(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本実施形態に係る塗布装置1の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る塗布装置1は、例えば液晶パネルなどに用いられるガラス基板上にレジストを塗布する塗布装置であり、基板搬送部2と、塗布部3と、管理部4と、制御部CONTとを主要な構成要素としている。
【0023】
この塗布装置1は、基板搬送部(基板搬送系)2によって基板を浮上させて搬送しつつ塗布部(塗布系)3によって当該基板上にレジストが塗布されるようになっており、管理部4によって塗布部3の状態が管理されるようになっている。制御部CONTは、塗布装置1の各部を統括的に制御する。なお、
図1において管理部4の第一待機部48には、本実施形態における特徴的構成要素の一である清掃装置50が設けられている。
【0024】
図2は塗布装置1の正面図、
図3は塗布装置1の平面図、
図4は塗布装置1の側面図である。これらの図を参照して、塗布装置1の詳細な構成を説明する。
(基板搬送部)
まず、基板搬送部2の構成を説明する。
基板搬送部2は、基板搬入領域20と、塗布処理領域21と、基板搬出領域22と、搬送機構23と、これらを支持するフレーム部24とを有している。この基板搬送部2では、搬送機構23によって基板Sが基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22へと順に搬送されるようになっている。基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22は、基板搬送方向の上流側から下流側へこの順で配列されている。搬送機構23は、基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22の各部に跨るように当該各部の一側方に設けられている。
【0025】
以下、塗布装置1の構成を説明するにあたり、表記の簡単のため、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。基板搬送部2の長手方向であって基板の搬送方向をX方向と表記する。平面視でX方向(基板搬送方向)に直交する方向をY方向と表記する。X方向軸及びY方向軸を含む平面に垂直な方向をZ方向と表記する。なお、X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとする。
【0026】
基板搬入領域20は、装置外部から搬送されてきた基板Sを搬入する部位であり、搬入側ステージ25と、リフト機構26とを有している。
搬入側ステージ25は、フレーム部24の上部に設けられており、例えばSUSなどからなる平面視で矩形の板状部材である。この搬入側ステージ25は、X方向が長手になっている。搬入側ステージ25には、エア噴出口25aと、昇降ピン出没孔25bとがそれぞれ複数設けられている。これらエア噴出口25a及び昇降ピン出没孔25bは、搬入側ステージ25を貫通するように設けられている。
【0027】
エア噴出口25aは、搬入側ステージ25のステージ表面(搬送面)25c上にエアを噴出する孔であり、例えば搬入側ステージ25のうち基板Sの通過する領域に平面視マトリクス状に配置されている。このエア噴出口25aには図示しないエア供給源が接続されている。この搬入側ステージ25では、エア噴出口25aから噴出されるエアによって基板Sを+Z方向に浮上させることができるようになっている。
【0028】
昇降ピン出没孔25bは、搬入側ステージ25のうち基板Sの搬入される領域に設けられている。当該昇降ピン出没孔25bは、ステージ表面25cに供給されたエアが漏れ出さない構成になっている。
【0029】
この搬入側ステージ25のうちY方向の両端部には、アライメント装置25dが1つずつ設けられている。アライメント装置25dは、搬入側ステージ25に搬入された基板Sの位置を合わせる装置である。各アライメント装置25dは長孔と当該長孔内に設けられた位置合わせ部材を有しており、搬入側ステージ25に搬入される基板を両側から機械的に挟持するようになっている。
【0030】
リフト機構26は、搬入側ステージ25の基板搬入位置の裏面側に設けられている。このリフト機構26は、昇降部材26aと、複数の昇降ピン26bとを有している。昇降部材26aは、図示しない駆動機構に接続されており、当該駆動機構の駆動によって昇降部材26aがZ方向に移動するようになっている。複数の昇降ピン26bは、昇降部材26aの上面から搬入側ステージ25へ向けて立設されている。各昇降ピン26bは、それぞれ上記の昇降ピン出没孔25bに平面視で重なる位置に配置されている。昇降部材26aがZ方向に移動することで、各昇降ピン26bが昇降ピン出没孔25bからステージ表面25c上に出没するようになっている。各昇降ピン26bの+Z方向の端部はそれぞれZ方向上の位置が揃うように設けられており、装置外部から搬送されてきた基板Sを水平な状態で保持することができるようになっている。
【0031】
塗布処理領域21は、レジストの塗布が行われる部位であり、基板Sを浮上支持する処理ステージ27が設けられている。処理ステージ27は、ステージ表面(搬送面)27cが例えば硬質アルマイトを主成分とする光吸収材料で覆われた平面視で矩形の板状部材であり、搬入側ステージ25に対して+X方向側に設けられている。
【0032】
処理ステージ27のうち光吸収材料で覆われた部分では、レーザ光などの光の反射が抑制されるようになっている。この処理ステージ27は、Y方向が長手になっている。処理ステージ27のY方向の寸法は、搬入側ステージ25のY方向の寸法とほぼ同一になっている。処理ステージ27には、ステージ表面27c上にエアを噴出する複数のエア噴出口27aと、ステージ表面27c上のエアを吸引する複数のエア吸引口27bとが設けられている。これらエア噴出口27a及びエア吸引口27bは、処理ステージ27を貫通するように設けられている。また、処理ステージ27の内部には、エア噴出口27a及びエア吸引口27bを通過する気体の圧力に抵抗を与えるための図示しない溝が複数設けられている。この複数の溝は、ステージ内部においてエア噴出口27a及びエア吸引口27bに接続されている。
【0033】
処理ステージ27では、エア噴出口27aのピッチが搬入側ステージ25に設けられるエア噴出口25aのピッチよりも狭く、搬入側ステージ25に比べてエア噴出口27aが密に設けられている。また、処理ステージ27においては、エア噴出口27aとともにエア吸引口27bが密に設けられている。これにより、この処理ステージ27では他のステージに比べて基板の浮上量を高精度で調節できるようになっており、基板の浮上量が例えば100μm以下、好ましくは50μm以下となるように制御することが可能になっている。処理ステージ27には、ステージ表面27cと基板Sとの間の距離を検出可能な検出部MSが設けられている。
【0034】
基板搬出領域22は、レジストが塗布された基板Sを装置外部へ搬出する部位であり、搬出側ステージ28と、リフト機構29とを有している。この搬出側ステージ28は、処理ステージ27に対して+X方向側に設けられており、基板搬入領域20に設けられた搬入側ステージ25とほぼ同様の材質、寸法から構成されている。搬出側ステージ28には、搬入側ステージ25と同様、エア噴出口28a及び昇降ピン出没孔28bが設けられている。リフト機構29は、搬出側ステージ28の基板搬出位置の裏面側に設けられており、例えばフレーム部24に支持されている。リフト機構29の昇降部材29a及び昇降ピン29bは、基板搬入領域20に設けられたリフト機構26の各部位と同様の構成になっている。このリフト機構29は、搬出側ステージ28上の基板Sを外部装置へと搬出する際に、基板Sの受け渡しのため昇降ピン29bによって基板Sを持ち上げることができるようになっている。
【0035】
搬送機構23は、
図4に示すように、第一搬送機構60と、第二搬送機構61とを備えている。なお、
図3においては、第一搬送機構60が基板Sを保持した状態を示し、第一搬送機構60の下方に配置されている第二搬送機構61の図示を省略している。
【0036】
第一搬送機構60は、搬送機(保持部)60aと、真空パッド(吸着部)60bと、レール60cと、搬送機60aを基板Sの搬送面と平行な面上を移動可能とする移動機構(進退機構)63とを有している。また、第二搬送機構61は、搬送機(保持部)61aと、真空パッド(吸着部)61bと、レール61cと、搬送機61aを昇降(上下動作)可能とする昇降機構(進退機構)62とを有している。レール60c,61cは、搬入側ステージ25、処理ステージ27及び搬出側ステージ28の側方に各ステージに跨って延在している。
【0037】
搬送機60a,61aは、内部に例えばリニアモータが設けられた構成になっており、当該リニアモータが駆動することによって搬送機60a,61aがレール60c,61c上を移動することで各ステージに沿って移動できるようになっている。すなわち、搬送機60a,61aは、基板Sを保持する保持部としての機能と、該保持部を駆動する駆動部としての機能とを備えたものとなっている。搬送機60a,61aは、所定の部分60d、61dが平面視で基板Sの−Y方向端部に重なるようになっている。この基板Sに重なる部分60d、61dは、基板Sを浮上させたときの基板裏面の高さ位置よりも低い位置に配置されるようになっている。
【0038】
第二搬送機構61は、
図4に示すように第一搬送機構60と比べて、フレーム部24の階段状の段差部24aの下段に配置されている。また、平面的に視ると、第二搬送機構61は、第一搬送機構60に対してステージ側に配置されている。
【0039】
図4に示されるように、第二搬送機構61は、上記昇降機構62により搬送機61aを上昇させることで基板Sにアクセス可能(進退可能)となっている。一方、第一搬送機構60は、上記移動機構63により搬送機60aを基板Sの搬送面と平行な面上で水平移動させることで基板Sにアクセス可能(進退可能)となっている。第一搬送機構60の搬送機60aと第二搬送機構61の搬送機61aとは、それぞれ独立して移動可能となっている。
【0040】
また、例えば、第一搬送機構60が基板Sを保持している場合、基板Sを保持していない第二搬送機構61の搬送機61aは、昇降機構62が下降することによって下方に待機し、第一搬送機構60(搬送機60a)の搬送経路から退避している。また、第二搬送機構61が基板Sを保持している場合、基板Sを保持していない第一搬送機構60の搬送機60aは、移動機構63によって−Y方向に移動し、第二搬送機構61(搬送機61a)の搬送経路から退避している。
【0041】
図3に示すように、真空パッド60bは、搬送機60aのうち上記基板Sに重なる部分60dに基板Sの搬送方向に沿って複数(本実施形態では3個)配置されている。この真空パッド60bは、基板Sを真空吸着するための吸着面を有しており、当該吸着面が上方を向くように配置されている。真空パッド60bは、吸着面が基板Sの裏面端部を吸着することで当該基板Sを保持可能になっている。これら真空パッド60bは、基板Sの搬送方向前方側の端部から250mm以内を保持するのが好ましく、80mm以内とするのが望ましい。具体的に本実施形態では、搬送機60aは、基板Sの搬送方向前方の端部から真空パッド60bまでの距離Wが80mm以内となるように基板Sを保持している。これにより搬送機60aにより基板Sが均一に保持されて、基板端部が垂れ下がることが防止され、基板Sを均一に浮上させた状態で搬送することができる。したがって、基板S上に塗布されるレジストを乾燥固化させた膜にムラが生じるのを防止している。
【0042】
なお、第二搬送機構61における搬送機61aの構造は、
図3では図示されていないものの、上記搬送機60aと同一構成を有している。すなわち、搬送機61aにおける真空パッド61bは、上記基板Sに重なる部分に基板Sの搬送方向に沿って3個配置されている。
【0043】
ここで、搬送機60a、61aの要部構成について説明する。なお、上述のように搬送機60a、61aはそれぞれ同一構成を有するものであることから、本説明では搬送機60aを例に挙げ、その構成について
図5を参照しつつ説明する。なお、
図5(a)は搬送機60aの要部の平面構成を示す図であり、
図5(b)は搬送機60aの要部の断面構成を示す図である。
【0044】
図5(a)に示されるように、搬送機60aに設けられる真空パッド60bは、基板Sとの接触部が平面視略長円状となっている。そして、真空パッド60bの内部には不図示の真空ポンプ等に接続される排気孔65が設けられている。真空パッド60bは、この排気孔65を介して真空パッド60bと基板Sとの間に生じる密閉空間を排気することで基板Sを真空吸着することが可能となっている。
【0045】
また、
図5(b)に示すように、搬送機60a上に設けられた真空パッド60bの側方には、搬送中の基板Sの位置を規制するストッパー部材(位置規制部材)66を備えている。このストッパー部材66は、基板Sの側面S1に対向するとともに、基板Sの下面側に対向する凸部66aを備えている。この凸部66aは、基板Sの下方への撓みを規制するストッパーとして機能する。凸部66aは、
図5(a)に示されるように、真空パッド60bの外周部を枠状に囲んだ状態に設けられている。凸部66aの上面は、搬入側ステージ25の上面に対して−30〜+30μmの範囲に設定するのが好ましく、−20μm近傍に設定するのが望ましい。また、凸部66aと真空パッド60bとの位置関係は、真空パッド60bを0〜1mm程度上方に設定するのが好ましい。
【0046】
なお、隣接する真空パッド60bの間に凸部66aが配置される構成、すなわち各真空パッド60bの四方を凸部66aが囲むようにしてもよい。
【0047】
本実施形態に係る真空パッド60bは、基板Sに対して変位可能となっている。具体的の本実施形態では、真空パッド60bが蛇腹構造からなる蛇腹部67を有している。これにより、例えば基板Sの端部に撓みが生じることで基板Sの高さに変動が生じた場合でも、真空パッド60bが基板Sの動きに追従することで当該基板Sに対する吸着を確実に保持することができる。また、真空パッド60bは、ステージ上における基板Sの浮上量を変化させた場合でも、蛇腹部67が変位することで基板Sを良好に吸着することができるようになっている。
【0048】
(塗布部)
次に、塗布部3の構成を説明する。
塗布部3は、基板S上にレジストを塗布する部分であり、門型フレーム31と、ノズル32とを有している。
【0049】
門型フレーム31は、支柱部材31aと、架橋部材31bとを有しており、処理ステージ27をY方向に跨ぐように設けられている。支柱部材31aは処理ステージ27のY方向側に1つずつ設けられており、各支柱部材31aがフレーム部24のY方向側の両側面にそれぞれ支持されている。各支柱部材31aは、上端部の高さ位置が揃うように設けられている。架橋部材31bは、各支柱部材31aの上端部の間に架橋されており、当該支柱部材31aに対して昇降可能となっている。
【0050】
この門型フレーム31は移動機構31cに接続されており、X方向に移動可能になっている。この移動機構31cによって門型フレーム31が管理部4との間で移動可能になっている。すなわち、門型フレーム31に設けられたノズル32が管理部4との間で移動可能になっている。また、この門型フレーム31は、図示しない移動機構によりZ方向にも移動可能になっている。
【0051】
ノズル32は、一方向が長手の長尺状に構成されており、門型フレーム31の架橋部材31bの−Z方向側の面に設けられている。このノズル32のうち−Z方向の先端には、自身の長手方向に沿ってスリット状の開口部(スリット開口)32aが設けられており、当該開口部32aからレジストが吐出されるようになっている。ノズル32は、開口部32aの長手方向がY方向に平行になると共に、当該開口部32aが処理ステージ27に対向するように配置されている。開口部32aの長手方向の寸法は搬送される基板SのY方向の寸法よりも小さくなっており、基板Sの周辺領域にレジストが塗布されないようになっている。ノズル32の内部にはレジストを開口部32aに流通させる図示しない流通路が設けられており、この流通路には図示しないレジスト供給源が接続されている。このレジスト供給源は例えば図示しないポンプを有しており、当該ポンプでレジストを開口部32aへと押し出すことで開口部32aからレジストが吐出されるようになっている。支柱部材31aには不図示の移動機構が設けられており、当該移動機構によって架橋部材31bに保持されたノズル32がZ方向に移動可能になっている。ノズル32には不図示の移動機構が設けられており、当該移動機構によってノズル32が架橋部材31bに対してZ方向に移動可能になっている。門型フレーム31の架橋部材31bの下面には、ノズル32の開口部32a、すなわち、ノズル32の先端と当該ノズル先端に対向する対向面との間のZ方向上の距離を測定するセンサ33が取り付けられている。
【0052】
(管理部)
管理部4の構成を説明する。
管理部4は、基板Sに吐出されるレジスト(液状体)の吐出量が一定になるようにノズル32を管理する部位であり、基板搬送部2のうち塗布部3に対して−X方向側(基板搬送方向の上流側)に設けられている。この管理部4は、予備吐出機構41と、ディップ槽42と、ノズル洗浄装置43と、これらを収容する収容部44と、当該収容部を保持する保持部材45とを有している。保持部材45は、移動機構45aに接続されている。当該移動機構45aにより、収容部44がX方向に移動可能になっている。
【0053】
予備吐出機構41、ディップ槽42及びノズル洗浄装置43は、−X方向側へこの順で配列されている。これら予備吐出機構41、ディップ槽42及びノズル洗浄装置43のY方向の各寸法は上記門型フレーム31の支柱部材31a間の距離よりも小さくなっており、上記門型フレーム31が各部位を跨いでアクセスできるようになっている。
【0054】
予備吐出機構41は、レジストを予備的に吐出する部分である。当該予備吐出機構41はノズル32に最も近くに設けられている。ディップ槽42は、内部にシンナーなどの溶剤または塗布液が貯留された液体槽である。ノズル洗浄装置43は、ノズル32の開口部32a近傍をリンス洗浄する装置であり、Y方向に移動する図示しない洗浄機構と、当該洗浄機構を移動させる図示しない移動機構とを有している。この移動機構は、洗浄機構よりも−X方向側に設けられている。ノズル洗浄装置43は、移動機構が設けられる分、予備吐出機構41及びディップ槽42に比べてX方向の寸法が大きくなっている。なお、予備吐出機構41、ディップ槽42、ノズル洗浄装置43の配置については、本実施形態の配置に限られず、他の配置であっても構わない。
【0055】
図6は、ノズル洗浄装置43の構成を示す図である。
図6(a)はノズル洗浄装置43の正面図を、
図6(b)はノズル洗浄装置43の平面図をそれぞれ示している。
図6(a)及び
図6(b)に示すように、ノズル洗浄装置43は、基体43aと、パッド支持部材43bと、パッド43cと、エアナイフ噴出口43dと、吸引孔43eと、洗浄液噴出孔43gと、エアナイフ噴出口43hと、支持部材43iと、ノズル洗浄部駆動機構ACとを有している。
【0056】
パッド支持部材43bは、基体43aの上面に設けられており、当該基体43aのX方向の中心部に対して+X方向側及び−X方向側に1つずつ対になって配置されている。この一対のパッド支持部材43bは、パッド43cを支持する支持面43sを有している。
支持面43sは、ノズル32の先端の形状に沿って形成されている。例えば図中では、パッド支持部材43bのうち基体43aの±X方向の各端辺側からX方向の中心部にかけて基体43a上面からの高さが徐々に低くなっている部分が形成されており、この高さの徐々に低くなっている部分が支持面43sになっている。
【0057】
パッド43cは、ノズル先端32c及びその周辺領域32dに当接させる部材であり、例えば樹脂材料などから構成されている。各支持面43sには、Y方向に向けてパッド43cが例えば一列ずつ配列されている。パッド43cの上面43fは、ノズル先端32c及びその周辺領域32dに対応する形状となっており、パッド43cの上面43fをノズル先端32c及び周辺領域32dに当接したときに隙間無く当接されるようになっている。このパッド43cは、X方向においてエアナイフ噴出口43hに近接する位置まで設けられている。
【0058】
エアナイフ噴出口43dは支持面43sの端部に配置されており、吸引孔43eを挟んで一対設けられている。エアナイフ噴出口43dは、ノズル先端32cの周辺領域32dに対してエアナイフが噴出されるように、当該周辺領域32dに対向するように設けられている。
【0059】
吸引孔43eは、2つのパッド支持部材43bの間に設けられた矩形の孔である。この吸引孔43eは、基体43aのX方向の中央の領域を貫通するように設けられており、例えばポンプ43pなどの吸引機構に接続されている。この吸引孔43eはY方向が長手になっており、パッド43cの一部と平面視で重なっている。
【0060】
洗浄液噴出孔43gはノズル32を洗浄する洗浄液を噴出する孔であり、X方向に沿ってスリット状に設けられている。当該洗浄液噴出孔43gはパッド支持部材43bの支持面43sのうち+Y方向側の端部のパッド43c及び+Y方向側の端部から2番目のパッド43cに対応して設けられており、それぞれのパッド支持部材43bに設けられたパッド43cの+Y方向側に設けられている。各洗浄液噴出孔43gは、図示しない洗浄液供給源に接続されている。
【0061】
エアナイフ噴出口43hは、エアナイフ噴出口43dと同様、ノズル32へ向けてエアナイフを噴出する部分であり、パッド支持部材43bの支持面43sにY方向に沿ってスリット状に設けられている。当該エアナイフ噴出口43hは、各支持面43sのうちパッド43cの摺動方向(Y方向)に対して当該パッド43cの側方に1つずつ配置されている。
【0062】
ノズル洗浄装置43については、必ずしも上記構成には限られない。例えば、ノズル先端32cの形状に沿ったパッドのみが設けられた構成でも構わない。更には、ノズル先端32cに付着した液状体を除去することが可能な構成であれば、上記の構成に限られず他の構成であっても構わない。
【0063】
支持部材43iは、基体43aの図中下面を支持するように設けられている。ノズル洗浄部駆動機構ACは、支持部材43iに接続されており当該支持部材43iをY方向へ移動させる駆動部である。ノズル洗浄部駆動機構ACがY方向に移動することにより、支持部材43iを介して基体43aがY方向に移動するようになっている。ノズル洗浄装置43は、ノズル洗浄部駆動機構ACが設けられる分、予備吐出機構41及びディップ槽42に比べてX方向の寸法が大きくなっている。勿論、予備吐出機構41、ディップ槽42、ノズル洗浄装置43の配置については、本実施形態の配置に限られず、他の配置であっても構わない。
【0064】
図7は、ノズル32及び管理部4の一部の構成を示す斜視図である。
図7に示すように、管理部4には、第一待機部48及び第二待機部49が設けられている。第一待機部48は、収容部44の−Y側端部に位置する部分である。第二待機部49は、収容部44の+Y側端部に位置する部分である。第一待機部48及び第二待機部49は、それぞれノズル洗浄装置43の移動経路の外側に設けられている。第一待機部48は、洗浄動作の前にノズル洗浄装置43の基体43aが待機する位置である。第二待機部49は、洗浄動作の後に基体43aが待機する位置である。第一待機部48には、清掃装置50が設けられている。清掃装置50は、ノズル32の開口部32aを清掃する。清掃装置50は、ノズル洗浄装置43の基体43aよりも−Y側の位置に配置されている。
【0065】
図8及び
図9は、清掃装置50の構成を示す斜視図である。
図10は、清掃装置50の構成を示す側面図である。
図8〜
図10に示すように、清掃装置50は、清掃部材51と、容器52と、清掃部材駆動部53とを有する。
【0066】
清掃部材51は、ノズル32の開口部32aに挿入されて用いられる。清掃部材51は、フィルム状に形成されている。清掃部材51は、金属の薄板の表面に樹脂がコーティングされた構成である。なお、清掃部材51を構成する薄板の材料として、上記金属の他、例えばSUSや樹脂、ゴムなどの材料を用いても構わない。清掃部材51の長手方向の寸法は、例えば40mm程度に形成されており、清掃部材51の短手方向の寸法は、例えば10mm程度に形成されている。
【0067】
図10に示すように、清掃部材51は、−Z側の端部から+Z側の端部に向けて徐々に厚さ(X方向の寸法)が薄くなるように形成されている。なお、清掃部材51の−Z側の端部における厚さt1は、切り込み部32s及び開口部32aのX方向の寸法よりも小さくなっている。なお、清掃部材51が均一な厚さ(厚さt1と厚さt2とが同一)であっても構わないし、−Z側の端部から+Z側の端部に向けて段階的に厚さが変化する(例、薄くなる)構成であっても構わない。
【0068】
容器52は、凹部52aと、軸部52bとを有している。凹部52aは、容器52の+Z側の面に形成されている。凹部52aは、清掃部材51の外形よりも大きい寸法に形成されており、清掃部材51を収容可能である。軸部52bは、凹部52aの内部に設けられており、清掃部材51を回転可能に支持する。
図8に示す状態から軸部52bを中心として清掃部材51をθX方向に回転させることで、
図9に示すように清掃部材51が凹部52aに収容される。
【0069】
なお、
図8には、清掃部材51の長手方向がZ方向と平行になるように配置された状態が示されている。この状態において、清掃部材51は、容器52から露出する長さが最も長くなる。また、清掃部材51の長手方向がZ方向と平行になった状態を保持するため、容器52に不図示のストッパ機構など、清掃部材51の姿勢を固定する構成が設けられていても構わない。また、軸部52bが不図示のモーター機構などによって回転可能な構成であっても構わない。この場合、制御部CONTによる制御で軸部52bが回転することで、清掃部材51の出し入れを行うことができる。
【0070】
清掃部材駆動部53は、容器52ごと清掃部材51を移動させる。容器52は、案内部材53aに取り付けられている。案内部材53aは、Y方向に平行に延在された棒状部材である。案内部材53aは、一端が第一待機部48に配置されており、他端が第二待機部49に配置されている。清掃部材駆動部53は、当該案内部材53aに沿って、清掃部材51を第一待機部48と第二待機部49との間で移動させる。清掃部材駆動部53としては、例えばエアシリンダ機構やモーター機構などのアクチュエーターを用いることができる。
【0071】
次に、上記のように構成された塗布装置1の動作を説明する。
図11〜
図13は、塗布装置1の動作過程を示す平面図である。各図を参照して、基板Sにレジストを塗布する動作を説明する。この動作では、基板Sを基板搬入領域20に搬入し、当該基板Sを浮上させて搬送しつつ塗布処理領域21でレジストを塗布し、当該レジストを塗布した基板Sを基板搬出領域22から搬出する。
図11〜
図13には門型フレーム31及び管理部4の輪郭のみを破線で示し、ノズル32及び処理ステージ27の構成を判別しやすくした。以下、各部分における詳細な動作を説明する。
【0072】
基板搬入領域20に基板を搬入する前に、塗布装置1をスタンバイさせておく。具体的には、搬入側ステージ25の基板搬入位置の−Y方向側に第一搬送機構60の搬送機60aを配置させ、真空パッド60bの高さ位置を基板の浮上高さ位置に合わせておくと共に、搬入側ステージ25のエア噴出口25a、処理ステージ27のエア噴出口27a、エア吸引口27b及び搬出側ステージ28のエア噴出口28aからそれぞれエアを噴出又は吸引し、各ステージ表面に基板が浮上する程度にエアが供給された状態にしておく。
【0073】
この状態で、例えば図示しない搬送アームなどによって外部から
図3に示した基板搬入位置に基板Sが搬送されてきたら、昇降部材26aを+Z方向に移動させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25bからステージ表面25cに突出させる。そして、昇降ピン26bによって基板Sが持ち上げられ、当該基板Sの受け取りが行われる。また、アライメント装置25dの長孔から位置合わせ部材をステージ表面25cに突出させておく。
【0074】
基板Sを受け取った後、昇降部材26aを下降させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25b内に収容する。このとき、ステージ表面25cにはエアの層が形成されているため、基板Sは当該エアによりステージ表面25cに対して浮上した状態で保持される。基板Sがエア層の表面に到達した際、アライメント装置25dの位置合わせ部材によって基板Sの位置合わせが行われ、基板搬入位置の−Y方向側に配置された第一搬送機構60の移動機構63により搬送機60aの真空パッド60bを基板Sの−Y方向側端部に真空吸着させることができる(
図3)。真空パッド60bによって基板Sの−Y方向側端部が吸着された後、搬送機60aをレール60cに沿って移動させる。基板Sが浮上した状態になっているため、搬送機60aの駆動力を比較的小さくしても基板Sはレール60cに沿ってスムーズに移動する。
【0075】
基板Sの搬送方向の先端が、処理ステージ27に差し掛かったら、制御部CONTは、検出部MSを用いて基板Sの−Z側の面とステージ表面27cとの距離(浮上量)を検出させる。また、基板Sの搬送方向先端がノズル32の開口部32aの位置に到達したら、
図11に示すように、ノズル32の開口部32aから基板Sへ向けてレジストを吐出する。レジストの吐出は、ノズル32の位置を固定させ搬送機60aによって基板Sを搬送させながら行う。
【0076】
制御部CONTにおいては、検出部MSにおける検出結果に基づいて、基板Sの浮上量を調整しても構わない。この場合、例えば制御部CONTは、エア噴出口27aからのエア噴出量や、エア吸引口27bの吸引量を調整することにより、基板Sの浮上量を調整可能である。
【0077】
制御部CONTは、第一搬送機構60により搬送される基板Sに対してレジスト塗布を行っている途中において、例えば図示しない搬送アームなどによって外部から基板搬入位置に他の基板S´の受け渡しを行わせる。制御部CONTは、基板S´を受け取らせた後、昇降部材26aを下降させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25b内に収容することで、基板S´はエアによりステージ表面25cに対して浮上した状態で保持される。
【0078】
基板S´がエア層の表面に到達した際、制御部CONTは、アライメント装置25dの位置合わせ部材によって基板Sの位置合わせを行わせる。その後、制御部CONTは、基板搬入位置の−Z方向側に配置された第二搬送機構61の昇降機構62により搬送機61aを上昇させ、真空パッド61bを基板Sの−Y方向側端部に真空吸着させる。制御部CONTは、当該基板S´についても、上記の基板Sと同様に浮上量の検出を適宜行わせる。
【0079】
このように本実施形態では、第一搬送機構60の搬送機60aと第二搬送機構61の搬送機61aとがそれぞれ独立して移動可能となっているので、第一搬送機構60によって搬送される基板Sに対するレジスト塗布の処理が終了する前に、第二搬送機構61により他の基板S´をステージ上に搬送することができる。よって、片持ち状態で順次搬送する基板S、S´上にレジストを良好に塗布することができ、レジスト塗布処理において高いスループットを得ることができる。
【0080】
一方、基板Sの移動に伴い、
図12に示すように基板S上にレジスト膜Rが塗布されていく。基板Sがレジストを吐出する開口部32aの下を通過することにより、基板Sの所定の領域にレジスト膜Rが形成される。また、制御部CONTは、第二搬送機構61の搬送機61aを制御して基板S´を開口部32aの下方に移動させる。
【0081】
レジスト膜Rの形成された基板Sは、搬送機60aによって搬出側ステージ28へと搬送される。搬出側ステージ28では、ステージ表面28cに対して浮上した状態で、
図13に示す基板搬出位置まで基板Sが搬送される。また、搬送機61aにより搬送された他の基板S´が開口部32aの下を通過することにより、他の基板S´の所定の領域にレジスト膜Rが形成される。
【0082】
基板Sが基板搬出位置に到達した後、制御部CONTは、真空パッド60bの吸着を解除させ、リフト機構29の昇降部材29aを+Z方向に移動させる。この動作により、昇降ピン29bが昇降ピン出没孔28bから基板Sの裏面へ突出し、基板Sが昇降ピン29bによって持ち上げられる。この状態で、制御部CONTは、例えば搬出側ステージ28の+X方向側に設けられた外部の搬送アームを搬出側ステージ28にアクセスさせ、基板Sを受け取らせる。基板Sが搬送アームに渡された後、制御部CONTは、第一搬送機構60を制御して搬送機60a(真空パッド60b)を基板Sの下方から退避させ、他の基板S´を搬送している第二搬送機構61の搬送経路(移動経路)から退避させる。
【0083】
この状態で制御部CONTは、第一搬送機構60を再び搬入側ステージ25の基板搬入位置まで戻させ、次の基板が搬送されるまで待機させる。このとき、
図13に示されるように、第二搬送機構61に搬送される基板S´に対してレジスト塗布が行われているが、第一搬送機構60が上述のように第二搬送機構61の搬送経路から退避しているので、第二搬送機構61に接触せずに済む。このため、第一搬送機構60は、他の基板S´の搬送を妨げることが無く、搬入側ステージ25の基板搬入位置まで戻ることができる。
【0084】
また、第二搬送機構61により搬送された基板S´が基板搬出位置に到達した後、制御部CONTは、基板Sの場合と同様に、外部の搬送アームによって基板S´を受け取らせる。基板S´が外部の搬送アームによって搬出された後、制御部CONTは、第二搬送機構61を再び搬入側ステージ25の基板搬入位置まで戻させ、次の基板が搬送されるまで待機させる。
【0085】
上記のように、塗布部3には基板が時間的間隔を空けて搬送されてくる。このため、制御部CONTは、塗布部3に基板が搬送されない期間を利用して、ノズル32の吐出状態を維持あるいは改善するための管理動作を行わせる。当該管理動作には、管理部4が用いられる。
【0086】
制御部CONTは、
図14に示すように、移動機構31cによって門型フレーム31を管理部4の位置まで−X方向へ移動させる。管理部4の位置まで門型フレーム31を移動させた後、まず、門型フレーム31の位置を調整してノズル32の先端をノズル洗浄装置43にアクセスさせ、当該ノズル洗浄装置43によってノズル先端32cを洗浄する。
【0087】
ノズル洗浄装置43による洗浄動作では、ノズル32の先端の開口部32aの周辺領域32dに向けて洗浄液を噴出し、必要に応じて窒素ガスを噴出しながらノズル洗浄装置43を+Y方向にスキャンさせる。このとき、
図15に示すように、制御部CONTは、パッド43cの上面43fをノズル先端32c及び周辺領域32dに当接させる。上面43fはノズル先端32c及び周辺領域32dの形状に対応しているため、上面43fとノズル32との間に隙間が無いように当接されることになる。また、制御部CONTは、
図15に示すように、吸引孔43eにおいて周囲の雰囲気を吸引させる。
【0088】
この状態で、
図16に示すように、ノズル洗浄装置43の洗浄液噴出孔43gから洗浄液を噴出させると共にエアナイフ噴出口43d及びエアナイフ噴出口43hからエアナイフを噴出させながらノズル洗浄装置43を走査させる。この走査により、パッド43cが洗浄液と共にノズル32のうちノズル先端32c及び周辺領域32dを摺動して洗浄し、この洗浄液を掻き出しながら当該ノズル先端32c及び周辺領域32dを乾燥する。
【0089】
また、エアナイフ噴出口43d及びエアナイフ噴出口43hから噴出されるエアナイフがノズル32の周辺領域32dに吹き付けられ、当該周辺領域32dが乾燥する。エアナイフ噴出口43dは摺動方向の最後尾に設けられているため、パッド43cによる摺動の後で乾燥することになる。また、エアの噴出及び吸引孔43eにおける吸引によって、洗浄液及び除去された付着物が吸引孔43eに吸引されることとなる。このように、ノズル先端32cの洗浄が行われる。
【0090】
ノズル先端32cの洗浄後、制御部CONTは、清掃装置50を用いて洗浄後のノズル32の開口部32aに対して清掃動作を行わせる。
図17に示すように、ノズル先端32cを洗浄した後であっても、開口部32aの内部に付着物99が残存する場合がある。当該付着物99は液状体の吐出特性に影響を及ぼす場合があるため、清掃動作によって付着物99を除去する。
【0091】
この清掃動作を行わせるまでは、制御部CONTは、清掃装置50を第一待機部48に待機させておくようにする。第一待機部48はノズル洗浄装置43の移動経路から外れた位置に設けられているため、清掃装置50を第一待機部48に待機させた状態においては、ノズル洗浄装置43の洗浄動作の妨げにならずに済む。
【0092】
清掃動作を行う場合、制御部CONTは、清掃部材51をノズル32の開口部32aの−Z側へ移動させる。本実施形態では、まず制御部CONTは、開口部32aの−Y側端部の−Z側に配置させる。この状態で、制御部CONTは、
図17に示すように、清掃部材51を容器52の凹部52aから突出させる。この動作により、清掃部材51の+Z側端部が開口部32aに挿入される。
【0093】
清掃部材51の+Z側端部が開口部32aに挿入された後、制御部CONTは、清掃部材駆動部53により、清掃部材51を容器52ごと−Y側へ移動させ、当該清掃部材51を開口部32aの−Y側に到達させる。清掃部材51が開口部32aの−Y側端部に到達した後、制御部CONTは、清掃部材駆動部53により、清掃部材51を容器52ごと+Y方向へ移動させる。
【0094】
図18は、ノズル32をXZ平面に平行な平面で切断した状態を示す図である。
図18に示すように、清掃部材51のうち+Z側の先端部の厚さ(t2:
図10参照)は、開口部32aのX方向の寸法よりも小さいため、清掃部材51は開口部32aに沿って+Y側へ移動する。
【0095】
清掃部材51が開口部32aを+Y側に移動すると、当該開口部32aに残存する付着物99が清掃部材51に剥ぎ取られる。このため、付着物99が開口部32aから除去される。制御部CONTは、清掃部材51を開口部32aの+Y側端部まで移動させた後、当該清掃部材51を容器52の凹部52aに収容させる。その後、制御部CONTは、清掃部材51を第二待機部49まで移動させ、当該第二待機部49で清掃部材51を待機させる。
【0096】
開口部32aに清掃動作を行った後、当該ノズル32を予備吐出機構41にアクセスさせる。予備吐出機構41では、開口部32aと予備吐出面との間の距離を測定しながらノズル32の先端の開口部32aをZ方向上の所定の位置に移動させ、ノズル32を−X方向へ移動させながら開口部32aからレジストを予備吐出する。
【0097】
予備吐出動作を行った後、門型フレーム31を元の位置に戻す。次の基板Sが搬送されてきたら、
図19に示すようにノズル32をZ方向上の所定の位置に移動させる。門型フレーム31を元の位置に戻した後、制御部CONTは、清掃部材51及び容器52を第一待機部48へと戻す。このように、基板Sにレジスト膜Rを塗布する塗布動作と予備吐出動作とを繰り返し行わせることで、基板Sには良質なレジスト膜Rが形成されることになる。
【0098】
なお、必要に応じて、例えば管理部4に所定の回数アクセスする毎に、当該ノズル32をディップ槽42内にアクセスさせても良い。ディップ槽42では、ノズル32の開口部32aをディップ槽42に貯留された溶剤(シンナー)の蒸気雰囲気に曝すことでノズル32の乾燥を防止する。
【0099】
以上のように、本実施形態によれば、開口部32aに挿入可能に形成された清掃部材51を、開口部32aの長手方向に移動させることにより、開口部32aを清掃することができる。これにより、手作業によらず、自動で開口部32aを清掃することができるため、ノズル32の清掃作業を効率的に行うことができる。
【0100】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では、第一搬送機構60及び第二搬送機構61が、それぞれ搬送機60a、61aを一個ずつ備えた構成について説明したが、本発明はこれに限定されることはない。
【0101】
図20に示すように、第一搬送機構60としてレール60cに搬送機60aが3個設けられた構成とすることができる。なお、
図20においては、図示を省略するものの、第二搬送機構61についても搬送機61aを3個備えた構成とすることができる。また、本説明では、搬送機60a、61aが3個ずつ備える構成について説明するが、本発明はこれに限定されることは無く、搬送機60a、61aを2個ずつ、或いは4個以上ずつ備える構成についても適用可能である。
【0102】
図20に示す構成において、基板Sの搬送方向上流側から順に第1の搬送機161、第2の搬送機162、第3の搬送機163と表記する。また、これらを総称する場合には、搬送機161、162、163と表記する。
【0103】
これら搬送機161、162、163は、基板Sの搬送時においてはそれぞれが同期した状態でレール60c上を移動する。また、各搬送機161、162、163は、基板Sの非搬送時においては、レール60c上でそれぞれ独立に移動可能となっている。この構成によれば、搬送する基板Sの長さに応じて各搬送機161、162、163における基板Sの保持位置を任意に設定することができる。
【0104】
搬送機161の真空パッド60bは、基板Sの搬送方向前方側の端部から250mm以内を保持するのが好ましく、80mm以内とするのが望ましい。具体的に搬送機161は、基板Sの搬送方向前方の端部から真空パッド60bまでの距離W1が80mm以内となるように基板Sを保持している。
【0105】
また、搬送機163の真空パッド60bは、基板Sの搬送方向後方側の端部から250mm以内を保持するのが好ましく、80mm以内とするのが望ましい。具体的に搬送機163は、基板Sの搬送方向後方の端部から真空パッド60bまでの距離W2が80mm以内となるように基板Sを保持している。
【0106】
これら搬送機161、162、163により基板Sが均一に保持されて、基板端部が垂れ下がることが防止され、大型の基板Sを均一に浮上させた状態で搬送することができる。したがって、大型の基板S上に塗布されるレジストを乾燥固化させた膜にムラが生じるのを防止できる。
【0107】
また、上記実施形態では、清掃装置50とノズル洗浄装置43とが別個に設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、
図21に示すように、清掃装置50がノズル洗浄装置43に設けられた構成であっても構わない。
図21に示す構成では、清掃装置50がノズル洗浄装置43と一体的に設けられている。具体的には、清掃装置50の容器52が、ノズル洗浄装置43の基体43aに固定された構成になっている。
【0108】
この構成では、ノズル洗浄部駆動機構ACを用いてノズル洗浄装置43の基体43aを移動させることにより、清掃装置50が基体43aと一体的に移動する。したがって、ノズル洗浄部駆動機構ACは、清掃装置50を駆動する駆動部を兼ねていることになる。このため、各装置を移動させる駆動部を別個に設ける必要が無く、省スペース化及び制御系の簡略化を図ることができる。
【0109】
なお、
図21に示すように、ノズル洗浄装置43が+Y側に配置され、清掃装置50が−Y側に配置された構成における洗浄方法及び清掃方法として、例えば以下のような態様が挙げられる。まず、ノズル32の開口部32aに液状体あるいは液状体の固化物が付着している場合には、ノズル洗浄装置43を用いて洗浄液を開口部32aに浸透させる。その後、清掃部材51を用いて開口部32aを清掃し、最後にノズル洗浄装置43を用いてノズル先端32cを洗浄して仕上げを行う。
【0110】
また、
図21の構成においては、ノズル洗浄装置43が+Y側に配置され、清掃装置50が−Y側に配置された構成を例に挙げて説明したが、これに限られることはなく、清掃装置50が+Y側に配置され、ノズル洗浄装置43が−Y側に配置された構成であっても構わない。この場合、清掃部材51によって開口部32aを清掃した後にノズル洗浄装置43を用いてノズル先端32cを洗浄することができるため、ノズル先端32cを正常な状態とした後に、すぐに塗布動作に移ることができる。
【0111】
また、上記実施形態においては、清掃部材51を開口部32aに挿入した後、一旦清掃部材51を−Y側に移動させ、開口部32aの−Y側端部に到達させる態様を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、清掃部材51を開口部32aに挿入したら、そのまま清掃部材51を+Y方向に移動させて開口部32aの+Y側端部に到達させ、その後、清掃部材51を−Y方向へ移動させて開口部32aの−Y側端部に到達させるようにしても構わない。この場合、清掃部材51を開口部32aの+Y側端部に到達させた後、すぐに−Y方向に移動させても構わないし、一旦清掃部材51を開口部32aの+Y側端部において待機させておいても構わない。
【0112】
また、上記実施形態の構成に加えて、
図22に示すように、清掃部材51をノズル32に対して昇降させる昇降機構54が設けられた構成であっても構わない。なお、
図22は、ノズル32をXZ平面に平行な平面で切断した状態を示したものである。昇降機構54は、昇降案内部材54aと、移動機構54bとを有している。昇降案内部材54aは、Z方向に平行に設けられている。昇降案内部材54aは、案内部材53aと一体的に移動可能に設けられている。
【0113】
移動機構54bは、容器52に固定されている。移動機構54bは、例えばモーター機構などの不図示のアクチュエーターを有している。移動機構54bは、当該アクチュエーターによって昇降案内部材54aの延在方向に沿って移動可能に設けられている。移動機構54bが移動することで、容器52及び清掃部材51がZ方向に昇降移動する。このように、清掃部材51がZ方向に昇降移動することにより、ノズル32を移動させなくても開口部32aの清掃を行うことができるため、効率的な作業が可能となる。
【0114】
また、上記実施形態の構成に加えて、
図23に示すように、清掃部材51を洗浄する洗浄機構55が設けられた構成であっても構わない。洗浄機構55は、洗浄液供給部55aと、洗浄液吐出口55bとを有している。洗浄機構55は、例えば第一待機部48や第二待機部49に配置させておくことができる。
【0115】
洗浄機構55は、洗浄液供給部55aから供給される洗浄液を、洗浄液吐出口55bから清掃部材51へと吐出する。この構成により、清掃部材51を洗浄液で洗浄し、清掃部材51を清浄な状態に維持することが可能である。なお、清掃部材51を洗浄する構成として、洗浄液を吐出する構成に限られず、エアナイフを用いて洗浄したり、ディップ方式によって洗浄したりする構成であっても構わない。
【0116】
また、上記実施形態の構成に加えて、
図24に示すように、ノズル32の開口部32aに対する清掃部材51の位置を調整する位置調整機構56が設けられた構成であっても構わない。なお、
図24は、ノズル32をXZ平面に平行な平面で切断した状態を示したものである。
図24では、位置調整機構56の一例として、撮像装置56aが設けられた構成を示している。当該撮像装置56aは、清掃部材51の+Z側の端部と、ノズル32の開口部32aとを撮像する。
【0117】
撮像装置56aによる撮像結果は、例えば制御部CONTに送信される。制御部CONTでは、清掃部材51の+Z側の端部と開口部32aとの位置関係が算出され、位置ずれがあった場合には、清掃部材駆動部53を用いて位置が調整されるようになっている。なお、清掃部材51を撮像する撮像装置と、開口部32aを撮像する撮像装置とを別個に設ける構成であっても構わない。このような構成により、開口部32aと清掃部材51との位置決めを高精度に行うことができる。
【0118】
また、上記実施形態においては、清掃部材51を収容する容器52が設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、容器52が設けられない構成であっても構わない。この場合、清掃部材51が常時露出している構成となる。
【0119】
また、上記実施形態では、清掃部材51が容器52の軸部52bを中心に回転することで容器52から露出したり、収容されたりする構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、清掃部材51がZ方向に平行移動することにより容器52に対する露出及び収容が行われる構成であっても構わない。
【0120】
なお、上記説明した構成要素については、単独で設けられる態様に限られず、必要に応じて適宜組み合わせて用いることが可能である。