【実施例】
【0053】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
【0054】
[実施例1]
平均粒径が0.1μm〜0.4μmの酸化インジウム粉末中に、平均粒径2.0μm以下の酸化錫粉末を、酸化錫組成が5重量%となるように配合し、60重量%の水、0.5重量%の分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)、および、1.0重量%のバインダー(PVA)を添加した後、ボールミル中で混合し、スプレードライヤーを用いて仮焼前粉末を作製した。その後、大気中にて1500℃で20時間の仮焼を行い、かつ、ボールミルにて粉砕して平均粒径が10μmの仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)を得た。
【0055】
次に、上記酸化インジウム粉末中に酸化錫組成が5重量%となるように上記酸化錫粉末を配合した未仮焼粉末(未仮焼の第二原料粉末)を、上記仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)に対し、仮焼粉の混合割合が70重量%となるように配合し、1.0重量%の上記バインダーと0.5重量%の上記分散剤、および、0.5重量%のステアリン酸(潤滑材)を添加した後、攪拌機で18時間攪拌し、スプレードライヤーを用いて造粒粉末を得た。
【0056】
更に、得られた造粒粉末を、一軸プレス機を用いて64kNの圧力で成形し、直径32.7mm、高さ7.6mmの成形体を得た後、この成形体を焼結させた。
【0057】
焼結工程は、室温から500℃までを15時間かけて昇温させ、800℃まで11時間かけて温度上昇させた。そして、1200℃にて20時間保持し、蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
【0058】
得られた蒸着用ITO焼結体タブレットの相対密度は60%で、この蒸着用ITO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したが、蒸着中におけるITO焼結体タブレットの割れは確認されなかった。
【0059】
ところで、実施例1と同―条件でサンプル用ITO焼結体タブレット(実施例1に係る蒸着用ITO焼結体タブレットと同一)を製造し、かつ、サンプル用ITO焼結体タブレットを破断しその破断面のSEM(走査型電子顕微鏡)撮像図(
図1参照)を求め、このSEM撮像図から、上記数式(1)を用いた上述の方法に従い、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒(
図1において「粒1」と図示)の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒(
図1において「粒2」と図示)の平均粒径D2をそれぞれ求めた。そして、平均粒径D1(10μm)と平均粒径D2(0.8μm)から「粒1」と「粒2」の粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「8%」であり、「3%〜
10%」の範囲内にあることが確認された。
【0060】
尚、以下に述べる他の実施例と比較例についても、実施例1と同様にして「サンプル用焼結体タブレット」を製造し、実施例1と同様にして上述の「粒径比率」を求めている。
【0061】
そして、以下の表1に、
実施例1〜2、参考例3、実施例4〜12、比較例1〜10の「ドーパント」「仮焼温度T1(℃)」「仮焼粉の平均粒径(μm)」「仮焼粉の割合(wt%)」「ドーパントの濃度(wt%)」「焼結温度T2(℃)」および「T1−T2(℃)」をまとめて示し、また、以下の表2に、
実施例1〜2、参考例3、実施例4〜12、比較例1〜10の「相対密度(%)」「平均粒径D1(μm)」「平均粒径D2(μm)」「粒径比率D2/D1(%)」および「EB蒸着後における割れの有無」をまとめて示す。
【0062】
[実施例2]
仮焼温度(T1)が1600℃である点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が30μmである点を除き、実施例1と同様にして、実施例2に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
【0063】
得られた蒸着用ITO焼結体タブレットの相対密度は62%で、この蒸着用ITO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したが、蒸着中におけるITO焼結体タブレットの割れは確認されなかった。
【0064】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(30μm)と平均粒径D2(0.9μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「3%」であり、「3%〜
10%」の範囲内にあることが確認された。
【0065】
[
参考例3]
仮焼温度(T1)が1300℃である点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が5μmである点、および、焼結温度(T2)が1100℃である点を除き、実施例1と同様にして、
参考例3に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
【0066】
得られた蒸着用ITO焼結体タブレットの相対密度は60.4%で、この蒸着用ITO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したが、蒸着中におけるITO焼結体タブレットの割れは確認されなかった。
【0067】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(5μm)と平均粒径D2(0.7μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「14%」であり、「3%〜
10%」の範囲
外にあることが確認された。
【0068】
[実施例4]
仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)に対して未仮焼粉末(未仮焼の第二原料粉末)を仮焼粉の混合割合が60重量%となるように配合した点を除き、実施例1と同様にして、実施例4に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
【0069】
得られた蒸着用ITO焼結体タブレットの相対密度は58.8%で、この蒸着用ITO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したが、蒸着中におけるITO焼結体タブレットの割れは確認されなかった。
【0070】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(10μm)と平均粒径D2(0.7μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「7%」であり、「3%〜
10%」の範囲内にあることが確認された。
【0071】
[実施例5]
仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)に対して未仮焼粉末(未仮焼の第二原料粉末)を仮焼粉の混合割合が85重量%となるように配合した点を除き、実施例1と同様にして、実施例5に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
【0072】
得られた蒸着用ITO焼結体タブレットの相対密度は56.8%で、この蒸着用ITO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したが、蒸着中におけるITO焼結体タブレットの割れは確認されなかった。
【0073】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(10μm)と平均粒径D2(0.8μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「8%」であり、「3%〜
10%」の範囲内にあることが確認された。
【0074】
[実施例6]
平均粒径2.0μm以下の酸化錫粉末に代えて、平均粒径2.0μm以下の酸化タングステン粉末をドーパント用酸化物粉末に適用した点を除き、実施例1と同様にして、実施例6に係る蒸着用IWO焼結体タブレットを得た。
【0075】
得られた蒸着用IWO焼結体タブレットの相対密度は61.2%で、この蒸着用IWO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したが、蒸着中におけるIWO焼結体タブレットの割れは確認されなかった。
【0076】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(10μm)と平均粒径D2(0.7μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「7%」であり、「3%〜
10%」の範囲内にあることが確認された。
【0077】
[実施例7]
平均粒径2.0μm以下の酸化錫粉末に代えて、平均粒径2.0μm以下の酸化チタン粉末をドーパント用酸化物粉末に適用した点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が11μmである点を除き、実施例1と同様にして、実施例7に係る蒸着用ITiO焼結体タブレットを得た。
【0078】
得られた蒸着用ITiO焼結体タブレットの相対密度は59.6%で、この蒸着用ITiO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したが、蒸着中におけるITiO焼結体タブレットの割れは確認されなかった。
【0079】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(11μm)と平均粒径D2(0.8μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「7.2%」であり、「3%〜
10%」の範囲内にあることが確認された。
【0080】
[実施例8]
平均粒径2.0μm以下の酸化錫粉末に代えて、平均粒径2.0μm以下の酸化セリウム粉末をドーパント用酸化物粉末に適用した点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が9μmである点を除き、実施例1と同様にして、実施例8に係る蒸着用ICO焼結体タブレットを得た。
【0081】
得られた蒸着用ICO焼結体タブレットの相対密度は60.3%で、この蒸着用ICO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したが、蒸着中におけるICO焼結体タブレットの割れは確認されなかった。
【0082】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(9μm)と平均粒径D2(0.9μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「10%」であり、「3%〜
10%」の範囲内にあることが確認された。
【0083】
[実施例9]
平均粒径2.0μm以下の酸化錫粉末に代えて、平均粒径2.0μm以下の酸化ガリウム粉末をドーパント用酸化物粉末に適用した点を除き、実施例1と同様にして、実施例9に係る蒸着用IGO焼結体タブレットを得た。
【0084】
得られた蒸着用IGO焼結体タブレットの相対密度は60.1%で、この蒸着用IGO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したが、蒸着中におけるIGO焼結体タブレットの割れは確認されなかった。
【0085】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(10μm)と平均粒径D2(0.7μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「7%」であり、「3%〜
10%」の範囲内にあることが確認された。
【0086】
[実施例10]
平均粒径2.0μm以下の酸化錫粉末に代えて、平均粒径2.0μm以下の酸化ニオブ粉末をドーパント用酸化物粉末に適用した点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が9μmである点を除き、実施例1と同様にして、実施例10に係る蒸着用INbO焼結体タブレットを得た。
【0087】
得られた蒸着用INbO焼結体タブレットの相対密度は59.4%で、この蒸着用INbO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したが、蒸着中におけるINbO焼結体タブレットの割れは確認されなかった。
【0088】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(9μm)と平均粒径D2(0.9μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「10%」であり、「3%〜
10%」の範囲内にあることが確認された。
【0089】
[実施例11]
平均粒径2.0μm以下の酸化錫粉末に代えて、平均粒径2.0μm以下の酸化ガドリウム粉末をドーパント用酸化物粉末に適用した点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が9μmである点を除き、実施例1と同様にして、実施例11に係る蒸着用IGdO焼結体タブレットを得た。
【0090】
得られた蒸着用IGdO焼結体タブレットの相対密度は60.5%で、この蒸着用IGdO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したが、蒸着中におけるIGdO焼結体タブレットの割れは確認されなかった。
【0091】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(9μm)と平均粒径D2(0.9μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「10%」であり、「3%〜
10%」の範囲内にあることが確認された。
【0092】
[実施例12]
平均粒径2.0μm以下の酸化錫粉末に代えて、平均粒径2.0μm以下の酸化ジルコニウム粉末をドーパント用酸化物粉末に適用した点を除き、実施例1と同様にして、実施例12に係る蒸着用IZrO焼結体タブレットを得た。
【0093】
得られた蒸着用IZrO焼結体タブレットの相対密度は60%で、この蒸着用IZrO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したが、蒸着中におけるIZrO焼結体タブレットの割れは確認されなかった。
【0094】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(10μm)と平均粒径D2(1μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「10%」であり、「3%〜
10%」の範囲内にあることが確認された。
【0095】
[比較例1]
仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)に対して未仮焼粉末(未仮焼の第二原料粉末)を仮焼粉の混合割合が50重量%となるように配合した点と、焼結温度(T2)が1500℃である点を除き、実施例1と同様にして、比較例1に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
【0096】
得られた蒸着用ITO焼結体タブレットの相対密度は63%で、この蒸着用ITO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したところ、ITO焼結体タブレットの割れが確認された。
【0097】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(10μm)と平均粒径D2(9μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「90%」であり、「3%〜
10%」の範囲外にあることが確認された。
【0098】
[比較例2]
仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)に対して未仮焼粉末(未仮焼の第二原料粉末)を仮焼粉の混合割合が50重量%となるように配合した点と、焼結温度(T2)が1550℃である点を除き、実施例1と同様にして、比較例2に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
【0099】
得られた蒸着用ITO焼結体タブレットの相対密度は63%で、この蒸着用ITO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したところ、ITO焼結体タブレットの割れが確認された。
【0100】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(10μm)と平均粒径D2(10μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「100%」であり、「3%〜
10%」の範囲外にあることが確認された。
【0101】
[比較例3]
仮焼温度(T1)が1400℃である点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が5μmである点、仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)に対して未仮焼粉末(未仮焼の第二原料粉末)を仮焼粉の混合割合が50重量%となるように配合した点、および、焼結温度(T2)が1400℃である点を除き、実施例1と同様にして、比較例3に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
【0102】
得られた蒸着用ITO焼結体タブレットの相対密度は60%で、この蒸着用ITO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したところ、ITO焼結体タブレットの割れが確認された。
【0103】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(5μm)と平均粒径D2(5μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「100%」であり、「3%〜
10%」の範囲外にあることが確認された。
【0104】
[比較例4]
仮焼温度(T1)が1400℃である点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)に対して未仮焼粉末(未仮焼の第二原料粉末)を仮焼粉の混合割合が50重量%となるように配合した点、および、焼結温度(T2)が1500℃である点を除き、実施例1と同様にして、比較例4に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
【0105】
得られた蒸着用ITO焼結体タブレットの相対密度は63.5%で、この蒸着用ITO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したところ、ITO焼結体タブレットの割れが確認された。
【0106】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(10μm)と平均粒径D2(8μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「80%」であり、「3%〜
10%」の範囲外にあることが確認された。
【0107】
[比較例5]
仮焼温度(T1)が1400℃である点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が5μmである点、仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)に対して未仮焼粉末(未仮焼の第二原料粉末)を仮焼粉の混合割合が90重量%となるように配合した点、および、焼結温度(T2)が1300℃である点を除き、実施例1と同様にして、比較例5に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
【0108】
得られた蒸着用ITO焼結体タブレットの相対密度は57.1%で、この蒸着用ITO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したところ、ITO焼結体タブレットの割れが確認された。
【0109】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(5μm)と平均粒径D2(3μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「60%」であり、「3%〜
10%」の範囲外にあることが確認された。
【0110】
[比較例6]
焼結温度(T2)が1500℃である点を除き、実施例1と同様にして、比較例6に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
【0111】
得られた蒸着用ITO焼結体タブレットの相対密度は61%で、この蒸着用ITO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したところ、ITO焼結体タブレットの割れが確認された。
【0112】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(10μm)と平均粒径D2(9μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「90%」であり、「3%〜
10%」の範囲外にあることが確認された。
【0113】
[比較例7]
仮焼温度(T1)が1400℃である点と、焼結温度(T2)が1500℃である点を除き、実施例1と同様にして、比較例7に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
【0114】
得られた蒸着用ITO焼結体タブレットの相対密度は64%で、この蒸着用ITO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したところ、ITO焼結体タブレットの割れが確認された。
【0115】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(10μm)と平均粒径D2(10μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「100%」であり、「3%〜
10%」の範囲外にあることが確認された。
【0116】
[比較例8]
仮焼温度(T1)が1400℃である点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が6μmである点、仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)に対して未仮焼粉末(未仮焼の第二原料粉末)を仮焼粉の混合割合が60重量%となるように配合した点、および、焼結温度(T2)が1400℃である点を除き、実施例1と同様にして、比較例8に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
【0117】
得られた蒸着用ITO焼結体タブレットの相対密度は61%で、この蒸着用ITO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したところ、ITO焼結体タブレットの割れが確認された。
【0118】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(6μm)と平均粒径D2(6μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「100%」であり、「3%〜
10%」の範囲外にあることが確認された。
【0119】
[比較例9]
仮焼温度(T1)が1300℃である点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が3μmである点を除き、実施例1と同様にして、比較例9に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
【0120】
得られた蒸着用ITO焼結体タブレットの相対密度は61%で、この蒸着用ITO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したところ、ITO焼結体タブレットの割れが確認された。
【0121】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(3μm)と平均粒径D2(0.8μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「27%」であり、「3%〜
10%」の範囲外にあることが確認された。
【0122】
[比較例10]
仮焼温度(T1)が1550℃である点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が35μmである点を除き、実施例1と同様にして、比較例10に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
【0123】
得られた蒸着用ITO焼結体タブレットの相対密度は60%で、この蒸着用ITO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビーム(EB)をいきなり照射したところ、ITO焼結体タブレットの割れが確認された。
【0124】
そして、実施例1と同様にして、仮焼された第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径D1と、未仮焼の第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径D2をそれぞれ求め、平均粒径D1(40μm)と平均粒径D2(0.8μm)から粒径比率[(D2/D1)×100(%)]を計算したところ「2%」であり、「3%〜
10%」の範囲外にあることが確認された。
【0125】
【表1】
【0126】
【表2】