(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
サーボモータと、該サーボモータの回転数に対する回転速度の変化を該サーボモータの駆動条件として設定するサーボドライバと、該サーボモータの駆動により稼働する稼働部と、を少なくとも含む加工装置であって、
該サーボドライバに駆動条件を設定する駆動条件設定部と、
該駆動条件のうち必須条件と任意条件とを設定する必須条件設定部と、
設定された該駆動条件の下で駆動する該サーボモータの実際の駆動状態を回転数に対する回転速度の変化として記録する実駆動状態記録部と、
該駆動条件と該実駆動状態記録部に記録されている実際の駆動状態とを比較して一致部と不一致部とを検出する比較部と、
該比較部によって検出された該不一致部が該必須条件設定部で設定された必須条件であるか否かを確認し、必須条件でない場合は該駆動条件を可と判断し必須条件である場合は該駆動条件を不可と判断する判断部と、
該判断部が不可と判断した場合に、該駆動条件における該任意条件を調整して該実駆動状態記録部に記録された実際の駆動状態を該必須条件と許容範囲内で一致させる駆動条件調整部と、
から構成されたサーボドライバ調整手段を備え、該一致させた駆動条件で加工する加工装置。
前記駆動条件調整部によっても実際の駆動状態を前記必須条件と許容範囲内で一致させることができない場合に調整不能である旨を表示する調整不能表示部を含む請求項1に記載の加工装置。
前記駆動条件調整部は、前記任意条件を、少なくとも正比例形加速、S字形加速、放物線形加速等の中から任意の加速方法を組み合わせて減速、加速、等速の調整を行う請求項1または2に記載の加工装置。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等のデバイスが分割予定ラインによって区画されて表面に形成されたウェーハは、研削装置によって裏面が研削され所定の厚みに形成された後、ダイシング装置によって個々のデバイスに分割され、携帯電話機、パソコン等の各種機器に利用されている。
【0003】
ウェーハの裏面研削に使用される研削装置は、ウェーハを保持する保持手段、保持手段に保持されたウェーハを研削する研削ホイールを回転可能に備えた研削手段、研削手段をチャックテーブルに保持されたウェーハに対して接近及び離反させる送り手段、チャックテーブルに対するウェーハの搬入及び搬出を行う搬送手段、ウェーハを回転させて洗浄する洗浄手段等を備えており、ウェーハを所望の厚みに仕上げることができる(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、ダイシング装置は、ウェーハを保持する保持手段、保持手段に保持されたウェーハを切削する回転可能な切削ブレードを有する切削手段、チャックテーブルと切削手段とを切削方向に相対的に加工送りする加工送り手段、チャックテーブルと切削手段とを割り出し方向に相対的に割り出し送りする割り出し送り手段、チャックテーブルに対するウェーハの搬入及び搬出を行う搬送手段、ウェーハを回転させて洗浄する洗浄手段等を備えており、ウェーハを高精度に切削することができる(例えば特許文献2参照)。
【0005】
そして、研削装置や切削装置をはじめとする加工装置には、保持手段を移動及び回転させたり、研削ホイールや切削ブレードを回転させたりするためのサーボモータを備えており、サーボモータの動作はサーボドライバによって制御されている。サーボドライバは、モータ1回転につき例えば略13万パルスの信号によって回転速度の加速、減速、等速等の複雑な制御を行い、高精度な加工を可能としている。サーボドライバには、サーボモータを駆動するための条件を予め設定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、サーボドライバに対してサーボモータ駆動のための条件を設定しても、サーボモータのパワー、サーボモータの回転によって稼働する稼働部の重量、サーボモータに連結するカプラやボールネジといった連結手段等の機械的要素によって慣性力等が作用するため、設定した条件のとおりにサーボモータが動作せず、稼働部に振動、揺動等を生じさせ、高精度な加工が妨げられるという問題がある。
【0008】
また、このような問題が生じないようにするためにサーボドライバを調整したり、サーボモータに係わる機械的要素が劣化してサーボドライバに設定する条件を調整しなければならなかったりする場合には、オペレータの経験と職人的な勘に頼ることが多く、時間がかかり効率が悪いという問題がある。
【0009】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、サーボモータを有する加工装置において、サーボモータの駆動条件を容易に設定及び調整できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、サーボモータと、サーボモータの回転数に対する回転速度の変化を該サーボモータの駆動条件として設定するサーボドライバと、サーボモータの駆動により稼働する稼働部とを少なくとも含む加工装置に関するもので、サーボドライバに駆動条件を設定する駆動条件設定部と、駆動条件のうち必須条件と任意条件とを設定する必須条件設定部と、設定された駆動条件の下で駆動するサーボモータの実際の駆動状態を回転数に対する回転速度の変化として記録する実駆動状態記録部と、駆動条件と実駆動状態記録部に記録されている実際の駆動状態とを比較して一致部と不一致部とを検出する比較部と、比較部によって検出された不一致部が必須条件設定部で設定された必須条件であるか否かを確認し、必須条件でない場合は駆動条件を可と判断し必須条件である場合は駆動条件を不可と判断する判断部と、判断部が不可と判断した場合に
、駆動条件における任意条件を調整して実駆動状態記録部に記録された実際の駆動状態を必須条件と許容範囲内で一致させる駆動条件調整部とから構成されたサーボドライバ調整手段を備え
、一致させた駆動条件で加工する。
【0011】
上記加工装置においては、駆動条件調整部によっても実際の駆動状態を必須条件と許容範囲内で一致させることができない場合に調整不能である旨を表示する調整不能表示部を備えることが望ましい。また、駆動条件調整部は、任意条件を、少なくとも正比例形加速、S字形加速、放物線形加速等の中から任意の加速方法を組み合わせて減速、加速、等速の調整を行うことが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る加工装置は、予め設定したサーボモータの回転数と回転速度との関係と、実際のサーボモータの回転数と回転速度との関係とを比較して、一致部と不一致部とを検出し、不一致部が任意条件である場合は調整を行って実際の駆動状態を必須条件と許容範囲内で一致させるようにしたため、機械的要素の慣性力等によって設定した駆動条件のとおりにサーボモータが動作しない場合にも、オペレータの経験や勘に頼ることなくサーボモータが所望の動作をするように調整することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示す切削装置1は、本発明が適用される加工装置の一種であり、保持手段2に保持された各種被加工物を切削手段3によって切削する装置である。保持手段2は、加工送り手段4によって切削方向(
図1におけるX方向)に駆動される。一方、切削手段3は、割り出し送り手段5によって割り出し方向(
図1におけるY方向)に駆動されるとともに、切りこみ送り手段6によって切り込み送り方向(
図1におけるZ方向)に駆動される構成となっている。
【0015】
保持手段2は、被加工物であるワークWを吸着する保持テーブル20を備えている。また、
図1に示すように、被加工物WがテープTを介してリング状のフレームFに支持される場合において、フレームFを固定する固定部21が保持テーブル20の周囲に配設されている。保持テーブル20は、保持テーブル20を回転させるサーボモータ22に連結されているとともに、基台23によって回転可能に支持されている。保持テーブル20及び固定部21は、サーボモータ22の駆動によりX方向に稼働する稼働部である。
【0016】
切削手段3は、Y方向の軸心を有するスピンドル30と、スピンドル30を回転可能に支持するハウジング31と、スピンドル30の一端に連結された切削ブレード32と、スピンドル30の他端に連結されスピンドル30を回転させるモータ33とを備えている。切削ブレード32は、ブレードカバー34によって上方から覆われている。また、ブレードカバー34の下部には、切削ブレード32を表面側及び裏面側から挟むようにして一対の切削水ノズル35が配設されている。
【0017】
加工送り手段4は、X方向の軸心を有するボールネジ40と、ボールネジ40に平行に配設された一対のガイドレール41と、ボールネジ40の一端に連結されたサーボモータ42と、ボールネジ40に螺合する図示しないナットを内部に有するとともに下部がガイドレール41に摺接するスライド部43とから構成され、サーボモータ42に駆動されてボールネジ40が回動するのに伴い、スライド部43がガイドレール41上をX方向に摺動し、これに伴い保持手段2もX方向に移動する構成となっている。
【0018】
割り出し送り手段5は、Y方向の軸心を有するボールネジ50と、ボールネジ50に平行に配設された一対のガイドレール51と、ボールネジ50の一端に連結されたサーボモータ52と、ボールネジ50に螺合する図示しないナットを内部に有するとともに下部がガイドレール51に摺接するスライド部53とから構成され、サーボモータ52に駆動されてボールネジ50が回動するのに伴い、スライド部53がガイドレール51上をY方向に摺動し、これに伴い切削手段3もY方向に移動する構成となっている。切削手段3は、サーボモータ52の駆動によりY方向に稼働する稼働部である。
【0019】
切り込み送り手段6は、Z方向の軸心を有するボールネジ60と、ボールネジ60に平行に配設された一対のガイドレール61と、ボールネジ60の一端に連結されたサーボモータ62と、ボールネジ60に螺合する図示しない内部のナットを有するとともに側部がガイドレール61に摺接し切削手段3を支持する昇降部63とから構成され、サーボモータ62に駆動されてボールネジ60が回動するのに伴い支持部63がガイドレール61にガイドされてZ方向に昇降し、これに伴い切削手段3もZ方向に昇降する構成となっている。切削手段3は、サーボモータ62の駆動によりZ方向に稼働する稼働部である。
【0020】
サーボモータ22,42,52,62は、それぞれがサーボドライバ7a,7b,7c,7dによって個別に駆動される。また、サーボドライバ7a,7b,7c,7dは、それぞれがサーボドライバ調整手段8a,8b,8c,8dに接続されており、サーボドライバ調整手段8a,8b,8c,8dによって調整された駆動条件によって、各サーボドライバ7a,7b,7c,7dは、各サーボモータ22,42,53,62をそれぞれ駆動する。
【0021】
サーボドライバ調整手段8a,8b,8c,8dは同様に構成されるが、以下ではサーボドライバ調整手段8bの構成及び動作について説明する。サーボドライバ調整手段8bは、サーボドライバ42に駆動条件を設定する駆動条件設定部80を備えている。駆動条件設定部80は、メモリ等の記憶素子を備えており、記憶した駆動条件データをサーボドライバ7bに転送することによりサーボドライバ42に対して駆動条件データを書き込んで設定することができる。
【0022】
駆動条件設定部80には、駆動条件のうち必須条件と任意条件とを設定する必須条件設定部81が接続されている。必須条件設定部81は、メモリ等の記憶素子を備えており、サーボドライバ7bがサーボモータ42を駆動するための必須条件データを作成して駆動条件設定部80に転送し記憶させる機能を有している。
【0023】
サーボドライバ調整手段8bには、サーボモータ42の実際の駆動状態を記録する実駆動状態記録部82を備えている。実駆動状態記録部82は、サーボモータ42の実際の駆動状態を、回転数に対する回転速度の変化として記録する。
【0024】
サーボドライバ調整手段8bには、比較部83を備えている。比較部83は、CPU、メモリ等を有しており、駆動条件設定部80がサーボドライバ7bに設定した駆動条件と実駆動状態記録部82に記録されている実際の駆動状態とを比較し、一致する部分(一致部)と一致しない部分(不一致分)とを検出する機能を有する。
【0025】
比較部83には判断部84が接続されている。判断部84は、CPU、メモリ等を有しており、比較部83によって検出された不一致部が必須条件設定部81で設定された必須条件であるか否かを確認し、必須条件でない場合は駆動条件を可と判断し、必須条件である場合は該駆動条件を不可と判断する機能を有している。
【0026】
判断部84には駆動条件調整部85が接続されている。駆動条件接続部85は、CPU、メモリ等を有しており、判断部84が不可と判断した場合に任意条件を適宜調整して実駆動状態記録部82に記録された実際の駆動状態を必須条件と許容範囲内で一致させる機能を有している。許容範囲は、駆動条件調整部85に記憶させてもよいし、駆動条件設定部80に記憶させてもよい。
【0027】
判断部84には、駆動条件調整部85による調整では実際の駆動状態を必須条件と許容範囲内で一致させることができない場合に調整不能である旨を表示する調整不能表示部86が接続されている。調整不能表示部86は、例えばディスプレイ装置や警告音を発する装置などによって構成される。
【0028】
このように、駆動条件設定部80と、必須条件設定部81と、実駆動状態記録部82と、比較部83と、判断部84と、駆動条件調整部85と、調整不能表示部86とで、サーボドライバ調整手段8bが構成されている。
【0029】
以上のように構成される切削装置1を使用してワークWを切削する場合は、テープTを介してフレームFに支持されたワークWが保持テーブル20に吸引保持され、フレームFが固定部21に固定される。
【0030】
そして、加工送り手段4によって駆動されて保持手段2がX方向に移動することによりワークWが切削手段3に近づいていく。一方、切削手段3は、割り出し送り手段5によってワークWの切削すべき位置と切削ブレード32とのY軸方向の位置合わせがなされた後、切削ブレード32が高速回転しながら切り込み送り手段6によって駆動されて降下する。そうすると、X方向に移動するワークWに対して切削ブレード32による切削が行われる。また、割り出し送り手段5によって切削手段3を順次Y方向に割り出し送りして同様の切削を次々と行うことにより、Wの切削すべき位置が次々と切削されていく。
【0031】
このようにして切削を行う際には、サーボドライバ7bによってサーボモータ42が駆動されてボールネジ40が回転し、基台23がX方向に移動することによって、保持手段2がX方向へ移動する。したがって、稼働部である保持手段2に振動、揺動等があってサーボモータ42が所望の動作をしないと、高精度に切削することができない。そこで、例えば
図2に示すフローチャートの手順に沿って、サーボモータ42が所望の動作をするかどうかをチェックし、所望の動作をしていない場合は、所望の動作をするようにサーボドライバ7bによる制御を調整する。
【0032】
まず、切削開始前に、保持手段2をX方向に動かすための制御情報、具体的には、サーボモータ42の回転数に対する回転速度の変化をサーボモータ42の駆動条件としてサーボドライバ7bに設定する。
【0033】
サーボドライバ7bに設定すべき駆動条件のデータは、駆動条件設定部80に記憶させる。例えば、
図3に示すように、保持手段2の加工送り開始から加工送りの停止までの間(1ストローク)にサーボモータ42が1000回転する場合において、サーボモータ42が回転を始めてから所定の回転速度に達するまでは、サーボモータ42の回転速度が回転数に対して一定の割合で加速する。そして、サーボモータ42が所定の回転速度に達してからは一定の回転速度を維持し、その後、回転速度が一定の割合で減速し、最終的には回転速度が0になる。ここで、回転速度が一定である間は、可動部である保持手段2に振動、揺動等が生じず、切削ブレード32によるワークWの切削を安定して行うことができる。
【0034】
このような回転数と回転速度との関係を示すデータを、切削前に駆動条件設定部80に入力しておく。かかる入力は、切削装置1に設けた図示しない入力手段等を介して行うことができる。駆動状態設定部80は、入力されたデータをサーボドライバ7bに転送して記憶させる(ステップS1)。
【0035】
また、駆動条件設定部80がサーボドライバ7bに設定したデータには、高精度な切削のために許容範囲内で実駆動されなければならない条件(必須条件)と、誤差が発生しても許容できる条件(任意条件)とがあるため、駆動状態設定部80に設定されたデータのとおりに実駆動されなければならない必須条件を必須条件設定部81に設定しておく。たとえば、サーボモータ42の回転速度が一定である時間が所定の時間どおりでないと高精度な加工ができないため、
図3において回転速度が一定となる開始時点と終了時点及びその間の回転速度のブレに関する許容誤差を必須条件として必須条件設定部81に入力しておく。一方、それ以外の部分は、任意条件として入力する。かかる入力も、切削装置1に設けた図示しない入力手段等を介して行うことができる(ステップS2)。
【0036】
このようにして、サーボドライバ7bに駆動条件が設定されるとともに必須条件設定部81に必須条件が設定された後、保持手段2を実際に稼働させ、サーボモータ42の実際の回転数と回転速度との関係のデータを実駆動状態記録部82に逐次記録していく(ステップS3)。
【0037】
比較部83では、実駆動状態記録部82に記録されたサーボモータ42の実際の回転数と回転速度との関係を、駆動条件設定部80に設定した条件と比較する(ステップS4)。そして、実駆動状態記録部82に記録されたデータと駆動条件設定部80に予め記録したデータとの間における一致する部分(一致部)と一致しない部分(不一致部)とを検出する(ステップS5)。そして、すべてが一致した場合は、サーボモータ42が所望の動作をしているとしてステップS3に戻る。
【0038】
一方、実駆動状態記録部82に記録されたデータと駆動条件設定部80に予め記録したデータとの間に不一致部がある場合は、その不一致部が必須条件設定部で設定された必須条件であるか否かを判断部84が判断する。そして、不一致部が必須条件でない場合は、判断部84は、その実際の駆動状態で問題ないとして駆動条件を可と判断し、ステップS3に戻る。一方、不一致部が必須条件である場合は、判断部84は、駆動状態に問題ありとして駆動条件を不可と判断する。
【0039】
例えば、回転速度が一定である時間及びそのときの回転速度の値が必須条件であり、その前後が任意条件である場合において、
図4に示すように、駆動条件設定部80に設定したデータよりも、実際にサーボモータ42の回転速度が一定の回転速度に達するまでの時間がかかりすぎると、回転速度が一定となる時点にずれが生じるため、必須条件を満たしていないとして不可と判断する(ステップS6)。
【0040】
判断部84が不可と判断した場合は、不可と判断した回数をカウントアップし、不可と判断された回数が所定の回数、例えば10回を超えたかどうかを判断する(ステップS7)。そして、不可の回数が10回以下である場合は、駆動条件調整部85が駆動条件設定部80に記憶されたデータを調整し、実駆動状態記録部82に記録された実際の駆動状態が必須条件と許容範囲内で一致するようにする(ステップS8)。例えば、サーボモータ42の回転数の加速方法には、正比例形加速、S字形加速、放物線形加速等があるが、駆動条件調整部85では、この中から任意の加速方法を組み合わせることにより、加速、減速、等速の調整を行い、
図3に示した設定データに近づけ、少なくとも回転速度が一定となる時間が一致するように調整する。すなわち、必ずしも加速の過程が駆動条件設定部80に設定したデータのとおりである必要はないが、少なくとも設定したデータと同じタイミングで回転速度が一定となるように調整する。このような調整を行うことにより、少なくとも必須条件設定部81に設定した必須条件を満たすことが可能となる。
【0041】
駆動条件調整部85により調整され駆動条件設定部80に設定された記憶されたデータは、サーボドライバ7bに転送され、サーボモータ42の以降の動作は調整された条件によって制御される。そして、調整によってその後に実駆動状態記録部82に記録されたデータが必須条件を満たすようになると、高精度な切削が可能な状態となる。このようにして高精度な状態が可能となってから、実際の切削加工を行うことにより、ワークWの切削を高精度に行うことが可能となる。
【0042】
一方、判断部84が不可と判断した回数が10回を超えると、駆動条件の調整による解決は不可能と判断する。この場合は、調整不能表示部86に調整が不可能である旨を表示する。そして、オペレータは、サーボモータ42を出力の高いサーボモータと交換したり、サーボモータ42の回転によって稼働する部位を構成する部品、例えば、保持テーブル20、ボールネジ40等を交換したりする(ステップS9)。
【0043】
以上のようにして、サーボモータ42の実際の駆動状態を、サーボモータ42を駆動するサーボドライバ7bに設定した駆動条件と許容範囲内で自動的に一致させることが可能となるため、オペレータの経験や職人的な勘にたよることなく、効率よくサーボドライバ42の駆動条件を調整することができる。
【0044】
以上説明したサーボモータ42の駆動条件の調整と同様の手法により、その他のサーボモータ22、52、62についても、所望の駆動をするための調整を行うことができる。サーボドライバ調整手段8a,8c,8dを構成するそれぞれの駆動条件設定部80及び必須条件設定部81に対し、それぞれのサーボドライバ7a、7c、7dにあった駆動条件及び必須条件を設定することにより、それぞれのサーボモータに所望の動作を行わせることができる。すなわち、サーボモータ22、52、62は、それぞれのサーボドライバ調整手段8a,8c,8dによってそれぞれ個別に駆動条件が調整される。
【0045】
なお、切削装置のみならず、サーボドライバがサーボモータを駆動する構成を有する他の加工装置においても、同様の手法による調整を行うことができる。
【符号の説明】
【0046】
1:切削装置
2:保持手段
20:保持テーブル 21:固定部 22:サーボモータ 23:基台
3:切削手段
30:スピンドル 31:ハウジング 32:切削ブレード 33:モータ
34:ブレードカバー 35:切削水ノズル
4:加工送り手段
40:ボールネジ 41:ガイドレール 42:サーボモータ 43:スライド部
5:割り出し送り手段
50:ボールネジ 51:ガイドレール 52:サーボモータ 53:スライド部
6:切り込み送り手段
60:ボールネジ 61:ガイドレール 62:サーボモータ 63:昇降部
7a,7b,7c,7d:サーボドライバ
8a,8b,8c,8d:サーボドライバ調整手段
80:駆動条件設定部 81:必須条件設定部 82:実駆動状態記録部
83:比較部 84:判断部 85:駆動条件調整部 86:調整不能表示部