(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776569
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】褥瘡予防用マットレス
(51)【国際特許分類】
A47C 27/00 20060101AFI20150820BHJP
A61G 7/05 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
A47C27/00 Z
A61G7/05
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-15858(P2012-15858)
(22)【出願日】2012年1月27日
(65)【公開番号】特開2013-153876(P2013-153876A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(72)【発明者】
【氏名】尾田 雅文
(72)【発明者】
【氏名】迎 寛人
(72)【発明者】
【氏名】田中 正喜
(72)【発明者】
【氏名】池野 正行
【審査官】
大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3042724(JP,U)
【文献】
特表2013−500106(JP,A)
【文献】
実開昭49−003813(JP,U)
【文献】
特開平07−132128(JP,A)
【文献】
特開2002−360382(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0094808(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00
A61G 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2層構造を有するシリコーン樹脂製ブロックを積層してなり、前記シリコーン樹脂製ブロックは、第1のシリコーン樹脂からなる外郭部と、この外郭部に内包された内側部を備えたことを特徴とする褥瘡予防用マットレス。
【請求項2】
前記内側部は、前記第1のシリコーン樹脂よりも軟質の第2のシリコーン樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の褥瘡予防用マットレス。
【請求項3】
前記内側部は、中空であることを特徴とする請求項1記載の褥瘡予防用マットレス。
【請求項4】
前記シリコーン樹脂製ブロックは、一辺が10〜15mmの立方体であり、前記外郭部の厚さが0.3〜0.4mmであることを特徴とする請求項2又は3記載の褥瘡予防用マットレス。
【請求項5】
前記第1のシリコーン樹脂のヤング率が0.4MPa以上であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載の褥瘡予防用マットレス。
【請求項6】
前記第2のシリコーン樹脂のヤング率が0.1MPa以下であることを特徴とする請求項2、4、5のいずれか1項記載の褥瘡予防用マットレス。
【請求項7】
前記シリコーン樹脂製ブロックを上下2段に積層してなることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項記載の褥瘡予防用マットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護用具としての褥瘡予防用マットレスに関する。
【背景技術】
【0002】
日本の高齢化率は、1970年(昭和45年)に7%を超えると、その24年後の1994年(平成6年)には14%に達した。さらに総務省は、2007年(平成19年)11月1日の推計人口において、75歳以上の総人口に占める割合が10%を超えたことを発表した。このように、日本の高齢化は、世界に例をみない速度で進行している。高齢者人口が増加するにつれて、要介護高齢者も今後、急増することが予想される。そして、要介護者(要介護・要支援認定者で第2号被保険者を含む)の高齢者人口に対する割合は平成13年度(平成14年1月末)の12.3%から平成19年度には17.0%まで上昇すると予測されている。
【0003】
このように要介護者は今後とも確実に増加すると予測されており、要介護者により日常的に使用される褥瘡予防用マットレスの需要も高まりつつある。そして、市場の要求に応じて、さまざまな褥瘡予防用マットレスが開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
また、既存製品では十分な効果が期待できない重篤な要介護者に対しては、従来、カスタムメイドによる個々人に適した形状や機械的特性を有する褥瘡予防用マットレスが提供されている。しかし、このような褥瘡予防用マットレスを製作するためには、熟練した技能が必要となり、市場の要求に応じ切れないという問題があった。さらに、このような要介護者は、日々の体調等の変化により、適した褥瘡予防用マットレスの形状や機械的特性が安定しないケースが多数報告されている。このような場合、補助用のマットレスとの併用や皮膚にシール状のシートを貼る、あるいはワセリン等を塗布することで、対応がなされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−33329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明では上記問題点に鑑み、既存製品では十分な効果が期待できない重篤な要介護者に対応して、個々人に適した形状や機械的特性を有し、熟練した技能を必要とせずに設計、製造が可能な、新規の褥瘡予防用マットレスを提供することをその目的とする。さらには、要介護者の日々の体調等の変化に対応して任意にカスタマイズ可能な褥瘡予防用マットレスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載の褥瘡予防用マットレスは、2層構造を有するシリコーン樹脂製ブロックを積層してな
り、前記シリコーン樹脂製ブロックは、第1のシリコーン樹脂からなる外郭部と、この外郭部に内包された内側部を備えたことを特徴とする
。
【0008】
本発明の請求項
2記載の褥瘡予防用マットレスは、請求項
1において、前記内側部は、前記第1のシリコーン樹脂よりも軟質の第2のシリコーン樹脂からなることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項
3記載の褥瘡予防用マットレスは、請求項
1において、前記内側部は、中空であることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項
4記載の褥瘡予防用マットレスは、請求項2
又は3において、前記シリコーン樹脂製ブロックは、一辺が10〜15mmの立方体であり、前記外郭部の厚さが0.3〜0.4mmであることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項
5記載の褥瘡予防用マットレスは、請求項2〜
4のいずれか1項において、前記第1のシリコーン樹脂のヤング率が0.4MPa以上であることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項
6記載の褥瘡予防用マットレスは、請求項
2、
4、
5のいずれか1項において、前記第2のシリコーン樹脂のヤング率が0.1MPa以下であることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項
7記載の褥瘡予防用マットレスは、請求項
4〜
6のいずれか1項において、前記シリコーン樹脂製ブロックを上下2段に積層してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の褥瘡予防用マットレスによれば、2層構造を有するシリコーン樹脂製ブロックを積層してなることにより、体圧分散性と体位保持性を両立した、個々人の体質に適した褥瘡予防用マットレスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1の褥瘡予防用マットレス及び褥瘡予防用マットレスを構成するシリコーン樹脂製ブロックの実施例を示す斜視図である。
【
図2】実施例2の人体3次元CADモデルの一例を示す説明図である。
【
図3】実施例2の人体FEMモデルを用いた応力解析における境界条件の一例を示す説明図である。
【
図4】実施例2の人体FEMモデルを用いた応力解析の結果と感圧導電ゴムセンサを用いてマットレスと人体間に作用する接触圧力を計測した結果の比較を示すグラフである。
【
図5】実施例2の計算力学モデルに用いた褥瘡予防用マットレスの条件を示す説明図である。
【
図6】実施例2の計算力学モデルを用いて解析した臀部表面のミーゼス応力を示す分布図である。
【
図7】実施例2の体位保持性を解析するために用いた褥瘡予防用マットレスの傾斜条件等を示す説明図である。
【
図8】実施例2の計算力学モデルを用いて解析した仙骨部の水平方向移動量を変位として示したグラフである。
【
図9】実施例2のFEM解析を行うことで得られた皮下組織における矢状面上のミーゼス応力を示す分布図である。
【
図10】実施例3の褥瘡予防用マットレスの上面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の褥瘡予防用マットレスの実施例について、添付した図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
本実施例の褥瘡予防用マットレスを
図1に示す。1は褥瘡予防用マットレスであり、褥瘡予防用マットレス1は、立方体形状を有するシリコーン樹脂製ブロック2を上下2段に積層することで構成されている。また、シリコーン樹脂製ブロック2は、第1のシリコーン樹脂からなる外郭部3と、第2のシリコーン樹脂からなる内側部4を備えた2層構造となっている。そして、内側部4を形成する第2のシリコーン樹脂は、外郭部3を形成する第1のシリコーン樹脂よりも軟質になっている。
【0018】
外郭部3は主に体位保持と、シリコーン樹脂製ブロック2同士の接合を担う。シリコーン樹脂製ブロック2同士の接合は、オーダーメイド型マットレスとして提供する等の場合は分解不可能としても良いが、着脱可能とすれば、日々の体調に合わせてマットレスユーザーが、任意にカスタマイズすることが可能となる。一方、内側部4は、主に体圧分散機能を担う。なお、本実施例においては、シリコーン樹脂製ブロック2の形状は、立方体形状となっているが、これに限らず、球状、円柱状、多角形柱状、多角形錐、円錐等の形状であってもよい。
【0019】
ここで、第1のシリコーン樹脂としては、ヤング率が0.4MPa以上のものが好適に用いられ、例えば、ヤング率が0.676MPaである信越化学工業株式会社製のKE−1950A/Bを用いることができる。また、第2のシリコーン樹脂としては、ヤング率が0.1MPa以下のものが好適に用いられ、例えば、ヤング率が0.04MPaである信越化学工業株式会社製のKE−1052A/Bを用いることができる。或いは、第2のシリコーン樹脂を用いずに内側部4を中空としたシリコーン樹脂製ブロック2を併用してもよい。内側部4を中空としたシリコーン樹脂製ブロック2を併用した場合は、褥瘡予防用マットレス1の軽量化が図られる。
【0020】
また、シリコーン樹脂製ブロック2は、例えば、一辺が10〜15mmの立方体であり、外郭部の厚さが0.3〜0.4mmとなっている。この寸法とすることによって、体圧分散性及び体位保持性を両立することが可能となる。
【0021】
以上の本実施例の褥瘡予防用マットレスは、2層構造を有するシリコーン樹脂製ブロック2を積層してなる。また、前記シリコーン樹脂製ブロック2は、第1のシリコーン樹脂からなる外郭部3と、この外郭部3に内包された内側部4を備えている。そして、前記内側部4は、前記第1のシリコーン樹脂よりも軟質の第2のシリコーン樹脂からなる。本実施例の褥瘡予防用マットレスによれば、2層構造を有するシリコーン樹脂製ブロック2を積層してなることにより、体圧分散性と体位保持性を両立した、個々人の体質に適した褥瘡予防用マットレスを提供することができる。
【0022】
また、本発明の褥瘡予防用マットレスは、滅菌処理にも耐えうるシリコーン樹脂で構成されるため、医療現場での使用も可能である。
【0023】
また、内側部4を中空としたシリコーン樹脂製ブロック2を併用することで、体圧分散特性と体位保持性能のバランスを任意に変更可能であり、マットレス全体の軽量化を図ることができるほか、体圧分散性能の向上も期待できる。
【0024】
また、本実施例の褥瘡予防用マットレスは、計算力学手法、人体3次元形態計測技術を用いた各種シミュレーションを駆使して、体位保持、体圧分散等の褥瘡用マットレスに必要な特性が得られるように設計可能である。さらに、その形状を個々人に合わせて、ブロック玩具のようにブロックを組み合わせることにより、自由に構築することが可能である。
【0025】
さらに、これらの効果を可視化するための力学的検討モデルと解析環境を提供することで、これまで熟練技能者が行ってきたカスタムメイドによるマットレス設計と製造が非熟練者であっても可能となる。
【0026】
以下、個々人に適したシリコーン樹脂製ブロック2の積層様式を得るための力学的検討モデルについて説明する。
【実施例2】
【0027】
人体断面写真に基づいて、骨、筋、皮膚、脂肪のそれぞれの組織を抽出し、3次元形状の再構築を図ることで、
図2に示す人体3次元CADモデルと、これに基づいて計算力学を行うための人体FEMモデルを作成した。表1にそれぞれの組織に適用する機械的特性を示す。
【0028】
【表1】
【0029】
なお、現有の力学的検討モデルは、人体断面写真に基づいて作成した3次元有限要素モデルであり、骨要素(ソリッド)、筋要素(ソリッド)、脂肪要素(ソリッド)、皮膚要素(シェル)から構成されるが、更なる高精度な力学的検討モデルを必要とする場合には、X線CT画像やMRI画像等の医用画像に基づいて作成することも可能である。
【0030】
この人体FEMモデルを用いて
図3に示す境界条件を設定した。この境界条件は、マットレス底面の6自由度を拘束し、実測値に基づいて大腿部とマットレスの間隔を5mm、腰部とマットレスの間隔を0mmとして腰部と大腿部の骨に変位制御を行なって設定した。なお、自重は考慮していない。
【0031】
そして、応力解析した結果と感圧導電ゴムセンサを用いてマットレスと人体間に作用する接触圧力を計測した結果の比較を
図4に示す。なお、接触圧力は、平均体重61.5kg、平均身長173cmの成人男性3名を被験者とし、幅396mm、奥行き396mm、厚さ36mmのサイズのマットレスを使用して計測した。また、マットレスは、軟質シリコーン樹脂(ヤング率0.04MPa、ポアソン比0.495)の表面をポリエチレン(ヤング率16.17MPa、ポアソン比0.495)で被覆したマットレスを用い、皮膚とマットレスの相互作用条件として、摩擦係数を0.53として応力解析を行った。
【0032】
応力解析した結果と接触圧力を計測した結果は、定性的かつ定量的に一致し、この人体FEMモデルが実際の接触状態を再現可能であることがわかった。したがって、この人体FEMモデルを用いることで、容易に計測ができない人体内部に作用する応力の状況を評価することが可能となり、特に、人体内部に発生する褥瘡の予測を通じ、適切な褥瘡予防用マットレスの設計が可能となる。
【0033】
つぎに、上記で作成した人体FEMモデルを用いた計算力学モデルにより、シリコーン樹脂製ブロック2のサイズ(P)を
図5に示すように18mm、12mm、9mmと変化させ、それぞれの外殻部3の厚さを0.5mm、0.35mm、0.25mmとした場合における、褥瘡予防用マットレス1の体圧分散性能と体位保持性能に及ぼす影響について評価した。ここで、外郭部3を構成する第1のシリコーン樹脂のヤング率は0.676MPa、ポアソン比は0.495とし、内側部4を構成する第2のシリコーン樹脂のヤング率は0.04MPa、ポアソン比は0.495とした。また、外郭部3の厚さ(t/2)は、シリコーン樹脂製ブロック2のサイズ(P)を変化させても見かけの弾性係数が等しくなるように調整した。また、シリコーン樹脂製ブロック2を上下2段に積層した場合を想定した。
【0034】
上記の計算力学モデルに基づいて明らかにした臀部表面のミーゼス応力分布を
図6に示す。シリコーン樹脂製ブロック2のサイズが小さくなるにしたがって、仙骨周辺の応力値が大きくなる傾向があることがわかった。したがって、体圧分散性能を重視する場合は、シリコーン樹脂製ブロック2のサイズを大きくすれば良く、サイズを18mm又は12mmとした場合に良好な性能が得られることがわかった。
【0035】
つぎに、
図7に示すように傾斜した床面上に褥瘡予防用マットレス1が設置されている場合における、体位保持性について検討した。なお、被験者の平均体重を61.5kg、坂道の角度を6.84度と想定し、人体FEMモデルに水平方向荷重71.8Nを指定した。また、マットレス底面の6自由度を拘束し、大腿部とマットレスの間隔を5mm、腰部とマットレスの間隔を0mmとして腰部と大腿部の骨に変位制御を行なって境界条件を設定した。なお、自重は考慮していない。
【0036】
その結果を
図8に示す。
図8は、外郭部3を有しない場合と、シリコーン樹脂製ブロック2のサイズを18mm、12mm、9mmとした場合において、計算力学モデルにより得られた仙骨部の水平方向移動量を変位として示している。この結果より、シリコーン樹脂製ブロック2のサイズが小さいほど、変位が小さく、体位保持性能が高いことがわかった。
【0037】
以上の結果より、体圧分散性能と体位保持性能の双方を総合的に評価した場合、シリコーン樹脂製ブロック2の一辺が18mm、9mmのときよりも、12mmのときに良好な結果が得られた。したがって、本実施例で設定した条件において、シリコーン樹脂製ブロック2を一辺が10〜15mmの立方体とし、外郭部3の厚さを0.3〜0.4mmとすることで、体圧分散性能と体位保持性能を両立させることが可能であることがわかった。
【0038】
さらに、シリコーン樹脂製ブロック2のサイズを18mm、12mm、9mmとした場合において、FEM解析を行うことで得られた皮下組織における矢状面上のミーゼス応力分布を
図9に示す。いずれのサイズにおいても、仙骨周辺の筋組織において、高いミーゼス応力が発生していることがわかった。この結果は、臨床の現場において、褥瘡が皮膚表面から発生するのではなく、内部から発生するという報告例と整合する。試作品を用いて接触圧力を実測するだけではわからない、人体内部に作用するミーゼス応力を評価する上で、力学的検討モデルを用いた解析が有効であることが確認された。そして、本発明の褥瘡予防用マットレスは、FEM解析を利用することにより、熟練した技能を必要とせずに、個々人に適した形状や機械的特性を有するように設計、製造が可能であることが確認された。
【0039】
以上のように、本発明の褥瘡予防用マットレスは、個々人に適したブロックの積層様式を得るための力学的検討モデルの提供が可能である。有限要素法に基づく応力計算を行うことで、褥瘡予防用マットレスの構造を体圧分散性能、体位保持性能、質量等の各項目から検討し、最適構造を評価することができる。
【実施例3】
【0040】
内側部4を中空としたシリコーン樹脂製ブロック2を併用した場合について、実施例2の力学的検討モデルを用いて検討した。
【0041】
シリコーン樹脂製ブロック2のサイズを18mmとし、実施例2においてミーゼス応力が大きくなった仙骨周辺の8箇所において、
図10に示すように、上段に千鳥状に内側部4を中空としたシリコーン樹脂製ブロック2を配置した。また、仙骨近傍の2箇所においては、上下2段ともに内側部4を中空としたシリコーン樹脂製ブロック2を配置した。
【0042】
その結果、体圧分散性能は、内側部4を中空としたシリコーン樹脂製ブロック2を配置しない場合よりも良好な数値が得られた。また、体位保持性能は、内側部4を中空としたシリコーン樹脂製ブロック2を配置しない場合と同等な数値が得られた。
【0043】
内側部4を中空としたシリコーン樹脂製ブロック2を併用することにより、軽量化が図れるばかりでなく、体圧分散性能をも向上させることができることが確認された。
【0044】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。