(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも固形油脂と澱粉原料とを含んで加熱混合した後に小塊状に冷却固化してなる小塊の固形ルウ又は少なくとも固形油脂と澱粉原料とを含んで加熱混合した後に冷却固化したルウを裁断してなる小塊の固形ルウ又は少なくとも固形油脂と澱粉原料とを含んで加熱混合した後に冷却固化した小塊の固形ルウと、粉体の食品原料である粉体原料とを混合した混合体を粉砕する粉砕機であって、
駆動力を受けて回転する縦の回転軸と、前記回転軸が挿入されていて、上面側より前記混合体が投入される下面開放の円筒体と、前記回転軸の軸方向に直交する方向に張り出る翼状の回転刃を回転軸の周囲に等角度毎にして設けるとともに回転軸の軸方向に複数にして設けてなる回転粉砕体とを備えており、
前記回転刃の先端と前記円筒体の内面とが近接状態で相対して、前記回転粉砕体の回転領域の外周位置と前記円筒体の内面位置との間に隙間空間が形成され、
前記回転粉砕体が、前記回転軸の軸方向に回転刃が非存在となる空所を介して複数段にして配置され、前記円筒体における回転粉砕体の間の空所に対応する部分には円筒体の内周方向に沿う整流板が取り付けられ、
前記整流板は、円筒体からこの円筒体径方向での前記回転粉砕体の回転領域の外周位置を越えて前記回転領域に対応する範囲に張り出ていて、
前記整流板の上部には、この整流板の高さ位置より上方に位置する回転粉砕体により円筒体に向けて送られる混合体の流れを前記上方に位置する回転粉砕体の回転領域の中心側に向けて案内する案内手段が設けられていることを特徴とする縦型落下式粉砕機。
少なくとも固形油脂と澱粉原料とを含んで加熱混合した後に小塊状に冷却固化してなる小塊の固形ルウ又は少なくとも固形油脂と澱粉原料とを含んで加熱混合した後に冷却固化したルウを裁断してなる小塊の固形ルウ又は少なくとも固形油脂と澱粉原料とを含んで加熱混合した後に冷却固化した小塊の固形ルウと、粉体の食品原料を混合してなる粉体原料とを前記小塊の固形ルウ同士の非結着を維持した状態で混合した食品材料である混合体を得て、この混合体を請求項1に記載の縦型落下式粉砕機により粉砕して、表面に前記粉体原料が付着した粒状の固形ルウとこの粒状の固形ルウの表面に非付着状態となる粉体原料とが混合している粉粒状混合調味料を得ることを特徴とする粉粒状混合調味料の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでカレー料理を作るときには従来から固形ルウが用いられているが、大きな塊状の固形ルウをそのままお湯に入れて溶かす場合には一様に溶け込みが進まずにダマになる部分が生じ易く、そのため固形ルウを粒状や粉状にしてお湯に溶け易くする工夫が図られるようになってきており、特に以下に示す粒状固形ルウが特に良好に溶けるようになることが確認されている。
【0007】
上述した粒状固形ルウは、事前に薄い板状にして裁断されたフレーク状の固形ルウと、この裁断された固形ルウとは別に事前に混合されている粉体原料とを用意し、この両者を混合してから粉砕したものである。裁断された前記固形ルウは、固形油脂と澱粉原料と調味料と香辛料とを加熱混合した後に冷却固化させて10mm角程度の裁断されたものとされており、また、粉体原料自体も、固形ルウとは別に用意された香辛料と調味料とカラメル(粉)と甘味料などを混ぜてなるものであった。
【0008】
そして、粉体原料とを混合し粉砕して得られた上記粒状固形ルウは、粒状固形ルウの粒それぞれの表面に粉体原料が付着していて、粉体原料が表面に付着した粒状固形ルウと前記表面に付着するに至らなかった粉体原料とが混在している粉粒状混合調味料となっており、粒状固形ルウの表面に粉体原料が付着していることから粒状固形ルウ同士の付着を防止し、粉砕性、分散性が良好なものとなっている。
【0009】
上記粉粒状混合調味料である粒状固形ルウを得るに際し、上述したように裁断された固形ルウと粉体原料とを混合したものを粉砕しているが、その粉砕に使用する粉砕機自体は、基本的には上記特許文献1で示すような円筒体の内部で回転する回転刃との衝突により前記固形ルウが粉砕されるようにした装置である。
【0010】
具体的にこの粉砕機を説明すれば、軸上端側で駆動力を受けて回転する縦の回転軸と、その回転軸が挿入されている下面開放の円筒体と、回転軸の軸方向に直交する方向に張り出る翼状の回転刃を、回転軸における円筒体の内部に位置する部分の周囲に等角度毎にして設けるとともに回転軸の軸方向にも複数にして設けてなる回転粉砕体とで主要の粉砕部が構成されている縦型落下式粉砕機であって、駆動源である電動モータを有するとともに、前記粉砕部を所要の高さ位置に支えるための脚を有している。
【0011】
上記縦型落下式粉砕機においては、上記裁断済みの固形ルウと粉体原料とを混合させた状態で円筒体の上方側からその円筒体に投入して、回転する回転粉砕体の前記回転刃との衝突によりフレーク状の固形ルウなどが粒状とされ、表面に粉体原料が付着した粒状の固形ルウと付着していない粉体原料とが円筒体の下方へ落下するようにしているものであり、特許文献1での円筒型スクリーンのように円筒体に小孔が存在していては粉体原料が単独でその小孔を通過して排出されてしまうので、この粉砕機においては円筒体に小孔が開けられていない。
【0012】
しかしながら、裁断された固形ルウと粉体原料とを混合したものを上記縦型落下式粉砕機に投入した場合、前記固形ルウと粉体原料との混合体が、回転粉砕体の外周と円筒体の内面との間の隙間を通って落下し易く、そのため前記混合体の中の固形ルウと回転刃との衝突度合が少なくなって、前記混合体中に所望の大きさより大きな粒状の固形ルウが含まれる割合が高くなるという問題があった。
【0013】
上記特許文献2に記載の技術にあっては篩の上に落下滞留する塊を撹拌羽根で強制的に篩に押し付けて篩の孔に押し込むようにしており、篩から落下するフレークの大きさを篩の孔を通る大きさ以下に調整されることになる。よって、上記裁断済みの固形ルウと粉体原料とが混合したものを粉砕して粉粒状の混合体を得る上で、この特許文献2で示されている技術を採用することが有利と考えられる。
【0014】
一方、裁断済みの固形ルウと粉体原料とが混合したものを粉砕して得られるようにしたい粒状固形ルウは2mmに至らない大きさであることが望ましく、表面に粉体原料が付着した粒径2mm以下の粒状固形ルウと付着していない粉体原料とが混合体がお湯に一様にして溶け易いものとなっている。しかしながら、上記特許文献2での技術の利用を想定した場合、篩の孔の大きさを2mm角程度の大きさとしてしまうと篩に目詰まりが生じ易いという問題が生じる。また、回転しながら篩の孔に押し込む撹拌羽根との摩擦で裁断済みの固形ルウが温められて固形油脂が軟化し、裁断済みの固形ルウ同士がくっつき易くなるという問題も生じる。
【0015】
そこで本発明は上記事情に鑑み、縦型落下式粉砕機において回転粉砕体の外周と円筒体との間に位置し易い上記混合体を、円筒体を通る過程で回転粉砕体の中心側に向けて案内して、混合体内の固形ルウを回転刃に衝突する度合を高めることを課題とし、粉粒状混合調味料の製造に際して所望の粒径より大きな粒状の固形ルウが混ざり込む度合を小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、少なくとも固形油脂と澱粉原料とを含んで加熱混合した後に小塊状に冷却固化してなる小塊の固形ルウ又は少なくとも固形油脂と澱粉原料とを含んで加熱混合した後に冷却固化したルウを裁断してなる小塊の固形ルウ又は少なくとも固形油脂と澱粉原料とを含んで加熱混合した後に冷却固化した小塊の固形ルウと、粉体の食品原料である粉体原料とを混合した混合体を粉砕する粉砕機であって、
駆動力を受けて回転する縦の回転軸と、前記回転軸が挿入されていて、上面側より前記混合体が投入される下面開放の円筒体と、前記回転軸の軸方向に直交する方向に張り出る翼状の回転刃を回転軸の周囲に等角度毎にして設けるとともに回転軸の軸方向に複数にして設けてなる回転粉砕体とを備えており、
前記回転刃の先端と前記円筒体の内面とが近接状態で相対して、前記回転粉砕体の回転領域の外周位置と前記円筒体の内面位置との間に隙間空間が形成され、
前記回転粉砕体が、前記回転軸の軸方向に回転刃が非存在となる空所を介して複数段にして配置され、前記円筒体における回転粉砕体の間の空所に対応する部分には円筒体の内周方向に沿う整流板が取り付けられ、
前記整流板は、円筒体からこの円筒体径方向での前記回転粉砕体の回転領域の外周位置を越えて前記回転領域に対応する範囲に張り出ていて、
前記整流板の上部には、この整流板の高さ位置より上方に位置する回転粉砕体により円筒体に向けて送られる混合体の流れを前記上方に位置する回転粉砕体の回転領域の中心側に向けて案内する案内手段が設けられていることを特徴とする縦型落下式粉砕機を提供して、上記課題を解消するものである。
【0017】
(請求項2の発明)
また、もう一つの発明は、少なくとも固形油脂と澱粉原料とを含んで加熱混合した後に小塊状に冷却固化してなる小塊の固形ルウ又は少なくとも固形油脂と澱粉原料とを含んで加熱混合した後に冷却固化したルウを裁断してなる小塊の固形ルウ又は少なくとも固形油脂と澱粉原料とを含んで加熱混合した後に冷却固化した小塊の固形ルウと、粉体の食品原料を混合してなる粉体原料とを前記小塊の固形ルウ同士の非結着を維持した状態で混合した食品材料である混合体を得て、この混合体を請求項1に記載の縦型落下式粉砕機により粉砕して、表面に前記粉体原料が付着した粒状の固形ルウとこの粒状の固形ルウの表面に非付着状態となる粉体原料とが混合している粉粒状混合調味料を得ることを特徴とする粉粒状混合調味料の製造方法であり、この粉粒体混合調味料の製造方法を提供して上記課題を解消するものである。
【発明の効果】
【0018】
(請求項1の発明の効果)
請求項1の発明によれば、円筒体の内周方向に沿って整流板が取り付けられ、その整流板の上部に、この整流板の高さ位置より上方に位置する回転粉砕体により円筒体に向けて送られる混合体の流れを、再び整流板の高さ位置より上方に位置する回転粉砕体の回転領域の中心側に向けて案内する案内手段が設けられている。この簡易な構成により、混合体の中の固形ルウが回転刃と衝突する度合が高まり、所望の大きさより大きい粒状の固形ルウが混合体内に残存する程度を低くなるという優れた効果を奏する。
【0019】
(請求項2の発明の効果)
また、請求項2の発明によれば、所望の大きさより大きい粒状の固形ルウが混合体内に残存する程度が低くなってお湯に溶かすときに非結着状態を維持されて、良好な分散性により溶けの良い粉粒状混合調味料を効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
つぎに本発明を
図1から
図6に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。図中1は縦型落下式粉砕機で、該縦型落下式粉砕機1は、
図1に概略的に示されているように主要部分である粉砕部2の上部側に電動モータなどからなる駆動源3が配置されているとともに、前記粉砕物2が脚4にて所定高さ位置に支持されて粉砕部2の下方に粉砕物の受けを行なう空間が形成されるようにしている。
【0022】
この縦型落下式粉砕機1は粉砕部2に固化油脂の他に澱粉原料を含んだ小塊の固形ルウと食品原料である粉体原料とを混合した混合体を投入してこれを粉砕する働きを有するものであって、固形のカレールウやシチュールウなどがお湯に溶け易い形態となるように食品材料を投入してこれらを粉砕して、細かな粒状の形態であるカレールウやシチュールウを製造する装置である。
【0023】
(小塊の固形ルウ)
粒状の形態であるカレールウを得るに際しての上記粉砕部2に投入する具体的なものは、小塊の固形ルウと食品原料からなる粉体原料との混合体である。前記小塊の固形ルウとしては、固形油脂と澱粉原料と、必要に応じて調味料と、必要に応じて香辛料とを加熱混合したルウを、小塊の大きさになるように冷却固化するか、小塊より大きく冷却固化した固形ルウを必要に応じて小塊の大きさになるように粉砕することで得る。
【0024】
粒状の形態であるカレー以外のルウを得るに際しての上記粉砕部2に投入する具体的なものは、小塊の固形ルウと食品原料からなる粉体原料との混合体である。前記小塊の固形ルウとしては、固形油脂と澱粉原料と、必要に応じて調味料と、必要に応じて香辛料とを加熱混合したルウを、小塊の大きさになるように冷却固化するか、小塊より大きく冷却固化した固形ルウを必要に応じて小塊の大きさになるように粉砕することで得る。
カレー以外のルウとしては、シチュールウ、ハヤシライスルウ、ハッシュドビーフルウ、パスタソース用のルウ、ホワイトソース用のルウ等がある。
【0025】
(固形油脂)
上記固形油脂は、常温(30℃)において自重で変形しない程度に固化している油脂である。そして、この固形油脂としては、融点が30℃以上である牛脂、豚脂などの油脂、エステル交換や水素添加などを行なった各種の硬化樹脂、さらにはショートニングなどの加工油脂などを用いることができる。また、液状油脂を配合して使用することが可能である。
【0026】
(澱粉原料)
澱粉原料は、澱粉を主とする乾燥原料であり、例えば小麦粉、米粉などの乾燥した穀類の粉体原料や、馬鈴薯、トウモロコシ、キャッサバなど由来の馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉などがある。さらに、これら澱粉原料を加工した加工澱粉も含むものである。
【0027】
(粉体原料)
粉体原料は、粉体状にした食品原料である、香辛料、調味料、着色料、甘味料等を、例えば高速攪拌機を用いて均一に撹拌混合したものである。上述したようにお湯に溶け易い形態のカレールウやシチュールウを得るに際して用いる前記粉体原料は、上記小塊の固形ルウを製造する過程で混ぜ込まれるものではなく、小塊の固形ルウと粉体原料の混合体を得る過程で固形ルウの表面に一部付着する以外に、小塊の固形ルウが本縦型落下式粉砕機1にて粉砕されて粒状の固形ルウとなるときにその粒状の固形ルウの表面に付着させ、またその表面に粉体原料が付着している前記固形ルウの近傍にも非付着状態で存在するようにしたものである。
【0028】
粉体原料での上記香辛料としてはリパーゼ活性が低い香辛料を用いることができる。なお、上記小塊の固形ルウを得る上でも香辛料が用いられるが、この小塊の固形ルウを得るための原料とする香辛料にリパーゼ活性の高い香辛料を用いる場合には、加熱混合時に加え、酵素失活させるようにする。
【0029】
粉体原料での上記調味料としては、常温において固体で小塊ルウと混合が出来、お湯で調理する場合は溶解すれば油溶性・水溶性を特に問題なく使用できるが、油溶性でないことが好ましく、加熱しても溶解し難かったり粘度が発生したりしない原料を含むことが好ましい。例えば、この調味料として塩、砂糖、各種エキスパウダーなどが用いることができる。
【0030】
(着色料)
着色料は、ルウに色を付与することが出来るものであれば特に制限はなく、天然色素を含んだ天然着色料や、合成色素をもった合成着色料や、カラメル等があり、油溶性であっても、水溶性であっても良い。
【0031】
上記小塊の固形ルウと上記粉体原料とは本縦型落下式粉砕機1の粉砕部2に投入する前に混合しておき、小塊の固形ルウと粉体原料との混合体を粉砕部2に投入することで混合体の中の前記小塊の固形ルウが粉砕されて粒状の固形ルウとなるとともに、その粒状の固形ルウの表面に粉体原料が付着する。そして、上述したように表面に粉体原料が付着した粒状の固形ルウとこの周りで非付着状態で存在する粉体原料とが混在した状態で粉砕部2から落下し、お湯に溶け易い粉粒状混合調味料の形態となったカレールウやシチュールウが得られる。
【0032】
即ち、表面に粉体原料が付着した粒状の固形ルウとこの周りで非付着状態で存在する粉体原料とが混在した粉粒状混合調味料では、粒状の固形ルウ同士は付着し難くなっており、粉砕性、分散性が良好である。また、粉体原料と小塊の固形ルウと別々に製造しているため、粉粒状混合調味料の多種多様の味わいを粉体原料を変更するだけで製造できるとともに、調理時は粒状の固形ルウ同士の付着を防止でき分散性が良く溶け易い調味料となっている。
【0033】
なお、縦型落下式粉砕機1に投入する前の小塊の固形ルウと粉体原料との混合は、小塊の固形ルウが摩擦熱などで溶解しないように緩やかに行なうか、混合時に、混合する槽の外側から冷却水などで保冷しながら行なうようにする。
【0034】
(非付着状態について)
粉粒状混合調味料での粒状の固形ルウ同士が非付着状態にあるとは、粒状の固形ルウの積み重ねられている限りで自重の重みにおいては、互いに付着しない状態を指すものである。勿論、粉粒状混合調味料を必要以上に圧縮するなどの外力が加わった場合や、常温でなく40℃や50℃といった熱が加わった状態などでは、粒状の固形ルウ同士で付着する可能性があるが、粉粒状混合調味料を通常での保管、通常での使用を行なう上で粒状の固形ルウ同士が非付着状態となればよいものである。
【0035】
(縦型落下式粉砕機の粉砕部)
本縦型落下式粉砕機1の上記粉砕部2は
図2に示すように、軸上端側に上記駆動元3からの駆動力が伝えられて回転する縦の回転軸5と、前記回転軸5が挿入されている下面開放の円筒体6と、回転軸5における円筒体6の内部に位置する部分に設けられて回転軸5の回転により回転する回転粉砕体7とからなるものである。
【0036】
(回転粉砕体)
粉砕部2において上記回転粉砕体7は、回転軸5の軸方向にその回転軸5のみとなっている空所8を介して上下二段にして設けられていて、上位の回転粉砕体7と下位の回転粉砕体7のいずれも、回転軸5の軸方向に直交する方向にして張り出てそれぞれが翼状とされている複数枚の回転刃9を並べて形成されているものであり、複数枚の回転刃9を回転軸5の周囲に等角度毎にして設けているとともに回転軸の軸方向に等間隔にして設けている。
【0037】
図示の実施の形態にあっては上下の回転粉砕体7はいずれも八枚の回転刃9を回転軸5の周囲に等角度毎にして並べ設けるとともに、回転軸5の軸方向にも八枚の回転刃9が設けられていて、この八枚の回転刃9の軸方向における位置が近接している。さらに
図4に示されているように軸方向で隣り合う位置の回転刃9にあっては上位の回転刃9の軸周りでの位置と下位の回転刃9の軸周りでの位置とをずらして配置されている。
【0038】
この実施の形態における前記回転刃9それぞれは単独で回転軸5に取り付けられているものではなく、
図3に示されているように中央を回転軸5への取り付け部分として八方に延びる翼状の回転刃9を一体に有する星形の金属板を軸方向に隙間を介在させながら八段に重ね合わせをして一つの回転粉砕体7を構成している。
【0039】
(円筒体)
上記円筒体6の中心とこの円筒体6の内側に配置される上記回転粉砕体7の回転中心とは同一とされていて、粉砕部2の内部を上方から見た状態で概略的に表す
図3に示されているように、回転粉砕体7の回転刃9の先端と円筒体6の内面とは接触することのないように狭い空間を介して近接状態にして相対しており、回転粉砕体7が回転するときの回転刃9がいずれの角度位置にあるときにも、回転刃9の先端と円筒体6の内面との間の距離は同じ距離となるように設けられている。
【0040】
上述のように回転刃9の先端と円筒体6の内面とは狭い空間を介して相対していることから、回転する回転粉砕体7の回転領域11の外周位置12と円筒体6の内面位置13との間に隙間空間14を形成しており、粉砕部2の動作時に円筒体6の上面を覆う蓋部に取り付けられたホッパー15から投入される上述の混合体は、上段の回転する回転粉砕体7の回転刃9との衝突にてその混合体の中の固形ルウが粉砕されながら全体的にも撹拌され、上段の回転粉砕体7による撹拌を経た混合体が下段の回転粉砕体7側に落下する。
【0041】
また同様に下段の回転粉砕体7側に達する混合体も、その下段の回転粉砕体7の回転刃9との衝突にてその混合体の中の固形ルウが粉砕されながら全体的にも撹拌される。その結果、下段の回転粉砕体7の下方へは、表面に粉体原料が付着した粒状の固形ルウとこの粒状の固形ルウに付着していない粉体原料とが混合した状態での粉粒状混合調味料が排出される。
【0042】
上記回転刃9の先端と円筒体6の内面との間の距離、即ち隙間空間14の寸法は、得ようとする粉粒状混合調味料での粒状の固形ルウの粒径を2mmとした場合においては3〜6mm程度のものとしている。また、前記隙間空間14の寸法は、所望の粒状の固形ルウの粒径が2mm以下であれば、3〜8mmが良好であり、所望の粒状の固形ルウの粒径が4mm以下であれば、6〜16mmが良好である。なお、所望とする粒状の固形ルウの粒径と同じ程度の寸法では詰まり易くなり、広すぎると所望の粒径の粒状の固形ルウを求めることが困難になることが確認されている。
【0043】
(整流板)
図3に示すように円筒体6における回転粉砕体7の間の空所8に対応する部分には円筒体6の内周方向に沿う整流板16が取り付けられていて、回転粉砕体7の周りに円筒体6をセットする際の作業性を考慮して、位置停止しているときの回転刃9の先端と緩衝しないように不連続にして設けられている。なお、円筒体6を二つ割りできる構造とする場合にはこの円筒体6の内周に沿って連続させてもよい。
【0044】
そして、円筒体6の内面に位置する整流板16は、円筒体6を上方から見た状態で円筒体径方向での回転粉砕体7の回転領域11の外周位置12を越えて前記回転領域11に対応する範囲内に張り出ている。さらにこの整流板16それぞれは円筒体6の中心下方に向けて下り傾斜している。
【0045】
上段の回転粉砕体7が回転している部分では、上段の回転粉砕体7の回転で円筒体6の内面側に向かって生じる気流も含めて、上段の回転粉砕体7で粉砕されて弾かれる粒状の固形ルウと粉体原料との混合体が下方に移動しつつ円筒体6の内面に向けて移動する混合体の流れが生じている。そして、上述したように上記整流板16は円筒体6の中心下方に向けて下り傾斜しており、この整流板16の上部が、前記混合体の流れを円筒体6の内面に沿わせながら巻き上げて上段の回転粉砕体7の回転領域11の中心側に向けて送り込まれる循環流Aとする案内手段17として設けられ、混合体の撹拌が適正に行われるようにしている。
【0046】
このように円筒体6の内周に、上段の回転粉砕体7が回転する空間およびその上段の回転粉砕体7が位置する部分より上方の空間を含む円筒体6の内部空間で混合体を上下に循環させる案内手段17が設けられているので、混合体中の固形ルウが上段の回転粉砕体7の中心に向けて跳ね返されるなどして粉砕され易くなり、粉粒状混合調味料中に所望の大きさより大きな塊となった固形ルウが残存する割合を確実に小さくすることができるという効果を奏する。
【0047】
(変形例−回転軸)
上述した実施の例の縦型落下式粉砕機1の粉砕部2における上記回転軸5には軸上端側に駆動力が伝わることで、粉砕部通過後の粉粒状混合調味料の回収が容易になり、詰まりが発生しないなどの優位な点があるが、本発明では回転軸5の軸上端側に駆動力を伝達する点に限定されるものではない。例えば、回転軸の軸下端側に駆動力が伝わる構成すれば装置としての安定性が向上するというメリットがある。
【0048】
(変形例−回転粉砕体)
回転粉砕体7については回転軸5の軸方向(上下方向)での上位の回転刃9と下位の回転刃9とが軸周りにおいて位置ずれしているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
図5に示すように上下段の回転粉砕体7それぞれにおいて、上位の回転刃9と下位の回転刃9との軸周りでの位置が軸方向で位置揃えされた配置としてもよいものである。
【0049】
(変形例−整流板形状)
上記整流板5としては、円筒体6の内周に沿って等間隔を取って不連続に配置される形態や円筒体6の内周に沿って均一の張り出し幅で連続する形態ほか、
図6に示すように回転粉砕体挿入に際しての回転刃先端を避ける複数の凹部16aを、整流板16に切り込み状に設けるものとすることも可能である。
【0050】
(変形例−整流板位置)
上記実施の例においては、空所8を一段としてこの空所8に対応する位置する上記整流板16は、円筒体6の上下方向での一か所の高さ位置となる部分としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、粉砕部2の内部において前記空所8を複数段にして設けて、その空所8に対応する高さ位置ごとに整流板を設けるようにすることが可能である。この場合、整流板が対応する前記空所は回転刃が回転軸方向に配置されている最上段位置から最下段位置までの間のいずれの箇所に設定してもよい。
【0051】
なお、上記実施の例のごとく、空所を一段のみとする場合、上下段での回転刃の枚数が同じとなる中心位置、また、その中心位置より下位となる位置(上段の回転粉砕体での回転刃の枚数が下段の回転粉砕体での回転刃の枚数より多くなる)とすることの方が、上段の回転粉砕体の回転空間での上記混合体の滞留時間が長くなり、好ましいものとなる。
【0052】
(整流板の有無)
つぎに整流板を設けることによって粉砕の効率に変化があるか否かを、上記粉粒状混合調味料を製造するに際し、円筒体に整流板を設けていない粉砕機での製造と整流板を設けた粉砕機での製造とで、粒子径2mm以上の粒径率を調べて検討した。
【0053】
比較に使用する縦型落下式粉砕機においては、内径300mm円筒体の内側に、回転軸の周囲に八枚の回転刃を等角度毎に配して外径を291.7mmとし、軸方向にも八枚の回転刃を配する回転粉砕体を配置した。そしてこの回転粉砕体を上述のように空所を介して上下対にして設けた。軸方向で上下で近接する上位の回転刃と下位の回転刃とは
図4に示すように回転軸の軸周りでの位置を重ならないようにし、軸方向で交互に配置されるものとした。
【0054】
整流板については
図3に示すごとく円筒体の内周方向に不連続にして位置させ、それぞれは円筒体の中心下方に向けて45度で傾斜させ、この傾斜により下段の回転領域に混合体を案内する上記案内手段を形成した。
【0055】
そして、整流板が設けられていない粉砕機と整流板を設けた粉砕機とのそれぞれに、上述のように小塊の固形ルウと食品原料からなる粉体原料との混合体を投入し、粉砕にて得られる粉粒状混合調味料を円筒体の下部で回収するようにして、これを一回の粉砕とし、回収された粉粒状混合調味料を再度投入するようにすることで粉砕回数を二回、三回、四回、五回、六回と増やして、その都度、粒子径2mm以上の粒子が有る粒子率(%)を調査し、その結果を以下に示す。
【0056】
整流板が無い場合の粒子径2mm以上の粒子が有る粒子率
二回粉砕:17.4%
三回粉砕:16.4%
四回粉砕:14.2%
五回粉砕:12.4%
六回粉砕:9.4%
【0057】
整流板が有る場合の粒子径2mm以上の粒子が有る粒子率
二回粉砕:15.8%
三回粉砕:10.6%
四回粉砕:5.8%
五回粉砕:3.2%
六回粉砕:2.4%
【0058】
以上の比較から、混合体が下段の回転粉砕体と円筒体との間に直接的に入るのを整流板が妨げるとともに、上段の回転粉砕体にて円筒体側に向けて送り出される混合体の流れを上段の回転粉砕体が回転する領域の中心側に向けて循環するように確実に案内することとなり、所望の粒子径より大きな粒子となる粒状の固形ルウが残る度合を抑えて粉砕効率を向上させることが判った。よって、本縦型落下式粉砕体を用いて粉粒状混合調味料を製造することで、表面に粉体原料が付着した粒状の固形ルウと非付着状態の粉体原料との混合体である粉粒状混合調味料の中に所望の粒径より大きな粒状の固形ルウが残る度合が下がり、お湯に溶け易い粉粒状混合調味料が得られるようになる。
【0059】
(回転刃の枚数)
回転粉砕体での回転軸の直交方向の平面上で回転刃の枚数について検討を次に説明する。上述した縦型落下式粉砕機における回転粉砕体の回転軸周りの回転刃を、軸周りで等間隔毎に四枚配置した場合と八枚配置した場合とで、上述のように粒子径2mm以上の粒子が有る粒子率(%)を調査し、その結果を以下に示す。
【0060】
回転刃が四枚場合の粒子径2mm以上の粒子が有る粒子率
二回粉砕:15.8%
三回粉砕:10.6%
四回粉砕:5.8%
五回粉砕:3.2%
六回粉砕:2.4%
【0061】
回転刃が八枚の場合の粒子径2mm以上の粒子が有る粒子率
二回粉砕:15.8%
三回粉砕:7.2%
四回粉砕:3.2%
五回粉砕:2.2%
六回粉砕:0.6%
【0062】
以上の結果から、回転刃を回転軸の軸周りに多く存在するように配置することが、粒子径2mm以上の粒子が有る粒子率を下げる上で有効であることが判った。よって、上記整流板を配した縦型落下式粉砕体において前記粒子率をより一層低下させる上で、回転刃の枚数を増やすことが有効である。
【課題】縦型落下式粉砕機において回転粉砕体の外周と円筒体との間に位置し易い上記混合体を、円筒体を通る過程で回転粉砕体の中心側に向けて案内して、混合体内の固形ルウを回転刃に衝突する度合を高めて、粉粒状混合調味料の製造に際して所望の粒径より大きな粒状の固形ルウが混ざり込む度合を小さくする。
【解決手段】縦型落下式粉砕機1の円筒体6の内部で回転する回転粉砕体7を回転軸5の軸方向に空所を介して複数段にして配置し、その空所に対応する部分に円筒体6の内周方向に沿う整流板16を取り付けて、この整流板16にて混合体を上段の回転粉砕体7の回転領域に向けて案内するようにした。