(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記多官能(メタ)アクリレート(A1)が、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上のものである請求項3記載の環状オレフィン樹脂フィルム。
【背景技術】
【0002】
環状オレフィン樹脂フィルムは、透明性、低複屈折、低吸湿性、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性等に優れ、光学部材、医療、包装フィルム、自動車、半導体用途等で幅広く用いられている。特に、光学部材においては、液晶ディスプレイやタッチパネル用途でのユニットの多様化に合わせ、従来用いられていたポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)等のプラスチックフィルムに代えて、透明性の高く、低吸湿性に優れた環状オレフィン樹脂フィルムを用いることが検討されている。
【0003】
また、環状オレフィン樹脂フィルムは、表面硬度が不十分であるため、加工時において傷が付くおそれがあり、耐摩耗性、耐擦傷性の向上のために、その表面に、紫外線硬化性組成物の硬化塗膜からなるハードコート層等の保護層を設けることが検討されている。しかし、環状オレフィン樹脂フィルムは、その主構造が脂環構造であるため、フィルム表面の極性が低く、水接触角が90°程度と高いため、紫外線硬化性組成物を塗工した場合、塗材が塗れ広がりにくく、環状オレフィン樹脂フィルム表面とハードコート層との間の密着性が低いという問題あった。
【0004】
環状オレフィン樹脂フィルム表面とハードコート層との間の密着性を向上する方法として、環状オレフィン樹脂フィルム表面に極性基を有する変性オレフィン系樹脂を主成分としたプライマー層を設けた後、電離放射線硬化型樹脂を塗工、硬化させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、環状オレフィン樹脂フィルム表面とハードコート層との間の密着性を向上することはできるが、プライマー層を塗工、乾燥する工程が増え、さらに歩留まりの低下やコストアップを生じる問題があった。
【0005】
また、プライマー層を設けずにハードコート層を環状オレフィン樹脂フィルム表面に密着させる方法として、脂環構造を有する(メタ)アクリレートを含有する硬化性組成物の硬化塗膜をハードコート層として用いることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この硬化性組成物を用いた場合、環状オレフィン樹脂フィルム表面との密着性を十分なものとするためには、脂環構造を有する(メタ)アクリレートの比率を高める必要がある。しかし、脂環構造を有する(メタ)アクリレートの比率を高めれば、硬化塗膜の架橋密度が低下し、硬化塗膜表面の耐擦傷性が不十分となる問題があった。
【0006】
さらに、紫外線硬化性組成物の環状オレフィン樹脂成形品への密着性を向上する方法として、紫外線硬化性組成物に添加する光重合開始剤にベンゾフェノン構造を有する4−ベンゾイル−4−メチルジサルファイドを用いることが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、この紫外線硬化性組成物では、硬化塗膜は黄色に着色する問題があった。
【0007】
そこで、環状オレフィン樹脂フィルム表面に高い耐擦傷性をすることができ、プライマー層なしで環状オレフィン樹脂フィルム表面との間で優れた密着性を有する硬化塗膜を形成でき、さらに硬化塗膜が着色することない紫外線硬化性組成物が求められていた。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の紫外線硬化性組成物は、紫外線硬化性化合物(A)及び光重合開始剤(B)として下記式(1)で表される基を1分子中に2つ以上有する化合物を含有するものである。
【0016】
前記紫外線硬化性化合物(A)としては、例えば、多官能(メタ)アクリレート(A1)、ウレタン(メタ)アクリレート(A2)等が挙げられる。これらは、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0017】
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基とメタクリロイル基の一方又は両方をいう。
【0018】
前記多官能(メタ)アクリレート(A1)は、1分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。この多官能(メタ)アクリレート(a1)の具体例としては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレート(A1)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。また、これらの多官能(メタ)アクリレート(A1)の中でも、本発明の紫外線硬化性組成物の硬化塗膜の耐擦傷性が向上することから、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0019】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A2)は、ポリイソシアネート(a2−1)と水酸基を有する(メタ)アクリレート(a2−2)とを反応させて得られたものである。
【0020】
前記ポリイソシアネート(a2−1)としては、脂肪族ポリイソシアネートと芳香族ポリイソシアネートとが挙げられるが、本発明の紫外線硬化性組成物の硬化塗膜の着色をより低減できることから、脂肪族ポリイソシアネートが好ましい。
【0021】
前記脂肪族ポリイソシアネートは、イソシアネート基を除く部位が脂肪族炭化水素から構成される化合物である。この脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2−メチル−1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、2−メチル−1,5−ジイソシアナトシクロヘキサン等の脂環式ポリイソシアネートなどが挙げられる。また、前記脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートを3量化した3量化物も前記脂肪族ポリイソシアネートとして用いることができる。また、これらの脂肪族ポリイソシアネートは、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0022】
前記脂肪族ポリイソシアネートの中でも塗膜の耐擦傷性を向上させるには、脂肪族ポリイソシアネートの中でも、直鎖脂肪族炭化水素のジイソシアネートであるヘキサメチレンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートであるノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが好ましい。
【0023】
前記(メタ)アクリレート(a2−2)は、水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物である。この(メタ)アクリレート(a2−2)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのモノ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の3価のアルコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、あるいは、これらのアルコール性水酸基の一部をε−カプロラクトンで変性した水酸基を有するモノ及びジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の1官能の水酸基と3官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、あるいは、該化合物をさらにε−カプロラクトンで変性した水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレン−ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート等のブロック構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート;ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のランダム構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリレート(a2−2)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0024】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A2)の中でも、本発明の紫外線硬化性組成物の硬化塗膜の耐擦傷性を向上できるため、1分子中に4つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。前記ウレタン(メタ)アクリレート(A2)を1分子中に4つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するものとするため、前記(メタ)アクリレート(a2−2)としては、(メタ)アクリロイル基は2つ以上有するものが好ましい。このような(メタ)アクリレート(a2−2)としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレート(a2−2)は、前記脂肪族ポリイソシアネート(a1)の1種に対して、1種を用いることも2種以上併用することもできる。また、これらの(メタ)アクリレート(a2−2)の中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートは、耐擦傷性を向上できるため好ましい。
【0025】
前記ポリイソシアネート(a2−1)と前記(メタ)アクリレート(a2−2)との反応は、常法のウレタン化反応により行うことができる。また、ウレタン化反応の進行を促進するために、ウレタン化触媒の存在下でウレタン化反応を行うことが好ましい。前記ウレタン化触媒としては、例えば、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等のアミン化合物;トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等のリン化合物;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫等の有機錫化合物、オクチル酸亜鉛等の有機亜鉛化合物などが挙げられる。
【0026】
また、必要に応じて、上記の多官能(メタ)アクリレート(A1)、ウレタン(メタ)アクリレート(A2)以外の紫外線硬化性化合物(A)として、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の比較的高分子量の(メタ)アクリレート(A3)を用いることができる。前記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリグリシジルメタクリレート等に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得られるものが挙げられる。また、前記ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールを重縮合して得られた両末端が水酸基であるポリエステルに、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得られたもの、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加したものに(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得られたものが挙げられる。さらに、前記ポリエーテル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエーテルポリオールに(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得られたものが挙げられる。また、前記(メタ)アクリレート(A3)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0027】
さらに、本発明の紫外線硬化性組成物には、上記の紫外線硬化性化合物(A)として例示した(A1)〜(A3)以外に、リン酸基を有する(メタ)アクリレート(A4)を配合すると、基材への密着性がより向上できることから好ましい。前記リン酸基を有する(メタ)アクリレート(A4)は、1分子中に少なくとも1個のリン酸基を有する(メタ)アクリレートである。このリン酸基を有する(メタ)アクリレート(A4)としては、例えば、リン酸(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸ジ(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸トリ(メタ)アクリロイルオキシエチル、カプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリロイルオキシエチル等が挙げられ、1分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物も用いることができる。また、これらのリン酸基を有する(メタ)アクリレート(A4)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0028】
本発明の紫外線硬化性組成物に、前記リン酸基を有する(メタ)アクリレート(A4)を配合する場合のその配合量は、基材への密着性がより向上でき、硬化塗膜表面の耐擦傷性もより向上できることから、前記紫外線硬化性化合物(A)中に0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましい。
【0029】
本発明の紫外線硬化性組成物では、上記の紫外線硬化性化合物(A)とともに、光重合開始剤(B)として、下記式(1)で表される基を1分子中に2つ以上有する化合物(B1)を必須成分として含有する。なお、下記式(1)中のフェニル基がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基等の置換基を有するものであっても構わない。
【0031】
前記化合物(B1)を光重合開始剤として用いることで、本発明の紫外線硬化性組成物の硬化塗膜は、耐擦傷性が高く、環状オレフィン樹脂との密着性に優れ、着色の少ないものとなり、優れたハードコート層を形成することができる。
【0032】
前記化合物(B1)としては、例えば、下記式(2)で表されるオキシフェニル酢酸2−(2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ)エチルエステル等が挙げられる。
【0034】
本発明の紫外線硬化性組成物中に含まれる前記光重合開始剤(B)として、前記化合物(B1)を必須成分とするが、それ以外の光重合開始剤(B2)を用いることができる。前記光重合開始剤(B2)としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル(ジベンゾイル)、メチルフェニルグリオキシエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステル等のベンジル系化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;ミヒラ−ケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルサルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルサルフォニル)プロパン−1−オン等が挙げられる。
【0035】
本発明の紫外線硬化性組成物での、前記化合物(B1)の配合量は、硬化性が良好となり、環状ポリオレフィンとの密着性がより向上することから、上記の紫外線硬化性化合物(A)100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
【0036】
また、本発明の紫外線硬化性組成物中に含有される光重合開始剤(B)中の前記化合物(B1)の比率は、50質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
【0037】
本発明の紫外線硬化性組成物には、上記の紫外線硬化性化合物(A)及び光重合開始剤(B)以外に、用途、要求特性に応じて、光増感剤、有機溶剤、重合禁止剤、表面調整剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、有機顔料、無機顔料、顔料分散剤、有機ビーズ等の添加剤;酸化ケイ素(シリカ粒子)、酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、五酸化アンチモン等の無機充填剤などを配合することができる。これらその他の配合物は単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0038】
前記無機充填剤の中でもシリカ粒子を配合することにより、本発明の紫外線硬化性組成物の硬化塗膜表面の耐擦傷性をより向上でき、基材への密着性もより向上できる。前記シリカ粒子としては、その表面が有機基で表面修飾されたものであっても表面修飾されていないものであってもよい。また、前記シリカ粒子は、本発明の紫外線線硬化性組成物の硬化塗膜の透明性及び表面の耐擦傷性をより向上できることから、ナノメーターオーダーのサイズのシリカ微粒子が好ましく、コロイダルシリカがより好ましい。前記シリカ微粒子の平均粒子径としては、5〜200nmの範囲が好ましく、5〜100nmの範囲がより好ましい。なお、この平均粒子径は、動的光散乱法で測定した値である。
【0039】
前記無機充填剤を配合する場合のその配合量は、本発明の紫外線硬化性組成物の硬化塗膜表面の耐擦傷性をより向上でき、基材への密着性もより向上できることから、前記紫外線硬化性化合物(A)100質量部に対して、1〜150質量部が好ましく、5〜100質量部がより好ましい。
【0040】
前記光増感剤としては、例えば、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリブチルアミン等の3級アミン化合物、o−トリルチオ尿素等の尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。光増感剤を配合する場合のその配合量は、上記の紫外線硬化性化合物(A)100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
【0041】
前記有機溶媒は、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の溶液粘度を適宜調整する上で有用であり、特に薄膜コーティングを行うためには、膜厚を調整することが容易となる。ここで使用できる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0042】
本発明の紫外線硬化性組成物は、特に環状オレフィン樹脂に対して優れた密着性を有する硬化塗膜が得られることから、本発明の紫外線硬化性組成物を塗工する基材としては、環状オレフィン樹脂成形品であり、特に環状オレフィン樹脂フィルムが好ましい。また、環状オレフィン樹脂としては、環状オレフィンを重合したものであれば、単独重合体であっても、共重合体であっても特に制限なく用いることができる。環状オレフィン樹脂の市販品としては、例えば、日本ゼオン株式会社製の「ZEONOR」、「ZEONEX」;JSR株式会社製の「ARTON」;ポリプラスチックス株式会社製の「TOPAS」等が挙げられる。
【0043】
前記環状オレフィン樹脂フィルムは、環状オレフィン樹脂をフィルム上に成形したものである。また、環状オレフィン樹脂フィルムの表面は、本発明の紫外線硬化性組成物の硬化塗膜との密着性を向上するため、サンドブラスト法、溶剤処理法等による表面の凹凸化処理、電気的処理(コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理)、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線・電子線照射処理、酸化処理等により処理をしたものが好ましく、これらの中でもコロナ放電処理、大気圧プラズマ処理等の電気的処理をしたものがより好ましい。
【0044】
また、前記環状オレフィン樹脂フィルムの厚さは、50〜200μmの範囲が好ましく、80〜150μmの範囲がより好ましく、90〜130μmの範囲がさらに好ましい。フィルム基材の厚さを当該範囲とすることで、環状オレフィン樹脂フィルムの片面に、本発明の紫外線硬化性組成物によりハードコート層を設けた場合にもカールを抑制しやすくなる。
【0045】
本発明の環状オレフィン樹脂フィルムは、当該フィルムの少なくとも1面に、本発明の紫外線硬化性組成物を塗工し、その後紫外線を照射して硬化塗膜とすることで得られたものである。環状オレフィン樹脂フィルムに本発明の紫外線硬化性組成物を塗工する方法としては、例えば、ダイコート、マイクログラビアコート、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、かけ渡しコート、ディップコート、スピンナーコート、ホイーラーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート等が挙げられる。
【0046】
また、紫外線硬化性組成物を硬化するために、紫外線を照射する装置としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、太陽光、LED等が挙げられる。
【0047】
本発明の紫外線硬化性組成物の硬化塗膜を有する環状オレフィン樹脂フィルムは、その基材の優れた光学特性、寸法安定性、耐熱性、透明性に加え、その表面の耐擦傷性に優れることから、各種用途に適用できるが、特に、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OLED)等の画像表示装置の画像表示部に用いる光学フィルムとして有用である。特に、薄型であっても優れた耐擦傷性を有することから、例えば、電子手帳、携帯電話、スマートフォン、携帯オーディオプレイヤー、モバイルパソコン、タブレット端末等の小型化や薄型化の要請の高い携帯電子端末の画像表示装置の画像表示部の光学フィルムとして好適に用いることができる。また、光学フィルムとして用いる場合、画像表示装置の画像表示部の最表面に用いる保護フィルム、タッチパネルの基材として用いることができる。さらに、保護フィルムとして用いた場合には、例えば、LCDモジュールやOLEDモジュール等の画像表示モジュールの上部に当該画像表示モジュールを保護する透明パネルが設けられた構成の画像表示装置においては、当該透明パネルの表面又は裏面に貼り付けて使用することで、傷つき防止や透明パネルが破損した際の飛散防止に有効である。
【実施例】
【0048】
以下に実施例により本発明をより具体的に説明する。
【0049】
(合成例1:ウレタンアクリレート(A2−1)の合成)
攪拌機、ガス導入管、冷却管及び温度計を備えたフラスコに、酢酸ブチル254質量部、イソホロンジイソシアネート222質量部、p−メトキシフェノール0.5質量部及びジブチル錫ジアセテート0.5質量部を仕込み、空気を吹き込みながら、70℃に昇温した後、ペンタエリスリトールトリアクリレート(以下、「PE3A」と略記する。)及びペンタエリスリトールテトラアクリレート(以下、「PE4A」と略記する。)の混合物(PE3A/PE4A=75/25(質量比))400質量部とイソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレート497質量部を1時間かけて滴下した。滴下終了後、70℃で3時間反応させ、さらにイソシアネート基を示す2250cm
−1の赤外線吸収スペクトルが消失するまで反応を行い、1分子中に6つのアクリロイル基を有するウレタンアクリレート(A2−1)を含む不揮発分80質量%溶液を得た。なお、この溶液には、不揮発分中にウレタンアクリレート(A2−1)の他にPE4Aが19.5質量%含まれる。
【0050】
(実施例1)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(以下、「DPHA」と略記する。)及びジペンタエリスリトールペンタアクリレート(以下、「DPPA」と略記する。)の混合物(DPHA/DPPA=65/35(質量比))35質量部、ポリエステルアクリレート(4官能、分子量1,800)65質量部、シリカ微粒子(日産化学工業株式会社製「MEK−ST」、平均粒子径10〜20nm、オルガノシリカゾルの30質量%メチルエチルケトン分散液;以下、「シリカ微粒子分散液(1)」と略記する。)25質量部(シリカ微粒子として7.5質量部)、及びオキシフェニル酢酸2−(2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ)エチルエステル(以下、「光重合開始剤(B1−1)」と略記する。)3質量部を均一に攪拌した後、メチルエチルケトンで希釈して、不揮発分25質量%の紫外線硬化性組成物(1)を調製した。
【0051】
[評価用フィルムの作製]
上記で得られた紫外線硬化性組成物(1)を、予めその表面を電気的処理(コロナ放電処理;出力100W、速度1.0m/分)した環状オレフィン樹脂フィルム(日本ゼオン株式会社製「ゼオノアフィルムZF16−100」、厚さ100μm)上に、ワイヤーバーを用いて塗布し、60℃で90秒間加熱後、空気雰囲気下で紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製「MIDN−042−C1」、ランプ:120W/cm、高圧水銀灯)を用いて、照射光量0.3J/cm
2で紫外線を照射して、厚さ4μmの硬化塗膜を有する評価用フィルムを得た。
【0052】
[耐擦傷性の評価]
上記で得られた評価用フィルムの硬化塗膜の表面について、クロックメーター形摩擦試験器(直径1.0cm円形摩擦子、スチールウール#0000、荷重300g、10往復)を用いて試験を行い、試験後の硬化塗膜表面を目視で観察し、下記の基準により耐擦傷性を評価した。
A:傷の数が9本以下である。
B:傷の数が10本以上である。
【0053】
[密着性の評価]
上記で得られた評価用フィルムに、フィルムの硬化被膜表面に1mm間隔で縦、横11本の切れ目を入れて100個のマス目を作製した。次いで、市販のセロハンテープをその表面に密着させた後、一気に剥がす操作を2回繰り返した。剥離せずに残ったマス目の数を数え、下記の基準により密着性を評価した。
A:残ったマス目の数が100個である。
B:残ったマス目の数が80個以上99個以下である。
C:残ったマス目の数が60個以上80個以下である。
D:残ったマス目の数が59個以下である。
【0054】
[厚膜密着性の評価]
紫外線硬化性組成物(1)塗布量を変更した以外は上記の評価用フィルムの作製と同様に行い、厚さ6μmの硬化塗膜を有する厚膜密着性評価用フィルムを得た。得られたフィルムについて、上記の密着性の評価と同様に行い、厚膜密着性を評価した。
【0055】
[塗膜着色の評価]
上記で得られた評価用フィルムを50mm×80mmの大きさにカットし、外径8mmのロッドにフィルムを巻き付け、セロハンテープで固定した。次いで、ロッドを引き抜いた後、ロール状の評価用フィルムの色味を目視で観察し、下記の基準により塗膜着色を評価した。
A:無色である。
B:黄味の着色がある。
【0056】
(実施例2)
光重合開始剤(B1−1)の配合量を3質量部から6質量部に変更した以外は実施例1と同様に行い、紫外線硬化性組成物(2)を調製した。
【0057】
(実施例3)
光重合開始剤(B1−1)の配合量を3質量部から9質量部に変更した以外は実施例1と同様に行い、不揮発分25質量%の紫外線硬化性組成物(3)を調製した。
【0058】
(実施例4)
合成例1で得られた多官能ウレタンアクリレート(A2−1)(不揮発分80質量%)125質量部(多官能アクリレートとして100質量部)、シリカ微粒子分散液(1)25質量部(シリカ微粒子として7.5質量部)及び光重合開始剤(B1−1)3質量部を均一に攪拌した後、メチルエチルケトンで希釈して、不揮発分25質量%の紫外線硬化性組成物(4)を調製した。
【0059】
(実施例5)
光重合開始剤(B1−1)の配合量を3質量部から6質量部に変更した以外は実施例4と同様に行い、不揮発分25質量%の紫外線硬化性組成物(5)を調製した。
【0060】
(実施例6)
光重合開始剤(B1−1)の配合量を3質量部から9質量部に変更した以外は実施例4と同様に行い、不揮発分25質量%の紫外線硬化性組成物(6)を調製した。
【0061】
(実施例7)
合成例1で得られた多官能ウレタンアクリレート(A2−1)(不揮発分80質量%)125質量部(多官能アクリレートとして100質量部)、シリカ微粒子(日産化学工業株式会社製「MEK−ST40」、平均粒子径10〜20nm、オルガノシリカゾルの40質量%メチルエチルケトン分散液;以下、「シリカ微粒子分散液(2)」と略記する。)62.5質量部(シリカ微粒子として25質量部)、及び光重合開始剤(B1−1)6質量部を均一に攪拌した後、メチルエチルケトンで希釈して、不揮発分25質量%の紫外線硬化性組成物(7)を調製した。
【0062】
(実施例8)
多官能ウレタンアクリレート(A2−1)(不揮発分80質量%)123.75質量部(多官能アクリレートとして99質量部)、リン酸基を有するメタクリレート(MIWON社製「ミラマー SC1400」;以下、「リン酸メタクリレート(1)」と略記する。)1質量部、シリカ微粒子分散液(2)62.5質量部(シリカ微粒子として25質量部)、及び光重合開始剤(B1−1)6質量部を均一に攪拌した後、メチルエチルケトンで希釈して、不揮発分25質量%の紫外線硬化性組成物(8)を調製した。
【0063】
(実施例9)
多官能ウレタンアクリレート(A2−1)(不揮発分80質量%)118.75質量部(多官能アクリレートとして95質量部)、リン酸メタクリレート(1)5質量部、シリカ微粒子分散液(2)62.5質量部(シリカ微粒子として25質量部)、及び光重合開始剤(B1−1)6質量部を均一に攪拌した後、メチルエチルケトンで希釈して、不揮発分25質量%の紫外線硬化性組成物(9)を調製した。
【0064】
(実施例10)
多官能ウレタンアクリレート(A2−1)(不揮発分80質量%)113.75質量部(多官能アクリレートとして91質量部)、リン酸メタクリレート(1)9質量部、シリカ微粒子分散液(2)62.5質量部(シリカ微粒子として25質量部)、及び光重合開始剤(B1−1)6質量部を均一に攪拌した後、メチルエチルケトンで希釈して、不揮発分25質量%の紫外線硬化性組成物(10)を調製した。
【0065】
(実施例11)
シリカ微粒子分散液(2)を配合しなかった以外は実施例7と同様に行い、不揮発分25質量%の紫外線硬化性組成物(11)を調製した。
【0066】
(実施例12)
シリカ微粒子分散液(2)を配合しなかった以外は実施例9と同様に行い、不揮発分25質量%の紫外線硬化性組成物(12)を調製した。
【0067】
(比較例1)
実施例1で用いた光重合開始剤(B1−1)に代えて、4−(4−メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン(以下、「光重合開始剤(R1)」と略記する。)を用いた以外は実施例1と同様に行い、紫外線硬化性組成物(R1)を調製した。
【0068】
(比較例2)
実施例1で用いた光重合開始剤(B1−1)3質量部に代えて、光重合開始剤(R1)9質量部を用いた以外は実施例1と同様に行い、紫外線硬化性組成物(R2)を調製した。
【0069】
(比較例3)
実施例1で用いた光重合開始剤(B1−1)3質量部に代えて、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(以下、「光重合開始剤(R2)」と略記する。)6質量部を用いた以外は実施例1と同様に行い、紫外線硬化性組成物(R3)を調製した。
【0070】
(比較例4)
実施例1で用いた光重合開始剤(B1−1)3質量部に代えて、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(以下、「光重合開始剤(R3)」と略記する。)6質量部を用いた以外は実施例1と同様に行い、紫外線硬化性組成物(R4)を調製した。
【0071】
(比較例5)
実施例1で用いた光重合開始剤(B1−1)3質量部に代えて、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン(以下、「光重合開始剤(R4)」と略記する。)6質量部を用いた以外は実施例1と同様に行い、紫外線硬化性組成物(R5)を調製した。
【0072】
(比較例6)
実施例1で用いた光重合開始剤(B1−1)3質量部に代えて、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−メチル−1−プロパン−1−オン(以下、「光重合開始剤(R5)」と略記する。)6質量部を用いた以外は実施例1と同様に行い、紫外線硬化性組成物(R6)を調製した。
【0073】
(比較例7)
実施例1で用いた光重合開始剤(B1−1)3質量部に代えて、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド(以下、「光重合開始剤(R6)」と略記する。)6質量部を用いた以外は実施例1と同様に行い、紫外線硬化性組成物(R7)を調製した。
【0074】
(比較例8)
実施例1で用いた光重合開始剤(B1−1)3質量部に代えて、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン(以下、「光重合開始剤(R7)」と略記する。)6質量部を用いた以外は実施例1と同様に行い、紫外線硬化性組成物(R8)を調製した。
【0075】
(比較例9)
実施例1で用いた光重合開始剤(B1−1)3質量部に代えて、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−プロパノン(以下、「光重合開始剤(R8)」と略記する。)6質量部を用いた以外は実施例1と同様に行い、紫外線硬化性組成物(R9)を調製した。
【0076】
(比較例10)
実施例1で用いた光重合開始剤(B1−1)3質量部に代えて、2,4−ジエチルチオキサントン(以下、「光重合開始剤(R9)」と略記する。)6質量部を用いた以外は実施例1と同様に行い、紫外線硬化性組成物(R10)を調製した。
【0077】
上記の実施例2〜12及び比較例1〜10で得られた紫外線硬化性組成物(2)〜(12)及び(R1)〜(R10)について、実施例1と同様に、耐擦傷性、密着性、厚膜密着性、及び塗膜着色を評価した。
【0078】
上記の実施例1〜12及び比較例1〜10で用いた紫外線硬化性組成物の組成及び評価結果を表1〜4に示す。なお、表1〜4中の組成は、すべて不揮発分量で記載している。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
表1に示した評価結果から、本発明の紫外線硬化性組成物である実施例1〜12のものは、その硬化塗膜表面の耐擦傷性に優れ、基材である環状ポリオレフィン樹脂フィルムとの密着性も高く、さらに塗膜の着色も見られなかった。特に、リン酸基を有するアクリレート及びシリカ微粒子を配合した実施例8〜10の紫外線硬化性組成物(8)〜(10)は、厚膜においても優れた密着性を有していた。
【0084】
一方、比較例1〜10の紫外線硬化性組成物は、本発明で必須成分としている化合物を含まない光重合開始剤を用いた例である。これらの紫外線硬化性組成物は、その硬化塗膜表面の十分な耐擦傷性、基材である環状ポリオレフィン樹脂フィルムとの十分な密着性及び塗膜の着色がないという評価をすべて満たすものがなかった。