特許第5770944号(P5770944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5770944
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】非プレーナ型トランジスタのフィン製造
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20150806BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20150806BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20150806BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20150806BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20150806BHJP
   H01L 21/266 20060101ALI20150806BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   H01L29/78 301X
   H01L29/44 S
   H01L29/50 M
   H01L29/78 616L
   H01L21/265 M
   H01L21/265 V
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-533282(P2014-533282)
(86)(22)【出願日】2011年9月30日
(65)【公表番号】特表2014-531769(P2014-531769A)
(43)【公表日】2014年11月27日
(86)【国際出願番号】US2011054459
(87)【国際公開番号】WO2013048513
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2014年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】591003943
【氏名又は名称】インテル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョシ、サブハッシュ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ハッテンドーフ、マイケル
【審査官】 市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/040707(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0277211(US,A1)
【文献】 特開2008−053729(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0176424(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0156171(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/013271(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 21/265
H01L 21/266
H01L 29/41
H01L 29/417
H01L 29/78
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非プレーナ型トランジスタにおいて、複数のトランジスタのフィン上にコンフォーマルブロック材料層を形成することと、
前記コンフォーマルブロック材料層の一部を除去して、前記複数のトランジスタのフィンのうちの少なくとも1つを露出することと、
前記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにイオン注入を行うことと、
前記コンフォーマルブロック材料層を除去することと、
を含み、
前記コンフォーマルブロック材料層の一部を除去して、前記複数のトランジスタのフィンのうちの少なくとも1つを露出することは、
前記コンフォーマルブロック材料層のうちの少なくとも1つの部分上にフォトレジスト材料をパターニングすることと、
前記フォトレジスト材料に覆われていない領域において前記コンフォーマルブロック材料層をエッチングすることと、
前記フォトレジスト材料を除去することと、
を含み、
前記複数のトランジスタのフィンのうちの露出された前記少なくとも1つに対して、前記トランジスタのフィンの高さ方向に沿って均一に、かつ、前記トランジスタのフィンの上面に前記イオン注入がされる
非プレーナ型トランジスタのフィンの製造方法。
【請求項2】
コンフォーマルブロック材料層を形成することは、コンフォーマル誘電体ブロック材料層を形成することを含む、請求項1に記載の非プレーナ型トランジスタのフィンの製造方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにイオン注入を行うことは、前記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンに斜めイオン注入を行うことを含む、請求項1または2に記載の非プレーナ型トランジスタのフィンの製造方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンに斜めイオン注入を行うことは、前記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンの対向する複数の側壁に斜めイオン注入を行うことを含む、請求項に記載の非プレーナ型トランジスタのフィンの製造方法。
【請求項5】
前記コンフォーマルブロック材料層は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、シアン化ケイ素、及び酸シアン化シリコンのいずれか一つを含む
請求項1から4のいずれか一項に記載の非プレーナ型トランジスタのフィンの製造方法。
【請求項6】
前記コンフォーマルブロック材料層は、2nmから20nmの厚みを有する
請求項1から5のいずれか一項に記載の非プレーナ型トランジスタのフィンの製造方法。
【請求項7】
複数のトランジスタのフィンを有する非プレーナ型トランジスタを形成することと、
前記複数のトランジスタのフィンのうちの少なくとも1つがコンフォーマルブロック材料層で覆われ前記複数のトランジスタのフィンのうちの少なくとも1つが前記コンフォーマルブロック材料層で覆われていないように、前記複数のトランジスタのフィン上に前記コンフォーマルブロック材料層を形成することと、
前記コンフォーマルブロック材料層で覆われていない前記少なくとも1つのトランジスタのフィンにイオン注入を行うことと、
を含み、
前記コンフォーマルブロック材料層の一部を除去して、前記複数のトランジスタのフィンのうちの少なくとも1つを露出することは、
前記コンフォーマルブロック材料層のうちの少なくとも1つの部分上にフォトレジスト材料をパターニングすることと、
前記フォトレジスト材料に覆われていない領域において前記コンフォーマルブロック材料層をエッチングすることと
を含み、
前記複数のトランジスタのフィンのうちの露出された前記少なくとも1つに対して、前記トランジスタのフィンの高さ方向に沿って均一に、かつ、前記トランジスタのフィンの上面に前記イオン注入がされる
非プレーナ型トランジスタのフィンの製造方法。
【請求項8】
前記コンフォーマルブロック材料層を形成することは、
複数のトランジスタのフィン上に前記コンフォーマルブロック材料層を堆積することと、
前記コンフォーマルブロック材料層の一部を除去して、前記複数のトランジスタのフィンのうちの少なくとも1つを露出することと
を含む、請求項7に記載の非プレーナ型トランジスタのフィンの製造方法。
【請求項9】
前記コンフォーマルブロック材料層を除去することを更に含む、請求項7または8に記載の非プレーナ型トランジスタのフィンの製造方法。
【請求項10】
コンフォーマルブロック材料層を形成することは、コンフォーマル誘電体ブロック材料層を形成することを含む、請求項7からの何れか一項に記載の非プレーナ型トランジスタのフィンの製造方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにイオン注入を行うことは、前記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンに斜めイオン注入を行うことを含む、請求項7から10の何れか一項に記載の非プレーナ型トランジスタのフィンの製造方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンに斜めイオン注入を行うことは、前記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンの対向する複数の側壁に斜めイオン注入を行うことを含む、請求項11に記載の非プレーナ型トランジスタのフィンの製造方法。
【請求項13】
前記コンフォーマルブロック材料層は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、シアン化ケイ素、及び酸シアン化シリコンのいずれか一つを含む
請求項7から12のいずれか一項に記載の非プレーナ型トランジスタのフィンの製造方法。
【請求項14】
前記コンフォーマルブロック材料層は、2nmから20nmの厚みを有する
請求項7から13のいずれか一項に記載の非プレーナ型トランジスタのフィンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、包括的には、超小型電子素子製造の分野に関し、より詳細には、非プレーナ型トランジスタの製造に関する。
【0002】
本開示の主題は、本明細書の結論部分において特に示され、かつ明確に請求されている。本開示の上述した特徴及び他の特徴は、添付図面とともに以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかとなろう。添付図面は、本開示による幾つかの実施形態のみを示し、したがって、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではないことが理解される。本開示の利点をより容易に確認することができるように、本開示を、添付図面を用いて更に特定し詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】非プレーナ型トランジスタの斜視図である。
図2】当該技術分野において既知である、非プレーナ型トランジスタのフィンに注入を行う技法の上面図である。
図3】当該技術分野において既知である、非プレーナ型トランジスタのフィンに注入を行う技法の横断面図である。
図4】本明細書の一実施形態による、複数の非プレーナ型トランジスタのフィン上へのコンフォーマルブロック層の堆積の横断面図である。
図5】本明細書の一実施形態による、図4のコンフォーマルブロック層の一部を除去し、露出した非プレーナ型トランジスタのフィンにドーパントを注入する状態を示す横断面図である。
図6】本明細書の一実施形態による、選択した非プレーナ型トランジスタのフィンにコンフォーマルブロック層を用いて注入を行う工程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の詳細な説明では、請求項に係る主題を実施することができる具体的な実施形態を例として示す添付図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本主題を実施するのを可能にするのに十分に詳細に記載されている。様々な実施形態は、異なっていても、必ずしも相互に排他的であるとは限らないことが理解されるべきである。例えば、1つの実施形態に関連する、本明細書に記載された特定の特徴、構造又は特性を、請求項に係る主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の実施形態で実施することができる。本明細書において「1つの実施形態」又は「一実施形態」と言及する場合、それは、その実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造又は特性が、本発明の範囲に包含される少なくとも1つの実施態様に含まれることを意味する。したがって、「1つの実施形態」又は「一実施形態において」という句が用いられる場合、それは、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、各開示された実施形態における個々の要素の位置又は配置を、請求項に係る主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく変更することができることが理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定する意味で解釈されるべきではなく、主題の範囲は、適切に解釈される添付の特許請求の範囲と、添付の特許請求の範囲に権利が与えられる均等物の全範囲とによってのみ定義される。図面において、幾つかの図を通して、同様の数字は同じか若しくは同様の要素又は機能を指し、図面に記載される要素は、必ずしも互いに正確な縮尺であるとは限らず、むしろ、個々の要素は、本明細書の文脈においてそれらの要素をより容易に理解するために、拡大又は縮小されている場合がある。
【0005】
トライゲートトランジスタ及びFinFET等、非プレーナ型トランジスタの製造では、非プレーナ型半導体本体を使用して、ゲート長が非常に小さい(例えば約30nm未満)の完全空乏化が可能なトランジスタを形成することができる。これらの半導体本体は、概してフィン状であり、したがって、一般にトランジスタ「フィン」と呼ばれる。例えば、トライゲートトランジスタでは、トランジスタフィンは、バルク半導体基板又はシリコンオンインシュレーター基板の上に形成された上面及び2つの対向する側壁を有している。半導体本体の上面及び側壁に、ゲート誘電体を形成することができ、半導体本体の上面上のゲート誘電体の上に、かつ半導体本体の側壁の上のゲート誘電体に隣接して、ゲート電極を形成することができる。したがって、ゲート誘電体及びゲート電極が半導体本体の3つの面に隣接しているため、3つの別個のチャネル及びゲートが形成される。3つの別個のチャネルが形成されているため、トランジスタがオンとなるときに半導体本体を完全に空乏化させることができる。FinFETトランジスタに関しては、ゲート材料及び電極は半導体本体の側壁にのみ接触し、それにより、(トライゲートトランジスタの場合の3つではなく)2つの別個のチャネルが形成される。
【0006】
本明細書の実施形態は、非プレーナ型トランジスタ内のフィンのドープに関する。このドープにおいて、コンフォーマルブロック材料層を用いて、非プレーナ型トランジスタのフィン全体にわたって略均一なドープを行うことができる。
【0007】
図1は、トランジスタのフィンの上に形成された数個のゲートを含む、数個の非プレーナ型トランジスタ100、100(「セット」として示す)の斜視図であり、トランジスタ100、100は、基板上に形成されている。本開示の一実施形態において、基板102は単結晶シリコン基板であってもよい。基板102はまた、シリコンオンインシュレーター(「SOI」)、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、インジウムアンチモン、テルル化鉛、インジウムヒ素、インジウムリン、ガリウムヒ素、ガリウムアンチモン等他のタイプの基板であってもよく、このいずれもケイ素と組み合わせてもよい。
【0008】
トライゲートトランジスタとして示す非プレーナ型トランジスタ100、100はそれぞれ、トランジスタのフィン112、112を含む。トランジスタのフィン112、112は、トランジスタのフィン112同士の間及びトランジスタのフィン112同士の間にも、非プレーナ型トランジスタ100及び100自体の間にも、酸化ケイ素(SiO)等の絶縁領域104を有してもよい。当業者に理解されるように、絶縁領域104は、いかなる既知の製造工程によって形成してもよい。
【0009】
トランジスタのフィン112、112はそれぞれ、上面114、114、並びに、一対の横方向に向かい合う側壁、すなわち、側壁116、116及び側壁116、116それぞれに対向する側壁118、118を有してもよい。
【0010】
図1に更に示すように、トランジスタのフィン112、112それぞれの上方に、少なくとも1つのトランジスタゲート132、132、132を形成してもよい。トランジスタゲート132、132、132は、トランジスタのフィンの上面114、114の上に又は隣接して、及び、トランジスタのフィンの側壁116、116及びこれに対向するトランジスタのフィンの側壁118、118の上に又は隣接して、ゲート誘電体層134、134を形成することによって製造してもよい。ゲート誘電体層134、134それぞれの上に又は隣接して、ゲート電極136、136、136を形成してもよい。本開示の一実施形態において、トランジスタのフィン112、112はそれぞれ、トランジスタゲート132、132、132と略垂直な方向に延在している。
【0011】
ゲート誘電体層134、134を、限定されないが、二酸化ケイ素(SiO)、酸窒化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)、並びに酸化ハフニウム、酸化ケイ素ハフニウム、酸化ランタン、酸化アルミニウムランタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素ジルコニウム、酸化タンタル、酸化チタン、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、タンタル酸鉛スカンジウム及び亜鉛ニオブ酸鉛等の高誘電率(high-k)誘電体材料を含む、任意の既知のゲート誘電体材料から形成することができる。当業者に理解されるように、ゲート誘電体層134、134は、化学蒸着(「CVD」)、物理蒸着(「PVD」)、原子層堆積(「ALD」)等によってゲート電極材料を堆積させ、その後、既知のフォトリソグラフィ技法及びエッチング技法でゲート電極材料をパターニングすること等、既知の技法によって形成することができる。
【0012】
ゲート電極136、136、136を、任意の適切なゲート電極材料から形成することができる。本開示の一実施形態において、ゲート電極136、136、136を、限定されないが、ポリシリコン、タングステン、ルテニウム、パラジウム、白金、コバルト、ニッケル、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、タンタル、アルミニウム、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化タンタル、炭化ハフニウム、炭化アルミニウム、他の金属炭化物、金属窒化物及び金属酸化物を含む材料から形成することができる。ゲート電極136、136、136を、当業者に理解されるように、ゲート電極材料をブランケット堆積させ、その後、既知のフォトリソグラフィ技法及びエッチング技法でゲート電極材料をパターニングすること等、既知の技法によって形成することができる。
【0013】
トランジスタのフィン112、112における、ゲート電極136、136、136の互いに向かい合う両側に、それぞれソース領域及びドレイン領域(図示せず)を形成してもよい。ソース及びドレイン領域は、トランジスタのフィン112、112にドープを行うことによって形成してもよい。当業者に理解されるように、ドープは、半導体材料の導電性及び電子的特性を変化させる目的でその中に不純物を導入する工程である。これは一般に、「ドーパント」と総称されるP型イオン(例えばホウ素)かN型イオン(例えばリン)かのどちらかをイオン注入することによって行われる。
【0014】
トランジスタのフィン112、112の高さH(図3参照)に沿って均一なドープを行うために、ドーパントをトランジスタのフィン112、112の両側から(例えば側壁116/116に向かって、及び側壁118/118に向かって)ある角度(図3及び図5の矢印144、146として示す)をなすようにトランジスタのフィン112、112に注入してもよい。トランジスタのフィン112、112の両側から或る角度をなすようにドーパントを注入することによって、ドーパントは主として、横方向に向かい合う側壁の対、例えばトランジスタのフィンの側壁116、118及びこれらそれぞれに対向するトランジスタのフィンの側壁116、118図1参照)を通して注入される。当業者に理解されるように、トランジスタのフィン112、112の両側から同一の注入を行うことによって、トランジスタのフィン112、112の高さH(図3参照)全体にわたって、均一なドープを行うことができるが、これは非プレーナ型トランジスタ(例えば図1の非プレーナ型トランジスタ100、100)の性能を最適にするために不可欠であるかもしれない。注入は、基板102に垂直であってもよい、すなわち、トランジスタのフィンの上面114、114に略一直線に注入されてもよい、ということがわかっている。
【0015】
図2及び図3に示すように、従来のドーパント注入工程においては、ドーパントを注入しないことになっている領域(トランジスタのフィン112として示す)は、フォトレジスト材料等のブロック材料142でできた比較的厚い層で覆ってもよい。明確にする目的で、図1に示す絶縁領域104及び基板102のどちらも、図2及び図3には示しておらず、ゲート電極は単に要素136と呼ぶ。
【0016】
ブロック材料層142は、既知の堆積及びリソグラフィ技法で形成してもよく、その技法において、ブロック材料層142は構造全体の全てにわたって堆積してもよく、その後リソグラフィ技法でエッチマスクを形成し、ブロック材料層142の各部分をエッチングによって除去し所望の領域(トランジスタのフィン112)を露出する。しかし、ブロック材料層142があるとトランジスタのフィン112に対する注入をうまく阻止することができるが、ブロック材料層142が比較的厚いために、注入が所望されるトランジスタのフィン112への注入もまた、部分的に遮られ阻止される可能性がある。阻止されるイオン注入を点線矢印146として示す。阻止されないイオン注入を実線矢印144として示す。
【0017】
図3においてわかるように、トランジスタのフィン112に対する注入が一部阻止される(すなわち、矢印146)と、結果として、不所望に、トランジスタのフィン112の高さHに沿ってドープが不均一になる可能性がある。この問題に対する解決策の1つは、露出した領域と露出しない領域との間の間隔を広くして、トランジスタのフィン112に対する注入が阻止されないようにする、というものであろう。しかし、当業者に理解されるように、そのような解決策は、超小型電子素子のサイズを絶えず小さくしていくという要求に反する。
【0018】
図4及び図5は、本明細書の一実施形態を示す。図4に示すように、ブロック層148は、トランジスタのフィン112、112を覆ってコンフォーマルに堆積してもよい。当業者に理解されるように、コンフォーマルに堆積すると、結果として、トランジスタのフィン112、112の表面上(例えば、それぞれ上面114及び側壁116、118の上、並びにそれぞれ上面114及び側壁116、118の上)でのコンフォーマルブロック材料層148の厚さが略同じになる。明確にする目的で、図1に示す絶縁領域104及び基板102のどちらも、図4及び図5には示しておらず、ゲート電極は単に要素136と呼ぶ。
【0019】
コンフォーマルブロック材料層148は、選択したドーパントの注入を阻止できるいかなる材料を含んでもよい。一実施形態において、コンフォーマルブロック材料層148は、限定されないが、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、シアン化ケイ素、及び酸シアン化シリコンを含む誘電体材料層であってもよい。理解されるように、原子層堆積した窒化チタンを含む金属等他の材料もまた、コンフォーマルブロック材料層148として用いてもよい。コンフォーマルブロック材料層148は、限定されないが、化学蒸着(「CVD」)、原子層堆積(「ALD」)、等を含む既知のコンフォーマル堆積技法で形成してもよい。コンフォーマルブロック材料層148は、十分厚くて注入材料を阻止することができるべきである、ということがわかっている。一実施形態において、コンフォーマルブロック材料層148は2nmよりも厚くてもよい。さらに、コンフォーマルブロック材料層148は、十分薄くてトランジスタのフィン(例えば要素114、114)同士の間にコンフォーマル層を形成することができるべきである。例えば、トランジスタのフィン同士が40nm離れている場合には、コンフォーマルブロック材料148は厚さが約20nmよりも薄くあるべきである。
【0020】
図5に示すように、コンフォーマルブロック材料層148の一部を除去して、注入を所望するトランジスタのフィン(例えばトランジスタのフィン112)を露出してもよい。当業者に理解されるように、これは、リソグラフィ技法でエッチマスクを形成しコンフォーマルブロック材料層148の選択した各部分をエッチングによって除去することによって行うことができる。
【0021】
図5においてわかるように、コンフォーマルブロック材料層148によって、トランジスタのフィン112の高さHに沿って均一なドープを行うことができる。トランジスタのフィン112の両側から(例えば側壁116/116に向かって、及び側壁118/118に向かって)ドーパントイオンを均等に注入することができるからである。阻止される注入を点線矢印146として示し、阻止されない注入を実線矢印144として示す。
【0022】
ドーパントイオン注入中にコンフォーマルブロック材料層148を用いる一工程の一実施形態を、図6のフローチャート200に示す。ブロック210に規定するように、非プレーナ型トランジスタにおけるトランジスタのフィン上にコンフォーマルブロック層を形成してもよい。ブロック220に規定するように、コンフォーマルブロック層上の少なくとも1つの領域において、フォトレジスト材料をパターニングしてもよい。ブロック230に規定するように、フォトレジスト材料に覆われていない少なくとも1つの領域において、エッチング等によってコンフォーマルブロック層を除去して、イオン注入によってドープされることになっている少なくとも1つのトランジスタのフィンを露出してもよい。ブロック240に規定するように、フォトレジスト材料を除去してもよい。ブロック250に規定するように、次に少なくとも1つのトランジスタのフィンをイオン注入によってドープしてもよい。ブロック260に規定するように、次にコンフォーマルブロック材料層を除去してもよい。
【0023】
本明細書の主題は、必ずしも図4図5に示す具体的な用途に限定されないことが理解される。当業者に理解されるように、本主題を、他の超小型電子素子製造の用途に適用することができる。さらに、本主題を、超小型電子素子製造分野以外の好適な用途に適用することができる。
【0024】
このように本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の多くの明らかな変形形態が、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなくあり得るので、添付の特許請求の範囲によって定義される発明は、上記説明に示される特定の詳細によって限定されるべきではないことが理解される。
(項目1)
非プレーナ型トランジスタにおいて、複数のトランジスタのフィン上にコンフォーマルブロック材料層を形成することと、
上記コンフォーマルブロック材料層の一部を除去して、上記複数のトランジスタのフィンのうちの少なくとも1つを露出することと、
上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにイオン注入を行うことと、
上記コンフォーマルブロック材料層を除去することと、
を含む方法。
(項目2)
コンフォーマルブロック層を形成することは、コンフォーマル誘電体ブロック材料層を形成することを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
コンフォーマル誘電体ブロック層を形成することは、コンフォーマル誘電体ブロック材料層を形成することを含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
上記コンフォーマルブロック材料層の一部を除去して、上記複数のトランジスタのフィンのうちの少なくとも1つを露出することは、
上記コンフォーマルブロック材料層のうちの少なくとも1つの部分上にフォトレジスト材料をパターニングすることと、
上記フォトレジスト材料に覆われていない領域において上記コンフォーマルブロック材料層をエッチングすることと、
上記フォトレジスト材料を除去することと、
を含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにイオン注入を行うことは、上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンに斜めイオン注入を行うことを含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンに斜めイオン注入を行うことは、上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンの対向する側壁に斜めイオン注入を行うことを含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにイオン注入を行うことは、上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにP型イオン注入を行うことを含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにイオン注入を行うことは、上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにN型イオン注入を行うことを含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
複数のトランジスタのフィンを有する非プレーナ型トランジスタを形成することと、
上記複数のトランジスタのフィンのうちの少なくとも1つがコンフォーマルブロック材料層で覆われ上記複数のトランジスタのフィンのうちの少なくとも1つが上記コンフォーマルブロック材料層で覆われていないように、上記複数のトランジスタのフィン上に上記コンフォーマルブロック材料層を形成することと、
上記コンフォーマルブロック材料層で覆われていない上記少なくとも1つのトランジスタのフィンにイオン注入を行うことと、
を含む方法。
(項目10)
上記コンフォーマルブロック材料層を形成することは、
複数のトランジスタのフィン上に上記コンフォーマルブロック材料層を堆積することと、
上記コンフォーマルブロック材料層の一部を除去して、上記複数のトランジスタのフィンのうちの少なくとも1つを露出することと
を含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
上記コンフォーマルブロック材料層の一部を除去して、上記複数のトランジスタのフィンのうちの少なくとも1つを露出することは、
上記コンフォーマルブロック材料層のうちの少なくとも1つの部分上にフォトレジスト材料をパターニングすることと、
上記フォトレジスト材料に覆われていない領域において上記コンフォーマルブロック材料層をエッチングすることと
を含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
上記コンフォーマルブロック材料層を除去することを更に含む、項目9に記載の方法。
(項目13)
上記コンフォーマルブロック材料層を形成することは、コンフォーマル誘電体ブロック材料層を形成することを含む、項目9に記載の方法。
(項目14)
上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにイオン注入を行うことは、上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンに斜めイオン注入を行うことを含む、項目9に記載の方法。
(項目15)
上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンに斜めイオン注入を行うことは、上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンの対向する複数の側壁に斜めイオン注入を行うことを含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにイオン注入を行うことは、上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにP型イオン注入を行うことを含む、項目9に記載の方法。
(項目17)
上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにイオン注入を行うことは、上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにN型イオン注入を行うことを含む、項目9に記載の方法。
(項目18)
複数のトランジスタのフィンを有する少なくとも1つの非プレーナ型トランジスタ
を備える超小型電子素子であって、
上記複数のトランジスタのフィンのうちの少なくとも1つは、上記トランジスタのフィンの高さに沿って略均一にイオンドープされ、
上記ドープは、
上記複数のトランジスタのフィンのうちの少なくとも1つがコンフォーマルブロック材料層で覆われ上記複数のトランジスタのフィンのうちの少なくとも1つが上記コンフォーマルブロック材料層で覆われていないように、上記複数のトランジスタのフィン上にコンフォーマルブロック材料層を形成することと、
上記コンフォーマルブロック材料層で覆われていない上記少なくとも1つのトランジスタのフィンにイオン注入を行うことと、
を含むプロセスによって行われる、超小型電子素子。
(項目19)
上記コンフォーマルブロック材料層を形成することは、
複数のトランジスタのフィン上に上記コンフォーマルブロック材料層を堆積することと、
上記コンフォーマルブロック材料層の一部を除去して、上記複数のトランジスタのフィンのうちの少なくとも1つを露出することと、
を含む、項目18に記載の超小型電子素子。
(項目20)
上記コンフォーマルブロック材料層の一部を除去して、上記複数のトランジスタのフィンのうちの少なくとも1つを露出することは、
上記コンフォーマルブロック材料層の少なくとも1つの部分上にフォトレジスト材料をパターニングすることと、
上記フォトレジスト材料に覆われていない領域において上記コンフォーマルブロック材料層をエッチングすることと、
を含む、項目19に記載の超小型電子素子。
(項目21)
上記コンフォーマルブロック材料層を除去することを更に含む、項目18に記載の超小型電子素子。
(項目22)
上記コンフォーマルブロック材料層を形成することは、コンフォーマル誘電体ブロック材料層を形成することを含む、項目18に記載の超小型電子素子。
(項目23)
上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにイオン注入を行うことは、上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンに斜めイオン注入を行うことを含む、項目18に記載の超小型電子素子。
(項目24)
上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンに斜めイオン注入を行うことは、上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンの対向する複数の側壁に斜めイオン注入を行うことを含む、項目23に記載の超小型電子素子。
(項目25)
上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにイオン注入を行うことは、上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにP型イオン注入を行うことを含む、項目18に記載の超小型電子素子。
(項目26)
上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにイオン注入を行うことは、上記少なくとも1つの露出したトランジスタのフィンにN型イオン注入を行うことを含む、項目18に記載の超小型電子素子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6