特許第5771186号(P5771186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5771186フィルム用組成物、ならびに、それによる接着フィルムおよびカバーレイフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771186
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】フィルム用組成物、ならびに、それによる接着フィルムおよびカバーレイフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08L 75/04 20060101AFI20150806BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20150806BHJP
   C08K 5/3415 20060101ALI20150806BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20150806BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20150806BHJP
   C09J 7/00 20060101ALI20150806BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   C08L75/04
   C08L63/00 Z
   C08K5/3415
   C08J5/18
   H05K3/28 F
   C09J7/00
   C09J163/00
   H05K3/28 C
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-504373(P2012-504373)
(86)(22)【出願日】2011年2月10日
(86)【国際出願番号】JP2011052894
(87)【国際公開番号】WO2011111471
(87)【国際公開日】20110915
【審査請求日】2014年1月29日
(31)【優先権主張番号】特願2010-54125(P2010-54125)
(32)【優先日】2010年3月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591252862
【氏名又は名称】ナミックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(72)【発明者】
【氏名】寺木 慎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 聡子
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−60489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 75/04
C08J 5/18
C08K 5/3415
C08L 63/00
C09J 7/00
C09J 163/00
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水酸基を含まないエポキシ樹脂、
(B)リン含有ポリオールを構成成分として含むウレタン樹脂、
(C)ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、および、
(D)硬化剤を含有し、
前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分を100〜975質量部含み、前記(C)成分を25〜100質量部含み、前記(D)成分を有効量含み、前記(A)〜(D)の合計に対するリンの質量百分率が2〜7%であることを特徴とするフィルム用組成物。
【請求項2】
さらに、(E)硬化促進剤を有効量含む請求項1に記載のフィルム用組成物。
【請求項3】
前記(B)成分のウレタン樹脂に含まれるリン含有ポリオールが、下記式で示される構造のリン含有ポリオールである請求項1または2に記載のフィルム用組成物。
【化1】

(式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子、および、炭素数6以下の炭化水素基からなる群から選択されるいずれか1つを示す。R3およびR4は、互いに独立して、水素原子、炭素数6以下の炭化水素基、および、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6以下のヒドロキシ基置換炭化水素基からなる群から選択されるいずれか1つを示す。lおよびmは、互いに独立して0〜4の整数を示す。nは1〜20の整数を示す。)
【請求項4】
前記(A)成分のエポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム用組成物。
【請求項5】
前記(D)成分の硬化剤が、フェノール系硬化剤である請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム用組成物。
【請求項6】
前記(E)成分の硬化促進剤が、イミダゾール系硬化促進剤である請求項2〜5のいずれかに記載のフィルム用組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム用組成物を用いて作成される接着フィルム。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム用組成物を用いて作成されるカバーレイフィルム。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム用組成物を含むワニス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム用組成物に関する。より具体的には、電気・電子用途の接着フィルムやプリント配線板のカバーレイフィルムに適したフィルム用組成物に関する。
また、本発明は、該フィルム用組成物を用いて作成される接着フィルム、および、カバーレイフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気・電子機器に使用されるプリント配線板は、機器の小型化、軽量化、および、高性能化が進んでおり、特に多層プリント配線板に対し、さらなる高多層化、高密度化、薄型化、軽量化、高信頼性、および、成形加工性等が要求されている。
また、最近のプリント配線板における伝送信号の高速化要求に伴い、伝送信号の高周波化が顕著に進んでいる。これにより、プリント配線板に使用する材料に対して、高周波領域、具体的には、周波数1〜10GHzの領域での電気信号損失を低減できることが求められる。
プリント配線板の層間接着剤や表面保護膜(すなわち、カバーレイフィルム)として用いる接着フィルムについても、高周波領域で優れた電気特性(低誘電率(ε)、低誘電正接(tanδ))を示すことが求められる。
【0003】
上記の用途で用いられる接着フィルムの材料は、本質的に可燃性である為、工業用材料として使用するには一般の化学的、物理的諸特性をバランスよく満足する以外に、火炎に対する安全性、すなわち難燃性を要求される場合が多い。特に家電用途で使用される場合の多くは、「UL94V規格でV−0、UL94VTMでVTM−0規格」等の高度な難燃性を要求される。一般的に、接着フィルムのような樹脂材料に難燃性を付与する方法としては、難燃剤としてハロゲン系有機化合物、さらに難燃助剤としてアンチモン化合物を樹脂に添加する方法が挙げられる。
【0004】
しかしながら、この方法には燃焼時に腐食性のハロゲンガスや猛毒性のダイオキシンを発生する問題がある。そこで近年、これらハロゲン系難燃剤の環境への悪影響を排除する為、ハロゲンを全く含まない、即ちハロゲンフリーの難燃剤を用いることが強く望まれるようになった。
【0005】
ハロゲンフリーの難燃処方については、たとえばリン系難燃剤の配合が採用されている。しかし、リン酸エステル等のリン含有添加剤で難燃性を付与するには、樹脂に大量に配合しなければならず、接着性、耐熱性、耐ハンダ性等の樹脂特性が低下するだけでなく、難燃剤が高温環境下でブリードアウトする問題も生じる。
【0006】
そこで、リン含有高分子化合物よりなる難燃性樹脂組成物が特許文献1〜3で提案されている。
特許文献1には、リンを分子中に含有する数平均分子量が3000以上の樹脂(A)と、リン含有量が3重量%以上のリン含有化合物(B)から成り、その配合比が固形重量比で、(A)/(B)=100/1〜60から成る事を特徴とする難燃性樹脂組成物が提案されている。
特許文献2には、特定の構造のリン含有カルボン酸あるいはそのエステル化合物を共重合して得られるリン含有ポリエステルポリオールを構成成分として含みかつ酸価が50当量/106g以上であるポリウレタン樹脂と、エポキシ化合物を含む難燃性ポリウレタン樹脂組成物が提案されている。
特許文献3には、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、リン含有ポリオールと、ポリイソシアネートとを配合してなる難燃性樹脂組成物であって、前記リン含有ポリオールにおけるリンが、前記熱硬化性樹脂及び前記硬化剤の合計量に対して、0.93重量%以上の比で含有されることを特徴とする難燃性樹脂組成物が提案されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3では、高周波領域での電気信号損失は問題視されておらず、これらの文献に記載の樹脂組成物を上述した用途の接着フィルムに用いた場合、高周波領域での電気特性が劣ると考えられる。
【0008】
また、特許文献1に記載の難燃性樹脂組成物は、リン含有化合物(B)として、ポリ燐酸アンモニウムを含有する。これは、リン系難燃剤として用いられるものである。したがって、特許文献1に記載の難燃性樹脂組成物は、上述したリン系難燃剤の配合による問題点を生じると考えられる。なお、特許文献1に記載の難燃性樹脂組成物において、分子中にリンを含有する樹脂(A)に加えてリン含有化合物(B)を使用しなければならない理由は、同文献段落番号[0020]に記載されているように、樹脂(A)単独で高度の難燃性を付与するためには、大量にリン化合物を共重合しなければならず、樹脂自身の加水分解や接着性低下等の問題が生じるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−2931号公報
【特許文献2】特開2005−60489号公報
【特許文献3】特開2005−187810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記した従来技術の問題点を解決するため、高周波領域、具体的には、周波数1〜5GHzの領域での低誘電率化および低誘電損失化を達成することができ、かつ、難燃性に優れた電気・電子用途の接着フィルムおよびカバーレイフィルム、ならびに、それらの作成に用いるフィルム用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明は、
(A)水酸基を含まないエポキシ樹脂、
(B)リン含有ポリオールを構成成分として含むウレタン樹脂、
(C)マレイミド基を有する化合物、および、
(D)硬化剤を含有し、
前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分を100〜975質量部含み、前記(C)成分を25〜100質量部含み、前記(D)成分を有効量含み、前記(A)〜(D)の合計に対するリンの質量百分率が2〜7%であることを特徴とするフィルム用組成物を提供する。
【0012】
本発明のフィルム用組成物は、さらに、(E)硬化促進剤を有効量含むことが好ましい。
【0013】
本発明のフィルム用組成物において、前記(B)成分のウレタン樹脂に含まれるリン含有ポリオールが、下記式で示される構造のリン含有ポリオールであることが好ましい。
【化1】

(式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子、および、炭素数6以下の炭化水素基からなる群から選択されるいずれか1つを示す。R3およびR4は、互いに独立して、水素原子、炭素数6以下の炭化水素基、および、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6以下のヒドロキシ基置換炭化水素基からなる群から選択されるいずれか1つを示す。lおよびmは、互いに独立して0〜4の整数を示す。nは1〜20の整数を示す。)
【0014】
本発明のフィルム用組成物において、前記(A)成分のエポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂であることが好ましい。
【0015】
本発明のフィルム用組成物において、前記(D)成分の硬化剤が、フェノール系硬化剤であることが好ましい。
【0016】
本発明のフィルム用組成物において、前記(E)成分の硬化促進剤が、イミダゾール系硬化促進剤であることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、本発明のフィルム用組成物を用いて作成される接着フィルムを提供する。
【0018】
また、本発明は、本発明のフィルム用組成物を用いて作成されるカバーレイフィルムを提供する。
【0019】
また、本発明は、本発明のフィルム用組成物を含むワニスを提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、加熱硬化後において、高周波領域で優れた電気特性、具体的には、周波数1〜10GHzの領域で低誘電率(ε)、および、低誘電正接(tanδ))を示すので、高周波領域での低誘電率化および低誘電損失化を達成することができ、かつ、難燃性が良好である。
また、本発明の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、加熱硬化後において、ポリイミド、液晶ポリマー、セラミックなどのプリント配線板に用いられる有機材料または無機材料に対して優れた接着強度を示す。
また、本発明の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、加熱硬化後において、可撓性に優れているので、フレキシブルプリント配線板用の接着フィルムおよびカバーレイフィルムとして好適である。なお、本発明のフィルムは、加熱硬化前においても可撓性に優れているため、フィルムの加工工程における作業性が良好である。
また、本発明の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、フィルムの難燃性に寄与するリンが、樹脂成分であるポリウレタンに組み込まれており、かつ、フィルムの熱硬化時にこのポリウレタンがフィルム中のエポキシ樹脂と共重合することによって形成される共重合体中に組み込まれるため、接着フィルムやカバーレイフィルムにリン系難燃剤を添加した場合のように、難燃剤の成分が高温環境下でブリードアウトすることがない。
本発明の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、本発明のフィルム用組成物を用いて作成することができる。
本発明では、予めフィルムの形態にしたものを用いる代わりに、本発明のフィルム用組成物を含むワニスをフィルム形成面に塗布した後、乾燥させてフィルム化させてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のフィルム用組成物は、以下に示す(A)〜(D)成分を必須成分として含有する。
【0022】
(A)成分:水酸基を含まないエポキシ樹脂。
本発明のフィルム用組成物において、(A)成分、すなわち、エポキシ樹脂は該フィルム用組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルムの熱硬化性、難燃性および、接着性に主として寄与する。
但し、フィルム用組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルムが、
加熱硬化後において、高周波領域で優れた電気特性、具体的には、周波数1〜10GHzの領域で低誘電率(ε)、および、低誘電正接(tanδ))を示すためには、水酸基を含まないエポキシ樹脂を用いる必要がある。
【0023】
(A)成分として使用するエポキシ樹脂は、水酸基を含まないエポキシ樹脂から幅広く選択でき、ビフェニル型エポキシ樹脂、クレゾール型ノボラックエポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂等を用いることができる。これらの中でも、ビフェニル型エポキシ樹脂が、フィルム用組成物を用いて作成される接着性フィルムおよびカバーレイフィルムの難燃性の理由から好ましい。
【0024】
(A)成分として用いるエポキシ樹脂は、数平均分子量(Mn)が100〜1000であることが、フィルム用組成物に含まれる他の成分との相溶性の理由から好ましく、300〜900であることがより好ましく、400〜700であることがさらに好ましい。
【0025】
(A)成分として用いるエポキシ樹脂は、エポキシ当量が50〜500であることが好ましく、150〜450であることがより好ましく、200〜350であることがさらに好ましい。
【0026】
(B)成分:リン含有ポリオールを構成成分として含むウレタン樹脂。
本発明のフィルム用組成物において、(B)成分は該フィルム用組成物を用いて作成される接着フィルムまたはカバーレイフィルムの難燃性および可撓性に主として寄与する。
接着フィルムやカバーレイフィルムにリン系難燃剤を添加する場合、大量の難燃剤を配合する必要があるため、フィルムの使用時に難燃剤がブリードアウトする問題がある。
また、大量の難燃剤を配合する必要があるため、フィルムの接着性、耐熱性、耐ハンダ性、高周波領域での電気特性等の低下が問題となる。
本発明の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、フィルムの難燃性に寄与するリンが、樹脂成分であるポリウレタンに組み込まれており、かつ、フィルムの熱硬化時にこのポリウレタンがフィルム中のエポキシ樹脂と共重合することによって形成される共重合体中に組み込まれるため、接着フィルムやカバーレイフィルムにリン系難燃剤を添加した場合のように、難燃剤の成分が高温環境下でブリードアウトすることがない。
また、上述したように、フィルムの難燃性に寄与するリンが、樹脂成分(ポリウレタン、ポリウレタンとエポキシ樹脂との共重合体)に組み込まれているため、接着フィルムやカバーレイフィルムにリン系難燃剤を添加した場合のように、フィルムの接着性、耐熱性、耐ハンダ性、高周波領域での電気特性等が低下することがない。
【0027】
本発明のフィルム用組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルムが、加熱硬化後において、これらのフィルムに要求される難燃性を満足し、かつ、フィルムに要求される他の特性、フィルムの接着性、耐熱性、耐ハンダ性、高周波領域での電気特性を満足するためには、フィルム組成物の合計質量、すなわち、(A)〜(D)成分の合計質量に対するリンの質量百分率が2〜7%となるように、(B)成分を配合する必要がある。
(A)〜(D)成分の合計質量に対するリンの質量百分率が2%未満だと、フィルム用組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルムが、加熱硬化後において、難燃性が不十分となる。一方、(A)〜(D)成分の合計質量に対するリンの質量百分率が7%超だと、フィルム用組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルムが、加熱硬化後において、接着性、耐熱性、耐ハンダ性、高周波領域での電気特性が不十分となる。
【0028】
本発明のフィルム用組成物において、(B)成分、すなわち、ウレタン樹脂の構成成分のポリオールは、少なくとも分子中に1以上のリン原子を含有するポリオールである限り特に制限されるものではないが、例えば、リンを含有する、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びこれらの成分が複合されたもの等が挙げられる。
【0029】
このようなリン含有ポリオールの中でも、特に、下記式で示される構造のリン含有ポリオールが好適である。
【化2】
【0030】
上記式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子、および、メチル、エチル、プロピル、フェニル等の炭素数6以下の炭化水素基からなる群から選択されるいずれか1つを示す。これらの中でも、水素原子及びメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0031】
上記式中、R3およびR4は、互いに独立して、水素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ベンジル等の炭素数6以下の炭化水素基、および、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドソキシブチル、2−ヒドロキシエチルオキシエチル等のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6以下のヒドロキシ基置換炭化水素基からなる群から選択されるいずれか1つを示す。これらの中でも、水素原子が好ましい。
【0032】
上記式中、lおよびmは、互いに独立して0〜4の整数を示し、nは1〜20の整数を示す。lおよびmは、それぞれ1であることが好ましい。nは1であることが好ましい。
【0033】
(B)成分のウレタン樹脂は、上記のポリオール、すなわち、少なくとも分子中に1以上のリン原子を含有するポリオールと、ポリイソシアネート類と、を共重合することによって得ることができる。
共重合に用いるポリイソシアネート類は、少なくとも分子中に1以上のリン原子を含有するポリオールと共重合することによってウレタン樹脂を形成することができるものである限り特に制限されるものではないが、例えば、メチレンジイソシアネート系(MDI)、トリレンジイソシアネート系(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート系(HDI)、ナフタレンジイソシアネート系(NDI)、キシレンジイソシアネート系(XDI)等の各ポリイソシアネート等が挙げられる。中でも、フィルム用組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルムの耐熱性および可撓性、ならびに、少なくとも分子中に1以上のリン原子を含有するポリオールと共重合させる際の反応性の点から、特にMDI系ポリイソシアネートが好ましい。
なお、上記で構造式を示したリン含有ポリオールと、ポリイソシアネート類との共重合にとって得られるウレタン樹脂の具体例としては、UR3570(東洋紡社製)がある。
【0034】
(B)成分のウレタン樹脂は、上述したリン含有ポリオールに加えて、リンを含有しないポリオールを構成成分としてもよい。
リンを含有しないポリオールを構成成分とする場合、ウレタン樹脂を作成する際に用いる全ポリオール合計量がポリイソシアネートと略当量となる量とする。ここで、当量とは、下記式を満たす量をいう。
(当量)=(ポリオールのOH価)×7.49/(NCO(%):イソシアネート価)
NCO(%)は、別名イソシアネート価ともいう。
なお、リンを含有しないポリオールとしては、リンを含有しない点以外は前述したリン含有ポリオールと同様の種類(例えば、ポリエステルポリオール等)のものや異なる種類のもの等、いろいろなポリオールを使用しても良い。
【0035】
(B)成分のウレタン樹脂は、数平均分子量(Mn)が3000以上であることが好ましい。数平均分子量が3000未満だと、本発明のフィルム用組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルムが、加熱硬化後において、機械的強度が不十分となり、接着性や、耐熱性、各種耐久性が劣るおそれがある。また、数平均分子量が100000を超えると、フィルム用組成物の粘度が高くなるため、フィルム用組成物を用いて接着フィルムやカバーレイフィルムを作成する際の作業性が悪化するおそれがある。
(B)成分のウレタン樹脂は、数平均分子量が3000〜30000であることがより好ましく、8000〜18000であることがさらに好ましい。
【0036】
本発明のフィルム用組成物は、上記(A)成分を100質量部とする時、上記(B)成分を100〜975質量部含有する。
上記(B)成分が100質量部未満だと、本発明のフィルム用組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルムが、加熱硬化後において、難燃性が不十分となる。また、フィルム用組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルムが可撓性に劣る。
一方、上記(B)成分が975質量部超だと、フィルム用組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルムが、加熱硬化後において、耐熱性が不十分となる。
本発明のフィルム用組成物は、上記(A)成分を100質量部とする時、上記(B)成分を100〜600質量部含有することが好ましい。
【0037】
(C)成分:マレイミド基を有する化合物
本発明のフィルム用組成物において、(C)成分は該フィルム用組成物を用いて作成される接着フィルムまたはカバーレイフィルムの難燃性および接着性に主として寄与する。
【0038】
本発明のフィルム用組成物において、(C)成分はマレイミド基を有する化合物である限り特に制限されるものではないが、例えば、ビスマレイミド、ビニルフェニルマレイミド、4,4−ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4−ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4−ビスマレイミド−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4−ビスマレイミドジフェニルスルホン、4,4−ビスマレイミドジフェニルスルフィド、4,4−ビスマレイミドジフェニルケトン、2,2’−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン、3,4−ビスマレイミドジフェニルフルオロメタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン等が挙げられる。中でも、ビスマレイミド、ビニルフェニルマレイミドが、フィルム用組成物を用いて作成される接着フィルムまたはカバーレイフィルムの難燃性および接着性の理由から好ましく、ビスマレイミドがより好ましい。
【0039】
本発明のフィルム用組成物は、上記(A)成分を100質量部とする時、上記(C)成分を25〜100質量部含有する。
上記(C)成分が25質量部未満だと、フィルム用組成物を用いて作成される接着フィルムやカバーレイフィルムが、加熱硬化後において、接着性および難燃性が不十分となる。
一方、上記(C)成分が100質量部超だと、フィルム用組成物に含まれる他の成分との相溶性が低下するため、フィルム用組成物のフィルム化が困難となる。
【0040】
(D)成分:硬化剤
本発明のフィルム用組成物は、(D)成分として硬化剤を有効量含有する。
(D)成分として使用する硬化剤は特に限定されず、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤等の各種硬化剤を用いることができる。
フェノール系硬化剤の具体例としては、フェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を指し、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル(フェニレン、ビフェニレン骨格を含む)樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂等が挙げられる。
アミン系硬化剤の具体例としては、2,4−ジアミノ−6−〔2’―メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン等のトリアジン化合物、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン等の第三級アミン化合物が挙げられる。
酸無水物系硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、ドデセニル無水コハク酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルバン酸二無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸が挙げられる。
なお、上記の硬化剤のうち、いずれか1種を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、フェノール系硬化剤および酸無水物系硬化剤が、本発明のフィルム用組成物を用いて作成される接着フィルムやカバーレイフィルムの電気特性の点から好ましく、フェノール系硬化剤がより好ましい。
【0041】
硬化剤の有効量は硬化剤の種類によって異なる。硬化剤の種類ごとに、その有効量を以下に示す。
フェノール系硬化剤の場合、その有効量は、(A)成分のエポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して硬化剤が0.01〜5当量であり、0.04〜1.5当量であることが好ましく、0.08〜0.8当量であることがより好ましい。
アミン系硬化剤の場合、その有効量は、(A)成分のエポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して硬化剤が、0.001〜1当量であり、0.005〜0.05当量であることが好ましく、0.007〜0.25当量であることがより好ましい。
酸無水物系エポキシ硬化剤の場合、その有効量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して硬化剤が0.05〜10当量であり、0.1〜5当量であることが好ましく、0.5〜1.8当量であることがより好ましい。
また、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤のうち、2種以上を併用する場合、個々のエポキシ硬化剤が上記の有効量になるように添加する。
【0042】
本発明のフィルム用組成物は、適切な硬化性を得るために、上記(A)〜(D)成分に加えて、(E)成分として硬化促進剤を有効量含有してもよい。
(E)成分として使用する硬化促進剤は特に限定されず、イミダゾール系硬化促進剤等の各種硬化促進剤を用いることができる。硬化性促進剤の中でも、イミダゾール系硬化促進剤が、フィルム用組成物の他の成分との相溶性、および、フィルム用組成物の硬化速度という点で優れることから好ましい。
【0043】
イミダゾール系硬化促進剤の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物等が挙げられる。
【0044】
硬化促進剤の有効量は硬化促進剤の種類によって異なる。硬化促進剤の種類ごとに、その有効量を以下に示す。
イミダゾール系硬化促進剤の場合、その有効量は、エポキシ樹脂100質量部に対して硬化促進剤が0.001〜10質量部であり、0.005〜8質量部であることが好ましく、0.01〜5質量部であることがより好ましい。
【0045】
本発明のフィルム用組成物は、上記(A)〜(E)以外の成分を必要に応じて含有してもよい。このような成分の具体例としては、重合開始剤、粘着性付与剤、消泡剤、流動調整剤、成膜補助剤、分散助剤、フィラー、導電性粒子等が挙げられる。
【0046】
本発明のフィルム用組成物は、慣用の方法により製造することができる。例えば、溶剤の存在下または非存在下で、上記(A)〜(D)成分(フィルム用組成物が上記(E)成分や他の任意成分を含有する場合はさらにこれらの任意成分)を加熱真空混合ニーダーにより混合する。
上記成分(A)〜(D)が所望の含有割合となるように(フィルム用組成物が成分(E)や上記した成分(A)〜(E)以外の成分を含有する場合は、成分(E)あるいは当該他の成分が所望の含有割合となるように)、所定の溶剤濃度に溶解し、それらを10〜60℃に加温された反応釜に所定量投入し、回転数500〜1000rpmで回転させながら、常圧混合を30分行った後、真空下(最大1Torr)でさらに30〜60分混合攪拌することができる。
【0047】
本発明の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、本発明のフィルム用組成物から公知の方法により得ることができる。例えば、本発明のフィルム用組成物を溶剤で希釈してワニスとし、これを支持体の少なくとも片面に塗布し、乾燥させた後、支持体付のフィルム、または、支持体から剥離したフィルムとして提供することができる。
【0048】
ワニスとして使用可能な溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等の高沸点溶剤等が挙げられる。溶剤の使用量は特に限定されず、従来から使用されている量とすることができるが、好ましくは、固形分に対して20〜90質量%である。
【0049】
支持体は、フィルムの製造方法における所望の形態により適宜選択され、特に限定されないが、例えば、銅、アルミニウム等の金属箔、ポリエステル、ポリエチレン等の樹脂のキャリアフィルム等が挙げられる。本発明の接着フィルムを、支持体から剥離したフィルムの形態として提供する場合、支持体は、シリコーン化合物等で離型処理されていることが好ましい。
【0050】
ワニスを塗布する方法は、特に限定されないが、例えば、スロットダイ方式、グラビア方式、ドクターコーター方式等が挙げられ、所望のフィルムの厚みなどに応じて適宜選択されるが、特に、グラビア方式がフィルムの厚みを薄く設計しうることから好ましい。塗布は、乾燥後に形成されるフィルムの厚みが、所望の厚みになるように行われる。このような厚みは、当業者であれば、溶剤含有量から導くことができる。
【0051】
本発明の接着フィルムおよびカバーレイフィルムの厚みは、用途に応じて要求される機械的強度などの特性に基づいて適宜設計されるが、一般に1〜100μmであり、薄膜化が要求される場合、1〜30μmであることが好ましい。
【0052】
乾燥の条件は、ワニスに使用される溶剤の種類や量、ワニスの使用量や塗布の厚みなどに応じて適宜設計され、特に限定されるものではないが、例えば、60〜120℃であり、大気圧下で行うことができる。
【0053】
本発明の接着フィルムの使用手順は以下の通り。
本発明の接着フィルムを用いて接着する対象物のうち、一方の対象物の被接着面に本発明の接着フィルムを載置した後、もう一方の対象物をその被接着面が接着フィルムの露出面と接するように載置する。ここで、支持体付の接着フィルムを用いる場合、接着フィルムの露出面が一方の対象物の被接着面に接するように接着フィルムを載置して、被着面上に該接着フィルムを転写する。ここで、転写時の温度は例えば80℃とすることができる。
次に、転写時に支持体を剥離することによって露出した接着フィルムの面上にもう一方の対象物をその被接着面が接着フィルムの露出面と接するように載置する。これらの手順を実施した後、所定温度及び所定時間、具体的には180℃で60〜90分間、プレスによる熱圧着を行えばよい。なお、プレスにより熱圧着した際に本発明の接着フィルムは加熱硬化する。
本発明のカバーレイフィルムの使用手順も基本的に同様であり、本発明のカバーレイフィルムを、プリント配線板の所定の位置、すなわち、カバーレイフィルムで被覆する位置に載置した後、プレスによる熱圧着を行えばよい。プレスにより熱圧着した際に本発明のカバーレイフィルムは加熱硬化する。
また、予めフィルム化したものを使用する代わりに、本発明のフィルム用組成物を溶剤で希釈したワニスを、一方の接着対象物の被接着面(カバーレイフィルムの場合、フィルムで被覆する位置)に塗布し、乾燥させた後に、上記した一方の対象物を載置する手順(カバーレイフィルムの場合、プレスによる熱圧着)を実施してもよい。
【0054】
以下、本発明の接着フィルムおよびカバーレイフィルムの特性について述べる。
【0055】
本発明の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、加熱硬化後において、高周波での電気特性に優れている。具体的には、加熱硬化後のカバーレイフィルムは、周波数1〜10GHzの領域での誘電率(ε)が3.0以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましい。また、周波数1〜10GHzの領域での誘電正接(tanδ)が0.01以下であることがより好ましい。
周波数1〜10GHzの領域での誘電率(ε)および誘電正接(tanδ)が上記の範囲であることにより、周波数1〜10GHzの領域での電気信号損失を低減することができる。
【0056】
本発明の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、加熱硬化後において、十分な接着強度を有している。具体的には、加熱硬化後の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、JIS C6471に準拠して測定したポリイミドフィルムに対するピール強度(180度ピール)が10N/cm以上あることが好ましく、より好ましくは15N/cm以上あり、さらに好ましくは20N/cm以上である。
【0057】
本発明の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、加熱硬化後において、十分な機械的強度を有している。具体的には、加熱硬化後の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、後述する実施例に記載の方法で測定される引張破断強度が30MPa以上あることが好ましく、より好ましくは40MPa以上あり、さらに好ましくは45MPa以上である。
また、加熱硬化後の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、後述する実施例に記載の方法で測定される引張破断伸びが2mm以上であることが好ましく、より好ましくは3mm以上あり、さらに好ましくは4mm以上である。
また、加熱硬化後の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、後述する実施例に記載の方法で測定される引張弾性率が1000MPa以上あることが好ましく、より好ましくは1200MPa以上あり、さらに好ましくは1300MPa以上である。
【0058】
本発明の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、加熱硬化後において、十分な可撓性を有している。具体的には、加熱硬化後の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、JIS P8115に準拠してMIT試験を実施した際の耐折回数が1000回以上であることが好ましい。
【0059】
本発明の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、加熱硬化後において、十分な耐熱成を有している。具体的には、加熱硬化後の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、後述する実施例に記載の方法で測定される5%質量減少温度が300℃以上であることが好ましい。
【0060】
本発明の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、加熱硬化後において、十分な難燃性を有している。具体的には、加熱硬化後の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、UL94Vの難燃性規格に準拠して実施される難燃性試験において、難燃性クラスV−0で合格することが好ましい。また、加熱硬化後の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、UL94VTMの難燃性規格に準拠して実施される難燃性試験において、難燃性クラスVTM−0で合格することが好ましい。
【実施例】
【0061】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0062】
(実施例1〜7、比較例1〜4)
各成分を所定の溶剤濃度となるように溶剤(メチルエチルケトン)溶解した後、それらを25℃に加温された反応釜に下記表に示す配合割合(質量部)になるように回転数300rpmで回転させながら、常圧混合を1時間行った。
このようにして得られた溶液(フィルム用組成物を含むワニス)を基材(離型処理をほどこしたPETフィルム)に塗布した後、基材を加熱して溶剤を除去し、その後、基材から除去することによりフィルムを得た。
表中の略号はそれぞれ以下を表わす。
(A)成分
NC3000H:ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製)
Mn 590
(B)成分
UR3570:リン含有ポリオールを構成成分とするウレタン樹脂(東洋紡社製)
Mn 15000
(C)成分
BMI−70:ビスマレイミド、ケイ・アイ化成株式会社製
(D)成分
BRM553:フェノール系硬化剤(フェノール樹脂)、昭和高分子株式会社製
(E)成分
2E4MZ:イミダゾール系硬化促進剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール、四国化成工業株式会社製)
【0063】
作成したフィルムについて以下の評価を実施した。結果を下記表に示す。
【0064】
誘電率(ε)、誘電正接(tanδ):上記の手順で得られたフィルムを150℃×1h加熱硬化させた後、該フィルムから試験片(40±0.5mm×100±2mm)を切り出し、厚みを測定した。試験片を長さ100mm、直径2mm以下の筒状に丸めて、空洞共振器摂動法(2GHz、5GHz、10GHz)にて、誘電率(ε)および誘電正接(tanδ)を測定した。
【0065】
ピール強度:ポリイミドフィルム(K100EN、東レ・デュポン株式会社製、25μm)に、上記の手順で得られたフィルムを熱圧着硬化させた後、JIS C6471に準拠してピール強度(180度ピール)を測定した。
【0066】
引張破断強度、引張破断伸び:上記の手順で得られたフィルムを150℃×1h加熱硬化させた後、該フィルムから試験片(15×150mm)をMD方向に5枚切り出し厚みを測定した。オートグラフにて引張破断強度を測定した。また、破断までのストロークを読取り、引張破断伸び(%)とした。これらの結果についてN=5の平均値を計算した。
【0067】
引張弾性率:上記の手順で得られたフィルムを150℃×1h加熱硬化させた後、該フィルムから試験片(25±0.5mm×250mm)をMD方向に5枚切り出し厚みを測定した。オートグラフで引張弾性率を下記条件で測定した。
つかみ間隔170mm。引張速度1mm/min。
測定結果についてN=5の平均値を計算した。
【0068】
耐熱性:上記の手順で得られたフィルムを150℃×1h加熱硬化させた後、該フィルムから試験片(3mm×3mm)を切り出し、TG−DTA法を用いて測定を行った。このとき、5%質量減少温度を耐熱性の値とした。
使用装置:ブルカーエイエックスエス社製 TG−DTA2020SA
測定条件:温度範囲 20℃〜500℃
昇温速度 10℃/min
測定雰囲気 空気
【0069】
難燃性:上記の手順で得られたフィルムを150℃×1h加熱硬化させた後、該フィルムから試験片(125mm×12.5mm)を切り出しUL94V、および、UL94VTMに基づき難燃性を評価した。難燃性クラスV−0で合格したものを○とし、合格しなかったものを×とした。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
表から明らかなように、実施例1〜8のフィルムは、加熱硬化後において、高周波領域の電気特性(誘電率ε、誘電正接tanδ)、ピール強度、引張強度(破断強度、破断伸び)、引張弾性率、耐熱性、難燃性のいずれも優れていた。
(B)成分の含有量が少ない比較例1のフィルムは、加熱硬化後において、難燃性が劣っていた。
(B)成分の含有量が多すぎる比較例2のフィルムは、加熱硬化後において、耐熱性が劣っていた。
(C)成分の含有量が少ない比較例3のフィルムは、加熱硬化後において、ピール強度が劣っていた。
(C)成分の含有量が多すぎる比較例4のフィルムは、相溶性に劣るためフィルム化できなかった。
【0074】
(実施例9、比較例5)
実施例4と同様の手順で作成したフィルム(実施例9)と、市販のポリイミドフィルム(カプトン、東レ・デュポン社製)(比較例5)について以下の評価を実施した。なお、フィルムの厚みはいずれも25μmであった。
【0075】
ピール強度:ポリイミドフィルム(カプトン100H、東レ・デュポン社製、厚さ25μm)にフィルム組成物をはさみ真空プレスにて硬化(180℃1hr、1MPa、真空度 <10kPa)させた試料を10mm幅にカットし万能試験機(島津製作所製AG−IS)にてピール強度(180度ピール、速度50mm/min)を測定した。
【0076】
耐折性:150℃×1h加熱硬化させた後のフィルムについて、JIS P8115にしたがってMIT試験(R=1.MD)を実施した。フィルムが破断した時点の折り曲げ回数を下記表に示した。
【0077】
挿入損失:ポリイミド基板上にマイクロストリップラインを作製し、カバーレイフィルムとしてフィルム組成物を真空プレス(180℃1hr、1MPa、真空度 <10kPa)にて貼り付けて、試験片を作成した。
作製した試験片を20GHzSパラメータ・ベクトル・ネットワークアナライザ(アジレント8720ES)にてS21にて挿入損失を測定した(〜20GHz)。
【0078】
【表4】

表から明らかなように、実施例9のフィルムは、比較例5のポリイミドフィルムに比べて、加熱硬化後において、高周波領域の電気特性(誘電率ε、誘電正接tanδ)が優れていた。その結果、高周波領域での挿入損失が少なかった。耐折性については、比較例5のポリイミドフィルムに比べて優れていた。ピール強度については、比較例5のポリイミドフィルムと遜色のない結果を示していた。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のフィルム用組成物は、電気・電子用途の接着フィルムやプリント配線板のカバーレイフィルムを製造するのに好適である。