特許第5776538号(P5776538)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776538
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】半導体デバイス製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20150820BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20150820BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20150820BHJP
   H01L 27/12 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   H01L21/02 B
   H01L21/68 F
   H01L21/68 P
   H01L27/12 B
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-283992(P2011-283992)
(22)【出願日】2011年12月26日
(62)【分割の表示】特願2011-136614(P2011-136614)の分割
【原出願日】2011年6月20日
(65)【公開番号】特開2012-99839(P2012-99839A)
(43)【公開日】2012年5月24日
【審査請求日】2014年5月16日
(31)【優先権主張番号】1002618
(32)【優先日】2010年6月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】598054968
【氏名又は名称】ソイテック
【氏名又は名称原語表記】Soitec
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100154656
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 英彦
(72)【発明者】
【氏名】マルセル ブローカート
(72)【発明者】
【氏名】イオヌット ラドゥ
【審査官】 ▲高▼須 甲斐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−208084(JP,A)
【文献】 特開平10−256107(JP,A)
【文献】 特表2007−508690(JP,A)
【文献】 特開平04−290215(JP,A)
【文献】 特開2005−302858(JP,A)
【文献】 特開2007−065521(JP,A)
【文献】 特開2009−164252(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0122762(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/68
H01L 21/683
H01L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハを接着するための接着モジュールであって、
ポンプデバイスと、
前記ポンプデバイスに接続された真空チャンバと、
前記接着モジュール内で接着されるべき前記半導体ウェハの表面のアライメントマークの位置を決定するように構成された光学システムと、
少なくとも、第1のウェハを保持するように構成された第1の可動接着チャックと、前記第1のウェハとは別の第2のウェハを保持するように構成された、前記第1の接着チャックと異なる第2の可動接着チャックと、
前記第1及び前記第2の接着チャックを互いに移動するように制御するように、及び、前記第1及び/又は前記第2の接着チャックによって加えられたクランプ力を局所的に減少させ、それにより前記第1及び前記第2のウェハのうちの少なくとも一方を局所的に変形させ、それにより前記第1及び前記第2のウェハの接触を開始するように、及び、前記第1及び前記第2のウェハの接触が生じた後、前記第1及び前記第2のウェハのうちの少なくとも一方を、段階的に又は非段階的にクランプ解除するように構成された制御ユニットと、
を備える接着モジュール。
【請求項2】
前記第1及び第2の接着チャックがそれぞれ、前記第1及び前記第2のウェハを垂直面に対して10°未満の垂直位置に保持するように構成されている、請求項に記載の接着モジュール。
【請求項3】
前記第1の接着チャック及び/又は前記第2の接着チャックが、1ミクロン未満又は0.1ミクロン未満の湾曲を有する、請求項又はに記載の接着モジュール。
【請求項4】
前記第1の接着チャック及び/又は前記第2の接着チャックが金属又はセラミックスで作られている、請求項のいずれか一項に記載の接着モジュール。
【請求項5】
前記制御ユニットが、前記第1及び前記第2のウェハを位置合わせするために、前記第1及び前記第2の接着チャックの変位を計算するように構成されている、請求項のいずれか一項に記載の接着モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハの分子接着のための接着モジュールを備える半導体デバイス製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばシリコンオンインシュレータ(SOI)基板のように基板上に形成された複数の回路構造物が、一緒に接着され、高密度垂直接続により三次元(3D)回路に一体化される3D集積回路技術が、現代の半導体技術においてますます重要になっている(例えば、BumsらのA Wafer−Scale 3D Circuit Integration Technologyという名称の論文、IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES、VOL.53、NO.10、2006年10月、2507〜2516頁を参照)。3D回路一体化技術の基本要素は、精密ウェハ−ウェハアライメント、低温ウェハ−ウェハ接着(分子接着又は酸化物溶解接着)、及び高密度垂直相互接続による回路構造物の電気的接続である。従来のバンプ接着技術と比較した場合、ウェハスケールの3D技術では、より高密度の垂直相互接続、及びシステム電力低減がもたらされる。
【0003】
ウェハの分子接着では、ウェハの表面は十分に平滑で、微粒子又は汚染物がなく、また各表面は接触を開始できるように、一般に開始の時点で数ナノメートル未満の距離で互いに十分に近接していることが必要である。この場合、2つの表面間の引力は、この位置からの「接着波」の伝搬、及び分子付着(接着されるべきウェハの2つの表面の原子又は分子の間の電子相互作用のすべての引力(ファンデルワールス力)によって誘発される接着)を引き起こすのに十分な大きさである。「接着波」という用語は、開始点から広がり、且つ2つのウェハ間の密な接触の表面全体(接着境界面)にわたる開始点からの引力(ファンデルワールス力)の伝播に対応する、接着又は分子付着の最前部を意味する。
【0004】
しかし分子接着では、縁部空隙、ウェハミスアライメント、及び受入れ基板とのアセンブリ時に転移層に発生するウェハ歪み欠陥のような、重大な接着境界面欠陥の問題に直面する。
【0005】
このような歪みは、基板の不正確なアセンブリ(ミスアライメント)で生じうる、基本変換(並進、回転、又はこれらの組合せ)の結果ではない。これらの歪みは、層が最終基板とアセンブリされている間に層に発生する、同質でない変形の結果として生じる。実際、このような歪みは、層上又は層中に形成される微小構成要素の位置のばらつきにつながる可能性があり、このばらつきは数百ナノメートル、さらには数ミクロン程度にもなることがある。これらの歪みは同質でないので、これらの局所的ミスアライメントエラーを、後で実施されるフォトリソグラフィーステップ中に完全に補正することは不可能である。そのために、正常に機能しない半導体デバイスが生じることになりうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記を考慮すると、最近の技術的進歩にもかかわらず、精度、特にアライメントの精度が十分であり、層歪みが低減され、接着境界面欠点が抑制されるとともに、スループットが高い3D集積回路技術のウェハ分子接着を実現する半導体デバイス製造装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の必要性に対処し、それに応じて、請求項1による半導体デバイス製造装置を提供する。この装置は、
大気圧未満の圧力のもとでウェハの接着を行うための真空チャンバを備える接着モジュールと、
接着モジュールに接続され、且つ接着モジュールへのウェハ移送のために構成され、且つ第1の真空ポンプデバイスに接続されている装填ロックモジュールと、を具備し、この第1の真空ポンプデバイスは、装填ロックモジュール内の圧力を大気圧未満に低減するように構成されている。
【0008】
本発明によれば、ウェハの分子接着は、排気された接着モジュールの真空チャンバ内で行われる。接着は(不完全な)真空のもとで行われるので、縁部空隙などの接着境界面欠陥を、接着強度に影響を及ぼすことなく著しく抑制できることが観察された。加えて、ウェハが、排気された装填ロックモジュールから接着モジュールの真空チャンバまで移送され、それによって、従来技術の真空接着モジュールと比較してスループットが著しく向上する。装填ロックモジュールが、接着モジュールの排気された真空チャンバの低圧に近い真空圧の接着モジュールにウェハを供給するので、2つの接着ステップ(接着ステップと、装填ロックモジュールから接着モジュールまで少なくとも1つのウェハを移送するステップ)の間で、接着モジュールの真空圧から大気圧への切り替えが回避され、逆も同様である。
【0009】
装填ロックモジュールは、例えば、約1ミリバールから大気圧未満(1バール未満)まで、特に、1ミリバール〜10ミリバール又は100ミリバールの範囲内の圧力まで、第1のポンプデバイスによって排気することができる。接着モジュールの真空チャンバは、例えば、0.01ミリバール〜10ミリバール又は100ミリバール、特に0.1ミリバール〜5ミリバールの範囲の圧力まで、第2のポンプデバイスによって排気することができる。真空チャンバ内の温度は、ウェハ半導体材料の熱膨張によるウェハの変形を回避するために、室温に保持されることにも留意されたい。第1及び/又は第2のポンプデバイスは、それぞれ装填ロックモジュールと接着モジュールの真空チャンバに、所望の真空度に制御するために設けられたそれぞれの制御弁によって接続することができる。第1及び第2のポンプデバイスの両方に、例えば、多段回転羽根ポンプを設けることができる。
【0010】
接着モジュールは、位置合わせされたウェハの真空のもとでの接合工程に必要なすべての手段を取り囲み、そのように密閉して環境から閉ざされることに留意されたい。装填ロックモジュールは、同時に1つのウェハを受入れ接着モジュールまで移送するように構成することができ、あるいは複数のウェハを受け入れるように構成することができ、これら複数のウェハは、装填ロックモジュール内に設けられた複数ウェハ収納システム内に収納することができる。前者の場合、装填ロックモジュールのサイズを最小限にすることができ、その結果、接着モジュールの真空チャンバの真空度は、接着モジュールを装填ロックモジュールから分離しているゲートがウェハ移送時に開くことによる影響を大きくは受けないようになる。後者の場合、スループットを向上させることができる。
【0011】
特に、装填ロックモジュールは、ウェハの受入れのために開閉できる第1のゲートと、装填ロックモジュールから接着モジュールへのウェハの移送のために開閉できる第2のゲートとを備えることができる。開かれた第1のゲートを通してウェハが装填ロックモジュールに受け入れられ、第1のゲートが再び閉じられた後に、第1のポンプデバイスは、装填ロックモジュールの排気を開始することができる。
【0012】
本発明の装置の一実施形態によれば、接着モジュールに接続され、接着モジュール内で既に接着された1つ又は複数のウェハ(ウェハスタック)を受け入れるように構成されている少なくとも1つの追加装填ロックモジュールが、スループットをさらに向上させるために設けられる。
【0013】
接着モジュールは、第1のウェハを保持するように構成された少なくとも第1の可動接着チャックと、第1のウェハとは別の第2のウェハを保持するように構成された、第1の接着チャックと異なる第2の可動接着チャックとを備えることができる。ウェハを装填ロックシステムから把持し、接着チャックに配置するように構成されているロボット手段を接着モジュールの内部に設けることができる。把持することは、機械的手段、静電的手段、又は真空(クランプする真空が接着モジュールの真空チャンバの動作真空レベルよりも十分に低い場合)によって実現することができる。
【0014】
ウェハを支持しクランプするための、向かい合わせて配置された2つの可動接着チャックは、接着モジュールの真空チャンバの内側に設けることができる。チャックは、2つのウェハを互いの前に配置し位置合わせできるようにするために、並進及び回転の形で移動可能である。チャック湾曲が歪み欠陥の原因の1つであることが判明しているので、各接着チャックは、可能な限り良好な平坦度を備えなければならない。一実施形態によれば、チャックは、金属又はセラミックスで作られており、容易に変形することがなく、ウェハの平坦度を維持することができる。チャックの湾曲(中心面からの最大偏差)は、好ましくは1ミクロン未満、さらには0.1ミクロン未満にもすべきである。
【0015】
第1及び第2の接着チャックは、それぞれ第1及び第2のウェハを垂直面に対して10°未満、より具体的には最大でも約1°の角度で垂直位置に保持又はクランプするように構成する/向けることができる。各ウェハは2つの主面を有する。一例によれば、ウェハの主面は、接着モジュールが置かれている水平面に対して(ほとんど)垂直に向けられる。特に、ウェハの主面は、約10°未満の角度で、より具体的には約10°未満の角度で、さらに具体的には最大で約1°の角度で垂直面の方に傾斜して向けられる。このように向けることによって、ウェハ自体の重量によるウェハの変形(歪み欠陥になる)を回避することができ、直径が300mmを超えるより大きいウェハを確実に加工することができる。特に、第1及び第2の接着チャックは、垂直面に対して10°未満で垂直に配置される。
【0016】
この装置はまた、装置の異なるモジュールの動作、並びにロボット手段による1つのモジュールから別のモジュールへのウェハの移送を制御する制御ユニットを含むこともできる。
【0017】
応用例により必要な場合には、接着モジュール内に光学位置決めシステムを設けることができ、このシステムは、ウェハ上のアライメントマークの正確な位置を特定するように動作し、次に、特定されたアライメントマークに従って、2つのチャックを並進及び回転で移動させてウェハを位置合わせする。
【0018】
実際の分子接着工程は、例えば米国特許出願公開第20100122762号明細書に開示されている別の代替実施形態による上述の制御ユニットによって制御することができる。第1の手法によれば、クランプは解放されて2つのウェハがそのチャックから外れ、付加的な力が局所的に加えられてウェハの密な接触が生じ(作用する分子力に関して)、接着波伝搬が開始する。この付加的な力は、ウェハが変形することにならないよう最小限にしなければならない(例えば5N未満、さらには1N未満にも)。すなわち、本発明の装置は、制御ユニットをさらに備えることができ、この制御ユニットは、第1及び第2の接着チャックを互いに移動するように制御して、第1及び第2のウェハを互いに既定の距離のところに置き、第1及び第2のウェハを既定の距離のところで解放して、第1及び第2のウェハの少なくとも一方に適切な局所的力適用手段によって力を局所的に加えることを開始し、その結果、第1と第2のウェハが局所的に互いに近くなって接着が開始されることになるように構成されている。ここで、また以下で、接着は、互いに接近した接着されるべき各ウェハの主面の間に作用する分子力によって開始されることを理解されたい。
【0019】
第2の手法によれば、密な接触がまず生じ、次に、ウェハのクランプ解除が段階的に行われる。密な接触(作用する分子力に関して)は、2つのウェハを互いに接触させながら、ウェハの少なくとも一方を局所的にわずかに変形させることによって生じさせることができる。変形は、ウェハをチャックに保持しておくクランプ力を局所的に低減することによって実現することができる。密な接触が生じた後、クランプ解除が段階的に行われて接着波の伝搬速度が制御される。第3の手法によれば、クランプ解除は段階的ではなく、接着波伝搬のどんな制御も用いずに非段階的に行われる。後者の手法は、実施するのがより容易である。
【0020】
したがって、本発明による装置は、制御ユニットをさらに備えることができ、この制御ユニットは、第1及び第2の接着チャックを互いに移動するように制御して、第1及び第2のウェハを互いに既定の距離のところに置き、続いて、第1及び第2のウェハをそれぞれ保持するために第1及び/又は第2の接着チャックによって加えられたクランプ力を局所的に減少させ、その結果、第1と第2のウェハが局所的に互いに近くなって接着が開始されることになるように構成されている。
【0021】
この制御ユニットは、第1と第2のウェハが局所的に互いに近くなって接着が開始されると、第1及び/又は第2のウェハの段階的又は非段階的な解放を制御するように構成することができる。
【0022】
本発明は、さらに、上述の各例のうちの1つの装置を備える製造システムを提供し(下記の詳細な議論も参照)、このシステムは、
製造システムにウェハを(外部環境から)導入するように構成された装填ポートモジュールと、
製造システムに導入されたウェハの表面のプラズマ処理を実施するように構成されたプラズマモジュールと、
ウェハの表面を洗浄するように構成された洗浄モジュールと、
装填ポートモジュール、プラズマモジュール、洗浄モジュール及び装填ロックモジュールの1つから、これらのモジュールの別の1つまでウェハを搬送するように構成された可動ロボット手段と、をさらに備える。
【0023】
1つ又は複数のプラズマモジュールは、ウェハの主面の一方又は両方を活性化するために設けることができる。洗浄モジュールでは、接着モジュール内で互いに接着されるべきウェハの表面を洗浄及び/又はブラッシングすることができる。ロボット手段は、ウェハを操作して装填ポートから任意の個別モジュールまで、さらに1つのモジュールから他のモジュールまでウェハを移送するように構成される。ロボットは特に、1つの場所から他の場所へのウェハの移送を可能にするために、ロボット移動領域に沿って移動している。このシステムはまた、個々のモジュールの動作と、ロボット手段によるウェハの移送とを制御する制御ユニットを含むこともできる。
【0024】
上述の必要性はまた、本明細書に提示された半導体ウェハを接着する方法によっても対処され、この方法は、
接着モジュールの真空チャンバを排気するステップと、
接着モジュールに接続されている装填ロックモジュールまで少なくとも第1のウェハを移送するステップと、
少なくとも第1のウェハを装填ロックモジュールへ移送後に装填ロックモジュールを排気するステップと
少なくとも第1のウェハを、排気された装填ロックモジュールから接着モジュールの排気された真空チャンバまで移送するステップと、
少なくとも第1のウェハの移送後に真空チャンバの真空度を任意選択で調整するステップと(このステップが、接着されるウェハの品質の理由により所望される場合)、
第1のウェハ及び第2のウェハをそれぞれ第1及び第2の接着チャックに配置するステップと、
第1のウェハの主面と第2のウェハの主面が局所的に互いに近くに来て接着が開始されるように、第1及び/又は第2の接着チャックの動きによって第1及び第2のウェハを互いに移動させるステップと、を含む。
【0025】
特に、第1及び第2のウェハは、それぞれ第1及び第2の接着チャックに、垂直面に対して10°未満の垂直位置で配置し、互いに近いその垂直位置で移動して接着を開始することができる。
【0026】
本発明は、
第1のウェハを保持するように構成された少なくとも第1の可動接着チャックと、
第1の接着チャックと異なる、第1のウェハとは別の第2のウェハを保持するように構成された第2の可動接着チャックとを備える接着モジュールをさらに提供し、
第1及び第2の接着チャックは、それぞれ第1及び第2のウェハを垂直面に対して10°未満の垂直位置に保持するように構成されている。接着チャックは、第1及び第2のウェハを機械的手段、静電的手段、又は真空によって保持するように構成することができる。
【0027】
この接着モジュールの第1及び第2の接着チャックは、垂直面に対して10°未満で垂直に配置される。
【0028】
さらに、接着モジュールは真空チャンバを備えることができ、第1及び第2の接着チャックは、この真空チャンバ内に設けられる。この接着モジュールは、半導体デバイス製造装置との関連で上述した装填ロックモジュールと組み合わせることができる。
【0029】
結局は、別の半導体ウェハと接着されるべき半導体ウェハを、その半導体ウェハが垂直面に対して10°未満の垂直位置に保持されるように保持する構成とした接着チャックが提供される。特に、ウェハの主面は、約10°未満の角度で、より具体的には約10°未満の角度で、さらに具体的には最大で約1°の角度で垂直面の方に傾斜して向けられる。特に、ウェハの主面と接触するチャックの主面は、垂直面に対して10°未満で垂直に向けることができる。接着チャックは、ウェハを機械的手段、静電的手段、又は真空によって保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】接着モジュール、及び接着モジュールに接続された装填ロックモジュールを備える、本発明の半導体デバイス製造装置の一例を示す図である。
図2】本発明による接着モジュールの一例を示す図である。
図3図1に示された装置を備える製造システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の付加的な特徴及び利点は、図面を参照して説明する。説明では、本発明の好ましい諸実施形態を示すものである添付の図を参照する。このような諸実施形態は、本発明の全範囲を表していないことを理解されたい。
【0032】
図1に示されるように、特定の一つの実施形態による本発明の装置は、接着モジュール1及び装填ロックモジュール2を備える。接着は、接着モジュール1の真空チャンバ内で行われる。接着モジュール1の真空チャンバ内の真空は、接着モジュール1の真空チャンバに制御弁4を介して接続されている真空ポンプ手段3によって確立される。同様に、真空は、装填ロックモジュール2の中に得ることが、装填ロックモジュール2に別の制御弁6で接続されている別の真空ポンプ手段5によって可能である。代替実施形態では、単一の真空ポンプ手段が、別々の制御バルブによって装填ロックモジュールと接着モジュールの両方に接続されている。さらに、装填ロックモジュール2は、ウェハが装填ロックモジュール2から接着モジュール1へ移送されるときに開かれる第1のゲート7と、ウェハがロボットによって装填ロックモジュール2へ移送されるときに開かれる第2のゲート8とを備える。
【0033】
装填ロックモジュール2は、単一のウェハを同時に接着モジュール1に供給する一ウェハ移送モジュールとして構成することができ、あるいは、第2のゲート8を介して複数のウェハを受け取って収納し、次に、これら複数のウェハを同時に接着モジュール1に供給する複数ウェハ収納システムを含むことができる。
【0034】
本発明によれば、1つ又は複数のウェハが装填ロックモジュール2の中に装填されて第2のゲート8が閉じられた後に(第1のゲート7は装填手順中、閉じておかれる)、装填ロックモジュール2は、ある既定の圧力まで排気される。排気は、ポンプデバイス5によって2.5〜1,000m/時、特に500m/時を超える速度で行うことができる。装填ロックモジュール2は、例えば、約1ミリバール〜数百ミリバールの圧力まで、又は大気圧より低くなるまで排気される。接着モジュール1の真空チャンバは、例えば、0.01ミリバール〜10ミリバール又は100ミリバール、特に0.1ミリバール〜5ミリバールの範囲の圧力まで排気される。
【0035】
排気後、1つ又は複数のウェハは、第1のゲート7が開くと、第1のポンプ手段3によって既に排気された接着モジュール1の真空チャンバまで移送される。装填ロックモジュール2から接着モジュール1までの、この1つ又は複数のウェハの移送中、接着モジュール1は大気圧にさらされないので、接着モジュール1の真空チャンバの比較的軽微な圧力調整だけが、ウェハ移送が完了して第1のゲート7が閉じた後に必要であるにすぎない(たとえ必要だったとしても)。したがって、スループットを著しく向上させることができる。
【0036】
別の装填ロックモジュールが、例えば図1の接着モジュール1の左側に設けられ、且つ接着モジュール1に接続されて、既に接着されたウェハを受け入れる場合には、スループットをさらに向上できることに留意されたい。この場合には、この別の装填ロックモジュールもまた、接着されたウェハが接着モジュール1から移送される前に排気されなければならない。あるいは、装填ロックモジュール1を使用して、接着されたウェハを接着モジュール1から外部環境へ出すこともできる。
【0037】
図2に、本発明による接着モジュール1の一例が示されている。この接着モジュールは真空チャンバを備え、図1を参照して説明したようにポンプデバイスに接続される。加えて、接着モジュールは光学システム9を備え、この光学システムにより、接着モジュール1内で接着されるべきウェハ表面のアライメントマークの正確な位置を決定することが可能になる。
【0038】
光学システム9は、2つのウェハをマイクロメータ精度で完全に位置合わせする必要がある場合にだけ必要になる。これは、2つのウェハが微小構成要素を与える場合である。微小構成要素によって素子が指定され、これらの素子は、正確に配置されなければならない層の上又は中で実施される技術的ステップの結果として得られる。したがって、微小構成要素は、能動又は受動構成要素、表面銅接点及び相互接続部のような単なる接触点又は相互接続部でありうる。バージン支持基板の上に1つのウェハを微小構成要素と接着することだけからなる工程の場合には、アライメントステップはことがあり、したがって光学システム9の設置は不要である。
【0039】
さらに、接着モジュール1には、第1のウェハ12及び第2のウェハ13それぞれをクランプする、第1の接着チャック10及び第2の接着チャック11が設けられる。接着チャック10及び11は、金属又はセラミックで作って、ウェハ12及び13の平坦度を維持することができる。図2で接着チャック11及び12は、ウェハ12及び13を水平に保持するように示されているが、接着チャック11及び12は、有利にはウェハ12及び13を垂直に保持するように構成することができる。この場合、ウェハ自体の重量によるウェハの変形を回避することができる。
【0040】
図示の例では、光学システム9は、制御ユニット14に電気的に結合されており、この制御ユニットは、2つのウェハ12と13を完全に位置合わせするために、接着チャック10及び11の(平面内及び回転の)変位を計算している。さらに、制御ユニット14は、ウェハ12と13が分子接着するように接触するまで、接着チャック10と11の互いの動きを制御する。
【0041】
図3は、図1に示された装置を備える製造システム20の一例を示す。特に、製造システム20は、例えば図2に示された接着モジュール1である接着モジュール1と、2つの装填ロックモジュール2及び2’とを備える。製造システム20は、ウェハを製造システム20の中に導入するための装填ポート21を少なくとも含む。ロボット22は、ウェハを操作して装填ポート21から製造システム20の任意の個別モジュールまで、また1つのモジュールから他のモジュールまでウェハを移送するように構成される。ロボットは、ロボット移動領域(破線で示す)に沿って移動していて、1つの場所から他の場所までウェハの移送を可能にする。
【0042】
加えて、製造システム20は、製造システム20の中に導入されたウェハの1つ又は2つの主面を活性化するためのプラズマステーション23を備える。接着されるべき両ウェハの主面を活性化することがウェハ処理で必要な場合に、表面準備時間を最小限にするために第2のプラズマステーションが追加されることもある。あるいは、同一のプラズマステーション23を使用して、それぞれのウェハの接着されるべき表面を処理することができる。第1の洗浄ステーション24は、第1のウェハの接着主面を洗浄するために設けられ、第2の洗浄ステーション25は、第2のウェハの接着主面を洗浄するために設けられる。
【0043】
製造システム20は、製造システム20内でウェハを搬送するロボット手段22を制御するための制御ユニット(図3に示さず)をさらに備える。例えば、この制御ユニットは、
装填ポート21から第1のウェハを捕捉し、それをプラズマステーション23まで搬送し、
装填ポート21から第2のウェハを捕捉し、それを洗浄ステーション25まで搬送し、
プラズマステーション23から第1のウェハを捕捉し、それを洗浄ステーション24まで搬送し、
洗浄ステーション25から第2のウェハを捕捉し、それを装填ロックモジュール2まで搬送し、
洗浄ステーション24から第1のウェハを捕捉し、それを装填ロックモジュール2まで搬送し、
接着モジュール1で第1及び第2のウェハが処理された後で、接着された第1及び第2のウェハを装填ロックモジュール2から捕捉し、それを装填ポート21まで搬送するように、ロボット手段22を制御することができる。
【0044】
上記で論じたすべての実施形態は、限定のためのものではなく、本発明の特徴及び利点を示す例としての役割を果たす。特に、本発明を半導体産業で使用されるウェハとの関連で説明したが、本発明は、半導体産業で使用されるウェハに典型的な特性とは異なる特性を(例えば、性質、サイズ又は形状の面で)提示できる様々な種類のウェハ又は基板に適用可能である。上述の特徴のいくつか又はすべては、様々に組み合わせることができることも理解されたい。
【符号の説明】
【0045】
1 接着モジュール
2 装填ロックモジュール
2’ 装填ロックモジュール
3 真空ポンプ手段、ポンプデバイス
4 制御弁
5 真空ポンプ手段、ポンプデバイス
9 光学システム
10 接着チャック
11 接着チャック
12 ウェハ
13 ウェハ
14 制御ユニット
20 製造システム
21 装填ポート
22 ロボット
23 プラズマステーション
24 第1の洗浄ステーション
25 第2の洗浄ステーション
図1
図2
図3