(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの気体噴射ノズルの気体噴射方向は、前記研磨パッドの表面に対して垂直ではなく、前記研磨パッドの回転方向側に傾いていることを特徴とする請求項1記載の研磨装置。
前記少なくとも1つの気体噴射ノズルの直下の点を通り、研磨パッドの回転中心を中心とする同心円を描き、同心円上の前記直下の点における接線方向を研磨パッドの回転接線方向と定義すると、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルの気体噴射方向は、前記回転接線方向に対して前記研磨パッドの回転中心側に傾いていることを特徴とする請求項1記載の研磨装置。
前記パッド温度調整機構および前記アトマイザは、前記研磨パッドの上方を研磨パッドの外周部から中心部まで略半径方向に延びる梁状部材に設けられていることを特徴とする請求項1記載の研磨装置。
前記気体噴射ノズル用カバーは、前記梁状部材から離間するほど前記研磨パッドの表面に近づくように前記研磨パッドの表面に対して傾斜していることを特徴とする請求項8記載の研磨装置。
前記少なくとも1つの気体方向調整板の直下の点を通り、研磨パッドの回転中心を中心とする同心円を描き、同心円上の前記直下の点における接線方向を研磨パッドの回転接線方向と定義すると、前記少なくとも1つの気体方向調整板は、前記回転接線方向に対して前記研磨パッドの回転中心側に傾いていることを特徴とする請求項10記載の研磨装置。
前記気体噴射ノズルおよび前記気体方向調整板を前記研磨テーブルの回転方向においてドレッサの下流側に配置し、研磨中にドレッシングを行っている前記ドレッサの下流側で前記研磨パッド上の研磨液の流れを制御することを特徴とする請求項17記載の研磨方法。
前記気体方向調整板により前記気体噴射ノズルから噴射された気体の方向を調整することにより、前記研磨パッドの外周側に向かって流れる研磨液を研磨パッドの中心側に向かって流れるように制御することを特徴とする請求項17記載の研磨方法。
前記気体方向調整板により前記気体噴射ノズルから噴射された気体の方向を調整することにより、研磨テーブルの回転方向において基板を保持するトップリングの下流側にあり、研磨に使用済みの古い研磨液を研磨パッドの外周側に向かって流れるように制御することを特徴とする請求項17記載の研磨方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したCMPプロセスでは、ディッシングやエロージョン等の段差特性は、研磨パッドの温度への依存性が高いことが知られている。
また、研磨レートについても、研磨パッドの温度への依存性が確認されており、CMPプロセスによって最適な研磨レートをもたらす温度領域があり、研磨中に最適な研磨レートを長く得るためには最適な研磨パッドの温度を維持する必要がある。
そこで、本発明者らは、先に、特願2011−158080号(2011年7月19日出願)において、基板の研磨中に、気体噴射ノズルから研磨パッドに向けて気体を噴射することにより、研磨パッドの表面(研磨面)を冷却するようにした研磨装置を提案した。
【0007】
研磨装置は、上述したように、研磨液供給ノズルから研磨パッド上に研磨液(スラリー)を供給しつつ研磨テーブルを回転させることにより、基板を研磨するものであるため、研磨パッド上に供給されたスラリーのミストが周囲に飛散するという問題がある。また、基板の研磨後には研磨液供給ノズルから研磨パッド上に純水を供給しつつ研磨テーブルを回転させることにより、水ポリッシングを行ったり、洗浄を行ったりするため、研磨パッド上に供給された純水などのミストが周囲に飛散するという問題がある。このように研磨装置内は、スラリー、純水などのミストや水滴が飛散する環境にあり、飛散したスラリーなどのミストは研磨装置内の部品表面に付着し、乾燥すると粉となって研磨中に研磨パッドの表面に落下し、基板表面のスクラッチの発生原因となる。
【0008】
特願2011−158080号において提案された気体噴射ノズルは、研磨パッドの上方に配置されたマニホールドに取り付けられているため、ノズルやノズル取付用の部品等の多数の部品が研磨パッドに対向して配置されている。そのため、これら多数の部品にスラリーが付着し、結果として、粉の発生、基板表面のスクラッチの発生へとつながる頻度が増えるという可能性がある。
【0009】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、半導体ウエハ等の基板の研磨中にノズルにより研磨パッドに気体を吹き付けて研磨パッドの表面(研磨面)の温度を制御することによりディッシングやエロージョン等を防止して段差特性の向上を図ることができるとともに研磨パッド上の研磨液(スラリー)が飛散してノズルやノズル取付部品等に付着する量を減らすことができる研磨装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の研磨装置は、研磨テーブル上の研磨パッドに研磨対象の基板を押圧して基板の被研磨面を研磨する研磨装置において、
研磨液を研磨パッドに供給して基板の研磨中に、研磨パッドに向けて気体を噴射する少なくとも1つの気体噴射ノズルを有し、研磨パッドに気体を吹き付けて研磨パッドの温度を調整するパッド温度調整機構と、研磨パッドに向けて液体又は気体と液体の混合流体を噴射する少なくとも1つのノズルを有し、研磨パッドに液体又は混合流体を吹き付けて研磨パッド上の異物を除去するアトマイザとを備え、前記パッド温度調整機構と前記アトマイザとは一体のユニットとして形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の研磨装置によれば、半導体ウエハ等の基板の研磨中に、少なくとも1つの気体噴射ノズルから研磨パッドに向けて気体を噴射することにより、研磨パッドの表面(研磨面)を冷却することができる。したがって、CMPプロセスに応じて研磨パッドの表面を最適な温度に制御することができ、研磨レートの向上を図ることができるとともにディッシングやエロージョンを防止して段差特性の向上を図ることができる。
また、本発明によれば、研磨パッドに気体を吹き付けて研磨パッドの温度を調整するパッド温度調整機構と研磨パッドに液体又は混合流体を吹き付けて研磨パッド上の異物を除去するアトマイザとを一体のユニットとして構成することにより、部品点数の削減を図ることができ、かつユニットの表面積を飛躍的に減らすことができ、汚れの付着を減らすことができる。なお、パッド温度調整機構とアトマイザは、個別に使用することもできるし、同時に使用することもできる。
【0012】
本発明の好ましい態様によれば、前記パッド温度調整機構は、前記気体噴射ノズルに気体を供給する流体供給路を備えることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記アトマイザは、前記ノズルに液体又は混合流体を供給する流体供給路を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の好ましい態様によれば、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルの気体噴射方向は、前記研磨パッドの表面に対して垂直ではなく、前記研磨パッドの回転方向側に傾いていることを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも1つの気体噴射ノズルの気体噴射方向を研磨パッドの回転方向側に傾けることにより、研磨パッドを高い冷却能力で冷却することができる。この理由は、傾けることにより被吹き付け面積を垂直の場合に比べて大きく確保できるためである。また、垂直に吹き付ける場合には跳ね返りによるスラリー飛散も懸念されるが、傾けることでスラリー飛散を抑えることができる。さらに、気体噴射方向を研磨パッドの回転方向側に傾けることにより、気体噴射によるスラリーの流れへの影響を低減することができる。
本発明によれば、気体噴射ノズルの気体噴射方向と研磨パッドの表面とのなす角を、例えば、30°〜50°に設定することにより、研磨パッドを高い冷却能力で冷却することができる。この理由は、被吹き付け面積が確保でき、かつ風量も効果的に作用させることができる角度範囲だからである。30°よりも小さいと、被吹き付け面積は大きくなるが、風量が低下して冷却効果が低減する。
【0014】
本発明の好ましい態様によれば、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルの直下の点を通り、研磨パッドの回転中心を中心とする同心円を描き、同心円上の前記直下の点における接線方向を研磨パッドの回転接線方向と定義すると、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルの気体噴射方向は、前記回転接線方向に対して前記研磨パッドの回転中心側に傾いていることを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも1つの気体噴射ノズルの気体噴射方向を前記回転接線方向に対して研磨パッドの回転中心側に傾けることにより、研磨パッドを高い冷却能力で冷却することができる。この理由は、研磨パッド上の基板研磨領域はドーナツ状(円環状)であり、このドーナツ状領域に沿って気体を噴射できるように、回転接線方向よりも研磨パッドの回転中心側にノズルを傾けることで、基板研磨領域を効率良く冷却するためである。
本発明によれば、気体噴射ノズルの気体噴射方向の前記回転接線方向に対する角度を、例えば、15°〜35°に設定することにより、研磨パッドを高い冷却能力で冷却することができる。この理由は、基板研磨領域において被吹き付け面積の確保が可能となることと、35°以上だとスラリー滴下位置に乱れを生じさせるためである。
【0015】
本発明の好ましい態様によれば、前記アトマイザのノズルにおける液体又は混合流体の噴射方向は前記研磨パッドの表面に対して略垂直であることを特徴とする。
本発明によれば、前記アトマイザのノズルにおける液体又は混合流体の噴射方向を前記研磨パッドの表面に対して略垂直とすることにより、液体又は混合流体が研磨パッドの表面に当たるときの衝撃力を高めることができ、高い洗浄力を発揮することができる。
【0016】
本発明の好ましい態様によれば、前記パッド温度調整機構および前記アトマイザは、前記研磨パッドの上方を研磨パッドの外周部から中心部まで略半径方向に延びる梁状部材に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、梁状部材にパッド温度調整機構とアトマイザの両者が設けられているため、ユニット全体として表面積を減らすことができ、汚れの付着量を減らすことができる。細長状の部材である梁状部材内を左右に2分し、一方にパッド温度調整機構用の流体供給路と気体噴射ノズルとを設け、他方にアトマイザ用の流体供給路とノズルとを設けることにより、温度調整機構とアトマイザとを一体のユニットとして構成することができ、きわめて簡素な構造となり、ユニット全体の表面積を減らすことができる。
前記梁状部材は、研磨テーブルの外周側で固定用アームに支持され、固定用アームは研磨テーブルの外側まで延びて装置フレーム等に固定される。したがって、梁状部材を片持ち梁のように構成して研磨パッド上を研磨パッドの外周部から中心部まで延ばすことができる。
【0017】
本発明の好ましい態様によれば、前記梁状部材には、前記気体噴射ノズルの気体噴射方向側に、気体噴射ノズル
用カバーを設けたことを特徴とする。
本発明によれば、気体噴射ノズルの上方を覆うように気体噴射ノズル
用カバーを設けたため、気体噴射ノズルから噴射された気体を拡散させずに研磨パッドに向かって流すことができ、効率よく研磨パッドを冷却することができる。
【0018】
本発明の好ましい態様によれば、前記気体噴射ノズル用カバーは、前記梁状部材から離間するほど前記研磨パッドの表面に近づくように前記研磨パッドの表面に対して傾斜していることを特徴とする。
本発明によれば、気体噴射ノズル用カバーを気体噴射ノズルの気体噴射方向に合わせて研磨パッドに次第に近づくように下方に傾斜して設けることにより、気体噴射ノズルから噴射された気体を拡散させずに研磨パッドに向かって流すことができ、効率よく研磨パッドを冷却することができる。
【0019】
本発
明によれば、
研磨テーブル上の研磨パッドに研磨対象の基板を押圧して基板の被研磨面を研磨する研磨装置において、研磨パッドに向けて気体を噴射する少なくとも1つの気体噴射ノズルを有し、研磨パッドに気体を吹き付けて研磨パッドの温度を調整するパッド温度調整機構と、研磨パッドに向けて液体又は気体と液体の混合流体を噴射する少なくとも1つのノズルを有し、研磨パッドに液体又は混合流体を吹き付けて研磨パッド上の異物を除去するアトマイザとを備え、前記パッド温度調整機構と前記アトマイザとは一体のユニットとして形成され、前記パッド温度調整機構および前記アトマイザは、前記研磨パッドの上方を研磨パッドの外周部から中心部まで略半径方向に延びる梁状部材に設けられ、前記梁状部材には、前記気体噴射ノズルの気体噴射方向側に、気体噴射ノズル用カバーを設け、前記気体噴射ノズル用カバーの内側に、前記気体噴射ノズルから噴射された気体の流れの方向を制御する少なくとも1つの気体方向調整板を設け、該気体方向調整板は前記気体噴射ノズル用カバーから前記研磨パッドに向かって延びる板状体からなることを特徴とする。
本発明によれば、気体方向調整板により気体噴射ノズルから噴射された気体の流れの方向を制御することができるため、気体を研磨パッドに沿って流すことができ、効率よく研磨パッドを冷却することができる。
【0020】
本発明の好ましい態様によれば、前記少なくとも1つの気体方向調整板の直下の点を通り、研磨パッドの回転中心を中心とする同心円を描き、同心円上の前記直下の点における接線方向を研磨パッドの回転接線方向と定義すると、前記少なくとも1つの気体方向調整板は、前記回転接線方向に対して前記研磨パッドの回転中心側に傾いていることを特徴とする。
本発明によれば、気体方向調整板により、気体噴射ノズルから噴射された気体を研磨テーブルの中心側に向かって流すことができる。
本発明によれば、平板状の気体方向調整板の前記回転接線方向に対する角度を、例えば、15°〜45°に設定することにより、研磨パッドを高い冷却能力で冷却することができる。この理由は、被吹き付け面積が確保でき効率よく冷却することができるためである。45°よりも大きいと、気体方向調整板に衝突する気体の量が増え、減圧・減速され冷却能力が低減するとともに、気体方向調整板に衝突し反射した気体が研磨パッド上のスラリー膜厚やスラリー滴下位置に乱れを生じさせるためである。
【0021】
本発明の好ましい態様によれば、前記気体噴射ノズル用カバーの向きを調整する機構及び/又は前記気体方向調整板の向きを調整する機構を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、研磨パッドの表面(研磨面)と気体噴射ノズルの気体噴射方向とのなす角である気体進入角度に応じて、気体噴射ノズル用カバーの傾きを最適な傾きに調整することができる。
本発明によれば、前記気体方向調整板の向きを調整する機構によって、複数の気体方向調整板の向きを連動させて調整することができるし、また複数の気体方向調整板の向きを個別に調整することもできる。
【0022】
本発明の好ましい態様によれば、前記梁状部材には、前記気体噴射ノズル
用カバーを設けた側と反対側に、アトマイザ用飛散防止カバーを設けたことを特徴とする。
本発明によれば、アトマイザにより研磨パッドを洗浄する際に、アトマイザから噴射される流体や研磨パッド上の異物が周囲に飛散することを防止できる。
【0023】
本発明の好ましい態様によれば、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルから噴射される気体の流量を制御する制御弁と、前記研磨パッドの温度を検出する温度計と、前記研磨パッドの制御目標温度である設定温度と前記温度計により検出された研磨パッドの検出温度とを比較して前記制御弁の弁開度を調整することにより、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルから噴射される気体の流量を制御するコントローラとを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも1つの気体噴射ノズルから噴射される気体の流量を制御弁によって制御するとともに研磨パッドの温度を温度計により検出し、研磨パッドの制御目標温度である設定温度と前記温度計により検出された研磨パッドの検出温度とを比較して前記制御弁の弁開度を調整することにより、少なくとも1つの気体噴射ノズルから噴射される気体の流量を制御することができる。したがって、CMPプロセスに応じて研磨パッドの表面を最適な温度に制御することができる。
【0024】
本発明の研磨方法は、研磨テーブル上の研磨パッドに研磨液を供給しながら研磨対象の基板を研磨パッドに押圧して基板の被研磨面を研磨する研磨方法において、少なくとも1つの気体噴射ノズルから研磨パッドに向けて気体を噴射し、前記気体噴射ノズルの近傍に設けた気体方向調整板により、前記気体噴射ノズルから噴射された気体の方向を調整して気体を研磨パッドに吹きつけることを特徴とするものである。
本発明によれば、気体方向調整板により、気体噴射ノズルから噴射された気体を研磨パッドに沿って流すことができ、効率よく研磨パッドを冷却することができる。そして、気体方向調整板により気体の流れ方向を制御することにより、研磨パッド上の研磨液の流れを制御することができる。
研磨液の状況(量、濃度、生成物など)によって研磨レートや被研磨面の平坦性が変わることがあるので、気体噴射ノズルから噴射された気体の流れを気体方向調整板により制御することにより研磨パッド上の研磨液の流れもコントロールされ、研磨性能をコントロールすることができる。
【0025】
本発明の好ましい態様によれば、前記気体方向調整板により前記気体噴射ノズルから噴射された気体の方向を調整することにより、前記研磨パッド上の研磨液の流れを制御することを特徴とする。
本発明によれば、気体方向調整板により気体噴射ノズルから噴射された気体の方向を調整することにより、研磨中に研磨パッド上の研磨液の乱れを緩和して研磨液の膜厚をほぼ均一にすることができる。したがって、基板の全面を均一に研磨することができる。また、気体方向調整板により気体噴射ノズルから噴射された気体の方向を調整することにより、研磨液を基板のエッジあるいは中央付近に多め(あるいは少なめ)に流すこともでき、研磨レートおよび面内均一性を制御することができる。
【0026】
本発明の好ましい態様によれば、前記気体噴射ノズルおよび前記気体方向調整板を前記研磨テーブルの回転方向においてドレッサの下流側に配置し、研磨中にドレッシングを行っている前記ドレッサの下流側で前記研磨パッド上の研磨液の流れを制御することを特徴とする。
本発明によれば、研磨中にドレッサによるドレッシング工程が入ると、研磨液の流れが邪魔され、研磨液の膜厚が乱れた状態となりがちであるが、気体方向調整板により気体噴射ノズルから噴射された気体の方向を調整することにより、ドレッサの下流側で研磨液の流れを制御し、これにより研磨液の膜厚を制御することができる。したがって、ドレッシング工程で乱れた研磨液の膜厚をなだらかにすることができ、すなわち研磨液の膜厚をほぼ均一にすることができ、基板の全面を均一に研磨できる。
【0027】
本発明の好ましい態様によれば、前記気体方向調整板により前記気体噴射ノズルから噴射された気体の方向を調整することにより、前記研磨パッドの外周側に向かって流れる研磨液を研磨パッドの中心側に向かって流れるように制御することを特徴とする。
本発明によれば、研磨液供給ノズルから研磨パッドに供給された新しいスラリーが研磨に使用されずに研磨パッドから流れ落ちることがないように研磨パッド上に留めることができる。したがって、研磨性能の向上を図ることができるとともに研磨液の消費量を低減することができる。
【0028】
本発明の好ましい態様によれば、前記気体方向調整板により前記気体噴射ノズルから噴射された気体の方向を調整することにより、研磨テーブルの回転方向において基板を保持するトップリングの下流側にあり、研磨に使用済みの古い研磨液を研磨パッドの外周側に向かって流れるように制御することを特徴とする。
本発明によれば、研磨テーブルの回転方向において基板を保持するトップリングの下流側にあり、研磨に使用済みの古い研磨液を速やかに排出することができる。したがって、古い研磨液が研磨面上に残って研磨レートや面内均一性に悪影響を与えることを防止できる。
【0029】
本発明の好ましい態様によれば、前記研磨パッドに研磨液を供給する研磨液供給ノズルを揺動可能とし、研磨中に研磨液の供給位置を変更することを特徴とする。
本発明によれば、研磨中に研磨液の供給位置を変更することにより、研磨に最も有効な研磨パッド上の位置に必要な量の研磨液を供給することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
(1)研磨中に研磨パッドの表面を冷却することにより、2つの効果が期待される。
A.研磨レートが向上し、生産性が高くなると共に基板1枚当たりの研磨液(スラリー)などの消耗品コストを低減できる。
B.ディッシングやエロージョンを防止して段差特性の向上を図ることができる。
(2)研磨パッドに気体を吹き付ける位置を最適化することにより、より一層の研磨パッドの冷却効果が見込め、一層のディッシングとエロージョンの低減が見込める。
(3)研磨パッドに気体を吹き付けて研磨パッドの温度を調整するパッド温度調整機構と研磨パッドに液体又は混合流体を吹き付けて研磨パッド上の異物を除去するアトマイザとを一体のユニットとして構成することにより、3つの効果が期待される。
A.部品点数の削減を図ることができ、かつユニットの表面積を減らすことができ、汚れの付着を減らすことができる。
B.ユニットの組み付けが簡単になり、組み付けの再現性が向上する。ノズルの位置が変わってしまうと、プロセスに影響が出る可能性があるため、組み付けの再現性向上は重要である。
C.ユニットの取付けスペースが小さくなり、研磨テーブル上方の空間を有効利用することが可能になる。
(4)パッド温度調整機構に気体噴射ノズルに加えて気体の流れ方向を制御する気体方向調整板を設けたため、3つの効果が期待される。
A.研磨中に研磨パッド上の研磨液の乱れを緩和して研磨液の膜厚をほぼ均一にすることができる。
B.研磨液を基板のエッジあるいは中央付近に多め(あるいは少なめ)に流すこともでき、研磨レートおよび面内均一性を制御することができる。
C.研磨に使用済みの古いスラリーを速やかに研磨パッドから排出し、新しいスラリーが研磨パッドから流れ落ちないようにして研磨パッド上に留めることができるため、研磨性能の向上を図ることができるとともに研磨液の消費量を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る研磨装置および方法の実施形態について
図1乃至
図20を参照して詳細に説明する。なお、
図1から
図20において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0033】
図1は、本発明に係る研磨装置の全体構成を示す模式的斜視図である。
図1に示すように、研磨装置は、研磨テーブル1と、研磨対象物である半導体ウエハ等の基板Wを保持して研磨テーブル上の研磨パッドに押圧するトップリング10とを備えている。研磨テーブル1は、テーブル軸を介してその下方に配置される研磨テーブル回転モータ(図示せず)に連結されており、テーブル軸の回りに回転可能になっている。研磨テーブル1の上面には研磨パッド2が貼付されており、研磨パッド2の表面が基板Wを研磨する研磨面2aを構成している。研磨パッド2には、ロデール社製のSUBA800、IC−1000、IC−1000/SUBA400(二層クロス)等が用いられている。SUBA800は繊維をウレタン樹脂で固めた不織布である。IC−1000は硬質の発泡ポリウレタンであり、その表面に多数の微細な孔を有したパッドであり、パーフォレートパッドとも呼ばれている。研磨テーブル1の上方には研磨液供給ノズル3が設置されており、この研磨液供給ノズル3によって研磨テーブル1上の研磨パッド2に研磨液(スラリー)が供給されるようになっている。研磨液供給ノズル3の後端はシャフト4により支持されており、研磨液供給ノズル3はシャフト4を中心として揺動可能になっている。
【0034】
トップリング10は、シャフト11に接続されており、シャフト11は、支持アーム12に対して上下動するようになっている。シャフト11の上下動により、支持アーム12に対してトップリング10の全体を上下動させ位置決めするようになっている。シャフト11は、研磨ヘッド回転モータ(図示せず)の駆動により回転するようになっている。シャフト11の回転により、トップリング10がシャフト11の回りに回転するようになっている。
【0035】
トップリング10は、その下面に半導体ウエハなどの基板Wを保持できるようになっている。支持アーム12はシャフト13を中心として旋回可能に構成されており、下面に基板Wを保持したトップリング10は、支持アーム12の旋回により基板の受取位置から研磨テーブル1の上方に移動可能になっている。トップリング10は、下面に基板Wを保持して基板Wを研磨パッド2の表面(研磨面)2aに押圧する。このとき、研磨テーブル1およびトップリング10をそれぞれ回転させ、研磨テーブル1の上方に設けられた研磨液供給ノズル3から研磨パッド2上に研磨液(スラリー)を供給する。研磨液には砥粒としてシリカ(SiO
2)やセリア(CeO
2)を含んだ研磨液が用いられる。このように、研磨液を研磨パッド2上に供給しつつ、基板Wを研磨パッド2に押圧して基板Wと研磨パッド2とを相対移動させて基板上の絶縁膜や金属膜等を研磨する。
【0036】
図1に示すように、研磨装置は、研磨パッド2をドレッシングするドレッシング装置15を備えている。ドレッシング装置15は、ドレッサアーム16と、ドレッサアーム16の先端に回転自在に取り付けられたドレッサ17と、ドレッサアーム16の他端に連結されるドレッサヘッド18とを備えている。ドレッサ17の下部はドレッシング部材17aにより構成され、ドレッシング部材17aは円形のドレッシング面を有しており、ドレッシング面には硬質な粒子が電着等により固定されている。この硬質な粒子としては、ダイヤモンド粒子やセラミック粒子などが挙げられる。ドレッサアーム16内には、図示しないモータが内蔵されており、このモータによってドレッサ17が回転するようになっている。ドレッサヘッド18はシャフト19により支持されている。
【0037】
研磨パッド2の研磨面2aをドレッシングするときは、研磨パッド2を回転させるとともに、モータによりドレッサ17を回転させ、次いで昇降機構によりドレッサ17を下降させ、ドレッサ17の下面のドレッシング部材17aを回転する研磨パッド2の研磨面に摺接させる。その状態で、ドレッサアーム16を揺動(スイング)させることにより、その先端に位置するドレッサ17は、研磨パッド2の研磨面の外周端から中心部まで横切るように移動することができる。この揺動動作により、ドレッシング部材17aは研磨パッド2の研磨面をその中心を含む全体に亘ってドレッシングすることができる。
【0038】
図1に示すように、研磨装置は、研磨パッド2に気体を吹き付けて研磨パッド2の表面(研磨面)2aの温度調整を行うパッド温度調整機構と、純水等の液体を研磨パッド2上に吹き付けて研磨パッド2上の異物を除去するアトマイザとを併設したパッド調整装置20を備えている。パッド調整装置20は、研磨パッド2の上方に配置され、研磨パッド2の表面(研磨面)2aと平行に研磨パッド2の略半径方向に延びるように配置されている。
【0039】
図2は、研磨テーブル1上の研磨パッド2、研磨液供給ノズル3、トップリング10、ドレッサ17およびパッド調整装置20の配置関係を示す平面図である。
図2に示すように、トップリング10とドレッシング装置15とパッド調整装置20とは、研磨パッド2上の空間を研磨テーブル1の回転中心C
Tを中心として円周方向に3分割するように配置されている。トップリング10とパッド調整装置20とは、研磨テーブル1の回転中心C
Tを挟んで互いに反対側に配置されている。また、研磨液供給ノズル3はトップリング10とパッド調整装置20とに隣接して配置されており、スラリー滴下位置は研磨テーブル1の回転中心C
Tの近傍に設定されている。研磨液供給ノズル3はシャフト4を中心として揺動可能になっており、研磨中に研磨液(スラリー)の滴下位置を変更することができるようになっている。
【0040】
次に、パッド調整装置20の詳細構造について
図3乃至
図5を参照して説明する。
図3は、パッド調整装置20の斜視図である。
図3に示すように、パッド調整装置20は、研磨パッド2の上方において研磨パッド2の外周部から中心部まで研磨パッド2の略半径方向に延びる梁状部材からなる本体部21と、本体部21の一側部に固定された気体噴射ノズル用カバー35と、本体部21の他側部に固定された飛散防止カバー40とを備えている。また、本体部21は、研磨テーブル1の外側まで延びる固定用アーム60によって装置フレームF等に固定されるようになっている。
【0041】
図4は、
図3のIV−IV線断面図である。
図4に示すように、本体部21は概略矩形状の断面を有しており、内部には研磨パッド2に気体を吹き付けて研磨パッド2の表面(研磨面)2aの温度調整を行うパッド温度調整機構22と、純水等の液体を研磨パッド2に吹き付けて研磨パッド2上の異物を除去するアトマイザ30とが併設されている。すなわち、パッド温度調整機構22とアトマイザ30とは1体のユニットとして形成されている。
図4において本体部21の概略中心部に図示された垂直方向の一点鎖線を中心線CLとすると、中心線CLを境に右側にパッド温度調整機構22が配置され、左側にアトマイザ30が配置されている。パッド温度調整機構22は、本体部21内に形成された円形孔からなる流体供給路23を備えており、流体供給路23は圧縮空気源(図示せず)から圧縮空気を供給するようになっている。流体供給路23は本体部21の長手方向に基端部まで延びている。そして、流体供給路23の斜め下方には気体噴射ノズル24が形成されており、気体噴射ノズル24から圧縮空気が噴射されて研磨パッド2の表面(研磨面)2aに吹き付けられるようになっている。気体噴射ノズル24は流体供給路23に連通しているノズル孔から構成されており、このノズル孔は円形の貫通孔もしくは長円形の貫通孔からなっている。気体噴射ノズル24は本体部21の長手方向に沿って所定間隔をおいて複数個形成されている。
【0042】
一方、アトマイザ30は、本体部21内の上下に形成された円形孔からなる流体供給路31,32を備えており、上の流体供給路31は純水源(図示せず)に接続され、下の流体供給路32は上の流体供給路31に連通されている。上下の流体供給路31,32は本体部21の長手方向に基端部まで延びている。そして、下の流体供給路32の下方にはノズル33が配置されている。ノズル33は本体部21の長手方向に沿って所定間隔をおいて複数個配置されている。各ノズル33は小径のノズル孔33hを有しており、ノズル孔33hは研磨パッド2の表面(研磨面)2aと概略直交するように下方に延びている。純水源から上の流体供給路31に供給された純水は、下の流体供給路32を介してノズル33に供給されるようになっている。
【0043】
図4に示すように、ノズル33に純水を供給する流体供給路を上の流体供給路31と下の流体供給路32とに分け、かつ下の流体供給路32の断面積を上の流体供給路31の断面積より小さく設定している。このように、純水を上の流体供給路31から下の流体供給路32を介してノズル33に供給し、小径のノズル孔33hから純水を噴射するように構成することにより、上の流体供給路31から下の流体供給路32を介してノズル孔33hに至るまで流路断面積を徐々に狭くなるようにして流体が徐々に絞られるようにしている。これにより、流路損失をできるだけ少なくし、ノズル33から純水が研磨パッド2に効率的に吹き付けられるようにしている。
なお、上の流体供給路31に液体源から純水等の液体を供給し、下の流体供給路32に気体源から窒素(N
2)ガス等の気体を供給し、液体と気体とを本体部21内に設けた混合空間で混合した後に、気液混合流体をノズル33から噴射するようにしてもよい。
【0044】
図5は、
図3のV−V線断面図である。
図5に示すように、本体部21内には、本体部21の長手方向に延びる流体供給路23が形成されている。流体供給路23は本体部21の基端まで延び、流体供給路23の開口端には圧縮空気供給口25aを備えた継手25が固定されている。気体噴射ノズル24は本体部21の長手方向に沿って所定間隔をおいて複数個形成されている。
なお、
図5では図示していないが、アトマイザ30の上下の流体供給路31,32も本体部21の長手方向に延びている。上の流体供給路31は本体部21の基端まで延び、上の流体供給路31の開口端には純水供給口34aを備えた継手34が固定されている。
また、流体供給路23,31,32を一つの共通の流体供給路とし、一つの流体供給路に気体噴射ノズル24およびノズル33を設ける構造とし、適宜流体供給源(圧縮空気源、純水源等)と、各ノズル孔の開閉を切り替える構造としてもよい。
【0045】
次に、本体部21の一側部に固定された気体噴射ノズル用カバー35および本体部21の他側部に固定された飛散防止カバー40について説明する。
図3に示すように、気体噴射ノズル用カバー35は本体部21の一側部に取り付けられており、気体噴射ノズル用カバー35は本体部21の側方において前端部から後端部まで延びている。気体噴射ノズル用カバー35の下面には複数の三角形状の気体方向調整板36が設けられている(後述する)。
図4に示すように、気体噴射ノズル用カバー35は、気体噴射ノズル24のやや上方において本体部21に固定されており、気体噴射ノズル24の気体噴射方向に沿って斜め下方に延びている。すなわち、気体噴射ノズル用カバー35は、気体噴射ノズル24のやや上方の固定部35aから斜め下方に延び、固定部35aから遠くなるほど研磨パッド2の研磨面2aに近づくようになっている。ただし、気体噴射ノズル用カバー35の先端35eと研磨パッド2の研磨面2aとの間には隙間G1があり、噴射されるエア(圧縮空気)の流路を確保している。
【0046】
また、
図3および
図4に示すように、飛散防止カバー40は、気体噴射ノズル用カバー35の反対側の位置において本体部21に取り付けられている。飛散防止カバー40は、本体部21の先端部から略中央部までの位置において本体部21より下方に延びる前部カバー40aと本体部21の略中央部から後端部までの位置において水平方向に概略三角形状に延びた後に下方に延びる後部カバー40bとから構成されている。ただし、飛散防止カバー40の下端40eと研磨パッド2の研磨面2aとの間には隙間G2があり、噴射される純水の流路を確保している。なお、後部カバー40bは、本体部21の先端部から後端部までの位置において水平方向に延びる形状としてもよい。
【0047】
図6は、気体噴射ノズル用カバー35の下面に設置された気体方向調整板36を示す図である。
図6に示すように、気体噴射ノズル用カバー35の下面には、複数の三角形状の気体方向調整板36が所定の間隔をおいて設けられている。各気体方向調整板36は研磨パッド2に向かって垂直方向に延びる三角形状の板状体からなっている。そして、気体方向調整板36の下端36eと気体噴射ノズル用カバー35の先端35eとは、同一面になっており、気体方向調整板36の下端36eと研磨パッド2の研磨面2aとの間には隙間G1がある。このように、気体噴射ノズル用カバー35の下面に複数の気体方向調整板36を設けることにより、気体噴射ノズル24から噴射されたエア(圧縮空気)を所定の方向に流れるように調整(制御)することができる。
【0048】
図3乃至
図6に示す実施形態においては、梁状部材からなる本体部21内に、流体供給路23と気体噴射ノズル24とからなるパッド温度調整機構22と、流体供給路31と流体供給路32とノズル33とからなるアトマイザ30とを設けることにより、パッド温度調整機構22とアトマイザ30とを一体のユニットとして形成している。しかしながら、流体供給路23をパイプで構成し、気体噴射ノズル24を流体供給路23に固定された別体のノズルで構成することによりパッド温度調整機構22を形成し、また流体供給路31と流体供給路32とをそれぞれパイプで構成してこれらのパイプを短管で連通させ、ノズル33を流体供給路32に固定された別体のノズルで構成することによりアトマイザ30を形成し、これらパッド温度調整機構22とアトマイザ30とをカバー内に収容することによっても、パッド温度調整機構22とアトマイザ30とを一体のユニットとして形成することができる。
【0049】
図7は、パッド調整装置20のパッド温度調整機構22およびアトマイザ30の制御機器を示す斜視図である。
図7に示すように、研磨テーブル1の上面には研磨パッド2が貼付されている。研磨パッド2の上方にはトップリング10が配置されており、トップリング10は基板W(
図1参照)を保持して基板Wを研磨パッド2に押圧するようになっている。パッド温度調整機構22は、圧縮空気供給ライン45によって圧縮空気源に接続されている。圧縮空気供給ライン45には圧力制御弁46が設けられており、圧縮空気源から供給された圧縮空気が圧力制御弁46を通過することで圧力および流量が制御されるようになっている。圧力制御弁46は温度コントローラ47に接続されている。圧縮空気は常温であってもよいし、所定温度に冷却してもよい。
【0050】
図7に示すように、研磨パッド2の上方には、研磨パッド2の表面温度を検出する放射温度計48が設置されている。放射温度計48は温度コントローラ47に接続されている。温度コントローラ47には、研磨装置の全体を制御するCMPコントローラから研磨パッド2の制御目標温度である設定温度が入力されるようになっている。また、温度コントローラ47には設定温度を直接入力することもできる。温度コントローラ47は、温度コントローラ47に入力された研磨パッド2の設定温度と放射温度計48により検出された研磨パッド2の実際の温度との差に応じてPID制御により圧力制御弁46の弁開度を調整し、気体噴射ノズル24から噴射される圧縮空気の流量を制御する。これにより、気体噴射ノズル24から研磨パッド2の研磨面2aに最適な流量の圧縮空気が吹き付けられ、研磨パッド2の研磨面2aの温度は温度コントローラ47で設定された目標温度(設定温度)に維持される。
【0051】
図7に示すように、アトマイザ30は、純水供給ライン49によって純水供給源に接続されている。純水供給ライン49には制御弁50が設けられている。CMPコントローラから制御信号が制御弁50に入力され、ノズル33から噴射される純水の流量を制御する。これにより、研磨パッド2の研磨面2aに最適な流量の純水が吹き付けられ、研磨パッド上の異物(研磨パッド滓、砥液固着物等)が除去される。なお、ノズル33から混合流体を噴射する場合には、アトマイザ30は気体源にも接続される。
【0052】
図8および
図9は、パッド温度調整機構22の気体噴射ノズル24と研磨パッド2との関係を示す図であり、
図8は模式的平面図であり、
図9は模式的側面図である。
図8および
図9においては、アトマイザ30は図示を省略している。
図8に示すように、パッド温度調整機構22は、本体部21の長手方向に所定間隔をおいて配置された複数の気体噴射ノズル24を備えている(図示例では8個のノズルが取り付けられている)。研磨中に、研磨パッド2は回転中心C
Tの回りに時計方向に回転する。
図8において、パッド内側から1,2,3・・・8の昇順でノズルに番号付けを行い、例えば、3番目と6番目の2つの気体噴射ノズル24を例に挙げて説明する。すなわち、3番目と6番目の2つの気体噴射ノズル24の直下の点P1,P2を通り、C
Tを中心とする同心円C1,C2を描き、同心円C1,C2上の点P1,P2における接線方向を研磨パッドの回転接線方向と定義すると、気体噴射ノズル24の気体噴射方向は、研磨パッドの回転接線方向に対してパッド中心側に所定角度(θ1)だけ傾いている。気体噴射方向とは、気体噴射ノズル口から気体が扇状に広がる角度(気体噴射角)の中心線の方向をいう。3番目と6番目のノズル以外の他のノズルも同様に研磨パッドの回転接線方向に対してパッド中心側に所定角度(θ1)だけ傾いている。そして、研磨パッドの回転接線方向に対する気体噴射ノズル24の気体噴射方向の角度(θ1)は、ノズル冷却能力との関係で15°〜35°に設定されている(後述する)。なお、ここではノズルが複数ある場合を説明したが、ノズルは1つでもよい。
【0053】
また、
図9に示すように、気体噴射ノズル24の気体噴射方向は、研磨パッド2の表面(研磨面)2aに対して垂直ではなく、研磨テーブル1の回転方向側に所定角度だけ傾いている。研磨パッド2の表面(研磨面)2aに対する気体噴射ノズル24の気体噴射方向の角度、すなわち、研磨パッド2の表面(研磨面)2aと気体噴射ノズル24の気体噴射方向とのなす角を気体進入角度(θ2)と定義すると、気体進入角度(θ2)は、ノズル冷却能力との関係で30°〜50°に設定されている(後述する)。ここで、気体噴射方向とは、気体噴射ノズル口から気体が扇状に広がる角度(気体噴射角)の中心線の方向をいう。
【0054】
また、
図9に示すように、本体部21は上下動可能に構成されているため、本体部21の高さ(H)が可変になっており、気体噴射ノズル24の研磨パッド表面(研磨面)2aからの高さを調節することが可能になっている。なお、
図8では気体噴射ノズル24の個数が8個の場合を図示したが、ノズルの個数はノズル孔をプラグ等で閉止することにより調整することが可能であり、2〜3個の場合もある。ノズルの個数は研磨パッド2を冷却するための冷却能力に応じて適宜選定される。
【0055】
図10(a)は、気体噴射ノズル24の気体噴射方向を研磨パッドの回転接線方向に対して傾けない場合(θ1=0°)と、パッド中心側に傾けた場合(θ1=15°,θ1=30°)における冷却能力を示すグラフである。
図10(a)において、縦軸は、冷却無しのパッド温度とノズルを用いた冷却有りのパッド温度との差(℃)を表し、この差はノズルの冷却能力を表すものである。
図10(a)に示すように、研磨パッドの回転接線方向に対する気体噴射ノズル24の気体噴射方向の角度(θ1)が大きくなるほど冷却能力が向上する傾向にある。ただし、角度(θ1)を大きく取りすぎるとスラリー滴下状態が乱れるため、角度(θ1)は15°〜35°の範囲とすることが好ましい。
【0056】
図10(b)は、研磨パッド2の表面(研磨面)2aと気体噴射ノズル24の気体噴射方向とのなす角を表す気体進入角度(θ2)がθ2=30°,θ2=50°,θ2=70°における冷却能力を示すグラフである。
図10(b)において、縦軸は、冷却無しのパッド温度とノズルを用いた冷却有りのパッド温度との差(℃)を表し、この差はノズルの冷却能力を表すものである。
図10(b)に示すように、気体進入角度(θ2)が大きくなるほど冷却能力が向上する傾向にある。ただし、角度(θ2)を大きくしすぎるとスラリー滴下状態が乱れるため、角度(θ2)は30°〜50°の範囲とすることが好ましい。
【0057】
次に、パッド温度調整機構22の気体噴射ノズル24から噴射されるエア(圧縮空気)の流れ方向を制御する気体方向調整板36によって研磨パッド2上の研磨液(スラリー)の流れを制御する方法を説明する。
図11は、研磨液供給ノズル3から研磨パッド2上に滴下された研磨液(スラリー)の流れを説明するための図であり、
図11(a)は斜視図、
図11(b)は平面図、
図11(c)は立面図である。
図11(a)に示すように、研磨液(スラリー)は研磨液供給ノズル3の先端から研磨パッド2の中心部に滴下される。この滴下位置はトップリング10の近傍である。
図11(b)に示すように、研磨パッド2上に滴下された研磨液(スラリー)は、研磨テーブル1の回転による遠心力によって研磨パッド2の外周側に向かって均一に広がる。そして、
図11(c)に示すように、ほぼ均一な膜厚で研磨パッド2の研磨面2aの全面に広がり、トップリング10の下方に流れ込む。その結果、研磨液(スラリー)はトップリング10に保持された基板Wの被研磨面の全面に均一に行き亘る。
【0058】
図12は、トップリング10とドレッサ17の両方が稼働している場合における研磨液供給ノズル3から研磨パッド2上に滴下された研磨液(スラリー)の流れを説明するための図であり、
図12(a)は斜視図、
図12(b)は平面図、
図12(c)は立面図である。
図12(a)に示すように、研磨液(スラリー)は研磨液供給ノズル3の先端から研磨パッド2の中心部に滴下される。この滴下位置はトップリング10の近傍である。
図12(b)および12(c)に示すように、研磨パッド2上に滴下された研磨液は、研磨テーブル1の回転による遠心力によって研磨パッド2の外周側に向かって広がろうとするが、研磨中にドレッサ17によるドレッシング工程が入ると、研磨液(スラリー)の流れが邪魔され、スラリー膜厚が乱れた状態でトップリング10の下方へ流入する。その結果、研磨液(スラリー)の量は基板Wの被研磨面の領域によって過不足が生じ、研磨状態が不安定となる。
【0059】
そこで、本発明は、パッド温度調整機構22における気体噴射ノズル24と気体方向調整板36とにより、研磨液(スラリー)の流れを制御するようにしたものである。
図13は、パッド温度調整機構22における気体噴射ノズル24と気体方向調整板36とにより研磨液(スラリー)の流れを制御する方法を説明するための模式図であり、
図13(a)は平面図、
図13(b)は立面図、
図13(c)は側面図である。
図13(a)に示すように研磨パッド2上に滴下された研磨液は、研磨テーブル1の回転による遠心力によって研磨パッド2の外周側に向かって広がろうとするが、研磨中にドレッサ17によるドレッシング工程が入ると、研磨液(スラリー)の流れが邪魔され、スラリー膜厚が乱れた状態となる。そのため、
図13(a)および
図13(b)に示すように、研磨テーブル1の回転方向においてドレッサ17の下流側で気体噴射ノズル24から噴射されるエア(圧縮空気)の流れの方向を気体方向調整板36により制御する。
【0060】
ここで、研磨パッド2の最も内側にある気体方向調整板36を例に挙げて説明する。気体方向調整板36の基端の直下の点P3を通り、研磨パッド2の回転中心C
Tを中心とする同心円C3を描き、同心円C3上の点P3における接線方向を研磨パッドの回転接線方向と定義すると、平板状の気体方向調整板36は、研磨パッドの回転接線方向に対してパッド中心側に所定角度(θ3)だけ傾いている。この角度(θ3)を気体案内角度と定義すると、研磨中にはこの気体案内角度(θ3)は、15°〜45°の範囲に調整することが好ましい。他の気体方向調整板36の気体案内角度(θ3)も同様である。
【0061】
図13(c)はエア(圧縮空気)の流れの方向を気体方向調整板36により制御することによりスラリーの流れに影響を与えることができる状態を示す図であり、
図13(c)の上の図では研磨パッド2上のスラリー膜厚が乱れた状態であったが、気体方向調整板36によりエアの流れを制御することにより、
図13(c)の下の図に示すようにスラリー膜厚がなだらかになり、すなわちほぼ均一になる。このように、本発明によれば、気体方向調整板36の気体案内角度(θ3)を調整することにより、研磨パッド2上の研磨液(スラリー)の乱れを緩和して研磨液の膜厚をほぼ均一にすることができる。
【0062】
図13に示す例においては、複数の気体方向調整板36を同一の方向に向ける場合を図示したが、複数の気体方向調整板36をそれぞれ異なった方向に向けることによりスラリー膜厚に変化を与えることもできる。
図14は、複数の気体方向調整板36をそれぞれ異なった方向に向けるようにした場合を示す図であり、
図14(a)は気体方向調整板36の方向とスラリー膜厚との関係を示す模式図であり、
図14(b)は研磨パッド2上の研磨液(スラリー)とトップリング10により保持された基板Wとの関係を示す模式図である。
【0063】
図14(a)に示すように、複数の気体方向調整板36をそれぞれ異なった方向に向けることにより、気体噴射ノズル24から噴射されたエア(圧縮空気)をそれぞれ異なった方向に流れるように制御することができる。これにより、
図14(a)の上の図では研磨パッド2上のスラリー膜厚が均一であったものが、
図14(a)の下の図に示すように、研磨パッド2上のスラリー膜厚に変化を与えることができる。このように、スラリー膜厚に変化を与えることにより、
図14(b)に示すように、スラリー膜厚が薄い部分を基板Wの中央部に対応させ、スラリー膜厚が厚い部分を基板Wの外周部に対応させることにより、基板の外周部の研磨レートを基板の中央部の研磨レートより高めることができる。また、逆にスラリー膜厚が薄い部分を基板Wの外周部に対応させ、スラリー膜厚が厚い部分を基板Wの中央部に対応させることにより、基板の中央部の研磨レートを基板の外周部の研磨レートより高めることができる。
【0064】
このように、本発明によれば、気体方向調整板36の気体案内角度(θ3)を個別に調整することにより、スラリーを基板エッジあるいは中央付近に多め(あるいは少なめ)に流すことで、研磨レートおよび面内均一性などをコントロールすることができる。
【0065】
図15は、気体方向調整板36の向きを調整するための機構を示す図であり、
図15(a)は複数の気体方向調整板36の気体案内角度(θ3)を独立に制御する機構を示す模式図であり、
図15(b)および
図15(c)は複数の気体方向調整板36の気体案内角度(θ3)を連動して制御する機構を示す模式図である。
図15(a)に示す例においては、三角形状の気体方向調整板36の一辺はシャフト37に固定されており、シャフト37の上端はサーボモータ又はロータリアクチュエータ38に連結されている。この構成により、サーボモータ又はロータリアクチュエータ38を作動させると、気体方向調整板36がシャフト37を中心として揺動し、気体方向調整板36の気体案内角度(θ3)を変えることができる。
図15(a)に示す例においては、複数の気体方向調整板36は、個別にサーボモータ又はロータリアクチュエータ38により制御されるようになっている。なお、サーボモータ又はロータリアクチュエータに代えて、各シャフト37を手動で回転させた後に、ネジ止め固定してもよい。
【0066】
図15(b)に示す例においては、複数の気体方向調整板36は、それぞれシャフト37に固定されており、各シャフト37の上端にはピニオン51が固定されている。そして、複数のピニオン51は単一のラック52に咬合し、ラック52はシリンダ又はリニアモータ又はリニアアクチュエータ53に連結されている。この構成により、シリンダ又はリニアモータ又はリニアアクチュエータ53を作動させると、ラック52が前進又は後進してピニオン51が回転し、気体方向調整板36がシャフト37を中心として揺動し、気体方向調整板36の気体案内角度(θ3)を変えることができる。
図15(b)に示す例においては、複数の気体方向調整板36は、連動してシリンダ又はリニアモータ又はリニアアクチュエータ53により制御されるようになっている。なお、シリンダ又はサーボモータ又はロータリアクチュエータに代えて、ラック52を手動で操作した後に、ネジ止め固定してもよい。
【0067】
図15(c)に示す例においては、気体方向調整板36の図示は省略されており、複数のシャフト37を駆動する機構のみが図示されている。
図15(c)に示すように、複数のシャフト37は、それぞれアーム61の一端部に連結されている。複数のアーム61の他端部は連結ピン62を介してリンク63に連結されている。各シャフト37は、移動が規制されて回転のみが許容されるように軸受等により保持されている。この構成により、シリンダ又はリニアモータ又はアクチュエータ(図示せず)等によってリンク63を直線往復運動をさせると、複数のアーム61がシャフト37を揺動中心として揺動するため、シャフト37を固定している部分であるアーム61の端部側は回転することになる。そのため、シャフト37は軸心の回りに回転し、気体方向調整板36の気体案内角度(θ3)を変えることができる。
【0068】
図16は、気体噴射ノズル用カバー35の角度を調整することができる例を示す模式図である。
図3乃至
図5に示す例においては、気体噴射ノズル用カバー35を本体部21に固定したが、
図16に示す例においては、気体噴射ノズル用カバー35の端部はシャフト42に固定されている。シャフト42はパッド調整装置20の本体部21(図示せず)から延びる2つのブラケット43,43により回転可能に支持されている。また、シャフト42の端部はサーボモータ又はロータリアクチュエータ44に連結されている。この構成により、サーボモータ又はロータリアクチュエータ44を作動させると、気体噴射ノズル用カバー35がシャフト42を中心として揺動し、気体噴射ノズル用カバー35の上下方向の傾きを変えることができる。これにより、研磨パッド2の表面(研磨面)2aと気体噴射ノズル24の気体噴射方向とのなす角である気体進入角度(θ2)(
図9参照)に応じて、気体噴射ノズル用カバー35の傾きを最適な傾きに調整することができる。
例えば、気体噴射ノズル24が固定で気体の吐出方向が変えられない時あるいは供給される気体が一定流量のとき、気体噴射ノズル用カバー35が動くことで、研磨パッド2の表面2aに向く気体の量を変化させ、冷却の強さを変えられる。また、気体噴射ノズル用カバー35が開くことで、気体噴射ノズル用カバー35の気体を案内する機能を失わせ、気体噴射ノズル用カバー35によって気体が研磨パッド2の表面2aに向かって流れることがないようにし、気体方向調整板36でスラリー膜厚に変化をつけたままトップリング10に向かってスラリーを流すことができる。
なお、気体噴射ノズル用カバー35の内側の気体方向調整板36の構成は、
図3乃至
図6に示したとおりである。
【0069】
次に、パッド温度調整機構22の気体噴射ノズル24から噴射されるエア(圧縮空気)の流れ方向を制御する気体方向調整板36によって研磨パッド2上の研磨液(スラリー)の流れを制御することにより、消費されるスラリーの量を制御する方法を説明する。
図17は、研磨液供給ノズル3から研磨パッド2上に滴下された研磨液(スラリー)がトップリング10の下方に流れ込んだ後に研磨パッド2から排出される状態を示す模式的平面図である。この場合、研磨パッド2上に滴下された新鮮なスラリーをトップリング10に保持された基板の被研磨面にできるだけ多く供給し、研磨に使用済みの古いスラリーを速やかに排出することが好ましい。これは、新鮮なスラリーが研磨に使用されずに排出されてしまうとスラリーの消費量が増加し、また古いスラリーが残っていると研磨レートや面内均一性に悪影響を与えるからである。
【0070】
図18は、研磨パッド2上に滴下された新鮮なスラリーと使用済みのスラリーの流れを示す模式図である。
図18に示すように、スラリーは研磨パッド2の外周部から排出されるが、研磨テーブル1の回転方向においてトップリング10の直上流側で比較的新しいスラリーの排出が多く、研磨テーブル1の回転方向においてトップリング10の直下流側で比較的古いスラリーの排出が多い。したがって、
図18において点線で示す領域Aから排出されるスラリーを研磨に使用できれば、スラリー消費量を低減することができる。
【0071】
そこで、本発明は、気体噴射ノズル24と気体方向調整板36とにより、領域Aから排出されるスラリーをなくすか又はできるだけ少なくするようにスラリーの流れを制御するようにしたものである。
図19は、気体噴射ノズル24と気体方向調整板36とによりスラリーの流れを制御する方法を説明するための模式的平面図である。
図19に示すように、前記回転接線方向に対する気体方向調整板36の角度である気体案内角度(θ3)を調整することにより、気体噴射ノズル24から噴射されるエア(圧縮空気)の流れの方向を研磨テーブル1の内側に向け、研磨パッド2の外周側に向かって流れるスラリーを研磨パッド2の中心側に向かって流れるように制御することによりスラリーが研磨パッド2上に残るようにする。これにより、領域Aから排出されるスラリーをなくすか又はできるだけ少なくすることができる。
【0072】
図20は、気体噴射ノズル24と気体方向調整板36を本体部21の反対側にも設け、研磨に使用済みの古いスラリーの排出を促進するようにした例を示す模式的平面図である。
図20に示すように、気体噴射ノズル24と気体方向調整板36を本体部21の両側に設け、本体部21の両側の気体噴射ノズル24からエアを噴射して本体部21の両側の気体方向調整板36によりエアの流れを制御する。すなわち、研磨テーブル1の回転方向において上流側にある気体噴射ノズル24と気体方向調整板36とは、研磨テーブル1の回転方向と反対側(対向する側)にエア(圧縮空気)を噴射してエアの流れを制御するようになっている。これにより、エアの流れの方向を研磨テーブル1の外周側に向けて古いスラリーの排出の促進を図る。すなわち、研磨テーブル1の回転方向においてトップリング10の下流側にあって、研磨に使用済みの古いスラリーをエアと遠心力で排出する。
【0073】
一方、研磨テーブル1の回転方向において下流側にある気体噴射ノズル24と気体方向調整板36とは、研磨テーブル1の回転方向にエアを噴射してエアの流れを制御するようになっている。気体方向調整板36の気体案内角度(θ3)を調整することにより、エアの流れの方向を研磨テーブル1の内側に向け、研磨パッド2の外周側に向かって流れるスラリーを研磨パッド2の中心側に向かって流れるように制御し、これにより、スラリーが研磨パッド2上に残るようにする。その結果、
図18に示す領域Aから排出されるスラリーをなくすか又はできるだけ少なくすることができる。このように、気体噴射ノズル24から噴射される冷却エアの風向きを調整して古いスラリーを速やかに排出するとともに供給側の新しいスラリーが研磨パッド2から流れ落ちないようにすることで、スラリーの消費量を飛躍的に削減できる。
【0074】
図11乃至
図20に示す実施形態においては、エア(圧縮空気)によって研磨パッド2上の研磨液(スラリー)の流れを制御する場合を主として説明したが、気体噴射ノズル24から研磨パッド2に向けて噴射されるエアによって研磨パッド2の研磨面2aの温度を所望の温度に制御することは、
図1乃至
図10に示す実施形態と同様である。
【0075】
次に、
図1乃至
図20に示すように構成された研磨装置を用いて基板Wを研磨する工程の一例を説明する。
先ず、研磨パッド2の制御目標温度である第1設定温度を温度コントローラ47に設定する。次に、気体噴射ノズル24へ圧縮空気を供給する供給圧力を確認する。この供給圧力が規定圧力以下の時には警告を発して、以降の基板に対する処理を中止し、供給圧力が規定圧力以上の時のみに、基板受渡し位置に位置するトップリング10により基板Wをプッシャ等から受け取って吸着保持する。そして、トップリング10により吸着保持した基板Wを基板受渡し位置から研磨テーブル1の直上方の研磨位置まで水平移動させる。
【0076】
次に、放射温度計48による研磨パッド2の温度モニタを開始する。そして、研磨液供給ノズル3から研磨パッド2に研磨液(スラリー)を滴下し、トップリング10を回転させながら下降させて、回転中の研磨パッド2の研磨面2aに基板Wの表面(被研磨面)を接触させる。そして、トップリング10による基板Wの吸着保持を解き、基板Wを研磨面2aに第1の研磨圧力で押圧する。これによって、基板上の金属膜等の研磨を行うメイン研磨ステップを開始する。
【0077】
前記メイン研磨ステップでは、基板Wが研磨面2aに接触した時点から、パッド調整装置20のパッド温度調整機構22による研磨パッド2の温度制御を開始する。なお、研磨テーブル1を回転させることなく、基板Wを研磨面2aに接触させるプロセスを採用する場合には、研磨テーブル1の回転を開始するのと同時に、パッド温度調整機構22による研磨パッド2の温度制御を開始する。
【0078】
すなわち、温度コントローラ47は、予め設定された第1設定温度と放射温度計48により検出された研磨パッド2の実際の温度との差に応じてPID制御により圧力制御弁46の弁開度を調整し、気体噴射ノズル24から噴射される圧縮空気の流量を制御する。これにより、予め求めておいた最大研磨速度を得られる第1設定温度に研磨パッド2の温度を制御する。このメイン研磨ステップでは、高い研磨圧力と研磨パッド2の冷却との組合せにより、高い研磨レートを得ることができ、トータル研磨時間の短縮を図ることができる。
【0079】
また、上記工程と併行して、研磨液供給ノズル3を揺動させて研磨液(スラリー)を研磨パッド2上の最適な位置に供給するとともに気体方向調整板36によって気体噴射ノズル24から噴射されるエアの流れを制御することにより、研磨パッド2上の研磨液(スラリー)の流れを制御し、トップリング10に向かって流れるスラリーの膜厚が均一になるようにし、面内均一性が得られるようにする。このメイン研磨ステップは、例えば、金属膜等の膜厚が所定の値に達したことを研磨テーブル1内に設置された膜厚測定器(図示せず)で検知した時に終了する。
【0080】
次に、仕上げ研磨ステップを行う。メイン研磨ステップ後の仕上げ研磨ステップにおいては、ディッシングやエロージョン等を防止して段差特性の向上を重視するために研磨パッド2の温度を制御する必要がある。すなわち、温度コントローラ47に第1設定温度とは異なる温度である第2設定温度を設定する。仕上げ研磨ステップへ移行すると、研磨パッド2が第2設定温度に速やかに到達するようにPID制御によりコントロールされた流量の圧縮空気が研磨パッド2に吹き付けられる。例えば、メイン研磨ステップの第1設定温度よりも仕上げ研磨ステップの第2設定温度の方が低い場合は、第2設定温度に到達するまでは圧縮空気の流量はMAX(最大)となるように制御される。このようにして、第2設定温度に研磨パッド2の温度を制御して、研磨を継続する。この仕上げ研磨ステップでは、主に段差解消特性を向上させるため、必要に応じて、基板Wを前記第1の研磨圧力よりも低い第2の研磨圧力で研磨面2aに押圧する。また、上記工程と併行して、研磨液供給ノズル3を揺動させて研磨液(スラリー)を研磨パッド2上の最適な位置に供給するとともに気体噴射ノズル24と気体方向調整板36とを有機的に作動させることにより、スラリーを基板エッジあるいは中央付近に多め(あるいは少なめ)に流すことで、研磨レートおよび面内均一性などをコントロールする。この仕上げ研磨ステップは、例えば、トレンチ等以外の領域にある余剰な金属膜等を研磨除去し、下地層の表面が完全に露出したことを研磨テーブル1内に設置された膜厚測定器(図示せず)で検知した時に終了する。
【0081】
次に、気体噴射ノズル24からの圧縮空気の噴出を停止し、研磨液供給ノズル3からの研磨液(スラリー)の供給を停止した後、研磨パッド2に純水を供給して、基板Wの水ポリッシングを行う。そして、気体噴射ノズル24からの圧縮空気の噴出を停止して、基板Wに圧縮空気が当たるのを防止したまま、トップリング10で研磨後の基板Wを研磨面2aから引き離して吸着保持する。なお、これ以降、基板Wは研磨パッド2から離間するので、離間した基板Wの被研磨面に圧縮空気が当たって基板Wの被研磨面が乾燥するのを防止するため、気体噴射ノズル24からの圧縮空気の噴出を停止したままにしておく。
【0082】
次に、基板Wを吸着保持したトップリング10を上昇させ、研磨位置から基板受渡し位置まで基板Wを水平移動させる。そして、基板受渡し位置で、研磨後の基板Wをプッシャ等に受け渡す。研磨終了後に、アトマイザ30のノズル33から純水(または窒素と純水の混合流体)を研磨パッド2の表面(研磨面)2aに吹き付け、研磨パッド上の異物(研磨パッド滓、砥液固着等)を除去する。気体噴射ノズル24にあっては、洗浄ノズル(図示せず)から気体噴射ノズル24における、特にノズル開口部及びその周辺部に向けて洗浄液(水)を吹き付けて、気体噴射ノズル24のクリーニングを行う。これにより、気体噴射ノズル24に付着したスラリー等の汚れが研磨パッド2上に落ちて次の基板の処理に悪影響を及ぼすことを防止することができる。また、気体噴射ノズル用カバー35および気体方向調整板36も同様に洗浄する。この場合、気体噴射ノズル用カバー35および気体方向調整板36は、内側が開放されているので、アトマイザ30の使用時には気体噴射ノズル用カバー35の内側および気体方向調整板36も洗浄できる。
【0083】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。