【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
【0037】
[実施例1] メロンパン製造用アレンジミックス
様々な組成のメロンパン製造用アレンジミックスを調製し、各種メロンパン製造用アレンジミックスとホットケーキミックスとを用いて、メロンパンを製造した。これにより、本願発明に係るメロンパン製造用アレンジミックスが特に優れていることを、以下に示す。
【0038】
メロンパン製造のために用いた材料および製造方法は、次の通りである。
==材料==
メロンパン製造用アレンジミックス 15g
ホットケーキミックス(森永製菓株式会社、小麦粉含有量約75%) 150g
卵(Mサイズ、正味約50g) 1個
バター 30g
グラニュー糖 適量(飾り用)
==製造方法==
1.下準備として、メロンパン製造用アレンジミックス15gとホットケーキミックス150gとをボールに入れて、泡だて器を用いて良く混ぜ合わせ、目視で均一な状態にした。また、卵1個を異なるボールに割り、溶いて、溶き卵にした。さらに、バター30gを加熱し、液体状態の溶かしバターにした。
2.1.で調製した溶き卵と溶かしバターとをボールに入れて、目視で均一な状態になるまで混ぜた。ここに、1.で混ぜ合わせたメロンパン製造用アレンジミックスとホットケーキミックスとを加え、ゴムベラを用いて、粉の固まりが見えなくなるまで良く混ぜ合わせることによって、メロンパンの生地を作った。
3.2.で作った生地を6等分にし、それぞれを丸めた。丸めた生地を、上側の表面が平らに(直径5cm程度に)なるように押さえつけた後、包丁を用いて、平らにした表面に縦3本横3本の格子状の切れ目をしっかり入れた。切り目を入れた表面に、飾り用に、グラニュー糖をかけた。
4.3.で成形した生地を、160℃に予熱しておいた家庭用の3段オーブンの中段で、うっすらと焼き色が付くまで13分間焼成した。
5.焼きあがったメロンパンをオーブンから取り出し、クーラー(金網)の上に乗せて、あら熱がとれるまで放置した。
【0039】
このようにして製造した各メロンパンについて、5人のパネラーにより、メロンパン特有のドーム形を保持しているか(保型性)、食感がしっとりしているか(しっとり感)、および、メロンパン特有の甘味と色味とを有しているか(甘味と色味のバランス。色味については、一般的なメロンパンの色に基づき、色づき過ぎていないことを指標とする。)の3項目について評価した。各項目の具体的な評価定基準は、次の通りである。
【0040】
==保型性==
◎:とても保型性がある
○:保型性がある
△:保型性が悪い
×:保型性が非常に悪い
==しっとり感==
◎:しっとりしている
○:ややしっとりしている
△:パサつき気味である
×:パサついている
==甘味と色味のバランス==
◎:甘味及び色がとてもメロンパンらしい(色づき過ぎていない)
○:甘味及び色が適度にある
△:甘味及び色が適度ではない
×:甘味及び色が全く適度ではない
【0041】
用いたメロンパン製造用アレンジミックスの配合と、上記官能試験の結果とを、表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
表1の評価の一番左欄に示したサンプル0は、メロンパン製造用アレンジミックスを加えず、粉としてホットケーキミックス150gのみを用いて、メロンパンを製造した時の結果である。この場合には、保型性、しっとり感、そして、甘味と色味のバランスのいずれも好ましくなく、特に食感が、ぼろぼろぱさぱさで、著しくしっとり感が劣っていた。
【0044】
これに対し、デンプンを30重量%、デキストリン(松谷化学株式会社)を30重量%、トレハロース(林原商事株式会社)を15重量%およびグラニュー糖を25重量%含むアレンジミックスを加えてメロンパンを製造したサンプル1〜4では、いずれの場合にも、保型性が向上した。さらに、サンプル1〜4は、それぞれ、デンプンの種類を、α化タピオカデンプン(松谷化学株式会社)、加工タピオカデンプン(日本コーンスターチ)、馬鈴薯デンプン(ホクレン農業協同組合連合会)、または、小麦デンプン(千葉製粉株式会社)としている点で異なるが、これらを比較すると、α化タピオカデンプンまたは加工デンプンを用いたサンプル1および2において、保型性のみならず、しっとり感および甘味と色味のバランスのいずれも向上した。
【0045】
次に、トレハロースを15重量%およびグラニュー糖を15重量%含む点では同じであるが、デンプンとデキストリンとの配合量が異なるサンプル5〜10について評価した。このサンプル5〜10の結果から、デンプンの配合が少なすぎると、サンプル5が示すように保型性が悪くなり、逆に、デキストリンの配合が少なすぎると、サンプル10が示すようにしっとり感がなくなり、パサつきがみられた。
このように、メロンパン製造用アレンジミックスにおける、α化タピオカデンプンおよび加工タピオカデンプンの配合量の合計は、20重量%〜55重量%であることが好ましく、30重量%〜55重量%であることがより好ましい。また、メロンパン製造用アレンジミックスにおける、デキストリンの配合量は、15重量%〜50重量%であることが好ましく、20重量%〜30重量%であることがより好ましい。
【0046】
さらに、デンプンを45重量%およびデキストリンを25重量%含む点では同じであるが、トレハロースとグラニュー糖との配合量について、トレハロースが5重量%およびグラニュー糖が25重量%であるサンプル11と、トレハロースが15重量%およびグラニュー糖が15重量%であるサンプル12と、トレハロースが25重量%およびグラニュー糖が5重量%であるサンプル13とを比較した。このサンプル11〜13の結果から、トレハロースの配合が少なすぎると、サンプル11が示すようにしっとり感が悪くなり、逆に、グラニュー糖の配合が少なすぎると、サンプル13が示すように甘味と色味のバランスが悪くなった。
このように、メロンパン製造用アレンジミックスにおける、トレハロースの配合量は、10重量%〜20重量%であることが好ましい。また、メロンパン製造用アレンジミックスにおける、グラニュー糖の配合量は、10重量%〜30重量%であることが好ましく、10重量%〜20重量%であることがより好ましい。
【0047】
本実施例で示したように、本願発明のメロンパン製造用アレンジミックスを加えることによって、市販のホットケーキミックスを用いて、家庭でも簡便に、保型性、しっとり感、および、甘味と色味のバランスに優れたメロンパンを製造することが可能になった。さらに、一般的なメロンパンは、パン生地の上にビスケット生地を重ねて焼くことを要するが、本願発明のメロンパン製造用アレンジミックスを用いることによって、パン生地部分とビスケット生地部分に分けなくとも、ひとつの生地でメロンパンを作ることが可能になった。
【0048】
なお、市販のホットケーキミックスの代わりに、小麦粉と膨張剤とを用いることもできる。この場合には、用いる小麦粉の重量を基準として、適切な量および配合のメロンパン製造用アレンジミックスを使用すればよい。
この適切な量および配合は、先ほどの表1を、小麦粉100重量部に対する添加量(重量部)に算出し直した下記表2から求めることができる。
【0049】
【表2】
【0050】
即ち、小麦粉100重量部に対する、α化タピオカデンプンおよび加工タピオカデンプンの添加量の合計は、2.7重量部〜7.3重量部であることが好ましく、4.0重量部〜7.3重量部であることがより好ましい。また、小麦粉100重量部に対する、デキストリンの添加量は、2.0重量部〜6.7重量部であることが好ましく、2.7重量部〜4.0重量部であることがより好ましい。
さらに、小麦粉100重量部に対する、トレハロースの添加量は、1.3重量部〜2.7重量部であることが好ましい。また、小麦粉100重量部に対する、グラニュー糖の添加量は、1.3重量部〜4.0重量部であることが好ましく、1.3重量部〜2.7重量部であることがより好ましい。
【0051】
[実施例2] ラスク製造用アレンジミックス
様々な組成のラスク製造用アレンジミックスを調製し、各種ラスク製造用アレンジミックスとホットケーキミックスとを用いて、ラスクを製造した。これにより、本願発明に係るラスク製造用アレンジミックスが特に優れていることを、以下に示す。
【0052】
ラスク製造のために用いた材料および製造方法は、次の通りである。
==材料==
ラスク製造用アレンジミックス 15g
ホットケーキミックス(森永製菓株式会社、小麦粉含有量約75%) 150g
牛乳 100cc
バター 30g
グラニュー糖 適量(飾り用)
==製造方法==
1.下準備として、ラスク製造用アレンジミックス15gとホットケーキミックス150gとをボールに入れ、泡だて器を用いて良く混ぜ合わせ、目視で均一な状態にした。また、バターを加熱し、液体状態の溶かしバターにした。
2.1.で混ぜ合わせたラスク製造用アレンジミックスとホットケーキミックスとをボールに入れ、ここに牛乳100ccを加えて、ゴムベラを用いて目視で均一な状態になるまで混ぜた。さらに、溶かしバター30gを加え、ゴムベラを用いてバターがなじむまでしっかり混ぜ合わせることによって、ラスクの生地を作った。
3.2.で作った生地を、クッキングシートを敷いた天板に、ゴムベラを用いて7cmx20cm程度の長方形に伸ばしながらのせた。天板に伸ばした生地を、180℃に予熱しておいた家庭用の3段オーブンの中段で、30分間焼成した(1度焼き)。
4.焼きあがった生地をオーブンから取り出し、クーラー(金網)の上に乗せて、あら熱がとれるまで放置した。あら熱がとれた生地を、厚さ1cm程度にスライスした後、クッキングシートを敷いた天板に、断面を上にして互いに重ならないように並べた。
5.4.で並べた生地の断面に、グラニュー糖をまぶし、150℃に予熱しておいた家庭用の3段オーブンの中段で、かりかりになるまで35分間焼成した(2度焼き)。
6.焼きあがったラスクをオーブンから取り出し、クーラーの上に乗せて、あら熱がとれるまで放置した。
【0053】
このようにして製造した各ラスクについて、5人のパネラーにより、1度焼き後にパンらしい形を保持しているか(保型性)、1度焼き後に1cm程度の厚さにスライスしやすいか(スライスのしやすさ)、2度焼き後に水抜けがしやすいか(水抜けのしやすさ。水抜けが悪いと、ラスク特有の食感の軽さがでず、かつ、焼成時間が長くなる。)、および、ラスク特有の色合いを有しているか(ラスクらしい色合い。一般的なラスクの色に基づき、周縁部がキツネ色であり中心部がうすいキツネ色の、周縁部と中心部との色のコントラストがあることを指標とする。)の4項目にについて評価した。各項目の具体的な評価定基準は、次の通りである。
【0054】
==保型性==
◎:とても保型性がある
○:保型性がある
△:保型性が悪い
×:保型性が非常に悪い
==スライスのしやすさ==
◎:とてもスライスしやすい
○:スライスしやすい
△:スライスしにくい
×:とてもスライスしにくい
==水抜けのしやすさ==
◎:とても水抜けが良い(食感が軽く、かつ、焼成時間が短い)
○:水抜けが良い
△:やや水抜けが悪い
×:水抜けがとても悪い
==ラスクらしい色合い==
◎:とてもラスクらしい(周縁部がキツネ色であり、中心部がうすいキツネ色である)
○:ラスクらしい
△:ややラスクらしくない
×:全くラスクらしくない
【0055】
用いたラスク製造用アレンジミックスの配合と、上記官能試験の結果とを、表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】
表3の評価の一番左欄に示したサンプル0は、ラスク製造用アレンジミックスを加えず、粉としてホットケーキミックス150gのみを用いて、ラスクを焼成した時の結果である。この場合には、保型性、スライスのしやすさ、水抜けのしやすさ、そして、ラスクらしい色合いのいずれも好ましくなく、特に、食感が著しくぱさぱさしており、また、スライスも著しく困難であった。
【0058】
これに対し、トレハロースを20重量%含む点では共通するが、α化タピオカデンプンを10重量%〜70重量%含む点で異なるアレンジミックスを加えて、ラスクを製造したサンプル1〜5では、いずれの場合においても、スライスのしやすさ、水抜けのしやすさ、そして、ラスクらしい色合いが向上した。この際、α化タピオカデンプンの含有量が増えるに従って保型性が向上し、特に、α化タピオカデンプンを20重量%〜40重量%含むアレンジミックスを加えたサンプル2〜4では、スライスのしやすさ、水抜けのしやすさ、および、ラスクらしい色合いのみならず、保型性も含めたすべての点において、良好な結果が得られた。
このように、ラスク製造用アレンジミックスにおける、α化タピオカデンプンの配合量は、15重量%〜45重量%であることが好ましく、15重量%〜35重量%であることがことより好ましい。
【0059】
同様に、サンプル1〜5においてデキストリンの含有量に着目すると、デキストリンを40重量%〜60重量%含むアレンジミックスを加えたサンプル2〜4では、スライスのしやすさ、水抜けのしやすさ、および、ラスクらしい色合いのみならず、保型性も含めたすべての点において、良好な結果が得られた。特に、デキストリンを50重量%〜60重量%含むアレンジミックスを加えたサンプル2および3では、極めて良好な結果が得られた。
このように、ラスク製造用アレンジミックスにおける、デキストリンの配合量は、35重量%〜65重量%であることが好ましく、45重量%〜65重量%であることがより好ましい。
【0060】
次に、サンプル1〜5のアレンジミックスと、α化タピオカデンプン、デキストリン、および、トレハロースを含有する点では同じだが、風味をより向上させるために、ホエイパウダー(森永乳業株式会社)をさらに加えたアレンジミックスを用いてラスクを製造した。サンプル6および7においては、いずれも、保型性、スライスのしやすさ、水抜けのしやすさ、および、ラスクらしい色合いの全ての点について、良好な結果が得られた。
このように、ラスク製造用アレンジミックスにおいて、ホエイパウダーが配合されていても良く、その配合量は、0重量%〜15重量%が好ましい。また、ラスク製造用アレンジミックスにおける、トレハロースの配合量は、10重量%〜25重量%が好ましい。
【0061】
本実施例のように、本願発明のラスク製造用アレンジミックスを加えることによって、市販のホットケーキミックスを用いて、家庭でも簡便に、保型性、スライスのしやすさ、水抜けのしやすさ、および、ラスクらしい色合いに優れたラスクを製造することが可能になった。さらに、本願発明のラスク製造用アレンジミックスを用いることによって、パン型などの型を使用せずに生地からラスクを成形することができ、さらに、その生地も、イースト菌を使ったパン生地でなくても、ラスク独特のかりかりとした食感に仕上げることが可能になった。
【0062】
なお、市販のホットケーキミックスの代わりに、小麦粉と膨張剤とを用いることもできる。この場合には、用いる小麦粉の重量を基準として、適切な量および配合のラスク製造用アレンジミックスを使用すればよい。
この適切な量および配合は、先ほどの表3を、小麦粉100重量部に対する添加量(重量部)に算出し直した下記表4から求めることができる。
【0063】
【表4】
【0064】
即ち、小麦粉100重量部に対する、α化タピオカデンプンの添加量は、2.0重量部〜6.0重量部であることが好ましい。また、小麦粉100重量部に対する、デキストリンの添加量は、4.7重量部〜8.7重量部であることが好ましく、6.0重量部〜7.3重量部であることがより好ましい。
さらに、小麦粉100重量部に対する、ホエイパウダーの添加量は、0重量部〜2.0重量部であることが好ましい。また、小麦粉100重量部に対する、トレハロースの添加量は、1.3重量部〜3.3重量部が好ましい。さらに、α化タピオカデンプンの配合量は、3.3重量部〜4.7重量部であることがより好ましい。
【0065】
[実施例3] ドーナッツ製造用アレンジミックス
様々な組成のドーナッツ製造用アレンジミックスを調製し、各種ドーナッツ製造用アレンジミックスとホットケーキミックスとを用いて、ドーナッツを製造した。これにより、本願発明に係るドーナッツ製造用アレンジミックスが特に優れていることを、以下に示す。
【0066】
ドーナッツ製造のために用いた材料および製造方法は、次の通りである。
==材料==
ドーナッツ製造用アレンジミックス 18g
ホットケーキミックス(森永製菓株式会社、小麦粉含有量約75%) 150g
沸騰したお湯 150cc
グラニュー糖 適量(飾り用)
揚げ油 適量
==製造方法==
1.電子レンジに使用できる耐熱性のボールに、ドーナッツ製造用アレンジミックス18gとホットケーキミックス大さじ2杯を入れ、泡だて器を用いて良く混ぜ合わせ、目視で均一な状態にした。
2.1.のボールに沸騰したお湯150ccを加え、泡だて器を用いて良く混ぜ合わせた。
3.2.のボールを、500Wの電子レンジで40秒間加熱した。加熱したボールを電子レンジから取り出し、泡だて器を用いて約1分間良く混ぜ合わせた。
4.3.のボールに、残りのホットケーキミックスを加え、ゴムベラを用いて、粉が見えなくなるまで切るようにして良く混ぜ合わせることによって、ドーナッツの生地を作った。
5.4.で作った生地を、絞り袋に入れ、丸型の絞り口からクッキングシートに直線状に搾り出した。
6.5.で搾り出した生地を、クッキングシートごと180℃の揚げ油に入れた。途中ではがれてきたクッキングシートは揚げ油から取り除き、残った生地をさらにこんがり色がつくまで揚げた。
7.揚げ上がった生地を揚げ油から取り出し、油切り網の上に乗せて過剰な油を切った後、生地が暖かいうちにグラニュー糖をまぶすことによって、ドーナッツを製造した。
【0067】
このようにして製造した各ドーナッツについて、5人のパネラーにより、内側の食感がもちもちしているか(もちもち感)、および、油にじみが少なく、外側の食感がさくさくしているか(油切れとさくさく感)の2項目にについて評価した。なお、ここでのもちもち感とは、糯米が原料の切り餅のような弾力のある食感をさす。各項目の具体的な評価定基準は、次の通りである。
【0068】
==もちもち感==
◎:とてももちもちする
○:もちもちする
△:あまりもちもちしない
×:全くもちもちしない
==油切れとさくさく感==
◎:油にじみがなく、さくさくしている
○:油にじみがさほどなく、ややさくさくしている
△:油にじみがややあり、あまりさくさくしていない
×:油にじみがあり、さくさくしていない
【0069】
用いたドーナッツ製造用アレンジミックスの配合と、上記官能試験の結果とを、表5に示す。
【0070】
【表5】
【0071】
表5の評価の一番左欄に示したサンプル0は、ドーナッツ製造用アレンジミックスを加えず、粉としてホットケーキミックス150gのみを用いて、ドーナッツを製造した時の結果である。この場合には、もちもち感、そして、油切れとさくさく感のいずれも好ましくなく、特に、もちもち感が非常に弱かった。
【0072】
これに対し、α化タピオカデンプン、または、加工タピオカデンプンを100重量%含むアレンジミックスを加えてドーナッツを製造したサンプル1および2では、いずれの場合にも、もちもち感が非常に向上した。
次に、α化タピオカデンプンと加工タピオカデンプンとの他に、さらに乳化剤(エマアップKM−100、理研ビタミン)を含む、サンプル3〜6について評価した。サンプル3〜6は、α化タピオカデンプンと加工タピオカデンプンとの配合量の合計が95重量%であり、乳化剤の配合量が5重量%であるという点では同じであるが、α化タピオカデンプンと加工タピオカデンプンとの配合量の内訳が、サンプル3はα化タピオカデンプンが95重量%であり、サンプル4はα化タピオカデンプンが75重量%および加工タピオカデンプンが20重量%であり、サンプル5はα化タピオカデンプンが60重量%および加工タピオカデンプンが35重量%であり、そして、サンプル6はα化タピオカデンプンが50重量%および加工タピオカデンプンが45重量%である点で異なっている。このサンプル3〜6においては、乳化剤を添加することによって、もちもち感は保ったまま、油切れとさくさく感が著しく向上した。さらに、サンプル3〜5においては、もちもち感、および、油切れとさくさく感ともに、極めて良好な結果を示した。
【0073】
このように、ドーナッツ製造用アレンジミックスにおける、α化タピオカデンプンと加工タピオカデンプンの配合量の合計は、90重量%〜100重量%であることが好ましい。この際の、α化タピオカデンプンの配合量は、45重量%〜100重量%であることが好ましく、55重量%〜95重量%であることがより好ましく、また、加工タピオカデンプンの配合量は、0重量%〜50重量%であることが好ましく、0重量%〜40重量%であることがより好ましい。さらに、ドーナッツ製造用アレンジミックスにおいて、乳化剤が配合されていても良く、その配合量は、0重量%〜10重量%が好ましい。
【0074】
さらに、サンプル3〜6のアレンジミックスと、α化タピオカデンプンおよび/または加工タピオカデンプン、および、乳化剤を含有する点では同じだが、甘味をより向上させるために、食塩をさらに加えたアレンジミックスを用いてドーナッツを製造したサンプル7においては、もちもち感、および、油切れとさくさく感のいずれの点についても、良好な結果が得られた。
このように、ドーナッツ製造用アレンジミックスにおいて、食塩が配合されていても良く、その配合量は、0重量%〜1重量%が好ましい。
【0075】
本実施例のように、本願発明のドーナッツ製造用アレンジミックスを加えることによって、市販のホットケーキミックスを用いて、家庭でも簡便に、もちもち感、および、油切れとさくさく感に優れたドーナッツを製造することが可能になった。さらに、本願発明のドーナッツ製造用アレンジミックスを用いることによって、もちもちさせるための材料である強力粉などを加えることなく、ホットケーキミックスから弾力のある粘度の高い生地をつくることができ、もちもちした食感と、油切れが良く、さくさくした食感の両方を併せ持ったドーナッツに仕上げることが可能となった。
【0076】
なお、市販のホットケーキミックスの代わりに、小麦粉と膨張剤とを用いることもできる。この場合には、用いる小麦粉の重量を基準として、適切な量および配合のドーナッツ製造用アレンジミックスを使用することが好ましい。
この適切な量および配合は、先ほどの表5を、小麦粉100重量部に対する添加量(重量部)に算出し直した下記表6から求めることができる。
【0077】
【表6】
【0078】
即ち、小麦粉100重量部に対する、α化タピオカデンプンおよび加工タピオカデンプンの添加量の合計は、14重量部〜16重量部であることが好ましい。この際の、α化タピオカデンプンの添加量は、7.0重量部〜16重量部であることが好ましく、10重量部〜16重量部であることがより好ましく、また、加工タピオカデンプンの添加量は、0重量部〜8.0重量部であることが好ましく、0重量部〜6.4重量部であることがより好ましい。また、小麦粉100重量部に対する、乳化剤の添加量は、0重量部〜1.6重量部が好ましい。
さらに、小麦粉100重量部に対する、食塩の添加量は、0重量部〜0.16重量部が好ましい。