【課題を解決するための手段】
【0009】
いくつかの実施形態に基づく炭化シリコン・ベースの絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)は、第1の導電型を有する炭化シリコン基板と、第1の導電型とは反対の第2の導電型を有する炭化シリコン・ドリフト層と、ドリフト層内にあって第1の導電型を有するウェル領域とを含む。ドリフト層上には、炭化シリコン・エピタキシャル・チャネル調整層があり、この炭化シリコン・エピタキシャル・チャネル調整層は第2の導電型を有する。エピタキシャル・チャネル調整層の表面からエピタキシャル・チャネル調整層を貫通してウェル領域内へエミッタ領域が延びる。エミッタ領域は第2の導電型を有し、エミッタ領域に隣接したウェル領域内にチャネル領域を少なくとも部分的に画定する。チャネル領域上にゲート酸化物層があり、ゲート酸化物層上にゲートがある。
【0010】
炭化シリコン・ドリフト層は、ウェル領域に隣接したJFET領域を含むことができる。エミッタ領域は、JFET領域から間隔を置いて配置することができ、エミッタ領域とJFET領域の間にチャネル領域を画定することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の導電型をn型とすることができ、第2の導電型をp型とすることができる。
【0012】
このトランジスタはさらに、チャネル調整層の表面からウェル領域内へ延びる第1の導電型のコネクタ領域と、コネクタ領域上の第1のオーミック・コンタクトと、エミッタ領域上にあって、第1のオーミック・コンタクトとは異なる材料を含む第2のオーミック・コンタクトと、第1のオーミック・コンタクトと第2のオーミック・コンタクトとを電気的に接続した金属オーバレイヤとを含むことができる。
【0013】
第1のオーミック・コンタクトはニッケル・ベースの導電材料を含むことができ、第2のオーミック・コンタクトはアルミニウム・ベースの導電材料を含むことができる。
【0014】
チャネル調整層は約0.25μm以上の厚さを有することができる。さらに、エミッタ領域の底面からウェル領域の底面までの距離は約0.45μm以上である。チャネル調整層は、約0.1μmから約0.5μmの厚さ、および約1×10
16cm
−3から約5×10
18cm
−3の正味ドーピング濃度を有することができる。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態は、炭化シリコン内に絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)デバイスを形成するいくつかの方法を提供する。これらの方法は、n型炭化シリコン基板上にp型炭化シリコン・ドリフト層を形成する工程、p型炭化シリコン・ドリフト層内にn型ウェルを形成する工程、及び、p型炭化シリコン・ドリフト層上とn型ウェル上とにp型チャネル調整層をエピタキシャル成長させる工程を含む。チャネル層を貫通して炭化シリコン層の表面のn型ウェル内へ延びるp型エミッタ領域を形成するために、p型ドーパント・イオンを注入することができる。p型エミッタ領域は、p型エミッタ領域に隣接したn型ウェル内にチャネル領域を少なくとも部分的に画定する。これらの方法はさらに、チャネル層を貫通して炭化シリコン層の表面のn型ウェル内へ延びるn型コネクタ領域を形成するために、n型ドーパント・イオンを注入する工程を含む。注入されたイオンはアニールされる。チャネル領域上にゲート酸化物層が形成され、ゲート酸化物層上にゲートが形成される。
【0016】
これらの方法はさらに、注入物を活性化させるために黒鉛コーティングを形成する工程、および注入されたイオンをアニールした後に黒鉛コーティングを除去する工程を含むことができる。注入されたイオンをアニールする工程は、炭化シリコン層および黒鉛コーティングをアニールする工程を含むことができる。これらの方法はさらに、注入されたイオンをアニールする前に黒鉛コーティングを結晶化させる工程を含むことができる。
【0017】
注入されたイオンをアニールする工程は、注入されたイオンを、1700℃よりも高い温度、いくつかの実施形態では1800℃よりも高い温度でアニールする工程を含むことができる。ゲート酸化物層を形成する工程は、ゲート酸化物層を乾燥O
2中で形成する工程を含むことができ、この方法はさらに、ゲート酸化物層を湿潤O
2中でアニールする工程を含むことができる。具体的には、ゲート酸化物層を形成する工程が、ゲート酸化物層を乾燥O
2中で約1200℃以下の温度で形成する工程を含むことができる。
【0018】
これらの方法はさらに、ゲート酸化物層を形成した後、ゲート酸化物層を湿潤O
2中でアニールする前に、ゲート酸化物層を不活性雰囲気で約1200℃以下の温度でアニールする工程を含むことができる。
【0019】
ゲート酸化物層を湿潤O
2中でアニールする工程は、ゲート酸化物層を湿潤O
2中で約950℃以下の温度で、少なくとも1時間アニールする工程を含むことができる。
【0020】
酸化物層を湿潤O
2中でアニールする工程は、発熱室内において発熱性水蒸気を発生させる工程、発熱性水蒸気をアニール室に供給する工程、およびアニール室内で酸化物層をアニールする工程を含むことができる。発熱性水蒸気を発生させる工程は、発熱室を加熱する工程、発熱室に水素および酸素ガスを供給する工程、ならびに発熱性水蒸気を形成するために水素ガスおよび酸素ガスを燃焼させる工程を含むことができ、水素ガスおよび酸素ガスは、酸素に対する水素の分子比を約1.8以上として発熱室に供給される。
【0021】
これらの方法はさらに、n型ウェルに隣接したJFET領域を形成するために、ドリフト層内へp型ドーパント・イオンを注入する工程を含むことができる。p型エミッタ領域はJFET領域から間隔を置いて配置することができ、p型エミッタ領域とJFET領域の間にチャネル領域を画定することができる。
【0022】
チャネル調整層は、約0.1μmから約0.5μmの厚さ、および約1×10
16cm
−3から約5×10
18cm
−3の正味アクセプタ濃度を有することができる。
【0023】
特定の実施形態において、本発明は、以下を提供する。
[態様1]
第1の導電型を有する基板と、
前記第1の導電型とは反対の第2の導電型を有するドリフト層と、
前記ドリフト層内にあって前記第1の導電型を有するウェル領域と、
前記ドリフト層上にあって前記第2の導電型を有するエピタキシャル・チャネル調整層と、
前記エピタキシャル・チャネル調整層の表面から前記エピタキシャル・チャネル調整層を貫通して前記ウェル領域内へ延びるエミッタ領域であって、前記第2の導電型を有し、該エミッタ領域に隣接した前記ウェル領域内にチャネル領域を少なくとも部分的に画定するエミッタ領域と、
前記チャネル領域上のゲート酸化物層と、
前記ゲート酸化物層上のゲートと
を含む絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ。
[態様2]
前記ドリフト層は前記ウェル領域に隣接したJFET領域を含み、前記エミッタ領域は、前記JFET領域から間隔を置いて配置され、該エミッタ領域と前記JFET領域の間に前記チャネル領域を画定する、態様1に記載のトランジスタ。
[態様3]
前記第1の導電型はn型であり、前記第2の導電型はp型である、態様1に記載のトランジスタ。
[態様4]
前記チャネル調整層の表面から前記ウェル領域内へ延びる前記第1の導電型のコネクタ領域と、
前記コネクタ領域上の第1のオーミック・コンタクトと、
前記エミッタ領域上にあって、前記第1のオーミック・コンタクトとは異なる材料を含む第2のオーミック・コンタクトと、
前記第1のオーミック・コンタクトと前記第2のオーミック・コンタクトとを電気的に接続した金属オーバレイヤと
をさらに含む、態様1に記載のトランジスタ。
[態様5]
前記第1のオーミック・コンタクトはニッケル・ベースの導電材料を含み、前記第2のオーミック・コンタクトはアルミニウム・ベースの導電材料を含む、態様4に記載のトランジスタ。
[態様6]
前記チャネル調整層は約0.25μm以上の厚さを有する、態様1に記載のトランジスタ。
[態様7]
前記エミッタ領域の底面から前記ウェル領域の底面までの距離は約0.45μm以上である、態様1に記載のトランジスタ。
[態様8]
前記チャネル調整層は、約0.1μmから約0.5μmの厚さ、および約1×10
16cm
−3から約5×10
18cm
−3の正味ドーピング濃度を有する、態様1に記載のトランジスタ。
[態様9]
前記基板は炭化シリコン基板を含み、前記ドリフト層は、前記基板上の炭化シリコン・エピタキシャル層を含む、態様1に記載のトランジスタ。
[態様10]
n型基板と、
p型ドリフト層と、
前記ドリフト層内のn型ウェルと、
前記ドリフト層上のp型チャネル調整層と、
前記チャネル調整層を貫通して前記n型ウェル内へ延びるp型エミッタ領域であって、該p型エミッタ領域に隣接した前記n型ウェル内にチャネル領域を少なくとも部分的に画定するp型エミッタ領域と、
前記チャネル調整層を貫通して前記n型ウェル内へ延びるn型コネクタ領域と、
前記p型エミッタ領域上にあってアルミニウムを含む第1のオーミック・コンタクトと、
前記n型コネクタ領域上にあってニッケルを含む第2のオーミック・コンタクトと、
前記チャネル領域上のゲート酸化物層と、
前記ゲート酸化物層上のゲートと、
前記ゲート上にあって、前記第1のオーミック・コンタクトを露出させる第1の開口と、前記第2のオーミック・コンタクトを露出させる第2の開口とを含む層間誘電体層と、
前記層間誘電体層上にあって、前記第1のオーミック・コンタクトと前記第2のオーミック・コンタクトとを電気的に接続する金属オーバレイヤと
を含むトランジスタ。
[態様11]
絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)デバイスを形成する方法であって、
n型基板上にp型ドリフト層を形成する工程と、
前記p型ドリフト層内にn型ウェルを形成する工程と、
前記p型ドリフト層上および前記n型ウェル上にp型チャネル調整層をエピタキシャル成長させる工程と、
前記チャネル調整層を貫通して、前記ドリフト層の表面の前記n型ウェル内へ延びるp型エミッタ領域であって、該p型エミッタ領域に隣接した前記n型ウェル内にチャネル領域を少なくとも部分的に画定するp型エミッタ領域を形成するために、p型ドーパント・イオンを注入する工程と
前記チャネル層を貫通して、前記ドリフト層の表面の前記n型ウェル内へ延びるn型コネクタ領域を形成するために、n型ドーパント・イオンを注入すること、
前記注入されたイオンをアニールする工程と、
前記チャネル領域上にゲート酸化物層を形成する工程と、
前記ゲート酸化物層上にゲートを形成する工程と
を含む方法。
[態様12]
前記チャネル調整層上に黒鉛コーティングを形成する工程をさらに含み、前記注入されたイオンをアニールする工程は、前記チャネル調整層および前記黒鉛コーティングをアニールする工程を含み、
前記注入されたイオンをアニールする工程の後に前記黒鉛コーティングを除去する工程をさらに含む、態様11に記載の方法。
[態様13]
前記注入されたイオンをアニールする工程の前に前記黒鉛コーティングを結晶化させる工程をさらに含む、態様12に記載の方法。
[態様14]
前記注入されたイオンをアニールする工程は、前記注入されたイオンを1700℃よりも高い温度でアニールする工程を含む、態様12に記載の方法。
[態様15]
前記注入されたイオンをアニールする工程は、前記注入されたイオンを1800℃よりも高い温度でアニールする工程を含む、態様12に記載の方法。
[態様16]
前記ゲート酸化物層を形成する工程は、前記ゲート酸化物層を乾燥O
2中で形成する工程を含み、前記方法はさらに、前記ゲート酸化物層を湿潤O
2中でアニールする工程を含む、態様11に記載の方法。
[態様17]
前記ゲート酸化物層を形成する工程は、前記ゲート酸化物層を乾燥O
2中で約1200℃以下の温度で形成する工程を含む、態様16に記載の方法。
[態様18]
前記ゲート酸化物層を形成する工程の後、前記ゲート酸化物層を湿潤O
2中でアニールする工程の前に、前記ゲート酸化物層を不活性雰囲気で約1200℃以下の温度でアニールする工程をさらに含む、態様16に記載の方法。
[態様19]
前記ゲート酸化物層を湿潤O
2中でアニールする工程は、前記ゲート酸化物層を湿潤O
2中で約950℃以下の温度でアニールすることを含む、態様16に記載の方法。
[態様20]
前記ゲート酸化物層を湿潤O
2中でアニールする工程は、前記ゲート酸化物層を湿潤O
2中で少なくとも1時間アニールする工程を含む。態様19に記載の方法。
[態様21]
前記酸化物層を湿潤O
2中でアニールする工程は、発熱室内において発熱性水蒸気を発生させる工程と、前記発熱性水蒸気をアニール室に供給する工程と、前記アニール室内で前記酸化物層をアニールする工程とを含む、態様16に記載の方法。
[態様22]
発熱性水蒸気を発生させる工程は、前記発熱室を加熱する工程と、前記発熱室に水素および酸素ガスを供給する工程と、前記発熱性水蒸気を形成するために、前記水素ガスおよび前記酸素ガスを燃焼させる工程とを含み、前記水素ガスおよび前記酸素ガスは、酸素に対する水素の分子比を約1.8以上として前記発熱室に供給される、態様21に記載の方法。
[態様23]
前記n型ウェルに隣接したJFET領域を形成するために、前記ドリフト層内へp型ドーパント・イオンを注入することをさらに含み、前記p型エミッタ領域は、前記JFET領域から間隔を置いて配置され、該p型エミッタ領域と前記JFET領域の間にチャネル領域を画定する、態様11に記載の方法。
[態様24]
前記チャネル調整層は、約0.1μmから約0.5μmの厚さを有するように形成され、前記チャネル調整層は、約1×10
16cm
−3から約5×10
18cm
−3の正味アクセプタ濃度を有する、態様11に記載の方法。
[態様25]
前記基板は炭化シリコンを含み、前記ドリフト層はエピタキシャル炭化シリコン層を含む、態様11に記載の方法。
【0024】
本発明の理解を深めるために含められ、本出願に組み込まれ、本出願の一部を構成する添付図面は、本発明のある実施形態(1つまたは複数)を例示する。