【文献】
Jae-Yong Jung, et al ,Materials Chemistry and Physics,2008年,108,p.431-434
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0030】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも好ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0031】
本発明は、次のような化学式1で表示される新規な化合物半導体を提供する。
【0033】
上記化学式1において、0<x≦0.5であり、0.8<z≦2である。
【0034】
好ましくは、上記化学式1において、xは、0<x≦0.4の条件を満たしてもよい。
【0035】
さらに好ましくは、上記化学式1において、xは、0<x≦0.25の条件を満たしてもよい。
【0036】
このとき、xは、0.25であり得る。この場合、上記化学式1は、In
0.25Co
4Sb
12-zTe
zで表現できる。ここで、0.8<z≦2である。
【0037】
また好ましくは、上記化学式1において、zは、0.9<z≦2の条件を満たしてもよい。
【0038】
さらに好ましくは、上記化学式1において、zは、0.9<z≦1.75の条件を満たしてもよい。
【0039】
さらに好ましくは、上記化学式1において、zは、1.0≦z≦1.5の条件を満たしてもよい。
【0040】
特に、上記化学式1において、zは、1.5であることが好ましい。
【0041】
一方、上記化学式1で表示される化合物半導体には、二次相が一部含まれ得、その量は熱処理条件によって変わり得る。
【0042】
本発明による上記化学式1の化合物半導体の製造方法は、In、Co、Sb、及びTeを含む混合物を形成するステップと、このような混合物を熱処理するステップとを含み得る。
【0043】
このとき、上記混合物の形成ステップで混合される各原料は、粉末形態であり得るが、本発明が必ずこのような混合原料の特定の形態によって制限されるのではない。
【0044】
好ましくは、上記熱処理ステップは、真空中、または水素を一部含んでいるか、水素を含んでいないAr、He、N
2などの気体を流しながら行われ得る。
【0045】
このとき、熱処理温度は、400℃ないし800℃であり得る。好ましくは、上記熱処理温度は、450℃ないし700℃であり得る。さらに好ましくは、上記熱処理温度は、500℃ないし650℃であり得る。
【0046】
一方、上記熱処理ステップは、2つ以上の熱処理段階を含み得る。例えば、上記混合物を形成するステップ、すなわち、原料を混合するステップで形成された混合物に対して、第1温度で1次熱処理を行った後、第2温度で2次熱処理を行うこともできる。
【0047】
この場合、上記複数の熱処理段階のうち一部の熱処理段階は、原料を混合する上記混合物の形成ステップで行われ得る。
【0048】
例えば、上記熱処理ステップは、1次熱処理段階、2次熱処理段階、及び3次熱処理(焼結)段階の3つの熱処理段階を含み得る。そして、1次熱処理段階は、400℃ないし600℃の温度範囲で行われ得、2次熱処理段階及び3次熱処理段階は、600℃ないし800℃の温度範囲で行われ得る。このとき、1次熱処理段階は、原料が混合される混合物の形成ステップ中に行われ、2次熱処理段階及び3次熱処理段階は、前記混合物形成ステップの後に順次行われ得る。
【0049】
本発明による熱電変換素子は、上述した化合物半導体を含む。すなわち、本発明による化合物半導体は、熱電変換素子の熱電変換材料として利用され得る。特に、本発明による化合物半導体は、熱電変換材料の性能指数であるZTが大きい。また、熱伝導度が低く、ゼーベック係数及び電気伝導度が大きいことから、熱電変換性能に優れている。したがって、本発明による化合物半導体は、従来の熱電変換材料を代替するか、従来の化合物半導体に加えて熱電変換素子に有効に使用され得る。
【0050】
また、本発明による太陽電池は、上述した化合物半導体を含む。すなわち、本発明による化合物半導体は、太陽電池、特に太陽電池の光吸収層として使用され得る。
【0051】
太陽電池は、太陽光が入射される方から順次、前面透明電極、バッファー層、光吸収層、背面電極、及び基板などが積層された構造で製造し得る。最も下に位置する基板は、ガラスで形成され得、その上に全面的に形成される背面電極は、Moなどの金属を蒸着することで形成できる。
【0052】
次いで、背面電極の上部に本発明による化合物半導体を、電子ビーム蒸着法、ゾルゲル(sol‐gel)法、PLD(Pulsed Laser Deposition)などの方法で積層することで、上記光吸収層を形成することができる。このような光吸収層の上部には、前面透明電極として使われるZnO層と光吸収層との間の格子定数の差異及びバンドギャップの差異を緩衝するバッファー層とが存在し得、このようなバッファー層は、CdSなどの材料をCBD(Chemical Bath Deposition)などの方法で蒸着することで形成できる。次いで、バッファー層の上にZnOや、ZnO及びITOの積層膜として前面透明電極がスパッタリングなどの方法で形成できる。
【0053】
本発明による太陽電池は、多様な変形が可能である。例えば、本発明による化合物半導体を光吸収層として使った太陽電池を積層した積層型太陽電池を製造し得る。そして、このように積層された他の太陽電池は、シリコンや他の知られた化合物半導体を利用した太陽電池を使用し得る。
【0054】
また、本発明の化合物半導体のバンドギャップを変化させることで、相異なるバンドギャップを持つ化合物半導体を光吸収層として使用する複数の太陽電池を積層し得る。本発明による化合物半導体のバンドギャップは、この化合物をなす構成元素、特にTeの組成比を変化させることで調節し得る。
【0055】
また、本発明による化合物半導体は、赤外線を選択的に通過させる赤外線窓や赤外線センサーなどにも使用し得る。
【0056】
以下、本発明をさらに具体的に説明するために実施例及び比較例を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は多様な形態に変形され得、本発明の範囲が下記実施例に限定されると解釈されてはいけない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるのである。
【0057】
[実施例1]
試薬として、In、Co、及びSbを用意し、これらを乳鉢(mortar)を利用してよく混合してIn
0.25Co
4Sb
11組成の混合物をペレットの形態で製作した。そして、H
2(1.94%)及びN
2ガスを流しながら500℃で15時間加熱し、このとき昇温時間は1時間30分にした。
【0058】
次いで、In
0.25Co
4Sb
11に試薬としてTeを追加してIn
0.25Co
4Sb
11Te
1混合物を製作した。混合物は、Arが充填されたビニールパックの中で調製した。
【0059】
このように混合された材料は、石英管(silica tube)の中に入れ真空密封して650℃で36時間加熱し、昇温時間は1時間30分にして、In
0.25Co
4Sb
11Te
1粉末を得た。
【0060】
このように合成された実施例の材料の一部を直径4mm、長さ15mmの円柱に成形し、他の一部を直径10mm、厚さ1mmの円板に成形した後、CIPを使って200MPaで圧力をかけた。次いで、得られた結果物を石英管に入れ12時間真空焼結した。
【0061】
焼結した円板に対して、TC‐7000(Ulvac‐Rico,Inc)を使って、上記のようにして調製した材料の熱伝導度(κ)を所定の温度間隔で測定し、その結果を実施例1として
図1に示した。
【0062】
焼結した円柱に対して、ZEM‐3(Ulvac‐Rico,Inc)を使って所定の温度間隔で、上記のようにして調製した材料の電気伝導度とゼーベック係数とを測定した。そして、上記測定されたそれぞれの値を利用してZT値を計算することで、その結果を実施例1として
図2に示した。
【0063】
[実施例2]
試薬として、In、Co、及びSbを用意し、これらを乳鉢を利用してよく混合してIn
0.25Co
4Sb
10及びIn
0.25Co
4Sb
11組成の混合物をペレットの形態で製作した。そして、H
2(1.94%)及びN
2ガスを流しながら500℃で15時間加熱し、このとき昇温時間は1時間30分にした。
【0064】
次いで、In
0.25Co
4Sb
10に試薬としてTeを追加してIn
0.25Co
4Sb
10Te
2混合物を製作した。そして、これをIn
0.25Co
4Sb
11と適切に混合して、In
0.25Co
4Sb
10.75Te
1.25混合物を製作した。混合物は、Arが充填されたビニールパックの中で調製した。
【0065】
このように混合された材料は、石英管の中に入れ真空密封して650℃で36時間加熱し、昇温時間は1時間30分にして、In
0.25Co
4Sb
10.75Te
1.25粉末を得た。
【0066】
このように合成された実施例の材料の一部を直径4mm、長さ15mmの円柱に成形し、他の一部を直径10mm、厚さ1mmの円板に成形した後、CIPを使って200MPaで圧力をかけた。次いで、得られた結果物を石英管に入れ12時間真空焼結した。
【0067】
焼結した円板に対して、TC‐7000を使って、上記のようにして調製した材料の熱伝導度を測定し、その結果を実施例2として
図1に示した。
【0068】
焼結した円柱に対して、ZEM‐3を使って所定の温度間隔で、上記のようにして調製した材料の電気伝導度とゼーベック係数とを測定した。そして、上記測定されたそれぞれの値を利用してZT値を計算することで、その結果を実施例2として
図2に示した。
【0069】
[実施例3]
試薬として、In、Co、及びSbを用意し、これらを乳鉢を利用してよく混合してIn
0.25Co
4Sb
10及びIn
0.25Co
4Sb
11組成の混合物をペレットの形態で製作した。そして、H
2(1.94%)及びN
2ガスを流しながら500℃で15時間加熱し、このとき昇温時間は1時間30分にした。
【0070】
次いで、In
0.25Co
4Sb
10に試薬としてTeを追加してIn
0.25Co
4Sb
10Te
2混合物を製作した。そして、これをIn
0.25Co
4Sb
11試薬と適切に混合して、In
0.25Co
4Sb
10.5Te
1.5混合物を製作した。混合物は、Arが充填されたビニールパックの中で調製した。
【0071】
このように混合された材料は、石英管の中に入れ真空密封して650℃で36時間加熱し、昇温時間は1時間30分にして、In
0.25Co
4Sb
10.5Te
1.5粉末を得た。
【0072】
このように合成された実施例の材料の一部を直径4mm、長さ15mmの円柱に成形し、他の一部を直径10mm、厚さ1mmの円板に成形した後、CIPを使って200MPaで圧力をかけた。次いで、得られた結果物を石英管に入れ12時間真空焼結した。
【0073】
焼結した円板に対して、TC‐7000を使って、上記のようにして調製した材料の熱伝導度を測定し、その結果を実施例3として
図1に示した。
【0074】
焼結した円柱に対して、ZEM‐3を使って所定の温度間隔で、上記のようにして調製した材料の電気伝導度とゼーベック係数とを測定した。そして、上記測定されたそれぞれの値を利用してZT値を計算することで、その結果を実施例3として
図2に示した。
【0075】
[実施例4]
試薬として、In、Co、及びSbを用意し、これらを乳鉢を利用してよく混合してIn
0.25Co
4Sb
10組成の混合物をペレットの形態で製作した。そして、H
2(1.94%)及びN
2ガスを流しながら500℃で15時間加熱し、このとき昇温時間は1時間30分にした。
【0076】
次いで、In
0.25Co
4Sb
10に試薬としてTeを追加してIn
0.25Co
4Sb
10Te
2混合物を製作した。混合物は、Arが充填されたビニールパックの中で調製した。
【0077】
このように混合された材料は、石英管の中に入れ真空密封して650℃で36時間加熱し、昇温時間は1時間30分にして、In
0.25Co
4Sb
10Te
2粉末を得た。
【0078】
このように合成された材料の一部を直径4mm、長さ15mmの円柱に成形し、他の一部を直径10mm、厚さ1mmの円板に成形した後、CIPを使って200MPaで圧力をかけた。次いで、得られた結果物を石英管に入れ12時間真空焼結した。
【0079】
焼結した円板に対して、TC‐7000を使って、上記のようにして調製した材料の熱伝導度を測定し、その結果を実施例4として
図1に示した。
【0080】
焼結した円柱に対して、ZEM‐3を使って所定の温度間隔で、上記のようにして調製した材料の電気伝導度とゼーベック係数とを測定した。そして、上記測定されたそれぞれの値を利用してZT値を計算することで、その結果を実施例4として
図2に示した。
【0081】
[比較例1]
試薬として、In、Co、及びSbを用意し、これらを乳鉢を利用してよく混合してIn
0.25Co
4Sb
12組成の混合物をペレットの形態で製作した。
【0082】
このように混合された材料は、石英管の中に入れ真空密封して650℃で36時間加熱し、昇温時間は1時間30分にして、比較例1の材料としてIn
0.25Co
4Sb
12粉末を得た。
【0083】
このように合成された比較例1の材料の一部を直径4mm、長さ15mmの円柱に成形し、他の一部を直径10mm、厚さ1mmの円板に成形した後、CIPを使って200MPaで圧力をかけた。次いで、得られた結果物を石英官に入れ12時間真空焼結した。
【0084】
そして、焼結した円板に対して、上記実施例と同じくTC‐7000を使って、上記のようにして調製した材料の熱伝導度を測定し、その結果を比較例1として
図1に示した。
【0085】
焼結した円柱に対して、上記実施例と同じくZEM‐3を使って所定の温度間隔で、上記のようにして調製した材料の電気伝導度とゼーベック係数とを測定した。そして、上記測定されたそれぞれの値を利用してZT値を計算することで、その結果を比較例1として
図2に示した。
【0086】
[比較例2]
試薬として、In、Co、及びSbを用意し、これらを乳鉢を利用してよく混合してIn
0.25Co
4Sb
12及びIn
0.25Co
4Sb
11組成の混合物をペレットの形態で製作した。そして、H
2(1.94%)及びN
2ガスを流しながら500℃で15時間加熱し、このとき昇温時間は1時間30分にした。
【0087】
次いで、In
0.25Co
4Sb
11に試薬としてTeを追加してIn
0.25Co
4Sb
11Te
1混合物を製作した。そして、これをIn
0.25Co
4Sb
12と適切に混合して、In
0.25Co
4Sb
11.75Te
0.25混合物を製作した。混合物は、Arが充填されたビニールパックの中で調製した。
【0088】
このように混合された材料は、石英管の中に入れ真空密封して650℃で36時間加熱し、昇温時間は1時間30分にして、比較例2の材料としてIn
0.25Co
4Sb
11.75Te
0.25粉末を得た。
【0089】
このように合成された比較例2の材料の一部を直径4mm、長さ15mmの円柱に成形し、他の一部を直径10mm、厚さ1mmの円板に成形した後、CIPを使って200MPaで圧力をかけた。次いで、得られた結果物を石英官に入れ12時間真空焼結した。
【0090】
そして、焼結した円板に対して、上記実施例と同じくTC‐7000を使って、上記のようにして調製した材料の熱伝導度を測定し、その結果を比較例2として
図1に示した。
【0091】
焼結した円柱に対して、上記実施例と同じくZEM‐3を使って所定の温度間隔で、上記のようにして調製した材料の電気伝導度とゼーベック係数とを測定した。そして、上記測定されたそれぞれの値を利用してZT値を計算することで、その結果を比較例2として
図2に示した。
【0092】
[比較例3]
試薬として、In、Co、及びSbを用意し、これらを乳鉢を利用してよく混合してIn
0.25Co
4Sb
12及びIn
0.25Co
4Sb
11組成の混合物をペレットの形態で製作した。そして、H
2(1.94%)及びN
2ガスを流しながら500℃で15時間加熱し、このとき昇温時間は1時間30分にした。
【0093】
次いで、In
0.25Co
4Sb
11に試薬としてTeを追加してIn
0.25Co
4Sb
11Te
1混合物を製作した。そして、これをIn
0.25Co
4Sb
12と適切に混合して、In
0.25Co
4Sb
11.5Te
0.5混合物を製作した。混合物は、Arが充填されたビニールパックの中で調製した。
【0094】
このように混合された材料は、石英管の中に入れ真空密封して650℃で36時間加熱し、昇温時間は1時間30分にして、比較例3の材料としてIn
0.25Co
4Sb
11.5Te
0.5粉末を得た。
【0095】
このように合成された比較例3の材料の一部を直径4mm、長さ15mmの円柱に成形し、他の一部を直径10mm、厚さ1mmの円板に成形した後、CIPを使って200MPaで圧力をかけた。次いで、得られた結果物を石英官に入れ12時間真空焼結した。
【0096】
そして、焼結した円板に対して、上記実施例と同じくTC‐7000を使って、上記のようにして調製した材料の熱伝導度を測定し、その結果を比較例3として
図1に示した。
【0097】
焼結した円柱に対して、上記実施例と同じくZEM‐3を使って所定の温度間隔で、上記のようにして調製した材料の電気伝導度とゼーベック係数とを測定した。そして、上記測定されたそれぞれの値を利用してZT値を計算することで、その結果を比較例3として
図2に示した。
【0098】
[比較例4]
試薬として、In、Co、及びSbを用意し、これらを乳鉢を利用してよく混合してIn
0.25Co
4Sb
12及びIn
0.25Co
4Sb
11組成の混合物をペレットの形態で製作した。そして、H
2(1.94%)及びN
2ガスを流しながら500℃で15時間加熱し、このとき昇温時間は1時間30分にした。
【0099】
次いで、In
0.25Co
4Sb
11に試薬としてTeを追加してIn
0.25Co
4Sb
11Te
1混合物を製作した。そして、これをIn
0.25Co
4Sb
12と適切に混合して、In
0.25Co
4Sb
11.25Te
0.75混合物を製作した。混合物は、Arが充填されたビニールパックの中で調製した。
【0100】
このように混合された材料は、石英管の中に入れ真空密封して650℃で36時間加熱し、昇温時間は1時間30分にして、比較例4の材料としてIn
0.25Co
4Sb
11.25Te
0.75粉末を得た。
【0101】
このように合成された比較例4の材料の一部を直径4mm、長さ15mmの円柱に成形し、他の一部を直径10mm、厚さ1mmの円板に成形した後、CIPを使って200MPaで圧力をかけた。次いで、得られた結果物を石英管に入れ12時間真空焼結した。
【0102】
そして、焼結した円板に対して、上記実施例と同じくTC‐7000を使って、上記のようにして調製した材料の熱伝導度を測定し、その結果を比較例4として
図1に示した。
【0103】
焼結した円柱に対して、上記実施例と同じくZEM‐3を使って所定の温度間隔で、上記のようにして調製した材料の電気伝導度とゼーベック係数とを測定した。そして、上記測定されたそれぞれの値を利用してZT値を計算することで、その結果を比較例4として
図2に示した。
【0104】
[比較例5]
試薬として、In、Co、及びSbを用意し、これらを乳鉢を利用してよく混合してIn
0.25Co
4Sb
9及びIn
0.25Co
4Sb
10組成の混合物をペレットの形態で製作した。そして、H
2(1.94%)及びN
2ガスを流しながら500℃で15時間加熱し、このとき昇温時間は1時間30分にした。
【0105】
次いで、In
0.25Co
4Sb
9に試薬としてTeを追加してIn
0.25Co
4Sb
9Te
3混合物を製作した。そして、これをIn
0.25Co
4Sb
10と適切に混合して、In
0.25Co
4Sb
9.5Te
2.5混合物を製作した。混合物は、Arが充填されたビニールパックの中で調製した。
【0106】
このように混合された材料は、石英管の中に入れ真空密封して650℃で36時間加熱し、昇温時間は1時間30分にして、比較例5の材料としてIn
0.25Co
4Sb
9.5Te
2.5粉末を得た。
【0107】
このように合成された比較例5の材料の一部を直径4mm、長さ15mmの円柱に成形し、他の一部を直径10mm、厚さ1mmの円板に成形した後、CIPを使って200MPaで圧力をかけた。次いで、得られた結果物を石英管に入れ12時間真空焼結した。
【0108】
そして、焼結した円板に対して、上記実施例と同じくTC‐7000を使って、上記のようにして調製した材料の熱伝導度を測定し、その結果を比較例5として
図1に示した。
【0109】
焼結した円柱に対して、上記実施例と同じくZEM‐3を使って所定の温度間隔で、上記のようにして調製した材料の電気伝導度とゼーベック係数とを測定した。そして、上記測定されたそれぞれの値を利用してZT値を計算することで、その結果を比較例5として
図2に示した。
【0110】
[比較例6]
試薬として、In、Co、及びSbを用意し、これらを乳鉢を利用してよく混合してIn
0.25Co
4Sb
9組成の混合物をペレットの形態で製作した。そして、H
2(1.94%)及びN
2ガスを流しながら500℃で15時間加熱し、このとき昇温時間は1時間30分にした。
【0111】
次いで、In
0.25Co
4Sb
9に試薬としてTeを追加してIn
0.25Co
4Sb
9Te
3混合物を製作した。混合物は、Arが充填されたビニールパックの中で調製した。
【0112】
このように混合された材料は、石英管の中に入れ真空密封して650℃で36時間加熱し、昇温時間は1時間30分にして、比較例6の材料としてIn
0.25Co
4Sb
9Te
3粉末を得た。
【0113】
このように合成された比較例6の材料の一部を直径4mm、長さ15mmの円柱に成形し、他の一部を直径10mm、厚さ1mmの円板に成形した後、CIPを使って200MPaで圧力をかけた。次いで、得られた結果物を石英管に入れ12時間真空焼結した。
【0114】
そして、焼結した円板に対して、上記実施例と同じくTC‐7000を使って、上記のようにして調製した材料の熱伝導度を測定し、その結果を比較例6として
図1に示した。
【0115】
焼結した円柱に対して、上記実施例と同じくZEM‐3を使って所定の温度間隔で、上記のようにして調製した材料の電気伝導度とゼーベック係数とを測定した。そして、上記測定されたそれぞれの値を利用してZT値を計算することで、その結果を比較例6として
図2に示した。
【0116】
まず、
図1の結果から、本発明による実施例1ないし4の化合物半導体は、比較例1ないし6の化合物半導体に比べて、温度測定区間の全体にわたって熱伝導度が低いことが分かる。
【0117】
さらに、実施例1ないし3において、zの範囲が1.0≦z≦1.5である場合、熱伝導度が大きく低くなり、特にz=1.5である実施例3の場合、熱伝導度が著しく低くなることが確認できる。
【0118】
また、
図2の結果から、各材料に対するZT値を見てみれば、本発明による実施例1ないし4の化合物半導体のZT値が、比較例1ないし6の化合物半導体に比べて、温度の全体区間にわたって大きく向上したことが確認できる。
【0119】
さらに、実施例1ないし3を見れば、ZT値が著しく向上しており、特にz=1.5である実施例3の場合、ZT値が非常に高いことが分かる。
【0120】
以上、これらの結果を総合すれば、本発明の各実施例による実施例1ないし4の化合物半導体は、比較例1ないし6の従来の化合物半導体に比べて、熱伝導度が低く、ZT値が大きいことが分かる。従って、本発明の一実施例による化合物半導体は、熱電変換性能に優れていると言うことができ、熱電変換材料として非常に有効に利用できる。
【0121】
以上のように、本発明は、たとえ限定された実施例と図面とによって説明されたが、本発明はこれによって限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を持つ者により本発明の技術思想と特許請求範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能なのは言うまでもない。