【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の必要性に対処し、それに応じて、請求項1による半導体デバイス製造装置を提供する。この装置は、
大気圧未満の圧力のもとでウェハの接着を行うための真空チャンバを備える接着モジュールと、
接着モジュールに接続され、且つ接着モジュールへのウェハ移送のために構成され、且つ第1の真空ポンプデバイスに接続されている装填ロックモジュールと、を具備し、この第1の真空ポンプデバイスは、装填ロックモジュール内の圧力を大気圧未満に低減するように構成されている。
【0008】
本発明によれば、ウェハの分子接着は、排気された接着モジュールの真空チャンバ内で行われる。接着は(不完全な)真空のもとで行われるので、縁部空隙などの接着境界面欠陥を、接着強度に影響を及ぼすことなく著しく抑制できることが観察された。加えて、ウェハが、排気された装填ロックモジュールから接着モジュールの真空チャンバまで移送され、それによって、従来技術の真空接着モジュールと比較してスループットが著しく向上する。装填ロックモジュールが、接着モジュールの排気された真空チャンバの低圧に近い真空圧の接着モジュールにウェハを供給するので、2つの接着ステップ(接着ステップと、装填ロックモジュールから接着モジュールまで少なくとも1つのウェハを移送するステップ)の間で、接着モジュールの真空圧から大気圧への切り替えが回避され、逆も同様である。
【0009】
装填ロックモジュールは、例えば、約1ミリバールから大気圧未満(1バール未満)まで、特に、1ミリバール〜10ミリバール又は100ミリバールの範囲内の圧力まで、第1のポンプデバイスによって排気することができる。接着モジュールの真空チャンバは、例えば、0.01ミリバール〜10ミリバール又は100ミリバール、特に0.1ミリバール〜5ミリバールの範囲の圧力まで、第2のポンプデバイスによって排気することができる。真空チャンバ内の温度は、ウェハ半導体材料の熱膨張によるウェハの変形を回避するために、室温に保持されることにも留意されたい。第1及び/又は第2のポンプデバイスは、それぞれ装填ロックモジュールと接着モジュールの真空チャンバに、所望の真空度に制御するために設けられたそれぞれの制御弁によって接続することができる。第1及び第2のポンプデバイスの両方に、例えば、多段回転羽根ポンプを設けることができる。
【0010】
接着モジュールは、位置合わせされたウェハの真空のもとでの接合工程に必要なすべての手段を取り囲み、そのように密閉して環境から閉ざされることに留意されたい。装填ロックモジュールは、同時に1つのウェハを受入れ接着モジュールまで移送するように構成することができ、あるいは複数のウェハを受け入れるように構成することができ、これら複数のウェハは、装填ロックモジュール内に設けられた複数ウェハ収納システム内に収納することができる。前者の場合、装填ロックモジュールのサイズを最小限にすることができ、その結果、接着モジュールの真空チャンバの真空度は、接着モジュールを装填ロックモジュールから分離しているゲートがウェハ移送時に開くことによる影響を大きくは受けないようになる。後者の場合、スループットを向上させることができる。
【0011】
特に、装填ロックモジュールは、ウェハの受入れのために開閉できる第1のゲートと、装填ロックモジュールから接着モジュールへのウェハの移送のために開閉できる第2のゲートとを備えることができる。開かれた第1のゲートを通してウェハが装填ロックモジュールに受け入れられ、第1のゲートが再び閉じられた後に、第1のポンプデバイスは、装填ロックモジュールの排気を開始することができる。
【0012】
本発明の装置の一実施形態によれば、接着モジュールに接続され、接着モジュール内で既に接着された1つ又は複数のウェハ(ウェハスタック)を受け入れるように構成されている少なくとも1つの追加装填ロックモジュールが、スループットをさらに向上させるために設けられる。
【0013】
接着モジュールは、第1のウェハを保持するように構成された少なくとも第1の可動接着チャックと、第1のウェハとは別の第2のウェハを保持するように構成された、第1の接着チャックと異なる第2の可動接着チャックとを備えることができる。ウェハを装填ロックシステムから把持し、接着チャックに配置するように構成されているロボット手段を接着モジュールの内部に設けることができる。把持することは、機械的手段、静電的手段、又は真空(クランプする真空が接着モジュールの真空チャンバの動作真空レベルよりも十分に低い場合)によって実現することができる。
【0014】
ウェハを支持しクランプするための、向かい合わせて配置された2つの可動接着チャックは、接着モジュールの真空チャンバの内側に設けることができる。チャックは、2つのウェハを互いの前に配置し位置合わせできるようにするために、並進及び回転の形で移動可能である。チャック湾曲が歪み欠陥の原因の1つであることが判明しているので、各接着チャックは、可能な限り良好な平坦度を備えなければならない。一実施形態によれば、チャックは、金属又はセラミックスで作られており、容易に変形することがなく、ウェハの平坦度を維持することができる。チャックの湾曲(中心面からの最大偏差)は、好ましくは1ミクロン未満、さらには0.1ミクロン未満にもすべきである。
【0015】
第1及び第2の接着チャックは、それぞれ第1及び第2のウェハを垂直面に対して10°未満、より具体的には最大でも約1°の角度で垂直位置に保持又はクランプするように構成する/向けることができる。各ウェハは2つの主面を有する。一例によれば、ウェハの主面は、接着モジュールが置かれている水平面に対して(ほとんど)垂直に向けられる。特に、ウェハの主面は、約10°未満の角度で、より具体的には約10°未満の角度で、さらに具体的には最大で約1°の角度で垂直面の方に傾斜して向けられる。このように向けることによって、ウェハ自体の重量によるウェハの変形(歪み欠陥になる)を回避することができ、直径が300mmを超えるより大きいウェハを確実に加工することができる。特に、第1及び第2の接着チャックは、垂直面に対して10°未満で垂直に配置される。
【0016】
この装置はまた、装置の異なるモジュールの動作、並びにロボット手段による1つのモジュールから別のモジュールへのウェハの移送を制御する制御ユニットを含むこともできる。
【0017】
応用例により必要な場合には、接着モジュール内に光学位置決めシステムを設けることができ、このシステムは、ウェハ上のアライメントマークの正確な位置を特定するように動作し、次に、特定されたアライメントマークに従って、2つのチャックを並進及び回転で移動させてウェハを位置合わせする。
【0018】
実際の分子接着工程は、例えば米国特許出願公開第20100122762号明細書に開示されている別の代替実施形態による上述の制御ユニットによって制御することができる。第1の手法によれば、クランプは解放されて2つのウェハがそのチャックから外れ、付加的な力が局所的に加えられてウェハの密な接触が生じ(作用する分子力に関して)、接着波伝搬が開始する。この付加的な力は、ウェハが変形することにならないよう最小限にしなければならない(例えば5N未満、さらには1N未満にも)。すなわち、本発明の装置は、制御ユニットをさらに備えることができ、この制御ユニットは、第1及び第2の接着チャックを互いに移動するように制御して、第1及び第2のウェハを互いに既定の距離のところに置き、第1及び第2のウェハを既定の距離のところで解放して、第1及び第2のウェハの少なくとも一方に適切な局所的力適用手段によって力を局所的に加えることを開始し、その結果、第1と第2のウェハが局所的に互いに近くなって接着が開始されることになるように構成されている。ここで、また以下で、接着は、互いに接近した接着されるべき各ウェハの主面の間に作用する分子力によって開始されることを理解されたい。
【0019】
第2の手法によれば、密な接触がまず生じ、次に、ウェハのクランプ解除が段階的に行われる。密な接触(作用する分子力に関して)は、2つのウェハを互いに接触させながら、ウェハの少なくとも一方を局所的にわずかに変形させることによって生じさせることができる。変形は、ウェハをチャックに保持しておくクランプ力を局所的に低減することによって実現することができる。密な接触が生じた後、クランプ解除が段階的に行われて接着波の伝搬速度が制御される。第3の手法によれば、クランプ解除は段階的ではなく、接着波伝搬のどんな制御も用いずに非段階的に行われる。後者の手法は、実施するのがより容易である。
【0020】
したがって、本発明による装置は、制御ユニットをさらに備えることができ、この制御ユニットは、第1及び第2の接着チャックを互いに移動するように制御して、第1及び第2のウェハを互いに既定の距離のところに置き、続いて、第1及び第2のウェハをそれぞれ保持するために第1及び/又は第2の接着チャックによって加えられたクランプ力を局所的に減少させ、その結果、第1と第2のウェハが局所的に互いに近くなって接着が開始されることになるように構成されている。
【0021】
この制御ユニットは、第1と第2のウェハが局所的に互いに近くなって接着が開始されると、第1及び/又は第2のウェハの段階的又は非段階的な解放を制御するように構成することができる。
【0022】
本発明は、さらに、上述の各例のうちの1つの装置を備える製造システムを提供し(下記の詳細な議論も参照)、このシステムは、
製造システムにウェハを(外部環境から)導入するように構成された装填ポートモジュールと、
製造システムに導入されたウェハの表面のプラズマ処理を実施するように構成されたプラズマモジュールと、
ウェハの表面を洗浄するように構成された洗浄モジュールと、
装填ポートモジュール、プラズマモジュール、洗浄モジュール及び装填ロックモジュールの1つから、これらのモジュールの別の1つまでウェハを搬送するように構成された可動ロボット手段と、をさらに備える。
【0023】
1つ又は複数のプラズマモジュールは、ウェハの主面の一方又は両方を活性化するために設けることができる。洗浄モジュールでは、接着モジュール内で互いに接着されるべきウェハの表面を洗浄及び/又はブラッシングすることができる。ロボット手段は、ウェハを操作して装填ポートから任意の個別モジュールまで、さらに1つのモジュールから他のモジュールまでウェハを移送するように構成される。ロボットは特に、1つの場所から他の場所へのウェハの移送を可能にするために、ロボット移動領域に沿って移動している。このシステムはまた、個々のモジュールの動作と、ロボット手段によるウェハの移送とを制御する制御ユニットを含むこともできる。
【0024】
上述の必要性はまた、本明細書に提示された半導体ウェハを接着する方法によっても対処され、この方法は、
接着モジュールの真空チャンバを排気するステップと、
接着モジュールに接続されている装填ロックモジュールまで少なくとも第1のウェハを移送するステップと、
少なくとも第1のウェハを装填ロックモジュールへ移送後に装填ロックモジュールを排気するステップと
少なくとも第1のウェハを、排気された装填ロックモジュールから接着モジュールの排気された真空チャンバまで移送するステップと、
少なくとも第1のウェハの移送後に真空チャンバの真空度を任意選択で調整するステップと(このステップが、接着されるウェハの品質の理由により所望される場合)、
第1のウェハ及び第2のウェハをそれぞれ第1及び第2の接着チャックに配置するステップと、
第1のウェハの主面と第2のウェハの主面が局所的に互いに近くに来て接着が開始されるように、第1及び/又は第2の接着チャックの動きによって第1及び第2のウェハを互いに移動させるステップと、を含む。
【0025】
特に、第1及び第2のウェハは、それぞれ第1及び第2の接着チャックに、垂直面に対して10°未満の垂直位置で配置し、互いに近いその垂直位置で移動して接着を開始することができる。
【0026】
本発明は、
第1のウェハを保持するように構成された少なくとも第1の可動接着チャックと、
第1の接着チャックと異なる、第1のウェハとは別の第2のウェハを保持するように構成された第2の可動接着チャックとを備える接着モジュールをさらに提供し、
第1及び第2の接着チャックは、それぞれ第1及び第2のウェハを垂直面に対して10°未満の垂直位置に保持するように構成されている。接着チャックは、第1及び第2のウェハを機械的手段、静電的手段、又は真空によって保持するように構成することができる。
【0027】
この接着モジュールの第1及び第2の接着チャックは、垂直面に対して10°未満で垂直に配置される。
【0028】
さらに、接着モジュールは真空チャンバを備えることができ、第1及び第2の接着チャックは、この真空チャンバ内に設けられる。この接着モジュールは、半導体デバイス製造装置との関連で上述した装填ロックモジュールと組み合わせることができる。
【0029】
結局は、別の半導体ウェハと接着されるべき半導体ウェハを、その半導体ウェハが垂直面に対して10°未満の垂直位置に保持されるように保持する構成とした接着チャックが提供される。特に、ウェハの主面は、約10°未満の角度で、より具体的には約10°未満の角度で、さらに具体的には最大で約1°の角度で垂直面の方に傾斜して向けられる。特に、ウェハの主面と接触するチャックの主面は、垂直面に対して10°未満で垂直に向けることができる。接着チャックは、ウェハを機械的手段、静電的手段、又は真空によって保持することができる。