(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光検出器エレメントが、前記第1の2重変調スケールトラックパターンから光を受けるように構成された光検出器エレメントの第1のセットであって、該光検出器エレメントの第1のセットが、前記第1の2重変調スケールトラックパターンの第1の強度変調成分の第1の空間波長SW1の周期に対して、前記光検出器エレメントの第1のセットの第1のトラック位置を示す値を与える第1の関係に従って、前記光検出器エレメントの第1のセットからの信号のセットが処理されるように接続されたものを有し、
前記光検出器エレメントが、前記第2の2重変調スケールトラックパターンから光を受けるように構成された光検出器エレメントの第2のセットであって、該光検出器エレメントの第2のセットが、前記第2の2重変調スケールトラックパターンの第1の強度変調成分の第2の空間波長SW2の周期に対して、前記光検出器エレメントの第2のセットの第2のトラック位置を示す値を与える第2の関係に従って、前記光検出器エレメントの第2のセットからの信号のセットが処理されるように接続されたものを有し、
前記光検出器エレメントの第1及び第2のセットからの信号のセットが、前記合成波長SWの周期内で第1及び第2の2重変調スケールトラックパターンに対する前記光検出器エレメントの第1及び第2のセットの粗分解能位置を示す値を与えるように処理されていることを特徴とする請求項9に記載のアブソリュート光学エンコーダ。
前記第1及び第2の2重変調スケールトラックパターンが、それらの各第2の強度変調成分間の差が、前記絶対測定範囲にわたる各位置で唯一の強度−差信号レベルを与える、測定軸方向に沿う変化を有するように形成されていることを特徴とする請求項8に記載のアブソリュート光学エンコーダ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、ここで開示された2重変調スケールトラックパターン及び検出器構造を採用することができるアブソリュート光学エンコーダ構造100の一実施例を模式的に示す展開図である。前記エンコーダ構造100の幾つかの側面は、813特許に詳細に記載されている。
図1に示されるように、エンコーダ構造100は、スケール要素110と、電源及び信号結線192によって信号発生及び処理回路190と接続された検出器エレクトロニクス120と、可視又は不可視波長の光を放射するための光源130、レンズ140及び任意の光源格子150を備えた照明システム(又は照明部)160を含む。光源130も、電源及び信号結線(図示せず)によって信号発生及び処理回路190に接続されている。スケール要素110は、3つのスケールトラックパターン、即ち、インクリメンタルトラックパターンTINC、第1の中間波長DMSTパターンTABS1及び第2の中間波長DMSTパターンTABS2を含むアブソリュートスケールパターン115を含んでいる。トラックパターンTABS1及びTABS2は、先に概説したSCWAM技術に従って使用可能であり、以下により詳細に説明するように、DMSTパターンであることができる。一つの特定の実施形態において、トラックパターンTABS1及びTABS2は、以下に
図6を参照して説明するのと類似の方法で形成され動作する。
【0023】
図1は、更に、ここで用いられる約束に従って、直交するX、Y及びZ方向を示す。X及びY方向は、アブソリュートスケールパターン115の面に平行であり、X方向は(例えばインクリメンタルトラックパターンTINCに含まれる格子パターン要素の延びる方向と垂直な)意図される測定軸方向MAに平行である。Z方向は、アブソリュートスケールパターン115の面に垂直である。
【0024】
検出器エレクトロニクス120は、3つのスケールトラックパターンTINC、TABS1及びTABS2からの光をそれぞれ受光するよう配置された3つの検出器トラックDETINC、DETABS1及びDETABS2を備えている。検出器エレクトロニクス120は、更に、信号処理回路126(例えば信号オフセット及び/又はゲイン調整、信号増幅及び組合せ回路等)も含む。1つの実施形態において、検出器エレクトロニクス120は、単一のCMOS ICとして製造することができる。以下により詳細に説明するように、エンコーダの測定範囲対分解能比を高めるためのここに開示したスケールトラックパターン及び検出器構造は、3つのスケールトラックパターン及び対応する検出器トラックTINC/DETINC、TABS1/DETABS1及び/又はTABS2/DETABS2の任意のもの又は全てと共に使用するようにできる。
【0025】
動作に際して、光源130から放射された光134は、レンズ140によって、3つのスケールトラックパターンの検出部を照明するのに十分なビーム面積にわたり、部分的又は完全に平行光線化される。
図1は、光134の3つの光路134A、134B及び134Cを模式的に示す。光路134Aは、スケールトラックパターンTINCを照明する光を含む代表的な中央光路である。スケールトラックパターンTINCが照明されると、それは、検出器エレクトロニクス120の検出器トラックDETINCに、空間的に変調された光パターン(例えばいくつかの実施形態においては、回折光同士の干渉縞光)を出力する。光路134B及び134Cは、スケールトラックパターンTABS2及びTABS1をそれぞれ照明する光を含む代表的な光路である。スケールトラックパターンTABS2及びTABS1が照明されると、それらは、検出器エレクトロニクス120の検出器トラックDETABS2及びDETABS1に、それぞれ空間的に変調された光パターン(例えばそれらのパターンに対応するパターン光)を出力する。様々な実施形態において、エンコーダ構造100は、
図2−5を参照して以下でより詳細に説明するように、トラックパターンTABS2及びTABS1が、それぞれ検出器トラックDETABS2及びDETABS1上に投影される影像(例えばボケた又はボケていない影像)を生成するように構成される。全ての空間的に変調された光パターンは、スケール要素110と共に移動する。検出器トラックDETINC、DETABS1及びDETABS2のそれぞれにおいて、個別光検出器領域は、それらがそれぞれ受けた空間変調光パターンを空間的にフィルタリングし、所望の位置指示信号(例えば直角位相信号又は信号内挿につながる空間位相関係を有する他の周期信号)を与えるよう配置される。検出器トラックDETINC、DETABS1及びDETABS2の1つの実施形態が、
図2を参照して以下に詳細に説明される。いくつかの実施形態において、個別光検出器領域というよりもむしろ、個別開口を有する空間フィルタマスクが、より大きな光検出器をマスクして、図示される個別光検出器領域と似た受光領域を与え、公知の技術に従って、同様な全体信号効果を与える。
【0026】
(例えば40μm、又は、それ以上のオーダーの微細トラック波長を有する)いくつかの中間の分解能の実施形態において、エンコーダ構造100は、トラックパターンTINCが検出器トラックDETINC上に投影される影像を生成するように構成される。より高い分解能の実施形態において、トラックパターンTINCは、通常、回折光を発生するように構成される。例えば、ほぼ8μm以下の微細トラック波長を持つ、いくつかの実施形態において、エンコーダ構造100は、複数の回折光(例えば±1次回折光)が、検出器トラックDETINCに到達する干渉縞を生成するように、公知の方法に従って構成される。そのような実施形態において、光源格子150は、通常、省略される。例えばほぼ8−40μmの微細トラック波長を持つ他の実施形態においては、エンコーダ構造100は、いくつかの回折光が相互作用して、検出器トラックDETINCの面で自己像(例えばTalbot像又はFlesnel像)を生成するように、公知の方法に従って構成される。自己像の構成において、光源130はLEDであることができる。前記光源格子150は、光源の寸法が十分に小さい幾つかの実施例においては、省略したり任意とすることができる。しかしながら、大きな光源を用いるときには、最も望ましい自己像を与えるため、光源格子150が必要とされる。そのような場合、代表光路134Aの周りの光は、光源格子150の格子構造を通過し、トラックパターンTINCのピッチ又は波長とほぼ適合するようなピッチで配列された格子開口で、部分的にコヒーレントな照明光源のアレイを与え、公知の自己像照明原理に従ってスケールトラックパターンTINCを照明する。
図1は、代表光路134B及び134Cが光源格子150の透明基板を通過し、検出器トラックDETABS1及びDETABS2からの信号の質に寄与する、それらの強度及び平行度が、光源格子150の格子構造によって妨げられないようにした光源格子150の実施形態を示す。他の実施形態において、代表光路134B及び134Cは、光源格子150の格子構造を通過することができるが、これは最適な構造ではない。
【0027】
様々な適用分野において、検出器エレクトロニクス120及び照明システム160は、例えば読取ヘッド又はゲージハウジング(図示せず)中で互いに固定的な関係で取り付けられ、公知の技術(例えばベアリングシステム)に従って、スケール要素110から一般的に安定な距離を隔てて位置決め又はガイドされる。様々な適用分野において、スケールは、移動ステージ又はゲージスピンドル等に取付けられる。
図1に示される構成は透過型の構成である。アブソリュートスケールパターン115は、透過により空間的に変調された光パターンを検出器トラックに出力するための(例えば透明基板上に公知の薄膜パターン技術等を用いて製造された)光遮蔽部と光透過部を備える。公知の技術に従って、同様な部品が、照明システム160及び検出器エレクトロニクス120がスケール要素110の同じ側に配置され、必要であれば角度をつけて照明及び反射されるよう位置された反射型の実施形態に配置され得る。光学エンコーダ構造100は、813特許中に開示された同様の実施例を参照することによって、更に理解される。
【0028】
図1中のY軸方向に沿う一連のスケールトラックの開示の目的は、例示に過ぎず、本発明を限定するものではないことを理解されたい。例えば、他の実施形態において、アブソリュートトラックパターンTABS1及びTABS2は、検出器トラック(及び含まれる場合には光源格子150)が上記で説明した技術に従って適切な対応する光路に沿って配置されていれば、微細トラックパターンTINCの片側に互いに近接して配置することができる(例えば
図6は、そのような実施例で使用できる配置を示している)。
【0029】
図2は、
図1のアブソリュート光学エンコーダ構造100で使用可能な検出器及びアブソリュートスケールパターン構造の幾つかの実施形態で有利な様々な幾何学的関係、及びSCWAM技術と共に、及び、以下で詳細に説明するDMSTパターンと共に使用される2つの中間波長スケールトラックパターンTABS1及びTABS2の例を示す
図200である。
図2に示されるように、アブソリュートスケールパターン115′の代表セグメントは、微細トラックパターンTINC、空間波長L1の第1の中間波長アブソリュートスケールトラックパターンTABS1、及び、空間波長L2の第2の中間波長アブソリュートスケールトラックパターンTABS2を含む。要するに、中間トラックパターンTABS1及びTABS2は、それらの幾何学的配列にほぼ対応するパターンで空間的に強度変調された光パターンを透過(又は反射)する信号変化部分SP(パターン要素SPとも称する)を含む。
図2に示す実施形態において、各信号変化部分SPは、
図3、4及び5を参照して以下でより詳細に説明するように、「x」の正弦波関数として、即ち、X方向及び/又はスケールパターン115′の測定軸MAに沿う位置の関数として変化する、Y方向「断面」寸法に基づいて形状化される。
【0030】
各トラックパターンTINC、TABS1及びTABS2の空間的に変調された光パターンは、それぞれ対応する検出器トラックDETINC、DETABS1及びDETABS2上に(例えば
図1を参照して説明したように全エンコーダ構造に基づいて)中心となるように、名目上アラインされている。本発明の一つの好適な形態によれば、アブソリュート検出器トラックDETABS1及びDETABS2の検出器は、対応するY方向スケールトラックパターン寸法YTABS1及びYTABS2よりも小さい各Y方向検出器エッジ間寸法YDETABS1及びYDETABS2のそれぞれの上で空間的に変調された光を検知するように構成されている。これは、
図3を参照して以下で詳細に説明するように、中心又は名目上のアライメント中心サブトラックの各側上の測定軸MAに沿って延びるミスアライメント許容ゾーン又はサブトラックTOLを許容する。参考及び説明のため、
図2は、それぞれ、中間波長アブソリュートスケールトラックパターンTABS1及びTABS2の中心サブトラックとアラインされて示される、代表的な検出器窓領域DWABS1及びDWABS2を模式的に示す。検出器窓領域DWABS1及びDWABS2は、それぞれ検出器トラックDETABS1及びDETABS2の個別検出器要素の検出領域に対応し、名目上の動作アライメントに対応する位置で示されている。
【0031】
図2の実施形態において、検出器トラックDETINC、DETABS1及びDETABS2のそれぞれは、公知の直角位相型検出器レイアウトで配置され接続された個別検出器要素のアレイを備えている。要するに、各アレイにおいて、4つの近接する検出器要素が、それらが受光する空間変調光パターンの4つの空間位相(即ち0°、90°、180°、270°)を検出する空間フィルターを与えるよう均等に間隔が空けられている。4つのそのような近接検出器要素の複数のグループが与えられ、
図2に示されるように、そのような信号の寄与を合計するように同じ空間位相を検出する検出器を接続しても良い。和信号の寄与は、記号A又はB、又は、A′又はB′となる信号(例えば、記号はそれぞれ空間位相関係0度、90度、180度及び270度に対応)でなる信号として示されている。詳細には、インクリメンタル検出器トラックDETINCに対応する4つの直角位相信号が信号Ainc、Binc、Ainc′、Binc′である。同様に、検出器トラックDETABS1のための直角位相信号の和信号の寄与は、信号Aabs1、Babs1、Aabs1′及びBabs1′であり、検出器トラックDETABS2のための直角位相信号の寄与は、信号Babs2′、Aabs2′、Babs2及びAabs2である。従って、各空間的に変調された光パターンがその対応する検出器トラック上を移動するので、この正弦波直角位相信号は、位置の関数として与えられ、検出器エレメントが上記で概説したように空間変調光パターンを空間的にフィルタリングする。前記直角位相信号は、公知技術に従って、対応するスケールトラックの現在の局所的な波長内の各トラックの空間位相位置を決定するように処理される。特に、中間波長アブソリュートスケールトラックパターンTABS1及び/又はTABS2の一つ又はそれぞれが、ここに開示された(例えば、
図3−5を参照して以下に説明された)原理に従って第1の周期的な強度変調成分を持つ空間的に変調された光パターンを与える特徴を含むDMSTパターンであるとき、検出器トラックDETABS1及びDETABS2の対応する一つ又はそれぞれによって与えられる空間的なフィルタリングが、第1の周期的な強度変調成分の4つの空間的な位相(即ち、0度、90度、180度及び270度)に対応する信号を与える。これらの決定された空間位相位置(特に中間波長アブソリュートスケールトラックパターンTABS1及びTABS2内の空間位相位置)が、
合成波長SW(ここでSW=L1×L2/|L1−L2|
、L1=SW1、L2=SW2)
内の絶対位置を決定するために、先に概説したSCWAM技術に従って処理される。更に、中間波長アブソリュートスケールトラックパターンTABS1及びTABS2の少なくとも一方が、ここで開示した原理(即ち
図3−5を参照して以下で説明)に従う第2の強度変調成分を与える特徴を含むとき、直角位相信号は第2の強度変調成分に依存し、合成波長SWよりも長い測定範囲にわたる絶対位置を示す組合せ信号を与えるように処理される(例えば
図6−9を参照して以下で説明)。
【0032】
いくつかの実施形態において、スケールパターン115′の全幅は、約3.0mm以下であり、寸法YTIC、YTABS1及びYTABS2は、それぞれ約1.0mm以下であり、寸法YDETINC、YDETABS1及びYDETABS2は、それぞれ、対応する寸法YTINC、YTABS1及びYTABS2よりも小さくすることができる。1つのある実施形態において、寸法YTINC、YTABS1及びYTABS2は、それぞれ0.8mm、寸法YDETINC、YDETABS1及びYDETABS2は、0.508mmであり、様々なサブトラックTOLは、ミスアライメントを許容すると共に、ボケた空間変調光が近接トラックの検出器上に漏れるのを防止するため、寸法YDETINC、YDETABS1及びYDETABS2を越えてY方向に約0.146mmだけ延びることができる。このような小型の寸法は、多くの適用分野(例えばリニアゲージ等)において、サイズ及びコストの両方に関して、特に有益である。
図2に示される特定の形態及び寸法に関する様々な他の設計上の配慮が、813特許の同様な形態及び寸法の記載に基づいて理解される。
【0033】
DMSTパターンTABS2の波長L2は、L2=720μm、DMSTパターンTABS1の波長L1は、L1=700μmとすることができる。微細トラックパターンTINCの波長は20μmとすることができる。SCWAM技術を用いると、これは約25.2mmの合成波長を与え、アブソリュートエンコーダにおいて使用される合理的な内挿比及び波長関係比を許容する。
図6を参照して以下で詳細に説明するように、ある特定の実施形態において、少なくとも70mm以上の絶対測定範囲が経済的に与えられるように、(例えば、様々な実施例において、中間波長アブソリュートスケールトラックパターンTABS1及びTABS2として与えられるように)DMSTパターンの第2の強度変調成分と関連する広範囲信号と関連して、合成波長25.2mmが使用される。
【0034】
勿論、上記の例で述べた構成及び寸法は、例示であり、本発明を限定するものではない。例えば、より大きな信号、及び/又は、より広い許容寸法のサブトラック、及び/又は、1つのトラックから他に漏れるボケ光を防止するための追加のスペースを与えるために、様々なY方向寸法を大きくしたり、あるいは、(例えばより長い波長及び/又はDMSTパターンを持つ追加のアブソリュートトラックでSCWAM技術を用いることにより)絶対測定範囲を増やすために追加のアブソリュートトラックを与えることができる。
【0035】
図3は、ここに開示された原理に従うDMSTパターンTABSの第1例の2つの部分300及び350を示す図である。DMSTパターンTABSは、ここで開示された様々なDMSTトラックパターンの代わりに使用することができる。
図3に示すように、部分300は、DMSTパターンTABSの第1の端部の近く(例えばエンコーダの絶対測定範囲の第1の端部の近く)に与えられる代表セグメント(長さで一波長Ltrack)と見なされ、部分350は、DMSTパターンTABSの2番目の端部の近く(即ちエンコーダの絶対測定範囲の二番目の端部の近く)に与えられた代表セグメント(長さで一波長Ltrack)とみなされる。
図3の実施形態において、部分300と350の間の一番の相違は、寸法YSPCENT(x)中の長いレンジの変化を決定する寸法YMINCENT(x)の長いレンジの変化に反映される。寸法YSPCENT(x)中の変化は、以下で詳細に説明するように、DMSTパターンTABSによって与えられる空間変調光パターン中の第1の周期的な強度変調成分及び第2の長いレンジの強度変調成分を共に与えるように構成される。
【0036】
前記DMSTパターンTABSは、Y方向寸法YCENTを有する中央サブトラックDMST−CENTと、各Y方向寸法Y−TOL1、Y−TOL2、Y−TOL1及びY−TOL2を有するミスアライメント許容サブトラックSTR−TOL1、STR−TOL2、STR−TOL1′及びSTR−TOL2′とを含む。それと共に、サブトラックSTR−TOL1及びSTR−TOL2は、全許容サブトラックSTR−TOLを補い、サブトラックSTR−TOL1′及びSTR−TOL2′は、全許容サブトラックSTR−TOL′を補う。各サブトラックは、測定軸MAの方向に沿って続くことを理解されたい。
【0037】
説明のため、
図3は更にトラックパターンTABSによって与えられた空間変調光を検知する空間フィルタとして使われる個別検出器要素の検出領域に対応する名目上アラインされた代表検出器窓領域DWABSも示す。エンコーダの適用分野において、YTOL2は、検出器窓領域DWABS(及び/又は対応する検出器トラック)及びDMSTパターンTABS間の第1のY方向に沿って許容されるミスアライメント許容量であり、YTOL1は、反対側のY方向に沿って許容されるミスアライメント許容量である。例え検出器窓領域DWABSが、許容サブトラックSTR−TOR2又はSTR−TOL1′を制限するようにミスアラインされても、パターン部分SP−CENTからのほぼ全ての光が、常に検出器窓領域DWABSに落ちるように、中央サブトラックDMST−CENTは各Y方向寸法YCENTを持つ寸法とされる。従って、SP−CENTからの結果として生じる信号の寄与は、ミスアライメントに拘わらず、良好な信頼性を備えた、第1の周期的な強度変調成分と、第2の長いレンジの強度変調成分の両方に対応する情報を持つ。
【0038】
許容サブトラックSTR−TOLとSTR−TOL′及びそれらに含まれるパターン部分についての様々な設計上の配慮は、813特許の同様な形態及び寸法についての記載に基づいて理解できるため、ここでは詳細な説明を省略する。簡単に言うと、信号変化パターン部分SP−TOL2及びSP−TOL1の形状をそれぞれ規定する寸法変数YSPTOL2(x)及びYSPTOL1(x)は、次のように規定される。
【0040】
図3で示されるように、検出器窓領域DWABSが、Y方向に沿ってミスアラインされると、サブトラックSTR−TOL中の検出器窓領域DWABSから「失われた」光が、サブトラックSTR−TOL′中の検出器窓領域DWABSで「得られた」光によって常に補償され、又、その逆の場合もそうなるように、DMSTパターンTABSは構成されている。従って、結果として生じるサブトラックSTR−TOL及びSTR−TOL′からの組み合わせ信号の寄与は、ミスアラインメントにかかわらず、それらのパターン部分SP−TOL′の正弦波形状に、正弦波の信頼性を持って対応する。これは、813特許中で詳細に教えたように、許容サブトラックSTR−TOL及びSTR−TOL′が幾何学的に合同で、一つがY方向に距離YDETABSだけ移動して一致するときに達成される。
【0041】
既に概説したように、寸法YMINCENT(x)の長いレンジの変化が、寸法YSPCENT(x)の長いレンジの変化を決定する。寸法YSPCENT(x)の変化は、DMSTパターンTABSによって与えられる空間変調光パターン中で第1の周期的な強度変調成分と、第2の長いレンジの強度変調成分を共に与えるように構成される。特に、
図3に示される特定の実施例において、信号変化パターン部分SP−CENTは、最大Y方向寸法又は振幅ACENTを持つ正弦波変化領域部分と、寸法変数YMINCENT(x)によって特徴付けられる長いレンジの変化領域部分とを有するようにY方向寸法変化YSPCENT(x)に従って形作られる。Ltrackは、DMSTパターンTABSの公称波長(即ち中間波長)であり、更に、第1の周期的な強度変調成分の波長でもある。信号変化パターン部分SP−CENTの形状を規定する寸法変数YSPCENT(x)は、次のように規定することができる。
【0043】
一般的に、YMINCENT(xref)は、第1及び第2の強度変調成分間の信号強度の望ましい配分を与えるために、ACENTに関して選ばれ、kは、第2の強度変調成分によって与えられる広範囲絶対測定信号の測定範囲にわたる望ましい変化量を与えるよう0<k<1の範囲で選ばれる因子である。
【0044】
YMINCENT(x)の項によって支配されるパターン面積変化は、DMSTパターンTABSによって与えられる空間変調光パターン中の第2の長いレンジの強度変調成分を与え、式(3)中の残る正弦波の項によって支配されるパターン面積変化は、第1の周期的な強度変調成分を与える。YMINCENT(x)の項によって支配される変化の速度又はパターン面積変化は、図示のため、
図3中では非常に強調されている。実際上、寸法RANGEは、波長Ltrackの数倍(例えば、いくつかの実施例においてはLtrackの20−25倍、他の実施例においてはLtrackの100−300倍)である。第1及び第2の強度変調成分にそれぞれ関連する2つの信号に由来する信号処理は、
図6を参照して後で詳細に説明する。
【0045】
図4は、ここに開示された原理に従うDMSTパターンTABSの第2例の2つの部分400と450を示す図である。DMSTパターンTABSは、ここに開示された様々なDMSTトラックパターンの代わりに用いることができる。
図4の部分400及び450は、
図3の対応する部分300及び350と、特定の形態及び寸法を共有する。従って、
図3の構成と比べて重要な違いのみが以下に強調される。
図3及び4において、類似の設計上の配慮及び/又は類似の機能を持つ特徴部分は、同様にラベル又は符号が付され(例えば、同じ参照ラベル又は数字、又は1以上のプライム記号が付加され)、同様に理解される。
【0046】
図4に示されるように、部分400は、エンコーダの絶対測定範囲の第1の端部に近いDMSTパターンTABS中に与えられた代表セグメントとみなされ、部分450は、エンコーダの絶対測定範囲の第2の端部の近くのDMSTパターンTABS中に与えられた代表セグメントと見なされる。
図4に示される実施形態において、部分400と450間の一番の違いは、ブロック要素BLOCKの形によって影響され、寸法YSPCENT(x)中の長いレンジの変化を決定する寸法YMINCENT(x)の長いレンジの変化に反映される。寸法YSPCENT(x)の変化は、以下で詳細に説明するように、DMSTパターンTABSによって与えられる空間変調光パターン中の第1の周期的な強度変調成分及び第2の長いレンジの強度変調成分を共に与えるように構成される。
【0047】
特に、
図4に示される特定の実施形態において、信号変化パターン部分SP−CENTは、最大Y方向寸法又は振幅ACENTを持つ正弦波状変化領域部分と、寸法変数YMINCENT(x)によって特徴付けられる長いレンジの変化領域部分とを有するように変化するY方向寸法YSPCENT(x)に従って形作られる。Ltrackは、DMSTパターンTABSの公称波長(即ち中間波長)であり、且つ、第1の周期的な強度変調成分の波長でもある。ブロック要素BLOCKを加え、
図4に示される寸法定義(ブロック要素BLOCKにより、
図3に示されるものと比べて、少し修正されている)を追加することにより、信号変化パターン部分SP−CENTの形を規定する寸法変数YSPCENT(x)は、再び、式(3)及び(4)、及び
図3を参照して上記に提示した関連する記載に基づいて、特徴付けられ、理解される。
【0048】
図5は、ここに開示された原理に従うDMSTパターンDMST−TABSの第3例の2つの部分500及び550を示す図である。前記DMSTパターンDMST−TABSは、ここで開示した様々なDMSTトラックパターンの代わりに用いられるよう適応される。
図5の部分500と550は、
図4の対応する部分400及び450、及び、
図3の対応する部分300及び350の特定の形態及び寸法を共有する。従って、
図3及び
図4の構造に比べて重要な相違のみが以下で強調される。
図3、4、5において、類似の設計配慮及び/又は類似の作用を有する特徴部分は同様にラベル又は数字が付され(例えば同じ参照ラベル又は数字、又は1以上のプライム記号を追加)、同様に理解される。
図5に示されるように、部分500は、エンコーダの絶対測定範囲の第1の端部に近いDMSTパターンDMST−TABS中に与えられる代表セグメントとみなされ、部分550は、エンコーダの絶対測定範囲の第2の端部に近いDMSTパターンDMST−TABS中に与えられる代表セグメントと見なされる。
図5の実施形態において、部分500と550間の一番の相違は、ブロック要素BLOCKの形状に影響され、寸法YSPUNIV(x)の長いレンジの変化を決定する寸法YMIN(x)の長いレンジの変化に反映される。寸法YSPUNIV(x)の変化は、以下で詳細に説明するように、DMSTパターンDMST−TABSによって与えられる空間変調光パターン中の第1の周期的な強度変調成分及び第2の長いレンジの強度変調成分を共に与えるように構成される。
【0049】
図2に示されるトラックパターンと同様に、
図3及び4に示されるトラックパターンとは異なり、トラックパターンDMST−TABSは、二つの方向に繰り返される基本パターン化信号変化部分SP−UNIV(信号変化要素とも称する)の単一の形又は形状を含む。基本パターン化信号変化要素SP−UNIVは、中央サブトラックSTR−CENTを通して、及び、全許容サブトラックSTR−TOL及びSTR−TOL′(前述したものと類似)を通して、Y方向に沿う各繰り返しで同じ公称寸法を持ってY方向に繰り返される。それは、以下に詳細に説明するように、長いレンジの強度変調成分を与えるため、基本パターン化信号変化要素SP−UNIVを測定軸方向に沿う位置xの関数として、X方向、又は詳細にはX方向に対するパターン角θに沿って細かく調整しつつ繰り返される。
【0050】
許容サブトラックSTR−TOL及びSTR−TOL′及び基本パターン化信号変化要素SP−UNIVに関する様々な設計上の配慮は、813特許の同様な形態及び寸法についての記載に基づいて理解できるため、ここでは詳細な説明を省略する。簡単に言うと、検出器窓領域DWABSの寸法YDETABSと、基本パターン化信号変化部分SP−UNIVのY方向繰り返し寸法は、寸法YDETABSが基本パターン化信号変化要素SP−UNIVの整数倍(例えば
図5では3要素)にわたり、813特許に詳細に教えられたように、許容サブトラックSTR−TOL及びSTR−TOL′が幾何学的に合同で、一つがY方向に距離YDETABSだけ移動すると一致するように選ばれる。従って、
図5に示されるように、検出器窓領域DWABSがY方向にミスアラインされると、サブトラックSTR−TOL中の検出器窓領域DWABSから「失われた」光が、サブトラックSTR−TOL′中の検出器窓領域DWABSで「得られる」光によって常に補償され、その逆の場合もそうなるように、DMSTパターンDMST−TABSは構成されている。従って、検出窓領域DWABSによって検出される全ての基本パターン化信号変化部分SP−UNIVを合成した信号は、ミスアラインに関わらず良好な信頼性で、xの関数としてそれらの形状に対応する。
【0051】
先に概説したように、寸法YMIN(x)の長いレンジの変化が、寸法YSPUNIV(x)の長いレンジの変化を決定する。寸法YSPUNIV(x)の変化は、DMSTパターンDMST−TABSによって与えられる空間変調光パターン中の第1の周期的強度変調成分と第2の長いレンジの強度変調成分を共に与えるように構成されている。特に、
図5に示される特定の実施形態においては、前記基本パターン化信号変化部分SP−UNIVは、最大Y方向寸法又は振幅Aを有する正弦波状変化領域部分と、寸法変数YMIN(x)によって特徴付けられる長いレンジの変化領域部分とを有するように変化するY方向寸法YSPUNIV(x)に従って形作られる。Ltrackは、DMSTパターンDMST−TABSの公称波長(例えば、中間波長)であり、第1の周期的な強度変調成分の波長でもある。ブロック要素BLOCKは、xの関数として変化するY方向寸法YBLOCK(x)を持ち、次式で与えられる。
【0053】
前記寸法変数YSPUNIV(x)は、式(3)及び(4)に関して先に説明した寸法変数YSPCENT(x)と類似している。基本パターン化信号変化部分SP−UNIVの形状を規定する寸法変数YSPUNIV(x)は、次のように定義される。
【0055】
一般的に、YMIN(xref)は、第1及び第2の強度変調成分間の信号強度の望ましい配分を与えるために、Aに関連して選ばれ、kは第2の強度変調成分によって与えられる広範囲絶対測定信号の測定範囲にわたる変化の望ましい量を与えるように範囲0<k<1の中で選ばれる因子である。
【0056】
YMIN(x)の項によって支配されるパターン面積変化は、DMSTパターンDMST−TABSによって与えられる空間変調光パターン中の第2の長いレンジの強度変調成分を与え、式(6)中の残る正弦波の項によって支配されるパターン面積変化は、前記第1の周期的な強度変調成分を与える。YMIN(x)の項によって支配されるパターン面積変化の変化割合は、図示のため、
図5中で非常に強調されている。実際上、寸法RANGEは、波長Ltrackの数倍(例えばLtrackの20−25倍以上)であることができる。第1及び第2の強度変調成分にそれぞれ関連する2つの異なる信号に由来する信号処理は、
図6を参照して以下に詳細に説明する。
【0057】
これまでの実施形態は、様々なDMSTパターンがアブソリュートトラックパターンを与えるのに用いられることを示している。例えば、831特許は、これまでの実施形態に関連して説明された連続的な正弦波関数というよりもむしろ、信号変化パターン部分SP−grid(x)において、「離散的な」正弦波状面積変化に基づくアブソリュートトラックパターンを開示している。813特許の離散的な実施形態は、上記で概説した寸法YMIN(x)と類似するパラメータAminを含む。パラメータAminがxの関数として(例えば、上記で概説したように、Amin(x)が寸法YMIN(x)と同様な方法で)変化するようにされると、第2の長いレンジの強度変調成分は、813特許中に開示された離散的な正弦波状アブソリュートトラックパターンと同様に、離散的な正弦波状DMSTパターンによって与えられる。従って、ここで開示されたDMSTパターン及びアブソリュートトラック形状は、例示に過ぎず、限定されるものではないことを理解されたい。
【0058】
図6は、SCWAM技術と共に用いられ、測定範囲にわたって線形に変化する広範囲絶対測定信号を与えるように形成された2つの中間波長DMSTパターンTABS1X及びTABS2Xを有するスケールトラック及び検出器配置600の一つの実施形態を示す図である。以下で詳細に説明するように、アブソリュートスケールトラックパターンTABS1X及びTABS2Xは、
図2−5を参照して上記で説明した設計原理に従って形成される。中間波長DMSTパターンTABS1X及びTABS2Xの特定の例において、
図5と同様のパターン要素が利用される。前述したように、そのようなスケールパターンにおいて、中間波長信号及び広範囲信号は、共に、中間波長DMSTパターンTABS1X及びTABS2Xによって与えられる空間変調光パターン内に第1の周期的な強度変調成分(即ち、中間波長強度変調成分)及び第2の長いレンジの強度変調成分を共に与えるように透明な基板上に形成された不透明な「棒」又はパターン要素(例えばガラススケール上のクロム)の幅を変えることによって達成される。
【0059】
図6に示される実施形態において、中間波長DMSTパターンTABS1XとTABS2Xは、更に、
図2を参照して既に概説した中間波長DMSTパターンと同様に、少し異なる波長L1及びL2を持つ。前述し、以下に詳細に説明するように、少し異なる波長を持つ中間波長DMSTパターンから信号が組み合わされると、この少し異なる波長は、相対的に粗い分解能の合成波長位置が決定され得る、より長い合成波長(例えば、中間波長間のうなり周波数)を与えることができる。
図6に示されるパターン要素及び寸法の一つの特定の実施形態において、合成波長は、ほぼ25.2mmであり、エンコーダの絶対測定範囲は、DMSTパターンによって与えられる空間変調された光パターン中の第2の長いレンジの強度変調成分によって、約70mm以上に延長される。好ましくは、第2の長いレンジの強度変調成分によって与えられる信号の精度と分解能は、合成波長の約半分よりも小さいレベルまで正確なことが必要なだけであり、これはロバストな設計マージン及び動作を許容する。
【0060】
既に概観したように、
図6に示される中間波長DMSTパターンTABS1X及びTABS2Xの特定の例において、
図5と同様のパターン要素が利用されている。特に、中間波長DMSTパターンTABS1XとTABS2Xは、それぞれ、式(6)及び(7)を参照して既に説明したように形成されることができる。広範囲信号をコード化するためのパターン要素寸法成分YMIN(x)のそのような変化は、中間波長DMSTパターンTABS1X及び/又はTABS2Xの特定の中間波長の中で所望の精度と分解能を備えた位置情報を与える第1の強度変調成分と関連する測定精度に大きく影響することなく、特定の実施形態に適用される。
【0061】
図6に示されるように、前記アブソリュートスケールパターン615は、下位中間波長DMSTパターンTABS1X及び上位中間波長DMSTパターンTABS2Xを含む。図示及び説明の目的で、
図6には、アブソリュートスケールパターン615の様々な部分、すなわち左スケールパターンセグメント615A、中央スケールパターンセグメント615B及び右スケールパターンセグメント615Cの拡大図も示されている。
【0062】
前記スケールパターン部分615A、615B及び615Cは、それぞれ、対応する下位トラックパターン部分TABS1XA、TABS1XB及びTABS1XC、及び、上位トラックパターン部分TABS2XA、TABS2XB及びTABS2XCをそれぞれ含む。前記アブソリュートスケールパターン615は、中央をゼロ位置として、ほぼ70mmの範囲に延びるように示されている。従って、中央スケールパターンセグメント615Bは−1mm〜+1mmの測定範囲を含み、左スケールパターンセグメント615Aは−26mm〜−24mmの測定範囲を含み、右スケールパターンセグメント615Cは+24mm〜+26mmの測定範囲を含むように示されている。
【0063】
図6に示されるように、最小クロム線幅及び/又は透明部の最小幅(例えば、
図5の寸法YMIN(x)に対応するパターン要素)のサイズを、スケールの長手方向に沿うxの関数として(例えば式(7)で表される関数YMIN(x)に従って)連続的に変更する技術は、中間波長DMSTパターンTABS2X中の右から左へ、また、DMSTパターン中の左から右への全「影」量の連続的な増加を生じる。詳細には、中間波長DMSTパターンTABS1Xにとっては、寸法YMIN(x)が
図5及び式(7)に対応する変化のパターンに従うので、中間波長DMSTパターンTABS1Xは左から右へ連続的に暗くなるように現れる。逆に、中間波長DMSTパターンTABS2Xにとっては、寸法YMIN(x)が
図5及び式(7)に比べて測定軸方向に沿って反対である変化のパターンに従う。即ち、TABS2XのDMSTパターンにとっては、
図5及び式(5)を参照して上記で説明したと同様に、ブロック要素を次のように記述することができる。
【0065】
従って、パターン要素は式(6)によって規定され、ここでは寸法YMIN(x)の式が式(5′)によって修正されている。即ち、TABS2XのDMSTパターンに対して、式(6)中でYMIN(x)は、次のように表される。
【0067】
説明の目的で、
図6は、中間波長DMSTパターンTABS1X及びTABS2Xとそれぞれアラインされた検出器トラックDETABS1X及びDETABS2Xのセットを示している。一つの実施形態において、検出器トラックDETABS1X及びDETABS2Xは、
図2に示される同様の検出器トラックDETABS1及びDETABS2と同様に類推することができ、信号(Aabs1,Babs1,Aabs1′及びBabs1′)のセット、及び(Babs2′,Aabs2′,Babs2及びAabs2)のセットも同様に類推することができる。
【0068】
前記信号セットに関連する信号及び信号処理について以下に説明する。信号のセット(Aabs1,Babs1,Aabs1′及びBabs1′)、及び(Babs2′,Aabs2′,Babs2及びAabs2)は、中間波長DMSTパターンTABS1X及びTABS2Xそれぞれの異なる中間波長L1及びL2の検出により、検出器トラックDETABS1Xと検出器トラックDETABS2Xからの信号間で、全空間位相差を除き、多くの点で実質的に同様である。以下の検討では、信号のセット[A(x),B(x),A′(x)及びB′(x)]がどちらの検出器トラックからの信号のセットにも対応することができる、即ち、信号のセット[Aabs1,Babs1,Aabs1′及びBabs1′]又は信号のセット[Aabs2,Babs2,Aabs2′及びBabs2′]のいずれかに対応することができると約束する。以下で詳細に説明するように、様々な実施形態において、信号のセット[A(x),B(x),A′(x)及びB′(x)]の和は信号オフセットの全体レベルを示し、これは第2の強度変調成分の効果を含み、全測定範囲にわたる広範囲絶対測定信号の決定に利用することができる。
【0069】
図6に関連して上記で説明した式及び設計原理に基づいて、中間波長DMSTパターンTABS1X及びTABS2Xのいずれか一方から生じる4つの位相信号の式は、次のように表される。
【0070】
【数8】
ここで、Nは、Y軸方向に沿う検出器要素が広がるパターン要素の整数(例えば
図2の実施形態ではN=3)、wは検出器要素の幅、YMIN(X)は、中間波長DMSTパターンTABS2Xに関連する信号に対しては式(7′)によって与えられ、中間波長DMSTパターンTABS1Xに関連する信号に対しては式(7)によって与えられる。ある特定の実施形態において、次のより微細な波長(例えば合成波長)の、全測定範囲にわたる広範囲の絶対位置を示す広範囲信号LRS(x)は、これらの信号の和(即ち、正味信号オフセット)によって決定される。
【0072】
式(5)−(7)、(5′)及び(7′)に関して上記で説明した特定の実施形態において、信号LRS(x)は次式
【数10】
が線形であり、A(x)の正弦波状部分がA′(x)の正弦波状部分をキャンセルし、B(x)の正弦波状部分がB′(x)の正弦波状部分を相殺するので線形である。
【0074】
多くの具体例において、YMIN(x)中の変化の割合による信号振幅の変化の割合は、正弦波状信号成分による変化の割合(例えば波長当たり4%のオーダーの変化)に比べて小さく選ぶことができる。そのような場合、式(13)−(15)中で用いた近似が、受け入れ可能な実際的な結果を与える。しかしながら、信号振幅中の変化の割合が、これらの仮定を破るような具体例においては、この開示の利益を受ける当業者によって認識され、訂正されるように、第1及び第2の強度変調成分の検出間で生じる、小さな追加の信号外乱やクロストークを補償するように、追加の計算又は技術が実行される。
【0075】
上記の式に従って、2つの広範囲信号LRSが
図6中に示されたような構造から与えられ、第1の広範囲信号LRS
1は上位スケールトラックパターンTABS1Xから与えられ、第2の広範囲信号LRS
2は下位スケールトラックパターンTABS2Xから与えられる。式(12)に従って2つの広範囲信号LRSが与えられた
図6と同様の実施形態において、これらの2つの信号は、位置ゼロから最大絶対測定範囲に対応する位置「R」へと変化するxに応じて、同じ傾きで反対向きに変化する(例えば、式(5)、(5′)、(7)及び(7′)に示されるように、RはほぼRangeに等しい)。
【0076】
【数12】
ここでf
0は、スケールの一方の端部における信号オフセット又はバイアス、mはオフセットの傾き、Rはエンコーダの測定範囲である。広範囲信号LRS
1とLRS
2の実際の測定例が、
図6中のグラフ650として示されている。グラフ650に示されるように、信号LRS
1は、ほぼ70mmの測定範囲にわたり、ほぼ値4.2からほぼ値3.3まで線形に減少し、信号LRS
2は、ほぼ70mmの測定範囲にわたり、ほぼ値3.3からほぼ値4.2まで増加している。
【0077】
広範囲信号LRS
1とLRS
2から広範囲位置信号P
LRが計算される。いくつかの実施形態において、広範囲位置信号P
LRが位置xとともに線形に変化し、理想的にはf
0に殆ど又は全く依存しないことが有利である。そのような計算の一例は、次のとおりである。
【0078】
【数13】
ここで、m及びRの値は、設計、校正又は実験により知られる。広範囲位置信号P
LRの他の計算として(例えば、使用された光源又はスケールパターン製造の不完全さにより、第1及び第2のトラックがそれぞれのf
0′に対して異なる値に繋がった場合)、次のような式を利用できる。ここで、量2f
0が、各スケールトラックパターンに関連する各f
0の、より一般的な和を表す。
【0080】
これらの式によって示されるように、一般的に、広範囲信号LRS
1とLRS
2は共にxについて線形であり、xと共にほぼ線形に変化する広範囲位置信号P
LRを発生するために、共に様々な方法で使用される。様々な具体例において、ゼロ基準点を設定する技術、又は、様々な補償手段を実行するための技術が、当業者に知られているように用いられる。広範囲位置信号P
LRの一例が、以下で詳細に説明するチェーン−ダウン処理の中で利用される合成波長空間位相位置信号P
Sの例とともに、
図6中にグラフ670で示されている。これまでの実施形態においては、反対の極性の2つのDMSTパターンを使用することが有利であり、単一のDMSTパターンからの単一の信号を用いるよりもロバストである。しかしながら、他の実施形態においては、1つのDMSTパターンからの1つの信号(例えば650中に示される信号LRS
1又はLRS
2の一つ)を用いることができる。セット[A(x),B(x),A′(x)及びB′(x)]からの複数の信号の和によって表される正味オフセット信号変化上の広範囲信号に基づく代わりに、いくつかの実施形態においては、広範囲信号は、差[A
1(x)−A
1′(x)]及び[B
1(x)−B
1′(x)]に基づいて決定される、変化する正味振幅信号(例えば、それらの平方の和の平方根)であることができる。そのようないくつかの実施形態において、広範囲信号の中で意味のある信号振幅変化を与えるために、
図3−5を参照して用いられた用語を用いて、寸法Aは、DMSTパターンに沿う寸法YMINの変化に加えて、又はその代わりに、xの関数として変化することができる(例えば、A(x)=A(xref)−YBLOCK(x))。いずれの場合も、広範囲位置信号P
LR(x)が一度決定されると、次のステップは、特定の合成波長位置信号P
S(x)にチェーン−ダウンすることである。前記合成波長位置信号P
S(x)にチェーン−ダウンするために、第1及び第2のスケールトラックパターン(例えば、TABS1XとTABS2X)からの、それぞれM
1及びM
2トラックと称する位相)を知る必要があり、対応する式は次のように表される。
【0081】
【数15】
ここで、上記下付き符号は、信号がどのトラックパターンから来たかを示し、例えば、
M
1は波長Ltrack
1を有する上記で説明した中間波長アブソリュートスケールトラックパターンTABS1Xであり、M
2は波長Ltrack
2を有する上記で説明した中間波長アブソリュートスケールトラックパターンTABS2Xである。符号付けを便利にするため、ここでλ
M1=Ltrack
1、λ
M2=Ltrack
2と規定する。すると合成波長位置信号P
S(x)は、次式で表される。
【0082】
【数16】
ここでλ
Sは合成波長である。
【0083】
グラフ670中に示されるように、前記合成波長位置信号P
Sが様々な波長中で同じ値を持つ位置は、様々な合成波長中で2つのトラック(例えばTABS1X及びTABS2X)が同じ位相を持つ位置を示すことが理解される。
図6は、信号値がx軸を横切る位置の例として、そのような位置を強調している。これらの位置は、
図6の上の部分中のセグメント615A、615B及び615Cにも見られる。言い換えると、DMSTパターンTABS1Xのパターン要素がY軸方向に沿ってDMSTパターンTABS2Xのパターン要素と正確に整列すると、これは2つのパターンが同じ空間位相を持つ領域を示している。これらの「位相一致」位置は、ほぼ−25、0及び+25位置に示され、(例えば式(19a)及び(19b)に従って)それらの対応する検出器トラックからの実質的に同じ位相信号で、それらの位置で(例えば式(20a)に従って)P
S(x)≒0の結果となる。
【0084】
グラフ670から、同じ信号値P
S(x)の2つ又は3つの特定の波長の例(即ち、合成波長内の空間位相位置)が、信号P
LR(x)の対応する唯一の値によって互いに容易に区別されることが明らかである。従って、一番粗い分解能の広範囲位置信号P
LR(x)が確立されると、特定の波長内の合成波長位置信号P
S(x)が、広範囲位置信号P
LR(x)によって示される特定の合成波長に対応する知られた波長「基準」位置に加えられ、合成波長に関連する、より良い分解能を持つ絶対位置測定を与える。同様に、下位の、式(21a)及び(21b)によって示される同一の信号値P
M1(x)又はP
M2(x)の特定の波長の例(即ち、中間絶対波長内の空間位相位置)は、合成波長位置信号P
S(x)の対応する唯一の値によって互いに容易に区別される。従って、合成波長位置信号P
S(x)が一度確立されると、特定の中間波長内の中間絶対波長信号P
M1(x)又はP
M2(x)が合成波長位置信号P
S(x)によって示される特定の中間波長に対応する知られた波長「基準」位置に加えられ、中間波長に関連する、より良い分解能を持つ絶対位置測定を与える。前記中間絶対波長信号P
M1(x)又はP
M2(x)は、次のように示される。
【0086】
このようにして、チェーン−ダウン順番処理は、絶対位置を高い分解能で決定するように、長いレンジ、合成、中間及びインクリメンタル位相を互いに結びつけるのに使われる。第1のより短いレンジの強度変調成分上に第2の長いレンジの強度変調成分をコード化するか重ね合わせる1以上の2重変調スケールトラックパターンを与えることによって、ここに開示したDMSTパターン構造は、エンコーダの絶対測定範囲及び/又は測定範囲対分解能比を、そのスケール又は検出器又は他のエンコーダ部品の幅を増やすことなく、高めることを許容する。従って、改良された測定範囲対分解能比を持つエンコーダシステムが、様々な異なるスケールトラックパターン及び検出器配列と共に使用可能な、経済的で小型の方法で与えられる。
【0087】
前記実施形態においては、前記第2の長いレンジの強度変調成分を、第1のより短いレンジの強度変調成分の上に、基本パターン要素の面積の変化(例えばYMIN(x)によって与えられる変化)によってコード化又は重ね合わせられていたが、代わりに、密度可変フィルタ層などを、YMIN(x)パターン面積変化成分でなく、正弦波状に変化する成分のみを示すパターン要素の上に重ねることも可能である。言い換えると、様々な実施形態において、測定軸方向に沿う光の密度変化を与える重畳層が第2の強度変調成分を与えることができる。
【0088】
特定の具体例において、チェーン−ダウン処理無しで所望の測定範囲及び設計マージンが達成されれば、合成波長位置信号P
S(x)のチェーン−ダウン処理は必要でない。そのような場合、広範囲位置信号P
LRは、中間パターン波長の特定の一つを正確に且つ信頼性をもって示す度合で内挿することができる(例えば、
図6の特定の例において、これは線形信号が中間スケールトラックパターンTABS1X又はTABS2Xなどから信号の一つに正確にチェーン−ダウンできる所望のレベルに正確に内挿されることを要求する)。
【0089】
図7は、
図6のスケールトラック及び検出器トラックDETABS2Xによって作られた信号を示す
図700である。前記のように、検出器トラックDETABS2X及び各検出器要素A2、B2、A2′及びB2′が上位トラックパターンTABS2X上を動くにつれて、信号Aabs2、Babs2、Aabs2′及びBabs2′は、(それぞれ検出器要素A2、B2、A2′及びB2′の出力として)位置に従って振動する。検出器トラックDETABS2Xが、ほぼ−10mmから+10mmの範囲にわたって動くと、広範囲信号LRS
2(即ちオフセット)は、全体でほぼ0.25ボルト増加する(これは
図6中に示された同様な測定範囲にわたる同じ増加量に対応する)。
【0090】
図6及び7に関して上で説明したように、広範囲信号LRS
1及びLRS
2は、スケールトラックパターンTABS1X及びTABS2X内で連続的な長いレンジのパターン変化に従って線形に変化する。前記広範囲信号LRS
1及びLRS
2のこの線形の変化は、合成波長位置信号P
Sの適切な波長が決定されることを許容し、その結果、チェーン−ダウン処理はスケールの所望の長さに対して所望の精度レベルで達成される。
図8及び9に関して以下に詳細に説明するように、他の実施形態においては、広範囲信号LRS
1及びLRS
2を線形に変化するよりもむしろ、長いレンジのパターン変化の異なるタイプが利用される。例えば、様々な実施形態において、広範囲信号(例えばオフセットレべル)は、(例えば
図8に関連して以下に詳細に説明するように)ステップ関数、又は(例えば
図9に関連して以下に詳細に説明するように)他の非線形関数に従って変化することができる。
【0091】
図8は、アブソリュートスケールトラックパターンが本発明に従ってステップ関数の広範囲信号を発生する長いレンジの強度変調成分を与えるように構成されたスケールトラック及び検出器配列の例の出力信号を示す
図800である。
図8に示すように、グラフ850は、広範囲信号LRS
1′及びLRS
2′を示し、グラフ870は、合成波長位置信号P
S′及び広範囲位置信号P
LR′を示す。グラフ850中に示されるように、広範囲信号LRS
1′及びLRS
2′は、スケールの長さにわたり3つの異なる信号レベルを持つステップ関数の一つのタイプに従っている。グラフ870に示されるように、合成波長位置信号P
S′は、限定された回数だけ(例えば
図8の例では約2.5回)繰り返すので、適切な構成及び信号処理により、広範囲信号LRS
1′及びLRS
2′の3つの異なるレベルは、チェーン−ダウン処理が所望の精度レベルで実行される適切な合成波長を示すのに十分である。言い換えると、広範囲信号LRS
1′及びLRS
2′中でステップの数(例えば3)が適切な合成波長を一義的に特定するのに使用できる限り、チェーン−ダウン処理の所望の絶対測定動作及び精度レベルが達成される。
図8の例において、合成波長位置信号P
S′は様々な位置においてほぼ同じであるが、広範囲位置信号P
LR′のステップが、それらの位置においてそれぞれ異なる信号値を持つので、それらは合成波長における曖昧さを十分に解決する。
【0092】
図8の実施例において、広範囲信号LRS
1′及びLRS
2′、特に、対応する広範囲位置信号P
LR′(例えばP
LR′=LRS
1′−LRS
2′)中のステップの数は、様々な実施形態において、合成波長位置信号P
S′の長さ及びそれが何回繰り返すかによって変化することができる。一般的に、各合成波長位置信号P
S′のために用いられる波長の数と広範囲位置信号P
LR′の変化は、最も有利な測定範囲及びロバストな信号マージンを与えるよう、それぞれ内挿する能力に基づいて均衡が取られる。特定の具体例において、合成波長位置信号P
S′は、それ無しで所望の測定範囲が達成されれば、必要とされないかもしれない。そのような場合、広範囲位置信号は、中間パターン波長の一つを正確に示す度合まで示され及び/又は内挿される必要がある。
図8の特定の例において、これは広範囲位置信号P
LR′の中のかなりの数のステップを必要とする可能性が高い。
【0093】
図8の出力信号を発生するためのエンコーダシステムの一つの特定の具体例において、広範囲信号LRS
1′及びLRS
2′を作り出すためのスケールトラックパターンは、スケールトラックパターンを適用する前に、3つの部分でスケールにほぼ透明なクロム層の異なる厚みを適用することによって形成される。他の区別可能な特性に従って、スケールトラックパターンに所望のステップ関数を与える他の方法も利用することができる。
【0094】
図8のエンコーダシステムの特定の具体例は、スケールの一つの区画から他の区画への急なシフトに適応する特定の処理技術を必要とするかも知れない。そのような急なシフトは正確な位置を決定するために正確に処理される出力信号を与えつつ、2つの異なる区間に跨る検出器にロバストなエンコーダを補償する技術を必要とする。さらに、検出器が2つの区画を跨るときに存在するオフセット及び振幅の変化は、システムに追加の短いレンジのエラーを生じるかも知れず、これに対して、当業者に知られているように、追加の補償を行うことが望ましいかも知れない。
【0095】
図9は、
図9に示される信号が
図8に示される信号に比べて、より高い割合のステップ変化を含む点を除き、
図8に示されるものと同様なステップ関数の広範囲信号を発生する長いレンジの強度変調成分を与えるようにアブソリュートスケールトラックパターンが構成されたスケールトラック及び検出器配列の一つの実施形態の出力信号を示す
図900である。
図9に示されるように、グラフ950は、広範囲信号LRS
1′とLRS
2′を示し、グラフ970は、合成波長位置信号P
S′と広範囲位置信号P
LR′を示す。グラフ950に示されるように、広範囲信号LRS
1′及びLRS
2′は、それぞれ、スケールの長手方向を横切る3つの異なる信号レベルを持つステップ関数の一つのタイプに従うが、
図8に示される同様な信号と異なり、信号LRS
1′及びLRS
2′は、互いの単純な反転ではない。むしろ、それらのステップは測定軸方向に沿って互いにギザギザしており、より多数の離散的な信号レベルステップ(例えば
図9に示される例では5つの信号レベルステップ)を与える。グラフ970に示されるように、合成波長位置信号P
S′は、限られた回数だけ繰り返すので(例えば
図9の例ではほぼ2.5回)、広範囲信号LRS
1′及びLRS
2′で与えられた広範囲位置信号P
LR′(例えばP
LR′=LRS
1′−LRS
2′)の5つの異なる信号レベルは、適切な合成波長をロバストに示し、その結果、チェーン−ダウン処理のための所望の絶対測定動作及び精度のレベルが達成される。例えば、
図9において、合成波長位置信号P
S′は、位置の数がほぼ同じであるが、P
LR′のステップは、それぞれ、それらの位置において異なる信号値を持ち、それらは合成波長中の曖昧さを十分に解決可能である。
【0096】
図9に示される実施例は、広範囲信号LRS
1′及びLRS
2′、特に、対応する広範囲位置信号P
LR′(例えばP
LR′=LRS
1′−LRS
2′)中のステップの数が、合成波長位置信号P
S′の長さ及びそれが何回繰り返すかによって更に変化しても良いことを示している。一般的に、各合成波長位置信号P
S′に用いられる波長の数及び広範囲位置信号P
LR′の中に与えられる変化のタイプは、最も有利な測定範囲及びロバストな信号マージンを与えるように、それぞれ内挿する能力に基づいて均衡される。より一般的には、この開示に基づいて理解されるように、広範囲信号LRS
1′及びLRS
2′など、及び、対応する広範囲位置信号P
LR′などは、任意の望ましいステップ数又は連続的な非線形信号変化(例えば正弦波状変化又はそのセグメント、又は他の任意の所望の非線形信号変化)を与えるように構成されることができる。
【0097】
前記広範囲位置信号(P
LR′)を与える信号処理は、任意の便利な形をとることができ、様々な実施形態において、単純な差動信号処理に限定されない。一例として、そのような信号処理は、照明強度に対する正規化などを含むことができる。他の例として、アブソリュートスケールトラックパターンは、広範囲信号(LRS
1′及びLRS
2′)が直角位相信号(即ち測定レンジよりもいくらか長い波長の正弦波及び余弦波信号)を与えるように構成されることができ、これは広範囲位置信号(P
LR)を与えるように公知の方法に従って処理される。そのような実施例において、直角位相信号のオフセットをほぼ同じにするか、又は測定するか、及び/又は適切な信号処理を用いてオフセットを除去することが望ましく、その結果、広範囲位置信号(P
LR)の信号対雑音比が向上される。そのような実施例の一つにおいて、信号自体を用いる代わりに、直角位相信号の微分(即ち傾き)が処理によって決定されることができる。そのような正弦波状信号の微分は、それ自身正弦波状であるがオフセットを持たない。このような具体例において重要な配慮は、雑音のレベルであり、雑音が高くなりすぎると、それが優勢となり、微分信号を相対的に有用で無くすので、そのような場合は他の具体例が好ましい。
【0098】
ある具体例において、合成波長位置信号P
S′は、それ無しに所望の測定範囲が達成されれば必要とされないかもしれない。そのような場合、広範囲位置信号は、中間パターン波長の一つを正確に指示できる程度まで示されるか、及び/又は内挿される必要がある。
【0099】
図8の急なステップパターン技術に対して、
図9の円滑なステップ遷移技術は、より滑らかな変化を与え、急なシフトは存在しない。ある具体例において、中間波長信号に大きなエラーを導入しないよう、十分に緩やかにシフトすることが望ましい。
【0100】
図9の出力信号を発生するためのエンコーダシステムの一つの特定の実施例において、広範囲信号LRS
1′及びLRS
2′を作り出すためのスケールトラックパターンは、スケールトラックパターンを適用する前にほぼ透明なクロム層の異なる厚みをスケールに適用することによって形成される。他の区別可能な特性に従ってスケールトラックパターンに、所望のステップ関数を与える他の方法も利用することができる。
【0101】
本発明の好適な実施形態が図示され説明されていたが、図示され説明された配置及び一連の動作の数多くの変形が、この開示に基づいて当業者に明らかである。従って、本発明の精神及び範囲を離れることなく様々な変化がなされることを理解されたい。