(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記の一般式(A)で表されるブロック共重合体Aと、ガラス転移温度が−30℃以下である重合体、またはガラス転移温度が−30℃以下である重合体ブロックを重合体鎖の末端に有するブロック共重合体である重合体Cと、粘着付与樹脂Dとを含有し、
ブロック共重合体Aと重合体Cとの重量比(A/C)が5/95〜95/5であるラベル用粘接着剤組成物。
Ar1a−Da−Ar2a (A)
(一般式(A)において、Ar1aは重量平均分子量が6000〜20000の芳香族ビニル重合体ブロックであり、Ar2aは、重量平均分子量が22000〜400000の芳香族ビニル重合体ブロックであり、芳香族ビニル重合体ブロック(Ar2a)の重量平均分子量(Mw(Ar2a))と芳香族ビニル重合体ブロック(Ar1a)の重量平均分子量(Mw(Ar1a))との比(Mw(Ar2a)/Mw(Ar1a))が1.5〜67であり、Daは、ビニル結合含有量が1〜20モル%の共役ジエン重合体ブロックである。)
重合体Cが、ガラス転移温度が−30℃以下である共役ジエン重合体、またはガラス転移温度が−30℃以下である共役ジエン重合体ブロックを重合体鎖の末端に有するブロック共重合体である請求項1に記載のラベル用粘接着剤組成物。
重合体Cとして、イソプレン単位を含有してなる共役ジエン重合体、およびイソプレン単位を含有してなる共役ジエン重合体ブロックを重合体鎖の末端に有するブロック共重合体から選択される少なくとも1種のイソプレン単位含有重合体を含有してなる請求項2に記載のラベル用粘接着剤組成物。
重合体Cとして、1,3−ブタジエン単位を含有してなる共役ジエン重合体、および1,3−ブタジエン単位を含有してなる共役ジエン重合体ブロックを重合体鎖の末端に有するブロック共重合体から選択される少なくとも1種のブタジエン単位含有重合体を含有してなる請求項2に記載のラベル用粘接着剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明のラベル用粘接着剤組成物は、ラベルの粘接着剤として用いられるものであって、少なくとも、ブロック共重合体A、重合体C、および粘着付与樹脂Dとを含有してなるものである。本発明で用いられるブロック共重合体Aは、下記の一般式(A)で表される、互いに異なる重量平均分子量を持つ2つの芳香族ビニル重合体ブロックを有する芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルブロック共重合体である。
【0028】
上記の一般式(A)において、Ar1
aは、重量平均分子量が6000〜20000の芳香族ビニル重合体ブロックであり、Ar2
aは、重量平均分子量が22000〜400000の芳香族ビニル重合体ブロックであり、D
aは、ビニル結合含有量が1〜20モル%の共役ジエン重合体ブロックである。
【0029】
また、本発明のラベル用粘接着剤組成物は、ブロック共重合体Aに加えて、さらに、下記の一般式(B)で表される芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルブロック共重合体であるブロック共重合体Bを含有していても良い。
【0031】
上記の一般式(B)において、Ar
bは、重量平均分子量が6000〜20000の芳香族ビニル重合体ブロックであり、D
bは、ビニル結合含有量が1〜20モル%の共役ジエン重合体ブロックであり、Xは単結合またはカップリング剤の残基であり、nは2以上の整数である。
【0032】
ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体Bの芳香族ビニル重合体ブロック(Ar1
a,Ar2
a,Ar
b)は、芳香族ビニル単量体単位により構成される重合体ブロックである。芳香族ビニル重合体ブロックの芳香族ビニル単量体単位を構成するために用いられる芳香族ビニル単量体としては、芳香族ビニル化合物であれば特に限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、4−ブロモスチレン、2−メチル−4,6−ジクロロスチレン、2,4−ジブロモスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。これらのなかでも、スチレンを用いることが好ましい。これらの芳香族ビニル単量体は、各芳香族ビニル重合体ブロックにおいて、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、各芳香族ビニル重合体ブロックにおいて、同じ芳香族ビニル単量体を用いても良いし、異なる芳香族ビニル単量体を用いても良い。
【0033】
ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体Bの芳香族ビニル重合体ブロック(Ar1
a,Ar2
a,Ar
b)は、それぞれ、芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位を含んでいても良い。芳香族ビニル重合体ブロックに含まれ得る芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)などの共役ジエン単量体、α,β−不飽和ニトリル単量体、不飽和カルボン酸または酸無水物単量体、不飽和カルボン酸エステル単量体、非共役ジエン単量体が例示される。各芳香族ビニル重合体ブロックにおける芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位の含有量は、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、実質的に0重量%であることが特に好ましい。
【0034】
ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体Bの共役ジエン重合体ブロック(D
a,D
b)は、共役ジエン単量体単位により構成される重合体ブロックである。共役ジエン重合体ブロックの共役ジエン単量体単位を構成するために用いられる共役ジエン単量体としては、共役ジエン化合物であれば特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエンおよび/またはイソプレンを用いることが好ましく、イソプレンを用いることが特に好ましい。共役ジエン重合体ブロックをイソプレン単位で構成することにより、得られるラベル用粘接着剤組成物が、接着性と柔軟性に優れるものとなる。これらの共役ジエン単量体は、各共役ジエン重合体ブロックにおいて、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、各共役ジエン重合体ブロックにおいて、同じ共役ジエン単量体を用いても良いし、異なる共役ジエン単量体を用いることもできる。さらに、各共役ジエン重合体ブロックの不飽和結合の一部に対し、水素添加反応を行っても良い。
【0035】
ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体Bの共役ジエン重合体ブロック(D
a,D
b)は、それぞれ、共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を含んでいても良い。共役ジエン重合体ブロックに含まれ得る共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体、α,β−不飽和ニトリル単量体、不飽和カルボン酸または酸無水物単量体、不飽和カルボン酸エステル単量体、非共役ジエン単量体が例示される。各共役ジエン重合体ブロックにおける共役ジエン単量体単位以外の単量体単位の含有量は、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、実質的に0重量%であることが特に好ましい。
【0036】
本発明のラベル用粘接着剤組成物を構成するブロック共重合体Aは、上記一般式(A)で表されるように、比較的小さい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar1
a)、特定のビニル結合含有量を有する共役ジエン重合体ブロック(D
a)および比較的大きい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar2
a)が、この順で連なって構成される非対称な芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルブロック共重合体である。比較的小さい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar1
a)の重量平均分子量(Mw(Ar1
a))は、6000〜20000であり、7000〜18000であることが好ましく、8000〜16000であることがより好ましい。Mw(Ar1
a)が小さすぎると、得られるラベル用粘接着剤組成物が保持力の低いものとなるおそれがあり、大きすぎると、ラベル用粘接着剤組成物の溶融粘度が著しく高くなるおそれがある。また、比較的大きい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar2
a)の重量平均分子量(Mw(Ar2
a))は、22000〜400000であり、25000〜370000であることが好ましく、30000〜350000であることがより好ましい。Mw(Ar2
a)が小さすぎると、得られるラベル用粘接着剤組成物が、保持力が低く、比較的に低温での溶融粘度が高いものとなるおそれがあり、Mw(Ar2
a)が大きすぎるブロック共重合体Aは、製造が困難である場合がある。
【0037】
なお、本発明において、重合体や重合体ブロックの重量平均分子量は、高速液体クロマトグラフィの測定による、ポリスチレン換算の値として求めるものとする。
【0038】
ブロック共重合体Aにおいて、比較的大きい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar2
a)の重量平均分子量(Mw(Ar2
a))と、比較的小さい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar1
a)の重量平均分子量(Mw(Ar1
a))との比(Mw(Ar2
a)/Mw(Ar1
a))は、特に限定されないが、通常1.5〜67であり、2〜40であることが好ましく、3〜35であることがより好ましい。ブロック共重合体Aをこのように構成することによって、得られるラベル用粘接着剤組成物が、比較的に低温での溶融粘度が低い、塗工性に優れるものとなる。
【0039】
ブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロック(D
a)のビニル結合含有量(全共役ジエン単量体単位において、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合が占める割合)は、1〜20モル%であり、2〜15モル%であることが好ましく、3〜10モル%であることがより好ましい。このビニル結合含有量が高すぎると、得られるラベル用粘接着剤組成物が硬質すぎるものとなり、接着力に劣るものとなるおそれがある。
【0040】
ブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロック(D
a)の重量平均分子量(Mw(D
a))は、特に限定されないが、通常20000〜200000であり、30000〜150000であることが好ましく、35000〜100000であることがより好ましい。
【0041】
ブロック共重合体Aの全単量体単位に対する芳香族ビニル単量体単位の含有量は、特に限定されないが、35重量%以上であることが好ましく、41重量%以上であることがより好ましく、45〜87重量%であることがさらに好ましく、50〜85重量%であることが最も好ましい。ブロック共重合体Aの全単量体単位に対する芳香族ビニル単量体単位の含有量をこの範囲にすることにより、得られるラベル用粘接着剤組成物が保持力に優れるものとなる。
【0042】
ブロック共重合体A全体としての重量平均分子量は、特に限定されないが、通常70000〜500000であり、80000〜470000であることが好ましく、90000〜450000であることがより好ましい。
【0043】
本発明のラベル用粘接着剤組成物に含有され得るブロック共重合体Bは、上記一般式(B)で表されるように、特定の重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar
b)と特定のビニル結合含有量を有する共役ジエン重合体ブロック(D
b)とが結合してなるジブロック体(Ar
b−D
b)が、2個以上、直接単結合でもしくはカップリング剤の残基を介して結合することにより構成されるブロック共重合体である。ブロック共重合体Bを構成する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar
b)の重量平均分子量(Mw(Ar
b))は、6000〜20000であり、7000〜18000であることが好ましく、8000〜16000であることがより好ましい。ブロック共重合体Bが複数有する芳香族ビニル重合体ブロックの重量平均分子量(Mw(Ar
b))は、上記の範囲内であれば、それぞれ等しいものであっても、互いに異なるものであっても良いが、実質的に等しいものであることが好ましい。また、これらの芳香族ビニル重合体ブロックの重量平均分子量(Mw(Ar
b))は、ブロック共重合体Aの比較的小さい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar1
a)の重量平均分子量(Mw(Ar1
a))と、実質的に等しいことがより好ましい。
【0044】
ブロック共重合体Bの共役ジエン重合体ブロック(D
b)のビニル結合含有量は、1〜20モル%であり、2〜15モル%であることが好ましく、3〜10モル%であることがより好ましい。ブロック共重合体Bの共役ジエン重合体ブロック(D
b)のビニル結合含有量は、ブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロック(D
a)のビニル結合含有量と実質的に等しいことが好ましい。
【0045】
ブロック共重合体Bは、芳香族ビニル重合体ブロック(Ar
b)と共役ジエン重合体ブロック(D
b)とが結合してなるジブロック体(Ar
b−D
b)が、直接単結合で、またはカップリング剤の残基を介して、結合してなるものである。なお、カップリング剤の残基を構成するカップリング剤の例としては、後述するものが挙げられる。ジブロック体(Ar
b−D
b)が結合する数(すなわち、一般式(B)におけるn)は、2以上であれば特に限定されず、異なる数でジブロック体が結合したブロック共重合体Bが混在していても良い。一般式(B)におけるnは、2以上の整数であれば特に限定されないが、通常2〜8の整数であり、好ましくは2〜4の整数である。
【0046】
ブロック共重合体Bの共役ジエン重合体ブロック(D
b)の重量平均分子量(Mw(D
b))は、特に限定されないが、通常20000〜200000であり、30000〜150000であることが好ましく、35000〜100000であることがより好ましい。また、ブロック共重合体Bの共役ジエン重合体ブロック(D
b)の重量平均分子量(Mw(D
b))は、ブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロック(D
a)の重量平均分子量(Mw(D
a))と実質的に等しいことが好ましい。なお、ブロック共重合体Bとして、カップリング剤を使用せずに製造した芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルブロック共重合体を用いる場合、それに含まれる共役ジエン重合体ブロックは全ての単量体単位が直接結合したものとなり、実体上、2つの共役ジエン重合体ブロック(D
b)からなるものであるとは言えない。但し、本発明では、そのような共役ジエン重合体ブロックであっても、概念上、実質的に等しい重量平均分子量を有する2つの共役ジエン重合体ブロック(D
b)が単結合で結合されたものであるとして、取扱うものとする。したがって、例えば、カップリング剤を使用せずに製造した芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルブロック共重合体であるブロック共重合体Bにおいて、共役ジエン重合体ブロックが全体として100000の重量平均分子量を有する場合、そのMw(D
b)は、50000であるとして取扱うものとする。
【0047】
ブロック共重合体Bの全単量体単位に対する芳香族ビニル単量体単位の含有量は、特に限定されないが、通常10〜35重量%であり、12〜32重量%であることが好ましく、15〜30重量%であることがより好ましい。また、ブロック共重合体B全体としての重量平均分子量も、特に限定されないが、通常50000〜400000であり、60000〜350000であることが好ましく、70000〜300000であることがより好ましい。
【0048】
ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体Bを構成する各重合体ブロックの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、特に限定されないが、それぞれ、通常1.1以下であり、好ましくは1.05以下である。
【0049】
本発明のラベル用粘接着剤組成物に含有され得るブロック共重合体Aとブロック共重合体Bとの重量比(A/B)は、10/90〜100/0であり、25/75〜85/15であることが好ましく、36/64〜80/20であることがより好ましい。このような比で各ブロック共重合体が含有されることにより、得られるラベル用粘接着剤組成物が、比較的に低温での溶融粘度が低い塗工性に優れるものとなり、しかも、接着後の保持力が高いものとなる。一方、このAの比が小さすぎると、低温での溶融粘度が高くなるおそれがある。
【0050】
本発明のラベル用粘接着剤組成物は、さらにガラス転移温度が−30℃以下である重合体、またはガラス転移温度が−30℃以下である重合体ブロックを重合体鎖の末端に有するブロック共重合体である重合体Cを含有してなるものである。このような重合体Cが含有されることにより、本発明のラベル用粘接着剤組成物は、接着力およびダイカット性に優れるものとなる。
【0051】
重合体Cとして用いられ得るガラス転移温度が−30℃以下である重合体は、実質的に単一のガラス転移温度を有する重合体であって、そのガラス転移温度が−30℃以下、好ましくは−90〜−35℃である重合体である。
【0052】
重合体Cとなりうる実質的に単一のガラス転移温度を有する重合体としては、共役ジエン重合体、ブテン系重合体、イソブチレン系重合体、アクリル系重合体、エステル系重合体、エーテル系重合体、ウレタン系重合体などが挙げられるが、これらのなかでも、共役ジエン単量体単位により構成される共役ジエン重合体が好ましく用いられる。この共役ジエン重合体の共役ジエン単量体単位を構成するために用いられる共役ジエン単量体としては、前述のブロック共重合体Aの重合体ブロックを構成するために用いられ得る共役ジエン化合物が挙げられ、なかでも、重合体A成分と適度な相溶性を示し、接着性、透明性、保存安定性に優れることから、1,3−ブタジエンおよび/またはイソプレンを用いることが好ましい。
【0053】
重合体Cとして用いられ得る共役ジエン重合体は、そのガラス転移温度が−30℃以下となる限りにおいて、共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を含んでいても良い。共役ジエン重合体に含まれ得る共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体、α,β−不飽和ニトリル単量体、不飽和カルボン酸または酸無水物単量体、不飽和カルボン酸エステル単量体、非共役ジエン単量体が例示される。共役ジエン重合体における共役ジエン単量体単位以外の単量体単位の含有量は、50重量%以下であることが好ましく、45重量%以下であることがより好ましく、実質的に0重量%であることが特に好ましい。
【0054】
重合体Cとして用いられ得る共役ジエン重合体のビニル結合含有量(全共役ジエン単量体単位において、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合が占める割合)は、特に限定されないが、1〜60%であることが好ましく、2〜50モル%であることがより好ましい。このビニル結合含有量が高すぎると、粘接着剤組成物のガラス転移温度が上がり、タック性に劣るおそれがある。
【0055】
重合体Cとして用いられ得る実質的に単一のガラス転移温度を有する重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、通常500以上であり、500〜500000であることが好ましく、1500〜300000であることがより好ましい。この値が小さすぎると、高い相溶効果により、ダイカット性に劣り、この値が高すぎると加工性に劣るおそれがある。この重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布も、特に限定されないが、それぞれ、通常3以下であり、好ましくは2以下である。
【0056】
本発明のラベル用粘接着剤組成物において、ガラス転移温度が−30℃以下である重合体ブロックを重合体鎖の末端に有するブロック共重合体は、少なくとも2つの異なる重合体ブロックからなり、それらの重合体ブロックのうち、重合体鎖の末端に位置する重合体ブロックのうちの少なくとも1つの重合体ブロックのガラス転移温度が−30℃以下、好ましくは−90〜−35℃であるブロック共重合体である。
【0057】
重合体Cとして用いられ得るブロック共重合体の末端に位置するガラス転移温度が−30℃以下の重合体ブロックとしては、共役ジエン重合体ブロック、エチレン−ブテン重合体ブロック、エチレン−プロピレン重合体ブロック、イソブチレン系重合体ブロック、アクリル系重合体ブロック、エステル系重合体ブロック、エーテル系重合体ブロック、ウレタン系重合体ブロックなどが挙げられるが、これらのなかでも、共役ジエン単量体単位により構成される共役ジエン重合体ブロックが好ましく用いられる。この共役ジエン重合体の共役ジエン単量体単位を構成するために用いられる共役ジエン単量体としては、前述のブロック共重合体Aの重合体ブロックを構成するために用いられ得る共役ジエン化合物が挙げられ、なかでも、重合体A成分と適度な相溶を示し、接着性、透明性、保存安定性に優れることより1,3−ブタジエンおよび/またはイソプレンを用いることが好ましい。
【0058】
重合体Cとして用いられ得るブロック共重合体の末端に位置する共役ジエン重合体ブロックは、そのガラス転移温度が−30℃以下となる限りにおいて、共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を含んでいても良い。共役ジエン重合体ブロックに含まれ得る共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体、α,β−不飽和ニトリル単量体、不飽和カルボン酸または酸無水物単量体、不飽和カルボン酸エステル単量体、非共役ジエン単量体が例示される。共役ジエン重合体における共役ジエン単量体単位以外の単量体単位の含有量は、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、実質的に0重量%であることが特に好ましい。
【0059】
重合体Cとして用いられ得るブロック共重合体の末端に位置する共役ジエン重合体ブロックのビニル結合含有量(全共役ジエン単量体単位において、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合が占める割合)は、特に限定されないが、1〜60モル%であることが好ましく、2〜50モル%であることがより好ましい。このビニル結合含有量が高すぎると、粘接着剤組成物のガラス転移温度が上がり、タック性に劣るおそれがある。
【0060】
重合体Cとして用いられ得るブロック共重合体を構成する重合体ブロックの数は、2以上であれば特に限定されないが、2〜20あることが好ましく、2〜10であることがより好ましい。なお、このブロック共重合体は、重合体鎖の末端に位置する重合体ブロックのうちの少なくとも1つの重合体ブロックのガラス転移温度が−30℃以下であれば、他の重合体ブロックとしては任意の重合体ブロックを有することができる。
【0061】
重合体Cとして用いられ得るブロック共重合体の末端に位置するガラス転移温度が−30℃以下の重合体ブロックの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、通常500以上であり、500〜500000であることが好ましく、1500〜300000であることがより好ましい。また、このブロック共重合体全体としての重量平均分子量(Mw)も、特に限定されないが、通常2000以上であり、5000〜500000であることが好ましく、7000〜300000であることがより好ましい。この値が小さすぎると、高い相溶効果により、ダイカット性に劣り、この値が高すぎると加工性に劣るおそれがある。さらに、これらの重合体ブロックやブロック共重合体全体としての重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布も、特に限定されず、それぞれ、通常3以下であり、好ましくは2以下である。
【0062】
本発明のラベル用粘接着剤組成物において、重合体Cとして好ましく用いられる重合体としては、ポリブタジエン、(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体、スチレン−ブタジエンジブロック共重合体、(スチレン重合体ブロック)−〔(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体ブロック〕ジブロック共重合体、〔(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体ブロック〕−(ブタジエン重合体ブロック)ジブロック共重合体、〔(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体ブロック〕−〔(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体ブロック〕ジブロック共重合体などの1,3−ブタジエン単位を含有してなる共役ジエン重合体および1,3−ブタジエン単位を含有してなる共役ジエン重合体ブロックを重合体鎖の末端に有するブロック共重合体や、ポリイソプレン、(スチレン−イソプレン)ランダム共重合体、スチレン−イソプレンジブロック共重合体、(スチレン重合体ブロック)−〔(スチレン−イソプレン)ランダム共重合体ブロック〕ジブロック共重合体、〔(スチレン−イソプレン)ランダム共重合体ブロック〕−(イソプレン重合体ブロック)ジブロック共重合体、〔(スチレン−イソプレン)ランダム共重合体ブロック〕−〔(スチレン−イソプレン)ランダム共重合体ブロック〕ジブロック共重合体などのイソプレン単位を含有してなる共役ジエン重合体およびイソプレン単位を含有してなる共役ジエン重合体ブロックを重合体鎖の末端に有するブロック共重合体が挙げられる。これらを用いることにより、得られるラベル用粘接着剤組成物が、特に接着性およびダイカット性に優れたものとなる。
【0063】
本発明のラベル用粘接着剤組成物は、1種の重合体またはブロック共重合体のみを重合体Cとして含むものであってもよく、2種以上の重合体またはブロック共重合体を重合体Cと含むものであってもよい。
【0064】
本発明のラベル用粘接着剤組成物は、重合体Cとして、イソプレン単位を含有してなる共役ジエン重合体、およびイソプレン単位を含有してなる共役ジエン重合体ブロックを重合体鎖の末端に有するブロック共重合体から選択される少なくとも1種のイソプレン単位含有重合体を含有してなるものであることが好ましい。なかでも、イソプレン単位含有重合体として、下記の一般式(C1)で表されるブロック共重合体C1を含有してなるものであることが特に好ましい。
【0066】
上記の一般式(C1)において、Ar
cは重量平均分子量が6000〜20000の芳香族ビニル重合体ブロックであり、PIは、ビニル結合含有量が1〜20モル%のイソプレン重合体ブロックである。
【0067】
本発明のラベル用粘接着剤組成物に含有され得るブロック共重合体C1は、上記一般式(C1)で表されるように、特定の重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar
c)と特定のビニル結合含有量を有するイソプレン重合体ブロック(PI)とが結合してなる芳香族ビニル−イソプレンジブロック共重合体である。芳香族ビニル単量体単位を構成するために用いられる芳香族ビニル単量体としては、ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体Bの芳香族ビニル重合体ブロックを構成するために用いる芳香族ビニル単量体と同様のものを用いることができる。また、ブロック共重合体C1を構成する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar
c)の重量平均分子量(Mw(Ar
c))は、6000〜20000であり、7000〜18000であることが好ましく、8000〜16000であることがより好ましい。さらに、ブロック共重合体C1の芳香族ビニル重合体ブロックの重量平均分子量(Mw(Ar
c))は、ブロック共重合体Aの比較的小さい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar1
a)の重量平均分子量(Mw(Ar1
a))と、実質的に等しいことがより好ましい。
【0068】
ブロック共重合体C1のイソプレン重合体ブロック(PI)は、イソプレン単量体単位により構成される重合体ブロックである。なお、イソプレン重合体ブロック(PI)の不飽和結合の一部に対し、水素添加反応を行っても良い。また、イソプレン重合体ブロック(PI)はイソプレン単量体単位以外の単量体単位を含んでいても良い。イソプレン重合体ブロック(PI)に含まれ得るイソプレン単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、1,3−ブタジエンなどのイソプレン以外の共役ジエン単量体、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体、α,β−不飽和ニトリル単量体、不飽和カルボン酸または酸無水物単量体、不飽和カルボン酸エステル単量体、非共役ジエン単量体が例示される。イソプレン重合体ブロック(PI)におけるイソプレン単量体単位以外の単量体単位の含有量は、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、実質的に0重量%であることが特に好ましい。
【0069】
ブロック共重合体C1のイソプレン重合体ブロック(PI)のビニル結合含有量は、1〜20モル%であり、2〜15モル%であることが好ましく、3〜10モル%であることがより好ましい。ブロック共重合体C1のイソプレン重合体ブロック(PI)のビニル結合含有量は、ブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロック(D
a)のビニル結合含有量と実質的に等しいことが好ましい。
【0070】
ブロック共重合体C1のイソプレン重合体ブロック(PI)の重量平均分子量(Mw(PI))は、特に限定されないが、通常20000〜200000であり、30000〜150000であることが好ましく、35000〜100000であることがより好ましい。また、ブロック共重合体C1のイソプレン重合体ブロック(PI)の重量平均分子量(Mw(PI))は、ブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロック(D
a)の重量平均分子量(Mw(D
a))と実質的に等しいことが好ましい。
【0071】
ブロック共重合体C1の全単量体単位に対する芳香族ビニル単量体単位の含有量は、特に限定されないが、通常10〜35重量%であり、12〜32重量%であることが好ましく、15〜30重量%であることがより好ましい。また、ブロック共重合体C1全体としての重量平均分子量も、特に限定されないが、通常26000〜220000であり、36000〜170000であることが好ましく、41000〜120000であることがより好ましい。
【0072】
ブロック共重合体C1を構成する各重合体ブロックの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、特に限定されないが、それぞれ、通常1.1以下であり、好ましくは1.05以下である。
【0073】
また、本発明のラベル用粘接着剤組成物は、重合体Cとして、1,3−ブタジエン単位を含有してなる共役ジエン重合体、および1,3−ブタジエン単位を含有してなる共役ジエン重合体ブロックを重合体鎖の末端に有するブロック共重合体から選択される少なくとも1種のブタジエン単位含有重合体を含有してなるものであることが好ましい。重合体Cとして用いられ得るブタジエン単位含有重合体としては、ポリブタジエン、(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体、スチレン−ブタジエンジブロック共重合体、(スチレン重合体ブロック)−〔(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体ブロック〕ジブロック共重合体、〔(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体ブロック〕−(ブタジエン重合体ブロック)ジブロック共重合体、〔(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体ブロック〕−〔(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体ブロック〕ジブロック共重合体が例示され、これらの中でも、ポリブタジエン、(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体、スチレン−ブタジエンジブロック共重合体、(スチレン重合体ブロック)−〔(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体ブロック〕ジブロック共重合体が好適であり、(スチレン重合体ブロック)−〔(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体ブロック〕ジブロック共重合体が特に好適である。
【0074】
本発明のラベル用粘接着剤組成物では、特に、重合体Cとして、前述したような、イソプレン単位を含有してなる共役ジエン重合体、およびイソプレン単位を含有してなる共役ジエン重合体ブロックを重合体鎖の末端に有するブロック共重合体から選択される少なくとも1種のイソプレン単位含有重合体と、1,3−ブタジエン単位を含有してなる共役ジエン重合体、および1,3−ブタジエン単位を含有してなる共役ジエン重合体ブロックを重合体鎖の末端に有するブロック共重合体から選択される少なくとも1種のブタジエン単位含有重合体との両方を含有してなるものが好ましく用いられる。重合体Cとして、イソプレン単位含有重合体とブタジエン単位含有重合体との両方が含有されることにより、得られるラベル用粘接着剤組成物が、接着性やダイカット性の点において特に優れたものとなる。この場合において、イソプレン単位含有重合体とブタジエン単位含有重合体との重量比は、10/90〜90/10であることが好ましく、20/80〜80/20であることがより好ましい。
【0075】
本発明のラベル用粘接着剤組成物において、ブロック共重合体Aと重合体Cとの重量比(A/C)は、特に限定されないが、5/95〜95/5であることが好ましく、10/90〜90/10であることがより好ましく、20/80〜80/20であることがさらに好ましい。このような重量比でブロック共重合体Aおよび重合体Cが含有されることにより、得られるラベル用粘接着剤組成物が、特に、低い溶融粘度を持ちながら保持力に優れ、タック性およびダイカット性に優れたものとなる。
【0076】
本発明のラベル用粘接着剤組成物において、ブロック共重合体A、必要に応じて含有される成分であるブロック共重合体B、および重合体Cからなる重合体成分において、当該重合体成分全体に対して芳香族ビニル単量体単位が占める割合(以下の記載において、「全体の芳香族ビニル単量体単位含有量」という場合がある)は、特に限定されるものではないが、13〜85重量%であることが好ましく、18〜70重量%であることがより好ましく、20〜60重量%であることがさらに好ましい。全体の芳香族ビニル単量体単位含有量が小さすぎると、得られるラベル用粘接着剤組成物が保持力に劣るものとなるおそれがあり、全体の芳香族ビニル単量体単位含有量が大きすぎると、得られるラベル用粘接着剤組成物が硬質すぎるものとなり、接着力に劣るものとなるおそれがある。この全体の芳香族ビニル単量体単位含有量は、ラベル用粘接着剤組成物を構成するブロック共重合体A、必要に応じて含有される成分であるブロック共重合体B、および重合体Cのそれぞれの芳香族ビニル単量体単位の含有量を勘案し、それらの配合量を調節することにより、容易に調節することが可能である。なお、ラベル用粘接着剤組成物を構成する全ての重合体成分が、芳香族ビニル単量体単位および共役ジエン単量体単位のみにより構成されている場合であれば、Rubber Chem. Technol.,45,1295(1972)に記載された方法に従って、重合体成分をオゾン分解し、次いで水素化リチウムアルミニウムにより還元すれば、共役ジエン単量体単位部分が分解され、芳香族ビニル単量体単位部分のみを取り出せるので、容易に全体の芳香族ビニル単量体単位含有量を測定することができる。
【0077】
本発明のラベル用粘接着剤組成物は、ブロック共重合体Aおよび重合体Cのみを重合体成分として含むものであって良いが、ブロック共重合体Bや、さらにそれ以外の重合体成分を含むものであっても良い。本発明のラベル用粘接着剤組成物に含まれ得るブロック共重合体A、ブロック共重合体Bおよび重合体C以外の重合体成分としては、ブロック共重合体Aおよびブロック共重合体B以外の芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルブロック共重合体、芳香族ビニル単独重合体、ガラス転移温度が−30℃を超える芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体、およびこれらの分岐型重合体あるいは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリフェニレンエーテルなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。本発明のラベル用粘接着剤組成物において、ブロック共重合体A、ブロック共重合体Bおよび重合体C以外の重合体成分(ただし、後述する粘着付与樹脂や軟化剤はこれらに含まれないものとする)の含有量は、重合体成分全体に対して、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
【0078】
本発明のラベル用粘接着剤組成物を構成する、ブロック共重合体A、必要に応じて含有される成分であるブロック共重合体B、および重合体Cからなる重合体成分全体の重量平均分子量は、特に限定されないが、通常50000〜500000であり、60000〜450000であることが好ましく、70000〜400000であることがより好ましい。また、この重合体成分全体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、特に限定されないが、通常1.01〜10であり、1.03〜5であることが好ましく、1.05〜3であることがより好ましい。
【0079】
本発明で用いるブロック共重合体A、必要に応じて含有される成分であるブロック共重合体B、および重合体Cを得る方法は特に限定されない。例えば、従来の重合法に従って、それぞれの重合体を別個に製造し、必要に応じて、他の重合体成分などを配合した上で、それらを混練や溶液混合などの常法に従って混合することにより、製造することができる。ただし、これらの重合体を生産性よく得る観点からは、次に述べる製造方法が好適である。
【0080】
すなわち、本発明で用いるブロック共重合体A、ブロック共重合体B、および重合体Cは、下記の(1)〜(5)の工程からなる製造方法を用いて製造することが好ましい。
【0081】
(1):溶媒中で重合開始剤を用いて、芳香族ビニル単量体を重合する工程
(2):上記(1)の工程で得られる活性末端を有する芳香族ビニル重合体を含有する溶液に、共役ジエン単量体を添加する工程
(3):上記(2)の工程で得られる活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有する溶液に、カップリング剤および重合停止剤を、それらの合計の官能基の量が、活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の活性末端に対して、1モル当量未満となるように添加し、ブロック共重合体Bおよび重合体Cを形成する工程
(4):上記(3)の工程で得られる溶液に、芳香族ビニル単量体を添加し、ブロック共重合体Aを形成する工程
(5):上記(4)の工程で得られる溶液から、重合体成分を回収する工程
【0082】
上記の製造方法では、まず、溶媒中で重合開始剤を用いて、芳香族ビニル単量体を重合する(工程(1))。用いられる重合開始剤としては、一般的に芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とに対し、アニオン重合活性があることが知られている有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、有機ランタノイド系列希土類金属化合物などを用いることができる。有機アルカリ金属化合物としては、分子中に1個以上のリチウム原子を有する有機リチウム化合物が特に好適に用いられ、その具体例としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム、ジアルキルアミノリチウム、ジフェニルアミノリチウム、ジトリメチルシリルアミノリチウムなどの有機モノリチウム化合物や、メチレンジリチウム、テトラメチレンジリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、イソプレニルジリチウム、1,4−ジリチオ−エチルシクロヘキサンなどの有機ジリチウム化合物、さらには、1,3,5−トリリチオベンゼンなどの有機トリリチウム化合物などが挙げられる。これらのなかでも、有機モノリチウム化合物が特に好適に用いられる。
【0083】
重合開始剤として用いる有機アルカリ土類金属化合物としては、例えば、n−ブチルマグネシウムブロミド、n−ヘキシルマグネシウムブロミド、エトキシカルシウム、ステアリン酸カルシウム、t−ブトキシストロンチウム、エトキシバリウム、イソプロポキシバリウム、エチルメルカプトバリウム、t−ブトキシバリウム、フェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ステアリン酸バリウム、エチルバリウムなどが挙げられる。また、他の重合開始剤の具体例としては、ネオジム、サマリニウム、ガドリニウムなどを含むランタノイド系列希土類金属化合物/アルキルアルミニウム/アルキルアルミニウムハライド/アルキルアルミニウムハイドライドからなる複合触媒や、チタン、バナジウム、サマリニウム、ガドリニウムなどを含むメタロセン型触媒などの有機溶媒中で均一系となり、リビング重合性を有するものなどが挙げられる。なお、これらの重合開始剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0084】
重合開始剤の使用量は、目的とする各ブロック共重合体の分子量に応じて決定すればよく、特に限定されないが、使用する全単量体100gあたり、通常、0.01〜20ミリモル、好ましくは、0.05〜15ミリモル、より好ましくは、0.1〜10ミリモルである。
【0085】
重合に用いる溶媒は、重合開始剤に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、鎖状炭化水素溶媒、環式炭化水素溶媒またはこれらの混合溶媒が使用される。鎖状炭化水素溶媒としてはn−ブタン、イソブタン、1−ブテン、イソブチレン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、トランス−2−ペンテン、シス−2−ペンテン、n−ペンタン、イソペンタン、neo−ペンタン、n−ヘキサンなどの、炭素数4〜6の鎖状アルカンおよびアルケンを例示することができる。また、環式炭化水素溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素化合物;を挙げることができる。これらの溶媒は、1種類を単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
【0086】
重合に用いる溶媒の量は、特に限定されないが、重合反応後の溶液における全ブロック共重合体の濃度が、通常、5〜60重量%、好ましくは10〜55重量%、より好ましくは20〜50重量%になるように設定する。
【0087】
各ブロック共重合体の各重合体ブロックの構造を制御するために、重合に用いる反応器にルイス塩基化合物を添加してもよい。このルイス塩基化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジンなどの第三級アミン類;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシドなどのアルカリ金属アルコキシド類;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類;などが挙げられる。これらのルイス塩基化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられ、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択される。
【0088】
また、重合反応時にルイス塩基化合物を添加する時期は特に限定されず、目的とする各ブロック共重合体の構造に応じて適宜決定すれば良い。例えば、重合を開始する前に予め添加しても良いし、一部の重合体ブロックを重合してから添加しても良く、さらには、重合を開始する前に予め添加した上で一部の重合体ブロックを重合した後さらに添加しても良い。
【0089】
重合反応温度は、通常10〜150℃、好ましくは30〜130℃、より好ましくは40〜90℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常、48時間以内、好ましくは0.5〜10時間である。重合圧力は、上記重合温度範囲で単量体および溶媒を液相に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されない。
【0090】
以上のような条件で、溶媒中で重合開始剤を用いて、芳香族ビニル単量体を重合することにより、活性末端を有する芳香族ビニル重合体を含有する溶液を得ることができる。この活性末端を有する芳香族ビニル重合体は、ブロック共重合体Aの比較的小さい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar1
a)、ブロック共重合体Bの芳香族ビニル重合体ブロック(Ar
b)、および重合体Cの芳香族ビニル重合体ブロックを構成することとなるものである。したがって、この際用いる芳香族ビニル単量体の量は、これらの重合体ブロックの目的とする重量平均分子量に応じて決定される。
【0091】
次の工程は、以上のようにして得られる活性末端を有する芳香族ビニル重合体を含有する溶液に、共役ジエン単量体を添加する工程である(工程(2))。この共役ジエン単量体の添加により、活性末端から共役ジエン重合体鎖が形成され、活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有する溶液が得られる。この際用いる共役ジエン単量体の量は、得られる共役ジエン重合体鎖が、目的とするブロック共重合体Bの共役ジエン重合体ブロック(D
b)、および重合体Cの共役ジエン重合体ブロックの重量平均分子量を有するように決定される。
【0092】
次の工程では、以上のようにして得られる活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有する溶液に、カップリング剤および重合停止剤を、それらの合計の官能基の量が、活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の活性末端に対して、1モル当量未満となるように添加する(工程(3))。
【0093】
この工程で添加されるカップリング剤は、特に限定されず、2官能以上の任意のカップリング剤を用いることができる。2官能のカップリング剤としては、例えば、ジクロロシラン、モノメチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシランなどの2官能性ハロゲン化シラン;ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどの2官能性アルコキシシラン;ジクロロエタン、ジブロモエタン、メチレンクロライド、ジブロモメタンなどの2官能性ハロゲン化アルカン;ジクロロスズ、モノメチルジクロロスズ、ジメチルジクロロスズ、モノエチルジクロロスズ、ジエチルジクロロスズ、モノブチルジクロロスズ、ジブチルジクロロスズなどの2官能性ハロゲン化スズ;ジブロモベンゼン、安息香酸、CO、2―クロロプロペンなどが挙げられる。3官能のカップリング剤としては、例えば、トリクロロエタン、トリクロロプロパンなどの3官能性ハロゲン化アルカン;メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシランなどの3官能性ハロゲン化シラン;メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどの3官能性アルコキシシラン;などが挙げられる。4官能のカップリング剤としては、例えば、四塩化炭素、四臭化炭素、テトラクロロエタンなどの4官能性ハロゲン化アルカン;テトラクロロシラン、テトラブロモシランなどの4官能性ハロゲン化シラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどの4官能性アルコキシシラン;テトラクロロスズ、テトラブロモスズなどの4官能性ハロゲン化スズ;などが挙げられる。5官能以上のカップリング剤としては、例えば、1,1,1,2,2−ペンタクロロエタン,パークロロエタン、ペンタクロロベンゼン、パークロロベンゼン、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテルなどが挙げられる。これらのカップリング剤は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0094】
また、この工程で重合停止剤も、特に限定されず、従来公知の重合停止剤を特に制限無く用いることができる。特に好適に用いられる重合停止剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノールなどのアルコールが挙げられる。
【0095】
活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有する溶液にカップリング剤を添加すると、活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の共役ジエン重合体ブロック同士がカップリング剤の残基を介して結合され、その結果、ブロック共重合体Bが形成される。また、この溶液に重合停止剤と添加すると、活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の活性末端が失活し、その結果、芳香族ビニル−共役ジエンジブロック共重合体である重合体Cが形成され、なかでも、共役ジエン単量体としてイソプレンを用いた場合には、一般式(C1)で表されるブロック共重合体C1が形成される。なお、カップリング剤および重合停止剤を添加する順序は特に限定されず、どちらか一方を添加した後に他方を添加しても良いし、両方を同時に添加しても良い。
【0096】
この工程で添加されるカップリング剤および重合停止剤の量は、それらの合計の官能基の量が、活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の活性末端に対して、1モル当量未満となる量とする必要がある。次の工程であるブロック共重合体Aを形成する工程を行なうために、溶液中に活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体が残存させる必要があるからである。カップリング剤および重合停止剤の量は、重合体の活性末端に対してそれらの合計の官能基の量が0.10〜0.90モル当量となる範囲が好ましく、0.15〜0.70モル当量となる範囲であることがより好ましい。なお、この工程で添加されるカップリング剤の量は、ブロック共重合体Bの量を決定するものであり、また、反応停止剤の量は、重合体Cの量を決定するものであるので、それぞれの量は、目的とする重合体成分の組成に応じて決定すれば良い。なお、ブロック共重合体Bおよび重合体Cを形成させる必要がない場合には、この工程を省略すれば良い。
【0097】
カップリング反応や重合停止反応の反応条件は特に限定されず、通常は前述の重合反応条件と同様の範囲で設定すれば良い。
【0098】
次の工程では、以上のようにして得られる溶液に、芳香族ビニル単量体を添加する(工程(4))。溶液に芳香族ビニル単量体を添加すると、カップリング剤や重合停止剤と反応せずに残った活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の末端から、芳香族ビニル重合体鎖が形成される。この芳香族ビニル重合体鎖は、ブロック共重合体Aの比較的大きい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar2
a)を構成することとなるものである。したがって、この際用いる芳香族ビニル単量体の量は、芳香族ビニル重合体ブロック(Ar2
a)の目的とする重量平均分子量に応じて決定される。この芳香族ビニル単量体を添加する工程により、ブロック共重合体Aを構成することとなる、非対称な芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルブロック共重合体が形成され、その結果、ブロック共重合体A〜Cを含有する溶液が得られる。なお、この芳香族ビニル単量体を添加する工程の前に、カップリング剤や重合停止剤と反応しなかった活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含む溶液に、共役ジエン単量体を添加しても良い。このように共役ジエン単量体を添加すると、添加しない場合に比べて、ブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロック(D
a)の重量平均分子量を大きくすることができる。
【0099】
次の工程では、以上のようにして得られる溶液から、目的とする重合体成分を回収する(工程(5))。回収の方法は、常法に従えばよく、特に限定されない。例えば、反応終了後に、必要に応じて、水、メタノール、エタノール、プロパノール、塩酸、クエン酸などの重合停止剤を添加し、さらに必要に応じて、酸化防止剤などの添加剤を添加してから、溶液に直接乾燥法やスチームストリッピングなどの公知の方法を適用することにより、回収することができる。スチームストリッピングなどを適用して、重合体成分がスラリーとして回収される場合は、押出機型スクイザーなどの任意の脱水機を用いて脱水して、所定値以下の含水率を有するクラムとし、さらにそのクラムをバンドドライヤーあるいはエクスパンション押出乾燥機などの任意の乾燥機を用いて乾燥すればよい。以上のようにして得られる重合体成分は、常法に従い、ペレットなどに加工してから、ラベル用粘接着剤組成物などの製造に供しても良い。
【0100】
以上の製造方法によれば、本発明で用いるブロック共重合体A、ブロック共重合体B、および重合体Cの全てを同じ反応容器内で連続して得ることができるので、それぞれの重合体を個別に製造し混合する場合に比して、極めて優れた生産性で目的の重合体成分を得ることができる。
【0101】
本発明のラベル用粘接着剤組成物は、以上のようなブロック共重合体A、必要に応じて含有される成分であるブロック共重合体B、および重合体Cからなる重合体成分と、粘着付与樹脂とを含有してなるものである。本発明で用いる粘着付与樹脂としては従来公知の粘着付与樹脂が使用できる。具体的には、ロジン;不均化ロジン、二量化ロジンなどの変性ロジン類;グリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールとロジンまたは変性ロジン類とのエステル化物;テルペン系樹脂;脂肪族系、芳香族系、脂環族系または脂肪族−芳香族共重合系の炭化水素樹脂またはこれらの水素化物;フェノール樹脂;クマロン−インデン樹脂などが挙げられる。特に好ましく用いられる粘着付与樹脂は、本発明で用いる重合体成分と相溶性のよい脂肪族系または脂肪族−芳香族共重合系の炭化水素樹脂である。本発明のラベル用粘接着剤組成物における粘着付与樹脂の使用量は、特に限定されないが、ブロック共重合体A、必要に応じて含有される成分であるブロック共重合体B、および重合体Cからなる重合体成分100重量部当り、通常10〜500重量部であり、好ましくは50〜350重量部であり、より好ましくは70〜250重量部である。なお、粘着付与樹脂は1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0102】
本発明のラベル用粘接着剤組成物は、さらに軟化剤を含有してなるものであることが好ましい。軟化剤としては従来公知の軟化剤が使用できる。具体的には、通常のホットメルト粘接着剤組成物に添加される、芳香族系、パラフィン系またはナフテン系の伸展油(エクステンダーオイル);ポリブテン、ポリイソブチレンなどの液状重合体などを使用することができる。軟化剤の使用量は、特に限定されないが、ブロック共重合体A、必要に応じて含有される成分であるブロック共重合体B、および重合体Cからなる重合体成分100重量部当り、500重量部以下であり、好ましくは10〜350重量部であり、より好ましくは30〜250重量部である。なお、軟化剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0103】
本発明のラベル用粘接着剤組成物には、必要に応じ酸化防止剤を添加することができる。その種類は特に限定されず、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどのヒンダードフェノール系化合物;ジラウリルチオプロピオネートなどのチオジカルボキシレートエステル類;トリス(ノニルフェニル)ホスファイトなどの亜燐酸塩類;を使用することができる。酸化防止剤の使用量は、特に限定されないが、ブロック共重合体A、必要に応じて含有される成分であるブロック共重合体B、および重合体Cからなる重合体成分100重量部当り、通常10重量部以下であり、好ましくは0.5〜5重量部である。なお、酸化防止剤は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0104】
また、本発明のラベル用粘接着剤組成物には、さらに、熱安定剤、紫外線吸収剤、充填剤など、その他の配合剤を添加することができる。なお、本発明のラベル用粘接着剤組成物は、溶剤を含まない、無溶剤の組成物であることが好ましい。
【0105】
本発明のラベル用粘接着剤組成物を得るにあたり、重合体成分と粘着付与樹脂や各種添加剤を混合する方法は特に限定されず、例えば、各成分を溶剤に溶解し均一に混合した後、溶剤を加熱などにより除去する方法、各成分をニーダーなどで加熱溶融混合する方法を挙げることができる。また、本発明のラベル用粘接着剤組成物を得るにあたっては、例えば、1種の重合体C(ブロック共重合体C1)を反応器内でブロック共重合体Aとともに合成した上で、さらに、別の重合体Cを別途混合することもできる。
【0106】
本発明のラベル用粘接着剤組成物は、常法に従った、ラベルの製造に適用できる。例えば、本発明のラベル用粘接着剤組成物は、加熱により溶融された後、ダイにより切断されて一定の大きさとされた上で、上質紙、アート紙、キャスト紙、サーマル紙、ホイル紙等の紙基材およびポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂フィルム、セロファンフィルム等のフィルム基材に塗工、または離型紙に塗工した後、上記基材に転写されて、ラベルが製造される。本発明のラベル用粘接着剤組成物は、比較的に低温での塗工が容易であり、ダイカット性が良好であることから、このようなラベルの製造における不良品率の削減および、生産性の向上に寄与するものである。しかも、得られるラベルは、保持力やタック性に優れたものとなる。用途は、食品・飲料・酒類の容器包装への商品ラベルとして用いたり、可変情報ラベルとして多く使用される。また、物流、電気・精密機器、医薬・医療、化粧品・トイレタリー、文具・OA、自動車用などにも広く利用される。
【実施例】
【0107】
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、各例中の部および%は、特に断りのない限り、重量基準である。
【0108】
各種の測定については、以下の方法に従って行った。
【0109】
〔重合体成分中の各重合体の重量平均分子量〕
流速0.35ml/分のテトラヒドロフランをキャリアとする高速液体クロマトグラフィによりポリスチレン換算分子量として求めた。装置は、東ソー社製HLC8220、カラムは昭和電工社製Shodex KF−404HQを3本連結したもの(カラム温度40℃)、検出器は示差屈折計および紫外検出器を用い、分子量の較正はポリマーラボラトリー社製の標準ポリスチレン(500から300万)の12点で実施した。
【0110】
〔重合体成分中の各重合体の重量比〕
上記の高速液体クロマトグラフィにより得られたチャートの各ブロック共重合体に対応するピークの面積比から求めた。
【0111】
〔ブロック共重合体のスチレン重合体ブロックの重量平均分子量〕
Rubber Chem. Technol.,45,1295(1972)に記載された方法に従い、ブロック共重合体をオゾンと反応させ、水素化リチウムアルミニウムで還元することにより、ブロック共重合体のイソプレン重合体ブロックを分解した。具体的には、以下の手順で行なった。すなわち、モレキュラーシーブで処理したジクロロメタン100mlを入れた反応容器に、試料を300mg溶解した。この反応容器を冷却槽に入れ−25℃としてから、反応容器に170ml/minの流量で酸素を流しながら、オゾン発生器により発生させたオゾンを導入した。反応開始から30分経過後、反応容器から流出する気体をヨウ化カリウム水溶液に導入することにより、反応が完了したことを確認した。次いで、窒素置換した別の反応容器に、ジエチルエーテル50mlと水素化リチウムアルミニウム470mgを仕込み、氷水で反応容器を冷却しながら、この反応容器にオゾンと反応させた溶液をゆっくり滴下した。そして、反応容器を水浴に入れ、徐々に昇温して、40℃で30分間還流させた。その後、溶液を撹拌しながら、反応容器に希塩酸を少量ずつ滴下し、水素の発生がほとんど認められなくなるまで滴下を続けた。この反応の後、溶液に生じた固形の生成物をろ別し、固形の生成物は、100mlのジエチルエーテルで10分間抽出した。この抽出液と、ろ別した際のろ液とをあわせ、溶媒を留去することにより、固形の試料を得た。このようにして得られた試料につき、上記の重量平均分子量の測定法に従い、重量平均分子量を測定し、その値をスチレン重合体ブロックの重量平均分子量とした。
【0112】
〔ブロック共重合体のイソプレン重合体ブロックの重量平均分子量〕
それぞれ上記のようにして求められた、ブロック共重合体の重量平均分子量から、対応するスチレン重合体ブロックの重量平均分子量を引き、その計算値に基づいて、イソプレン重合体ブロックの重量平均分子量を求めた。
【0113】
〔ブロック共重合体のスチレン単位含有量〕
上記の高速液体クロマトグラフィの測定における、示差屈折計と紫外検出器との検出強度比に基づいて求めた。なお、予め、異なるスチレン単位含有量を有する共重合体を用意し、それらを用いて、検量線を作成した。
【0114】
〔重合体成分(全体)のスチレン単位含有量〕
プロトンNMRの測定に基づき求めた。
【0115】
〔イソプレン重合体ブロックのビニル結合含有量〕
プロトンNMRの測定に基づき求めた。
【0116】
〔ラベル用粘接着剤組成物のタック性〕
FINAT−1991 FTM−9(Quick−stick tack measurement)に準じてループタックを測定し、タック性を評価した。値が大きいものほど、タック性に優れる。
【0117】
〔ラベル用粘接着剤組成物の接着力〕
常温での剥離接着強さ(N/m)を、23℃で、被着体として硬質ポリエチレン板を使用してPSTC−1(米国粘着テープ委員会による180°剥離接着試験)に準じて測定することにより、接着力を評価した。値が大きいものほど、接着力に優れる。
【0118】
〔ラベル用粘接着剤組成物の保持力〕
試料を幅10mmの粘着テープとし、被着体として硬質ポリエチレンを使用して、PSTC−6(米国粘着テープ委員会による保持力試験法)に準じ、接着部が10×25mm、負荷が3.92×10
4Pa、温度40℃にて、剥がれるまでの時間(分)により、保持力を評価した。値が大きいものほど、保持力に優れる。
【0119】
〔ラベル用粘接着剤組成物のガラス転移温度および20℃におけるtanδ値〕
動的粘弾性測定によって算出した。測定機器はティーエーインスツルメンツ社製ARESを用いた。測定する試料を2mmの厚み、8mmφのパラレルプレートに成形し、測定を行った。測定条件は、昇温速度4℃/分、歪み0.1%、周波数10ラジアン/secとし、測定温度幅は−120℃〜200℃までとした。なお、tanδカーブのピークトップをガラス転移温度であるとした。ガラス転移温度が低いものほど、低温における接着性能やタック性に優れ、また、20℃におけるtanδ値が高いものほど、ダイカット性に優れる。
【0120】
〔参考例1〕
耐圧反応器に、シクロヘキサン23.3kg、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、TMEDAと称する)3.10ミリモルおよびスチレン0.83kgを添加し、40℃で攪拌しているところに、n−ブチルリチウム104.2ミリモルを添加し、50℃に昇温しながら1時間重合した。スチレンの重合転化率は100重量%であった。引き続き、50〜60℃を保つように温度制御しながら、反応器にイソプレン7.50kgを1時間にわたり連続的に添加した。イソプレンの添加を完了した後、さらに1時間重合した。イソプレンの重合転化率は100%であった。次いで、カップリング剤としてジメチルジクロロシラン23.4ミリモルを添加して2時間カップリング反応を行い、ブロック共重合体Bとなるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を形成させた。この後、50〜60℃を保つように温度制御しながら、スチレン1.67kgを1時間にわたり連続的に添加した。スチレンの添加を完了した後、さらに1時間重合し、ブロック共重合体Aとなるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を形成させた。スチレンの重合転化率は100%であった。この後、重合停止剤としてメタノール208.4ミリモルを添加してよく混合し反応を停止した。なお、反応に用いた各試剤の量は、表1にまとめた。以上のようにして得られた反応液100部(重合体成分を30部含有)に、酸化防止剤として、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.3部を加えて混合し、混合溶液を少量ずつ85〜95℃に加熱された温水中に滴下して溶媒を揮発させて析出物を得て、この析出物を粉砕し、85℃で熱風乾燥することにより、参考例1の組成物を回収した。得られた反応液の一部を取り出し、含有される各重合体の重量平均分子量、重合体成分中の各重合体の重量比、各ブロック共重合体のスチレン重合体ブロックの重量平均分子量、各ブロック共重合体のイソプレン重合体ブロックの重量平均分子量、各ブロック共重合体のスチレン単位含有量、重合体成分(全体)のスチレン単位含有量ならびに各ブロック共重合体のイソプレン重合体ブロックのビニル結合含有量を求めた。これらの値は、表2に示した。
【0121】
【表1】
【0122】
【表2】
【0123】
〔参考例2〕
スチレン、n−ブチルリチウム、TMEDA、イソプレン、ジメチルジクロロシランおよびメタノールの量を、それぞれ表1に示すように変更したこと以外は参考例1と同様にして、参考例2の組成物を回収した。参考例2の組成物については、参考例1と同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0124】
〔参考例3〕
耐圧反応器に、シクロヘキサン23.3kg、TMEDA4.00ミリモルおよびスチレン1.33kgを添加し、40℃で攪拌しているところに、n−ブチルリチウム134.4ミリモルを添加し、50℃に昇温しながら1時間重合した。スチレンの重合転化率は100重量%であった。引き続き、50〜60℃を保つように温度制御しながら、反応器にイソプレン7.00kgを1時間にわたり連続的に添加した。イソプレンの添加を完了した後、さらに1時間重合した。イソプレンの重合転化率は100%であった。次いで、カップリング剤としてテトラクロロシラン13.4ミリモルを添加して2時間カップリング反応を行い、ブロック共重合体Bとなる分岐状のスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を形成させた。このカップリング反応の後、反応器に重合停止剤としてメタノールを64.5ミリモル添加して1時間重合停止反応を行い、活性末端を有するスチレン−イソプレンブロック共重合体の一部の活性末端を失活させることにより、重合体C(ブロック共重合体C1)となるスチレン−イソプレンジブロック共重合体を形成させた。この後、50〜60℃を保つように温度制御しながら、スチレン1.67kgを1時間にわたり連続的に添加した。スチレンの添加を完了した後、さらに1時間重合し、ブロック共重合体Aとなるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を形成させた。スチレンの重合転化率は100%であった。この後、重合停止剤としてメタノール268.8ミリモルを添加してよく混合し反応を停止した。なお、反応に用いた各試剤の量は、表1にまとめた。得られた反応液の一部を取り出し、参考例1と同様の測定を行なった。これらの値は、表2に示した。以上のようにして得られた反応液100部(重合体成分を30部含有)に、酸化防止剤として、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.3部を加えて混合し、混合溶液を少量ずつ85〜95℃に加熱された温水中に滴下して溶媒を揮発させて析出物を得て、この析出物を粉砕し、85℃で熱風乾燥することにより、参考例3のラベル用粘接着剤組成物を回収した。
【0125】
〔参考例4〕
テトラクロロシランに代えて、ジメチルジクロロシラン31.4ミリモルを用い、スチレン、n−ブチルリチウム、TMEDA、イソプレン、およびメタノールの量を、それぞれ表1に示すように変更したこと以外は参考例3と同様にして、参考例4の組成物を回収した。参考例4の組成物については、参考例1と同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0126】
〔参考例5〕
スチレン、n−ブチルリチウム、TMEDA、イソプレン、テトラクロロシランおよびメタノールの量を、それぞれ表1に示すように変更したこと以外は参考例3と同様にして、参考例5の組成物を回収した。参考例5の組成物については、参考例1と同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0127】
〔参考例6〕
耐圧反応器に、シクロヘキサン23.3kgおよびTMEDA3.21ミリモルを添加し、40℃で攪拌しているところに、n−ブチルリチウム213.7ミリモルを添加し、50℃〜60℃を保つようにイソプレン10.0kgを1時間にわたり連続的に添加した。イソプレンの添加を完了した後、さらに1時間重合し重合体Cとなるポリイソプレンを形成させた。イソプレンの重合転化率は100%であった。この後、重合停止剤としてメタノール427.4ミリモルを添加してよく混合し反応を停止した。なお、反応に用いた各試剤の量は、表1にまとめた。得られた反応液の一部を取り出し、参考例1と同様の測定を行なった。これらの値は、表2に示した。以上のようにして得られた反応液100部(重合体成分を30部含有)に、酸化防止剤として、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.3部を加えて混合し、混合溶液を少量ずつ85〜95℃に加熱された温水中に滴下して溶媒を揮発させて析出物を得て、この析出物を粉砕し、85℃で熱風乾燥することにより、参考例6の組成物(ポリイソプレン)を回収した。
【0128】
〔参考例7〕
耐圧反応器に、シクロヘキサン23.3kg、TMEDA4.42ミリモルおよびスチレン2.20kgを添加し、40℃で攪拌しているところに、n−ブチルリチウム147.2ミリモルを添加し、50℃に昇温しながら1時間重合した。スチレンの重合転化率は100%であった。引き続き、50〜60℃を保つように温度制御しながら、反応器にイソプレン5.60kgを1時間にわたり連続的に添加した。イソプレンの添加を完了した後、さらに1時間重合した。イソプレンの重合転化率は100%であった。この後、50〜60℃を保つように温度制御しながら、スチレン2.20kgを1時間にわたり連続的に添加した。スチレンの添加を完了した後、さらに1時間重合し、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を形成させた。スチレンの重合転化率は100%であった。この後、重合停止剤としてメタノール314.0ミリモルを添加してよく混合し反応を停止した。得られた反応液の一部を取り出し、参考例1と同様の測定を行なった。これらの値は、表2に示した。以下の操作は、参考例1と同様にして、参考例7の組成物(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体)を回収した。
【0129】
〔参考例8〕
スチレン、n−ブチルリチウム、TMEDA、イソプレンおよびメタノールの量を、それぞれ表1に示すように変更したこと以外は参考例7と同様にして、参考例8の組成物(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体)を回収した。参考例8の組成物については、参考例1と同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0130】
〔参考例9〕
耐圧反応器に、シクロヘキサン23.3kg、TMEDA3.75ミリモルおよびスチレン1.80kgを添加し、40℃で攪拌しているところに、n−ブチルリチウム250.0ミリモルを添加し、50℃に昇温しながら1時間重合した。スチレンの重合転化率は100%であった。引き続き、50〜60℃を保つように温度制御しながら、反応器にイソプレン8.20kgを1時間にわたり連続的に添加した。イソプレンの添加を完了した後、さらに1時間重合し、重合体C(ブロック共重合体C1)となるスチレン−イソプレンジブロック共重合体を形成させた。この後、重合停止剤としてメタノール500.0ミリモルを添加してよく混合し反応を停止した。得られた反応液の一部を取り出し、参考例1と同様の測定を行なった。これらの値は、表2に示した。以下の操作は、参考例1と同様にして、参考例9の組成物(スチレン−イソプレンジブロック共重合体)を回収した。
【0131】
〔参考例10〕
耐圧反応器に、シクロヘキサン23.3kg、TMEDA2.57ミリモルおよびスチレン1.10kgを添加し、40℃で攪拌しているところに、n−ブチルリチウム85.7ミリモルを添加し、50℃に昇温しながら1時間重合した。スチレンの重合転化率は100%であった。引き続き、50〜60℃を保つように温度制御しながら、反応器にイソプレン7.00kgを1時間にわたり連続的に添加した。
イソプレンの添加を完了した後、さらに1時間重合し、この後、反応器に重合停止剤としてメタノールを60.0ミリモル添加して1時間重合停止反応を行い、活性末端を有するスチレン−イソプレンブロック共重合体の一部の活性末端を失活させることにより、重合体C(ブロック共重合体C1)となるスチレン−イソプレンジブロック共重合体を形成させた。この後、50〜60℃を保つように温度制御しながら、スチレン1.90kgを1時間にわたり連続的に添加した。スチレンの添加を完了した後、さらに1時間重合し、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を形成させた。スチレンの重合転化率は100%であった。この後、重合停止剤としてメタノール171.4ミリモルを添加してよく混合し反応を停止した。得られた反応液の一部を取り出し、参考例1と同様の測定を行なった。これらの値は、表2に示した。以下の操作は、参考例1と同様にして、参考例10の組成物を回収した。
【0132】
〔参考例11および参考例12〕
スチレン、n−ブチルリチウム、TMEDA、イソプレンおよびメタノールの量を、それぞれ表1に示すように変更したこと以外は参考例10と同様にして、参考例11および参考例12の組成物をそれぞれ回収した。参考例11および参考例12の組成物については、参考例1と同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0133】
〔実施例1〕
参考例1で得られた組成物50部、および(スチレン重合体ブロック)−〔(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体ブロック〕ジブロック共重合体50部〔商品名「Solprene 1205」、Dynasol社製、(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体ブロックのガラス転移温度−83℃、スチレン単位含有量25%(スチレン単位の内、70%がスチレン重合体ブロックとして存在し、30%が(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体ブロック中に存在する)〕を攪拌翼型混練機に投入し、これに粘着付与樹脂(商品名「クイントンD100」、脂肪族芳香族共重合系炭化水素樹脂、日本ゼオン社製)150部、軟化剤(商品名「ダイアナプロセスオイルNS−90S」、ナフテン系プロセスオイル、出光興産社製)50部および酸化防止剤(商品名「イルガノックス1010」、チバスぺシャリティーケミカルズ社製)3部を添加して系内を窒素ガスで置換したのち、160〜180℃で1時間混練することにより、実施例1のラベル用粘接着剤組成物を調製した。得られたラベル用粘接着剤組成物の一部を用いて、溶融粘度、ガラス転移温度、およびtanδ値(20℃)を測定した。また、厚さ25μmのポリエステルフィルムに得られたラベル用粘接着剤組成物を塗工し、これにより得られた試料について、タック性、接着力、および保持力を評価した。これらの結果を表3に示す。
【0134】
【表3】
【0135】
〔実施例2〜10,比較例1〜3〕
用いる組成物および重合体を表3に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜10および比較例1〜3のラベル用粘接着剤組成物を調製した。得られたラベル用粘接着剤組成物は、実施例1と同様に評価を行なった。その結果を表3に示す。
【0136】
表3から、以下のようなことが分かる。すなわち、本発明のラベル用粘接着剤組成物は、広い温度範囲で低い溶融粘度を有するので、比較的低い温度での塗工が容易であり、また、20℃におけるtanδ値が高いものであるので、ダイカット性に優れる。さらに、本発明のラベル用粘接着剤組成物は、タック性、接着力、および保持力にも優れるものである(実施例1〜10)。これに対して、本発明で用いられるブロック共重合体Aを含有しない、ラベル用粘接着剤組成物では、特に130℃における溶融粘度が高いものであるので、比較的低温での塗工が困難なものであり、また、ダイカット性や接着性などの性能のバランスに劣る(比較例1〜3)。