(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の信号線と、前記複数の信号線と離間して交差するように配列された複数のデータ線と、前記信号線と前記データ線との交差点付近の領域にそれぞれ形成された容量性負荷とを有する表示パネルを駆動する駆動回路であって、
第1電源電圧と該第1電源電圧よりも低い第2電源電圧とを用いて動作して正極性の直流電圧成分を有するアナログ電圧を出力する第1のオペアンプと、
第3電源電圧と該第3電源電圧よりも低い第4電源電圧とを用いて動作して負極性の直流電圧成分を有するアナログ電圧を出力する第2のオペアンプと、
前記第1のオペアンプの出力端子の接続先を前記複数のデータ線のうちの第1のデータ線から該第1のデータ線とは異なる第2のデータ線へ切り替えると同時に、前記第2のオペアンプの出力端子の接続先を前記第2のデータ線から前記第1のデータ線に切り替えるスイッチ回路と、
を備え、
前記第1のオペアンプは、
前記第1のオペアンプにおいて形成された、前記第2電源電圧を供給する電源ラインに接続されたアノードと前記第1のオペアンプの出力端子に接続されたカソードとを有する第1の寄生ダイオードと、
第1の保護スイッチ回路と
を含み、
前記スイッチ回路が前記第1のオペアンプの出力端子の接続先を前記第1のデータ線から前記第2のデータ線に切り替える場合に、
前記第1の保護スイッチ回路は、
前記スイッチ回路により前記第1のオペアンプの出力端子の接続先が前記第1のデータ線から電気的に切り離される直前に、前記第1の寄生ダイオードのアノードを前記第2電源電圧を供給する前記電源ラインから電気的に切り離し且つ前記第1の寄生ダイオードのアノードを前記第2電源電圧よりも低い電圧を供給する第1の電圧供給ラインに接続し、
前記スイッチ回路により前記第1のオペアンプの出力端子の接続先が前記第2のデータ線に接続された後に、前記第1の寄生ダイオードのアノードを、前記第1の電圧供給ラインから電気的に切り離し且つ前記第2電源電圧を供給する前記電源ラインに接続する
ことを特徴とする駆動回路。
請求項1に記載の駆動回路であって、前記第1の寄生ダイオードは、nチャネル型電界効果トランジスタのバックゲートと該nチャネル型電界効果トランジスタのソースまたはドレインとの間のpn接合により形成されたものであることを特徴とする駆動回路。
請求項1から3のうちのいずれか1項に記載の駆動回路であって、前記第1の電圧供給ラインは、前記第4電源電圧よりも高い電圧を供給することを特徴とする駆動回路。
複数の信号線と、前記複数の信号線と離間して交差するように配列された複数のデータ線と、前記信号線と前記データ線との交差点付近の領域にそれぞれ形成された容量性負荷とを有する表示パネルを駆動する駆動回路であって、
第1電源電圧と該第1電源電圧よりも低い第2電源電圧とを用いて動作して正極性の直流電圧成分を有するアナログ電圧を出力する第1のオペアンプと、
第3電源電圧と該第3電源電圧よりも低い第4電源電圧とを用いて動作して負極性の直流電圧成分を有するアナログ電圧を出力する第2のオペアンプと、
前記第1のオペアンプの出力端子の接続先を前記複数のデータ線のうちの第1のデータ線から該第1のデータ線とは異なる第2のデータ線へ切り替えると同時に、前記第2のオペアンプの出力端子の接続先を前記第2のデータ線から前記第1のデータ線に切り替えるスイッチ回路と、
を備え、
前記第2のオペアンプは、
前記第2のオペアンプにおいて形成された、前記第3電源電圧を供給する電源ラインに接続されたカソードと前記第2のオペアンプの出力端子に接続されたアノードとを有する第2の寄生ダイオードと、
第2の保護スイッチ回路と
を含み
前記スイッチ回路が前記第2のオペアンプの出力端子の接続先を前記第2のデータ線から前記第1のデータ線に切り替える場合に、
前記第2の保護スイッチ回路は、
前記スイッチ回路により前記第2のオペアンプの出力端子の接続先が前記第2のデータ線から電気的に切り離される直前に、前記第2の寄生ダイオードのカソードを前記第3電源電圧を供給する前記電源ラインから電気的に切り離し且つ前記第2の寄生ダイオードのカソードを前記第3電源電圧よりも高い電圧を供給する第2の電圧供給ラインに接続し、
前記スイッチ回路により前記第2のオペアンプの出力端子の接続先が前記第1のデータ線に接続された後に、前記第2の寄生ダイオードのカソードを、前記第2の電圧供給ラインから電気的に切り離し且つ前記第3電源電圧を供給する前記電源ラインに接続する
ことを特徴とする駆動回路。
請求項6または7に記載の駆動回路であって、前記第2の寄生ダイオードは、pチャネル型電界効果トランジスタのバックゲートと該pチャネル型電界効果トランジスタのソースまたはドレインとの間のpn接合により形成されたものであることを特徴とする駆動回路。
請求項6から9のうちのいずれか1項に記載の駆動回路であって、前記第2の電圧供給ラインは、前記第1電源電圧よりも低い電圧を供給することを特徴とする駆動回路。
請求項13に記載の表示装置であって、前記容量性負荷は、前記正極性または負極性の直流電圧成分を有する当該アナログ電圧が供給される画素電極と対向電極とに挟み込まれた液晶層を含む液晶表示素子であることを特徴とする表示装置。
複数の信号線と、前記複数の信号線と離間して交差するように配列された複数のデータ線と、前記信号線と前記データ線との交差点付近の領域にそれぞれ形成された容量性負荷とを有する表示パネルを駆動する駆動回路であって、
第1電源電圧と該第1電源電圧よりも低い第2電源電圧とを用いて動作して正極性の直流電圧成分を有するアナログ電圧を出力する第1のオペアンプと、
第3電源電圧と該第3電源電圧よりも低い第4電源電圧とを用いて動作して負極性の直流電圧成分を有するアナログ電圧を出力する第2のオペアンプと、
前記第1のオペアンプの出力端子の接続先を前記複数のデータ線のうちの第1のデータ線から該第1のデータ線とは異なる第2のデータ線へ切り替えると共に、前記第2のオペアンプの出力端子の接続先を前記第2のデータ線から前記第1のデータ線に切り替える動作を行う第1スイッチ回路と、
前記第2電源電圧を供給する電源ラインに接続された第1のアノードと前記第1のオペアンプの出力端子に接続された第1のカソードとを有する第1の寄生ダイオードと、
前記第3電源電圧を供給する電源ラインに接続された第2のカソードと前記第2のオペアンプの出力端子に接続された第2のアノードとを有する第2の寄生ダイオードと、
前記第1のアノードの接続先を、前記第2電源電圧を供給する前記電源ラインから前記第2電源電圧より低い電圧を供給する第1の電圧供給ラインに切り替えると共に、前記第2のカソードの接続先を、前記第3電源電圧を供給する前記電源ラインから前記第3電源電圧より高い電圧を供給する第2の電圧供給ラインに切り替える第2スイッチ回路と
を含み、
前記第2スイッチ回路は、
前記第1スイッチ回路の前記動作の直前において、
前記第1のアノードの接続先を、前記第2電源電圧を供給する前記電源ラインから前記第1の電圧供給ラインに切り替え、
前記第2のカソードの接続先を、前記第3電源電圧を供給する前記電源ラインから前記第2の電圧供給ラインに切り替え、
前記第1スイッチ回路により、前記第1のオペアンプの出力端子の接続先が前記第2のデータ線に接続され、前記第2のオペアンプの出力端子の接続先が前記第1のデータ線に接続された後に、
前記第1の寄生ダイオードの第1のアノードを、前記第1の電圧供給ラインから電気的に切り離し且つ前記第2電源電圧を供給する前記電源ラインに接続し、
前記第2の寄生ダイオードの第2のカソードを、前記第2の電圧供給ラインから電気的に切り離し且つ前記第3電源電圧を供給する前記電源ラインに接続する
ことを特徴とする駆動回路。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る種々の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
実施の形態1.
図2は、本発明に係る実施の形態1の液晶表示装置1の概略構成を示す機能ブロック図である。この液晶表示装置1は、
図2に示されるように、液晶表示パネル2,ソースドライバ3,ゲートドライバ4,コントローラ5及び電源回路6を備えている。ソースドライバ3及びゲートドライバ4の動作はコントローラ5によって制御される。
【0016】
液晶表示パネル2は、バックライトユニット(図示せず)と、互いに並行に配列された走査線(ソース線)41,…,41と、これら走査線41,…,41と離間して交差するように配列されたデータ線(ソース線)31A,31B,31A,31B,…,31A,31Bとを有する。
図1において、符号31Aは奇数番目のデータ線を、符号31Bは偶数番目のデータ線をそれぞれ示している。データ線31A,31Bと走査線41との各交差点付近には表示画素DPが設けられている。
図1に示されるように、これら表示画素DP,…,DPは2次元配列されており、各表示画素DPが、一対の画素電極及び対向電極に挟まれた液晶層を有する液晶表示素子(容量性負荷)22と、この液晶表示素子22への電界の印加を制御するTFTなどの能動素子21とを含む。画素電極には能動素子21の被制御端子の一方が接続され、対向電極には、電源回路6から供給されたコモン電圧が印加される。また、能動素子21の被制御端子の他方はデータ線31Aまたはデータ線31Bに接続され、能動素子21の制御端子(ゲート)は走査線41に接続されている。
【0017】
コントローラ5は、外部の信号源(図示せず)から供給されたデータ信号に画像処理を施してデジタルデータDDを生成し、これを水平表示ライン単位でソースドライバ3に出力する。ゲートドライバ4は、走査線41,…,41に順次パルス電圧を出力して能動素子21をオン状態にする。ソースドライバ3は、デジタルデータDDをアナログ階調電圧(以下、単に「階調電圧」と呼ぶ。)に変換し、これら階調電圧をインピーダンス変換してデータ線31A,31B,…,31A,31Bにパラレル出力することにより、オン状態の能動素子21を介して液晶表示素子22の画素電極に階調電圧を印加することができる。各表示画素DPはその階調電圧を保持する。この結果、液晶表示素子22の画素電極と対向電極との間には階調電圧とコモン電圧との電圧差に応じた電界が形成される。液晶表示素子22では、形成された電界に応じて液晶分子が配向し、液晶分子の配向状態に応じた光透過率が形成される。
【0018】
図3は、実施の形態1のソースドライバ3の構成例を概略的に示す図である。
図3に示されるように、ソースドライバ3は、シフトレジスタ32,2ラインラッチ回路33,ライン切替回路34,レベルシフト回路35,電圧変換回路36,インピーダンス変換回路37,ライン切替回路38及び階調電圧発生回路39を有する。
【0019】
インピーダンス変換回路37は、ボルテージフォロアタイプの低圧側オペアンプ37Aと、ボルテージフォロアタイプの高圧側オペアンプ37Bとの組を複数有している。
図4は、これら低圧側オペアンプ37Aと高圧側オペアンプ37Bとを概略的に示す図である。
図4に示されるように、高圧側オペアンプ37Bは、電源電圧VDDとこの電源電圧VDDよりも低い共通電源電圧VMMとを用いて動作する非反転増幅器であり、低圧側オペアンプ37Aは、共通電源電圧VMMとこの共通電源電圧VMMよりも低い電源電圧VSSとを用いて動作する非反転増幅器である。
【0020】
図3のシフトレジスタ32は、コントローラ5から転送されたデジタルデータ(多値階調データ)DDを取り込み、データ線31A,31B,…,31A,31Bと一対一で対応する配線ラインSa,Sb,…,Sa,Sbを介して1水平表示ライン分のデジタルデータを2ラインラッチ回路33にパラレルに出力する。ここで、符号Saは奇数番目のデータ線31Aに対応する配線ラインを、符号Sbは偶数番目のデータ線31Bに対応する配線ラインをそれぞれ示している。2ラインラッチ回路33は、シフトレジスタ32のパラレル出力をラッチするとともに、配線ラインSa,Sb,…,Sa,Sbと一対一で対応する配線ラインRa,Rb,…,Ra,Rbを介して保持データをライン切替回路34にパラレルに出力する。
【0021】
ライン切替回路34は、一対の配線ラインRa,Rb毎に設けられたスイッチ回路341を有する。各スイッチ回路341は、コントローラ5からの制御信号SW1に応じて動作する。ライン切替回路34よりも後段にあるレベルシフト回路35は、負極性の階調電圧用のレベルシフタ35Aと正極性の階調電圧用のレベルシフタ35Bとの組を有している。スイッチ回路341は、あるタイミングで、一対の配線ラインRa,Rbのうち一方の配線ラインRaをレベルシフタ35Aに接続すると同時に、他方の配線ラインRbをレベルシフタ35Bに接続することにより、配線ラインRaから伝達した信号をレベルシフタ35Aに供給し、且つ、配線ラインRbから伝達した信号をレベルシフタ35Bに供給する。以下、このときのスイッチ回路341の接続形態を「ストレート接続」と呼ぶこととする。一方、別のタイミングでは、スイッチ回路341は、一方の配線ラインRaをレベルシフタ35Bに接続すると同時に、他方の配線ラインRbをレベルシフタ35Aに接続することにより、配線ラインRaから伝達した信号をレベルシフタ35Bに供給し、且つ、配線ラインRbから伝達した信号をレベルシフタ35Aに供給する。以下、このときのスイッチ回路341の接続形態を「クロス接続」と呼ぶこととする。
【0022】
階調電圧発生回路39は、電源回路6から供給された電圧から、基準電圧(たとえば、GNDレベル)よりも高い2
N個のレベル(Nは正整数)の正極性の階調電圧群VPと、基準電圧よりも低い2
N個のレベルの負極性の階調電圧群VNとを生成し、これらを電圧変換回路36に供給する。たとえば、8ビット階調の表示を行う場合、2
8(=256)個のレベルの正極性の階調電圧と、2
8レベルの負極性の階調電圧とが生成される。電圧変換回路36においては、階調電圧選択部36Aは、負極性の階調電圧群VNの中から、レベルシフタ35Aの出力に対応する階調電圧を選択しこれを低圧側オペアンプ37Aに入力させる。また、階調電圧選択部36Bは、正極性の階調電圧群VPの中から、レベルシフタ35Bの出力に対応する階調電圧を選択しこれを高圧側オペアンプ37Bに入力させる。
【0023】
ライン切替回路38は、低圧側オペアンプ37Aと高圧側オペアンプ37Bの組ごとに設けられたスイッチ回路381を有する。各スイッチ回路381は、コントローラ5から供給された制御信号SW2に応じて動作する。上記スイッチ回路341がストレート接続しているとき、スイッチ回路381は、低圧側オペアンプ37Aの出力端子をデータ線31Aの一端に接続すると同時に、高圧側オペアンプ37Bの出力端子をデータ線31Bの一端に接続する。このときのスイッチ回路381の接続形態も「ストレート接続」と呼ぶこととする。このとき、奇数番目のデータ線31Aには負極性の階調電圧が印加され、偶数番目のデータ線31Bには正極性の階調電圧が印加される。一方、上記スイッチ回路341がクロス接続しているとき、スイッチ回路381は、低圧側オペアンプ37Aの出力端子をデータ線31Bの一端に接続すると同時に、高圧側オペアンプ37Bの出力端子をデータ線31Aの一端に接続する。このときのスイッチ回路381の接続形態も「クロス接続」と呼ぶこととする。このとき、奇数番目のデータ線31Aには正極性の階調電圧が印加され、偶数番目のデータ線31Bには負極性の階調電圧が印加される。
【0024】
ライン切替回路34におけるスイッチ回路341の接続形態とライン切替回路38におけるスイッチ回路381の接続形態との組み合わせにより、反転駆動方式で液晶表示パネル2を駆動することが可能となる。
図5(A),(B)は、ドット反転方式の駆動法を説明するための図であり、
図6(A),(B)は、ライン反転方式の駆動法を説明するための図である。
図5(A),(B)及び
図6(A),(B)中、「+」の記号は、表示画素DPが正極性の階調電圧を保持すること意味し、「−」の記号は、表示画素DPが負極性の階調電圧を保持することを意味する。
【0025】
図5(A),(B)では、水平表示方向に隣り合う表示画素DP,DPはいずれも互いに逆極性の階調電圧を保持し、垂直表示方向に隣り合う表示画素DP,DPも互いに逆極性の階調電圧を保持する。
図5(A)の状態と
図5(B)の状態とは、たとえば、フレーム単位またはフィールド単位で交互に切り替えられる。一方、
図6(A),(B)では、垂直表示方向に隣り合う表示画素DP,DPは互いに同一極性の階調電圧を保持するが、水平表示方向に隣り合う表示ラインはいずれも互いに逆極性の階調電圧を保持する。
図6(A)の状態と
図6(B)の状態とは、たとえば、フレーム単位またはフィールド単位で交互に切り替えられる。
【0026】
図7は、実施の形態1のソースドライバ3における低圧側オペアンプ37A及び高圧側オペアンプ37Bの概略構成と、これら低圧側オペアンプ37A及び高圧側オペアンプ37Bに対応するスイッチ回路381の概略構成とを示す図である。
図7に示されるように、高圧側オペアンプ37Bは、差動増幅段50B、出力増幅段51B及び保護スイッチ回路62を含む。高圧側オペアンプ37Bの出力端子(ノード)NBは、差動増幅段50Bの反転入力端子(−)に接続されている。
【0027】
出力増幅段51Bは、PMOSトランジスタ(pチャネル型電界効果トランジスタ)60Pと、NMOSトランジスタ(nチャネル型電界効果トランジスタ)61Nとを有する。NMOSトランジスタ61Nにおいては、ゲートは、差動増幅段50Bの出力端子と接続され、ソースは、共通電源電圧VMMを供給する電源ライン(以下、VMM電源ラインと呼ぶ。)と接続され、ドレインは、出力端子NBと接続されている。
図7に示されるように、このNMOSトランジスタ61Nのバックゲートとドレインとの間にはpn接合ダイオード(寄生ダイオード)70が形成されている。一方、PMOSトランジスタ60Pにおいては、ソースは、電源電圧VDDを供給する電源ライン(以下、VDD電源ラインと呼ぶ。)と接続され、ドレインは、NMOSトランジスタ61Nのドレインと接続され、ゲートには定電圧が印加されている。また、PMOSトランジスタ60PのバックゲートはVDD電源ラインと接続されている。このPMOSトランジスタ60Pは定電流源として動作する。差動増幅段50Bの構成は、公知の構成であればよく、特に限定されるものではない。
【0028】
保護スイッチ回路62は、MOSスイッチ621,622を含む。一方のMOSスイッチ621は、ゲート電圧(制御電圧)Vp1のレベルに応じて導通状態(オン状態)または非導通状態(オフ状態)となるPMOSトランジスタP1と、ゲート電圧(制御電圧)Vn1のレベルに応じて導通状態(オン状態)または非導通状態(オフ状態)となるNMOSトランジスタN1との対からなる。このMOSスイッチ621の一方の被制御端子はNMOSトランジスタ61Nのバックゲート(すなわち、寄生ダイオード70のアノード)と接続され、MOSスイッチ621の他方の被制御端子はVMM電源ラインと接続されている。他方のMOSスイッチ622は、ゲート電圧(制御電圧)Vp2のレベルに応じて導通状態(オン状態)または非導通状態(オフ状態)となるPMOSトランジスタP2と、ゲート電圧(制御電圧)Vn2のレベルに応じて導通状態(オン状態)または非導通状態(オフ状態)となるNMOSトランジスタN2の対からなる。このMOSスイッチ622の一方の被制御端子はNMOSトランジスタ61Nのバックゲート(すなわち、寄生ダイオード70のアノード)と接続され、MOSスイッチ622の他方の被制御端子は、電源電圧VSSを供給する電源ライン(以下、VSS電源ラインと呼ぶ。)と接続されている。
図2のコントローラ5は、ゲート電圧Vn1,Vp1,Vn2,Vp2を切替制御信号として保護スイッチ回路62に供給する。
【0029】
一方、低圧側オペアンプ37Aは、
図7に示されるように、差動増幅段50A、出力増幅段51A及び保護スイッチ回路67を含む。低圧側オペアンプ37Aの出力端子(ノード)NAは、差動増幅段50Aの反転入力端子(−)に接続されている。
【0030】
出力増幅段51Aは、PMOSトランジスタ(pチャネル型電界効果トランジスタ)65Pと、NMOSトランジスタ(nチャネル型電界効果トランジスタ)66Nとを有する。PMOSトランジスタ65Pにおいては、ゲートは、差動増幅段50Aの出力端子と接続され、ソースは、VMM電源ラインと接続され、ドレインは、出力端子NAと接続されている。
図7に示されるように、このPMOSトランジスタ65Pのバックゲートとドレインとの間にはpn接合ダイオードである寄生ダイオード71が形成されている。一方、NMOSトランジスタ66Nにおいては、ソースはVSS電源ラインと接続され、ドレインはPMOSトランジスタ65Pのドレインと接続され、ゲートには定電圧が印加されている。また、NMOSトランジスタ66NのバックゲートはVSS電源ラインと接続されている。このPMOSトランジスタ60Pは定電流源として動作する。差動増幅段50Aの構成は、公知の構成であればよく、特に限定されるものではない。
【0031】
保護スイッチ回路67は、MOSスイッチ671,672を含む。一方のMOSスイッチ671は、ゲート電圧(制御電圧)Vp3のレベルに応じて導通状態(オン状態)または非導通状態(オフ状態)となるPMOSトランジスタP3と、ゲート電圧(制御電圧)Vn3のレベルに応じて導通状態(オン状態)または非導通状態(オフ状態)となるNMOSトランジスタN3との対からなる。このMOSスイッチ671の一方の被制御端子はPMOSトランジスタ65Pのバックゲート(すなわち、寄生ダイオード71のカソード)と接続され、MOSスイッチ671の他方の被制御端子はVMM電源ラインと接続されている。他方のMOSスイッチ672は、ゲート電圧(制御電圧)Vp4のレベルに応じて導通状態(オン状態)または非導通状態(オフ状態)となるPMOSトランジスタP4と、ゲート電圧(制御電圧)Vn4のレベルに応じて導通状態(オン状態)または非導通状態(オフ状態)となるNMOSトランジスタN4の対からなる。このMOSスイッチ672の一方の被制御端子はPMOSトランジスタ65Pのバックゲート(すなわち、寄生ダイオード71のカソード)と接続され、MOSスイッチ672の他方の被制御端子はVDD電源ラインと接続されている。
図2のコントローラ5は、ゲート電圧Vn3,Vp3,Vn4,Vp4を切替制御信号として保護スイッチ回路67に供給する。
【0032】
図7に示されるスイッチ回路381は、第1〜第4のMOSスイッチ382,383,384,385を含む。第1のMOSスイッチ382は、ゲート電圧(制御電圧)Vsp1のレベルに応じて導通状態(オン状態)または非導通状態(オフ状態)となるPMOSトランジスタSP1と、ゲート電圧(制御電圧)Vsn1のレベルに応じて導通状態(オン状態)または非導通状態(オフ状態)となるNMOSトランジスタSN1との対からなる。第2のMOSスイッチ383は、ゲート電圧(制御電圧)Vsp2のレベルに応じて導通状態(オン状態)または非導通状態(オフ状態)となるPMOSトランジスタSP2と、ゲート電圧(制御電圧)Vsn2のレベルに応じて導通状態(オン状態)または非導通状態(オフ状態)となるNMOSトランジスタSN2との対からなる。第3のMOSスイッチ384は、ゲート電圧(制御電圧)Vsp3のレベルに応じて導通状態(オン状態)または非導通状態(オフ状態)となるPMOSトランジスタSP3と、ゲート電圧(制御電圧)Vsn3のレベルに応じて導通状態(オン状態)または非導通状態(オフ状態)となるNMOSトランジスタSN3との対からなる。そして、第4のMOSスイッチ385は、ゲート電圧(制御電圧)Vsp4のレベルに応じて導通状態(オン状態)または非導通状態(オフ状態)となるPMOSトランジスタSP4と、ゲート電圧(制御電圧)Vsn4のレベルに応じて導通状態(オン状態)または非導通状態(オフ状態)となるNMOSトランジスタSN4との対からなる。
【0033】
図2のコントローラ5は、ゲート電圧Vsp1,Vsn1,Vsp2,Vsn2,Vsp3,Vsn3,Vsp4,Vsn4をスイッチ回路381に供給してスイッチ回路381の接続形態を制御する。スイッチ回路381の接続形態がストレート接続のとき、MOSスイッチ382,385は、導通状態となり、出力端子NBをデータ線31Bに接続し、出力端子NAをデータ線31Aに接続する。また、MOSスイッチ383,384は非導通状態となる。他方、スイッチ回路381の接続形態がクロス接続のときは、MOSスイッチ383,384は、導通状態となり、出力端子NAをデータ線31Bに接続し、出力端子NBをデータ線31Aに接続する。また、MOSスイッチ382,385は非導通状態となる。
【0034】
図8は、スイッチ回路381の接続形態がストレート接続とクロス接続との一方から他方へ切り替えられる際の制御信号波形を示すタイミングチャートである。
図8には、スイッチ回路381に与えられるゲート電圧Vsp1,Vsn1,Vsp2,Vsn2,Vsp3,Vsn3,Vsp4,Vsn4の波形と、保護スイッチ回路62,67に供給されるゲート電圧Vp1,Vn1,Vp2,Vn2,Vp3,Vn3,Vp4,Vn4の波形と、出力端子NA,NBの電位Va,Vbとが示されている。
【0035】
スイッチ回路381の接続形態がストレート接続からクロス接続に切り替えられるとき(時刻t
1付近)、
図8に示されるように、MOSスイッチ382,385を導通状態から非導通状態にするゲート電圧Vsp1,Vsn1,Vsp4,Vsn4が供給される。すなわち、PMOSトランジスタSP1,SP4のゲート電圧Vsp1,Vsp4の波形が立ち上げられ、NMOSトランジスタSN1,SN4のゲート電圧Vsn1,Vsn4の波形が立ち下げられる。同時に、MOSスイッチ383,384を非導通状態から導通状態にするゲート電圧Vsp2,Vsn2,Vsp3,Vsn3が供給される。すなわち、PMOSトランジスタSP2,SP3のゲート電圧Vsp2,Vsp3の波形が立ち下げられ、NMOSトランジスタSN2,SN3のゲート電圧Vsn2,Vsn3の波形が立ち上げられる。
【0036】
高圧側オペアンプ37Bの保護スイッチ回路62では、スイッチ回路381の接続形態がストレート接続からクロス接続に切り替えられる直前(時刻t
1の直前)に、MOSスイッチ621を導通状態から非導通状態にするゲート電圧Vn1,Vp1が供給される。すなわち、NMOSトランジスタN1のゲート電圧Vn1の波形が立ち下げられ、PMOSトランジスタP1のゲート電圧Vp1の波形が立ち上げられる。同時に、MOSスイッチ622を非導通状態から導通状態にするゲート電圧Vn2,Vp2が供給される。すなわち、
図8に示されるように、NMOSトランジスタN2のゲート電圧Vn2の波形が立ち上げられ、PMOSトランジスタP2のゲート電圧Vp2の波形が立ち下げられる。
【0037】
時刻t
1から所定時間経過後は、MOSスイッチ621を非導通状態から導通状態にするゲート電圧Vn1,Vp1が供給される。すなわち、NMOSトランジスタN1のゲート電圧Vn1の波形が立ち上げられ、PMOSトランジスタP1のゲート電圧Vp1の波形が立ち下げられる。同時に、MOSスイッチ622を導通状態から非導通状態にするゲート電圧Vn2,Vp2が供給される。すなわち、NMOSトランジスタN2のゲート電圧Vn2の波形が立ち下げられ、PMOSトランジスタP2のゲート電圧Vp2の波形が立ち上げられる。
【0038】
上記のとおり、時刻t
1から所定時間の間、MOSスイッチ622が導通状態になることで、寄生ダイオード70のアノードに電源電圧VMMよりも低い電源電圧VSSが印加される。これにより、寄生ダイオード70に順方向バイアスが印加されることを確実に防止することができる。より具体的には、時刻t
1の前には、高圧側オペアンプ37BはMOSスイッチ382を介してデータ線31Bに正極性の階調電圧を出力していたので、時刻t
1の時点でデータ線31Bの電位は高い状態にある。また、低圧側オペアンプ37Aは、時刻t
1の前には負極性の階調電圧をMOSスイッチ385を介してデータ線31Aに出力していたので、時刻t
1の時点でデータ線31Aの電位は低い状態にある。時刻t
1の経過後にスイッチ回路381の接続形態がクロス接続に切り替えられると、高圧側オペアンプ37Bの出力端子NBは、MOSスイッチ384を介して低電位のデータ線31Aに接続されるので、
図8に示されるように出力端子NBの電位Vbは一時的に急峻に下降する。このとき、寄生ダイオード70のカソードの電位も下降するが、カソードの電位が下降する前に、寄生ダイオード70のアノードは、MOSスイッチ621(PMOSトランジスタP1及びNMOSトランジスタN1)によりVMM電源ラインから電気的に切り離され、且つ、MOSスイッチ622(PMOSトランジスタP2及びNMOSトランジスタN2)により電源電圧VSSに接続される。したがって、寄生ダイオード70への順方向バイアスの印加が確実に防止される。
【0039】
一方、低圧側オペアンプ37Aの保護スイッチ回路67では、スイッチ回路381の接続形態がストレート接続からクロス接続に切り替えられる直前(時刻t
1の直前)に、MOSスイッチ671を導通状態から非導通状態にするゲート電圧Vn3,Vp3が供給される。すなわち、NMOSトランジスタN3のゲート電圧Vn3の波形が立ち下げられ、PMOSトランジスタP3のゲート電圧Vp3の波形が立ち上げられる。同時に、MOSスイッチ672を非導通状態から導通状態にするゲート電圧Vn4,Vp4が供給される。すなわち、
図8に示されるように、NMOSトランジスタN4のゲート電圧Vn4の波形が立ち上げられ、PMOSトランジスタP4のゲート電圧Vp4の波形が立ち下げられる。
【0040】
時刻t
1から所定時間経過後は、MOSスイッチ671を非導通状態から導通状態にするゲート電圧Vn3,Vp3が供給される。すなわち、NMOSトランジスタN3のゲート電圧Vn3の波形が立ち上げられ、PMOSトランジスタP3のゲート電圧Vp3の波形が立ち下げられる。同時に、MOSスイッチ672を導通状態から非導通状態にするゲート電圧Vn4,Vp4が供給される。すなわち、NMOSトランジスタN4のゲート電圧Vn4の波形が立ち下げられ、PMOSトランジスタP4のゲート電圧Vp4の波形が立ち上げられる。
【0041】
上記のとおり、時刻t
1から所定時間の間、MOSスイッチ672が導通状態になることで、寄生ダイオード71のカソードに電源電圧VMMよりも高い電源電圧VDDが印加される。これにより、寄生ダイオード71に順方向バイアスが印加されることを確実に防止することができる。より具体的には、時刻t
1の経過後にスイッチ回路381の接続形態がクロス接続に切り替えられると、低圧側オペアンプ37Aの出力端子NAは、MOSスイッチ383を介して高電位のデータ線31Bに接続されるので、
図8に示されるように出力端子NAの電位Vaは一時的に急峻に上昇する。このとき、寄生ダイオード71のアノードの電位も上昇するが、アノードの電位が上昇する前に、寄生ダイオード71のカソードは、MOSスイッチ671(PMOSトランジスタP3及びNMOSトランジスタN3)によりVMM電源ラインから電気的に切り離され、且つ、MOSスイッチ672(PMOSトランジスタP4及びNMOSトランジスタN4)により電源電圧VDDに接続される。したがって、寄生ダイオード71への順方向バイアスの印加が確実に防止される。
【0042】
次に、スイッチ回路381の接続形態がクロス接続からストレート接続に切り替えられるとき(時刻t
2付近)、
図8に示されるように、MOSスイッチ383,384を導通状態から非導通状態にするゲート電圧Vsp2,Vsn2,Vsp3,Vsn3が供給される。すなわち、PMOSトランジスタSP2,SP3のゲート電圧Vsp2,Vsp3の波形が立ち上げられ、NMOSトランジスタSN2,SN3のゲート電圧Vsn2,Vsn3の波形が立ち下げられる。同時に、MOSスイッチ382,385を非導通状態から導通状態にするゲート電圧Vsp1,Vsn1,Vsp4,Vsn4が供給される。すなわち、PMOSトランジスタSP1,SP4のゲート電圧Vsp1,Vsp4の波形が立ち下げられ、NMOSトランジスタSN1,SN4のゲート電圧Vsn1,Vsn4の波形が立ち上げられる。
【0043】
高圧側オペアンプ37Bの保護スイッチ回路62では、スイッチ回路381の接続形態がクロス接続からストレート接続に切り替えられる直前(時刻t
2の直前)に、MOSスイッチ621を導通状態から非導通状態にするゲート電圧Vn1,Vp1が供給される。同時に、MOSスイッチ622を非導通状態から導通状態にするゲート電圧Vn2,Vp2が供給される。
【0044】
時刻t
2から所定時間経過後は、MOSスイッチ621を非導通状態から導通状態にするゲート電圧Vn1,Vp1が供給される。同時に、MOSスイッチ622を導通状態から非導通状態にするゲート電圧Vn2,Vp2が供給される。
【0045】
上記のとおり、時刻t
2から所定時間の間、MOSスイッチ622が導通状態になることで、寄生ダイオード70のアノードに電源電圧VMMよりも低い電源電圧VSSが印加される。これにより、寄生ダイオード70に順方向バイアスが印加されることを確実に防止することができる。より具体的には、時刻t
2の前には、高圧側オペアンプ37BはMOSスイッチ384を介してデータ線31Aに正極性の階調電圧を出力していたので、時刻t
2の時点でデータ線31Aの電位は高い状態にある。また、低圧側オペアンプ37Aは、時刻t
2の前には負極性の階調電圧をMOSスイッチ383を介してデータ線31Bに出力していたので、時刻t
2の時点でデータ線31Bの電位は低い状態にある。時刻t
2の経過後にスイッチ回路381の接続形態がストレート接続に切り替えられると、高圧側オペアンプ37Bの出力端子NBは、MOSスイッチ382を介して低電位のデータ線31Bに接続されるので、
図8に示されるように出力端子NBの電位Vbは一時的に急峻に下降する。このとき、寄生ダイオード70のカソードの電位も下降するが、カソードの電位が下降する前に、寄生ダイオード70のアノードは、MOSスイッチ621(PMOSトランジスタP1及びNMOSトランジスタN1)によりVMM電源ラインから電気的に切り離され、且つ、MOSスイッチ622(PMOSトランジスタP2及びNMOSトランジスタN2)により電源電圧VSSに接続される。したがって、寄生ダイオード70への順方向バイアスの印加が確実に防止される。
【0046】
一方、低圧側オペアンプ37Aの保護スイッチ回路67では、スイッチ回路381の接続形態がクロス接続からストレート接続に切り替えられる直前(時刻t
2の直前)に、MOSスイッチ671を導通状態から非導通状態にするゲート電圧Vn3,Vp3が供給される。同時に、MOSスイッチ672を非導通状態から導通状態にするゲート電圧Vn4,Vp4が供給される。
【0047】
時刻t
2から所定時間経過後は、MOSスイッチ671を非導通状態から導通状態にするゲート電圧Vn3,Vp3が供給される。同時に、MOSスイッチ672を導通状態から非導通状態にするゲート電圧Vn4,Vp4が供給される。
【0048】
上記のとおり、時刻t
2から所定時間の間、MOSスイッチ672が導通状態になることで、寄生ダイオード71のカソードに電源電圧VMMよりも高い電源電圧VDDが印加される。これにより、寄生ダイオード71に順方向バイアスが印加されることを確実に防止することができる。より具体的には、時刻t
2の経過後にスイッチ回路381の接続形態がストレート接続に切り替えられると、低圧側オペアンプ37Aの出力端子NAは、MOSスイッチ385を介して高電位のデータ線31Aに接続されるので、
図8に示されるように出力端子NAの電位Vaは一時的に急峻に上昇する。このとき、寄生ダイオード71のアノードの電位も上昇するが、アノードの電位が上昇する前に、寄生ダイオード71のカソードは、MOSスイッチ671(PMOSトランジスタP3及びNMOSトランジスタN3)によりVMM電源ラインから電気的に切り離され、且つ、MOSスイッチ672(PMOSトランジスタP4及びNMOSトランジスタN4)により電源電圧VDDに接続される。したがって、寄生ダイオード71への順方向バイアスの印加が確実に防止される。
【0049】
以上説明したように、高圧側オペアンプ37Bの出力端子NBの接続先がデータ線31B,31Aの一方から他方へ切り替えられることにより出力端子NBの電位が下降するときは、保護スイッチ回路62が寄生ダイオード70のアノードをVSS電源ラインと一時的に接続するので、寄生ダイオード70への順方向バイアスの印加を確実に防止することができる。また、低圧側オペアンプ37Aの出力端子NAの接続先がデータ線31B,31Aの一方から他方へ切り替えられることにより出力端子NAの電位が上昇するときは、保護スイッチ回路67が寄生ダイオード71のカソードをVDD電源ラインと一時的に接続するので、寄生ダイオード71への順方向バイアスの印加を確実に防止することができる。したがって、寄生ダイオード70,71に過電流が流れることが防止される。
【0050】
図9は、保護スイッチ回路62,67を持たない高圧側オペアンプ37Bc及び低圧側オペアンプ37Acの比較例の構成を概略的に示す図である。
図9の構成は、保護スイッチ回路62,67を持たない点を除いて、
図7の構成とほぼ同じある。以下、
図9を参照しつつ、寄生ダイオード70,71に過電流が流れた場合に低圧側オペアンプ37Ac及び高圧側オペアンプ37Bcの回路が破壊されるメカニズムについて説明する。
【0051】
上述のとおり、スイッチ回路381の接続形態が切り替えられるとき、高圧側オペアンプ37Bcの出力端子NBの電位Vbが急峻に下降する。このとき、出力端子NBの電位Vbが電源電圧VMMを下回り、寄生ダイオード70に大きな順方向バイアスが印加されると、NMOSトランジスタ61Nを構成するnpn型寄生バイポーラトランジスタ(寄生ダイオード70を含む。)がオン状態になり、寄生バイポーラトランジスタに過電流が流れる現象(バイポーラアクション)が生じる。この種の過電流は、高圧側オペアンプ37Bcの内部素子を破壊してしまう。また、上述のとおり、スイッチ回路381の接続形態が切り替えられるときには、低圧側オペアンプ37Acの出力端子NAの電位Vaが急峻に上昇する。このとき、出力端子NAの電位Vaが電源電圧VMMを上回り、寄生ダイオード71に大きな順方向バイアスが印加されると、PMOSトランジスタ65Pを構成するpnp型寄生バイポーラトランジスタ(寄生ダイオード71を含む。)がオン状態になり、この寄生バイポーラトランジスタにバイポーラアクションが生じる。この種の過電流は、低圧側オペアンプ37Acの内部素子を破壊してしまう。
【0052】
これに対し、本実施の形態では、
図7のスイッチ回路381の接続形態が切り替えられるとき、寄生ダイオード70,71に順方向バイアスが印加されないので、バイポーラアクションの発生を防止することができる。
【0053】
実施の形態2.
次に、本発明に係る実施の形態2について説明する。
図10は、実施の形態2のソースドライバ3Mの構成例を概略的に示す図である。
図11は、このソースドライバ3Mにおける低圧側オペアンプ37C及び高圧側オペアンプ37Dの概略構成と、これら低圧側オペアンプ37C及び高圧側オペアンプ37Dに対応するスイッチ回路381の構成とを示す図である。
【0054】
本実施の形態のソースドライバ3M(
図10)の構成は、インピーダンス変換回路37M及び電源電圧生成回路40を除いて、実施の形態1のソースドライバ3(
図3)の構成と同じである。本実施の形態のインピーダンス変換回路37Mは、ボルテージフォロアタイプの低圧側オペアンプ37Cと、ボルテージフォロアタイプの高圧側オペアンプ37Dとの組を複数有している。
【0055】
電源電圧生成回路40は、電源電圧VDD,VSS,VMMのいずれかに基づいて電源電圧VPP,VLLを生成する回路である。電源電圧VPP(=VMM+α)は、電源電圧VDDよりも低く且つ共通電源電圧VMMよりも電圧αだけ高い。一方、電源電圧VLL(=VMM−β)は、電源電圧VSSよりも高く且つ共通電源電圧VMMよりも電圧βだけ低い。電圧α,βは、それぞれ、高圧側オペアンプ37D,37Cの特性に合わせて適宜設定すればよい。
【0056】
図11に示されるように、低圧側オペアンプ37Cは、差動増幅段50A、出力増幅段51A及び保護スイッチ回路67を有する。この低圧側オペアンプ37Cの構成は、MOSスイッチ672の一方の被制御端子が電源電圧VPPの供給ラインに接続されている点を除いて、実施の形態1の低圧側オペアンプ37Aの構成と同じである。一方、高圧側オペアンプ37Dは、差動増幅段50B、出力増幅段51B及び保護スイッチ回路62を有する。この高圧側オペアンプ37Dの構成は、MOSスイッチ622の一方の被制御端子が電源電圧VLLの供給ラインに接続されている点を除いて、実施の形態1の高圧側オペアンプ37Bの構成と同じである。
【0057】
本実施の形態では、実施の形態1の高圧側オペアンプ37B及び低圧側オペアンプ37Aに代えて、高圧側オペアンプ37D及び低圧側オペアンプ37Cが使用される。また、スイッチ回路381の接続形態がストレート接続とクロス接続との一方から他方へ切り替えられる際には、
図8に示した制御信号が供給される。
【0058】
本実施の形態でも、高圧側オペアンプ37Dの出力端子NBの接続先がデータ線31B,31Aの一方から他方へ切り替えられることにより低圧側オペアンプ37Dの出力端子NBの電位が一時的に下降する。このとき、高圧側の保護スイッチ回路62のMOSスイッチ622は、寄生ダイオード70のアノードに対して共通電源電圧VMMよりも低く且つ電源電圧VSSよりも高い電源電圧VLLを所定時間に亘って印加するので、寄生ダイオード70への順方向バイアスの印加を抑制することができる。また、電源電圧VSSよりも高い電源電圧VLLが寄生ダイオード70のアノードに印加されるので、実施の形態1の場合と比べると、NMOSトランジスタ61Nのバックゲートの充放電時間を短くすることができる。
【0059】
また、低圧側オペアンプ37Cの出力端子NAの接続先がデータ線31B,31Aの一方から他方へ切り替えられることにより低圧側オペアンプ37Cの出力端子NAの電位が一時的に上昇する。このとき、低圧側の保護スイッチ回路67のMOSスイッチ672は、寄生ダイオード71のカソードに対して共通電源電圧VMMよりも高く且つ電源電圧VDDよりも低い電源電圧VPPを所定時間に亘って印加するので、寄生ダイオード71への順方向バイアスの印加を抑制することができる。また、電源電圧VDDよりも低い電源電圧VPPが寄生ダイオード71のカソードに印加されるので、実施の形態1の場合と比べると、PMOSトランジスタ65Pのバックゲートの充放電時間を短くすることができる。
【0060】
上記したように、スイッチ回路381の接続形態が切り替えられる際、高圧側オペアンプ37D及び低圧側オペアンプ37Cを構成するNMOSトランジスタ61N及びPMOSトランジスタ65Pのバックゲートの充放電時間を短くすることができる。このため、実施の形態1の場合と比べると、出力増幅段51B,51Aの電流駆動能力を短時間で元に戻すことができる。また、高圧側オペアンプ37D及び低圧側オペアンプ37Cの消費電力の低減も可能となる。
【0061】
実施の形態1,2の変形例.
以上、図面を参照して本発明に係る種々の実施の形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な形態を採用することもできる。たとえば、表示画素DPは、液晶表示素子以外の容量性負荷を有するものでもよい。
【0062】
また、上記実施の形態1,2の低圧側オペアンプ37A,37Cと高圧側オペアンプ37B,37Dの構成は、特に限定されるものではなく、共通電源電圧VMMの電源ラインと出力端子NBとの間、もしくは、共通電源電圧VMMの電源ラインと出力端子NAとの間に、寄生ダイオードを含む寄生バイポーラトランジスタが形成される構成であればよい。
【0063】
また、上記低圧側オペアンプ37A,37Cと高圧側オペアンプ37B,37Dとは、共通電源電圧VMMを使用しているが、これに限定されるものではない。高圧側オペアンプ37B,37Dが、電源電圧VMM1と電源電圧VDD(VMM1<VDD)とを用いて動作し、低圧側オペアンプ37A,37Cが、電源電圧VSSと電源電圧VMM2(VMM1>VMM2>VSS;VMM1≠VMM2)とを用いて動作する形態もあり得る。
図12は、このような形態の高圧側オペアンプ37Bm及び低圧側オペアンプ37Amの一例を示す図である。
【0064】
また、低圧側オペアンプ37A,37Cと高圧側オペアンプ37B,37Dは、入力電圧と出力電圧の両方の範囲が電源電圧の範囲まで動作可能なレール・ツー・レール(Rail−to−Rail)型オペアンプでもよい。また、差動増幅段50A,50Bの構成も限定されるものではなく、吸い込み(シンク)型または吐き出し(ソース)型のいずれの回路を含むものであってよい。