(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の適合度を決定することが、前記第1の値の時系列と前記第1の関数との間の差分の二乗の総和を決定することを含み、前記第2の適合度を決定することが、前記第2の値の時系列と前記第2の関数との間の差分の二乗の総和を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
前記第1の参照スペクトルライブラリからの複数の参照スペクトルは、基板の下地層の厚さが第1の厚さである場合に対応し、前記第2の参照スペクトルライブラリからの複数の参照スペクトルは、基板の下地層の厚さが第1の厚さとは異なる第2の厚さである場合に対応する、請求項1に記載の方法。
【発明の概要】
【0005】
1つの一般的な態様では、コンピュータ実装方法は、その場光学モニタリングシステムを用いて現在のスペクトルの系列を入手することであって、現在のスペクトルの系列からの各現在のスペクトルが研磨を受けている最外層および少なくとも1層の下地層を有する基板から反射した光のスペクトルである、入手することと、第1の参照スペクトルライブラリからの複数の参照スペクトルに対して各現在のスペクトルを比較して、第1のベストマッチ参照スペクトルの第1の系列を生成するために、第1のベストマッチ参照スペクトルを決定することと、第1の系列についての第1の適合度を決定することと、第1の系列および第1の適合度に基づいて研磨終点を決定することとを含む。
【0006】
別の1つの一般的な態様では、コンピュータ実装方法は、その場光学モニタリングシステムを用いて現在のスペクトルの系列を入手することであって、現在のスペクトルの系列からの各現在のスペクトルが研磨を受けている最外層および少なくとも1層の下地層を有する基板から反射した光のスペクトルである、入手することと、複数の参照スペクトルライブラリからの複数の参照スペクトルに対して各現在のスペクトルを比較することと、どのライブラリが現在のスペクトルの系列に対するベストフィットを与えるかを決定することと、現在のスペクトルの系列および現在のスペクトルの系列に対するベストフィットを与えるライブラリに基づいて研磨終点を決定することとを含む。
【0007】
これら2つの方法のいずれかの実装例は、下記のフィーチャのうちの1つまたは複数を含むことができる。第2の参照スペクトルライブラリからの複数の参照スペクトルに対して、現在のスペクトルを比較することができ、第2のベストマッチ参照スペクトルの第2の系列を生成するために、第2のベストマッチ参照スペクトルを決定することができ、第2の適合度を、第2の系列について決定することができ、終点を、第1の系列や、第2の系列や、第1の適合度や、第2の適合度に基づいて決定することができる。研磨終点を決定することが、第1のベストマッチ参照スペクトルが終点を指示するか否かを決定することと、もしそうであれば、第1の適合度が第2の適合度よりも良いか否かを決定することと、もしそうであれば、終点を宣言することとを含むことができる。研磨終点を決定することが、第2のベストマッチ参照スペクトルが終点を指示するか否かを決定することと、もしそうであれば、第2の適合度が第1の適合度よりも良いか否かを決定することと、もしそうであれば、終点を宣言することとを含むことができる。第1のインデックス値の系列を生成するために、第1のインデックス値を、各第1のベストマッチ参照スペクトルについて決定することができ、第2の適合度を決定することが、第2のインデックス値の系列を生成するために、各第2のベストマッチ参照スペクトルについての第2のインデックス値を決定することを含むことができる。第1の関数を、第1のインデックス値の系列にフィッティングさせることができ、第2の関数を、第2のインデックス値の系列にフィッティングさせることができる。第1の関数および第2の関数を、線形関数とすることができる。第1の適合度を決定することが、第1の関数に対する第1のインデックス値の系列の適合度を決定することを含むことができ、第2の適合度を決定することが、第2の関数に対する第2のインデックス値の系列の適合度を決定することを含むことができる。第1の適合度を決定することが、第1のインデックス値の系列と第1の関数との間の差異の二乗和を決定することを含むことができ、第2の適合度を決定することが、第2のインデックス値の系列と第2の関数との間の差異の二乗和を決定することを含むことができる。第1のインデックス値の系列が、第1のインデックス跡を形成することができ、第2のインデックス値の系列が、第2のインデックス跡を形成することができる。第1のベストマッチ参照スペクトルが終点を指示するか否かを決定することが、第1のベストマッチ参照スペクトルのインデックスが目標インデックスであるか否かを決定することを含むことができる。第2のベストマッチ参照スペクトルが終点を指示するか否かを決定することが、第2のベストマッチ参照スペクトルのインデックスが目標インデックスであるか否かを決定することを含むことができる。第1の系列についての第1の適合度が第2の系列についての第2の適合度よりも良いかどうか否かを決定することができる。第1の参照スペクトルライブラリからの複数の参照スペクトルが、第1の厚さの下地層を有する基板を表わすことができ、第2の参照スペクトルライブラリからの複数の参照スペクトルが、異なる第2の厚さの下地層を有する基板を表わすことができる。第1のベストマッチ参照スペクトルを決定することが、第1の参照スペクトルライブラリからのどの参照スペクトルが現在のスペクトルからの最小の差異を有するかを決定することを含むことができ、第2のベストマッチ参照スペクトルを決定することが、第2の参照スペクトルライブラリからのどの参照スペクトルが現在のスペクトルからの最小の差異を有するかを決定することを含むことができる。
【0008】
一般に、この明細書において説明する主題の別の一態様を、基板の第1のゾーンからの反射光の現在のスペクトルの第1の系列を受け取ることを含むコンピュータ実装方法において具体化することができる。基板の第2のゾーンからの反射光の現在のスペクトルの第2の系列を、受け取ることができる。ベストマッチ参照スペクトルの第1の系列を生成するために、第1の参照スペクトルライブラリからの複数の参照スペクトルに対して、現在のスペクトルの第1の系列からの各現在のスペクトルを比較することができる。 ベストマッチ参照スペクトルの第2の系列を生成するために、第2の参照スペクトルライブラリからの複数の参照スペクトルに対して、現在のスペクトルの第2の系列からの各現在のスペクトルを比較することができる。第2の参照スペクトルライブラリが第1の参照スペクトルライブラリとは異なる場合がある。この態様の他の実施形態は、対応するシステムや、装置や、コンピュータプログラム製品を含む。
【0009】
これらの実施形態および他の実施形態は、1つまたは複数の下記のフィーチャを任意選択で含むことができる。第1の参照スペクトルライブラリおよび第2の参照スペクトルライブラリを、予め決めることができる。
【0010】
別の一態様では、コンピュータ可読媒体中に有形に具体化されたコンピュータプログラム製品は、上記の方法のステップを含む動作をデータ処理装置に実行させるように動作可能である。
【0011】
一般に、この明細書において説明する主題の一態様を、基板の第1のゾーンからの反射光の現在のスペクトルの第1の系列を受け取ることを含むコンピュータ実装方法において具体化することができる。基板の第2のゾーンからの反射光の現在のスペクトルの第2の系列を、受け取ることができる。ベストマッチ参照スペクトルの複数の第1の系列を生成するために、第1の複数の参照スペクトルライブラリからの第1の複数の参照スペクトルに対して、現在のスペクトルの第1の系列からの各現在のスペクトルを比較することができる。ベストマッチ参照スペクトルの複数の第2の系列を生成するために、第2の複数の参照スペクトルライブラリからの第2の複数の参照スペクトルに対して、現在のスペクトルの第2の系列からの各現在のスペクトルを比較することができる。ベストマッチ参照スペクトルの複数の第1の系列についての複数の第1の適合度を決定することができる。ベストマッチ参照スペクトルの複数の第2の系列についての複数の第2の適合度を決定することができる。この態様の他の実施形態は、対応するシステムや、装置や、コンピュータプログラム製品を含む。
【0012】
これらの実施形態および他の実施形態は、1つまたは複数の下記のフィーチャを任意選択で含むことができる。第1の複数の参照スペクトルライブラリおよび第2の複数の参照スペクトルライブラリのうちのあるものが、同じである場合がある。第1の複数の参照スペクトルライブラリおよび第2の複数の参照スペクトルライブラリのすべてが、同じである場合がある。第1の複数の参照スペクトルライブラリおよび第2の複数の参照スペクトルライブラリのいずれもが、同じでない場合がある。
【0013】
ベストマッチ参照スペクトルの複数の第1の系列を生成することが、第1の参照スペクトルライブラリからの複数の参照スペクトルに対して現在のスペクトルの第1の系列からの各現在のスペクトルを比較して、第1の中間適合度を決定することと、第2の参照スペクトルライブラリからの複数の参照スペクトルに対して現在のスペクトルの第1の系列からの各現在のスペクトルを比較して、第2の中間適合度を決定することと、第2の中間適合度に対して第1の中間適合度を比較することと、第2の中間適合度に対する第1の中間適合度の比較に基づいて第1の参照スペクトルライブラリまたは第2の参照スペクトルライブラリのうちの1つを第1の選択することと、第1の選択に基づいてベストマッチ参照スペクトルの第1の系列を決定することとを含む。
【0014】
ベストマッチ参照スペクトルの複数の第2の系列を生成することが、第1の参照スペクトルライブラリからの複数の参照スペクトルに対して現在のスペクトルの第2の系列からの各現在のスペクトルを比較して、第3の中間適合度を決定することと、第2の参照スペクトルライブラリからの複数の参照スペクトルに対して現在のスペクトルの第2の系列からの各現在のスペクトルを比較して、第4の中間適合度を決定することと、第4の中間適合度に対して第3の中間適合度を比較することと、第4の中間適合度に対する第3の中間適合度の比較に基づいて第1の参照スペクトルライブラリまたは第2の参照スペクトルライブラリのうちの1つを第2の選択することと、第2の選択に基づいてベストマッチ参照スペクトルの第2の系列を決定することとを含む。
【0015】
第1の選択および第2の選択を、研磨の所定の期間内に決定することができる。研磨の所定の期間は、研磨の最初の20秒を含むことができる。本方法は、ベストマッチ参照スペクトルの第1の系列および対応する第1の適合度に基づいて第1のゾーンについての第1の研磨終点を決定することと、ベストマッチ参照スペクトルの第2の系列および対応する第2の適合度に基づいて第2のゾーンについての第2の研磨終点を決定することとをさらに含むことができる。
【0016】
当明細書中で使用するように、用語基板は、例えば、製品基板(例えば、複数のメモリダイまたはプロセッサダイを含むことができる)や、テスト基板や、ベア基板や、ゲーティング基板を含むことができる。基板は、集積回路製造の様々なステージである場合があり、例えば、基板がベアウェーハである場合があり、または1層または複数の堆積層および/またはパターンを形成した層を含む場合がある。用語基板は、円形ディスクおよび長方形シートを含むことができる。
【0017】
本発明の実装例の潜在的な利点は、下記を含むことができる。終点検出システムが、基板間のまたは1枚の基板のゾーン間の下地層またはパターン中の変動に敏感でない場合があり、従って、1枚の基板についてまたは1枚の基板の各ゾーンについての所望の終点を検出する終点検出システムの信頼性を、向上させることができる。その結果、ウェーハ間およびウェーハ内厚さ一様性を、向上させることができる。
【0018】
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細を、添付した図面および下記の説明の中で説明する。本発明の他のフィーチャや、態様や、利点は、説明や、図面や、特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
様々な図面中の類似の参照番号および記号表示は、類似の要素を指す。
【0021】
研磨中に、異なるパターンおよび異なる下地層厚さを具備する基板が、研磨装置を通ることがある。分光モニタリングを使用しようとする場合には、これらの変動は、測定したスペクトルに対してのスペクトルライブラリからのマッチングスペクトルの信頼性のない同定を結果としてもたらすことがある。
【0022】
これを補償するために、異なるパターンおよび異なる下地層厚さを表わす異なるライブラリを具備する複数のライブラリを使用することができる。測定したスペクトルの系列を、次に複数のライブラリからの参照スペクトルに対して比較し、その系列にベストフィットを与えるライブラリを同定することができ、ベストフィットライブラリを、研磨速度決定または終点決定のために使用することができる。
【0023】
それに加えて、基板、特にデバイス基板は、異なる特徴、例えば、異なるフィーチャ密度または異なる下地層厚さを具備する異なるゾーンを有する場合がある。その結果、研磨中にその場で実行する分光モニタリングの間に、あるゾーンについて測定したスペクトルが、他のゾーンからのデータに基づいて確定した参照スペクトルと信頼性良く一致しない場合がある。
【0024】
基板内の異なるゾーンを表わす複数のライブラリを使用することによって、この問題に対処することができる。反射光の現在のスペクトルの系列を、1枚の基板の複数のゾーンの各々について測定することができ、終点決定のために使用することができるベストマッチ参照スペクトルを生成するために、異なるゾーンに関する系列からのスペクトルを、異なるスペクトルライブラリからの参照スペクトルに対して比較することができる。
【0025】
図1を参照すると、基板10は、ウェーハ12や、研磨を受ける最外層14や、最外層14とウェーハ12との間にあり、そのうちのいくつかが典型的にはパターンを形成されている1層または複数の下地層16を含むことができる。例えば、最外層14およびすぐ隣接する下地層16を、両者とも誘電体とすることができ、例えば、最外層14を酸化膜とすることができ、すぐ隣接する下地層16を、窒化膜とすることができる。他の導電性層や誘電性層などの他の層を、すぐ隣接する下地層と基板との間に形成することができる。
【0026】
化学機械研磨中に分光終点検出、特に、最外層14および下地層16の両者が誘電体であるときの分光終点検出についての1つの潜在的な問題は、(1層または複数の)下地層の(1つまたは複数の)厚さが、基板間でまたは1枚の基板上のゾーン間で変化する場合があることである。基板は、中央ゾーンや、中間ゾーンや、端部ゾーンなどの複数のゾーンを有することができる。例えば、300mmウェーハ上では、中央ゾーンが、中心から50mmの半径まで広がることができ、中間ゾーンが、50mmの半径から約100mmまで広がることができ、端部が、約100mmから約150mmまで広がることができる。ある実装例では、基板は説明した3つより多いゾーンまたは少ないゾーンを有する。
【0027】
結果として、最外層が同じ厚さを有する複数の基板(または1枚の基板上の複数ゾーン)は、(1層または複数の)下地層に依存して異なるスペクトルを実際に反射することがある。その結果、ある基板(または基板のゾーン)についての研磨終点をトリガするために使用する目標スペクトルが、例えば、下地層が異なる厚さを有する場合には、他の基板(または基板のゾーン)に対して適正に機能しないことがある。しかしながら、複数のスペクトルが(1層または複数の)下地層の変動を表わすときには、複数のスペクトルと対比させて研磨中に入手したスペクトルを比較することによって、この効果を補償することが可能である。
【0028】
研磨を受ける最外層の開始時の厚さの変動か、研磨中の(例えば、各ゾーンにおける異なる研磨速度に起因する)最外層の厚さの変動か、環境の光学的特性の変動か、下地層のパターン、例えば、線幅(例えば、金属線幅またはポリシリコン線幅)の変動か、または層の組成の変動などの、下地層の厚さ以外の変動に起因して、1枚の基板に対してもう1枚の基板を使用してまたは基板上の1つのゾーンに対してもう1つのゾーンを使用して決定される参照スペクトル間に、変動がやはり本来的に存在する場合がある。しかしながら、複数のスペクトルが基板間の他の変動を表わすときには、複数のスペクトルと対比させて研磨中に入手したスペクトルを比較することによって、この効果を補償することが、同様に可能である。
【0029】
それに加えて、参照スペクトルの複数のライブラリを使用して変動を補償することが可能である。各ライブラリ中にあるものは、最外層の厚さの変動を具備するが、それ以外は同様な特徴、例えば、同様の下地層厚さを具備する基板(またはゾーン)を表わす複数の参照スペクトルである。ライブラリ間では、(1層または複数の)下地層の厚さの変動などの他の変動を表わすことができる、例えば、異なるライブラリが、(1層または複数の)下地層の異なる厚さを具備する基板(またはゾーン)を表わす参照スペクトルを含む。
【0030】
図2は、基板10を研磨するように動作する研磨装置20の一例を例示する断面図である。研磨装置20は、研磨パッド30がその上に据えられる回転可能なディスク形のプラテン24を含む。プラテンは、軸25の周りを回転するように動作する。例えば、モータは、プラテン24を回転させるために駆動シャフト22を回すことができる。
【0031】
アパーチャ(すなわち、パッドを通り抜けるホール)または立体的な窓を含ませることによって、研磨パッドを通る光学アクセス36を設ける。ある実装例では、立体的な窓を、プラテン24上に支持することができ、研磨パッド中のアパーチャ中へと突き出させることができるが、立体的な窓を研磨パッドに固定することができる。アパーチャまたは窓がプラテン24のリセス26中に据えられた光学ヘッド53に重なるように、研磨パッド30を通常プラテン24上に設置する。光学ヘッド53は、その結果、アパーチャまたは窓を通して研磨する基板への光学的なアクセスを有する。光学ヘッドを下記にさらに説明する。
【0032】
研磨装置20は、複合スラリ/リンスアーム39を含む。研磨中に、アーム39は、スラリなどの研磨液38を投与するように動作する。あるいは、研磨装置は、研磨パッド30上へとスラリを投与するように動作するスラリポートを含む。
【0033】
研磨装置20は、研磨パッド30に抗して基板10を保持するように動作するキャリアヘッド70を含む。キャリアヘッド70は、支持構造物72、例えば、カルーセルから吊り下げられ、キャリアヘッドが軸71の周りを回転できるようにキャリア駆動シャフト74によってキャリアヘッド回転モータ76に接続される。それに加えて、キャリアヘッド70は、支持構造物72中に形成された放射状のスロット中を横方向に往復運動することができる。動作では、プラテンを、それ自体の中心軸25の周りで回転させ、キャリアヘッドを、それ自体の中心軸71の周りで回転させ、研磨パッドの上表面全体にわたり横方向に移動させる。
【0034】
研磨装置は、やはり、研磨終点を決定するため、または下記に説明するように研磨速度を調節するかどうか(または研磨速度の調節)を決定するために使用することができる光学モニタリングシステムを含む。光学モニタリングシステムは、光源51および光検出器52を含む。光は、光源51から研磨パッド30中の光学アクセス36通り過ぎ、基板10に当たり、基板10から反射して光学アクセス36を通って戻り、光検出器52へ進む。
【0035】
二分岐光学ケーブル54を、光源51から光学アクセス36への光および光学アクセス36から光検出器52へ戻る光を伝達するために使用することができる。二分岐光学ケーブル54は、「幹線」55ならびに2つの「分岐線」56および58を含むことができる。
【0036】
上に述べたように、プラテン24は、光学ヘッド53をその中に据えるリセス26を含む。光学ヘッド53は、二分岐ファイバケーブル54の幹線55の一端を保持し、二分岐ファイバケーブル54は、研磨されている基板表面への光およびそこからの光を伝えるように構成される。光学ヘッド53は、二分岐ファイバケーブル54の端部に重なる1つまたは複数のレンズまたは窓を含むことができる。あるいは、光学ヘッド53は、研磨パッド中の立体的な窓に隣接して幹線55の端部を単に保持することができる。
【0037】
プラテンは、取り外し可能なその場モニタリングモジュール50を含む。その場モニタリングモジュール50は、光源51や、光検出器52や、光源51および光検出器52へと信号を送り、それらから信号を受信するための回路、のうちの1つまたは複数を含むことができる。例えば、検出器52の出力は、デジタル電子信号である場合があり、その信号は、光学モニタリングシステム用の、コンピュータなどのコントローラ60へと駆動シャフト22中のロータリカップラ、例えば、スリップリングを通る。同様に、コントローラからモジュール50へとロータリカップラを通るデジタル電子信号中の制御コマンドに応じて、光源を点灯させるまたは消灯させることができる。
【0038】
その場モニタリングモジュールは、また、二分岐光学ファイバ54の分岐線部分56および58のそれぞれの端部を保持することができる。光源は、光を送り出すように動作し、その光は、分岐線56を通り伝えられ光学ヘッド53中に設置された幹線55の端部から出て、研磨している基板上に当たる。基板から反射した光は、光学ヘッド53中に設置された幹線55の端部で受け取られ、光検出器52へと分岐線58を通り伝えられる。
【0039】
光源51は、白色光を放出するように動作する。一実装例では、放出される白色光は、200〜800ナノメートルの波長を有する光を含む。適した光源は、キセノンランプまたはキセノン水銀ランプである。
【0040】
光検出器52を分光器とすることができる。分光器は、基本的に、電磁スペクトルの一部分にわたる光の強度を測定するための光学機器である。適した分光器は、グレーチング分光器である。分光器に関する典型的な出力は、波長(または周波数)の関数としての光の強度である。
【0041】
光源51および光検出器52を、これらの動作を制御しこれらの信号を受け取るように動作する演算デバイス、例えば、コントローラ60に接続する。演算デバイスは、研磨装置の近くに据えられたマイクロプロセッサ、例えば、パーソナルコンピュータを含むことができる。制御に関して、演算デバイスは、例えば、光源51の起動をプラテン24の回転と同期させることができる。
【0042】
図3に示したように、プラテンが回転するにつれて、コンピュータは、基板10がその場モニタリングモジュールの上方を通る直前に開始し直後に終わる一連の閃光を光源51に放出させることができる(図示された点301〜311の各々はその場モニタリングモジュールからの光が当たり反射される場所を表わす)。あるいは、コンピュータは、基板10がその場モニタリングモジュールの上方を通る直前に開始し直後に終わる連続的な光を光源51に放出させることができる。いずれのケースにおいても、サンプリング周波数でのスペクトル測定値を生成するために、検出器からの信号を、サンプリング周期にわたり積分することができる。サンプリング周波数を、約3から100ミリ秒とすることができる。示していないが、基板10がモニタリングモジュールの上方を通る各回に、モニタリングモジュールとの基板のアライメントが、前の通過の際とは異なることがある。プラテンの1回転にわたり、スペクトルを基板上の異なる半径から入手する。すなわち、あるスペクトルが基板の中心に近い場所から入手され、あるものは端部に近い。それに加えて、プラテンの複数の回転にわたり、スペクトルの系列を時間とともに入手することができる。
【0043】
動作では、演算デバイスは、例えば、光源の特定の一閃光の間にまたは検出器の時間フレームの間に光検出器52により受け取られた光のスペクトルを記述する情報を搬送する信号を受け取ることができる。従って、このスペクトルは、研磨中にその場で測定したスペクトルである。
【0044】
いずれかの特定の理論に限定されることなく、基板10から反射した光のスペクトルは、最外層の厚さの変化のために研磨が進むにつれて漸進的に変化し、従って、時間変化するスペクトルの系列を生み出す。その上、積み重ねた層の特有の厚さによる特有のスペクトルが見られる。
【0045】
演算デバイスは、信号を処理して、研磨ステップの終点を決定することができる。特に、演算デバイスは、測定したスペクトルに基づいて、いつ終点に達したか否かを決定する論理を遂行することができる。
【0046】
手短に、演算デバイスは、複数の参照スペクトルに対して測定したスペクトルを比較することができ、比較の結果を使用して、いつ終点に達したか否かを決定することができる。
【0047】
本明細書中で使用するように、参照スペクトルは、基板の研磨に先立って事前に定められたスペクトルである。参照スペクトルは、最外層の厚さなどの、基板特性の値と事前に定められた関係、すなわち、研磨動作に先立って定められた関係を有することができる。代替としてまたはそれに加えて、実際の研磨速度が予想される研磨速度にしたがうと仮定して、参照スペクトルは、スペクトルがその時間に現れると予想される研磨プロセス中の時間を表わす値と事前に定められた関係を有することができる。
【0048】
参照スペクトルを、例えば、既知の層厚さを有するテスト基板からのスペクトルを測定することによって経験的に生成することができる、または理論から生成することができる。例えば、参照スペクトルを決定するために、製品基板と同じパターンを具備する「設定」基板のスペクトルを、計測ステーションにおいて研磨前に測定することができる。基板特性、例えば、最外層の厚さを、やはり、同じ計測ステーションまたは異なる計測ステーションを用いて研磨前に測定することができる。設定基板を、次に、スペクトルを集めながら研磨する。各スペクトルについて、スペクトルがその時間に集められた研磨プロセス中の時間を表わす値を、記録する。例えば、値を、経過時間またはプラテンの回転数とすることができる。目標厚さを実現したときに基板から反射される光のスペクトルを入手することができるように、基板を、オーバー研磨することができる、すなわち、所望の厚さを過ぎて研磨することができる。設定基板のスペクトルおよび特性、例えば、最外層の厚さを、次に計測ステーションにおいて研磨後に測定することができる。
【0049】
任意選択で、設定基板を研磨システムから定期的に取り除くことができ、研磨に戻す前に、計測ステーションにおいて設定基板の特性および/またはスペクトルを測定することができる。スペクトルがその時間に計測ステーションにおいて測定された研磨プロセス中の時間を表わす値を、やはり、記録することができる。
【0050】
参照スペクトルを、ライブラリ中に記憶する。ライブラリ中の参照スペクトルは、外側層に各種の異なる厚さを具備する基板を表わす。
【0051】
複数のライブラリを、最外層の厚さ以外の特徴が異なる、例えば、下地層の厚さか、下地層のパターンか、または外側層もしくは下地層の組成が異なる、異なる設定基板から作り出すことができる。
【0052】
集めたスペクトルの中から、基板が関心のある厚さを有するときに基板によって示されるべきであると決定される1つまたは複数のスペクトルを選択するために、測定した厚さおよび集めたスペクトルを使用する。特に、目標厚さを実現したときの時間および示される対応するスペクトルを決定するために、測定した研磨前膜厚および研磨後基板厚さを使用して、直線補間を実行することができる。目標厚さを実現したときに示されると決定される1つのスペクトルまたは複数のスペクトルを、1つの目標スペクトルまたは複数の目標スペクトルであると指定する。
【0053】
それに加えて、一様な研磨速度を仮定して、スペクトルが集められた時間および測定したスペクトルの時間入力に基づいて、測定した研磨前膜厚と研磨後基板厚さ(または計測ステーションにおいて測定した他の厚さ)との間の直線補間を使用して、その場で集めた各スペクトルについて、最外層の厚さを計算することができる。初期平坦化に起因して、研磨速度が、研磨動作の始めから終わりまで一様でない場合があり、このケースでは、研磨速度の漸進的な変化が分かっている場合には、厚さを依然として計算することができる。それに加えて、研磨の終わりに向けて、速度が一様になる可能性があることを、仮定することができる。
【0054】
経験的に決定することに加えて、参照スペクトルのあるものまたはすべてを、理論から、例えば、基板層の光学モデルを使用して計算することができる。例えば、所与の外側層厚さDに対するスペクトルを計算するために、光学モデルを使用することができる。スペクトルがその時間に集められるはずの研磨プロセス中の時間を表わす値を、例えば、外側層が一様な研磨速度で除去されることを仮定することによって、計算することができる。例えば、特定のスペクトルについての時間Tsを、開始厚さD0および一様な研磨速度Rを仮定することによって簡単に計算することができる(Ts=(D0−D)/R)。もう1つの例として、光学モデルに対して使用する厚さDに基づいて、研磨前厚さD1および研磨後厚さD2(または計測ステーションにおいて測定した他の厚さ)に対する測定時間T
1、T
2間の直線補間を実行することができる(Ts=T
2−T
1*(D1−D)/(D1−D2))。
【0055】
本明細書中で使用するように、参照スペクトルのライブラリは、(外側の層の厚さ以外の)共通の特性を共有する基板を表わす参照スペクトルの集積物である。しかしながら、1つのライブラリ中で共通に共有される特性が、参照スペクトルの複数のライブラリで横断的に変化する場合がある。例えば、2つの異なるライブラリは、2つの異なる下地厚さを具備する基板を表わす参照スペクトルを含むことができる。
【0056】
異なる基板特性(例えば、下地層厚さ、または層組成)を具備する複数の「設定」基板を研磨することによって、および上に論じたようにスペクトルを集めることによって、異なるライブラリについてのスペクトルを、生成することができる;1つの設定基板からのスペクトルが第1のライブラリを与えることができ、異なる下地層厚さを具備するもう1つの基板からのスペクトルが第2のライブラリを与えることができる。代替としてまたはそれに加えて、異なるライブラリについての参照スペクトルを、理論から計算することができ、例えば、第1のライブラリについてのスペクトルを、第1の厚さを有する下地層を具備する光学モデルを使用して計算することができ、および第2のライブラリについてのスペクトルを、異なる1つの厚さを有する下地層を具備する光学モデルを使用して計算することができる。
【0057】
ある実装例では、各参照スペクトルは、インデックス値を割り当てられる。このインデックスを、その時間において参照スペクトルを観測することが予想される研磨プロセス中の時間を表わす値とすることができる。特定のライブラリ中の各スペクトルが唯一のインデックス値を有するように、スペクトルにインデックスを付けることができる。各スペクトルが測定される順番でインデックス値が順番に並べられるように、スペクトルにインデックスを付けることができる。インデックス値を、研磨が進むにつれて単調に変化するように、例えば、増加するまたは減少するように選択することができる。特に、インデックス値が時間またはプラテン回転数の線形関数を形成するように、参照スペクトルのインデックス値を選択することができる。例えば、インデックス値を、プラテン回転数に比例させることができる。従って、各インデックス数を整数とすることができ、インデックス数は、その回転において関係するスペクトルが現れるはずの予想されるプラテン回転を表わすことができる。
【0058】
参照スペクトルおよび関係するインデックスを、ライブラリ中に記憶することができる。ライブラリを、研磨装置の演算デバイスのメモリ中に実装することができる。目標スペクトルのインデックスを、目標インデックスと呼ぶことができる。
【0059】
研磨中に、インデックス跡を、各ライブラリについて生成することができる。各インデックス跡は、跡を形成するインデックスの系列を含み、系列の各特定のインデックスが特定の測定したスペクトルに関係する。所与のライブラリのインデックス跡について、特定の測定したスペクトルに最もぴったりと適合する所与のライブラリから参照スペクトルのインデックスを選択することによって、系列中の特定のインデックスを生成する。
【0060】
図4に示したように、各測定したスペクトルに対応するインデックス80を、時間またはプラテン回転に照らしてプロットすることができる。既知の次数の多項式関数、例えば、1次関数(すなわち、直線)を、例えば、ロバスト直線フィッティングを使用して、プロットしたインデックス数にフィッティングさせる。直線が目標インデックスと交差するところが、終点時間または終点回転を定める。例えば、1次関数82を、
図4に示したようにデータ点にフィッティングさせる。
【0061】
いずれかの特定の理論に限定されることなく、あるライブラリがより矛盾なく測定したデータと一致するために、あるライブラリは、他のものよりもより正確に妥当な終点を予測することができる。例えば、異なる下地層厚さを具備する基板(またはある基板内のゾーン)を表わす複数のライブラリの中で、測定した基板(またはその基板内のゾーン)の下地層厚さに最もぴったりと一致するライブラリが、ベストマッチを与えるはずである。従って、本発明の利点は、複数の参照スペクトルライブラリを利用することによって実現されるより正確な終点検出システムである。特に、異なる参照スペクトルライブラリを基板の各ゾーンに対して使用することができる。それに加えて、各ゾーンは、複数の異なる参照スペクトルライブラリを有することができる。
【0062】
例えば、
図4は、ある基板上の第1のゾーンに対応する良いデータ適合を示す分光モニタリングシステムからの一例のインデックス跡を例示する概略図である。それと比較して、
図5は、その基板上の第2のゾーンへの悪いデータ適合を示す分光モニタリングシステムからの一例のインデックス跡を例示する概略図である。
図4および
図5の例のインデックス跡は、同じ参照スペクトルライブラリを使用して生成したインデックス跡を表わす。
図4中にプロットしたインデックス数に関係するロバスト直線および関係するインデックス跡との差異と比較して、
図5中にプロットしたインデックス数が、相対的に、関係するロバスト直線からの大きな大きさの差異を有する。それゆえ、基板上の異なるゾーンに対して異なる参照スペクトルライブラリを使用することが、有利である場合がある。
【0063】
ある実装例では、スペクトルを、基板上の1か所よりも多い半径位置のところで入手する。各スペクトル測定値に対して、基板上の半径位置を決定することができ、スペクトル測定値を、それ自体の半径位置に基づくゾーン(例えば、半径ゾーン)へとまとめることができる。基板は、上に説明したように、中央ゾーンや、中間ゾーンや、端部ゾーンなどの、複数のゾーンを有することができる。すべての目的のために引用によって本明細書中に組み込まれている、米国特許第7,097,537号に記載された方法、または米国特許第7,018,271号に記載されたような方法を使用することによって、などで、スペクトルがそこから入手される位置を決定することができる。
【0064】
各ゾーンからの測定したスペクトル(または各ゾーンについて、基板を横断するセンサの1回の掃引から入手されるゾーン内からのスペクトルの平均)を、上に説明したように、複数の参照スペクトルライブラリのうちの1つまたは複数の中の参照スペクトルに対して比較し、対応するインデックス数を、スペクトルライブラリとの比較から決定する。各ゾーンについての対応するインデックス数を、インデックス跡を生成するために使用することができ、インデックス跡を、適合度を決定するために使用することができる。
【0065】
図6は、研磨ステップの終点を決定するための方法600を示す。基板のバッチから1枚の基板を研磨し(ステップ602)、次のステップを、各プラテン回転に対して(および複数のライブラリが各ゾーンについて使用される基板の各ゾーンに対して)実行する。現在のプラテン回転運動についての現在のスペクトルを入手するために、1つまたは複数のスペクトルを測定する(ステップ604)。現在のスペクトルにベストフィットする第1のスペクトルライブラリ中に記憶されている第1のベストマッチ参照スペクトルを決定する(ステップ606)。現在のスペクトルにベストフィットする第2のスペクトルライブラリ中に記憶されている第2のベストマッチ参照スペクトルを決定する(ステップ608)。より一般的には、基板および/またはゾーンに対して使用しようとしている各ライブラリについて、現在のスペクトルにベストマッチである参照スペクトルを決定する。現在のスペクトルに対してベストフィットである第1のライブラリからの第1のベストマッチ参照スペクトルのインデックスを決定し(ステップ610)、第1のライブラリに関係する第1のインデックス跡に付け加える(ステップ612)。現在のスペクトルに対してベストフィットである第2のライブラリからの第2のベストマッチ参照スペクトルのインデックスを決定し(ステップ614)、第2のライブラリに関係する第2のインデックス跡に付け加える(ステップ616)。より一般的には、各ライブラリについて、各ベストマッチ参照スペクトルについてのインデックスを決定し、関係するライブラリについてのインデックス跡に付け加える。第1の直線を第1のインデックス跡にフィッティングさせ(ステップ620)、第2の直線を第2のインデックス跡にフィッティングさせる(ステップ622)。より一般的には、各インデックス跡について、直線をインデックス跡にフィッティングさせることができる。ロバスト直線フィッティングを使用して、直線をフィッティングさせることができる。
【0066】
第1のベストマッチスペクトルのインデックスが目標インデックスと一致するまたは超え(ステップ624)、第1のスペクトルライブラリに関係するインデックス跡が第1のスペクトルライブラリに関係するロバスト直線へのベスト適合度を有する(ステップ626)ときに、または第2のベストマッチスペクトルのインデックスが目標インデックスと一致するまたは超え(ステップ624)、第2のスペクトルライブラリに関係するインデックス跡が第2のスペクトルライブラリに関係するロバスト直線へのベスト適合度を有する(ステップ626)ときに、終点を宣言することができる(ステップ630)。より一般的には、関係するフィッティング直線に対してベストフィットであるインデックス跡が目標インデックスと一致するまたは超えるときに、終点を宣言することができる。
【0067】
2つのライブラリを上では論じているが、本技術を3つ以上のライブラリを用いて使用することができる。それに加えて、ライブラリのうちのいくつかもしくはすべてをゾーン間で共有できる場合がある、または共有できない場合がある、例えば、1つのゾーンについてのライブラリのうちのいくつかもしくはすべてを、もう1つのゾーンについて使用できる場合がある、または使用できない場合がある。
【0068】
また、インデックス値それ自体を目標インデックスに対して比較することよりはむしろ、現在の時間においてフィッティングした直線の値を、目標インデックスに対して比較することができる。すなわち、値(この状況では必ずしも整数である必要がない)を、線形関数から現在の時間について計算し、この値を目標インデックスに対して比較する。
【0069】
方法600を使用して、例えば、異なる参照スペクトルライブラリを、基板の異なるゾーンについての研磨終点を決定するために使用することができる。特に、特定のゾーンについてのベスト適合度を具備するインデックス跡をもたらす参照スペクトルライブラリを、使用する。これらの実装例または他の実装例では、いくつかのゾーンが、同じ参照スペクトルライブラリを使用する場合があるが、いくつかのゾーンが、異なる参照スペクトルライブラリを使用する場合がある。ある実装例では、各ゾーンについて使用するライブラリの数を限定するために、複数の参照スペクトルライブラリのサブセットを予め決める(例えば、ユーザが選択する)ことができる。例えば、2以上の参照ライブラリを、各ゾーンで使用するために予め決めることができる。ある実装例では、特定の参照スペクトルライブラリを、適合度に基づいて各ゾーンについて特定することができる。例えば、研磨プロセス中の所定の時間間隔(例えば、研磨の最初の10〜20秒)の間に、各ゾーンについて使用すべき特定の参照スペクトルライブラリ、例えば、1つのゾーンについてのベストライブラリを、所定の時間間隔の間にベスト適合度をもたらす参照スペクトルライブラリに基づいて選択することができる。
【0070】
他の実装例が可能である。例えば、2つのライブラリを上では論じているが、本技術を、3つ以上のライブラリを用いて使用することができる。もう1つの例として、ライブラリのうちのいくつかもしくはすべてをゾーン間で共有できる場合がある、または共有できない場合がある、例えば、1つのゾーンについてのいくつかもしくはすべてのライブラリを、もう1つのゾーンに対して使用できる場合がある、または使用できない場合がある。さらにもう1つの例として、異なる参照スペクトルライブラリを各ゾーンについて使用するように、まさに1つの参照スペクトルライブラリを、各ゾーンで使用するために予め決めることができる。この実装例に関して、適合度に基づいて参照ライブラリを選択せず、むしろ、異なるゾーンについて異なる参照ライブラリを単に使用することによって、終点を指示することの信頼性を向上させることができる。
【0071】
スペクトルライブラリに関係するインデックス跡がライブラリに関係する線形関数に対してベスト適合度を有するか否かを決定することは、もう1つのライブラリに付随する関係するロバスト直線およびインデックス跡からの差異に対して比較して、相対的に、スペクトルライブラリに関係するインデックス跡が、関係するロバスト直線から最小の大きさの差異、例えば、最小の標準偏差か、最大の相関か、または変動の他の尺度、を有するか否かを決定することを含むことができる。一実装例では、適合度を、インデックスデータ点と線形関数との間の差異の二乗和を計算することによって決定し、差異の最小の二乗和を具備するライブラリがベストフィットを有する。
【0072】
インデックス跡のうちの1つが目標インデックスに達するが、ベストフィットではない場合には、インデックス跡がベストフィットになるまで、またはベストフィットであるインデックス跡が目標インデックスに達するまでのいずれか一方を、システムは待つことができる。
【0073】
2つのライブラリおよび2つのインデックス跡だけを上では論じているが、概念を、2つ以上のインデックス跡を与えるはずの2つ以上のライブラリに適用可能である。それに加えて、跡のインデックスが目標インデックスと一致したときに終点を宣言するよりはむしろ、目標インデックスと交わるように跡に対する直線フィッティングを計算したときに、終点を宣言する可能性がある。その上、処理を削減するために、終点の前に、例えば、予想される研磨時間全体の約40%から50%または60%までの、ワーストフィットであるインデックス跡を排除することが、可能であるはずである。
【0074】
現在のスペクトルを入手することは、研磨している基板表面から反射する光の少なくとも1つのスペクトルを測定することを含むことができる(ステップ604)。任意選択で、複数のスペクトルを測定することができ、例えば、基板上の異なる半径のところで測定したスペクトルを、プラテンの1回転から、例えば、点301〜311(
図3)のところで入手することができる。複数のスペクトルを測定する場合には、スペクトルのうちの1つまたは複数のサブセットを、終点検出アルゴリズムにおいて使用するために選択することができる。例えば、基板の中心近くのサンプル位置のところで(例えば、
図3に示した点305、306、および307のところで)測定したスペクトルを、選択することができる。正確さおよび/または精度を高めるために、現在のプラテン回転運動中に測定したスペクトルを、任意選択で処理する。
【0075】
選択した測定済みのスペクトルの各々と参照スペクトルの各々との間の差異を決定すること(ステップ606または610)は、波長の範囲にわたって強度の差異の和として差異を計算することを含むことができる。すなわち、
【0076】
ここで、aおよびbは、それぞれスペクトルの波長の範囲の下限および上限であり、I
current(λ)およびI
reference(λ)は、それぞれ所与の波長に関する現在のスペクトルの強度および参照スペクトルの強度である。あるいは、差異を平均二乗誤差として計算することができ、すなわち、
【0078】
基板についてまたは基板の各ゾーンについて所与のプラテン回転からの複数の現在のスペクトルがある場合には、ベストマッチを、現在のスペクトルの各々と所与のライブラリの参照スペクトルの各々との間で決定することができる。各選択した現在のスペクトルを、各参照スペクトルに対比して比較する。所与の現在のスペクトルe、fおよびgならびに参照スペクトルE、FおよびGが与えられると、例えば、マッチング係数を、現在のスペクトルと参照スペクトルの下記の組み合わせの各々:eとE、eとF、eとG、fとE、fとF、fとG、gとE、gとF、およびgとG:について計算することができる。どのマッチング係数がベストマッチを指示しようとも、例えば、最小であろうとも、参照スペクトルを、従ってインデックスを決定する。
【0079】
スペクトルライブラリに関係するインデックス跡がスペクトルライブラリに関係するロバスト直線に対するベスト適合度を有するかどうか決定することは(ステップ620または624)、どのライブラリが、インデックス跡を包含するデータ点とスペクトルライブラリに関係するものに対してフィッティングしたロバスト直線との間の差異の最小の二乗和、例えば、
図4および
図5に表わされたようなデータ点とそれぞれ関係するロバスト直線との間の差異の最小の二乗和、を有するかを決定することを含む。
【0080】
ある実装例では、予想される終点時間を、中央ゾーンなどの1つのゾーンについて決定する。適切である場合には、選択したゾーン、例えば、中央ゾーンについて予想される終点時間と同時に所望の終点を実現させるために、次に、他のゾーン内の研磨速度を調節する。キャリアヘッド内の対応するゾーン内の圧力を増加させるまたは減少させることによってなどで、研磨速度を調節することができる。米国特許出願公開第2005/0211377号に記載されたキャリアヘッドなどの、あるキャリアヘッドでは、キャリアヘッドは、調節可能な圧力ゾーンを有する。研磨速度の変化を、圧力の変化に正比例するように、例えば、単純なプレストンモデルを仮定することができる。加えて、プラテンまたはヘッド回転スピードか、異なるヘッド圧力組み合わせの二次効果か、研磨温度か、スラリの流れか、または研磨速度に影響を及ぼす他のパラメータを考慮した、基板を研磨するための制御モデルを、開発することができる。
【0081】
図7を参照すると、基板の表面全体にわたり一様な厚さなどの、特定のプロファイルが望まれる場合には、時間に応じたインデックス数の変化によって指示されるような研磨速度の勾配を、モニタすることができ、スペクトル測定値が信頼できることをインデックス跡の適合度が指示する(例えば、適合度が所定のしきい値よりも小さい)場合には、研磨速度を調節することができる。研磨安定化期間705の後で、中央ゾーン710のところで、端部ゾーン715のところで、および間の中間ゾーン720のところで、スペクトルを入手する。ここで、ゾーンは、円形ゾーンまたは環状ゾーンである。各スペクトルをそれぞれのインデックスと関係付ける。このプロセスを、プラテン回転数にわたり、または時間とともに繰り返して、中央ゾーン710や、中間ゾーン720や、端部ゾーン715の各々における研磨速度を決定する。回転数735(x−軸)に応じてインデックス730(y−軸)をプロットすることによって入手される直線の勾配によって、研磨速度が指示される。速度のいずれかが他のものよりも早くなるまたは遅くなると計算される場合には、スペクトル測定値が信頼できることをインデックス跡の適合度が指示するのであれば、ゾーン内の速度を調節することができる。ここで、調節は、中央ゾーン710の終点C
Eに基づく。ある実装例に関して、研磨速度が容認できる許容範囲内である場合には、何も調節を行う必要がない。同様の研磨パラメータを具備する同様の基板を研磨することから、または上に説明した異なる方法を使用することから、おおよその研磨終点EDPが知られる。研磨プロセス中の第1の研磨時間T
1において、中間ゾーン720のところの研磨の速度を減少させ、端部ゾーンのところの研磨の速度を増加させる。中間ゾーン720のところの研磨速度を調節しないと、中間ゾーンは、基板の残りの部分よりも早く研磨されるはずであり、M
Aのオーバー研磨速度で研磨される。端部ゾーン715についてT
1において研磨速度を調節しないと、端部ゾーン715は、E
uの速度でアンダー研磨されるはずである。
【0082】
研磨プロセス中の後続の時間(T
2)において、適切である場合には、速度を再び調節することができる。この研磨プロセスにおけるゴールは、基板が、平らな表面、または比較的滑らかである表面全体にわたる酸化膜層を有するときに、研磨を終わらせることである。研磨の速度を調節する量を決定する1つの方法は、中央ゾーンや、中間ゾーンや、端部ゾーンの各々のインデックスがおおよその研磨終点EDPにおいて等しくなるように速度を調節することである。従って、中央ゾーンおよび中間ゾーンをT
2の前と同じ速度で研磨しながら、端部ゾーンのところの研磨速度を、調節することを必要とする。EDPがおおよそである場合には、各ゾーンにおけるインデックスが所望の場所におけるものであるときに、すなわち、各場所が同じインデックスを有するときに、研磨を停止することができる。
【0083】
研磨プロセス中に、4回か、3回か、2回か、1回だけなどの数回研磨速度の変更を行うだけが好ましい。調節を、研磨プロセスの開始時の近くか、中間においてか、または終わりに向けて行うことができる。スペクトルをインデックス数に関係付けることが、ゾーンの各々のところでの線形比較を作り出し、研磨プロセスをどのようにして制御するかを決定するために必要な計算を単純化することができ、複雑なソフトウェアまたは処理ステップを取り除くことができる。
【0084】
終点プロセス中に適用することができる方法は、マッチングスペクトルのために検索するライブラリの一部を限定することである。ライブラリは、典型的には基板を研磨している間に入手されるであろうものよりも広い範囲のスペクトルを含む。広い範囲は、より厚い開始時最外層から入手したスペクトルおよびオーバー研磨の後に入手したスペクトルを説明する。基板研磨中には、ライブラリ検索を、ライブラリスペクトルの所定の範囲に限定する。ある実施形態では、研磨している基板の現在の回転インデックスNを決定する。ライブラリスペクトルのすべてを検索することによって、Nを決定することができる。後続の回転中に入手されるスペクトルに関して、Nの自由度の範囲内で、ライブラリを検索する。すなわち、1回転中に、インデックス数がNになるように見出される場合には、自由度がYでありX回転後である後続の回転中に、範囲を(N+X)−Yから(N+X)+Yまで検索する。例えば、基板の最初の研磨回転において、マッチングインデックスが8になるように見出され、自由度が5になるように選択される場合には、2番目の回転中に入手されるスペクトルに関して、インデックス数9±5に対応するスペクトルだけを、マッチングのために調査する。この方法を適用するときに、同じ方法を、終点検出プロセスにおいて現在使用しているライブラリのすべてに独立に適用することができる。
【0085】
本発明の実施形態およびこの明細書中に説明した機能動作のすべてを、デジタル電子回路中に、またはコンピュータソフトウェアか、ファームウェアか、もしくはこの明細書中に開示した構造的手段およびこれらの構造的等価物を含むハードウェア中に、またはこれらの組み合わせ中に実装することができる。本発明の実施形態を、1つまたは複数のコンピュータプログラム製品として、すなわち、データ処理装置、例えば、プログラム可能なプロセッサか、コンピュータか、または複数のプロセッサもしくはコンピュータによる実行のために、またはデータ処理装置の動作を制御するために、情報キャリア中に、例えば、機械可読記憶媒体中に有形に具体化した1つまたは複数のコンピュータプログラムとして実装することができる。コンピュータプログラム(やはり、プログラムか、ソフトウェアか、ソフトウェアアプリケーションか、またはコードとして知られる)を、コンパイラ型言語またはインタープリッタ型言語を含む、任意の形式のプログラミング言語で記述することができ、スタンドアロンプログラムとして、またはコンピュータ環境において使用するために適したモジュールとしてか、コンポーネントとしてか、または他のユニットとしてかを含めて、任意の形式で配置することができる。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルに対応する必要がない。プログラムを、他のプログラムまたはデータを保有するファイルの一部中にか、問題としているプログラムに専用の1つにファイル中にか、または複数の組織的なファイル(例えば、1つまたは複数のモジュールか、サブプログラムか、またはコードの一部を記憶するファイル)中に記憶させることができる。コンピュータプログラムを、1つのコンピュータ上で、または1つのサイトもしくは複数のサイトにわたり分散され通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で遂行されるように配置することができる。
【0086】
この明細書中に説明したプロセスおよび論理の流れを、入力データ上で動作し、出力を生成することによって機能を実行するための1つまたは複数のコンピュータプログラムを遂行する1つまたは複数のプログラム可能なプロセッサによって実行することができる。プロセスおよび論理の流れを、やはり、特殊用途論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途集積回路)によって実行することができ、装置を、また、上記の回路として実装することができる。
【0087】
上に説明した研磨装置および方法を、様々な研磨システムに適用することができる。研磨パッドもしくはキャリアヘッドのいずれか一方または両方を、研磨面と基板との間の相対的な動きを与えるために動かすことができる。例えば、プラテンを、自転させるよりはむしろ公転させることができる。研磨パッドを、プラテンに固定した円形の(またはある別の形の)パッドとすることができる。終点検出システムのある態様を、例えば、直線的に動く研磨パッドが連続したベルトまたはリールからリールへのベルトである線形研磨システムに適用可能である場合がある。研磨層を、標準的な(例えば、フィラー有りまたはなしのポリウレタン)研磨材料か、柔らかい材料か、または固定砥粒材料とすることができる。相対的な位置決めの用語を使用し、研磨面および基板を垂直方向にまたはある別の方向に保持することができることが、理解されるはずである。
【0088】
本発明の特定の実施形態を説明してきている。他の実施形態は、下記の特許請求の範囲の範囲内である。例えば、特許請求の範囲中に記述した行為を、異なる順序で実行することができ、望ましい結果を依然として実現することができる。