特許第5771898号(P5771898)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニコンの特許一覧

<>
  • 特許5771898-撮像素子及びカメラ 図000002
  • 特許5771898-撮像素子及びカメラ 図000003
  • 特許5771898-撮像素子及びカメラ 図000004
  • 特許5771898-撮像素子及びカメラ 図000005
  • 特許5771898-撮像素子及びカメラ 図000006
  • 特許5771898-撮像素子及びカメラ 図000007
  • 特許5771898-撮像素子及びカメラ 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771898
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】撮像素子及びカメラ
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/14 20060101AFI20150813BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20150813BHJP
【FI】
   H01L27/14 D
   H04N5/335 690
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2010-61714(P2010-61714)
(22)【出願日】2010年3月17日
(65)【公開番号】特開2011-198862(P2011-198862A)
(43)【公開日】2011年10月6日
【審査請求日】2013年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100096770
【弁理士】
【氏名又は名称】四宮 通
(72)【発明者】
【氏名】石田 知久
【審査官】 樫本 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−242442(JP,A)
【文献】 実用新案登録第3133641(JP,Y2)
【文献】 特開2009−206496(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/058847(WO,A1)
【文献】 特開2007−299929(JP,A)
【文献】 特開2005−347413(JP,A)
【文献】 特開2003−045961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/14
H04N 5/369
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有する画素部と前記画素部の周囲に形成され、前記画素と接続される回路素子と前記回路素子と接続される第2の配線と前記第2の配線に接続される導電部とを有する周辺回路部とを含む撮像素子と、
前記撮像素子の入射側において前記周辺回路部に対向して配置される基板であって、前記導電部と電気的に接続され、前記撮像素子で生成した信号を出力する第1の配線が設けられた第1面と前記第1面とは反対側の面であって前記導電部と熱的に接続され、前記撮像素子で発生した熱を伝達する熱伝導パターンが前記周辺回路部を覆うように設けられた第2面とを有する基板と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記熱伝導パターンは、絶縁性材料で形成されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の撮像装置において、
前記基板は、前記第1の配線と前記熱伝導パターンとを熱的に接続する貫通孔を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記熱伝導パターンは、導電性材料で形成され、
前記基板は、絶縁性材料が埋設された貫通孔を有し、
前記第1の配線と前記熱伝導パターンとは、前記貫通孔を介して熱的に接続することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の撮像装置において、
前記貫通孔は、前記基板において前記導電部に対応する位置に形成されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記第2の配線は、前記回路素子へ入射する光を遮光する遮光膜であることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記周辺回路部及び前記基板を封止する絶縁性封止材を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記第2の配線は、前記周辺回路部に形成された絶縁膜に設けられていることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項8に記載の撮像装置において、
前記導電部は、前記絶縁膜に形成された接続孔に設けられていることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項9に記載の撮像装置において、
前記導電部は、前記絶縁膜の表層に電極を有し、
前記電極と前記第1の配線とを電気的に接続する接続部を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の撮像装置において、
前記接続孔は、前記第2の配線の長さ方向に沿って形成されることを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
請求項11に記載の撮像装置において、
前記接続孔は、複数形成されることを特徴とする撮像装置。
【請求項13】
請求項9から請求項12のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記第2の配線の面積と前記接続孔の面積とは、ほぼ同じであることを特徴とする撮像装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の撮像装置と、
前記熱伝導パターンに接触する熱伝導部材と、
前記撮像装置及び前記熱伝導部材を収容するとともに前記熱伝導部材と熱的に接続される筐体と、
を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項15】
請求項14に記載のカメラにおいて、
前記熱伝導部材は、前記撮像装置を前記筐体に取り付けるための取付部材であることを特徴とするカメラ。
【請求項16】
複数の画素を有する画素部が形成された第1半導体基板と、
前記第1半導体基板と接続される半導体基板であってアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換回路を含む回路部と前記回路部と接続される第2の配線と前記第2の配線に接続される導電部とが形成された第2半導体基板と、
前記第2半導体基板の入射側において対向して配置される基板であって、前記導電部と電気的に接続され、前記撮像素子で生成した信号を出力する第1の配線が設けられた第1面と前記第1面とは反対側の面であって前記導電部と熱的に接続され、前記第2半導体基板で発生した熱を伝達する熱伝導パターンが前記第2半導体基板を覆うように設けられた第2面とを有する基板と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項17】
請求項16に記載の撮像装置において、
前記熱伝導パターンは、絶縁性材料で形成されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項18】
請求項16に記載の撮像装置において、
前記基板は、前記第1の配線と前記熱伝導パターンとを熱的に接続する貫通孔を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項19】
請求項16に記載の撮像装置において、
前記熱伝導パターンは、導電性材料で形成され、
前記基板は、絶縁性材料が埋設された貫通孔を有し、
前記第1の配線と前記熱伝導パターンとは、前記貫通孔を介して熱的に接続することを特徴とする撮像装置。
【請求項20】
請求項16から請求項19のいずれか一項に記載の撮像装置と、
前記熱伝導パターンに接触する熱伝導部材と、
前記撮像装置及び前記熱伝導部材を収容するとともに前記熱伝導部材と熱的に接続される筐体と、
を備えることを特徴とするカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、いわゆるCOG(チップオングラス)による固体撮像装置が開示されている。この従来の固体撮像装置は、半導体基板に受光領域(画素部)と周辺回路領域と電極領域とを有する固体撮像素子と、一方の面が前記固体撮像素子の前記受光領域、前記周辺回路領域及び前記電極領域に対向するように配置されたガラス基板と、を備えている。
【0003】
前記固体撮像素子において、前記周辺回路領域と前記電極領域とは区分されており、前記周辺回路領域の各部と前記電極領域の各電極パッドとの間が前記固体撮像素子に設けられた配線層によって電気的に接続されている。
【0004】
前記ガラス基板には、外部接続用電極及び突起電極、並びにこれらの間を電気的に接続する導体配線(導体パターン)が形成されている。前記ガラス基板の前記突起電極は、前記固体撮像素子の前記電極領域の前記電極パッドと対応する位置に配置され、前記固体撮像素子の前記電極領域の前記電極パッドと電気的に接続されている。
【0005】
このような従来の固体撮像装置では、固体撮像素子のコンパクト化及び低コスト化が図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−299929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の固体撮像装置では、前述したように、前記固体撮像素子において、前記周辺回路領域と前記電極領域とが区分されており、前記周辺回路領域の各部と前記電極領域の各電極パッドとの間が前記固体撮像素子に設けられた配線層によって電気的に接続されている。
【0008】
したがって、前記従来の固体撮像装置では、前記固体撮像素子において、前記配線層が構成する前記固体撮像素子の電源線、グランド線、駆動信号線あるいは画像信号出力線は、前記電極領域の前記電極パッドから、前記電極領域とは区分された別領域である前記周辺回路領域の各部へ到達するようにパターニングされている。このため、配線長を短くして配線抵抗を低減することでノイズを十分に抑え得るような配線レイアウトを実現することは困難であった。また、それらの配線はチップ面積が制限された条件でレイアウトされているため、共通インピーダンスや配線間クロストークの点からノイズを十分に抑え得るような配線レイアウトを実現することは困難であった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ノイズを低減し得る配線レイアウトを容易に実現することができる固体撮像素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段として、以下の各態様を提示する。第1の態様による撮像装置は、複数の画素を有する画素部と前記画素部の周囲に形成され、前記画素と接続される回路素子と前記回路素子と接続される第2の配線と前記第2の配線に接続される導電部とを有する周辺回路部とを含む撮像素子と、前記撮像素子の入射側において前記周辺回路部に対向して配置される基板であって、前記導電部と電気的に接続され、前記撮像素子で生成した信号を出力する第1の配線が設けられた第1面と前記第1面とは反対側の面であって前記導電部と熱的に接続され、前記撮像素子で発生した熱を伝達する熱伝導パターンが前記周辺回路部を覆うように設けられた第2面とを有する基板と、を備えるものである。
【0011】
第2の態様による撮像装置は、前記第1の態様において、前記熱伝導パターンは、絶縁性材料で形成されているものである。
【0012】
第3の態様による撮像装置は、前記第1又は第2の態様において、前記基板は、前記第1の配線と前記熱伝導パターンとを熱的に接続する貫通孔を有するものである。
【0013】
第4の態様による撮像装置は、前記第1の態様において、前記熱伝導パターンは、導電性材料で形成され、前記基板は、絶縁性材料が埋設された貫通孔を有し、前記第1の配線と前記熱伝導パターンとは、前記貫通孔を介して熱的に接続するものである。
【0014】
第5の態様による撮像装置は、前記第3又は第4の態様において、前記貫通孔は、前記基板において前記導電部に対応する位置に形成されているものである。
【0015】
第6の態様による撮像装置は、前記第1乃至第5のいずれかの態様において、前記第2の配線は、前記回路素子へ入射する光を遮光する遮光膜であるものである。
【0016】
第7の態様による撮像装置は、前記第1乃至第6のいずれかの態様において、前記周辺回路部及び前記基板を封止する絶縁性封止材を備えるものである。
【0017】
第8の態様による撮像装置は、前記第1乃至第7のいずれかの態様において、前記第2の配線は、前記周辺回路部に形成された絶縁膜に設けられているものである。
【0018】
第9の態様による撮像装置は、前記第8の態様において、前記導電部は、前記絶縁膜に形成された接続孔に設けられているものである。
【0019】
第10の態様による撮像装置は、前記第9の態様において、前記導電部は、前記絶縁膜の表層に電極を有し、前記電極と前記第1の配線とを電気的に接続する接続部を備えるものである。
第11の態様による撮像装置は、前記第9又は第10の態様において、前記接続孔は、前記第2の配線の長さ方向に沿って形成されるものである。
第12の態様による撮像装置は、前記第11の態様において、前記接続孔は、複数形成されるものである。
第13の態様による撮像装置は、前記第9乃至第12のいずれかの態様において、前記第2の配線の面積と前記接続孔の面積とは、ほぼ同じであるものである。
第14の態様によるカメラは、前記第1乃至第13のいずれかの態様による撮像装置と、前記熱伝導パターンに接触する熱伝導部材と、前記撮像装置及び前記熱伝導部材を収容するとともに前記熱伝導部材と熱的に接続される筐体と、を備えるものである。
第15の態様によるカメラは、前記第14の態様において、前記熱伝導部材は、前記撮像装置を前記筐体に取り付けるための取付部材であるものである。
第16の態様による撮像装置は、複数の画素を有する画素部が形成された第1半導体基板と、前記第1半導体基板と接続される半導体基板であってアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換回路を含む回路部と前記回路部と接続される第2の配線と前記第2の配線に接続される導電部とが形成された第2半導体基板と、前記第2半導体基板の入射側において対向して配置される基板であって、前記導電部と電気的に接続され、前記撮像素子で生成した信号を出力する第1の配線が設けられた第1面と前記第1面とは反対側の面であって前記導電部と熱的に接続され、前記第2半導体基板で発生した熱を伝達する熱伝導パターンが前記第2半導体基板を覆うように設けられた第2面とを有する基板と、を備えるものである。
第17の態様による撮像装置は、前記第16の態様において、前記熱伝導パターンは、絶縁性材料で形成されているものである。
第18の態様による撮像装置は、前記第16の態様において、前記基板は、前記第1の配線と前記熱伝導パターンとを熱的に接続する貫通孔を有するものである。
第19の態様による撮像装置は、前記第16の態様において、前記熱伝導パターンは、導電性材料で形成され、前記基板は、絶縁性材料が埋設された貫通孔を有し、前記第1の配線と前記熱伝導パターンとは、前記貫通孔を介して熱的に接続するものである。
第20の態様によるカメラは、前記第16乃至第19のいずれかの態様による撮像装置と、前記熱伝導パターンに接触する熱伝導部材と、前記撮像装置及び前記熱伝導部材を収容するとともに前記熱伝導部材と熱的に接続される筐体と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ノイズを低減し得る配線レイアウトを容易に実現することができる固体撮像素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施の形態による固体撮像装置を模式的に示す概略断面図、及び、その一部を拡大した拡大図である。
図2図1に示す固体撮像装置の固体撮像素子の接続孔を模式的に示す概略平面図である。
図3】本発明の第2の実施の形態による固体撮像装置を模式的に示す概略断面図である。
図4図3に示す固体撮像装置を模式的に示す概略平面図である。
図5図3に示す固体撮像装置の固体撮像素子の接続孔を模式的に示す概略平面図である。
図6図3に示す固体撮像装置のガラス基板を模式的に示す概略平面図である。
図7】本発明の第2の実施の形態による固体撮像装置の要部を模式的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明による固体撮像装置について、図面を参照して説明する。
【0023】
[第1の実施の形態]
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態による固体撮像装置1を模式的に示す概略断面図である。図1(b)は、図1(a)中の一部を拡大した拡大図である。図2は、図1中の固体撮像素子11の接続孔28を模式的に示す概略平面図である。
【0024】
本実施の形態による固体撮像装置1は、図1に示すように、チップとして構成された固体撮像素子11と、透明基板としてのガラス基板12とを備えている。ガラス基板12に代えて他の透明基板を用いてもよい。
【0025】
固体撮像素子11は、シリコン基板等の半導体基板21と、半導体基板21に形成され2次元状に配置された複数の画素(図示せず)を有する画素部Xと、画素部Xと電気的に接続され、前記複数の画素を駆動する回路を有する周辺回路部Yと、を備えている。本実施の形態においては、周辺回路部Yは、半導体基板21の画素部Xの周辺の領域に形成されている。固体撮像素子11の図1中の上面側が光入射側となっており、固体撮像素子11は、ガラス基板12を介して画素部Xに入射した光を光電変換する。
【0026】
図2において、外側の矩形のラインL1は固体撮像素子11の外形を示し、内側の矩形のラインL2は画素部Xの外形を示している。ラインL2の内側の領域が画素部Xであり、ラインL1,L2間の額縁状の領域が周辺回路部Yである。
【0027】
固体撮像素子11は、例えばCMOS型やCCD型などの固体撮像素子として構成される。固体撮像素子11がCMOS型として構成される場合、画素部Xの各画素は、周知のように、例えば、光電変換部としてのフォトダイオード、転送トランジスタ、増幅トランジスタ、行選択トランジスタ及びリセットトランジスタを用いて構成される。図1では、これらの図示は省略している。
【0028】
図1に示すように、半導体基板21上には、層間絶縁膜22が形成されている。そして、画素部Xから周辺回路部Yの一部(周辺回路部Yにおける画素部X寄りの部分)にかけて、層間絶縁膜22上に、カラーフィルタ23、平坦化膜24及びマイクロレンズ25が順次形成されている。画素部Xのマイクロレンズ25は、画素毎に設けられている。画素部Xのカラーフィルタ23は、ベイヤー配列等に従って画素ごとに所定色のカラーフィルタが配置されるが、図面表記の便宜上、図2ではカラーフィルタの色は区別していない。周辺回路部Yのマイクロレンズ25及びカラーフィルタ23は、いわゆるダミーパターンであるが、必ずしも設ける必要はない。カラーフィルタ23、平坦化膜24及びマイクロレンズ25は、例えば、有機樹脂などの樹脂を材料として構成される。
【0029】
また、固体撮像素子11がCMOS型として構成される場合、周辺回路部Yは、例えば、垂直走査回路及び水平走査回路からなる駆動回路(図示せず)や、画素から出力される信号を処理するCDS回路、AD変換回路等の処理回路(図示せず)を含む。そして、周辺回路部Yは、このような回路を構成するトランジスタ等の複数の回路素子(図示せず)及び配線層26(第2の配線)を有している。図面には示していないが、これらの回路素子は周辺回路部Yの領域(図2中のラインL1,L2間の領域)に分布しており、周辺回路部Yの領域はこれらの回路素子の分布領域となっている。
【0030】
配線層26は、半導体基板21上の層間絶縁膜22中に形成されている。配線層26は、例えば、半導体基板21側から1層目の配線層、2層目の配線層及び3層目の配線層を含むが、図3にはそのうちの最上層の配線層のみを図示している。また、配線層26は、半導体基板に形成された回路素子への入射光を防止する遮光膜としても機能する。なお、画素部Xにおいても、層間絶縁膜22中に配線層が形成されるが、その図示は省略している。
【0031】
周辺回路部Yにおけるマイクロレンズ25が形成されていない領域には、層間絶縁膜22上に絶縁層(絶縁膜)27が形成されている。絶縁層27の材料は特に限定されるものではないが、絶縁層27における少なくとも最上部分を有機樹脂などの樹脂層としてもよい。この場合、後述する電極30同士の間の絶縁性を高めることができるので、好ましい。また、絶縁層27は、カラーフィルタ23、平坦化膜24及びマイクロレンズ25とは全く別に構成してもよい。あるいは、絶縁層27は、いずれかの色のカラーフィルタ23、平坦化膜24、及びマイクロレンズ25と同じ材料(有機樹脂などの樹脂)の層を、層間絶縁膜22側から順次積層した構成としてもよい。この場合、カラーフィルタ23、平坦化膜24及びマイクロレンズ25の形成工程によって、同時に絶縁層27も形成することができ、絶縁層27を特別な工程によって形成する必要がなくなるので、好ましい。この場合には、絶縁層27の上面の高さ位置(すなわち、後述する電極30の下面の高さ位置)が、マイクロレンズ25の上側の面(半導体基板21とは反対側の面)の高さ位置と同じになる。また、この場合には、絶縁層27における最上部分も樹脂層となるので、電極30同士の間の絶縁性を高めることができる。
【0032】
周辺回路部Yにおける配線層26上において、絶縁層(層間絶縁膜22における配線層26の上側部分と絶縁層27の全体)に、接続孔28が形成されている。接続孔28内には、金属等の導電材料からなる導電部29が埋設されている。周辺回路部Y上において、導電部29及びその付近の絶縁層27の上に、電極30が形成されている。電極30は、導電部29を介して配線層26と電気的に接続されている。
【0033】
ガラス基板12は、その一方の面(下面)に固体撮像素子11の画素部X及び周辺回路部Yが対向するように配置されている。本実施の形態では、ガラス基板12の周辺部の全てが固体撮像素子11の周囲からはみ出しているが、これに限らない。ガラス基板12の下面には、固体撮像素子11の周辺回路部Y上の電極30に対応する位置から、固体撮像素子11からはみ出したガラス基板12の周辺部にかけて、導体パターンとしての金属等からなる配線パターン31(第1の配線)が形成されている。
【0034】
配線パターン31のガラス基板12の周辺部上の部分には、金属等からなる外部接続用端子32が形成されている。もっとも、配線パターン31と別に外部接続用端子32を形成せずに、配線パターン31におけるガラス基板12の周辺部上の部分自体を、外部接続用端子として用いてもよい。配線パターン31における固体撮像素子11の電極30に対応する位置には、接続部としてのバンプ33が設けられている。配線パターン31は、バンプ33を介して電極30と電気的に接続されている。なお、配線パターン31は、半導体基板に形成された回路素子への入射光を防止する遮光膜としても機能する。
【0035】
固体撮像素子11の絶縁層27とガラス基板12との間が、絶縁性接着剤等の封止材34により封止されている。
【0036】
本実施の形態では、固体撮像素子11を収容するパッケージが不要となり、コンパクト化及び低コスト化が図ることができる。
【0037】
そして、本実施の形態では、電源若しくはグランド、あるいは駆動信号が、ガラス基板12の外部接続用端子32、配線パターン31及びバンプ33を介して周辺回路部Yの直上に設けた電極30から周辺回路部Yに供給されたり、周辺回路部Yから出力される画像信号が電極30、ガラス基板12のバンプ33及び配線パターン31を介して外部接続用端子32から出力されたりする。
【0038】
したがって、本実施の形態によれば、従来の固体撮像装置のように、ガラス基板12と接続するための電極30を、固体撮像素子11の周辺回路部Yの領域の更に外側の領域に配置し、配線層26をその領域(周辺回路部Yの領域とは区分された領域)に配置した電極30まで引き回す場合に比べて、配線長を短くして配線抵抗を低減することでノイズを抑え得るような配線レイアウトを実現することが容易になるとともに、共通インピーダンスや配線間クロストークの点からノイズを抑え得るような配線レイアウトを実現することが容易となる。なお、本実施の形態のように、ガラス基板12に、トランジスタ等の回路素子が搭載されない場合には、そのような回路素子を避けて配線パターン31を引き回したりする必要がなくなり、配線パターン31を短くしたり太くしたりし易い。
【0039】
このため、本実施の形態によれば、固体撮像素子11上の周辺回路部Yの回路レイアウトに制約されることなく、ガラス基板12上の配線パターン31を固体撮像素子11の周辺回路部Yの直上までレイアウトして、配線パターン31を周辺回路部Yの配線層26に接続することにより、電源あるいはグランド線の共通インピーダンスを低減することができる。また、駆動信号線や画像信号出力線については、ガラス基板12上の配線パターン31を配線間のクロストークを低減するようにレイアウトして、配線パターン31を固体撮像素子11の周辺回路部Yの直上で周辺回路部Yの配線層26に接続することにより、画像信号へのノイズの混入を防止することができる。つまり、本実施の形態によれば、固体撮像装置1をCOGタイプにモジュール化してコンパクト化及び低コスト化が図れるだけでなく、ノイズが抑制された高画質な画像が得ることが可能となる。
【0040】
なお、接続孔28に設けられた導電部29を介して電極30と電気的に接続される周辺回路部Yの配線層26は、最上層の配線層に限られるものではなく、他の階層の配線層でもよい。
【0041】
[第2の実施の形態]
図3は、本発明の第2の実施の形態による固体撮像装置51を模式的に示す概略断面図であり、図1に対応している。図4は、図1に示す固体撮像装置51の概略平面図である。図5は、図3中の固体撮像素子11の接続孔28を模式的に示す概略平面図であり、図2に対応している。図6は、図3中のガラス基板12を模式的に示す概略平面図である。ただし、図6は、ガラス基板12における固体撮像素子11と重なる部分付近のみを示している。図3乃至図6において、図1及び図2中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。本実施の形態による固体撮像装置51が前記第1の実施の形態による固体撮像装置1と異なる所は、以下に説明する点のみである。
【0042】
前記第1の実施の形態による固体撮像装置1では、固体撮像素子11の周辺回路部Yにおいて互いに電気的に接続された配線層26、導電部29及びバンプ33に関して、配線層26の面積に比べて、導電部29の面積及びバンプ33の面積がかなり小さく設定されている。また、前記第1の実施の形態では、これに合わせて、ガラス基板12の配線パターン31の面積も小さく設定されている。なお、導電部29の面積は接続孔28の面積と同じである。
【0043】
これに対し、本実施の形態による固体撮像装置51では、固体撮像素子11の周辺回路部Yにおいて互いに電気的に接続された配線層26、導電部29及びバンプ33に関して、これらの平面視での面積(接続孔28の面積も含む。)が配線層26の面積とほぼ同じに設定されて大きく設定されている。これに合わせて、ガラス基板12の配線パターン31の面積も大きく設定されている。具体的には、本実施の形態では、図3及び図5に示すように、接続孔28(したがって、導電部29も)は配線層26の長さ方向に沿って連続的に延び、接続孔28の幅(=導電部29の幅)が配線層26の幅とほぼ同じに設定されている。電極30及びバンプ33についてもこれと同様である。この点、前記第1の実施の形態では、図1及び図2に示すように、接続孔28(したがって、導電部29も)は点状の1箇所又は配線層26の長さ方向に沿って間隔をあけて配置された点状の複数箇所に設けられ、接続孔28の幅(=導電部29の幅)が配線層26の幅よりもかなり狭く設定されている。電極30及びバンプ33についてもこれと同様である。なお、前記第1の実施の形態においても、ガラス基板12の配線パターン31は図6と同様とされるが、図1図3との比較からわかるように、前記第1の実施の形態では、ガラス基板12の配線パターン31の幅は図6の場合よりも狭く設定されている。
【0044】
また、本実施の形態では、図3及び図4に示すように、ガラス基板12の固体撮像素子11とは反対側の面における固体撮像素子11の周辺回路部Yに対応する部分に、熱伝導率の高い材料からなる熱伝導パターン61が形成されている。熱伝導パターン61は、好ましくは、ガラス基板12よりも熱伝導率の高い材料により形成される。ガラス基板12の熱伝導率は一般的に2W/mKよりも小さいので、熱伝導パターン61は、熱伝導率が2W/mK以上の材料を用いればよい。本実施の形態では、熱伝導パターン61の材料は、導電性材料でもよいし絶縁性材料でもよい。熱伝導パターン61の導電性材料の例として金属を挙げることができる。熱伝導パターン61の絶縁性材料の例として、最近、日本科学冶金株式会社と出光興産株式会社により共同開発されたポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)「出光PPS NT−700シリーズ」と称する超高熱伝導率樹脂を挙げることができる。この樹脂は、5W/mK〜25W/mKの熱伝導率を示す。
【0045】
さらに、本実施の形態では、熱伝導パターン61におけるガラス基板12の周辺部上の部分に、高い熱伝導率を持つ材料からなる熱伝導部材62が設けられている。熱伝導部材62は、好ましくは、ガラス基板12よりも高い熱伝導率を持つ材料により形成される。本実施の形態では、熱伝導部材62は、図3に示すような断面形状を持つ金属等からなる環状部材として構成されている。熱伝導部材62は、カメラのボディ側に熱的に接触させてもよいし、そうではなく空中に放熱するようにしてもよい。また、熱伝導部材62は、カメラのボディ側への取付部材を兼用することも可能である。
【0046】
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる他、以下に説明する利点も得られる。
【0047】
本実施の形態では、前記第1の実施の形態に比べて、導電部29、バンプ33及び配線パターン31の面積が大きく設定されている。したがって、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態に比べて、配線抵抗が低減され、その結果、よりノイズを低減することができる。
【0048】
また、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態に比べて、導電部29及びバンプ33の面積が大きいので、固体撮像素子11で発生した熱をガラス基板12側へより逃がし易くなる。そして、本実施の形態では、熱伝導パターン61及び熱伝導部材62が設けられているので、固体撮像素子11で発生しガラス基板12側へ導かれた熱は、熱伝導パターン61及び熱伝導部材62を介して放熱し易くなる。したがって、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態に比べて、固体撮像素子11の温度上昇を低減することができるため、固体撮像素子11の熱に起因するノイズ、例えば、暗電流や熱雑音を低減することができ、ひいてはより高画質な画像を得ることができる。
【0049】
[第3の実施の形態]
図7は、本発明の第3の実施の形態による固体撮像装置71を模式的に示す概略一部断面図であり、図3に対応している。図7において、図3中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。本実施の形態による固体撮像装置71が前記第2の実施の形態による固体撮像装置51と異なる所は、以下に説明する点のみである。
【0050】
本実施の形態では、ガラス基板12におけるバンプ33に対応する部分に貫通孔81が形成されている。貫通孔81には、高い熱伝導率を持つ材料82が埋設されている。材料82は、好ましくは、ガラス基板12よりも高い熱伝導率を有する材料である。そして、貫通孔81に埋設された材料82は、バンプ33及び熱伝導パターン61とそれぞれ熱的に接触している。
【0051】
前記材料82として、熱伝導パターン61の材料として先に説明した材料を用いることができる。前記材料82は熱伝導パターン61の材料と同じでもよいし異なっていてもよい。ただし、熱伝導パターン61の材料が絶縁性材料である場合は、前記材料82は導電性材料でもよいし絶縁性材料でもよいが、熱伝導パターン61の材料が導電性材料である場合は、前記材料82として絶縁性材料が用いられる。
【0052】
本実施の形態では、前記材料82によって、固体撮像素子11から熱伝導パターン61への熱伝導効率が、前記第2の実施の形態に比べて高まる。したがって、本実施の形態によれば、前記第2の実施の形態と同様の利点が得られる他、固体撮像素子11の熱に起因するノイズをより低減することができるという利点が得られる。
【0053】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0054】
例えば、前記第1の実施の形態において、前述した熱伝導パターン61及び熱伝導部材62を追加してもよい。
【0055】
また、上記実施の形態において、固体撮像素子11が、透明基板12に電気的に接続される構成を例示した。この構成に代えて、固体撮像素子11と透明基板12との間に基板としてのインターポーザを設けてもよい。この場合、導電パターン31は、インターポーザの受光部Xに対向する面に形成される。また、インターポーザの材料としては、絶縁性の材料が好ましく、例えば、酸化膜付きシリコン、プラスチック、ガラスなどが挙げられる。なお、インターポーザが画素部Xを覆わないように成形される場合には、インターポーザは、必ずしも透明である必要はない。例えば、周辺回路部Yに対向する部分のインターポーザの色を、例えば、黒色にすれば、インターポーザは、周辺回路部Yに対する遮光部としての機能も有する。
【0056】
また、上記実施の形態において、周辺回路部Yに形成される周辺回路部、例えば、駆動回路、CDS回路、AD変換回路等は、画素部Xと同一基板上に形成される構成を例示した。この構成に代えて、AD変換回路等の一部の周辺回路は、受光部Xが形成された半導体基板とは別の半導体基板上に形成されてもよい。この場合、画素部Xと、別チップとして形成された周辺回路部とは、基板12上に別々に実装され、導体パターンを介して電気的に接続される。
【符号の説明】
【0057】
1,51,71 固体撮像装置
11 固体撮像素子
12 ガラス基板(透明基板)
21 半導体基板
26 配線層
27 絶縁層
28 接続孔
29 導電部
30 電極
31 配線パターン(導体パターン)
33 バンプ(接続部)
61 熱伝導パターン
62 熱伝導部材
X 画素部
Y 周辺回路部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7