(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
液体中の特定成分と反応して吸着する反応材が一面に設けられた発振子を、例えば血液などの液体中に浸漬させると、液体中の特定成分が反応材の表面と反応して付着し、発振子の発振周波数が減少するという現象を用いて、試料中の特定成分の反応速度等を分析する分析装置が現在開発されている。
近年では、測定時間の短縮や測定精度の向上の要求から、複数の発振子を用いて、複数の試料から特定の成分を同時に分析できる分析装置が考案されている。
【0003】
特許文献1に開示された分析装置100は、
図5を参照し、複数の発振子111
1〜111
4と、各発振子111
1〜111
4が接続された信号切換部170と、信号切換部170に接続された一つの発振回路112と、発振回路112の出力信号を計測する計測部114とを有している。発振回路112を動作させながら、信号切換部170のスイッチ171
1〜171
4を順番に一つずつ導通させることにより、各発振子111
1〜111
4を順番に一つずつ時間を区切って発振させることができる。特許文献1には、各発振子111
1〜111
4を一つずつ発振させることにより、発振子111
1〜111
4同士が干渉しない旨記載されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1の分析装置100では、信号切換部170に電磁リレーを用いると、切換頻度に比例して寿命が短くなるため、単位時間当たりの測定回数を増やすことができないという問題があり、また、発振子111
1〜111
4の数が増えると電磁リレーの数も増えて、消費電力が増大するという問題があった。
【0005】
一方、信号切換部170に半導体リレーを用いると、電磁リレーよりも出力端子間容量が大きいために、発振子111
1〜111
4同士の干渉が起きるという問題があり、また、電磁リレーよりもオン抵抗が大きいために、発振子111
1〜111
4が基本波又は逓倍波で発振しなくなるという問題があった。
【0006】
特許文献2に開示された分析装置200は、
図6を参照し、複数の発振子211
1〜211
8と、各発振子211
1〜211
8にそれぞれ接続された複数の発振回路212
1〜212
8と、各発振回路212
1〜212
8からの出力信号を切り換えて一チャンネルずつ出力する信号切換部270と、信号切換部270の出力信号を計測する計測部214とを有している。特許文献2には発振子211
1〜211
8同士が干渉しないように、各発振子211
1〜211
8にはシールド293が設けられている旨記載されている。
【0007】
しかしながら、特許文献2の分析装置200では、各発振回路212
1〜212
8を常に動作させて各発振子211
1〜211
8を常に振動させているため、無駄な電流消費が生じていた。また、信号切換部270の具体的な構成は開示されていないが、各発振回路212
1〜212
8の出力信号を常に切り換えているため、信号切換部270に係る消費電流を抑えることは困難であると推測される。
【0008】
また、特許文献3では、一枚の水晶板に複数の発振子が配置されるように電極を配線し、各発振子から一つの発振回路までの配線数が発振子の数より少なくなるように構成された分析装置が開示されているが、発振回路と各発振子との間の配線が非対称であるため、水晶板上での発振子の位置により発振条件が変化し、発振子に加わる温度や溶液粘度の変化によって発振子の周波数応答が各発振子間で一致しなくなるという問題があった。また、信号切換部が一つの発振回路と各発振子との間に設けられているため、信号切換部にリレーを用いた場合には、特許文献1の分析装置に関して説明したのと同様の問題が生じるおそれがあった。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<分析装置の構造>
本発明の分析装置の構造を説明する。
図1は分析装置10の内部構成図である。
【0017】
分析装置10は、雰囲気8中の特定成分を吸着する反応材が一面に設けられ、浸漬される雰囲気8中の特定成分の付着量に応じて周波数が変化する複数の発振子11
1〜11
4と、一の発振子11
1〜11
4と帰還抵抗素子とが入力端子と出力端子との間に並列に接続された増幅器を備える複数の発振回路12
1〜12
4と、各発振回路12
1〜12
4の増幅器の正側電源端子に、増幅器を動作させるオン電圧と、増幅器の動作を停止させるオフ電圧とをそれぞれ印加する制御部15と、各発振回路12
1〜12
4の増幅器の出力端子がそれぞれ接続された伝送路16と、伝送路16に接続され、伝送路16を流れる信号の周波数を計測する計測部14とを有している。
雰囲気8はここでは特定成分が溶解した液体が用いられるが、本発明の雰囲気8は液体に限定されず、特定成分が拡散したガスであってもよい。
【0018】
本実施例では、各発振回路12
1〜12
4の増幅器の出力端子と伝送路16との間には、オフ電圧が印加された発振回路12
1〜12
4を伝送路16から電気的に切り離し、オン電圧が印加された発振回路12
1〜12
4の出力信号を伝送路16を介して計測部14に伝達する逆流防止回路13が接続されている。
制御部15には、制御部15に電源電圧を供給する電源装置38と、制御部15に入力信号を入力する計算機37とが接続されている。
【0019】
各発振子11
1〜11
4の構造は互いに同じであり、符号11
1の発振子で代表して説明する。
図3(a)は発振子11
1の平面図、
図3(b)は同A−A線切断断面図である。
図3(a)の図面上では後述する樹脂の記載を省略している。
【0020】
発振子11
1は、ここでは石英からなる円板形状の振動子11aと、振動子11aの表面と裏面とにそれぞれ配置された第一、第二の電極11b、11cとを有している。
第二の電極11cは樹脂11eで封止されており、発振子11
1が雰囲気中に浸漬されても、第一、第二の電極11b、11c間が雰囲気により電気的に短絡されることはなく、第一、第二の電極11b、11c間に電圧が印加されると振動子11aが発振できるようになっている。
【0021】
第一の電極11bの表面には雰囲気中の特定の成分と反応して吸着する反応材11dが設けられている。発振子11
1が雰囲気中に浸漬されると、雰囲気中の特定の成分は反応材11dの表面と反応して付着し、振動子11aの発振周波数は付着した特定成分の付着量に応じて変化するようになっている。付着した特定成分の付着量が多いほど、付着物の重量が増加して、振動子11aの発振周波数は低下する。
【0022】
図2は分析装置10の等価回路図である。
各発振回路12
1〜12
4の構造は互いに同じであり、
図2の図面上では符号12
1の発振回路の内部構造に符号を付し、他の発振回路12
2〜12
4の内部構造には符号を省略している。
【0023】
発振回路12
1〜12
4の構造を、符号12
1の発振回路で代表して説明する。
発振回路12
1は、増幅器21と、帰還抵抗素子22と、第一、第二の容量素子23、24と、補助増幅器25とを有している。発振子11
1と帰還抵抗素子22は増幅器21の入力端子27と出力端子26との間に並列に接続されている。帰還抵抗素子22は増幅器21の出力端子26から出力された出力信号を入力端子27に帰還させる。
【0024】
ここでは増幅器21と補助増幅器25はCMOS論理反転回路である。増幅器21の入力端子27には発振子11
1の一方の電極と帰還抵抗素子22の一端と第一の容量素子23の一端とが電気的に接続され、出力端子26には発振子11
1の他方の電極と帰還抵抗素子22の他端と第二の容量素子24の一端と補助増幅器25の入力端子とが電気的に接続されている。第一、第二の容量素子23、24の他端と、増幅器21の負側電源端子(GND端子)と補助増幅器25の負側電源端子は接地されている。
【0025】
増幅器21の正側電源端子(V
dd端子)28と補助増幅器25の正側電源端子に、増幅器21を動作させるオン電圧である正電圧が印加されると、増幅器21と補助増幅器25が動作して、発振子11
1に電圧が印加され、発振子11
1が発振する。第一、第二の容量素子23、24は発振子11
1の発振周波数を所定の周波数に安定させる。増幅器21の出力端子26には発振子11
1の発振周波数と同じ周波数の出力信号が出力され、出力信号は補助増幅器25に入力され、補助増幅器25の出力端子には増幅器21の出力信号と同じ周波数で論理が反転された出力信号が出力される。
【0026】
一方、増幅器21の正側電源端子28と補助増幅器25の正側電源端子に、増幅器21の動作を停止させるオフ電圧(ここではハイ・インピーダンス)が印加されると、増幅器21と補助増幅器25の動作は停止され、発振子11
1の発振が停止し、増幅器21と補助増幅器25の出力端子はハイ・インピーダンスになる。このとき、増幅器21の出力端子26から帰還抵抗素子22には電流が流れないため、発振回路12
1で電流消費がない。
【0027】
本発明では、一の発振子11
1には一の発振回路12
1が接続されており、発振子11
1と発振回路12
1と、を接続する配線を各発振子11
1〜11
4を通して最短にすることができる。すなわち、各発振子11
1〜11
4と発振回路12
1〜12
4と、を接続する配線のインピーダンスを下げることができるので、発振回路12
1〜12
4の発振余裕度が向上する。よって、発振子11
1〜11
4に付着物が付着することにより、発振子11
1〜11
4のインピーダンスが増加しても、安定した周波数で発振を持続させることができる。
【0028】
制御部15は、複数のトランジスタ35
1〜35
4と、プルアップ抵抗35a
1〜35a
4とを有している。
トランジスタ35
1〜35
4はここではPMOSトランジスタであり、ソース端子には電源装置38が電気的に接続され、ドレイン端子にはそれぞれ異なる発振回路12
1〜12
4の増幅器21の正側電源端子28と補助増幅器25の正側電源端子とが電気的に接続され、ゲート端子には計算機37が電気的に接続されている。
ここでは、計算機37は、各トランジスタ35
1〜35
4のうち、一のトランジスタに負論理の入力信号を入力するように構成されている。
【0029】
各トランジスタ35
1〜35
4のソース端子に電源装置38から正電圧が印加された状態で、一のトランジスタ(例えば、符号35
1のトランジスタ)のゲート端子に計算機37から入力信号が入力されると、一のトランジスタ35
1のソース端子とドレイン端子との間にチャネルが形成されて電流が流れ、一のトランジスタ35
1に接続された一の発振回路12
1の増幅器21の正側電源端子28と補助増幅器25の正側電源端子にオン電圧である正電圧が印加される。
【0030】
プルアップ抵抗35a
1〜35a
4は、一端と他端とがトランジスタ35
1〜35
4のソース端子とゲート端子にそれぞれ接続されており、ゲート端子に計算機37から入力信号が入力されていないときには、ゲート端子は正電位にされて、ソース端子とドレイン端子との間にチャネルが形成されることが防止されている。
【0031】
従って、制御部15は、一のトランジスタ(例えば、符号35
1のトランジスタ)のゲート端子に入力信号が入力されて、一の発振回路12
1の増幅器21の正側電源端子28にオン電圧を印加するときに、他のトランジスタ35
2〜35
4のゲート端子は正電位にされ、他の発振回路12
2〜12
4の増幅器21の正側電源端子28にはオフ電圧を印加するようになっている。よって、同時に二個以上の発振子11
1〜11
4が動作することはなく、出力信号の干渉を排除できる。
【0032】
本発明では、スイッチング回路である制御部15は、各発振回路12
1〜12
4の増幅器21の正側電源端子28に接続され、発振信号が流れる出力端子26又は入力端子27には接続されていない。そのため、制御部15のオン抵抗が大きいことにより、発振子11
1〜11
4が基本波又は逓倍波で発振しなかったり、制御部15の出力端子間容量により交流信号を遮断できないという問題は起こらない。
【0033】
よって、制御部15を、オン抵抗が電磁リレーより大きい半導体で構成することができ、電磁リレーを用いる場合よりも、消費電力を低減でき、部品コストを削減できる。また切換頻度を増やしても電磁リレーより寿命が長く、単位時間当たりの切換頻度を増やすことにより、各発振回路12
1〜12
4からの出力信号の測定回数を増やすことができる。
【0034】
逆流防止回路13は、各発振回路12
1〜12
4の増幅器21の出力端子26と伝送路16との間にそれぞれ直列に接続された複数の容量性カップリング31
1〜31
4を有している。
各容量性カップリング31
1〜31
4の構成は互いに同様であり、符号31
1の容量性カップリングで代表して説明する。
【0035】
容量性カップリング31
1の一端は一の発振回路12
1の補助増幅器25の出力端子に接続され、他端は伝送路16に接続されている。
補助増幅器25の出力端子と正側電源端子の間には保護ダイオード(不図示)が接続されている。保護ダイオードのアノード端子は補助増幅器25の出力端子に接続され、カソード端子は補助増幅器25の正側電源端子に接続されている。
【0036】
補助増幅器25の出力端子から発振子11
1の発振周波数と同じ周波数の出力信号が出力されると、容量性カップリング31
1は当該出力信号を伝送路16に伝達する。すなわち、伝送路16には発振子11
1の発振周波数と同じ周波数の信号が流れる。
また、容量性カップリング31
1により、発振回路12
1の出力端子と伝送路16との間を流れる直流電流は切り離される。
【0037】
よって、オン電圧が印加された一の発振回路12
1から伝送路16に伝達された出力信号は、伝送路16からオフ電圧が印加された他の発振回路12
2〜12
4の保護ダイオードを通って他の発振回路12
2〜12
4の増幅器21の正側電源端子28に逆流し、他の発振回路12
2〜12
4を動作させてしまうことはない。
【0038】
計測部14は伝送路16に電気的に接続され、伝送路16を流れる信号の周波数を計測できるように構成されている。一の発振回路12
1にオン電圧が印加されているとき、他の発振回路12
2〜12
4にはオフ電圧が印加され、伝送路16から他の発振回路12
2〜12
4の保護ダイオードを通って他の発振回路12
2〜12
4の増幅器21の正側電源端子28に流れる直流電流は遮断され、他の発振回路12
2〜12
4が動作することがないので、一の発振回路12
1から出力されて伝送路16を流れる出力信号は他の発振回路12
2〜12
4からの出力信号の影響を受けて歪んだり周波数が変化することはなく、計測部14は一の発振回路12
1から出力された出力信号の周波数を精密に計測できる。
【0039】
計算機37には、発振子11
1〜11
4の発振周波数と付着物の重量との対応関係が予め記憶されており、記憶された対応関係から、計測部14で計測された周波数に基づいて、発振させている発振子11
1〜11
4に付着した付着物の重量(付着した特定成分の付着量)を求めるように構成されている。
【0040】
<分析装置の使用方法>
上述の分析装置10を使用した液体中の特定成分の分析方法を説明する。
(準備工程)
各発振子11
1〜11
4の第一の電極11bの表面に、液体中の成分のうちそれぞれ異なる種類の特定成分と反応して付着させる反応材11dをそれぞれ設けておく(
図3参照)。
図1を参照し、複数の容器7
1〜7
4に液体8を入れておき、各容器7
1〜7
4内に発振子11
1〜11
4をそれぞれ配置して、各発振子11
1〜11
4を液体8中に浸漬させる。
【0041】
図2を参照し、電源装置38から制御部15の各トランジスタ35
1〜35
4のソース端子に正電圧を印加し、以後正電圧の印加を継続する。プルアップ抵抗35a
1〜35a
4により、各トランジスタ35
1〜35
4のゲート端子は正電位にされ、ドレインからゲートに電流は流れない。よって、各発振回路12
1〜12
4の増幅器21の正側電源端子28と補助増幅器25の正側電源端子にはオフ電圧が印加され、増幅器21と補助増幅器25は動作しない。各発振回路12
1〜12
4に電流は流れず、電流消費は生じない。
【0042】
計算機37から制御部15の一のトランジスタ35
1に入力信号を入力する。
一のトランジスタ35
1に入力信号が入力されると、当該トランジスタ35
1は一の発振回路12
1の増幅器21の正側電源端子28と補助増幅器25の正側電源端子にオン電圧を印加する。
【0043】
オン電圧を印加された増幅器21と補助増幅器25は動作して、当該増幅器21の入力端子27と出力端子26との間に接続された一の発振子11
1を発振させ、補助増幅器25の出力端子から発振子11
1の発振周波数と同じ周波数の出力信号が出力される。
【0044】
制御部15は発振回路12
1の増幅器21の正側電源端子28に接続され、入力端子27又は出力端子26には接続されていないため、制御部15のオン抵抗が大きいことにより発振子11
1が所定の周波数で発振しなかったり、制御部15の出力端子間容量により交流信号を遮断できないという問題は生じない。
一の発振回路12
1から出力された出力信号は逆流防止回路13の容量性カップリング31
1を介して伝送路16に伝達され、計測部14で周波数が計測される。
【0045】
計算機37から一のトランジスタ35
1に入力信号が入力されている間、他のトランジスタ35
2〜35
4には入力信号は入力されず、他の発振回路12
1〜12
4の増幅器21の正側電源端子28と補助増幅器25の正側電源端子にはオフ電圧が印加され、他のトランジスタ35
2〜35
4では電流消費は生じない。また、逆流防止回路13により伝送路16から他の発振回路12
2〜12
4の保護ダイオードを通って他の発振回路12
2〜12
4の増幅器21の正側電源端子28に流れる直流電流が遮断され、他の発振回路12
2〜12
4が動作することがないので、一の発振回路12
1から出力された伝送路16を流れる出力信号は、他の発振回路12
2〜12
4からの出力信号の影響を受けて歪んだり周波数が変化することは起こらない。
【0046】
よって、計測部14で計測された出力信号の周波数は発振子11
1の発振周波数と同じであり、計算機37は計測部14で計測された出力信号の周波数を初期周波数として記憶する。
計算機37は一の発振子11
1の初期周波数を記憶した後、一のトランジスタ35
1への入力信号を停止する。
【0047】
他の発振子11
2〜11
4についても上記と同様にして、一のトランジスタに入力信号を入力して一の発振子の初期周波数を計測して記憶することを、他の各発振子11
2〜11
4に対して順番に一つずつ行う。
【0048】
(試料分析工程)
計算機37は、一のトランジスタに入力信号を入力して一の発振子の初期周波数を計測して記憶することを、各発振子11
1〜11
4に対して以後順番に繰り返す。ここでは、入力信号のパルス幅を100msecにし、一の入力信号と次の入力信号の間の間隔を25msecにするが、本発明は、これらの時間の長さに限定されない。
制御部15は半導体で構成されており、入力信号の切り換えを繰り返しても、電磁リレーとは違って寿命は短くならない。
【0049】
図1を参照し、各容器7
1〜7
4内に、分析対象である試料を投入する。
投入された試料は液体8中に溶けて溶液が生成され、生成された溶液中の特定成分は発振子11
1〜11
4に設けられた反応材11dの表面と反応して、反応材11dの表面に付着し始める。
成分の付着量が増加するにしたがって、発振子11
1〜11
4の発振周波数は低下する。
【0050】
計算機37は、各発振子11
1〜11
4毎に、計測された周波数に基づいて、発振させている発振子11
1〜11
4の反応材11dに付着した特定成分の付着量を求める。
また、求めた特定成分の付着量を、試料の投入時刻からの経過時間で割って、特定成分と反応材11dとの反応速度を計算する。
【0051】
各発振子11
1〜11
4には互いに異なる種類の反応材11dが設けられており、一回の試料分析工程でそれぞれ異なる種類の反応材11dと反応する複数種類の成分の付着量と反応速度を求めることができる。
【0052】
一の発振子11
1が発振して一の発振回路12
1からの出力信号が伝送路16を流れている間は、伝送路16から他の発振回路12
2〜12
4の保護ダイオードを通って他の発振回路12
2〜12
4の正側電源端子に流れようとする直流電流は遮断され、他の発振回路12
2〜12
4が動作することがないので、伝送路16を流れる出力信号は他の発振回路12
2〜12
4からの出力信号の影響を受けて歪んだり周波数が変化することはなく、一の発振子11
1の発振周波数を精密に計測することができ、特定成分の付着量を精密に求めることができる。
【0053】
また一の発振回路12
1にオン電圧を印加しているとき、他の発振回路12
2〜12
4にオフ電圧を印加して動作させないため、他の発振回路12
2〜12
4で電流消費は起こらず、従来の分析装置より電流消費を低減できる。
【0054】
<第二例の分析装置の構造>
本発明の第二例の分析装置10’の構造を説明する。
図4は第二例の分析装置10’の等価回路図である。第二例の分析装置10’の構造のうち、上述の符号10の分析装置(以下、第一例の分析装置と呼ぶ)の構造と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0055】
第二例の分析装置10’は、第一例の分析装置10の制御部15と逆流防止回路13の代わりに、別構造の制御部15’と逆流防止回路13’とを有している。
第二例の分析装置10’の逆流防止回路13’は、各発振回路12
1〜12
4の増幅器21の出力端子26と伝送路16との間にそれぞれ直列に接続された複数のダイオード33
1〜33
4を有している。
【0056】
ダイオード33
1〜33
4はここではショットキーバリアダイオードであり、ダイオード33
1〜33
4のアノード端子はそれぞれ異なる発振回路12
1〜12
4の補助増幅器25の出力端子に接続され、カソード端子は伝送路16に接続されている。
伝送路16には補助抵抗34の一端が接続され、補助抵抗34の他端は接地されている。
【0057】
補助増幅器25の出力端子から発振子11
1の発振周波数と同じ周波数の出力信号が出力されると、ダイオード33
1は当該出力信号を伝送路16に伝達する。すなわち、伝送路16には発振子11
1の発振周波数と同じ周波数の信号が流れる。
また、ダイオード33
1により、伝送路16から発振回路12
1の出力端子へ流れる直流電流は切り離される。
【0058】
よって、オン電圧が印加された一の発振回路12
1から伝送路16に伝達された出力信号は、伝送路16からオフ電圧が印加された他の発振回路12
2〜12
4の保護ダイオードを通って他の発振回路12
2〜12
4の増幅器21の正側電源端子28に逆流し、他の発振回路12
2〜12
4を動作させてしまうことはない。
【0059】
第二例の分析装置10’の制御部15’は複数の出力端子を有するCMOS論理回路であり、電源端子には電源装置38が電気的に接続され、複数の出力端子にはそれぞれ異なる発振回路12
1〜12
4の増幅器21の正側電源端子28と補助増幅器25の正側電源端子とが電気的に接続され、入力端子には計算機37が接続され、接地端子は接地されている。
【0060】
制御部15’は、計算機37からの入力信号に基づいて、一の出力端子にオン電圧を出力して、一の発振回路(ここでは符号12
1の発振回路)にオン電圧を印加し、一の発振回路12
1にオン電圧を印加するときには、他の出力端子にオフ電圧を出力して、他の発振回路12
2〜12
4にオフ電圧を印加するように構成されている。
そのため、一の発振回路12
1にオン電圧を印加しているとき、他の発振回路12
2〜12
4で電流消費は起こらず、従来の分析装置より電流消費を低減できる。
【0061】
発振回路12
1〜12
4の消費電力がCMOS論理回路の出力端子からの出力電力以下であれば、CMOS論理回路の出力端子を発振回路12
1〜12
4の増幅器21の正側電源端子28と補助増幅器25の正側電源端子に直接配線することができ、部品コストの削減になり、回路基板の小型化が可能となる。
第二例の分析装置10’の使用方法は第一例の分析装置10の使用方法と同様であり、説明を省略する。
【0062】
上述の第一例、第二例の分析装置10、10’の説明では、それぞれ4組の発振子11
1〜11
4と発振回路12
1〜12
4の組を有する構成で説明したが、発振子11
1〜11
4と発振回路12
1〜12
4の組の数は4組に限定されず、2組以上であればよい。
また、増幅器21の正側電源端子28に印加する電圧の調整により各発振回路12
1〜12
4の間欠動作が可能な場合には、逆流防止回路13、13’を省略してもよい。