(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記貫通配線は、前記他方の面側から前記絶縁膜に被覆された前記貫通孔の少なくとも一部を充填する第1層と、前記第1層の前記絶縁膜に被覆された前記一方の面側の端面及び前記絶縁膜に被覆された前記貫通孔の内側面が形成する凹部の表面を被覆する第2層と、前記第2層を被覆し前記凹部を充填する第3層と、を有する請求項1又は2記載の配線基板。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0014】
[本実施の形態に係る配線基板の構造]
始めに、本実施の形態に係る配線基板の構造について説明する。
図2は、本実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。
【0015】
図2を参照するに、配線基板10は、基板本体11と、絶縁膜12と、GNDプレーン層13と、電源プレーン層14と、貫通配線15と、第1絶縁層16と、第1配線層17と、第2絶縁層18と、第2配線層19と、第3絶縁層20と、第4絶縁層21と、第3配線層22と、第5絶縁層23と、第4配線層24と、第6絶縁層25とを有する。
【0016】
配線基板10において、基板本体11は、GNDプレーン層13等を形成する基体となる部分であり、溝11x及び11y(所謂トレンチ)、並びに貫通孔11zが形成されている。基板本体11の厚さは、例えば、200〜400μm程度とすることができる。基板本体11の材料としては、シリコン、ガラス、セラミック等の無機材料を用いることができる。
【0017】
なお、配線基板10は、半導体チップを搭載することにより半導体パッケージとなり得る。その際、半導体チップはシリコン基板を有するものが多いため、熱膨張係数を整合させる観点からすると、基板本体11の材料としてシリコンやシリコンに熱膨張係数が近い硼珪酸ガラスを用いると好適である。硼珪酸ガラスは、硼酸(B
2O
3)と珪酸(SiO
2)を主成分として含むガラスであり、熱膨張係数は3ppm/℃程度である。又、加工性の観点からすると、基板本体11の材料としてシリコンを用いると好適である。
【0018】
基板本体11の熱膨張係数を半導体チップの熱膨張係数と整合させる理由は、高温環境下や低温環境下で動作する場合も含め、配線基板10と半導体チップとの接合部に生じる熱応力を低減するためである。以下、基板本体11がシリコンである場合を例にして説明する。
【0019】
溝11xは、基板本体11の一方の面11a側に開口する溝である。
図3に例示するように、平面視において、溝11xは、貫通孔11z及びその周辺部を除く領域に形成することができる。但し、溝11xは、一部の貫通孔11zと連通していてもよい。溝11xは、GNDプレーン層13が形成される部分である。溝11xの平面形状は、例えば、矩形状や円形状等とすることができる。溝11xの深さは、例えば20〜50μm程度とすることができる。
【0020】
溝11yは、基板本体11の他方の面11b側に開口する溝である。
図3に例示するように、平面視において、溝11yは、貫通孔11z及びその周辺部を除く領域に形成することができる。但し、溝11yは、一部の貫通孔11zと連通していてもよい。溝11yは、電源プレーン層14が形成される部分である。溝11yの平面形状は、例えば、矩形状や円形状等とすることができる。溝11yの深さは、例えば20〜50μm程度とすることができる。溝11xと溝11yとは、平面視において重複する位置に形成することができる。なお、溝11xと溝11yとが同一の貫通孔11zと連通することはない。
【0021】
このように、溝11x及び11yは、貫通孔11z及びその周辺部を除く領域に形成することができるが、少なくとも半導体チップを搭載するエリアの下に設けられていればよい。
【0022】
貫通孔11zは、基板本体11の一方の面11a側から他方の面11b側に貫通する平面形状が略円形の孔である。貫通孔11zの径は、例えば40〜60μm程度とすることができる。貫通孔11zの深さ(基板本体11の厚さ)は、例えば、200〜400μm程度とすることができる。
【0023】
絶縁膜12は、基板本体11の一方の面11a及び他方の面11b、溝11x及び溝11yの内底面及び内側面、並びに貫通孔11zの内側面に形成されている。絶縁膜12は、基板本体11とGNDプレーン層13、電源プレーン層14、及び貫通配線15との間を絶縁するための膜である。絶縁膜12の材料としては、例えば、二酸化珪素(SiO
2)や窒化珪素(SiN)、ポリイミド(PI)等を用いることができる。絶縁膜12の厚さは、例えば1〜2μm程度とすることができる。なお、本実施の形態では、基板本体11がシリコン(半導体材料)であるから絶縁膜12を設けているが、基板本体11がガラス等の絶縁性材料である場合には、絶縁膜12を設けなくても構わない。
【0024】
GNDプレーン層13は、GND(グランド)の電位を安定化する目的で形成される層であり、内側面が絶縁膜12に被覆された溝11xを充填するように形成されている。つまり、GNDプレーン層13は、平面視において、基板本体11の一方の面11aの貫通配線15の端面周辺部を除くほぼ全面に形成されている。但し、GNDプレーン層13は、同電位である一部の貫通配線15と導通していてもよい。又、GNDプレーン層13は、少なくとも半導体チップを搭載するエリアの下に設けられていればよい。
【0025】
GNDプレーン層13の上面(基板本体11の一方の面11a側に露出している面)は、基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の上面と略面一とされている。GNDプレーン層13は、GND(グランド)の電位を安定化する目的を達成するため、第1配線層17を構成する配線パターン等と同等以上の厚さに形成することが好ましく、その厚さは例えば20〜50μm程度とすることができる。なお、プレーン層とは、所定の面のほぼ全面にべた状に形成された層である。
【0026】
GNDプレーン層13は、第1層13aと、第2層13bとを有する。第1層13aは、溝11xの内側面及び内底面を被覆する絶縁膜12を被覆している。第1層13aとしては、例えばチタン(Ti)膜と銅(Cu)膜が絶縁膜12上に、この順番で順次積層した導電層等を用いることができる。第1層13aの厚さは、例えば1μm程度とすることができる。第2層13bは、第1層13aを被覆し、溝11xを充填するように形成されている。第2層13bの材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
【0027】
第1層13aの最下層にチタン(Ti)膜を用いると、絶縁膜12の材料が二酸化珪素(SiO
2)や窒化珪素(SiN)である場合に密着性が良好となる。従って、第2層13bが絶縁膜12に直接接している場合のように、密着性が悪くて両者の間に隙間が形成されるようなことはなく、第2層13bは第1層13aを介して絶縁膜12と密着している。なお、GNDプレーン層13は、本発明に係る基準電位層の代表的な一例である。
【0028】
電源プレーン層14は、電源の電位を安定化する目的で形成される層であり、内側面が絶縁膜12に被覆された溝11yを充填するように形成されている。つまり、電源プレーン層14は、平面視において、基板本体11の他方の面11bの貫通配線15の端面周辺部を除くほぼ全面に形成されている。但し、電源プレーン層14は、同電位である一部の貫通配線15と導通していてもよい。又、電源プレーン層14は、少なくとも半導体チップを搭載するエリアの下に設けられていればよい。
【0029】
電源プレーン層14の上面(基板本体11の他方の面11b側に露出している面)は、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の上面と略面一とされている。電源プレーン層14は、電源の電位を安定化する目的を達成するため、第1配線層17を構成する配線パターン等と同等以上の厚さに形成することが好ましく、その厚さは例えば20〜50μm程度とすることができる。
【0030】
電源プレーン層14は、第1層14aと、第2層14bとを有する。第1層14aは、溝11yの内側面及び内底面を被覆する絶縁膜12を被覆している。第1層14aとしては、例えばチタン(Ti)膜と銅(Cu)膜が絶縁膜12上に、この順番で順次積層した導電層等を用いることができる。第1層14aの厚さは、例えば1μm程度とすることができる。第2層14bは、第1層14aを被覆し、溝11yを充填するように形成されている。第2層14bの材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
【0031】
第1層14aの最下層にチタン(Ti)膜を用いると、絶縁膜12の材料が二酸化珪素(SiO
2)や窒化珪素(SiN)である場合に密着性が良好となる。従って、第2層14bが絶縁膜12に直接接している場合のように、密着性が悪くて両者の間に隙間が形成されるようなことはなく、第2層14bは第1層14aを介して絶縁膜12と密着している。なお、電源プレーン層14は、本発明に係る電源層の代表的な一例である。
【0032】
なお、GNDプレーン層13と電源プレーン層14とは、必ずしも対象形状としなくてもよい。
【0033】
貫通配線15は、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11zを充填するように形成されている。貫通配線15は、第1層15aと、第2層15bと、第3層15cとを有する。第1層15aは、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11zの一部を充填するように形成されている。本実施の形態では、第1層15aは、貫通孔11zの上部(基板本体11の一方の面11a側)を除く部分に充填されており、第1層15aの上面(基板本体11の一方の面11a側の端面)は、基板本体11の一方の面11aに対して他方の面11b側に窪んだ位置にある。つまり、第1層15aの上面と、貫通孔11zの内側面を被覆する絶縁膜12とは凹部15xを形成している。凹部15xの深さは、例えば、50μm程度とすることができる。第1層15aの材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第1層15aの基板本体11の他方の面11bに露出している面は、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の上面と略面一とされている。
【0034】
第2層15bは、凹部15x内に形成されている。より詳しくは、第2層15bは、第1層15aの上面及び貫通孔11zの内側面を被覆する絶縁膜12を被覆している。第2層15bとしては、例えばチタン(Ti)膜と銅(Cu)膜が絶縁膜12上又は第1層15a上に、この順番で順次積層した導電層等を用いることができる。第2層15bの厚さは、例えば1μm程度とすることができる。第3層15cは、第2層15bを被覆し、凹部15xを充填するように形成されている。第3層15cの上面(貫通配線15の基板本体11の一方の面11a側に露出している面)は、基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の上面と略面一とされている。第3層15cの材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
【0035】
第2層15bの最下層にチタン(Ti)膜を用いると、絶縁膜12の材料が二酸化珪素(SiO
2)や窒化珪素(SiN)である場合に密着性が良好となる。従って、第3層15cが絶縁膜12に直接接している場合のように、密着性が悪くて両者の間に隙間が形成されるようなことはなく、第3層15cは第2層15bを介して絶縁膜12と密着している。
【0036】
なお、第1層15aは、貫通孔11zの上部(溝11x側)も含めて、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11zを完全に充填するように形成しても良い。その場合には、第1層15aの上面(溝11x側の面)と基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の上面とが略面一となり、凹部15xは形成されない。凹部15xの深さは、例えば0〜10μm程度とすることができる。
【0037】
但し、第1層15aを、基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の上面から突出するように形成することは好ましくない。第1層15aが基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の上面から突出すると、突出部を被覆する第2層15bの被膜状態が悪化し、第2層15bの剥離や断線等を引き起こす虞があるからである。本実施の形態では、このような問題の発生を回避するために、第1層15aの上面(溝11x側の面)が基板本体11の一方の面11aに対して他方の面11b側に窪んだ位置に来る程度に貫通孔11zを充填し、凹部15xを形成した場合を例にして説明する。
【0038】
なお、本実施の形態では、第1層15aと第3層15cとの間には、必ず第2層15bが介在する構造となっている。これは、後述する配線基板10の製造工程から生じるものである。後述する配線基板10の製造工程により、第1層15a及び第3層15cにシームやボイド等の欠陥が発生することを防止することが可能となる。
【0039】
第1絶縁層16は、GNDプレーン層13及び貫通配線15の一方の端面を被覆するように、基板本体11の一方の面11aに形成されている。第1絶縁層16の材料としては、例えば感光性ポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。第1絶縁層16の厚さは、例えば15〜25μm程度とすることができる。
【0040】
第1配線層17は、第1絶縁層16上に形成されている。第1配線層17は、第1絶縁層16を貫通し貫通配線15の一方の端面を露出する第1ビアホール16x内に充填されたビア配線、及び第1絶縁層16上に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線パターンは、所定の平面形状にパターニングされている。第1ビアホール16xは、第2絶縁層18側に開口されていると共に、貫通配線15の一方の端面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となっている。又、この凹部内にビア配線が形成されている。
【0041】
第1配線層17は、第1ビアホール16x内に露出した貫通配線15と電気的に接続されている。第1配線層17の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第1配線層17を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0042】
第2絶縁層18は、第1絶縁層16上に、第1配線層17を覆うように形成されている。第2絶縁層18の材料としては、第1絶縁層16と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。第2絶縁層18の厚さは、例えば15〜25μm程度とすることができる。
【0043】
第2配線層19は、第2絶縁層18上に形成されている。第2配線層19は、第2絶縁層18を貫通し第1配線層17の上面を露出する第2ビアホール18x内に充填されたビア配線、及び第2絶縁層18上に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線パターンは、所定の平面形状にパターニングされている。第2ビアホール18xは、第3絶縁層20側に開口されていると共に、第1配線層17の上面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となっている。又、この凹部内にビア配線が形成されている。
【0044】
第2配線層19は、第2ビアホール18x内に露出した第1配線層17と電気的に接続されている。第2配線層19の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第2配線層19を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0045】
第3絶縁層20は、第2絶縁層18上に、第2配線層19を覆うように形成されている。第3絶縁層20は開口部20xを有し、開口部20x内には第2配線層19の一部が露出している。第3絶縁層20の材料としては、第1絶縁層16と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。第3絶縁層20の厚さは、例えば15〜25μm程度とすることができる。
【0046】
開口部20x内に露出する第2配線層19は、半導体チップ(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。以降、開口部20x内に露出する第2配線層19を第1電極パッド19と称する場合がある。必要に応じ、第1電極パッド19上に、金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。
【0047】
更に、第1電極パッド19上に(第1電極パッド19上に金属層が形成されている場合には、金属層の上に)はんだボールやリードピン等の外部接続端子を形成しても構わない。外部接続端子は、半導体チップ(図示せず)と電気的に接続するための端子となる。但し、第1電極パッド19(第1電極パッド19上に金属層が形成されている場合には、金属層)自体を、外部接続端子としても良い。
【0048】
第1電極パッド19の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば40〜120μm程度とすることができる。第1電極パッド19のピッチは、例えば100〜200μm程度とすることができる。
【0049】
同様に、基板本体11の他方の面11bには、第4絶縁層21、第3配線層22、第5絶縁層23、第4配線層24、及び第6絶縁層25が順次積層形成されている。第3配線層22は、第3ビアホール21xを介して貫通配線15と電気的に接続されている。第4配線層24は、第4ビアホール23xを介して第3配線層22と電気的に接続されている。なお、第4絶縁層21、第3配線層22、第5絶縁層23、及び第4配線層24については、第1絶縁層16、第1配線層17、第2絶縁層18、及び第2配線層19の構造と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0050】
第6絶縁層25は、第5絶縁層23上に、第4配線層24を覆うように形成されている。第6絶縁層25は開口部25xを有し、開口部25x内には第4配線層24の一部が露出している。第6絶縁層25の材料としては、第1絶縁層16と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。第6絶縁層25の厚さは、例えば15〜25μm程度とすることができる。
【0051】
開口部25x内に露出する第4配線層24は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。以降、開口部25x内に露出する第4配線層24を第2電極パッド24と称する場合がある。必要に応じ、第2電極パッド24上に、金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。
【0052】
更に、第2電極パッド24上に(第2電極パッド24上に金属層が形成されている場合には、金属層の上に)はんだボールやリードピン等の外部接続端子を形成しても構わない。外部接続端子は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続するための端子となる。但し、第2電極パッド24(第2電極パッド24上に金属層が形成されている場合には、金属層)自体を、外部接続端子としても良い。
【0053】
第2電極パッド24の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば200〜1000μm程度とすることができる。つまり、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される第2電極パッド24の径は、半導体チップ(図示せず)と電気的に接続される第1電極パッド19の径よりも大きい。第2電極パッド24のピッチは、例えば500〜1200μm程度とすることができる。つまり、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される第2電極パッド24のピッチは、半導体チップ(図示せず)と電気的に接続される第1電極パッド19のピッチよりも広い。
【0054】
このように、配線基板10では、GNDプレーン層13が形成されている側が、半導体チップ搭載側とされている。このような構造にすることにより、GNDプレーン層13を半導体チップ(図示せず)のGNDと容易に接続できる。又、このような構造にすることにより、GNDプレーン層13を、信号層である第1配線層17及び第2配線層19の信号伝播損失を低減するのに寄与するマイクロストリップラインのグランド層として用いることができる。なお、GNDプレーン層13をマザーボード等の実装基板(図示せず)と接続される側(基板本体11の他方の面11b側)に形成すると、信号層である第1配線層17及び第2配線層19とGNDプレーン層13との距離が遠くなるため、マイクロストリップラインとして機能させることが困難となり、信号伝播の損失が大きくなる。
【0055】
[本実施の形態に係る配線基板の製造方法]
次に、本実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
図4〜
図12は、本実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。
【0056】
まず、
図4に示す工程では、基板本体11を準備し、基板本体11の一方の面11a側に開口する溝11x、及び基板本体11の一方の面11a側から他方の面11b側に貫通する貫通孔11zを形成する。溝11xは、GNDプレーン層13が形成される部分となる。基板本体11は、例えば6インチ(約150mm)、8インチ(約200mm)、12インチ(約300mm)等のシリコンウェハ等である。シリコンウェハの厚さは、例えば0.625mm(6インチの場合)、0.725mm(8インチの場合)、0.775mm(12インチの場合)等であるが、バックサイドグラインダー等で適宜薄型化することができる。
【0057】
溝11x及び貫通孔11zは、例えば、基板本体11の一方の面11aに溝11x及び貫通孔11zを形成する位置を開口するレジスト層を形成し、レジスト層をマスクとして基板本体11をエッチングすることにより形成できる。エッチングとしては、例えばSF
6(六フッ化硫黄)を用いた反応性イオンエッチング(DRIE:Deep Reactive Ion Etching)等の異方性エッチング法を用いると好適である。溝11xは、所定の深さでエッチングを停止し、貫通孔11zは、基板本体11を貫通するまでエッチングする。溝11xの深さは、例えば40〜60μm程度とすることができる。貫通孔11zの径は、例えば40〜60μm程度とすることができる。貫通孔11zの深さ(基板本体11の厚さ)は、例えば、200〜400μm程度とすることができる。
【0058】
次に、
図5に示す工程では、基板本体11の一方の面11a及び他方の面11b、溝11xの内底面及び内側面、並びに貫通孔11zの内側面に絶縁膜12を形成する。絶縁膜12としては、例えば熱酸化膜(SiO
2)を用いることができる。絶縁膜12は、基板本体11の表面近傍の温度を例えば1000℃以上とするウェット熱酸化法により熱酸化することで形成できる。絶縁膜12の厚さは、例えば1〜2μm程度とすることができる。なお、絶縁膜12として、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により、例えば二酸化珪素(SiO
2)や窒化珪素(SiN)、ポリイミド(PI)等の膜を形成しても構わない。
【0059】
次に、
図6に示す工程では、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12上に、接着層31を介して金属層32を配設する。そして、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11zに対応する部分の接着層31をアッシング法等により除去し、開口部31xを形成する。これにより、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11z内に金属層32の上面が露出する。金属層32は、電解めっき法により、貫通配線15等を形成する際の給電層となる部材である。金属層32としては、例えば銅(Cu)板や銅(Cu)箔等を用いることができる。以下、金属層32が銅(Cu)板である場合を例にして説明する。
【0060】
次に、
図7に示す工程では、金属層32を給電層とする電解めっき法により、金属層32側から貫通孔11z内にめっき膜を析出成長させることで、貫通孔11zの少なくとも一部を充填する導電層41を形成する。なお、導電層41は、不要部分が除去されて、最終的には貫通配線15の第1層15aとなる層である。導電層41の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。導電層41は、貫通孔11zの上部(溝11x側)を除く部分を充填すれば十分である。この場合、導電層41の上面(溝11x側の面)と、貫通孔11zの内側面を被覆する絶縁膜12とにより凹部15xが形成される。
【0061】
なお、前述のように、導電層41は、貫通孔11zの上部(溝11x側)も含めて、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11zを完全に充填するよう(導電層41の上面(溝11x側の面)と基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の上面とが略面一となるよう)に形成しても良いが、導電層41を基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の上面から突出するように形成することは好ましくない。凹部15xの深さは、例えば0〜10μm程度とすることができる。
【0062】
貫通孔11zの内側面は絶縁膜12に被覆されているため、金属層32側からのみ(一方向からのみ)めっき膜が成長して導電層41が形成される。これにより、導電層41に、従来の配線基板100のように二方向からめっき膜が成長することに起因してシームやボイド等の欠陥が発生することを防止できる。その結果、貫通配線15の第1層15a(導電層41の最終形態)がシームやボイド等の欠陥の発生に起因して熱応力により断線したり、第1配線層17や第3配線層22との接続信頼性が低下したりする問題を回避できる。
【0063】
次に、
図8に示す工程では、基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12、溝11xの内底面及び内側面を被覆する絶縁膜12、並びに凹部15xの表面を被覆する導電層42を形成する。そして、導電層42を形成後、
図7に示す接着層31及び金属層32を除去し、更に、基板本体11の他方の面11b側から突出する導電層41(
図7参照)を研磨し、貫通配線15の第1層15aを形成する。
【0064】
導電層42は、例えばスパッタ法等により形成できる。導電層42は、不要部分が除去されて、最終的にはGNDプレーン層13の第1層13a及び貫通配線15の第2層15bとなる層である。導電層42としては、例えばチタン(Ti)膜と銅(Cu)膜が絶縁膜12上又は導電層41(
図7参照)上に、この順番で順次積層した導電層等を用いることができる。導電層42の厚さは、例えば1μm程度とすることができる。なお、導電層42は、本発明に係る第2給電層の代表的な一例である。
【0065】
銅(Cu)板である金属層32は、例えば塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。接着層31は、アッシング法等により除去できる。導電層41は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等により研磨できる。貫通配線15の第1層15aの下面(溝11x側の面と反対の面)は、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の下面と略面一となる。なお、第1層15aは、本発明に係る第1給電層の代表的な一例である。
【0066】
次に、
図9に示す工程では、基板本体11の他方の面11b側に開口する溝11yを形成し、更に溝11yの内底面及び内側面に絶縁膜12を形成する。溝11yは、電源プレーン層14が形成される部分となる。溝11yは、溝11xと同様な方法により形成できる。絶縁膜12の材料や厚さ、形成方法等は、前述の通りである。
【0067】
次に、
図10に示す工程では、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12、溝11yの内底面及び内側面を被覆する絶縁膜12、並びに第1層15aの基板本体11の他方の面11b側の端面を被覆する導電層43を形成する。導電層43は、例えばスパッタ法等により形成できる。なお、導電層43は、不要部分が除去されて、最終的には電源プレーン層14の第1層14aとなる層である。導電層43としては、例えばチタン(Ti)膜と銅(Cu)膜が絶縁膜12上及び第1層15aの基板本体11の他方の面11b側の端面に、この順番で順次積層した導電層等を用いることができる。導電層43の厚さは、例えば1μm程度とすることができる。なお、導電層43は、本発明に係る第3給電層の代表的な一例である。
【0068】
次いで、
図11に示す工程では、第1層15a、導電層42、及び導電層43を給電層とする電解めっき法により、溝11x内及び凹部15x内に導電層42側からめっき膜を析出成長させることで導電層44を形成し、溝11y内に導電層43側からめっき膜を析出成長させることで導電層45を形成する。導電層44と導電層45とは、同時に形成することができる。なお、導電層44は、不要部分が除去されて、最終的にはGNDプレーン層13の第2層13b及び貫通配線15の第3層15cとなる層である。又、導電層45は、不要部分が除去されて、最終的には電源プレーン層14の第2層14bとなる層である。
【0069】
導電層44及び45の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。導電層44及び45は、それぞれ基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の上面及び基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の上面から突出するように形成する。導電層44及び45の絶縁膜12の上面からの突出量は、それぞれ例えば30〜40μm程度とすることができる。
【0070】
次いで、
図12に示す工程では、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等により、基板本体11の一方の面11a側から突出する導電層44(
図11参照)を研磨し、GNDプレーン層13の第2層13b及び貫通配線15の第3層15cを形成する。GNDプレーン層13の第2層13b及び貫通配線15の第3層15cの上面は、基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の上面と略面一となる。又、基板本体11の他方の面11b側から突出する導電層45(
図11参照)を研磨し、電源プレーン層14の第2層14bを形成する。電源プレーン層14の第2層14bの上面は、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の上面と略面一となる。
【0071】
次に、
図12に示す工程の後(図示せず)、基板本体11の一方の面11aに、第1絶縁層16、第1配線層17、第2絶縁層18、第2配線層19、及び第3絶縁層20を順次積層形成する。又、基板本体11の他方の面11bに、第4絶縁層21、第3配線層22、第5絶縁層23、第4配線層24、及び第6絶縁層25を順次積層形成する。
【0072】
具体的には、まず、基板本体11の一方の面11aに例えば液状の感光性ポリイミド系樹脂を例えばスピンコート法等により塗布する。そして、液状の感光性ポリイミド系樹脂を硬化させ、第1絶縁層16を形成する。次に、第1絶縁層16を貫通し貫通配線15の一方の端面を露出する第1ビアホール16xを、例えばフォトリソグラフィ法等により形成する。
【0073】
このように、第1絶縁層16の材料として感光性の絶縁性樹脂を用いることにより、第1絶縁層16にフォトリソグラフィ法により第1ビアホール16xを形成できるため、第1ビアホール16xを狭ピッチで形成できる(他の絶縁層についても同様)。なお、第1ビアホール16xの狭ピッチ化が不要な場合には、第1絶縁層16の材料として非感光性のエポキシ系樹脂等を用い、レーザ加工法等で第1ビアホール16xを形成しても構わない。
【0074】
次に、第1絶縁層16上に第1配線層17を形成する。第1配線層17は、第1ビアホール16x内に充填されたビア配線、及び第1絶縁層16上に形成された配線パターンを含んで構成される。第1配線層17は、第1ビアホール16x内に露出した貫通配線15と電気的に接続される。第1配線層17の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第1配線層17は、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等の各種の配線形成方法を用いて形成できる。
【0075】
以降、同様にして、第2絶縁層18、第2配線層19、及び第3絶縁層20を順次積層形成する。又、同様にして、基板本体11の他方の面11bに、第4絶縁層21、第3配線層22、第5絶縁層23、第4配線層24、及び第6絶縁層25を順次積層形成する。最後に、第3絶縁層20に開口部20xを形成し、第6絶縁層25に開口部25xを形成することにより、配線基板10が完成する。
【0076】
このように、本実施の形態では、GNDプレーン層13及び電源プレーン層14を基板本体11上に設けるのではなく、基板本体11内に設けることにより、GNDプレーン層13及び電源プレーン層14の厚さにかかわらず、その上に形成される第1絶縁層16や第4絶縁層21の平坦性を向上できる。これにより、第1絶縁層16上や第4絶縁層21上に、容易に他の配線層や絶縁層を積層可能となる。又、GNDプレーン層13及び電源プレーン層14の厚さや面積を十分に確保(べた状に形成)することができるため、GNDや電源の電位を従来以上に安定化できる。
【0077】
又、べた状のGNDプレーン層13及び電源プレーン層14を基板本体11上(例えばSiO
2膜上)や第1絶縁層16上に設けると、GNDプレーン層13及び電源プレーン層14を構成する導電層(例えば銅)との熱膨張の違いにより、膜剥がれやクラックが生じる虞がある(接触面積が大きいほどクラックが入る虞が高い)。しかし、配線基板10では、GNDプレーン層13及び電源プレーン層14を基板本体11内(溝11x、11y内)に設けることにより、GNDプレーン層13及び電源プレーン層14の熱膨張を溝11xや11yの側壁にて抑制できるため、膜剥がれやクラックが生じる虞を低減できる。
【0078】
又、べた状のGNDプレーン層13及び電源プレーン層14を基板本体11上(例えばSiO
2膜上)や第1絶縁層16上に設ける場合は、基板本体11上(例えばSiO
2膜上)や第1絶縁層16上に形成されている他の配線パターンを避けるように設ける必要があった。又、その際、GNDプレーン層13及び電源プレーン層14が形成される層においては、他の配線パターンの引き回しが制限されていた。しかし、配線基板10では、GNDプレーン層13及び電源プレーン層14を基板本体11内(溝11x、11y内)に設けているため、他の配線パターンの引き回しを自由に行うことができる。
【0079】
又、例えば銅を用いためっき法により各配線層を形成する場合、銅占有率が高いほど各配線層のめっき厚がばらつくが、配線基板10では、銅占有率の高いGNDプレーン層13及び電源プレーン層14を基板本体11内に設けることにより、基板本体11上の各配線層の銅占有率を下げている。これにより、各配線層のめっき厚のばらつきを低減できる。
【0080】
又、GNDプレーン層13及び電源プレーン層14を基板本体11内に設けることにより、配線基板10の薄型化が可能となる。
【0081】
又、GNDプレーン層13及び貫通配線15の平坦化を同一工程(
図12に示す工程)で実施できるため、配線基板10の製造工程を簡略化できる。
【0082】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。