR
thが負の値を有することを意味し、正の厚さ方向の位相差は下記式2で表示されるR
thが正の値を有することを意味する。
【0035】
[数1]
R
in=(n
x−n
y)×d
【0036】
[数2]
R
th=(n
z−n
y)×d
【0037】
上記式1及び式2中、n
xは光学フィルムの面方向の屈折率のうち最も大きな屈折率であり、n
yは光学フィルムの面方向の屈折率のうちn
xと垂直な方向の屈折率であり、n
zは厚さ方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さである。
【0038】
一方、本発明の上記共重合体は、必要に応じて、上述した単量体以外にも、共単量体としてスチレン系単量体をさらに含むことができる。スチレン系単量体をさらに含む場合、各単量体間の重合効率を向上させ、製造された共重合体内に含まれた残留モノマーを低減させることができる効果をもたらす。また、スチレン系単量体が含まれた樹脂組成物で製造されたフィルムは、延伸位相差をより容易に制御することができるため、優れた複屈折性を有するゼロ位相差フィルムを提供することができる。
【0039】
上記スチレン系単量体がさらに含まれる場合、その含量は、上記共重合体(A)100重量部を基準に0.1〜5.0重量部程度であることが好ましい。これは、スチレン系単量体の含量が上記範囲を満たす場合に残留モノマー低減効果及び位相差特性の面でより好ましい効果が得られるためである。
【0040】
一方、上記スチレン系単量体は、置換されていないスチレン単量体又は置換されたスチレン単量体であることができる。上記置換されたスチレン単量体は、ベンゼン環又はビニル基に脂肪族炭化水素又はヘテロ原子を含む置換基で置換されたスチレンであることができる。例えば、スチレン、α‐メチルスチレン、3‐メチルスチレン、4‐メチルスチレン、2,4‐ジメチルスチレン、2,5‐ジメチルスチレン、2‐メチル‐4‐クロロスチレン、2,4,6‐トリメチルスチレン、cis‐β‐メチルスチレン、trans‐β‐メチルスチレン、4‐メチル‐α‐メチルスチレン、4‐フルオル‐α‐メチルスチレン、4‐クロロ‐α‐メチルスチレン、4‐ブロモ‐α‐メチルスチレン、4‐t‐ブチルスチレン、2‐フルオルスチレン、3‐フルオルスチレン、4‐フルオロスチレン、2,4‐ジフルオロスチレン、2,3,4,5,6‐ペンタフルオロスチレン、2‐クロロスチレン、3‐クロロスチレン、4‐クロロスチレン、2,4‐ジクロロスチレン、2,6‐ジクロロスチレン、オクタクロロスチレン、2‐ブロモスチレン、3‐ブロモスチレン、4‐ブロモスチレン、2,4‐ジブロモスチレン、α‐ブロモスチレン及びβ‐ブロモスチレンからなる群から選択された1種以上であることができるが、これに限定されるものではない。より好ましくは、上記スチレン系単量体としては、C
1−4アルキル又はハロゲンで置換されたスチレンを用いることができる。より詳細には、上記スチレン系単量体としては、スチレン、α‐メチルスチレン、p‐ブロモスチレン、p‐メチルスチレン及びp‐クロロスチレンからなる群から選択される1種以上を用いることができる。最も好ましくは、スチレン、α‐メチルスチレン及びp‐メチルスチレンからなる群から選択される1種以上を用いることができる。
【0041】
本発明の他の側面は、上記共重合体(A)と、ポリカーボネート(B)と、を含む樹脂組成物に関する。
【0042】
上記ポリカーボネート(B)は、位相差調節のために添加されるものであり、樹脂組成物全体100重量部を基準に、0.5〜10重量部程度の含量で含まれ、好ましくは0.5〜5重量部程度の含量で含まれる。上記ポリカーボネート(B)が上記含量より少なく含まれる場合は、延伸フィルムの厚さ方向の位相差が負の方向に増加し、上記含量を超えて含まれる場合は、延伸フィルムの厚さ方向の位相差が正の方向に増加するという問題がある。したがって、上記範囲の組成により、面方向の位相差の絶対値及び厚さ方向の位相差の絶対値がそれぞれ5nm、好ましくは3nm、より好ましくは0となるように含量を調節して添加する。
【0043】
一方、アクリル系共重合体樹脂とポリカーボネート樹脂とを含む本発明の樹脂組成物は、例えば、コンパウンディング法のような当該技術分野によく知られている方法を用いて製造されることができる。
【0044】
さらに、上記樹脂組成物は、必要に応じて、当該技術分野で通常用いられる多様な添加剤、例えば、潤滑剤、酸化防止剤、UV安定剤、熱安定剤等をさらに含むことができる。この際、上記添加剤は、樹脂組成物の物性を害さない範囲内で適切な含量で含まれ、例えば、樹脂組成物100重量部を基準に0.1〜5重量部程度含まれることができる。
【0045】
一方、本発明による樹脂組成物のガラス転移温度は110℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。上記樹脂組成物のガラス転移温度は130℃以下であれば良いが、これに制限されるものではない。なお、ガラス転移温度が110℃未満の場合は、耐熱性が足りなくて高温高湿条件下でフィルムが変形されやすいため、フィルムの補償特性が不均一になるという問題がある。
【0046】
また、上記樹脂組成物の重量平均分子量は、耐熱性、加工性、生産性等の面で50,000〜500,000であることが好ましい。
【0047】
一方、本発明による光学フィルムは、上記のような樹脂組成物を用いて形成されることができる。より具体的には、本発明による光学フィルムは、上記樹脂組成物を得た後、フィルムを成形する段階を含んで製造され、上記フィルムを一軸又は二軸延伸する段階をさらに含むことができる。
【0048】
本発明による光学フィルムの製造時には、当該技術分野に知られている方法、一例として、溶融押出成形法を用いることができる。例えば、上記樹脂組成物を真空乾燥して水分及び溶存酸素を除去した後、原料ホッパー(hopper)から押出機を窒素置換したシングル又はツイン押出機に供給し、高温で溶融して原料ペレットを得た後、得られた原料ペレットを真空乾燥し、原料ホッパーから押出機までを窒素置換したシングル押出機で溶融した後、コートハンガー型のT‐ダイに通過させ、クロムメッキキャスティングロール及び乾燥ロール等を経てフィルムを製造することができる。この際、フィルム成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。一方、上記のようにTダイ法でフィルムを成形する場合、公知の短軸押出機や二軸押出機の先端部にTダイを装着し、フィルム状に押し出されたフィルムを巻取してロール状のフィルムを得ることができる。この際、巻取ロールの温度を適切に調整して押出方向に延伸することにより一軸延伸を行うことができる。また、押出方向と垂直な方向にフィルムを延伸することにより同時二軸延伸、逐次二軸延伸等を行うこともできる。
【0049】
一方、延伸工程が行われる場合、延伸温度は、フィルムの原料である樹脂組成物のガラス転移温度近傍の範囲であることが好ましく、好ましくは(ガラス転移温度−30℃)〜(ガラス転移温度+100℃)、より好ましくは(ガラス転移温度−20℃)〜(ガラス転移温度+80℃)の範囲内である。延伸温度が(ガラス転移温度−30℃)未満の場合は、十分な延伸倍率が得られない恐れがある。これに対し、延伸温度が(ガラス転移温度+100℃)を超える場合は、樹脂組成物の流動(フロー)が起こるため、安定した延伸を行うことができない恐れがある。
【0050】
面積比で定義した延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍、より好ましくは1.3〜10倍である。延伸倍率が1.1倍未満の場合は、延伸に伴う靭性の向上につながらない恐れがある。延伸倍率が25倍を超える場合は、延伸倍率を高めた分だけの効果が出ない恐れがある。
【0051】
延伸速度は、一方向に、好ましくは10〜20,000%/min、より好ましくは100〜10,000%/minである。延伸速度が10%/min未満の場合は、十分な延伸倍率を得るために長時間が必要とされるため、製造費用が高くなる恐れがある。延伸速度が20,000%/minを超える場合は、延伸フィルムの破断等が起こる恐れがある。
【0052】
上記光学フィルムには、その光学的等方性や機械的特性を安定化させるために、延伸処理後に熱処理(アニーリング)等が行われることができる。熱処理条件としては、特に制限されず、当業界に知られている任意の適切な条件を用いることができる。
【0053】
上記のような方法により、本発明の樹脂組成物を用いて形成された光学フィルムは、厚さが5〜200μmであることが好ましいが、これに制限されるものではない。
【0054】
上記のように本発明の樹脂組成物で製造された光学フィルムは、熱膨張係数が50〜80ppm/℃、好ましくは50〜75ppm/℃、最も好ましくは55〜70ppm/℃であり、従来の光学フィルムに比べてPVA偏光フィルムとの熱膨張係数の差が非常に小さいため、偏光板への適用時に偏光板の寸法変化を効果的に抑制することができる。
【0055】
また、上記光学フィルムの光透過度は90%以上、ヘイズ(haze)特性は2.5%以下、好ましくは1%以下の範囲を有することができる。上記光学フィルムの光透過度が90%未満でヘイズが2.5%を超える場合は、このような光学フィルムが用いられる液晶表示装置の輝度が減少する可能性がある。
【0056】
一方、共重合体(A)とポリカーボネート(B)とのコンパウンディング樹脂を用いて製造された光学フィルムの場合、上記式1で表示される面方向の位相差の絶対値及び上記式2で表示される厚さ方向の位相差の絶対値がそれぞれ5nm程度、好ましくは3nm程度と非常に小さいため、偏光板用保護フィルムとして非常に有用に用いられることができる。
【0057】
本発明のさらに他の側面は、上述した本発明の光学フィルムを含む偏光板及び上記偏光板を含む液晶表示装置に関する。より詳細な内容は下記の通りである。
【0058】
本明細書において、偏光板は、偏光子と保護フィルムとを含む状態を意味し、上記偏光子としては、ヨード又は二色性染料を含むポリビニルアルコール(PVA)からなるフィルムを用いることができる。上記偏光子は、PVAフィルムにヨード又は二色性染料を染着させて製造されることができるが、その製造方法は特に限定されない。
【0059】
一方、本発明の偏光板において、保護フィルムと偏光子は、当該技術分野に知られている方法で接着されることができる。例えば、接着剤を用いた接着方式により接着されることができる。まず、保護フィルム又は偏光子(偏光膜)であるPVAフィルムの表面上にロールコーター、グラビアコーター、バーコーター、ナイフコーター又はキャピラリーコーター等を用いて接着剤をコーティングする。次に、接着剤が完全に乾燥する前に保護フィルムと偏光子とを貼り合わせロールで加熱圧着又は常温圧着して接着する。なお、ホットメルト型接着剤を用いる場合は、加熱圧着ロールを用いなければならない。
【0060】
上記保護フィルムと偏光子との貼り合わせ時に使用可能な接着剤としては、PVA接着剤、ポリウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、スチレンブタジエンゴム系(SBR系)接着剤又はホットメルト型接着剤等があるが、これらに限定されない。上記ポリウレタン系接着剤を用いる場合は、光によって黄変されない脂肪族イソシアネート系化合物を用いて製造されたポリウレタン系接着剤を用いることが好ましい。
【0061】
また、本発明の偏光板は、液晶セル等への積層を容易にするために粘着剤層をさらに有することが好ましい。上記粘着剤層は、上記偏光板の一面又は両面に配置されることができる。上記粘着剤は、接着後に熱又は紫外線によって十分に硬化されて機械的強度が接着剤の水準に向上することが好ましく、また、界面接着力も大きくて粘着剤の付着された両方のフィルムのうちいずれか一方が破壊されなければ剥離されることができない程度の粘着力を有することが好ましい。
【0062】
使用可能な粘着剤は、光学的透明性に優れ、適当な湿潤性、凝集性や接着性の粘着特性を示すことが好ましい。具体的な例としては、アクリル系ポリマーやシリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、合成ゴム等のポリマーを適切にベースポリマーとして調製した粘着剤等が挙げられる。
【0063】
また、本発明は、上記偏光板を含む液晶表示装置を提供する。例えば、本発明による液晶表示装置は、液晶セル及びこの液晶セルの両面にそれぞれ備えられた第1の偏光板及び第2の偏光板を含む液晶表示装置であり、上記第1の偏光板及び上記第2の偏光板の少なくとも一つが本発明による偏光板であることを特徴とする。即ち、第1の偏光板と液晶セルとの間に、第2の偏光板と液晶セルとの間に、又は第1の偏光板と液晶セルとの間及び第2の偏光板と液晶セルとの間の両方ともに、本発明による光学フィルムが一つ又は二つ以上備えられることができる。上記偏光板の液晶セルと反対側に備えられた光学フィルム又は偏光子保護フィルムは、UV吸収剤を含むことが好ましい。
【実施例】
【0064】
1.本発明による樹脂組成物の製造及びガラス転移温度
<実施例1>
メチルメタクリレート84重量部、N‐シクロヘキシルマレイミド6重量部、アクリロイルモルホリン10重量部で構成された単量体混合物1000gを用意し、5リットルの反応器で、蒸留水2000g、5%のポリビニルアルコール溶液8.4g(POVAL PVA217、Kuraray社)、ホウ酸0.1g、ノルマオクチルメルカプタン2.5g、2,2'‐アゾビスイソブチロニトリル1.5gと混合して400rpmで攪拌しながら水上に分散させた。
【0065】
1次重合は80℃で行い、懸濁液が80℃に至ってから約60分後に重合最高点が生じることを確認した後、115℃に昇温させて約40分間2次重合を行った。2次重合を行った後、懸濁液を30℃に冷却し、重合されたビード状の樹脂組成物を蒸留水で洗浄して脱水した後、乾燥過程を経て用いた。
【0066】
上記得られた樹脂組成物を原料ホッパー(hopper)から押出機までを窒素置換した24Φの押出機に供給して250℃で溶融して原料ペレット(pellet)を製造した。上記製造された樹脂のガラス転移温度(Tg)をDSCを用いて測定し、その結果を下記表1に示した。
【0067】
<実施例2>
メチルメタクリレート74重量部、N‐シクロヘキシルマレイミド6重量部、アクリロイルモルホリン20重量部で構成された単量体混合物1000gを用意し、実施例1と同じ方法で重合しペレットを製造し、DSCを用いてガラス転移温度(Tg)を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0068】
<実施例3>
メチルメタクリレート54重量部、N‐シクロヘキシルマレイミド6重量部、アクリロイルモルホリン40重量部で構成された単量体混合物1000gを用意し、実施例1と同じ方法で重合しペレットを製造し、DSCを用いてガラス転移温度(Tg)を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0069】
<実施例4>
メチルメタクリレート84重量部、N‐シクロヘキシルマレイミド6重量部、アクリロイルモルホリン10重量部で構成された単量体混合物1000gを用意し、実施例1と同じ方法で重合した。その後、ポリカーボネート樹脂を98:2の重量比で均一に混合した樹脂組成物を用いて実施例1と同じ方法で原料ペレットを製造し、DSCを用いてガラス転移温度(Tg)を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0070】
<比較例1>
メチルメタクリレート94重量部、N‐シクロヘキシルマレイミド6重量部で構成された単量体混合物1000gを用意し、実施例1と同じ方法で重合しペレットを製造し、DSCを用いてガラス転移温度(Tg)を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0071】
<比較例2>
メチルメタクリレート単量体1000gを用意し、実施例1と同じ方法で原料ペレット(pellet)を製造し、DSCを用いてガラス転移温度(Tg)を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0072】
【表1】
【0073】
2.光学フィルムの製造及び物性評価
上記実施例1〜4及び比較例1〜2から得られた原料ペレットを真空乾燥し、250℃で押出機で溶融した後、コートハンガー型のT‐ダイ(T‐die)に通過させ、クロムメッキキャスティングロール及び乾燥ロール等を経て厚さ200μmの光学フィルムを製造した。
【0074】
上記光学フィルムを、実験用フィルム延伸装備を用いて、各フィルムのガラス転移温度(Tg)より5℃高い条件である113〜133℃で200mm/minの速度で延伸して、二軸延伸フィルムを製造した。この際、MD及びTD方向の延伸比率は下記表2の通りである。
【0075】
本発明の実施例において物性評価方法は下記の通りであり、その結果をまとめて下記表2に示した。
【0076】
(1)位相差値
上記製造されたフィルムの位相差を、複屈折測定器(Axoscan、Axometrics社)を用いて測定した。測定された波長は500nmであった。
【0077】
(2)熱膨張係数
上記製造されたフィルムの熱膨張係数を、TMA(Thermal Mechanical Analyzer、Mettler Toledo社、SDTA840)を用いて30〜160℃の区間で100℃/minの速度条件下で測定した。上記測定されたフィルムの熱膨張係数は、フィルムの体積膨張を意味するものではなく、線膨張を意味するものであり、具体的には、フィルムのMD又はTD方向に1℃ずつの温度増加によるフィルムの長さ膨張を意味するものである。この際、温度とフィルムの長さの変化は、線形的な関係を示す。
【0078】
(3)Haze値
Murakami color Research Laboratory社のHAZEMETER HM‐150を用いてhaze値を測定した。
【0079】
【表2】
【0080】
表2に示されているように、上記実施例1〜3と比較例1とを比較すると、共重合体中にアクリロイルモルホリン系単量体を含む場合にはフィルムの熱膨張係数が顕著に減少することが確認できる。
【0081】
また、実施例4と実施例1とを比較すると、ポリカーボネートがコンパウンドされる場合には延伸フィルムの位相差をゼロ水準に制御することができることが確認できる。
【0082】
また、光学フィルムのHaze値から、実施例1〜4で製造された本発明の光学フィルムは透明度に優れることが確認できる。
【0083】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
[項目1]
(A)(a)(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体と、(b)マレイミド系単量体と、(c)アルキル(メタ)アクリレート系単量体とを重合して形成された共重合体を含む、樹脂組成物。
[項目2]
上記樹脂組成物は、(B)ポリカーボネートをさらに含む、項目1に記載の樹脂組成物。
[項目3]
上記共重合体(A)は、共重合体100重量部を基準に、(a)(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体0.5〜40重量部と、(b)マレイミド系単量体1〜15重量部と、(c)アルキル(メタ)アクリレート系単量体50〜98重量部と、を含む、項目1または2に記載の樹脂組成物。
[項目4]
上記(メタ)アクリロイルモルホリン系単量体は、メタクリロイルモルホリン、アクリロイルモルホリン及びフェニルアクリロイルモルホリンからなる群から選択される少なくとも一つである、項目1から3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[項目5]
上記マレイミド系単量体は、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、イソプロピルマレイミド、ブチルマレイミド、アリルマレイミド、ベンジルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、ニトロフェニルマレイミド、ヒドロキシマレイミド、メトキシマレイミド、エトキシマレイミド、モノクロロフェニルマレイミド、ジクロロフェニルマレイミド、モノメチルフェニルマレイミド、ジメチルフェニルマレイミド及びエチルメチルフェニルマレイミドからなる群から選択される少なくとも一つである、項目1から4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[項目6]
上記アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルエタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一つである、項目1から5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[項目7]
上記共重合体(A)は、共単量体としてスチレン系単量体をさらに含む、項目1から6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[項目8]
上記スチレン系単量体は、上記共重合体100重量部を基準に0.1〜5.0重量部でさらに含まれる、項目7に記載の樹脂組成物。
[項目9]
上記スチレン系単量体は、スチレン、α‐メチルスチレン、p‐ブロモスチレン、p‐メチルスチレン及びp‐クロロスチレンからなる群から選択される1種以上である、項目7または8に記載の樹脂組成物。
[項目10]
上記ポリカーボネート(B)は、樹脂組成物全体100重量部を基準に0.5〜5重量部の含量で含まれる、項目2に記載の樹脂組成物。
[項目11]
項目1から10のいずれか一項に記載の樹脂組成物で製造される、光学フィルム。
[項目12]
上記光学フィルムは、熱膨張係数が50〜80ppm/℃である、項目11に記載の光学フィルム。
[項目13]
上記光学フィルムは、下記式1で定義される面方向の位相差(Rin)の絶対値及び下記式2で定義される厚さ方向の位相差(Rth)の絶対値がそれぞれ5nm以下である、項目11または12に記載の光学フィルム。
[数1]
Rin=(nx−ny)×d
[数2]
Rth=(nz−ny)×d
上記式1及び式2中、nxは光学フィルムの面方向の屈折率のうち最も大きな屈折率であり、nyは光学フィルムの面方向の屈折率のうちnxと垂直な方向の屈折率であり、nzは厚さ方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さである。
[項目14]
上記光学フィルムは、偏光板用保護フィルムである、項目13に記載の光学フィルム。
[項目15]
偏光子と、
上記偏光子の少なくとも一つの面に配置される項目11から14のいずれか1項に記載の光学フィルムと、
を含む、偏光板。
[項目16]
項目15に記載の偏光板を含む、液晶表示装置。