(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774221
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】光学フィルタの製造装置
(51)【国際特許分類】
G03F 1/00 20120101AFI20150820BHJP
G03F 1/54 20120101ALI20150820BHJP
G03F 1/60 20120101ALI20150820BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20150820BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
G03F1/00 Z
G03F1/54
G03F1/60
G03F7/20 501
G02B5/30
【請求項の数】15
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-521570(P2014-521570)
(86)(22)【出願日】2012年7月23日
(65)【公表番号】特表2014-524053(P2014-524053A)
(43)【公表日】2014年9月18日
(86)【国際出願番号】KR2012005850
(87)【国際公開番号】WO2013012299
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2014年3月3日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0072628
(32)【優先日】2011年7月21日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0079540
(32)【優先日】2012年7月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シン、ブ ゴン
(72)【発明者】
【氏名】キム、シン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェ ジン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ダ ミ
【審査官】
佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−241647(JP,A)
【文献】
特開平02−160237(JP,A)
【文献】
特開平08−095231(JP,A)
【文献】
特開平08−222497(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/044077(WO,A2)
【文献】
特開2010−276998(JP,A)
【文献】
特開2006−126464(JP,A)
【文献】
特開2009−265290(JP,A)
【文献】
特開2011−069994(JP,A)
【文献】
特開2006−201538(JP,A)
【文献】
特開2010−060681(JP,A)
【文献】
特開2004−006849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30 、
G03F 1/00 − 1/86 、 7/20 − 7/24 、
9/00 − 9/02 、
H01L21/027、21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面に沿って移動する基材フィルムにパターンを形成するロールツーロール(Roll to Roll)工程を利用した光学フィルタの製造装置であって、
露光のために光を発生させる光源と、
前記光源の出射側に設置され、前記光源から発生した光を偏光させる偏光板と、
前記基材フィルムが周囲に巻かれた状態で移動可能とするロールと、
前記基材フィルムが巻かれる前記ロールと対向するように設けられた面は、曲面で形成され、反対面は、平面で形成されるマスク本体を含み、前記偏光板と前記ロールとの間に配置されるマスクと
を備えることを特徴とする光学フィルタの製造装置。
【請求項2】
前記マスク本体の曲面と前記ロールの曲面は、一定な間隔を有することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタの製造装置。
【請求項3】
前記マスク本体の曲面には、金属薄膜層が蒸着されることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルタの製造装置。
【請求項4】
前記金属薄膜層は、クロムまたはアルミニウム薄膜であることを特徴とする請求項3に記載の光学フィルタの製造装置。
【請求項5】
前記金属薄膜層には、前記基材フィルムにパターンを形成するための一つ以上の開口部が形成されることを特徴とする請求項3または4に記載の光学フィルタの製造装置。
【請求項6】
前記開口部は、レーザーダイレクトライティング方式により加工されることを特徴とする請求項5に記載の光学フィルタの製造装置。
【請求項7】
前記開口部は、前記マスク本体の曲面に向かって幅が狭く形成されることを特徴とする請求項5または6に記載の光学フィルタの製造装置。
【請求項8】
前記開口部の内壁には、光の直進度を高めるための全反射層が形成されることを特徴とする請求項5から7の何れか1項に記載の光学フィルタの製造装置。
【請求項9】
前記マスク本体及び金属薄膜層には、前記基材フィルムにパターンを形成するための開口部が形成されることを特徴とする請求項3から8の何れか1項に記載の光学フィルタの製造装置。
【請求項10】
前記マスク本体に形成された曲面は、前記ロールと同一な曲率を有することを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の光学フィルタの製造装置。
【請求項11】
前記基材フィルムとマスク本体は、100μm以下の間隔で維持されることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の光学フィルタの製造装置。
【請求項12】
前記マスク本体の両側に具備されてジグに固定されるジグ固定部を含むことを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の光学フィルタの製造装置。
【請求項13】
前記ジグ固定部は、曲面が形成されたマスク本体の両側を段差形態で加工して形成し、前記ジグ固定部には、複数個の装着孔が形成されることを特徴とする請求項12に記載の光学フィルタの製造装置。
【請求項14】
前記光源は、UVランプであることを特徴とする請求項1から13の何れか1項に記載の光学フィルタの製造装置。
【請求項15】
前記偏光板は、ワイヤグリッド偏光板(WGP)であることを特徴とする請求項1から14の何れか1項に記載の光学フィルタの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルタの製造装置に関し、より詳細には、所定の開口部が形成された曲面形状のマスクを利用することで、マスクと基材フィルムの距離に関係なくパターン正確度が高くてロールツーロール(Roll to Roll)工程に適用が可能なマスク及びこれを含む光学フィルタの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、液晶表示素子や視野角補償基材フィルム層の配向膜に配向能を付与する方式として、配向膜に一定波長の偏光光を照射して配向させる光配向技術が広く使用されている。従来、光配向膜用の偏光光の照射装置として、韓国特許公開第2006−0053117号、韓国特許公開第2009−0112546号などでは、線形状の光源である棒状ランプにワイヤグリッド偏光素子を組み合わせる方法が行われていた。
【0003】
このような光配向技術は、液晶パネルの大型化とともに大型化されており、これにより、光配向膜に偏光光を照射する光照射装置の光照射領域も大面積化、高照度化している。
【0004】
このように広い面積を高い照度で照射するためには、光照射装置の光源もそれほど大型化されなければならないが、配向を決定する偏光の方向が入射光の入射角に依存するので、光源が大型化されると、光照射領域のうち入射角の不均一が発生するようになり、これにより、偏光軸の不均一を引き起こすようになり、照射領域別に配向方向が均一ではなく、希望しない方向に配向される問題をもたらす。
【0005】
また、ロールツーロール(Roll to Roll)工程の場合、光照射領域が曲面である場合が多いが、この場合、照射領域が増えるほど、曲面による光照射領域内の偏光軸の不均一問題が発生するようになる。
【0006】
大面積で均一な偏光分布を有するためには、高度で平行化された光を偏光素子に入射させなければならないが、大面積に対応した高度で平行な光を作るためは、大型化装置が必要であり、装置内部の光路の長さが長くなり、光の強さが低下するので、処理時間が長くなり、生産性の低下をもたらすという問題がある。これにより、平行光を形成するためには、大型化装置なしに光学特性を具現することが難しくて、そのため、ロールツーロール工程が不可能となり、生産性が顕著に低下する結果をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、前記のような従来の諸問題点を解消するために提案されたものであって、本発明の目的は、大面積を均一に露光することができながらも、高度で平行な光の照射が可能であり、均一な配向性能を付与することができ、また、大面積の光配向を効率的に行うことができるマスク及びこれを含む光学フィルタの製造装置を提供することにある。
【0008】
本発明の目的は、以上で言及した目的に限定されず、言及していない他の技術的課題は、下記の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための本発明の特徴によれば、本発明によるマスクは、曲面に沿って移動する基材フィルムにパターンを形成するロールツーロール(Roll to Roll)工程に使用されるマスクにおいて、前記基材フィルムが巻かれるロールと対向する面は、曲面で形成され、反対面は、平面で形成されるマスク本体を含むことを特徴とする。
【0010】
前記マスク本体の曲面と前記ロールの曲面は、一定な間隔を有することを特徴とする。
【0011】
前記マスク本体の曲面には、金属薄膜層が蒸着されることを特徴とする。
【0012】
前記金属薄膜層は、クロムまたはアルミニウム薄膜であることを特徴とする。
【0013】
前記金属薄膜層には、前記基材フィルムにパターンを形成するための一つ以上の開口部が形成されることを特徴とする。
【0014】
前記開口部は、レーザーダイレクトライティング方式により加工されることを特徴とする。
【0015】
前記開口部の内壁は、下部に行くほど幅が狭く形成されることを特徴とする。
【0016】
前記開口部の内壁には、光の直進度を高めるための全反射層が形成されることを特徴にする。
【0017】
前記マスク本体には、前記基材フィルムにパターンを形成するための開口部が形成されることを特徴とする。
【0018】
前記マスク本体に形成された曲面は、前記ロールと同一な曲率を有することを特徴とする。
【0019】
前記基材フィルムとマスク本体は、100μm以下の間隔で維持されることを特徴とする。
【0020】
前記マスク本体の両側に具備されてジグに固定されるジグ固定部を含むことを特徴とする。
【0021】
前記ジグ固定部は、曲面が形成されたマスク本体の両側を段差加工して形成し、前記ジグ固定部には、多数個の装着孔が形成されることを特徴とする。
【0022】
本発明の他の特徴によれば、本発明による光学フィルタの製造装置は、曲面に沿って移動する基材フィルムにパターンを形成するロールツーロール(Roll to Roll) 工程を利用した光学フィルタの製造装置において、露光のために光を発生させる光源と、前記光源の出射側に設置され、前記光源から発生した光を偏光させる偏光板と、マスクと、を含むことを特徴とする。
【0023】
前記光源は、UVランプであることを特徴とする。
【0024】
前記偏光板は、ワイヤグリッド偏光板(WGP)であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、マスクがロールに沿って移動する基材フィルムとの間隔を均一にするために、ロールと対向する面が曲面で形成されるので、基材フィルムの全面にわたって光量を均一に照射することができる。したがって、基材フィルムにパターンが均一に形成され、製品の品質が向上し、基材フィルムの特性を正確に具現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施例によるマスクを示した斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例による光学フィルタの製造装置を斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例による光学フィルタの製造装置を示した側面図である。
【
図4】本発明の他の実施例によるマスクを示した斜視図である。
【
図5】本発明の他の実施例による開口部の形状を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明によるマスク及びこれを含む光学フィルタ製造装置の一実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施例によるマスクを示した斜視図であり、
図2は、本発明の一実施例による光学フィルタの製造装置を示した斜視図であり、
図3は、本発明の一実施例による光学フィルタの製造装置を示した側面図である。
【0029】
図示したように、本発明によるマスク10は、基材フィルム1が巻かれるロール(R)と対向する面は、曲面で形成され、反対面は、平面で形成されるマスク本体12を含む。
【0030】
マスク本体12は、一般的に石英(Quartz)基材で作られる。本発明の実施例でマスク本体12は、基材フィルム1との間隔(G)を最小化するために、ロール(R)と対向する面は、曲面で形成される。前記曲面は、ロール(R)と同一な曲率を有することが好ましい。また、曲面で形成された面の反対面は、ジグ(図示せず)に装着するために平面で形成される。
【0031】
また、マスク本体12のロール(R)と対向する曲面には、金属薄膜層13が蒸着される。金属薄膜層13では、例えば、クロムまたはアルミニウム薄膜を蒸着することができる。このように、金属薄膜層13が蒸着されると、光透過率が落ちて後述する開口部14に光が集中される効果がある。
【0032】
次に、金属薄膜層13には、基材フィルム1にパターンを形成するための一つ以上の開口部14が形成される。開口部14は、マスク本体12に蒸着された金属薄膜層13をレーザーダイレクトライティング(Laser Direct Writing)方式により加工して形成したものである。
図1を参照すれば、マスク本体12に金属薄膜層13を蒸着し、その後、レーザー加工を通じて開口部14を形成したことがよく示されている。
【0033】
ここで、開口部14は、金属薄膜層13にのみ形成され、マスク本体12には形成されない。これは、石英(Quartz)基材で作られたマスク本体12の場合、UV光が透過することができるが、金属薄膜層13では光透過率が落ちるので、パターンの形成のために開口部14に光が集中されるようにしたことである。また、開口部14は、光の直進度を高めてパターンの均一度を向上させる。
【0034】
より具体的に説明すれば、ロールツーロール工程では、パターン形成のための露光時に、基材フィルム1が曲線に沿って移送される。実質的に、ロールツーロール工程でパターンを形成する際に、光は、曲線に沿って基材フィルム1が移動する時に照射される。そうではない場合、基材フィルム1が位置によってぴんと引かれなくて(基材フィルムがたぐまる)均一に露光することができなくなる。
【0035】
パターンを形成するためには、基材フィルム1と露光のためのUVランプ20との間にマスク10を装着しなければならないが、露光装置の一面が曲面であるので、マスク本体12と基材フィルム1の密着が不可能になり、これによって、パターンが不均一に形成される問題がある。これを解決するために本発明の実施例では、マスク本体12に所定の開口部14を形成した。このように開口部14が形成されてそれに沿って光が照射されることで、光の直進度が向上されて基材フィルム1に形成されるパターンの均一度が高くなる。言い換えれば、マスク本体12と基材フィルム1が所定間隔で離隔された状態でも光の直進度が向上される利点がある。
【0036】
一方、基材フィルム1とマスク本体12は、100μm以下の間隔で維持することが好ましい。基材フィルム1とマスク本体12の間隔が100μmを超過する場合には、光の直進度が向上しにくいからである。
【0037】
図3を参照すれば、マスク本体12の曲面とロール(R)の曲面は、一定な間隔(G)を有することができる。これはロール(R)の曲面に密着されている基材フィルム1に照射される光が均一に入射されるようにしてパターンの均一度を高めるためである。言い換えれば、基材フィルム1が移動する経路上に照射される光は、全て一定な間隔で照射されるので、光が均一に入射されることができる。
【0038】
一方、
図4を参照すれば、上述のように、開口部14は、金属薄膜層13にのみ形成することではなくて、マスク本体12及び金属薄膜層13を全て貫通して開口部14を形成してもよい。
【0039】
また、
図5を参照すれば、本発明によるマスク10は、光の直進度を向上させるために開口部14の形状を変更することができる。すなわち、開口部14は、一般的に対向する内壁にお互いに平行に形成されるが、下部に行くほどその幅が細くなるように形成してもよい。
【0040】
また、本発明によるマスク10は、開口部14の内壁に光の全反射のための全反射層15がコーティングされて光の直進度を向上させるように構成することができる。例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、金、白金などのような反射性物質を蒸着方式などで開口部14の内壁にコーティングして形成することができる。
【0041】
一方、
図1に示したように、ジグ固定部16は、曲面が形成されたマスク本体12の両側を段差加工して形成する。また、前記ジグ固定部16には、多数個の装着孔17が形成され、ジグ(図示せず)にボルトのような締結具により装着される。
【0042】
次に、
図2を参照すれば、本発明による光学フィルタの製造装置は、露光のために光を発生させる光源と、前記光源の出射側に設置され、前記光源から発生した光を偏光させる偏光板30と、上述したマスク10と、を含む。
【0043】
前記光源は、多様なものなどを使用することができ、本発明の実施例では、UVランプ20を使用することが好ましい。また、前記偏光板30は、ワイヤグリッド偏光板(Wire Grid Polarizer)を使用することが好ましい。ここで、前記偏光板30は、マスク本体12の平面に付着することができる。前記UVランプ20から照射された光は、偏光板30で偏光され、開口部14を貫通して基材フィルム1側に照射される。
【0044】
また、本発明の実施例で基材フィルム1は、偏光パターンフィルム(FPR:Film Patterned Retarder)を使用することが好ましい。
【0045】
一方、以上で説明した光学フィルタの製造装置は、3D装置(立体映像装置)に使用することが好ましい。したがって、本発明の光学フィルタの製造装置により3D光学フィルタを製造することが可能である。
【0046】
以上、添付した図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、様々な置換、変形及び変更が可能であるので、上述した実施例及び添付された図面に限定されるものではない。