(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770627
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】反射性光学素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
G21K 1/06 20060101AFI20150806BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20150806BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
G21K1/06 C
H01L21/30 531A
G03F7/20 503
【請求項の数】21
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-516976(P2011-516976)
(86)(22)【出願日】2009年5月30日
(65)【公表番号】特表2011-527416(P2011-527416A)
(43)【公表日】2011年10月27日
(86)【国際出願番号】EP2009003905
(87)【国際公開番号】WO2010003487
(87)【国際公開日】20100114
【審査請求日】2012年3月19日
(31)【優先権主張番号】102008040265.6
(32)【優先日】2008年7月9日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】61/079,307
(32)【優先日】2008年7月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100134005
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【弁理士】
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】ティム ツァルファティ
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン ズゥトハウトテ
(72)【発明者】
【氏名】エリック ルイス
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック ベイケルク
【審査官】
遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−318094(JP,A)
【文献】
特開昭63−088503(JP,A)
【文献】
特開平05−232299(JP,A)
【文献】
特開2006−267054(JP,A)
【文献】
特開2007−198782(JP,A)
【文献】
特開2007−298980(JP,A)
【文献】
特表2006−501444(JP,A)
【文献】
特開2007−140147(JP,A)
【文献】
特開平08−199342(JP,A)
【文献】
特開2004−363570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21K 1/00−3/00,5/00−7/00
H01L 21/30
G01N 23/00−23/227
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作波長を5nm〜12nmの範囲内とした反射性光学素子であって、
前記動作波長において屈折率の実部が異なる積層方向の一方から他方へ少なくとも2つの材料を交互に積層された多層系を含む反射性光学素子において、
前記積層方向の前記一方を基準とすると、少なくとも、屈折率の実部が大きい前記材料(21)から屈折率の実部が小さい前記材料(22)への界面、または、屈折率の実部が小さい前記材料(22)から屈折率の実部が大きい前記材料(21)への界面において、屈折率の実部が小さい前記材料の窒化物または炭化物で形成したさらなる層(23)を配置し、
屈折率の実部が小さい前記材料(22)は、ランタン、トリウム、またはウランであること、
を特徴とする反射性光学素子。
【請求項2】
請求項1に記載の反射性光学素子であって、
前記積層方向の前記一方を基準とすると、少なくとも、屈折率の実部が大きい前記材料(21)から屈折率の実部が小さい前記材料(22)への界面において、屈折率の実部が小さい前記材料の窒化物で形成したさらなる層(23)を配置したこと、を特徴とする反射性光学素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の反射性光学素子であって、
前記積層方向の前記一方を基準とすると、少なくとも、屈折率の実部が小さい前記材料(22)から屈折率の実部が大きい前記材料(21)への界面において、屈折率の実部が大きい前記材料の窒化物または炭化物で形成したさらなる層(24)を配置したこと、を特徴とする反射性光学素子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の反射性光学素子であって、
屈折率の実部が大きい前記材料(21)は、ホウ素または炭化ホウ素であること、を特徴とする反射性光学素子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の反射性光学素子であって、炭化物または窒化物で形成した前記層(23,24)の厚さは0.7nm以下であること、を特徴とする反射性光学素子。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の反射性光学素子であって、炭化物または窒化物で形成した前記層(23,24)は単分子層として構成されること、を特徴とする反射性光学素子。
【請求項7】
動作波長を5nm〜12nmの範囲内とした反射性光学素子であって、
前記動作波長において屈折率の実部が異なる少なくとも2つの材料を交互に積層された多層系を含む反射性光学素子において、
屈折率の実部が小さい前記材料(22’)は窒化物または炭化物であり、
屈折率の実部が小さい前記材料(22’)は窒化ランタン、窒化トリウム、炭化ランタン、または炭化トリウムであること
を特徴とする反射性光学素子。
【請求項8】
請求項7に記載の反射性光学素子であって、
屈折率の実部が大きい前記材料(21)は、ホウ素または炭化ホウ素であること、を特徴とする反射性光学素子。
【請求項9】
動作波長を5nm〜12nmの範囲内とした反射性光学素子であって、
前記動作波長において屈折率の実部が異なる少なくとも2つの材料が交互に積層された多層系を含む反射性光学素子において、
屈折率の実部が小さい前記材料(22)は、トリウムまたはウランであり、屈折率の実部が大きい前記材料(21)は、ホウ素または炭化ホウ素であること、を特徴とする反射性光学素子。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の反射性光学素子の使用方法であって、20℃〜600℃の動作温度において、波長域が5nm〜12nmである放射線の反射に該反射性光学素子を使用する、使用方法。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の反射性光学素子の使用方法であって、EUVリソグラフィ装置において、波長域が5nm〜12nmである放射線の集光器として該反射性光学素子を使用する、使用方法。
【請求項12】
投影システム(120)、特に、EUVリソグラフィ装置のための投影システムであって、請求項1〜9に記載の反射性光学素子(121,122)のうちの少なくとも1つを備える投影システム。
【請求項13】
照射システム(140)、特に、EUVリソグラフィ装置のための照射システムであって、請求項1〜9に記載の反射性光学素子(141,142)のうちの少なくとも1つを備える投影システム。
【請求項14】
ビーム整形システム(110)、特に、EUVリソグラフィ装置のためのビーム整形システムであって、請求項1〜9に記載の反射性光学素子(112,113)のうちの少なくとも1つを備えるビーム整形システム。
【請求項15】
EUVリソグラフィ装置(100)であって、
請求項1〜9に記載の反射性光学素子(112,113,121,122,141,142)のうちの少なくとも1つを備えるEUVリソグラフィ装置。
【請求項16】
請求項1〜8に記載の反射性光学素子の製造方法であって、少なくとも1つの材料で形成した複数の層をプラズマベースの処理により塗布すること、を特徴とする製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の製造方法であって、まず反射率の実部が小さい材料の層を塗布し、続いて該層を窒素含有プラズマまたは炭素含有プラズマで露光すること、を特徴とする製造方法。
【請求項18】
請求項16に記載の製造方法であって、屈折率の実部が小さい前記材料の層を塗布することの少なくとも一部分は、窒素含有プラズマまたは炭素含有プラズマを用いて行うこと、を特徴とする製造方法。
【請求項19】
請求項17または18に記載の製造方法であって、窒素原子または炭素原子、窒素ラジカルまたは炭素ラジカル、または窒素粒子または炭素粒子を用い、そのエネルギーを調整して、窒化物または炭化物の自己終端層を形成すること、を特徴とする製造方法。
【請求項20】
請求項17または18に記載の製造方法であって、窒素原子または炭素原子、窒素ラジカルまたは炭素ラジカル、または窒素粒子または炭素粒子を用い、そのエネルギーを調整して、窒化物または炭化物の単分子層を形成すること、を特徴とする製造方法。
【請求項21】
請求項17または18に記載の製造方法であって、窒素原子または炭素原子、窒素ラジカルまたは炭素ラジカル、または窒素粒子または炭素粒子を用い、そのエネルギーを120eV以下とすること、を特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作波長を5nm〜12nmの範囲内とし、その動作波長において屈折率の実部が異なる少なくとも2つの材料を交互に積層した多層系を含む反射性光学素子、およびその使用に関する。また、本発明は、そのような反射性光学素子を少なくとも1つ備える投影システム、照射システム、およびEUVリソグラフィ装置に関する。さらに、本発明は、そのような反射性光学素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
EUVリソグラフィ装置においては、極紫外線(EUV)領域または軟X線領域(例えば、約5nmから約20nmの間の波長域)の反射性光学素子、例えば、フォトマスクまたは多層ミラー等を用いて、半導体部品のリソグラフィ処理を行う。EUVリソグラフィ装置は、通常、複数の反射性光学素子を備えるため、その反射率を最大限にして全体として十分な反射率を確保しなければならない。複数の反射性光学素子はEUVリソグラフィ装置内において、通常、直列に配置されるため、個々の反射性光学素子におけるわずかな反射率の低下が、EUVリソグラフィ装置内の全体的な反射率に重大な影響を及ぼす。
【0003】
極紫外線(EUV)領域または軟X線領域の反射性光学素子は、通常、多層系により構成する。多層系とは、その動作波長において屈折率の実部が大きい材料(スペーサとも呼ぶ)、および、その動作波長において屈折率の実部が小さい材料(吸収体とも呼ぶ)を交互に積層したものであり、吸収体とスペーサが1組でスタックを構成する。この構成は、本質的に結晶構造をシミュレートするものであり、その格子面が吸収体層に相当し、この吸収体層上でブラッグ反射が発生する。各層および連続するスタックの層厚は多層系全体にわたり一定に、または、達成すべき反射プロファイルに応じて可変にすることができる。
【0004】
動作波長域が5nm〜12nmの波長域にある場合、特に、多層系により論理的に達成可能な最大反射強度は、約12nm〜20nmの波長域における最大反射強度よりも小さい。また、反射放射線の帯域幅は実質的にさらに小さくなる。さらなる問題として、従来頻繁に使用されてきた材料、すなわち、ランタンを吸収体として、およびホウ素または炭化ホウ素をスペーサとして用いた場合、室温下でさえ、特にホウ素または炭化ホウ素とランタンとの間の界面において各層が強力に混合し、例えば、ホウ化ランタンの混合層を形成してしまう。このことは、実際の最大反射強度および反射帯域幅の両方の大幅な減少につながる。EUVリソグラフィ装置においては複数の反射性光学素子が直列に配置されるため、個々の反射性光学素子の最大反射強度および帯域幅がその耐用年数にわたってわずかにでも低下すると、全体の反射率にはより顕著な影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、軟X線領域または極紫外線波長領域を動作波長域とし、実際の使用において、より長期間にわたり十分に高い最大反射強度および反射帯域幅を確保することのできる反射性光学素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、上記目的を達成するため、動作波長を5nm〜12nmの範囲内とした反射性光学素子であって、この動作波長において屈折率の実部が異なる少なくとも2つの材料を交互に積層された多層系を含む反射性光学素子において、少なくとも、屈折率の実部が大きい材料から屈折率の実部が小さい材料への界面、または、屈折率の実部が小さい材料から屈折率の実部が大きい材料への界面の一つにおいて、屈折率の実部が小さい材料の窒化物または炭化物で形成した付加的な層を配置する。
【0007】
特に好ましくは、屈折率の実部が小さい材料は、ランタン、トリウム、またはウランである。
【0008】
窒化物または炭化物の中間層を、特に、ランタン、トリウム、またはウランを吸収体として用いた多層系に設けることにより、熱的および熱力学的により安定した多層系となり、長期間にわたっても、または、高温下においても、各層の混合が実質的に発生しないことがわかった。このような手段により、そのような多層系を含む反射性光学素子の光学特性、例えば、最大反射強度および反射帯域幅等が、総耐用年数にわたり信頼できる範囲に維持される。驚くことに、窒化物または炭化物の中間層を挿入しても、そのような中間層を含まない多層系と比べ、最大反射強度またはその帯域幅はわずかしか減少しないことがわかった。特に、そのような減少は、吸収体層とスペーサ層との強力な混合が原因で不可避的に生じる減少よりも小さい。いくつかの多層系においては、中間層を挿入することにより、結果として生成される反射性光学素子の光学特性、すなわち、最大反射強度および/または反射帯域幅を若干向上させることも可能である。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、上記目的を達成するため、動作波長を5nm〜12nmの範囲内とした反射性光学素子であって、この動作波長において屈折率の実部が異なる少なくとも2つの材料を交互に積層された多層系を含む反射性光学素子において、屈折率の実部が小さい前記材料を窒化物または炭化物とする。
【0010】
特に好ましくは、屈折率の実部が小さい材料を、窒化ランタン、窒化トリウム、炭化ランタン、または炭化トリウムとする。
【0011】
吸収体をその窒化物又は炭化物で置き換えても、トリウムまたはランタンを吸収体として用いた場合は特に、それによる最大反射強度および反射帯域幅の減少は、特にトリウムまたはランタンを吸収体として用いホウ素または炭化ホウ素をスペーサとして用いた多層系を用いた場合の吸収体層とスペーサ層との混合に起因する減少と比べ、小さいことがわかった。場合によっては、最大反射強度および反射帯域幅が増加することもあり、この場合、熱的安定性および熱力学的安定性も同時に向上する。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、上記目的を達成するため、動作波長を5nm〜12nmの範囲内とした反射性光学素子であって、この動作波長において屈折率の実部が異なる少なくとも2つの材料を交互に積層された多層系を含む反射性光学素子において、屈折率の実部が小さい材料を、トリウム、ウラン、またはバリウムとする。
【0013】
ランタンを吸収体として用いた多層系と比べ、トリウムを吸収体として用いた多層系の最大反射強度は、約5nm〜12nmの範囲内にある動作波長において、低いことがわかった。しかし、この最大反射強度の低さは、基本的に反射放射線の帯域幅により基本的に補償される。
【0014】
本発明の第4の態様によれば、上記目的を達成するため、上記の反射性光学素子のうちの1つを使用して、20℃〜600℃の動作温度において波長域が5nm〜12nmである放射線を反射する。
【0015】
本発明の第5の態様によれば、上記目的を達成するため、EUVリソグラフィ装置において、波長域が5nm〜12nmである放射線の集光器として、上記の反射性光学素子のうちの1つを使用する。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、上記目的を達成するため、投影システム、特に、EUVリソグラフィ装置のための投影システムに、上記の反射性光学素子のうちの少なくとも1つを設け、照射システム、特に、EUVリソグラフィ装置のための照射システムに、上記の反射性光学素子のうちの少なくとも1つを設け、ビーム整形システム、特に、EUVリソグラフィ装置のためのビーム整形システムに、上記の反射性光学素子のうちの少なくとも1つを設け、および、EUVリソグラフィ装置に、上記の反射性光学素子のうちの少なくとも1つを設ける。
【0017】
本発明の最後の態様によれば、上記目的を達成するため、上記の反射性光学素子を製造する方法において、少なくとも1つの材料で形成した複数の層をプラズマベースの処理により塗布(apply)する。
【0018】
特に好ましい実施形態において、まず、反射率の実部が小さい材料の層を塗布し、続いてこの層を窒素含有プラズマまたは炭素含有プラズマで露光する。
【0019】
さらに好ましい実施形態において、屈折率の実部が小さい材料の層を塗布する処理の少なくとも一部は、窒素含有プラズマまたは炭素含有プラズマを用いて行う。
【0020】
有利な実施形態は、添付の特許請求の範囲を参照されたい。
【0021】
以下に、本発明を、その好ましい例示的な実施形態に基づき、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】EUVリソグラフィ装置の実施形態を概略的に示す図である。
【
図2a】反射性光学素子の構造および種々の多層系を概略的に示す図である。
【
図2b】反射性光学素子の構造および種々の多層系を概略的に示す図である。
【
図2c】反射性光学素子の構造および種々の多層系を概略的に示す図である。
【
図2d】反射性光学素子の構造および種々の多層系を概略的に示す図である。
【
図3】トリウム、ランタン、またはウランを吸収体として用いた多層系を有する反射性光学素子の波長の関数としての反射率を概略的に示す図である。
【
図4a】厚さの異なる混合層で構成したランタン/ホウ素多層系を有する反射性光学素子の波長の関数としての反射率を概略的に示す図である。
【
図4b】混合層および窒化ランタン中間層で構成したランタン/炭化ホウ素多層系を有する反射性光学素子の波長の関数としての反射率を概略的に示す図である。
【
図4c】ウラン/炭化ホウ素多層系およびウラン/窒化ウラン/炭化ホウ素多層系を有する反射性光学素子の波長の関数としての反射率を概略的に示す図である。
【
図5】
図5a及び
図5bは、トリウムを吸収体として用い、複数の窒化トリウム中間層で構成した多層系を有する反射性光学素子の波長の関数としての反射率を概略的に示す図である。
【
図6】
図6a及び
図6bは、トリウムを吸収体として用い、複数の炭化トリウム中間層で構成した多層系を有する反射性光学素子の波長の関数としての反射率を概略的に示す図である。
【
図7】
図7a及び
図7bは、ランタンを吸収体として用い、複数の窒化ランタン中間層で構成した多層系を有する反射性光学素子の波長の関数としての反射率を概略的に示す図である。
【
図8】
図8a及び
図8bは、ランタンを吸収体として用い、複数の炭化ランタン中間層で構成した多層系を有する反射性光学素子の波長の関数としての反射率を概略的に示す図である。
【
図9】反射性光学素子を製造する方法の第1実施形態に基づくフロー図である。
【
図10】反射性光学素子を製造する方法の第2実施形態に基づくフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に、EUVリソグラフィ装置100を概略的に示す。このEUVリソグラフィ装置の基本的なコンポーネントは、ビーム整形システム110、照射システム120、フォトマスク130、および投影システム140である。
【0024】
プラズマ源、すなわちシンクロトロンは、例えば、放射源111として機能することができる。5nm〜12nmの波長域においては、特に、X線レーザ(X−FEL)も放射源として適している。出射した放射線は、まず、集光ミラー112により集束される。さらに、モノクロメータ113を用いて、入射角を変更することにより、放射線をフィルタリングして所望の動作波長を得る。上記の波長域においては、集光ミラー112およびモノクロメータ113は、通常、その動作波長において屈折率の実部が異なる少なくとも2つの材料が交互に積層された多層系を有する反射性光学素子として構成され、動作波長の放射線を反射する。集光ミラーは、一般に、皿状の反射性光学素子で構成し、集束作用またはコリメート作用を得る。集光ミラー112およびモノクロメータ113はどちらも、以下に詳述するように、ランタン、トリウム、ウラン、またはバリウムに基づく反射性光学素子として構成することができる。集光ミラーは、ビーム路上において、放射源に非常に近接して配置されるため、集光ミラーには高熱負荷がかかる。このため、ランタン、トリウム、ウラン、またはバリウムを含む多層系を有する集光ミラーは特に適している。
【0025】
ビーム整形システム110内で波長および空間分布に関して処理された動作ビームは、次に、照射システム120に入射する。
図1に示す例において、照射システム120は、本例においては、多層ミラーとして構成した2つのミラー121,122を含む。ミラー121,122により、ウエハ150上に結像すべき対象構造を有するフォトマスク130上にビームを案内する。フォトマスク130も、EUV領域用または軟X線領域用の、製造プロセスに応じて交換される反射性光学素子である。フォトマスク130により反射したビームを、投影システム140を用いてウエハ150上に投影する。その結果、フォトマスクの構造がウエハ150上に結像される。図示した例において、投影システム140は2つのミラー141,142を備え、本例においては、これらのミラーも多層ミラーとして構成される。投影システム140および照射システム120が備えるミラーの数は、どちらも、1つのみ、または3つ、4つ、5つ以上とすることもできることに留意されたい。
【0026】
図1に示す例において、ミラー121,122,141,142は、全て、ランタン、トリウム、ウラン、またはバリウムに基づく反射性光学素子であり、以下にさらに詳細に説明する。選択肢として、フォトマスク130もそのような反射性光学素子とすることができる。
【0027】
図2a〜
図2dは、EUV領域または軟X線領域の反射性光学素子1を例示的に示す図であり、特に、EUVリソグラフィ装置に用いる反射性光学素子を示す。EUVリソグラフィ装置において、反射性光学素子は、例えば、投影システムまたは照射システムのミラーとして用いられ、さらには、フォトマスク、集光ミラー、または、モノクロメータとして用いられる。
図2aに、多層系2の一般的な構成を概略的に示す。本例における多層系2は、基板3に、複素屈折率の異なる種々の材料を連続的に塗布して製造したものである。さらに、多層系2上には保護層4を追加的に塗布して汚染等の外的影響から保護する。保護層は、複数の異なる材料層で形成することができる。
【0028】
多層系2は、基本的に、繰り返し積層された複数のスタック20で構成され、その構成の種々の好適な実施例を
図2b〜
図2dに示す。スタック20の基本層のうち、特に、複数のスタック20を繰り返し積層した際に、動作波長において十分に高い反射率を得ることのできる層は、いわゆる吸収体層22,22’、および、いわゆるスペーサ層21である。吸収体層は、屈折率の実部が小さい材料で形成され、スペーサ層は屈折率の実部が大きい材料で形成される。この構造は、本質的に、結晶構造を模しており、ここで、吸収体層22,22’は結晶内の格子面に相当し、これらはスペーサ層21により確定される距離だけ互いに離間し、入射したEUVまたは軟X線の放射線は吸収体層22,22’上で反射される。各層の厚さは、各吸収体層22,22’上で反射した放射線が、構造上、一定の動作波長において干渉することにより反射性光学素子の反射率が高くなるように、厚さを選択する。各層21,22,22’,23,24の厚さおよび繰り返し積層したスタック20の厚さは、多層系全体にわたり一定、または、達成すべき反射プロファイルにより可変とすることができる。特に、多層系を、所定の波長、すなわち、最大反射強度および/または反射帯域幅が他の隣接する波長よりも大きくなる波長に対して、最適化することができる。個々の反射性光学素子1は、例えば、この波長の放射線を用いるEUVリソグラフィに用いられる。反射性光学素子1は、この波長に対して最適化される。そして、この波長は動作波長と称される。
【0029】
動作波長域が12nm〜20nmである多層系とは対照的に、動作波長域が5nm〜12nmである多層系に対する要件は、特に、波長域が狭くなるにつれ、より厳しくなる。動作波長域が12nm〜20nmである多層系は、モリブデンを吸収体材料として用い、ケイ素をスペーサ材料として用いる場合が多いが、このモリブデン/ケイ素多層系においては、例えば、70%を大幅に上回る最大反射強度を達成するのに必要なスタックの数は50で十分である。一方、ランタン、トリウム、ウラン、またはバリウムを吸収体として用い、およびホウ素または炭化ホウ素を用いた、動作波長域が狭い多層系において、約50%またはそれ以上の反射率を達成するのに必要なスタックの数は約200である。さらなる問題点は、反射帯域幅の尺度である反射率曲線の半値全幅が、モリブデン/ケイ素多層系の反射率曲線の半値全幅の約10%しかないことである。実際の多層系では、特に、スペーサと吸収体との間の界面で、混合が起こって余計な層が形成され、スペーサと吸収体との間のコントラストに非常に有害な影響を及ぼす可能性があることをさらに考慮しなければならない。これにより、最大反射強度および帯域幅はさらに減少してしまう。
【0030】
光学性能の低下に対処するため、
図2bに示す例によれば、吸収体22とスペーサ21との間の界面に、この吸収体材料の窒化物または炭化物で構成した層23を追加的に設けることが提案される。この吸収体材料の窒化物および炭化物は、吸収体材料およびスペーサ材料により形成された混合層よりも、熱力学的にさらに安定しているという点で有利である。その厚さは、混合層と比べ、長期間にわたり一定のままであり、吸収体層とスペーサ層との間のコントラストもほぼ一定に保たれる。また、その熱安定性も高い。この窒化物または炭化物の層23の厚さを特に薄くすることで、この中間層を持たないシステムと比べ、コントラストを若干増加することもできる。窒化物または炭化物の層23の厚さは、好ましくは最大1nmとし、有利には0.5nm以下とし、好ましくは0.4nm以下とし、好ましくは0.3nm以下とする。有利には、窒化物または炭化物の層23を、自己終端層として塗布する。このような場合、窒化物または炭化物の層23は、本質的に単分子層とみなすことができる。窒化物または炭化物で構成した中間層は、特に吸収体22とスペーサ21との間の界面において、特に顕著なコントラスト増加効果を有する。
【0031】
図2cに示す本例において、吸収体材料の窒化物または炭化物で形成した付加的な層23を吸収体22とスペーサ21との間の界面に設け、スペーサ材料の窒化物または炭化物で形成した付加的な層24をスペーサ21と吸収体22との間の界面に設け、多層系の熱力学的安定性および熱安定性を向上する。
【0032】
図2dに示す例において、付加的な窒化物または炭化物の層の代わりに、適切な吸収体材料の窒化物または炭化物の層を吸収体層22’として用いる。この場合、多層系の熱安定性および熱力学的安定性が向上するだけでなく、最大反射強度および帯域幅を良好に確保することができる。窒化物および炭化物の代替として、トリウム、ウラン、またはバリウムを、吸収体層22’の材料として用いても、良好な効果が得られる。
【0033】
図3に、トリウム/ホウ素、トリウム/炭化ホウ素、ランタン/ホウ素、ランタン/炭化ホウ素、ウラン/ホウ素、およびウラン/炭化ホウ素による多層系のそれぞれの波長の関数としての反射率を例示的に示す。これら各系のスタックの数はそれぞれ200である。スタックの厚さは、本例においては、3.4nmである。スペーサ層の厚さは約1.7nm、吸収体層の厚さは約1.4nmである。さらに、ホウ化トリウム、ホウ化ランタン、およびホウ化ウランの混合層を、それぞれ、約0.3nm厚さに形成した。これら4つの系の動作波長は、全て、6.70nm〜6.75nmの範囲内にある。全体として、トリウムを吸収体材料として用いた多層系は、ランタンを吸収体材料として用いた多層系よりも、最大反射強度が低い。しかしながら、反射される放射線の帯域幅が大幅に大きいため、この最大反射強度の低さは全体的な反射率に対して補正される。この効果は、ウランを吸収体材料として用いたときに、さらに顕著となる。また、炭化ホウ素をスペーサ材料として用いた系では、ホウ素をスペーサ材料として用いた系よりも、最大反射強度および帯域幅に対し反射率が低くなることも認められる。しかしながら、ホウ素をスペーサ材料として用いた系は、熱力学的に若干不安定であり耐用年数がやや短いという欠点がある。
【0034】
図4aに、ランタン/ホウ素多層系において、吸収体材料およびスペーサ材料の混合が進んだ際の経時的影響を例示的に示す。加えて、
図3において既に示したランタン/ホウ素多層系による、層厚0.7nmおよび1nmにおける混合層の反射率も示す。層厚0.7nmにおけるホウ化ランタンの混合層の最大反射強度の低下はそれほど著しいものではないが、帯域幅が大幅に低下していることを考慮に入れなければならない。混合層の厚さが1nmの場合、最大反射強度および帯域幅は激しく減少する。
【0035】
約5nm〜12nmの波長域における多層系の熱安定性を向上するために、例えば、
図4bに示す例によれば、ランタンで形成した吸収体層と炭化ホウ素で形成したスペーサとの間に、窒化ランタン層を設ける。この場合も、比較可能性を向上するため、両方の系が有するスタックの数をそれぞれ200とし、その厚さを3.4nmとする。窒化ランタン層およびホウ化ランタン層の厚さは、どちらも、0.3nmである。窒化ランタン層を有する多層系は、熱的により安定しているだけではなく、厚さ0.3nmのホウ化ランタンの混合層が既に形成されたランタン/ホウ素多層系と比べ、最大反射強度は1.3%高く、半値幅は20%も高い。
【0036】
図4cに、ウラン/炭化ホウ素多層系を例として、吸収体とスペーサとの間に設けた吸収体の窒化物層の好ましい効果を示す。本例において、窒化ウラン層を、層成長方向に見てウラン層の上部および炭化ホウ素層の下部に配置することにより、最大反射強度が向上し、半値幅が増加する。比較可能性を向上するため、先の例と同様、スタックの厚さを3.4nmとし、窒化物層の厚さを0.7nmとする。
【0037】
図5a〜
図8bに、トリウムまたはランタンを吸収体材料として、およびホウ素または炭化ホウ素をスペーサ材料として有する多層系の様々な例の波長の関数としての反射率曲線を示す。全ての系は、6.70nm〜6.75nmの範囲内の動作波長において最適化したものである。全ての系が有するスタックの数は200で、その厚さは3.4nmであり、スペーサ層の厚さは1.7nm、吸収体層の厚さは1.4nmである。吸収体材料の窒化物または炭化物の層の厚さは0.3nmである。スペーサ材料の窒化物または炭化物の層を追加的に設ける場合、その厚さも0.3nmとし、したがってスペーサ層の厚さも1.4nmとなる。トリウム/ホウ素系、トリウム/炭化ホウ素系、ランタン/ホウ素系、ランタン/炭化ホウ素系においては、スペーサと吸収体との間の界面に、厚さ0.3nmの混合層が存在する。窒化物または炭化物を吸収体材料として有する系においては、この吸収体層の厚さは1.7nmとなる。吸収体とスペーサとの界面において、この混合層はあまり目立たない。なぜなら、多くの場合、および、ほとんどのコーティング方法によれば、スペーサ層を塗布するために被覆対象の表面にコーティングされる材料は、吸収体層を塗布するのに用いられる材料よりも反応性が高いからである。
【0038】
本明細書において示した数値は例として理解されるに過ぎないことに留意されたい。また、各層の厚さおよびスタックの数はどちらも任意に変更可能であり、例えば、層の厚さまたはスタックの厚さを変更して、動作波長が約5nm〜12nmの動作波長域内である層を生成すること、および、所望の反射プロファイルを得ることができる。
【0039】
図5aに、トリウム/ホウ素系単独、または1つもしくは2つの付加的な窒化物層を含むトリウム/ホウ素系、および窒化トリウム/ホウ素系の反射率曲線を示す。2つの窒化物層を有する系の最大反射強度は最も低く、帯域幅も若干狭いが、その代償として、高い熱力学的安定性を有する。窒化トリウム中間層を設けること、および吸収体材料として窒化トリウムを用いることにより、トリウム/ホウ素系と比べて反射強度がわずかに向上し、帯域幅も増加するが、この効果は窒化トリウムを吸収体材料として用いたときに特に顕著である。この効果は、基本的に、
図5bに示すような、炭化ホウ素をスペーサ材料として有する類似の系においても得ることができる。
【0040】
図6aおよび
図6bに、窒化物層の代わりに炭化物層を用いた、類似のトリウム/ホウ素系およびトリウム/炭化ホウ素系を示す。ここで、炭化物層を導入した全ての系においては、未変更のトリウム/ホウ素系またはトリウム/炭化ホウ素系の破線で示す反射率と比較して、反射率が若干低下する。しかしながら、1つまたは複数の炭化物の層により、熱安定性および熱力学的安定性が向上し、反射率は基本的に変わらないまま、その反射性光学素子の耐用年数が増加する。
【0041】
図7に、ランタン/炭化ホウ素系単独、または1つもしくは2つの付加的な窒化物層を含むランタン/炭化ホウ素系、およびランタン/炭化ホウ素系の反射率曲線を示す。2つの窒化物層を含む系の最大反射強度は最も低く、帯域幅も若干狭いが、その代償として、高い熱力学的安定性を有する。窒化ランタン中間層を設けること、および吸収体材料として窒化ランタンを用いることにより、ランタン/ホウ素系と比べて帯域幅が増加するが、この効果は窒化ランタンを吸収体材料として用いたときに特に顕著である。この効果は、基本的に、
図7bに示すような、ホウ素をスペーサ材料として有する類似の系においても得ることができる。窒化ランタンを吸収体材料として用い、炭化ホウ素をスペーサ材料として用いると、最大反射強度がさらに増加する。
【0042】
図8aに、ランタン/ホウ素系単独、または1つもしくは2つの追加的な炭化物層を含むランタン/ホウ素系、およびランタン/ホウ素系の反射率曲線を示す。炭化物層による反射率の顕著な低下はない。しかしながら、最大反射強度の位置、および、したがって動作波長はわずかにシフトする。この代償として、これらの系の熱安定性および熱力学的安定性は高い。炭化ランタン/ホウ素系においては、反射率がわずかに低下するが、これは、熱力学的安定性および熱安定性の向上による耐用年数の増加により補償される。
【0043】
図8bに示す、ランタン/炭化ホウ素系単独、または1つもしくは2つの付加的な炭化ランタンの中間層を含むランタン/炭化ホウ素系、または炭化ランタン/炭化ホウ素システムの反射率曲線を参照すると、炭化ランタンを含むこれらの系の反射率は若干低下する。しかしながら、これは、耐用年数の増加により補償される。なぜなら、ランタン/炭化ホウ素系と比べ、特に、高温下において、経時的な混合が少ないからである。
【0044】
本明細書において説明した反射性光学素子特有の利点は、室温下だけでなく、600℃以下の動作温度下においても、十分に長い耐用年数にわたり動作することができることである。したがって、反射性光学素子上に作用する放射強度が高くても反射性光学素子を冷却する必要はない。通常最大放射強度に曝される、EUVリソグラフィ装置のコリメータミラーであっても、冷却せずに動作させることができる。
【0045】
図9に、上記の多層系を含む反射性光学素子を製造する方法の第1実施形態を示す。ここでは、熱力学的安定性および熱安定性を向上するため窒化ランタンの中間層を有するランタン/炭化ホウ素系を例に取って説明する。この目的のため、第1のステップ201において、ランタンの層を炭化ホウ素の層に塗布する。塗布には、スパッタリング、蒸着、および同様のプロセス等、公知の全ての方法を用いることができる。続いて、窒素含有プラズマを導入する(ステップ203)。このためには、例えば、窒素含有雰囲気下でプラズマを出射することができる。ここでは、この窒素のエネルギーを調整して窒化ランタンの自己終端層を形成する(ステップ205)。このエネルギーは十分低くして、窒素ラジカル、窒素分子、または窒素イオンによる進入深さが窒化ランタンの単分子層の厚さを超えないようにしなければならない。しかしながら、この窒素を窒化ランタン層表面におけるランタンと反応させるだけの最小限のエネルギーは必要である。窒素エネルギーの調整は、プラズマへのエネルギー供給を調整することにより行うことができ、または、付加的な加速電圧を印加することにより行うこともできる。カウフマン源、無線周波数プラズマ源、またはサイクロトロンプラズマ源を、プラズマ源として用いることができる。有利には、120eV以下のエネルギー、好ましくは100eV以下、特に好ましくは80eV以下、最も好ましくは50eV以下のエネルギーを持つ窒素ラジカル、窒素イオン、または窒素分子を用いる。有利には、窒素の被覆対象面への入射角を最小限にして進入深さをさらに抑制することが可能なように、コーティング形状(ジオメトリ)を選択する。理想的には、層を窒化する際の粒子エネルギーは0eV付近となる。このことは、炭素原子、炭素ラジカル、炭素イオン、または炭素含有粒子による自己終端炭化物を塗布するときにも当てはまる。最後に、従来の方法により炭化ホウ素層を窒化ランタン層に塗布する(ステップ207)。これらの方法ステップを、所望のスタック数に応じて繰り返す。
【0046】
図10に、製造方法のさらなる例示的な実施形態を示す。トリウムをホウ素層に塗布する(ステップ301)。同時に、炭素含有プラズマを、例えば、上記の源を用いて導入する(ステップ303)。炭素は、例えば、メタンまたはエタン等の炭素含有気体を導入することにより供給できる。好ましくは、アセチレンを用いて、水素濃度を最小限に抑える。本例においては、炭素のエネルギーが約100eVとなるようにプラズマエネルギーを調整して、均一な炭化トリウム層を形成する(ステップ305)。最後に、従来の方法によりホウ素層を炭化トリウム層に塗布する(ステップ307)。これらの方法ステップを、スタックの所望のスタック数に応じて繰り返す。炭化物を生成するため、変形例として、例えば、プラズマ処理に加えて、または、プラズマ処理に代えて、スパッタリング法を用いることもできる。
【0047】
本明細書において説明した製造方法の例示的な実施形態のそれぞれについては、別の吸収体材料、別のスペーサ材料、または異なる厚さの別の炭化物または窒化物層を、種々の炭素エネルギーまたは窒素エネルギーを介して塗布することにより、容易に変更可能であることに留意されたい。
【符号の説明】
【0048】
1 反射性光学素子
2 多層系
3 基板
4 保護層
20 周期的に繰り返されるスタックの層
21 スペーサ
22,22 吸収体
23 窒化物または炭化物層
24 窒化物または炭化物層
100 EUVリソグラフィ装置
110 ビーム整形システム
111 放射源
112 集光ミラー
113 モノクロメータ
120 照射システム
121,122 ミラー
130 フォトマスク
140 投影システム
141,142 ミラー
150 ウエハ
201−207 方法ステップ
301−307 方法ステップ