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特許5771678高電力絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771678
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】高電力絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20150813BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20150813BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20150813BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   H01L29/78 658A
   H01L29/78 652M
   H01L29/78 655A
   H01L29/78 652E
   H01L29/78 658F
   H01L29/78 652K
   H01L29/78 652T
   H01L29/78 652D
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-265926(P2013-265926)
(22)【出願日】2013年12月24日
(62)【分割の表示】特願2009-524593(P2009-524593)の分割
【原出願日】2007年6月18日
(65)【公開番号】特開2014-78747(P2014-78747A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2013年12月24日
(31)【優先権主張番号】60/838,249
(32)【優先日】2006年8月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】クリー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100113376
【弁理士】
【氏名又は名称】南条 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179394
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬田 あや子
(74)【代理人】
【識別番号】100185384
【弁理士】
【氏名又は名称】伊波 興一朗
(72)【発明者】
【氏名】チャン シンチュン
(72)【発明者】
【氏名】リュー セイ−ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス シャーロット
(72)【発明者】
【氏名】アガロール アナント ケイ.
【審査官】 平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−033030(JP,A)
【文献】 特開2005−019494(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/076327(WO,A1)
【文献】 特開2003−086792(JP,A)
【文献】 特開平06−333918(JP,A)
【文献】 特開2000−208506(JP,A)
【文献】 特開平02−083928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/12
H01L 29/739
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)デバイスを形成する方法であって、
n型基板上にp型ドリフト層を形成する工程と、
前記p型ドリフト層内にn型ウェルを形成する工程と、
前記p型ドリフト層上および前記n型ウェル上にp型チャネル調整層をエピタキシャル成長させる工程と、
前記チャネル調整層を貫通して、前記ドリフト層の表面の前記n型ウェル内へ延びるp型エミッタ領域であって、該p型エミッタ領域に隣接した前記n型ウェル内にチャネル領域を少なくとも部分的に画定するp型エミッタ領域を形成するために、p型ドーパント・イオンを注入する工程と
前記チャネル調整層を貫通して、前記ドリフト層の表面の前記n型ウェル内へ延びるn型コネクタ領域を形成するために、n型ドーパント・イオンを注入する工程と、
前記チャネル領域上にゲート酸化物層を形成する工程と、
前記ゲート酸化物層上にゲートを形成する工程と、
前記チャネル調整層の表面上に黒鉛コーティングをレジスト・コーティング法により形成する工程と、
前記黒鉛コーティングを結晶化させる工程と、
前記注入されたイオンおよび前記黒鉛コーティングをアニールする工程と、
前記注入されたイオンのアニーリング後に前記黒鉛コーティングを除去する工程
を含み、
前記黒鉛コーティングは、前記注入されたイオンおよび前記黒鉛コーティングのアニールの間、前記チャネル調整層の表面を保護する、方法。
【請求項2】
請求項に記載の方法であって、
前記注入されたイオンをアニールする工程は、前記注入されたイオンを1800℃よりも高い温度でアニールする工程
を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記ゲート酸化物層を形成する工程は、前記ゲート酸化物層を乾燥O中で形成する工程を含み、前記方法はさらに、前記ゲート酸化物層を湿潤O中でアニールする工程
を含む、方法。
【請求項4】
請求項に記載の方法であって、
前記ゲート酸化物層を形成する工程の後、前記ゲート酸化物層を湿潤O中でアニールする工程の前に、前記ゲート酸化物層を不活性雰囲気で約1200℃以下の温度でアニールする工程
をさらに含む、方法。
【請求項5】
請求項に記載の方法であって、
前記ゲート酸化物層を湿潤O中でアニールする工程は、前記ゲート酸化物層を湿潤O中で約950℃以下の温度でアニールすること
を含む、方法。
【請求項6】
請求項に記載の方法であって、
前記ゲート酸化物層を湿潤O中でアニールする工程は、発熱室内において発熱性水蒸気を発生させる工程と、前記発熱性水蒸気をアニール室に供給する工程と、前記アニール室内で前記ゲート酸化物層をアニールする工程
を含む、方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法であって、
前記発熱性水蒸気を発生させる工程は、前記発熱室を加熱する工程と、前記発熱室に水素および酸素ガスを供給する工程と、前記発熱性水蒸気を形成するために、前記水素ガスおよび前記酸素ガスを燃焼させる工程とを含み、前記水素ガスおよび前記酸素ガスは、酸素に対する水素の分子比を約1.8以上として前記発熱室に供給される、
方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記チャネル調整層は、約0.1μmから約0.5μmの厚さを有するように形成され、
前記チャネル調整層は、約1×1016cm−3から約5×1018cm−3の正味アクセプタ濃度を有する、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記基板は炭化シリコンを含み、前記ドリフト層はエピタキシャル炭化シリコン層を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国政府の権利についての記述
本発明は、ONR/DARPAによって与えられた契約番号第N00014−05−C−0202号の下、米国政府の支援によってなされたものである。米国政府は本発明に関して一定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照および優先権の主張
本出願は、2006年8月17日に出願された「High Power Insulated Gate Bipolar Transistors」という名称の米国仮特許出願第60/838,249号に基づく利益および優先権を主張するものである。この仮出願の開示は、その全体が本明細書に記載されているかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は電子デバイスに関する。より具体的には、本発明は、高電力絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタに関する。
【背景技術】
【0004】
炭化シリコン(SiC)を用いて製造されたパワー・デバイスは、SiCの高いクリティカル・フィールドおよび広いバンド・ギャップのため、シリコン上に製造されたパワー・デバイスと比較して、高速、高電力および/または高温用途に関して大きな利点を示すと予想される。約5kVを超える電圧などの高電圧をブロッキングする能力を有するデバイスでは、少数キャリアの注入に起因する導電率変調によってドリフト層の抵抗を低減させるために、バイポーラ動作を有することが望ましいことがある。しかしながら、炭化シリコン中に製造されたバイポーラ・デバイスの1つの技術的な難問は、時間の経過に伴う順方向電圧の低下であり、これはおそらく、炭化シリコンの単結晶内に底面転位(Basal Plane Dislocation:BPD)が存在することに起因する。したがって、高電力用途に対しては、SiCショットキー・ダイオード、MOSFETなどのユニポーラ・デバイスが一般に使用される。
【0005】
10kVのブロッキング能力および約100mΩ×cmの固有オン抵抗を有するSiC DMOSFETデバイスが製造された。DMOSFETデバイスは、それらの多数キャリア性のため、例えば100ns未満の非常に速いスイッチング速度を示すことができる。しかしながら、デバイスに求められるブロッキング電圧が例えば15kV以上と高くなるにつれ、それに対応してドリフト層の厚さが厚くなるため、MOSFETデバイスのオン抵抗が大幅に増大する可能性がある。高温では、バルク移動度が低下するために、この問題が悪化する可能性があり、これによって電力損が過大になる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,972,801号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】B.Hull、M.Das、J.Sumakeris、J.RichmondおよびS.Krishinaswami、「Drift−Free 10−kV,20−A 4H−SiC PiN Diodes」、Journal of Electrical Materials、第34巻、4号、2005年
【非特許文献2】Q.Zhang、C.Jonas、S.Ryu、A.AgarwalおよびJ.Palmour、「Design and Fabrications of High Voltage IGBTs on 4H−SiC」、ISPSD紀要、2006年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
SiC結晶材料成長の進歩によって、BPDに関係した問題を緩和するいくつかの方法が開発された。例えば、B.Hull、M.Das、J.Sumakeris、J.RichmondおよびS.Krishinaswami、「Drift−Free 10−kV,20−A 4H−SiC PiN Diodes」、Journal of Electrical Materials、第34巻、4号、2005年(非特許文献1)を参照されたい。これらの開発は、サイリスタ、GTOなどのSiCバイポーラ・デバイスの開発および/または潜在的応用を促進する可能性がある。たとえサイリスタおよび/またはGTOが低い順方向電圧降下を提供することができるとしても、それらは、ゲートの駆動および保護のために大きな整流回路を必要とする可能性がある。したがって、SiCバイポーラ・デバイスは、ゲート・ターンオフ能力を有することが望ましいことがある。それらの優れたオン状態特性のため、適度なスイッチング速度および/または優れたセーフ・オペレーション・エリア(safe−operation−area:SOA)を有する4H−SiC絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(insulated gate bipolar transistor:IGBT)は、電力スイッチング用途に対してますます適したものとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
いくつかの実施形態に基づく炭化シリコン・ベースの絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)は、第1の導電型を有する炭化シリコン基板と、第1の導電型とは反対の第2の導電型を有する炭化シリコン・ドリフト層と、ドリフト層内にあって第1の導電型を有するウェル領域とを含む。ドリフト層上には、炭化シリコン・エピタキシャル・チャネル調整層があり、この炭化シリコン・エピタキシャル・チャネル調整層は第2の導電型を有する。エピタキシャル・チャネル調整層の表面からエピタキシャル・チャネル調整層を貫通してウェル領域内へエミッタ領域が延びる。エミッタ領域は第2の導電型を有し、エミッタ領域に隣接したウェル領域内にチャネル領域を少なくとも部分的に画定する。チャネル領域上にゲート酸化物層があり、ゲート酸化物層上にゲートがある。
【0010】
炭化シリコン・ドリフト層は、ウェル領域に隣接したJFET領域を含むことができる。エミッタ領域は、JFET領域から間隔を置いて配置することができ、エミッタ領域とJFET領域の間にチャネル領域を画定することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の導電型をn型とすることができ、第2の導電型をp型とすることができる。
【0012】
このトランジスタはさらに、チャネル調整層の表面からウェル領域内へ延びる第1の導電型のコネクタ領域と、コネクタ領域上の第1のオーミック・コンタクトと、エミッタ領域上にあって、第1のオーミック・コンタクトとは異なる材料を含む第2のオーミック・コンタクトと、第1のオーミック・コンタクトと第2のオーミック・コンタクトとを電気的に接続した金属オーバレイヤとを含むことができる。
【0013】
第1のオーミック・コンタクトはニッケル・ベースの導電材料を含むことができ、第2のオーミック・コンタクトはアルミニウム・ベースの導電材料を含むことができる。
【0014】
チャネル調整層は約0.25μm以上の厚さを有することができる。さらに、エミッタ領域の底面からウェル領域の底面までの距離は約0.45μm以上である。チャネル調整層は、約0.1μmから約0.5μmの厚さ、および約1×1016cm−3から約5×1018cm−3の正味ドーピング濃度を有することができる。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態は、炭化シリコン内に絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)デバイスを形成するいくつかの方法を提供する。これらの方法は、n型炭化シリコン基板上にp型炭化シリコン・ドリフト層を形成する工程、p型炭化シリコン・ドリフト層内にn型ウェルを形成する工程、及び、p型炭化シリコン・ドリフト層上とn型ウェル上とにp型チャネル調整層をエピタキシャル成長させる工程を含む。チャネル層を貫通して炭化シリコン層の表面のn型ウェル内へ延びるp型エミッタ領域を形成するために、p型ドーパント・イオンを注入することができる。p型エミッタ領域は、p型エミッタ領域に隣接したn型ウェル内にチャネル領域を少なくとも部分的に画定する。これらの方法はさらに、チャネル層を貫通して炭化シリコン層の表面のn型ウェル内へ延びるn型コネクタ領域を形成するために、n型ドーパント・イオンを注入する工程を含む。注入されたイオンはアニールされる。チャネル領域上にゲート酸化物層が形成され、ゲート酸化物層上にゲートが形成される。
【0016】
これらの方法はさらに、注入物を活性化させるために黒鉛コーティングを形成する工程、および注入されたイオンをアニールした後に黒鉛コーティングを除去する工程を含むことができる。注入されたイオンをアニールする工程は、炭化シリコン層および黒鉛コーティングをアニールする工程を含むことができる。これらの方法はさらに、注入されたイオンをアニールする前に黒鉛コーティングを結晶化させる工程を含むことができる。
【0017】
注入されたイオンをアニールする工程は、注入されたイオンを、1700℃よりも高い温度、いくつかの実施形態では1800℃よりも高い温度でアニールする工程を含むことができる。ゲート酸化物層を形成する工程は、ゲート酸化物層を乾燥O中で形成する工程を含むことができ、この方法はさらに、ゲート酸化物層を湿潤O中でアニールする工程を含むことができる。具体的には、ゲート酸化物層を形成する工程が、ゲート酸化物層を乾燥O中で約1200℃以下の温度で形成する工程を含むことができる。
【0018】
これらの方法はさらに、ゲート酸化物層を形成した後、ゲート酸化物層を湿潤O中でアニールする前に、ゲート酸化物層を不活性雰囲気で約1200℃以下の温度でアニールする工程を含むことができる。
【0019】
ゲート酸化物層を湿潤O中でアニールする工程は、ゲート酸化物層を湿潤O中で約950℃以下の温度で、少なくとも1時間アニールする工程を含むことができる。
【0020】
酸化物層を湿潤O中でアニールする工程は、発熱室内において発熱性水蒸気を発生させる工程、発熱性水蒸気をアニール室に供給する工程、およびアニール室内で酸化物層をアニールする工程を含むことができる。発熱性水蒸気を発生させる工程は、発熱室を加熱する工程、発熱室に水素および酸素ガスを供給する工程、ならびに発熱性水蒸気を形成するために水素ガスおよび酸素ガスを燃焼させる工程を含むことができ、水素ガスおよび酸素ガスは、酸素に対する水素の分子比を約1.8以上として発熱室に供給される。
【0021】
これらの方法はさらに、n型ウェルに隣接したJFET領域を形成するために、ドリフト層内へp型ドーパント・イオンを注入する工程を含むことができる。p型エミッタ領域はJFET領域から間隔を置いて配置することができ、p型エミッタ領域とJFET領域の間にチャネル領域を画定することができる。
【0022】
チャネル調整層は、約0.1μmから約0.5μmの厚さ、および約1×1016cm−3から約5×1018cm−3の正味アクセプタ濃度を有することができる。
【0023】
特定の実施形態において、本発明は、以下を提供する。
[態様1]
第1の導電型を有する基板と、
前記第1の導電型とは反対の第2の導電型を有するドリフト層と、
前記ドリフト層内にあって前記第1の導電型を有するウェル領域と、
前記ドリフト層上にあって前記第2の導電型を有するエピタキシャル・チャネル調整層と、
前記エピタキシャル・チャネル調整層の表面から前記エピタキシャル・チャネル調整層を貫通して前記ウェル領域内へ延びるエミッタ領域であって、前記第2の導電型を有し、該エミッタ領域に隣接した前記ウェル領域内にチャネル領域を少なくとも部分的に画定するエミッタ領域と、
前記チャネル領域上のゲート酸化物層と、
前記ゲート酸化物層上のゲートと
を含む絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ。
[態様2]
前記ドリフト層は前記ウェル領域に隣接したJFET領域を含み、前記エミッタ領域は、前記JFET領域から間隔を置いて配置され、該エミッタ領域と前記JFET領域の間に前記チャネル領域を画定する、態様1に記載のトランジスタ。
[態様3]
前記第1の導電型はn型であり、前記第2の導電型はp型である、態様1に記載のトランジスタ。
[態様4]
前記チャネル調整層の表面から前記ウェル領域内へ延びる前記第1の導電型のコネクタ領域と、
前記コネクタ領域上の第1のオーミック・コンタクトと、
前記エミッタ領域上にあって、前記第1のオーミック・コンタクトとは異なる材料を含む第2のオーミック・コンタクトと、
前記第1のオーミック・コンタクトと前記第2のオーミック・コンタクトとを電気的に接続した金属オーバレイヤと
をさらに含む、態様1に記載のトランジスタ。
[態様5]
前記第1のオーミック・コンタクトはニッケル・ベースの導電材料を含み、前記第2のオーミック・コンタクトはアルミニウム・ベースの導電材料を含む、態様4に記載のトランジスタ。
[態様6]
前記チャネル調整層は約0.25μm以上の厚さを有する、態様1に記載のトランジスタ。
[態様7]
前記エミッタ領域の底面から前記ウェル領域の底面までの距離は約0.45μm以上である、態様1に記載のトランジスタ。
[態様8]
前記チャネル調整層は、約0.1μmから約0.5μmの厚さ、および約1×1016cm−3から約5×1018cm−3の正味ドーピング濃度を有する、態様1に記載のトランジスタ。
[態様9]
前記基板は炭化シリコン基板を含み、前記ドリフト層は、前記基板上の炭化シリコン・エピタキシャル層を含む、態様1に記載のトランジスタ。
[態様10]
n型基板と、
p型ドリフト層と、
前記ドリフト層内のn型ウェルと、
前記ドリフト層上のp型チャネル調整層と、
前記チャネル調整層を貫通して前記n型ウェル内へ延びるp型エミッタ領域であって、該p型エミッタ領域に隣接した前記n型ウェル内にチャネル領域を少なくとも部分的に画定するp型エミッタ領域と、
前記チャネル調整層を貫通して前記n型ウェル内へ延びるn型コネクタ領域と、
前記p型エミッタ領域上にあってアルミニウムを含む第1のオーミック・コンタクトと、
前記n型コネクタ領域上にあってニッケルを含む第2のオーミック・コンタクトと、
前記チャネル領域上のゲート酸化物層と、
前記ゲート酸化物層上のゲートと、
前記ゲート上にあって、前記第1のオーミック・コンタクトを露出させる第1の開口と、前記第2のオーミック・コンタクトを露出させる第2の開口とを含む層間誘電体層と、
前記層間誘電体層上にあって、前記第1のオーミック・コンタクトと前記第2のオーミック・コンタクトとを電気的に接続する金属オーバレイヤと
を含むトランジスタ。
[態様11]
絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)デバイスを形成する方法であって、
n型基板上にp型ドリフト層を形成する工程と、
前記p型ドリフト層内にn型ウェルを形成する工程と、
前記p型ドリフト層上および前記n型ウェル上にp型チャネル調整層をエピタキシャル成長させる工程と、
前記チャネル調整層を貫通して、前記ドリフト層の表面の前記n型ウェル内へ延びるp型エミッタ領域であって、該p型エミッタ領域に隣接した前記n型ウェル内にチャネル領域を少なくとも部分的に画定するp型エミッタ領域を形成するために、p型ドーパント・イオンを注入する工程と
前記チャネル層を貫通して、前記ドリフト層の表面の前記n型ウェル内へ延びるn型コネクタ領域を形成するために、n型ドーパント・イオンを注入すること、
前記注入されたイオンをアニールする工程と、
前記チャネル領域上にゲート酸化物層を形成する工程と、
前記ゲート酸化物層上にゲートを形成する工程と
を含む方法。
[態様12]
前記チャネル調整層上に黒鉛コーティングを形成する工程をさらに含み、前記注入されたイオンをアニールする工程は、前記チャネル調整層および前記黒鉛コーティングをアニールする工程を含み、
前記注入されたイオンをアニールする工程の後に前記黒鉛コーティングを除去する工程をさらに含む、態様11に記載の方法。
[態様13]
前記注入されたイオンをアニールする工程の前に前記黒鉛コーティングを結晶化させる工程をさらに含む、態様12に記載の方法。
[態様14]
前記注入されたイオンをアニールする工程は、前記注入されたイオンを1700℃よりも高い温度でアニールする工程を含む、態様12に記載の方法。
[態様15]
前記注入されたイオンをアニールする工程は、前記注入されたイオンを1800℃よりも高い温度でアニールする工程を含む、態様12に記載の方法。
[態様16]
前記ゲート酸化物層を形成する工程は、前記ゲート酸化物層を乾燥O中で形成する工程を含み、前記方法はさらに、前記ゲート酸化物層を湿潤O中でアニールする工程を含む、態様11に記載の方法。
[態様17]
前記ゲート酸化物層を形成する工程は、前記ゲート酸化物層を乾燥O中で約1200℃以下の温度で形成する工程を含む、態様16に記載の方法。
[態様18]
前記ゲート酸化物層を形成する工程の後、前記ゲート酸化物層を湿潤O中でアニールする工程の前に、前記ゲート酸化物層を不活性雰囲気で約1200℃以下の温度でアニールする工程をさらに含む、態様16に記載の方法。
[態様19]
前記ゲート酸化物層を湿潤O中でアニールする工程は、前記ゲート酸化物層を湿潤O中で約950℃以下の温度でアニールすることを含む、態様16に記載の方法。
[態様20]
前記ゲート酸化物層を湿潤O中でアニールする工程は、前記ゲート酸化物層を湿潤O中で少なくとも1時間アニールする工程を含む。態様19に記載の方法。
[態様21]
前記酸化物層を湿潤O中でアニールする工程は、発熱室内において発熱性水蒸気を発生させる工程と、前記発熱性水蒸気をアニール室に供給する工程と、前記アニール室内で前記酸化物層をアニールする工程とを含む、態様16に記載の方法。
[態様22]
発熱性水蒸気を発生させる工程は、前記発熱室を加熱する工程と、前記発熱室に水素および酸素ガスを供給する工程と、前記発熱性水蒸気を形成するために、前記水素ガスおよび前記酸素ガスを燃焼させる工程とを含み、前記水素ガスおよび前記酸素ガスは、酸素に対する水素の分子比を約1.8以上として前記発熱室に供給される、態様21に記載の方法。
[態様23]
前記n型ウェルに隣接したJFET領域を形成するために、前記ドリフト層内へp型ドーパント・イオンを注入することをさらに含み、前記p型エミッタ領域は、前記JFET領域から間隔を置いて配置され、該p型エミッタ領域と前記JFET領域の間にチャネル領域を画定する、態様11に記載の方法。
[態様24]
前記チャネル調整層は、約0.1μmから約0.5μmの厚さを有するように形成され、前記チャネル調整層は、約1×1016cm−3から約5×1018cm−3の正味アクセプタ濃度を有する、態様11に記載の方法。
[態様25]
前記基板は炭化シリコンを含み、前記ドリフト層はエピタキシャル炭化シリコン層を含む、態様11に記載の方法。
【0024】
本発明の理解を深めるために含められ、本出願に組み込まれ、本出願の一部を構成する添付図面は、本発明のある実施形態(1つまたは複数)を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明のいくつかの実施形態に基づく炭化シリコン絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)デバイスの断面図である。
図2A-2D】本発明のいくつかの実施形態に基づくIGBTデバイスを形成する際の中間構造を示す断面図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態に従って使用することができる発熱室およびアニール室を示す概略図である。
図4-5】本発明のいくつかの実施形態に基づくIGBTデバイスのオン状態I−V特性のプロットである。
図6】本発明のいくつかの実施形態に基づくIGBTデバイスのブロッキング電圧に対する漏れ電流密度のグラフである。
図7】本発明のいくつかの実施形態に基づくデバイスのスイッチング特性を試験するために使用されたクランプされた誘導スイッチング試験回路トポロジを示す図である。
図8】本発明のいくつかの実施形態に基づくデバイスの誘導スイッチング波形のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態が示された添付図面を参照して、本発明の実施形態をより詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化することができ、本発明が、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈してはならない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が網羅的かつ完全なものとなり、本発明の範囲が当業者に完全に伝わるように提供される。全体を通じて同様の符号は同様の要素を指す。
【0027】
本明細書では、さまざまな要素を記述するために第1、第2などの用語が使用されることがあるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素を他の要素から区別するためだけに使用される。例えば、本発明の範囲を逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。本明細書で使用されるとき、用語「および/または」は、記載された関連項目のうちの1つまたは複数の項目の任意の全ての組合せを含む。
【0028】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することだけを目的としており、本発明を限定することを意図したものではない。本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうではないと明確に指示していない限り、複数形も含むことが意図される。また、本明細書で使用されるとき、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」および/または「含む(including)」は、明示された特徴、整数、ステップ、動作、要素および/または構成要素の存在を示すが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素および/またはこれらのグループの存在または追加を除外するものではないことを理解されたい。
【0029】
そうでないと定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解される意味と同じ意味を有する。さらに、本明細書で使用される用語は、本明細書および関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致した意味を有するものと解釈されなければならず、本明細書においてそのように明示的に定義されない限り、理想化された意味またはあまりに形式的な意味に解釈されないことを理解されたい。
【0030】
層、領域、基板などの要素が、別の要素「上に」ある、または別の要素「上に」延びると記載されているとき、その要素は、その別の要素上に直接にあり、またはその別の要素上に直接に延びることができ、あるいは介在要素が存在してもよいことを理解されたい。対照的に、ある要素が、別の要素上に「直接に」あり、または別の要素上に「直接に」延びると記載されたとき、介在要素は存在しない。また、ある要素が、別の要素に「接続」または「結合」されていると記載されているとき、その要素は、その別の要素に直接に接続または結合されており、あるいは介在要素が存在してもよいことを理解されたい。対照的に、ある要素が、別の要素に「直接に接続され」、または「直接に結合され」ていると記載されているとき、介在要素は存在しない。
【0031】
本明細書では、図に示された1つの要素、層または領域と別の要素、層または領域との関係を記述するために、「下方」、「上方」、「上側」、「下側」、「水平(horizontal)」、「水平(lateral)」、「垂直」などの相対的な用語が使用されることがある。これらの用語は、図に示された方向だけでなく、デバイスのさまざまな方向を包含することが意図されることを理解されたい。
【0032】
本明細書では、本発明の実施形態が、本発明の理想化された実施形態(および中間構造)の概略図である断面図を参照して説明される。分かりやすくするため、これらの図面では、層および領域の厚さが誇張されていることもある。さらに、例えば製造技法および/または製作公差の結果として、形状が図の形状とは異なることが予想される。したがって、本発明の実施形態は、本明細書に示された領域の特定の形状に限定されると解釈すべきでなく、例えば製造に起因する形状の変動を含むものと解釈すべきである。例えば、長方形として示された被注入領域は、一般に、丸まったまたはカーブした形状を有し、かつ/またはその周縁部において、注入物の濃度が、被注入領域から非注入領域へ不連続に変化するのではなく、ある勾配をもって変化する。同様に、注入によって形成された埋没領域は、埋没領域と注入が実施された表面と間の領域に、注入の一部を残す可能性がある。このように、図に示された領域は本質的に概略的なものであり、それらの形状は、デバイスのある領域の実際の形状を示すことを意図したものではなく、本発明の範囲を限定することを意図したものでもない。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態は、その層および/または領域の多数キャリアの濃度を示すn型、p型などの導電型を有することを特徴とする半導体層および/または領域に関して説明される。したがって、n型材料は、負に帯電した電子の多数平衡濃度を有し、p型材料は、正に帯電した正孔の多数平衡濃度を有する。いくつかの材料は、他の層または領域に比べて多数キャリアの濃度が相対的に高い(「+」)または低い(「−」)ことを示すために、(n+、n−、p+、p−、n++、n−−、p++、p−−などのように)「+」または「−」を付けて示されることがある。しかしながら、このような表記は、ある層または領域中に、特定の濃度の多数または少数キャリアが存在することを意味しない。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態は、高電力および/または高温用途に適した絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)を提供する。本発明のいくつかの実施形態は高電圧プレーナIGBTを提供する。本明細書に記載された本発明の実施形態は炭化シリコン基板およびエピタキシャル層を含むが、本明細書に記載された原理および構造は、シリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、窒化ガリウムおよびこれらの合金などの他の材料を使用して形成されたデバイスにおいても有利に使用することができる。
【0035】
最初に報告されたSiCに製造されたプレーナ・ゲート5.8kV IGBTは、2005年にn型基板上に構築された。Q.Zhang、C.Jonas、S.Ryu、A.AgarwalおよびJ.Palmour、「Design and Fabrications of High Voltage IGBTs on 4H−SiC」、ISPSD紀要、2006年(非特許文献2)を参照されたい。nチャネルIGBTのために必要な高品質、低抵抗率のp−SiC基板がなかったため、pチャネルIGBTが選択された。このデバイスは、ゲート・バイアス−30V、25℃で約570mΩ×cmの微分オン抵抗(differential on−resistance)(Rdiff,on)を示し、200℃で約118mΩ×cmまで低下する。この高いオン抵抗は主に、短いバルク・キャリア寿命および低い正孔チャネル移動度によるものと考えられた。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態に基づくIGBT構造が図1に示されている。図1に示されたデバイス10の構造などのプレーナ・デバイス構造は、プロセスの単純化および/またはデバイス信頼性の向上を提供することができる。しかしながら、他のデバイス構造も有利に使用することができる。
【0037】
図1のデバイス10は、n型基板12上に、p型バッファ層14およびp−ドリフト・エピタキシャル層16を含む。基板12は、n+型8°オフアクシス(off−axis)4H−SiC基板を含むことができる。p−ドリフト層16は、約110μmの厚さを有することができ、p−ドリフト層16には、p型ドーパントを、所望のブロッキング電圧を提供するように選択されたドーピング濃度にドープすることができる。例えば、p−ドリフト層16には、ブロッキング能力を10kVにするために、p型ドーパントを、約2×1014cm−3から約6×1014cm−3のドーピング濃度にドープすることができる。p型バッファ層14は、約1μmから約2μmの厚さを有することができ、p型バッファ層14には、p型ドーパントを、約1×1017cm−3のドーピング濃度にドープすることができる。p型バッファ層14は、パンチスルーを防ぐチャネル・ストップ層として提供される。
【0038】
p型ドリフト層16の表面にはn+ウェル領域18が形成される。n+ウェル領域18は、イオン注入によって形成することができ、ドリフト層16内へ約0.5μm延びることができる。
【0039】
ドリフト層16上には、エピタキシャルp型チャネル調整層40がある。チャネル調整層40は、約0.1μmから約0.5μmの厚さを有することができ、チャネル調整層40には、約1×1016cm−3から約5×1018cm−3の正味(net)アクセプタ濃度を有するように、p型ドーパントをドープすることができる。具体的には、エピタキシャルp型チャネル調整層40は約0.25μmの厚さを有することができ、アルミニウム・イオンなどのアクセプタ・イオンを、約1×1017cm−3のドーピング濃度にドープすることができる。p型チャネル調整層40が存在することによって、デバイス10のしきい電圧を変更し、かつ/または反転チャネル移動度を向上させることができる。
【0040】
デバイス10はさらに、n+コネクタ領域24およびp+エミッタ領域22を含み、これらはそれぞれ、例えば窒素およびアルミニウムの選択注入によって形成することができる。n+コネクタ領域24およびp+エミッタ領域22は、p型チャネル調整層40を貫通してn+ウェル領域18内へ延びる。いくつかの実施形態では、p+エミッタ領域22の底面とn+ウェル領域18の底面との間の距離dを約0.45μm以上とすることができる。距離dを大きくすると、n+ウェル領域18の抵抗をより低くすることができ、その結果、デバイス10のオン状態抵抗を向上させることができる。
【0041】
デバイスの周縁に、ガードリング(gurad−ring)ベースのエッジ端子(図示せず)を提供することができる。他のタイプのエッジ端子を使用してもよい。
【0042】
デバイス10は、隣接するn+ウェル領域18間のドリフト層16内にJFET領域20を含む。隣接するn+ウェル領域18からのJFET抵抗を低減させるために、JFET領域20にp型ドーパントを注入することができる。いくつかの実施形態では、JFET領域20を、エピタキシャル成長プロセスによって形成することができる。
【0043】
デバイス10はさらにゲート絶縁層26を含み、ゲート絶縁層26は、約400〜1000Åの厚さを有する二酸化シリコンを含むことができる。
【0044】
ゲート絶縁層26上には、例えばポリシリコンのゲート28が形成される。デバイス10のこの表面には層間誘電体層33があり、ゲート28を電気的に絶縁する。
【0045】
n+コネクタ領域24にはn型オーミック・コンタクト35が形成され、p+エミッタ領域22にはp型オーミック・コンタクト37が形成される。n型オーミック・コンタクト35は、Niおよび/またはNiSiなどのニッケル・ベースの導電層を含むことができる。p型オーミック・コンタクト37は、Alおよび/またはAlSiなどのアルミニウム・ベースの導電層を含むことができる。層間誘電体層33上には金属オーバレイヤ(overlayer)39が形成され、金属オーバレイヤ39は、n型コネクタ領域24とp型エミッタ領域22とを、それらのそれぞれのオーミック・コンタクト35、37を介して電気的に接続する。基板12上には、n型金属コレクタ・オーミック・コンタクト32が形成される。
【0046】
図2Aから2Dは、デバイス10の形成中に実行され得るいくつかの操作および形成され得る中間構造10Aから10Dを示す。図2Aを参照すると、n+型8°オフアクシス4H−SiC基板12上に、p型SiCバッファ14およびp−SiCドリフト層16がエピタキシャル成長によって形成される。p型バッファ層14は、約1μmから約2μmの厚さを有することができ、p型バッファ層14には、p型ドーパントを、約1×1017cm−3のドーピング濃度にドープすることができる。p型ドリフト層16の形成後、例えばドリフト層16内への窒素などのドナー・イオンの注入によって、n+ウェル領域18が形成される。n+ウェル領域18を可能な限り深く注入することが望ましいことがある。n+ウェル領域18の深さは、使用可能な注入エネルギーによって制限されることがある。
【0047】
次いで、注入されたイオンを活性化させるために、この構造を、約1600℃以上の温度でアニールすることができる。具体的には、この構造を、n型ドーパントを活性化させることが当技術分野で知られている標準的なSiC活性化アニール条件でアニールすることができる。
【0048】
JFET領域20は例えば、隣接するn+ウェル領域18間のドリフト層16内にアルミニウムを注入することによって形成することができる。隣接するn+ウェル領域18からのJFET抵抗を低減させるために、JFET領域20にp型ドーパントを注入することができる。具体的には、JFETの抵抗を低下させ、同時に注入損傷を許容可能なレベルに維持するように、JFETの注入ドーズを選択することができる。いくつかの実施形態では、このJFET注入を、JFET領域20のドーパント濃度を約1×1016cm−3にするのに十分なドーズで実行することができる。いくつかの実施形態では、このJFET領域を、エピタキシャル成長プロセスによって形成することができる。
【0049】
図2Bを参照すると、ドリフト層16上にエピタキシャル・チャネル調整層40が、例えばよく知られているSiCエピタキシャル再成長技法を使用して形成される。チャネル調整層40には、アクセプタ・イオンを、約1×1017cm−3のドーピング濃度にドープすることができる。
【0050】
エピタキシャル・チャネル調整層40は、デバイスのしきい電圧を変更し、かつ/または反転チャネル移動度を向上させることができる。チャネル調整層40はさらに、n型ウェル領域18に比べて浅いp型ソース領域22の形成を可能にすることができる。再成長させたチャネル調整層40の表面の方にp型エミッタ注入22を引き上げることでn型ウェル領域18をより深くすることによって、デバイスのラッチアップを低減させまたは防ぐことができる。n+ウェル18を深くすると、p型エミッタ領域22の底面とn+ウェル18の底面との間の間隔dが大きくなるため、Nウェル抵抗をより低くすることができる。より低いnウェル抵抗は、デバイスのラッチアップ電流を増大させることができ、かつ/またはより良好なオン状態抵抗を提供することができる。
【0051】
図2Cを参照すると、例えばエピタキシャル・チャネル調整層40内へ/エピタキシャル・チャネル調整層を貫通してドナー・イオンおよびアクセプタ・イオンを選択注入することによって、それぞれn型コネクタ領域24およびp型エミッタ領域22が形成される。
【0052】
図2Cに示された距離dは、n型ウェル領域18の垂直方向の長さおよびp型エミッタ領域22の垂直方向の長さの関数であることが理解される。一般に、p型エミッタ領域22の底面とn+ウェル18領域の底面との間の間隔dをできる限り大きくすることが望ましい。さらに、前述のとおり、p型エミッタ領域22は、p型エピタキシャル・チャネル調整層40の形成後に形成することができる。こうして、ウェル領域18の厚さ(深さ)は、デバイスを製造するために使用されるシステムの最大注入エネルギーによって決定される。しかしながら、n型ウェル領域18内へのp+エミッタ領域22の貫入深さは、約0.25μmとすることができるエピタキシャル・チャネル調整層40の厚さの分だけ減少させることができる。
【0053】
図2Cをさらに参照すると、シリコン加圧下で、かつ/または黒鉛膜などのカプセル層によって覆われた状態で、約1600℃以上の温度でこの構造をアニールすることによって、注入されたドーパントを活性化することができる。いくつかの実施形態では、黒鉛カプセル層を使用し、約1700℃を超える温度でアニールすることによって、注入物を活性化することができる。
【0054】
高温活性化アニール(例えば1700℃以上)は、しきい値調整イオンの活性化およびチャネル領域40の欠陥のアニールを強化することができる。しかしながら、このような高温アニールは、炭化シリコン・ドリフト層16の表面を傷つける可能性がある。
【0055】
図2Cを参照すると、高温アニールの結果生じ得る損傷を低減させるため、ゲート酸化物26、ゲート・コンタクト28およびエミッタ・コンタクト30を形成する前に、構造10Cの表面に黒鉛コーティング50を形成することができる。すなわち、注入されたイオンを活性化するために構造10Cをアニールする前に、構造10Cの上面/表側に、アニールの間、構造の表面を保護する黒鉛コーティング50を堆積させることができる。黒鉛コーティング50は、従来のレジスト・コーティング法によって堆積させることができ、高温アニールの間、下にあるSiC層を保護するのに十分な厚さを有することができる。黒鉛コーティング50は例えば約1μmの厚さを有することができる。チャネル調整層40上に結晶性のコーティングを形成するため、黒鉛コーティング50を加熱することができる。注入されたイオンは、熱アニールによって活性化することができ、この熱アニールは例えば、不活性ガス中で、約1700℃以上の温度で実行することができる。具体的には、この熱アニールを、アルゴン中で、約1850℃の温度で5分間実行することができる。黒鉛コーティング50は、この高温アニールの間、エピタキシャル・チャネル調整層40および/またはドリフト層16の表面を保護するのに役立つことができる。
【0056】
次いで、黒鉛コーティング50を、例えばアッシングおよび熱酸化によって除去することができる。
【0057】
注入物のアニールの後、厚さ約1μmの例えば二酸化シリコンのフィールド酸化物(図示せず)を堆積させ、これをパターン形成して、デバイスの活性領域を露出させることができる。
【0058】
図2Dを参照すると、ゲート酸化プロセスによってゲート絶縁層26を形成することができ、ゲート酸化物の最終的な厚さは400〜600Åとすることができる。
【0059】
ゲート絶縁層26は、黒鉛キャップ層50を除去した後、ドリフト層16の露出した表面に成長させることができる。ゲート絶縁層26は、乾燥O中でのバルク酸化物の成長と、それに続く湿潤O中でのバルク酸化物のアニールとを含む乾/湿式酸化プロセスによって成長させた酸化物層を含むことができ、この乾/湿式酸化プロセスは例えば、その開示の全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,972,801号(特許文献1)に記載されている。本明細書で使用されるとき、湿潤O中での酸化物のアニールは、OとHO蒸気の両方を含む環境での酸化物のアニールを指す。乾式酸化物成長と湿式酸化物成長の間にアニールを実行することができる。乾式O酸化物成長は、例えば、石英炉管内で、最高約1200℃の温度の乾燥O中で、少なくとも約2.5時間実行することができる。乾式酸化物成長は、バルク酸化物層を所望の厚さに成長させるために実行される。乾式酸化物成長の温度が酸化物の成長速度に影響を及ぼすことがある。例えば、処理温度が高いほど、酸化物の成長速度は高くなる。最高成長温度は、使用されるシステムによって異なる。乾燥O成長に関しては、石英管の代わりに例えば炭化ケイ素炉を使用することによって、より高い温度を達成することができる。しかしながら、より高い温度は酸化物の質を向上させない可能性がある。
【0060】
いくつかの実施形態では、この乾式O酸化物成長を、乾燥O中で、約1175℃の温度で、約3.5時間実行することができる。その結果生じた酸化物層を、不活性雰囲気で、最高約1200℃の温度でアニールすることができる。具体的には、その結果生じた酸化物層を、Ar中で、約1175℃の温度で、約1時間アニールすることができる。
【0061】
湿式O酸化物アニールは、約950℃以下の温度で、少なくとも約1時間実行することができる。追加の界面状態を導入する可能性があるSiC/SiO界面でのさらなる熱酸化物成長を防ぐため、湿式Oアニールの温度を制限することができる。具体的には、湿式Oアニールは、湿潤O中で、約950℃の温度で、約3時間実行することができる。その結果生じるゲート絶縁層26は約500Åの厚さを有することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、湿式Oアニール・プロセスにおいて使用される水蒸気を、発熱プロセス(pyrogenic process)を使用して発生させることができ、その結果起こる湿式Oアニールを「発熱性酸化(pyrogenic oxidation)」と呼ぶことができる。図3を参照すると、発熱性酸化では、約800℃などの高温に加熱された、アニール室220とは別個の発熱室210内へ、酸素(O)ガスおよび水素(H)ガスが流される。水素および酸素ガスは発熱室210内で燃焼し、水蒸気(HO)と酸素(O)の混合物を形成し、これがアニール室220に供給される。
【0063】
いくつかのケースでは、発熱室210内への水素および酸素の流量を、水素と酸素の分子比が2:1に近づくように、しかし2:1を超えないように調整することが望ましいことがある。すなわち、アニール室220に供給される混合物が、合理的な安全限界内において、できるだけ湿っていることが望ましい場合がある。いくつかのケースでは、水素/酸素比1.8:1または1.9:1を使用することができる。
【0064】
図2Dを再び参照すると、ゲート絶縁層26の形成後、ポリシリコン・ゲート28を堆積させることができ、ポリシリコン・ゲート28に例えばホウ素をドープすることができ、続いて、ゲート抵抗を低減させるためにメタライゼーション・プロセスを実施することができる。構造10D上に、例えば二酸化シリコンの層間誘電体層33が形成され、層間誘電体層33は、ゲート28および構造10Dの露出部分を覆う。層間誘電体層33にヴィアホールがあけられ、p型エミッタ領域22およびn型コネクタ領域24に達するオーミック・コンタクトが形成される。p型オーミック金属エミッタ・コンタクト37として、Alおよび/またはAlSiなどのAlベースの導電材料を堆積させることができ、n型オーミック金属コンタクト35として、Niおよび/またはNi/SiなどのNiベースの導電層を堆積させることができる。全てのコンタクトを急速熱アニール装置(RTA)内で焼結させることができる。図1に示されているように、p型エミッタ領域22とn型コネクタ領域24とを電気的に接続するために、層間誘電体層上に、厚いTi/Au層などの金属オーバレイヤ39を堆積させることができる。デバイス10の裏面コンタクトとしてn型コレクタ・コンタクト32が形成される。
【0065】
アクティブエリアが0.4mmの前述のプレーナIGBTを製造し、ゲートおよびコレクタに負電位を与えてオン状態およびブロッキング特性を評価した。最大ゲート・バイアスを約−20Vとしたときの0.4mmIGBTの室温におけるオン状態特性が図4に示されている。ニー電圧は約−3Vであり、エミッタおよびコレクタ上の良好なオーム接触を示している。微分オン抵抗は88mΩ×cmであり、高電圧IGBTに対して最も低い値である。このようなデバイスの電力損を300W/cmに設定すると、コレクタ電流密度は約50A/cmである。この電流密度レベルで、コレクタの電圧降下は約−8.65Vであり、これは、固有オン抵抗約173mΩ×cmに対応する。
【0066】
オン状態において、本発明の実施形態に基づくIGBTは正の温度係数を示すことができる。図5は、同じデバイスの200℃におけるI−V特性を示す。ニー電圧は、−3Vのまま比較的に一定である。微分オン抵抗は、ゲート・バイアス−20Vで約25mΩ×cmまでさらに低下する。コレクタ電流密度50A/cmにおいて、コレクタの電圧降下は約−5.30Vに低下し、これは、固有オン抵抗約106mΩ×cmに対応する。高温におけるオン抵抗の低下は、現在使用されているSiC材料内のキャリア寿命が、IGBTオン状態電流伝導能力に関する支配的因子であることを示している可能性がある。10kVクラスのSiC DMOSFETと比較すると、本発明のいくつかの実施形態に基づくIGBTは、おそらくは不十分な抵抗率変調のため、室温においてより高い電圧降下を示す。しかし、高温では、電圧降下が、DMOSFETの値よりも小さくなる。
【0067】
図6は、同じデバイスの室温における電圧ブロッキング特性を示す。具体的には、ゲート電極をエミッタとともに接地し、空気中でのアーク放電を防ぐためFluorinertに浸漬した前述のIGBTデバイスを試験した。図6に示されているように、ゲート・バイアス0Vで、9kVのブロッキング電圧および約0.1mA/cm未満の漏れ電流密度が達成された。デバイス端子周縁で破壊が起こり、このことは、より良好なエッジ端子設計によって、ドリフト層の厚さによって決定されるブロッキング電圧に近づく余地があることを示している可能性がある。
【0068】
IGBTとともに製造された水平4H−SiC p−MOSFETの正孔移動度およびMOSしきい電圧の測定は、このMOSFETデバイスが、室温で約6.5cm/V−sのピーク・チャネル移動度および約−7.5Vのしきい電圧を有することを示す。このチャネル移動度は、100℃で、最大値約8.2cm/V−sに達し、しきい電圧は温度とともに低下する。
【0069】
本発明の実施形態に基づくIGBTデバイスでスイッチング試験を実行した。このスイッチング試験には、図7に示されたクランプされた導スイッチング試験回路トポロジ(clamped Inductive Switching Test Circuit topology)を使用した。高い伝導電流を達成するため、このスイッチング試験に使用したIGBTデバイス10のアクティブエリアは4mmとしたが、試験デバイスのそのほかの設計は、前述の設計と同様である。この試験回路では、IGBT10が、フリーホイーリング・ダイオードD1によってクランピングされた1.1mHの誘導負荷L1に結合される。ダイオードD1は、ゼロ逆回復(zero reverse recovery)の2つの直列Cree CSD10120 SiCショットキー・ダイオードを含む。1つのCSD10120ダイオードの定格は1200Vおよび10Aであり、そのため、2つの直列のダイオードは、2400Vのブロッキング能力を提供することができる。キャパシタC1は2μFの静電容量を有し、4kVまでの電圧を取り扱う能力を有する。IGBTをオンにするために、電圧源Vinからの0から−20Vの負パルスを使用した。電源電圧Vssは−500Vである。
【0070】
図8は、コレクタ電圧−500Vでの25℃におけるスイッチング波形を示す。図8では、水平軸が時間(500ns/目盛)を示し、垂直軸が、ボルト(200V/目盛)および電流(1A/目盛)を示す。立下り時間tfallは、ターンオフにおいて、コレクタ電流が、その2Aであるピークの90%から5%まで低下するのにかかる時間と定義される。立上り時間triseは、ターンオンにおいて、コレクタ電流が、2Aである電流ピークの5%から90%まで上昇するのにかかる時間である。ターンオン遅延時間は、ゲート・バイアス−20が印加されてから、コレクタ電流が2Aピークへ上昇するまでの時間である。ターンオフ遅延時間は、ゲート・バイアスの除去から、コレクタ電流がゼロに向かって低下するまでの時間である。
【0071】
表1は、さまざまな温度に対するスイッチング時間を示す。合計スイッチング時間は室温で約350nsであり、200℃では約460nsに増大する。このIGBTは高速スイッチング能力を特徴とし、幅広い温度範囲にわたって高周波数で動作させることができる。合計スイッチング時間の支配的部分はターンオフ遅延時間である可能性があり、これは主に入力キャパシタによって決定される。
【0072】
【表1】
【0073】
本発明のいくつかの実施形態に基づくSiC IGBTsは、高電力および/または高温用途に適する可能性がある。本発明のいくつかの実施形態は、n型4H−SiC基板上の高電圧プレーナIGBTを提供する。いくつかの実施形態では、ゲート・バイアス約−20Vにおいて、25℃で約88mΩ×cmの微分オン抵抗が達成され、200℃では約24.8mΩ×cmまで低下する。本発明の実施形態に基づくデバイスは、約9kVのブロッキング電圧および約0.1mA/cm以下の漏れ電流密度を示すことができる。室温で、正孔チャネル移動度約6.5cm/V−sおよびしきい電圧−6.5Vが達成され、これらは伝導能力の向上につながる。誘導スイッチング試験は、本発明のいくつかの実施形態に基づくIGBTが、室温と高温の両方で高速スイッチング能力を示すことができることを示した。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態に基づくIGBTデバイスは低いオン状態抵抗を示すことができる。具体的には、埋込みチャネルの注入/再成長、熱酸化、注入物の高温活性化、および/または注入物活性化中の黒鉛カプセル封入のうちの1つまたは複数を使用することによって、高いチャネル移動度を達成することができる。本発明のいくつかの実施形態は、高いチャネル密度と低いJFET抵抗との間のより良好なトレードオフを有する最適化されたセル設計を提供することができる。さらに、本発明のいくつかの実施形態は、キャリア注入効率を向上させ、同時に所望のブロッキング能力を維持するように構成されたフィールド・ストッパ層を提供することができる。エピタキシャル・チャネル再成長によって、ならびに/または、高温アニールおよび/もしくは黒鉛カプセル封入を使用したしきい値調整/埋込みチャネル注入物の活性化によって、高いチャネル移動度を得ることができる。高い正孔キャリア濃度を得るために、P型エピタキシャル成長によって、P型エミッタからの高い多数キャリア注入を得ることができる。さらに、本発明のいくつかの実施形態は、nおよびp型材料上の低いオーム接触抵抗を提供することができる。
【0075】
図面および明細書には、本発明の代表的な実施形態が開示されている。特定の用語が使用されるが、それらは、一般的かつ記述的な意味においてのみ使用されており、限定目的では使用されていない。本発明の範囲は以下の特許請求の範囲に記載されている。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8