(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記積層膜モデル作成手段は、前記重み付け算出手段により算出された重み付けと前記第1の膜の活性化エネルギーと前記第2の膜の活性化エネルギーに基づいて積層膜の活性化エネルギーを算出し、算出した積層膜の活性化エネルギーと前記第1のモデルと前記第2のモデルとに基づいて、積層膜モデルを作成する、ことを特徴とする請求項1に記載の連続処理システム。
前記積層膜モデル作成工程では、前記重み付け算出工程で算出された重み付けと前記第1の膜の活性化エネルギーと前記第2の膜の活性化エネルギーに基づいて積層膜の活性化エネルギーを算出し、算出した積層膜の活性化エネルギーと前記第1のモデルと前記第2のモデルとに基づいて、積層膜モデルを作成する、ことを特徴とする請求項4に記載の連続処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような連続処理には、例えば、リン(P)をドープしたポリシリコン膜(D−poly膜)を成膜した後、アモルファスシリコン膜(a−Si膜)を成膜して積層膜を形成する場合のように、積層膜全体としての膜厚しか測定できず、それぞれの層の膜厚を測定できないものがある。このような積層膜の連続処理においては、連続処理システムの操作者が、積層膜全体としての膜厚を参考に経験や勘に基づいて、温度等の成膜条件をの微調整を行っている。このため、積層膜の連続処理システムやプロセスに関する知識や経験のない操作者であっても、被処理体への連続処理を容易に調整することができるような連続処理システム及び連続処理方法が求められている。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、被処理体への連続処理を容易に調整することができる連続処理システム、連続処理方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかる連続処理システムは、
被処理体に第1の膜を成膜した後に第2の膜を成膜して積層膜を形成する連続処理システムであって、
複数枚の被処理体を収容する処理室内を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段により加熱される処理室内の温度を含む、前記第1の膜および前記第2の膜の成膜条件を記憶する熱処理条件記憶手段と、
前記処理室内の温度と成膜される前記第1の膜の膜厚との関係を示す第1のモデルを記憶する第1のモデル記憶手段と、
前記処理室内の温度と成膜される前記第2の膜の膜厚との関係を示す第2のモデルを記憶する第2のモデル記憶手段と、
前記第1の膜および前記第2の膜の目標膜厚に基づいて、前記第1の膜と前記第2の膜との重み付けを算出する重み付け算出手段と、
前記重み付け算出手段により算出された重み付けと、前記第1のモデル記憶手段に記憶された第1のモデルと、前記第2のモデル記憶手段に記憶された第2のモデルと、に基づいて、前記処理室内の温度と前記積層膜の膜厚との関係を示す積層膜モデルを作成する積層膜モデル作成手段と、
前記積層膜モデル作成手段により作成された積層膜モデルに基づいて、当該積層膜の膜厚が所望の膜厚となる処理室内の温度を算出する温度算出手段と、
前記熱処理条件記憶手段により記憶された処理室内の温度を前記温度算出手段により算出された処理室内の温度に変更し、変更した温度で前記積層膜を形成して、前記形成した積層膜が所望の膜厚となるように調整する調整手段と、
を、備えることを特徴とする。
【0007】
前記積層膜モデル作成手段は、例えば、前記重み付け算出手段により算出された重み付けと前記第1の膜の活性化エネルギーと前記第2の膜の活性化エネルギーに基づいて積層膜の活性化エネルギーを算出し、算出した積層膜の活性化エネルギーと前記第1のモデルと前記第2のモデルとに基づいて、積層膜モデルを作成する。
【0008】
前記処理室は、例えば、複数のゾーンに区分けされている。この場合、前記加熱手段は、前記処理室内の前記ゾーンごとに温度設定可能であり、前記第1のモデル、前記第2のモデル、および、前記積層膜モデルは、前記ゾーンごとの処理室内の温度の変化と、前記ゾーンごとの膜厚の変化との関係を示し、前記温度算出手段は、前記ゾーンごとの処理室内の温度を算出する。
【0009】
本発明の第2の観点にかかる連続処理方法は、
被処理体に第1の膜を成膜した後に第2の膜を成膜して積層膜を形成する連続処理方法であって、
複数枚の被処理体を収容する処理室内を加熱する加熱手段と、前記加熱手段により加熱される処理室内の温度を含む、前記第1の膜および前記第2の膜の成膜条件を記憶する熱処理条件記憶手段と、前記処理室内の温度と成膜される前記第1の膜の膜厚との関係を示す第1のモデルを記憶する第1のモデル記憶手段と、前記処理室内の温度と成膜される前記第2の膜の膜厚との関係を示す第2のモデルを記憶する第2のモデル記憶手段と、を備え、
前記第1の膜および前記第2の膜の目標膜厚に基づいて、前記第1の膜と前記第2の膜との重み付けを算出する重み付け算出工程と、
前記重み付け算出工程で算出された重み付けと、前記第1のモデル記憶手段で記憶された第1のモデルと、前記第2のモデル記憶手段で記憶された第2のモデルと、に基づいて、前記処理室内の温度と前記積層膜の膜厚との関係を示す積層膜モデルを作成する積層膜モデル作成工程と、
前記積層膜モデル作成工程で作成された積層膜モデルに基づいて、当該積層膜の膜厚が所望の膜厚となる処理室内の温度を算出する温度算出工程と、
前記熱処理条件記憶手段で記憶された処理室内の温度を前記温度算出工程で算出された処理室内の温度に変更し、変更した温度で前記積層膜を形成して、前記形成した積層膜が所望の膜厚となるように調整する調整工程と、
を、備えることを特徴とする。
【0010】
前記積層膜モデル作成工程では、例えば、前記重み付け算出工程で算出された重み付けと前記第1の膜の活性化エネルギーと前記第2の膜の活性化エネルギーに基づいて積層膜の活性化エネルギーを算出し、算出した積層膜の活性化エネルギーと前記第1のモデルと前記第2のモデルとに基づいて、積層膜モデルを作成する。
【0011】
前記処理室は、例えば、複数のゾーンに区分けされている。この場合、前記加熱手段は、前記処理室内の前記ゾーンごとに温度設定可能であり、前記第1のモデル、前記第2のモデル、および、前記積層膜モデルは、前記ゾーンごとの処理室内の温度の変化と、前記ゾーンごとの膜厚の変化との関係を示し、前記温度算出工程では、前記ゾーンごとの処理室内の温度を算出する。
【0012】
本発明の第3の観点にかかるプログラムは、
被処理体に第1の膜を成膜した後に第2の膜を成膜して積層膜を形成する連続処理システムとして機能させるプログラムであって、
コンピュータを、
複数枚の被処理体を収容する処理室内を加熱する加熱手段により加熱される処理室内の温度を含む、前記第1の膜および前記第2の膜の成膜条件を記憶する熱処理条件記憶手段、
前記処理室内の温度と成膜される前記第1の膜の膜厚との関係を示す第1のモデルを記憶する第1のモデル記憶手段、
前記処理室内の温度と成膜される前記第2の膜の膜厚との関係を示す第2のモデルを記憶する第2のモデル記憶手段、
前記第1の膜および前記第2の膜の目標膜厚に基づいて、前記第1の膜と前記第2の膜との重み付けを算出する重み付け算出手段、
前記重み付け算出手段により算出された重み付けと、前記第1のモデル記憶手段に記憶された第1のモデルと、前記第2のモデル記憶手段に記憶された第2のモデルと、に基づいて、前記処理室内の温度と前記積層膜の膜厚との関係を示す積層膜モデルを作成する積層膜モデル作成手段、
前記積層膜モデル作成手段により作成された積層膜モデルに基づいて、当該積層膜の膜厚が所望の膜厚となる処理室内の温度を算出する温度算出手段、
前記熱処理条件記憶手段により記憶された処理室内の温度を前記温度算出手段により算出された処理室内の温度に変更し、変更した温度で前記積層膜を形成して、前記形成した積層膜が所望の膜厚となるように調整する調整手段、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被処理体への熱処理を容易に調整することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の熱処理システム、熱処理方法、及び、プログラムを、
図1に示すバッチ式の縦型の熱処理装置に適用した場合を例に本実施の形態を説明する。また、本実施の形態では、成膜用ガスとして、SiH
4ガスを用い、ドープ用ガスとしてPH
3ガスを用いてリンドープポリシリコン膜(D−poly膜)を成膜した後、成膜用ガスとして、SiH
4ガスを用い、アモルファスシリコン膜(a−Si膜)を成膜して積層膜を形成する連続処理の場合を例に本発明を説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態の熱処理装置1は、略円筒状で有天井の反応管2を備えている。反応管2は、その長手方向が垂直方向に向くように配置されている。反応管2は、耐熱及び耐腐食性に優れた材料、例えば、石英により形成されている。
【0017】
反応管2の下側には、略円筒状のマニホールド3が設けられている。マニホールド3は、その上端が反応管2の下端と気密に接合されている。マニホールド3には、反応管2内のガスを排気するための排気管4が気密に接続されている。排気管4には、バルブ、真空ポンプなどからなる圧力調整部5が設けられており、反応管2内を所望の圧力(真空度)に調整する。
【0018】
マニホールド3(反応管2)の下方には、蓋体6が配置されている。蓋体6は、ボートエレベータ7により上下動可能に構成され、ボートエレベータ7により蓋体6が上昇するとマニホールド3(反応管2)の下方側(炉口部分)が閉鎖され、ボートエレベータ7により蓋体6が下降すると反応管2の下方側(炉口部分)が開口されるように配置されている。
【0019】
蓋体6の上部には、保温筒(断熱体)8を介して、ウエハボート9が設けられている。ウエハボート9は、被処理体、例えば、半導体ウエハWを収容(保持)するウエハ保持具であり、本実施の形態では、半導体ウエハWが垂直方向に所定の間隔をおいて複数枚、例えば、150枚収容可能に構成されている。そして、ウエハボート9に半導体ウエハWを収容し、ボートエレベータ7により蓋体6を上昇させることにより、半導体ウエハWが反応管2内にロードされる。
【0020】
反応管2の周囲には、反応管2を取り囲むように、例えば、抵抗発熱体からなるヒータ部10が設けられている。このヒータ部10により反応管2の内部が所定の温度に加熱され、この結果、半導体ウエハWが所定の温度に加熱される。ヒータ部10は、例えば、5段に配置されたヒータ11〜15から構成され、ヒータ11〜15には、それぞれ電力コントローラ16〜20が接続されている。このため、この電力コントローラ16〜20にそれぞれ独立して電力を供給することにより、ヒータ11〜15をそれぞれ独立に所望の温度に加熱することができる。このように、反応管2内は、このヒータ11〜15により、
図3に示すような5つのゾーンに区分されている。例えば、反応管2内のTOP(ZONE1)を加熱する場合には、電力コントローラ16を制御してヒータ11を所望の温度に加熱する。反応管2内のCTR(ZONE3)を加熱する場合には、電力コントローラ18を制御してヒータ13を所望の温度に加熱する。反応管2内のBTM(ZONE5)を加熱する場合には、電力コントローラ20を制御してヒータ15を所望の温度に加熱する。
【0021】
また、マニホールド3には、反応管2内に処理ガスを供給する複数の処理ガス供給管が設けられている。本例では、成膜用ガスとしてのSiH
4ガス、ドープ用ガスとしてのPH
3ガスなどがある。なお、
図1では、マニホールド3に処理ガスを供給する3つの処理ガス供給管21〜23を図示している。
【0022】
処理ガス供給管21は、マニホールド3の側方からウエハボート9の上部付近(ZONE1)まで延びるように形成されている。処理ガス供給管22は、マニホールド3の側方からウエハボート9の中央付近(ZONE3)まで延びるように形成されている。処理ガス供給管23は、マニホールド3の側方からウエハボート9の下部付近(ZONE5)まで延びるように形成されている。
【0023】
各処理ガス供給管21〜23には、それぞれ、流量調整部24〜26が設けられている。流量調整部24〜26は、処理ガス供給管21〜23内を流れる処理ガスの流量を調整するためのマスフローコントローラ(MFC)などから構成されている。このため、処理ガス供給管21〜23から供給される処理ガスは、流量調整部24〜26により所望の流量に調整されて、それぞれ反応管2内に供給される。
【0024】
また、熱処理装置1は、反応管2内のガス流量、圧力、処理雰囲気の温度といった処理パラメータを制御するための制御部(コントローラ)50を備えている。制御部50は、流量調整部24〜26、圧力調整部5、ヒータ11〜15の電力コントローラ16〜20等に制御信号を出力する。
図2に制御部50の構成を示す。
【0025】
図2に示すように、制御部50は、モデル記憶部51と、レシピ記憶部52と、ROM53と、RAM54と、I/Oポート55と、CPU56と、これらを相互に接続するバス57と、から構成されている。
【0026】
モデル記憶部51には、複数種モデルの合成ロジックを示す合成ロジックモデルが記憶されている。また、モデル記憶部51には、積層膜(連続プロセス)としてのモデルを算出するためのプロセス種別ごとに活性化エネルギーが特定されている。なお、これらのモデル等の詳細については後述する。
【0027】
レシピ記憶部52には、この熱処理装置1で実行される成膜処理の種類に応じて、制御手順を定めるプロセス用レシピが記憶されている。プロセス用レシピは、ユーザが実際に行う処理(プロセス)毎に用意されるレシピであり、反応管2への半導体ウエハWのロードから、処理済みの半導体ウエハWをアンロードするまでの、各部の温度の変化、反応管2内の圧力変化、ガスの供給の開始及び停止のタイミング、供給量などを規定する。
【0028】
ROM53は、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスクなどから構成され、CPU56の動作プログラムなどを記憶する記録媒体である。
RAM54は、CPU56のワークエリアなどとして機能する。
【0029】
I/Oポート55は、温度、圧力、ガスの流量に関する測定信号をCPU56に供給すると共に、CPU56が出力する制御信号を各部(圧力調整部5、ヒータ11〜15の電力コントローラ16〜20、流量調整部24〜26等)へ出力する。また、I/Oポート55には、操作者が熱処理装置1を操作する操作パネル58が接続されている。
【0030】
CPU(Central Processing Unit)56は、制御部50の中枢を構成し、ROM53に記憶された動作プログラムを実行し、操作パネル58からの指示に従って、レシピ記憶部52に記憶されているプロセス用レシピに沿って、熱処理装置1の動作を制御する。
【0031】
また、CPU56は、複数種モデルの合成ロジックを示す合成ロジックモデルと、プロセス種別ごとに特定された活性化エネルギーとに基づいて、積層膜(連続プロセス)としてのモデルを算出する。CPU56は、この算出された積層膜としてのモデルに基づいて、反応管2内の各ZONE(ZONE1〜5)における温度を算出する。そして、CPU56は、反応管2内のZONE1〜5の温度が算出した温度となるように、電力コントローラ等に制御信号を出力し、反応管2内の温度を調整する。また、CPU56は、対応するレシピ記憶部52に記憶されている反応管2内の温度を、算出した温度に更新する。
バス57は、各部の間で情報を伝達する。
【0032】
次に、モデル記憶部51に記憶されているモデル等について説明する。前述のように、モデル記憶部51には、複数種モデルの合成ロジックを示す合成ロジックモデルと、プロセス種別ごとに特定された活性化エネルギーとが記憶されている。
【0033】
図4(a)に合成ロジックモデルの一例を示す。合成ロジックモデルは、複数種のプロセスモデルの合成ロジックを示すものであり、本例のように、1層目がD−poly膜、2層目がa−Si膜の2層からなる積層膜では、
図4(a)に示すように、「1層目の重み付け × D−polyモデル + 2層目の重み付け × a−Siモデル」で表される。
【0034】
このような重み付けは、
図4(b)に示すように、各層の目標膜厚を用いることにより特定することができる。また、モデル記憶部51には、
図4(c)に示すように、プロセス種別ごとに特定された活性化エネルギーが記憶されている。そして、この目標膜厚から各層の重み付けを算出し、算出した重み付けと活性化エネルギーとから積層膜(連続プロセス)の活性化エネルギーを算出する。例えば、後述する
図6(c)に示すように、1層目の目標膜厚が60nm、2層目の目標膜厚が40nmの場合、1層目の重み付けが「60/100=0.6」となり、2層目の重み付けが「40/100=0.4」となる。そして、積層膜(連続プロセス)としての活性化エネルギーは、「1eV×0.6+2eV×0.4=1.4eV」となる。この算出された活性化エネルギーと、1層目(D−poly膜)および2層目(a−Si膜)の膜厚における各ZONEの温度との関係とに基づいて、積層膜(連続プロセス)としてのモデルが作成される。作成された積層膜のモデルは、例えば、所定ZONEの温度と、各ZONEに形成される積層膜の膜厚との関係が示されている。そして、この作成された積層膜のモデルにより、各ZONEの最適な温度が算出される。
【0035】
なお、合成ロジックは、各層の目標膜厚による重み付けを用いて積層膜(連続プロセス)のモデルが作成できればよく、例えば、活性化エネルギーを用いなくてもよい。
【0036】
また、これらのモデルは、プロセス条件や装置の状態によってデフォルトの数値が最適でない場合も考えられることから、ソフトウエアに拡張カルマンフィルターなどを付加して学習機能を搭載することにより、モデルの学習を行うものであってもよい。このカルマンフィルターによる学習機能については、例えば、米国特許第5 ,991,525号公報などに開示されている手法を利用することができる。
【0037】
次に、以上のように構成された熱処理装置1を用いて、形成される積層膜の膜厚(D−poly膜およびa−Si膜の膜厚)を調整する調整方法(調整処理)について説明する。この調整処理は、成膜処理を行う前のセットアップの段階で行っても、成膜処理と同時に行ってもよい。
図5は、本例の調整処理を説明するためのフローチャートである。
【0038】
この調整処理においては、操作者は、操作パネル58を操作して、
図6(a)、(b)に示すように、反応管2内のZONEごとの温度および積層膜の膜厚を入力する。次に、操作者は、操作パネル58を操作して、
図6(c)に示すように、プロセス種別(本例では、D−polyおよびa−Si)を選択するとともに、ターゲットとするD−poly膜の目標膜厚、および、a−Si膜の目標膜厚を入力する。
【0039】
制御部50(CPU56)は、
図6(a)〜(c)のプロセス種別等の必要な情報が入力されたか否かを判別する(ステップS1)。CPU56は、必要な情報が入力されていると判別すると(ステップS1;Yes)、入力されたD−poly膜の目標膜厚、および、a−Si膜の目標膜厚から、各層の重み付けを算出する(ステップS2)。本例では、
図6(c)に示すように、1層目の目標膜厚が60nm、2層目の目標膜厚が40nmの場合、1層目の重み付けが「60/100=0.6」となり、2層目の重み付けが「40/100=0.4」となる。
【0040】
次に、CPU56は、算出した重み付けとモデル記憶部51に記憶された活性化エネルギーとに基づいて、積層膜の活性化エネルギーを算出する(ステップS3)。本例では、積層膜(連続プロセス)としての活性化エネルギーは、「1eV×0.6+2eV×0.4=1.4eV」となる。
【0041】
続いて、CPU56は、この算出された活性化エネルギーと、D−poly膜およびa−Si膜の膜厚における各ZONEの温度との関係とに基づいて、積層膜のモデルを作成する(ステップS4)。CPU56は、作成した積層膜のモデルを用いて、
図7に示すように、ZONEごとの最適温度を算出する(ステップS5)。
【0042】
次に、CPU56は、入力されたプロセス種別に対応するプロセス用レシピをレシピ記憶部52から読み出す。プロセス用レシピには、反応管2内の圧力、処理ガス(例えば、SiH
4ガス)の流量などのプロセス条件が記憶されている。次に、CPU56は、ボートエレベータ7(蓋体6)を降下させ、少なくとも各ZONEに半導体ウエハWを搭載したウエハボート9を蓋体6上に配置する。続いて、CPU56は、ボートエレベータ7(蓋体6)を上昇して、ウエハボート9を反応管2内にロードする。そして、CPU56は、ヒータ11〜15の電力コントローラ16〜20を制御して、反応管2内の温度を算出された各ゾーンの温度に設定するとともに、レシピ記憶部52から読み出したレシピに従って、圧力調整部5、流量調整部24〜26等を制御して、半導体ウエハWに積層膜を形成する(ステップS6)。なお、成膜用ガスとして、SiH
4ガスを用い、ドープ用ガスとしてPH
3ガスを用いてリンドープポリシリコン膜(D−poly膜)を成膜した後、成膜用ガスとして、SiH
4ガスを用い、アモルファスシリコン膜(a−Si膜)を成膜して積層膜を形成する。
【0043】
CPU56は、積層膜が形成されると、ボートエレベータ7(蓋体6)を降下させ、D−poly膜が成膜された半導体ウエハWをアンロードし、この半導体ウエハWを、例えば、図示しない測定装置に搬送し、半導体ウエハWに成膜された積層膜の膜厚を測定させる。測定装置では、各半導体ウエハWに形成された積層膜の膜厚を測定すると、例えば、測定した積層膜の膜厚データを熱処理装置1(CPU56)に送信する。なお、操作者が操作パネル58を操作して、測定結果を入力してもよい。
【0044】
CPU56は、測定された積層膜の膜厚データを受信すると、受信した膜厚データと、入力された積層膜の膜厚とが一致するか否かを判別する(ステップS7)。本例の場合、
図8に示すように、受信した膜厚データと、入力された積層膜の膜厚とが一致した。このように、熱処理装置やプロセスに関する知識や経験のない操作者であっても半導体ウエハWの表面に目標通りの積層膜を形成することができた。なお、CPU56は、両者が一致しないと判別すると(ステップS7;No)、ステップS2に戻る。
【0045】
そして、CPU56は、両者が一致すると判別すると(ステップS7;Yes)、この処理を終了する。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態によれば、反応管2内のZONEごとの温度および積層膜の膜厚と、プロセス種別と、ターゲットとするD−poly膜の目標膜厚およびa−Si膜の目標膜厚とを入力するだけで、各ZONEの温度を調整し、半導体ウエハWの表面に目標通りの積層膜を形成することができる。このため、熱処理装置やプロセスに関する知識や経験のない操作者であっても半導体ウエハWへの連続処理を容易に調整することができる。
【0047】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な他の実施の形態について説明する。
【0048】
上記実施の形態では、測定した積層膜の膜厚と、目標とする積層膜の膜厚を一致させる場合を例に本発明を説明したが、例えば、目標とする積層膜の膜厚に許容可能な範囲、例えば、±1%程度の範囲を設け、この範囲内に測定した積層膜の膜厚が含まれる場合に調整処理を終了させてもよい。
【0049】
上記実施の形態では、成膜用ガスとしてSiH
4ガスを用い、ドープ用ガスとしてPH
3ガスを用いてリンドープポリシリコン膜(D−poly膜)を形成する場合を例に本発明を説明したが、ドープさせる不純物はリンに限定されるものではなく、例えば、ボロン(B)であってもよい。また、成膜ガスはSiH
4に限定されるものではなく、例えば、Si
2H
6ガスであってもよい。また、a−Si膜の成膜にSiH
4ガスを用いた場合を例に本発明を説明したが、a−Si膜を形成可能な各種の成膜用ガスを用いてもよい。
【0050】
また、上記実施の形態では、積層膜としてD−poly膜とa−Si膜との積層膜を用いた場合を例に本発明を説明した。本発明の積層膜としては、積層膜全体としての膜厚しか測定できず、それぞれの層の膜厚を測定できないものであることが好ましく、例えば、BSGとTEOSからなる積層膜であってもよい。また、積層膜の積層数は2層に限定されるものではなく、3層以上であってもよい。
【0051】
上記実施の形態では、ヒータの段数(ゾーンの数)が5段の場合を例に本発明を説明したが、4段以下であっても、6段以上であってもよい。また。各ゾーンから抽出する半導体ウエハWの数などは任意に設定可能である。
【0052】
上記実施の形態では、単管構造のバッチ式熱処理装置の場合を例に本発明を説明したが、例えば、反応管2が内管と外管とから構成された二重管構造のバッチ式縦型熱処理装置に本発明を適用することも可能である。また、本発明は、半導体ウエハの処理に限定されるものではなく、例えば、FPD基板、ガラス基板、PDP基板などの処理にも適用可能である。
【0053】
本発明の実施の形態にかかる制御部50は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROMなど)から当該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行する制御部50を構成することができる。
【0054】
そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板(BBS)に当該プログラムを掲示し、これをネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。