特許第5772293号(P5772293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5772293
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】発光装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20150813BHJP
【FI】
   H01L33/00 410
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-142676(P2011-142676)
(22)【出願日】2011年6月28日
(65)【公開番号】特開2013-12516(P2013-12516A)
(43)【公開日】2013年1月17日
【審査請求日】2014年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】武市 順司
【審査官】 森口 忠紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−191420(JP,A)
【文献】 特開2004−096113(JP,A)
【文献】 特開2006−179684(JP,A)
【文献】 特開2004−363343(JP,A)
【文献】 特開2010−226110(JP,A)
【文献】 特開2008−227458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子の上に、前記発光素子からの光を吸収して異なる波長の光に変換する波長変換層を形成する工程と、
前記発光素子上面上の前記波長変換層の上に、前記波長変換層の上面の中央部を囲むように凸状部位を形成する工程と、
前記凸状部位の内側に、前記発光素子からの光を吸収して異なる波長の光に変換する波長変換部位を形成し、前記波長変換層上に、上方向に突出する前記凸状部位及び前記波長変換部位を形成する工程と、を有することを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記凸状部位を形成する工程において、前記凸状部位は、前記波長変換層の上に透光性材料を塗布した後、硬化させることにより形成することを特徴とする請求項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記透光性材料が、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ガラスからなる群から選択される少なくとも1つからなることを特徴とする請求項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
発光素子と、該発光素子の上に形成され、前記発光素子からの光を吸収して異なる波長の光に変換する波長変換層と、を備え、
前記発光素子上面上の前記波長変換層の上面に、透光性材料を含み、前記発光素子の上面の中央部を囲むように凸状部位を有しており、
前記凸状部位の内側に、前記発光素子からの光を吸収して異なる波長の光に変換する波長変換部位が形成されており、前記凸状部位及び前記波長変換部位は、前記波長変換層上において上方向に突出していることを特徴とする発光装置。
【請求項5】
前記波長変換層と前記凸状部位が一体に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記波長変換部位の表面は、前記凸状部位よりも上方向に突出する曲面を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイや照明機器の光源に最適な発光装置に関し、特に、発光素子と、波長変換層とを有する発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)等の発光素子を用いた発光装置の波長変換方法として、波長変換物質を発光素子の周囲に配置させる方法がある。特許文献1には、支持体にフリップチップ実装された発光素子の表面に、電気泳動沈着法によって波長変換物質を配置した発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−69086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、発光素子の発光強度分布が均一ではなく、発光装置における発光強度分布が均一にならない。これは、発光素子には、パッド電極から供給される電流に応じて、発光面内に発光強度分布が形成されるためである。そのため、発光面内における中央部は末端部に比べて発光強度が高くなる傾向がある。また、電気泳動沈着法では、発光装置内において、配置される波長変換物質の量にバラツキが生じるため、発光装置として色調バラツキが生じる。
【0005】
そこで、本発明は、色調バラツキが少ない発光装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光装置の製造方法は、発光素子の上に、前記発光素子からの光を吸収して異なる波長の光に変換する波長変換層を形成する工程と、前記波長変換層の上に、前記波長変換層の上面の一部若しくは全部を囲む凸状部位を形成する工程と、前記凸状部位の内側に、前記発光素子からの光を吸収して異なる波長の光に変換する波長変換部位を形成する工程と、を有する。
【0007】
前記凸状部位を形成する工程は、前記波長変換層の上面の中央部を囲むように凸状部位を形成することが好ましい。
前記凸状部位を形成する工程において、前記凸状部位は、前記波長変換層の上に透光性材料を塗布した後、硬化させることにより形成することが好ましい。
前記透光性材料が、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ガラスからなる群から選択される少なくとも1つからなることが好ましい。
【0008】
本発明に係る発光装置は、発光素子と、該発光素子の上に形成され、前記発光素子からの光を吸収して異なる波長の光に変換する波長変換層と、を備え、前記波長変換層の上面に、透光性材料を含み、前記発光素子の上面の一部若しくは全部を囲む凸状部位を有しており、前記凸状部位の内側に、前記発光素子からの光を吸収して異なる波長の光に変換する波長変換部位が形成されている。
【0009】
前記凸状部位は、前記発光素子の上面の中央部を囲むように形成されていることが好ましい。
前記波長変換層と前記凸状部位が一体に形成されていることが好ましい。
前記波長変換部位の表面は、上方向に突出する曲面を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、色調バラツキの少ない発光装置とその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る発光装置の一例を示す概略断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係わる発光装置を示す断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る発光装置の製造工程の一例について説明する概略断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る発光装置の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための発光装置及び発光装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
<第1実施形態>
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る発光装置10の一例を示す概略断面図である。図1(b)は、本発明の第1実施形態に係る発光装置10の一部を拡大した概略断面図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る発光装置10の一例を示す概略平面図である。
本実施形態に係る発光装置10は、基体11上に実装された発光素子12の上に、波長変換物質を含む波長変換層13を備えている。波長変換層13の上面には、発光素子12の上面の一部若しくは全面を囲む凸状部位14が形成されている。凸状部位14の内側に、波長変換部位15が形成されている。
以下、本実施形態に係る発光装置10の各構成部材について詳述する。
【0014】
(基体11)
基体は、発光素子等の電子部品を配置するためのものである。基体の形状は、特に限定されないが、上面が平坦であることが好ましい。基体は、絶縁性のものを用いることができ、例えば、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックスを用いることが好ましいが、この限りではなく、ガラスエポキシ樹脂や熱可塑性樹脂での代用も可能である。
【0015】
基体には、少なくとも発光素子の電極と対面する側の面に導電部(図示せず)が設けられている。導電部は、基体に配置された発光素子と外部電源とを電気的に接続し、発光素子に対して外部電源からの電圧を印加するためのものである。
【0016】
導電部は、導電性を有する材料であればよいが、物理的、化学的に安定な材料から構成されていることが好ましい。導電部としては、例えば、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)等を用いることができる。
【0017】
(発光素子12)
発光素子は、特に限定されないが、発光ダイオードを用いることが好ましい。発光素子の上面形状は、図2では四角形であるが、これに限定されず、円形、楕円形、多角形又はこれに近い形状であってもよい。
【0018】
発光素子の構造としては、例えば、基板上に、InN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等の窒化物半導体、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体等、種々の半導体によって、発光層を含む積層構造が形成され、その上に電極が形成されたものが挙げられる。発光素子の基板としては、サファイア等の絶縁性基板や、SiC、GaN、GaAs等の導電性基板等が挙げられる。発光素子は、任意の波長のものを選択することができる。
【0019】
発光素子12は、基体11の導電部にフリップチップ実装される。即ち、発光素子12の電極が基体11の導電部に接合部材16を介して実装されており、電極が形成された面と対向する基板側を光取り出し面として配置されている。これにより、発光素子にワイヤを接続しない構造とすることができ、発光素子の上に波長変換層や凸状部位を好適に形成することができる。
【0020】
(接合部材16)
接合部材は、基体に形成された導電部上に、発光素子を接合させるための部材である。接合部材は、少なくとも発光素子の電極と導電部との間に介在するように配置される。接合部材としては、発光素子と導電部とを導通させることができる材料を用いる。例えば、Sn−Cu、Sn−Ag−Cu、Au−Sn等のハンダ材料やAu等の金属バンプ、異方性導電ペースト等を用いることができる。
【0021】
(波長変換層13)
波長変換層13は、発光素子12の上に形成される。波長変換層13は、波長変換物質13a(以下、「第1の波長変換物質」ともいう)を含み、発光素子からの光を異なる波長の光に変換させる機能を有する。波長変換層13に含まれる第1の波長変換物質13aとしては、例えば蛍光体を用いることができる。本実施形態においては、波長変換層13は、発光素子12の上面及び側面を覆うことが好ましい。これにより、発光素子12から上方向及び横方向に出射する光を、異なる波長に変換させることができる。
【0022】
波長変換層は、略均一な厚みで形成されていることが好ましい。波長変換層の厚みとしては、0.05μm〜100μm程度が好ましく、5μm〜50μm程度がさらに好ましい。
【0023】
第1の波長変換物質の形状は、例えば、球形又はこれに類似する形状が好ましく、平均粒径が0.01μm〜100μmのものが好ましく、1〜30μmのものがさらに好ましい。
【0024】
(凸状部位14)
波長変換層13の上面に凸状部位14が設けられる。凸状部位14は、発光素子12の上面の一部若しくは全部を囲んでおり、波長変換部位15を堰き止めるダムとしての機能を有する。これにより、波長変換部位15を発光素子12の上の特定の箇所に配置することができる。また、凸状部位14は、波長変換物質14a(以下、「第2の波長変換物質」ともいう)又は後述する基材を含むことにより、光を拡散させる機能を持たせることができる。
【0025】
凸状部位14は、発光素子12の上面の中央部を囲むように形成されることが好ましい。これにより、発光強度が比較的高い発光素子の中央部の上に波長変換部位15を配置することができるため、発光装置の色調バラツキを低減することができる。
【0026】
凸状部位の平面形状としては、円形、楕円形、発光素子の上面と相似形状等が挙げられる。また、これらの形状において一部を欠いていてもよい。凸状部位は、波長変換層と一体に形成されていてもよい。
【0027】
凸状部位の大きさは、発光素子の大きさによって適宜変更することが好ましい。凸状部位の高さは、1μm〜300μmが好ましく、10μm〜100μmがさらに好ましい。
【0028】
凸状部位は、第2の波長変換物質又は後述する基材等を含む透光性材料により構成される。透光性材料としては、シリコーン樹脂(熱硬化性シリコーン樹脂)、エポキシ樹脂、ガラス等を用いることができる。特に、熱硬化性液状シリコーンが好ましい。透光性材料は、第2の波長変換物質又は基材の粒子間に配置され、好ましくは粒子の間隙を充填するように配置されている。これにより、波長変換部位を安定して凸状部位の内側に配置することができる。
【0029】
図1に示すように、本実施形態の発光装置においては、凸状部位の内側における波長変換層の上面に、第2の波長変換物質又は基材が配置され、これらの粒子間に透光性材料が配置されている。これにより、波長変換部位を安定して波長変換層の上に配置することができる。
【0030】
凸状部位に含まれる第2の波長変換物質は、例えば蛍光体を用いることができる。凸状部位は、第2の波長変換物質の代わりに、基材を含有させてもよい。基材としては、発光素子からの光を吸収しにくい材料が好ましい。例えば、熱硬化性シリコーン、エポキシ、ガラス(ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、低アルカリガラス)、金属、無機化合物等の微粒子を用いることができる。特に、高透明性ガラスや高反射性酸化物(アルミナ、チタニア、シリカ)が好ましい。また、凸状部位には波長変換物質と基材の両方を含有させてもよい。
【0031】
凸状部位に含まれる第2の波長変換物質及び基材の形状は、例えば、球形又はこれに類似する形状が好ましく、平均粒径が0.01μm〜100μmのものが好ましく、1μm〜30μmのものがさらに好ましい。第2の波長変換物質及び基材は、透光性材料よりも比重の大きいものを用いることが好ましい。これにより、第2の波長変換物質及び基材を沈降させて波長変換層に近接するように配置することができるため、凸状部位から横方向へ光が漏れたり、第2の波長変換物質及び基材の粒子間で反射を繰り返すことによる光の減衰を低減することができる。また、第2の波長変換物質及び基材は、第1の波長変換物質よりも粒径が大きい方が好ましい。
【0032】
(波長変換部位15)
波長変換部位15は、凸状部位14の内側に形成される。波長変換部位15は、透光性材料15bと波長変換物質15a(以下、「第3の波長変換物質」ともいう)を含んでいる。波長変換部位15は、波長変換層13を通過する励起光を波長変換する機能を有する。
【0033】
波長変換部位は、波長変換層の上面の中央部に配置されることが好ましい。これにより、波長変換部位は、発光強度が比較的高い発光素子の中央部の上に配置されるため、発光装置の色調バラツキを低減することができる。
【0034】
波長変換部位の形状は、特に限定されないが、表面が発光装置の上方向に突出する曲面形状を有していることが好ましい。例えば、発光素子の中央部上が突出する略半球形状、略半楕円球形状等が挙げられる。発光素子の中央部上における波長変換部位の高さは、1μm〜300μmが好ましく、50μm〜200μmがさらに好ましい。
【0035】
波長変換部位に含まれる第3の波長変換物質の形状は、例えば、球形又はこれに類似する形状が好ましく、平均粒径が0.01μm〜100μmのものが好ましく、1μm〜30μmのものがさらに好ましい。
【0036】
(波長変換物質)
波長変換物質は、発光素子から出射された光を波長変換して異なる波長の光を放出する機能を有する。波長変換物質の材料や配合量を調整することにより、所望の発光色を得ることができる。また、複数種類の波長変換物質を用いてもよい。
【0037】
波長変換物質としては、例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体や酸窒化物系蛍光体を用いることができる。より具体的には、Eu賦活されたα又はβサイアロン型蛍光体、各種アルカリ土類金属窒化シリケート蛍光体、Eu等のランタノイド系の元素、Mn等の遷移金属系の元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類のハロシリケート蛍光体、アルカリ土類金属シリケート蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属硫化物、アルカリ土類金属チオガレート、アルカリ土類金属窒化ケイ素、ゲルマン酸塩、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩、希土類ケイ酸塩又はEu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機及び有機錯体等から選ばれる少なくともいずれか1以上であることが好ましい。
【0038】
上述した第1波長変換物質、第2波長変換物質、第3波長変換物質は、それぞれ同一の種類のものを用いてもよく、異なる種類のものを用いてもよい。
【0039】
(被覆層17)
基体の上に、発光素子、波長変換層、凸状部位及び波長変換部位を覆う被覆層を設けてもよい。被覆層は、発光素子、波長変換層、凸状部位及び波長変換部位を保護する役割やレンズの役割を持たせることができる。
【0040】
被覆層は、発光素子からの光に対して透光性で、かつ、耐光性及び絶縁性を有するものが好ましい。具体的には、シリコーン樹脂組成物、変性シリコーン樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、変性エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物等、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フッ素樹脂及びこれらの樹脂を少なくとも1種以上含むハイブリッド樹脂等の有機物が挙げられる。
【0041】
被覆層の形状は、配光特性などに応じて種々選択することができる。例えば、上面を凸状レンズ形状、凹状レンズ形状、フレネルレンズ形状などとすることで、指向特性を調整することができる。
【0042】
(発光装置の製造方法)
次に、本実施形態に係る発光装置10の製造方法について説明する。図3は、本実施形態に係る発光装置10の製造工程の一例について説明する概略断面図である。
【0043】
基体11に設けられた導電部(図示せず)の上に、接合部材16を介して発光素子12を接続する。図3(a)に示すように、発光素子12は、導電部に接合部材16を介して発光素子の電極が対向するように接続される。基体11の導電部と発光素子12とを接続する工法は、接合部材16に応じて適宜選択することができるが、例えば、超音波、熱、荷重、光、フラックス等を用いて接続することができる。
【0044】
次に、図3(b)に示すように、基板11上の発光素子12の上に波長変換層13を形成する。波長変換層13は、発光素子12の上面及び側面を覆うように形成することが好ましい。波長変換層13を形成する方法としては、電着法を用いることが好ましい。これにより、均一な厚みの波長変換層13を形成することができる。
【0045】
波長変換層13は、例えば、蛍光体等の第1の波長変換物質を含む溶液(電着用の浴液)中に、発光素子を載置した基体を配置させ、溶液中における電気泳動により、波長変換物質を発光素子の表面に堆積させることで形成される。発光素子の表面が導電性の材料とされている場合は、発光素子自体に電圧を印加することにより、帯電された波長変換物質を電気泳動させて発光素子上に堆積させることができる。また、サファイアなどの絶縁性基板に半導体を積層させてなる発光素子のように、発光素子の表面が非導電性の部位を有する場合は、発光素子の非導電性の部位に導電性を有する被膜を設けた後、その被膜に電圧を印加することにより、帯電された波長変換物質を電気泳動させて被膜を介して絶縁性基板上に堆積させることができる。なお、波長変換層の厚みは、波長変換物質の堆積条件や時間により適宜調整することができる。
【0046】
次に、波長変換層13の上に、第2の波長変換物質又は基材14aを含む透光性材料14bを塗布することで波長変換層13の上面の一部若しくは全部を囲む凸状部位14を形成する。この場合の塗布は、ポッティング法、インクジェット、スプレー噴霧、印刷法を用いることができる。
【0047】
ポッティング法を用いる場合は、図3(c)に示すように発光素子12の上に形成された波長変換層13の上面の中央部に、第2の波長変換物質又は基材14aを含む透光性材料14bを滴下する。透光性材料14bは、波長変換層13の波長変換物質13aの粒子間に侵入し、毛細管現象によって発光素子12の外周に向かって浸透する。同時に、凸状部位14に含まれる第2の波長変換物質又は基材14aは、波長変換層13の上面の中央部を囲むように堆積する。図3(d)は、凸状部位14を形成した状態を示している。
【0048】
ここで、凸状部位における第2の波長変換物質又は基材14aは、透光性材料14bの全体量の1重量%〜50重量%の範囲で含有させることが好ましく、5重量%〜30重量%の範囲で含有させることがさらに好ましい。透光性材料14bは、10℃〜150℃(樹脂を成形する際の温度)にて、粘度が100Pa・s以下のものが好ましく、10〜30℃で粘度が1Pa・s程度のものが特に好ましい。これにより、透光性材料の硬化促進や粘度変化による凸状部位の形成不良の発生を抑制することができる。透光性材料の塗布量は、透光性材料や第2の波長変換物質、基材等の特性や発光素子の大きさによって適宜調整することが好ましい。
【0049】
上記のように第2の波長変換物質又は基材14aを含む透光性材料14bを塗布した後に、加熱し硬化させることが好ましい。これにより、後述する波長変換部位の流出を抑制することができる。
【0050】
次に、凸状部位14の内側に、透光性材料15bと第3の波長変換物質15aとを含む波長変換部位15を形成する。波長変換部位15は、第3の波長変換物質15aを含む透光性材料15bを塗布した後、硬化することにより形成する。
【0051】
第3の波長変換物質15aは透光性材料15bの全体量の1重量%〜50重量%範囲で含有させることが好ましく、1重量%〜10重量%の範囲で含有させることがさらに好ましい。透光性材料15bは、10〜30℃で粘度が1〜100Pa・sのものが好ましく、5〜50Pa・s程度のものが特に好ましい。これにより、透光性材料の硬化促進や粘度変化による波長変換部位の形成不良の発生を抑制することができる。透光性材料の塗布量は、透光性材料や第3の波長変換物質の特性や凸状部位の大きさによって適宜調整することが好ましい。波長変換部位15における第3の波長変換物質と透光性材料の配合比(重量比)や塗布量、第3の波長変換物質の種類は、上述した波長変換層13を形成する工程の後に色調バラツキを測定しておき、得られた測定結果をもとに適宜調節することが好ましい。波長変換部位15を塗布する方法としては、例えば、ポッティング法、インクジェット、スプレー噴霧、印刷法等を用いることができる。例えば、図3(e)に示すように、凸状部位14の内側に第3の波長変換物質15aを含む透光性材料15bを滴下し、図3(f)に示すように凸状部位14の内側に充填する。その後、波長変換部位15の透光性材料15bを硬化するために加熱処理を行う。以上により、本実施形態に係る発光装置10を得ることができる。
【0052】
<第2実施形態>
図4(a)は、本発明の第2実施形態に係る発光装置10の一例を示す概略断面図である。図4(b)は、本発明の第1実施形態に係る発光装置10の一部を拡大した概略断面図である。本実施の形態に係る発光装置10は、第1実施形態に係る発光装置10と、第2の波長変換物質又は基材14aの配置の一部が異なる以外はほぼ同じである。
【0053】
本実施形態に係る発光装置10は、基体11上に実装された発光素子12の上に、波長変換物質13aを含む波長変換層13を備えている。波長変換層13の上には、波長変換層13の上面の中央部を囲む凸状部位14が形成されている。凸状部位14の内側に、波長変換部位15が形成されている。
【0054】
本実施形態の発光装置10においては、凸状部位14の内部に露出する波長変換層13が、第2の波長変換物質又は基材14aで覆われていない。また、凸状部位14の内部に露出する波長変換層13は、第1の波長変換物質13aの粒子間に透光性材料14bが配置されている。このような構成においても、波長変換部位15を安定して波長変換層13の上に配置することができる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明に係る実施例について詳述する。
【0056】
図1は、本実施例に係る発光装置10を示す概略断面図である。本実施例では、基体11上に実装された発光素子12の上に、波長変換層13を形成し、波長変換層13の上に凸状部位14を形成する。さらに、凸状部位14の内側に、波長変換部位15を形成する。
【0057】
波長変換層13、凸状部位14、波長修整層15を構成する材料を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
波長変換層13は、上記波長変換物質を用いて、電着法により発光素子の上に付着させて形成する。
【0060】
凸状部位14は、ポッティング法を用いて上記波長変換物質又は基材を含む透光性材料を塗布して形成する。凸状部位における波長変換物質又は基材と透光性材料の配合比(重量比)は、透光性材料:波長変換物質又は基材=10:1とする。塗布した透光性材料の一部は、波長変換層13の波長変換物質に含浸される。上記凸状部位の材料を塗布した後、加熱して硬化させる。
【0061】
波長変換部位15は、ポッティング法を用いて形成する。波長変換部位における波長変換物質と透光性材料の配合比(重量比)は、透光性材料:波長変換物質=20:1とする。
【0062】
以上のように発光装置を作製することにより、色調バラツキの少ない発光装置を得ることができる。
【比較例】
【0063】
比較例として、凸状部位及び波長変換部位を形成しない点以外は実施例と同様の構造の発光装置を形成する。
【0064】
実施例と同様の発光装置を3個、比較例と同様の発光装置を1個準備した。なお、これらの発光装置は、基体11上に実装された発光素子12の上に波長変換層13を形成した発光装置を複数個作製し、その中から色調バラツキが比較的大きいものを選択したものである。表2は上述した実施例1と同様の発光装置(No.1〜3)と、比較例と同様の発光装置について、発光装置の上面の垂線を基準とした角度に対する光度の変化を色温度を用いて比較した表である。
【0065】
【表2】
【0066】
表2に示すように、実施例の発光装置は、比較例の発光装置と比べて、角度に対する色温度の変化量が小さく、発光強度分布のバラツキが少ない。よって、本実施例の発光装置は、発光装置の色調バラツキをさらに改善することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の発光装置は、ディスプレイや照明機器の光源など、広範囲の用途に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
10 発光装置
11 基体
12 発光素子
13 波長変換層
13a 第1の波長変換物質
14 凸状部位
14a 第2の波長変換物質又は基材
14b 透光性材料
15 波長変換部位
15a 第3の波長変換物質
15b 透光性材料
16 接合部材
17 被覆層
図1
図2
図3
図4