特許第5777620号(P5777620)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777620
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】吸水性樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/14 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   C08F2/14
【請求項の数】3
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-526447(P2012-526447)
(86)(22)【出願日】2011年7月20日
(86)【国際出願番号】JP2011066453
(87)【国際公開番号】WO2012014747
(87)【国際公開日】20120202
【審査請求日】2014年5月28日
(31)【優先権主張番号】特願2010-169680(P2010-169680)
(32)【優先日】2010年7月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000195661
【氏名又は名称】住友精化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100156122
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】横山 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】菊野 佐知
(72)【発明者】
【氏名】平郡 篤
(72)【発明者】
【氏名】前田 暢浩
【審査官】 繁田 えい子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/025235(WO,A1)
【文献】 特開平03−195709(JP,A)
【文献】 特開平03−195713(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/126002(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性エチレン性不飽和単量体を石油系炭化水素分散媒中で界面活性剤を用いて逆相懸濁重合する吸水性樹脂の製造方法であって、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を前記分散媒中に分散させる際のその投入速度につき、以下の条件:
(a)重合槽に水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を投入するに当たり、次式(I):
=F・A/T
[式中、i:ノズル番号(1〜n)、n:ノズルの本数(1≦n≦10)、V:添加速度[min−1]、F:ノズルからの平均線流速[m/min]、A:ノズルの断面積[m]、T:重合反応槽へ仕込む単量体水溶液全量[m]を示す]
で定義される、前記水溶液の添加速度Vが0.30[min−1]以下であること;および
(b)重合槽系内に投入される水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液の次式(II):
total=ΣV (i=1〜n)
[式中、Vtotal:総添加速度[min−1]、V:各ノズルの添加速度[min−1]を示し、iおよびnは前記式(I)における定義に同じ。ただし、ノズルが1本の重合装置(n=1)の場合、Vtotal=Vである]
で定義される総添加速度Vtotalが0.04[min−1]以上であること
を満たし、
逆相懸濁重合を行うにあたり、重合前に界面活性剤を用いて石油系炭化水素分散媒中で水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を分散させた後に、水溶性ラジカル開始剤を用いて重合を行う、吸水性樹脂の製造方法。
【請求項2】
水溶性エチレン性不飽和単量体を石油系炭化水素分散媒中で界面活性剤を用いて逆相懸濁重合する吸水性樹脂の製造方法であって、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を前記分散媒中に分散させる際のその投入速度につき、以下の条件:
(a)重合槽に水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を投入するに当たり、次式(I):
=F・A/T
[式中、i:ノズル番号(1〜n)、n:ノズルの本数(1≦n≦10)、V:添加速度[min−1]、F:ノズルからの平均線流速[m/min]、A:ノズルの断面積[m]、T:重合反応槽へ仕込む単量体水溶液全量[m]を示す]
で定義される、前記水溶液の添加速度Vが0.30[min−1]以下であること;および
(b)重合槽系内に投入される水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液の次式(II):
total=ΣV (i=1〜n)
[式中、Vtotal:総添加速度[min−1]、V:各ノズルの添加速度[min−1]を示し、iおよびnは前記式(I)における定義に同じ。ただし、ノズルが1本の重合装置(n=1)の場合、Vtotal=Vである]
で定義される総添加速度Vtotalが0.08[min−1]以上であること
を満たし、
逆相懸濁重合を行うにあたり、重合前に界面活性剤を用いて石油系炭化水素分散媒中で水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を分散させた後に、水溶性ラジカル開始剤を用いて重合を行う、吸水性樹脂の製造方法。
【請求項3】
nが、2≦n≦10であることを特徴とする請求項1または2に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆相懸濁重合法により吸水性樹脂を製造する方法において、原料成分、特に、石油系炭化水素分散媒に由来する臭気が低減された吸水性樹脂の製造方法および、それにより得られる吸水性樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
吸水性樹脂は、紙おむつ、生理用ナプキン等の衛生材料、ペットシート等の日用品、食品用吸水シート、ケーブル用止水材等の工業材料、緑化/農業/園芸専用の保水剤等に幅広く用いられている。
【0003】
紙おむつ、生理用ナプキン等の衛生材料は、一般的に、トップシート、バックシート、ホットメルト接着剤、伸縮材、吸水性樹脂、パルプ繊維等からなり、多くの合成樹脂や改質剤が使用され、原料成分に由来する臭気が感じられることがある。これらの衛生材料は、人体に着用されるため、わずかな臭気であっても、使用者に不快感を与えることから、無臭化が望まれている。
【0004】
これら衛生材料における構成材料の中で、吸水性樹脂についても、その製造過程で使用される物質に由来する臭気がわずかにあり、吸水時に発散しやすくなるため、臭気の低減が望ましいと考えられる。
【0005】
衛生材料に用いられる吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸部分中和物、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物、澱粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物等が知られている。
【0006】
このような吸水性樹脂の製造方法としては、水溶液重合法、逆相懸濁重合法等が知られているが、水溶性単量体を分散媒に懸濁させて重合する逆相懸濁重合法によって製造された吸水性樹脂の場合、その臭気の主な原因は分散媒に由来していると考えられる。
【0007】
吸水性樹脂を逆相懸濁重合法により製造する従来技術としては、ラジカル重合開始剤を用いて石油系炭化水素溶媒中でα,β−不飽和カルボン酸およびそのアルカリ金属塩水溶液を内部架橋剤の存在下または非存在下に重合させるに際し、ショ糖脂肪酸エステルを保護コロイド剤として使用することを特徴とする吸水性樹脂の製造方法(特許文献1参照)や、ラジカル重合開始剤を用いて石油系炭化水素溶媒中で、α,β−不飽和カルボン酸およびそのアルカリ金属塩の25質量%以上の水溶液を内部架橋剤の存在下または不存在下に重合させるに際し、界面活性剤としてHLB2〜16のポリグリセリン脂肪酸エステルを使用することを特徴とする製造法(特許文献2参照)等が知られているが、これらの製造技術は、いずれも臭気の低減に着目しておらず、得られた吸水性樹脂の臭気は充分に低いものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭61−87702号公報
【特許文献2】特開昭62−172006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、逆相懸濁重合法により吸水性樹脂を製造する方法において、原料成分、特に、石油系炭化水素分散媒に由来する臭気が低減された吸水性樹脂の製造方法および、それにより得られる吸水性樹脂を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、吸水性樹脂が吸水した際の石油系炭化水素分散媒に由来する臭気と、吸水性樹脂の製造時に使用された石油系炭化水素分散媒との関係を鋭意研究した結果、水溶性エチレン性不飽和単量体を石油系炭化水素分散媒中で界面活性剤を用いて逆相懸濁重合する方法において、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を特定の投入速度にて分散媒中に分散させることにより、驚くべきことにかつ予期せぬことに、臭気が更に低減された吸水性樹脂の製造方法および、それにより得られる吸水性樹脂を提供できることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、以下に示す吸水性樹脂の製造方法および、それにより得られる吸水性樹脂に関する。
項1. 水溶性エチレン性不飽和単量体を石油系炭化水素分散媒中で界面活性剤を用いて逆相懸濁重合する吸水性樹脂の製造方法であって、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を前記分散媒中に分散させる際のその投入速度につき、以下の条件:
(a)重合槽に水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を投入するに当たり、次式(I):
=F・A/T
[式中、i:ノズル番号(1〜n)、n:ノズルの本数(1≦n≦10)、V:添加速度[min−1]、F:ノズルからの平均線流速[m/min]、A:ノズルの断面積[m]、T:重合反応槽へ仕込む単量体水溶液全量[m]を示す]
で定義される、前記水溶液の添加速度Vが0.30[min−1]以下であること;および
(b)重合槽系内に投入される水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液の次式(II):
total=ΣV (i=1〜n)
[式中、Vtotal:総添加速度[min−1]、V:各ノズルの添加速度[min−1]を示し、i及びnは前記式(I)における定義に同じ。ただし、ノズルが1本の重合装置(n=1)の場合、Vtotal=Vである]
で定義される総添加速度Vtotalが0.04[min−1]以上であること
を満たすことを特徴とする、吸水性樹脂の製造方法。
項2. 水溶性エチレン性不飽和単量体を石油系炭化水素分散媒中で界面活性剤を用いて逆相懸濁重合する吸水性樹脂の製造方法であって、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を前記分散媒中に分散させる際のその投入速度につき、以下の条件:
(a)重合槽に水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を投入するに当たり、次式(I):
=F・A/T
[式中、i:ノズル番号(1〜n)、n:ノズルの本数(1≦n≦10)、V:添加速度[min−1]、F:ノズルからの平均線流速[m/min]、A:ノズルの断面積[m]、T:重合反応槽へ仕込む単量体水溶液全量[m]を示す]
で定義される、前記水溶液の添加速度Vが0.30[min−1]以下であること;および
(b)重合槽系内に投入される水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液の次式(II):
total=ΣV (i=1〜n)
[式中、Vtotal:総添加速度[min−1]、V:各ノズルの添加速度[min−1]を示し、iおよびnは前記式(I)における定義に同じ。ただし、ノズルが1本の重合装置(n=1)の場合、Vtotal=Vである]
で定義される総添加速度Vtotalが0.08[min−1]以上であること
を満たすことを特徴とする、吸水性樹脂の製造方法。
項3. nが、2≦n≦10であることを特徴とする項1または2に記載の吸水性樹脂の製造方法。
項4. 逆相懸濁重合を行うにあたり、重合前に界面活性剤を用いて石油系炭化水素分散媒中で水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を分散させた後に、水溶性ラジカル開始剤を用いて重合を行う、項1〜3のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
項5. 項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法により得られる吸水性樹脂。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、原料成分、特に、石油系炭化水素分散媒に由来する臭気が低減された吸水性樹脂の製造方法および、それにより得られる吸水性樹脂を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液(以後、断りが無い場合「単量体水溶液」の表記は「水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液」を指す)を石油系炭化水素分散媒中(以後、断りが無い場合「分散媒」の表記は「石油系炭化水素分散媒」を指す)で界面活性剤存在下で逆相懸濁重合を行い、ここに、単量体水溶液が特定の添加速度にて添加される吸水性樹脂の製造方法およびそれにより得られる吸水性樹脂に関する。
逆相懸濁重合により得られる吸水性樹脂の吸水時の臭気の原因は、主に吸水性樹脂粒子内に残存した分散媒である。分散媒が吸水性樹脂粒子に残存するメカニズムとしては、単量体水溶液を分散媒へ攪拌等により分散させる際に、油相である分散媒が単量体水溶液の液滴内に取り込まれた形状の液滴、すなわちO/W/O(油/水/油)型の液滴が発生し、このO/W/O液滴が安定化されたまま重合することにより、分散媒を内包したいわばカプセル状の吸水性樹脂粒子が発生していることに起因していることを本発明者らは見出した。
ここでO/W型液滴とは、Oil in Waterの略記であり、油相液滴が水相中に分散している状態をいう。また、O/W/O型液滴とは、(Oil in Water) in Oilの略記であり、油相の微細液滴が水相液滴中に分散しており、その水相液滴が更に油相に分散している状態をいう。これは、最内油相/中間水相/最外油相より形成されており、本願では、分散媒中(油相)に存在する、単量体水溶液(水相)の液滴の中に、更に小さな分散媒(油相)の液滴が含まれている状態を示している。
【0014】
そこで、分散媒に対し、単量体水溶液を添加、混合および分散する工程に着目し、前記分散媒内包型液滴の発生を阻止する方法を検討する中で、単量体水溶液を供給する投入ノズルから勢いよく添加すると残存分散媒量が高くなる現象から、投入時の勢いの指標としてノズルから出る単量体水溶液の線流速に着目し、この線流速と残存分散媒量の関係の研究を進めた。しかしながら、線流速を低くしても、残存分散媒量が低減しない実例が見られたため、さらに研究を進めたところ、重合槽に水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を供給するに当たり、その供給用の投入ノズルについて、本願に定義する添加速度Vで評価したとき、その投入ノズルの添加速度が0.30[min−1]以下で残存分散媒量が低くなることを見出した。添加速度Vは次式(I)で定義される。
【0015】
式(I):V=F・A/T
[式中、i:ノズル番号(1〜n)、n:ノズルの本数(1≦n≦10)、V:添加速度[min−1]、F:ノズルからの平均線流速[m/min]、A:ノズルの断面積[m]、T:重合反応槽へ仕込む単量体水溶液全量[m]を示す。]
【0016】
(ノズル番号iからの平均線流速)は、投入される単量体水溶液が、その投入口、すなわち、ノズル番号iで、どの程度の勢いで飛び出しているかの指標である。投入ノズルから単量体水溶液を投入速度が速くなると、得られる吸水性樹脂の残存分散媒量が多くなることから、後述のように分散媒の残存に影響を与えると考察される。ポンプ等を使用している場合はその流量より算出(体積流量をノズル出口の断面積で除する)した値をノズルからの平均線流速Fとする。また、重力等を利用した投入方法をとる場合は、投入する単量体水溶液量(体積)を投入に要した時間で除することにより、平均体積流量を求め、平均線流速Fを算出した。
(ノズル番号iの断面積)は、投入される単量体水溶液の液塊(液滴)の大きさに関与する。単量体水溶液の線流速が遅くとも、分散媒中に投入される際の液塊(液滴)が大きいと、得られる吸水性樹脂の残存分散媒量が多くなることから、後述のように分散媒の残存に影響を与えると考察される。
T(重合反応槽へ仕込む単量体水溶液全量)は、重合反応槽の大きさや重合条件によって決まる単量体仕込量である。
(ノズル番号iの添加速度)は、前記式(I)により算出され、単量体水溶液投入の勢いの指標の線流速F[m/min]と、投入液塊(液滴)に関係するノズルの断面積A[m]の積算値に対し、それぞれの反応器スケールによって決まる「重合反応槽へ仕込む単量体水溶液の全量:T[m]」を基準として除すことで、添加速度へのスケールファクターの影響が排除されている。
【0017】
他方、単量体水溶液の添加速度Vを遅くすればするほど、残存分散媒量は低下する傾向が見られるが、分散媒への単量体水溶液の添加および混合に要する時間は長くなることから、その反応系の生産性が悪化することになる。そこで、重合反応槽への単量体水溶液の添加時間を大きく遅延させることなく、かつノズルからの添加速度を0.30[min−1]以下とし残存分散媒量を低減する方法として、添加速度0.30[min−1]以下の重合反応槽への単量体水溶液の投入ノズルを複数設けることで、重合反応槽全体として、分散媒への単量体水溶液の添加速度を確保し、この問題を解決したことに本発明のひとつの特徴がある。すなわち、重合反応装置内の分散媒への単量体水溶液の添加用のノズルの本数をn個としたときの各ノズルの添加速度の総和を総添加速度Vtotal=ΣV(i=1〜n)[min−1]と定め、Vtotalが0.04[min−1]以上、より好ましくは0.08[min−1]以上を確保することで、生産性の悪化を最小限に留めることとした。すなわち、Vtotalが0.04[min−1]未満では、残存溶剤量はより低減される傾向であるが、添加にかかる所要時間が長くなり生産効率が極めて悪くなるうえに、所要時間に対する残存溶剤量の低下幅は小さくなってゆくため、好ましくない。
【0018】
したがって、水溶性エチレン性不飽和単量体を石油系炭化水素分散媒中で界面活性剤を用いて逆相懸濁重合する、本願発明の吸水性樹脂の製造方法において、重合槽への水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液のその添加速度につき、(a)各ノズルの前記の添加速度Vが0.30[min−1]以下であり、かつ(b)前述の全ノズルの総添加速度Vtotalが0.04[min−1]以上であるという条件を満たすことが必要とされる。いいかえると、各ノズルからの添加速度Vが0.30[min−1]以下であれば、Vtotalは0.3[min−1]以上であっても構わない。
【0019】
なお、本発明における複数のノズルとしては、上記添加速度条件を満たすのであれば、その設置方法に限定はなく、重合反応槽近傍で1本の流路を複数に分岐させ、その先端にノズルを設置しても、供給槽から複数の流路を設置しても構わない。
【0020】
単量体水溶液のノズルからの添加速度Vが0.30[min−1]以下とすることで、残存分散媒量が低減されるメカニズムは明確ではないが、その添加速度を低くすることで、O/W/O型液滴の発生が抑制されているためと推察される。詳しく述べると、添加速度:Vは前述の式(I)のとおり2つのファクターの積で表されており、そのファクターは(1)ノズルから吐出される単量体水溶液の勢いを表す平均線流速:Fiと、(2)ノズルから吐出される単量体水溶液の液滴の大きさに関わるノズルの断面積:Aである。
ここで(1)ノズルにおける単量体水溶液の平均線流速が速いと、分散媒と単量体水溶液が接触する領域が、攪拌翼により攪拌される以上に強攪拌される、すなわち必要以上に強攪拌されるため、O/W/O型液滴の発生が促進されると推察される。また、(2)ノズルの断面積が大きいと、ノズルから添加される液滴径が大きくなり、局所的に分散媒に対し単量体水溶液がリッチな領域が発生し、それが攪拌翼で攪拌されると分散媒が単量体水溶液中に内包されたO/W型液滴が発生する可能性が高くなると考えられる。そして発生したO/W型液滴が更に分散媒中に攪拌・分散されることで、O/W/O型液滴が形成されると考えられる。先述のように、O/W/O型液滴が、その形状のまま重合することで、分散媒を内包した吸水性樹脂粒子となり、内包された分散媒が残存分散媒として検出されることから、これら(1)(2)それぞれのファクターを小さく制御することで、O/W/O型の液滴の発生量が抑制され、その結果、残存分散媒量が低減すると推察する。
【0021】
この低速度で添加するノズルを複数設置しても、各ノズルから投入される単量体水溶液と分散媒の関係は上述と変わらないため、添加速度Vが0.30[min−1]以下の複数本のノズルを設けることで、Vtotalが0.3[min−1]以上となったとしても、残存分散媒量は、ほとんど増加しないと考えられる。
ただし、設置ノズル数が多くなりすぎると、設置場所の確保が困難になるだけでなく、設置コストが高くなり、かつ添加時に隣のノズルとの間隔が近くなることから、局所的に単量体水溶液がリッチな領域の発生を抑制する効果は薄くなると考えられることから、実際はノズルの本数は最大で10本が好ましく、4本以下がより好ましいと考えられる。
また、分散系内の単量体水溶液のリッチな領域の発生を抑えるという観点から、Vtotalは1.0[min−1]以下が好ましく、0.5[min−1]以下であることがより好ましいと考えられる。
【0022】
ここでO/W型液滴とは、Oil in Waterの略記であり、油相液滴が水相中に分散している状態をいう。また、O/W/O型液滴とは、(Oil in Water) in Oilの略記であり、油相の微細液滴が水相液滴中に分散しており、その水相液滴が更に油相に分散している状態をいう。これは、最内油相、中間水相、最外油相より形成されており、本願では、分散媒中(油相)に存在する、単量体水溶液(水相)の液滴の中に、更に小さな分散媒(油相)の液滴が含まれている状態を示している。
【0023】
本願の吸水性樹脂の原料に用いられる水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸〔「(メタ)アクリ」とは「アクリ」および「メタクリ」を意味する。以下同じ〕、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、マレイン酸等の酸基を有する単量体およびそれらの塩;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のノニオン性不飽和単量体;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有不飽和単量体およびそれらの四級化物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、酸基を有する単量体を中和して塩とする場合に用いられるアルカリ性化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム等の化合物が挙げられる。より詳しくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等が挙げられる。
【0024】
水溶性エチレン性不飽和単量体の中で、好ましいものとしては工業的に入手が容易である観点から、(メタ)アクリル酸およびその塩が挙げられる。
なお、酸基を有する単量体を中和する場合、その中和度は、水溶性エチレン性不飽和単量体の酸基の30〜90モル%であることが好ましい。中和度が30モル%より低い場合、酸基がイオン化されにくく、吸水能が低くなる可能性があるため好ましくない。中和度が90モル%を超えると、衛生材料として使用される場合、安全性等に問題が生ずる可能性があるため好ましくない。
本発明において、水溶性エチレン性不飽和単量体は、水溶液として使用される。水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液の単量体濃度は、20質量%〜飽和濃度であることが好ましい。
【0025】
単量体水溶液には、必要に応じて、連鎖移動剤、増粘剤等が含まれていてもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、チオール類、チオール酸類、第2級アルコール類、次亜リン酸、亜リン酸等の化合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸中和物、ポリアクリルアミド等が挙げられる。
【0026】
石油系炭化水素分散媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、3−エチルペンタン、n−オクタン等の炭素数6〜8の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、trans−1,2−ジメチルシクロペンタン、cis−1,3−ジメチルシクロペンタン、trans−1,3−ジメチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの中でも、工業的に入手が容易であることと、安全性の観点から、n−ヘキサン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、n−オクタン等の炭素数6〜8の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、および、メチルシクロヘキサン等の炭素数6〜8の脂環族炭化水素がより好適に用いられる。これらの炭化水素分散媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらに、これらの炭化水素分散媒のなかでも、本発明におけるW/O型逆相懸濁の状態が良好で、好適な粒子径が得られやすく、工業的に入手が容易かつ品質が安定している観点から、n−ヘプタン、シクロヘキサンが好適に用いられる。また、上記炭化水素の混合物の例として、市販されているエクソールヘプタン(エクソンモービル社製:n−ヘプタンおよび異性体の炭化水素75〜85%含有)などを用いても好適な結果が得られる。
石油系炭化水素分散媒の使用量は、単量体水溶液を均一に分散し、重合温度の制御を容易にする観点から、通常、単量体水溶液100質量部に対して、50〜600質量部が好ましく、50〜400質量部がより好ましく、50〜200質量部がさらに好ましい。
【0027】
逆相懸濁重合においては、より安定した重合粒子を得るため、単量体水溶液を分散媒に分散させるため、界面活性剤や要すれば疎水性高分子系分散剤を用いる。重合を異常なく安定的に完了させるという観点から、界面活性剤や疎水性高分子系分散剤は、単量体水溶液を重合させる前に存在させて、単量体水溶液を分散媒中に充分に分散させ、その液滴を安定化させた後に重合を行うことができれば、それぞれ添加する時期は特に限定はされない。既存の技術を鑑みると一部例外はあるが、界面活性剤や疎水性高分子系分散剤は、単量体水溶液を添加する前に、あらかじめ石油系炭化水素分散媒に溶解または分散させておくことが一般的である。
重合時の分散安定性を保つため用いる界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、N−アルキルグルコンアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、およびポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン系界面活性剤、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルメチルタウリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸およびその塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸およびその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸およびその塩等のアニオン系界面活性剤が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
これらの界面活性剤の中でも、単量体水溶液の分散安定性の観点から、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
使用される界面活性剤の添加量は、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、0.05〜3質量部がより好ましい。界面活性剤の添加量が0.01質量部よりも少ない場合、単量体水溶液の分散安定性が低くなるため好ましくなく、5質量部よりも多い場合、経済的でないので好ましくない。
【0029】
重合時の分散安定性をより高めるために、疎水性高分子系分散剤を界面活性剤と併用してもよい。疎水性高分子系分散剤は、使用する前記石油系炭化水素分散媒に対し、溶解または分散するものを、選択して使用することが好ましく、例えば、粘度平均分子量として20,000以下、好ましくは10,000以下、更さらに好ましくは5,000以下のものが挙げられる。具体的には、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチルセルロース、無水マレイン化ポリブタジエン、無水マレイン化EPDM(エチレン/プロピレン/ジエン三元共重合体)等が挙げられる。
これらの中では無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレンおよび酸化型エチレン・プロピレン共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
疎水性高分子系分散剤の添加量は、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液100質量部に対して0〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましく、0.05〜2質量部がさらに好ましい。疎水性高分子系分散剤の添加量が5質量部よりも多い場合、経済的でないので好ましくない。
【0030】
水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を石油系炭化水素分散媒に添加して分散させる際、攪拌によって分散させるが、攪拌条件については、所望の分散液滴径により異なるので、一概に決定することはできない。
分散液滴径は、攪拌翼の種類、翼径、回転数等により調節することができる。
攪拌翼としては、例えば、プロペラ翼、パドル翼、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、リボン翼、フルゾーン翼(神鋼パンテック(株)製)、マックスブレンド翼(住友重機械工業(株)製)、スーパーミックス(サタケ化学機械工業(株)製)等を使用することが可能である。
【0031】
なお、石油系炭化水素分散媒に、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加する際には、成分を調整混合された水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を、1または複数のノズルから、各々のノズルからの添加速度が0.30[min−1]以下になるように留意しつつ、かつ全体の添加速度として総添加速度0.04[min−1]以上の速度で添加を実施しなければならないのは、前述の通りである。
【0032】
前述の添加速度で添加された水単量体水溶液は、界面活性剤存在下で前記分散媒内で充分攪拌して分散させ、液滴を安定化させると同時に、系内を充分に窒素置換を行った上で、必要により内部架橋剤の存在下にて、水溶性ラジカル重合開始剤により逆相懸濁重合を行い、含水ゲル状架橋重合体の懸濁液を得る。
本願で使用される水溶性ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過酸化水素等の過酸化物;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンジアミン]四水塩、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]等のアゾ化合物等が挙げられる。
これらの中では、入手が容易で取り扱いやすいという観点から、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムおよび2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩が好ましい。
なお、水溶性ラジカル重合開始剤は、亜硫酸塩、アスコルビン酸等の還元剤と併用してレドックス重合開始剤として用いてもよい。
水溶性ラジカル重合開始剤の使用量は、通常、水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部あたり、0.01〜1質量部である。0.01質量部より少ない場合、重合率が低くなり、1質量部より多い場合、急激な重合反応が起こるため好ましくない。
水溶性ラジカル重合開始剤の添加時期は特に制限されないが、あらかじめ水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液に添加しておくのが好ましい。
【0033】
必要に応じて使用される内部架橋剤としては、例えば、(ポリ)エチレングリコール〔「(ポリ)」とは「ポリ」の接頭語がある場合とない場合を意味する。以下同じ〕、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のポリオール類、ポリオール類とアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和酸とを反応させて得られる二個以上のビニル基を有するポリ不飽和エステル類、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等のビスアクリルアミド類、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールトリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等の二個以上のグリシジル基を含有するポリグリシジル化合物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
内部架橋剤の添加量は、水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、0〜3質量部が好ましく、0〜1質量部がより好ましく、0.001〜0.1質量部がさらに好ましい。添加量が3質量部を超えると、架橋が過度になり、吸水性能が低くなりすぎるため好ましくない。
内部架橋剤は、あらかじめ水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液に添加しておくのが好ましい。
【0034】
本発明における逆相懸濁重合の際の反応温度は、使用する重合開始剤の種類や量によって異なるので一概には決定することができないが、好ましくは30〜100℃、より好ましくは40〜90℃である。反応温度が30℃より低い場合、重合率が低くなる可能性があり、また、反応温度100℃より高い場合は急激な重合反応が起こるため好ましくない。
【0035】
このようにして、得られた逆相懸濁重合後の重合反応液(含水ゲル状架橋重合体の懸濁液)を1段目の重合とし、以降、幾度か単量体水溶液を添加して重合を繰り返す「多段重合」を行っても良い。特に衛材用途での使用においては、得られる吸水性樹脂粒子の大きさと生産効率の観点から、2段重合を行うことが好ましい。
1段目の水溶性エチレン性不飽和単量体の重合で得られる粒子の大きさは、多段重合において、適度な凝集粒径を得る観点から、中位粒子径20〜200μmが好ましく、30〜150μmがより好ましく、40〜100μmがさらに好ましい。なお、1段目の重合粒子の中位粒子径は、前記1段目の重合が終了した後、脱水、乾燥することで測定できる。(測定方法は後述のとおり。)
【0036】
2段重合を行う場合、後述の方法に従うことで、1段目の重合にて得られた粒子を凝集し、衛生材料用途に適した比較的平均粒径の大きな吸水性樹脂を得ることができる。
このとき、2段目重合に用いられる単量体水溶液が、独立した液滴を形成しないよう界面活性剤の作用を低下させる必要がある。例えば、1段目の重合終了後に冷却し、界面活性剤が少なくとも一部析出する温度で2段目重合の単量体水溶液を添加することにより、前記凝集した粒子を得ることができる。
なお、2段目重合の単量体水溶液の添加により、凝集粒子が得られる方法であれば、前記方法に限定されるものでない。
【0037】
また、上記のように界面活性剤の界面活性作用を低下させた上で、2段目重合の単量体水溶液の添加を行うことにより、吸水性樹脂への分散媒の残存量は更に低減することができる。これは、界面活性剤の界面活性作用を低下させることで、先述のように独立した液滴の発生が抑制されると共に、2段目単量体水溶液がO/W/O液滴を形成し安定化されることも抑制されるためであると推察される。(一般に界面活性剤の界面活性作用がO/W/O液滴を安定化させることは知られている。)
【0038】
2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体としては、1段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体として例示したものと同様なものが使用できるが、単量体の種類、中和度、中和塩および単量体水溶液濃度は、1段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体と同じであっても異なっていてもよい。
2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液に添加される重合開始剤についても、1段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体として例示したものから選択して使用することができる。
【0039】
また、2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液にも、必要に応じて、内部架橋剤、連鎖移動剤等を添加してもよく、1段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体として例示したものから選択して使用することができる。
1段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対する2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体の添加量は、適度な凝集粒子を得る観点から、50〜300質量部が好ましく、100〜200質量部がより好ましく、120〜160質量部が最も好ましい。
2段目の逆相懸濁重合における攪拌は、全体が均一に混合されていればよい。凝集粒子径は、界面活性剤の析出状態や1段目重合のエチレン性不飽和単量体に対する2段目重合のエチレン性不飽和単量体の量によって、変更できる。
【0040】
2段目重合の単量体水溶液の1段目重合反応液への添加速度については、前述のように界面活性剤の作用を低下させ、独立した粒子を発生させない、すなわち、1段目の重合粒子にほとんど吸収させるため、ほとんど残存分散媒量には影響しないが、均一に凝集粒子を形成させることと、生産性の維持を両立させるため、1本あたりのノズルからの添加速度0.30[min−1]以下、かつ総添加速度0.04[min−1]以上であることが好ましい。
なお、衛生材料用途に好適な吸水性樹脂の凝集粒子径としては、200〜600μmが好ましく、250〜500μmがさらに好ましく、300〜450μmが最も好ましい。
2段目の逆相懸濁重合における反応温度についても、重合開始剤の種類や量によって異なるので一概には決定することができないが、好ましくは30〜100℃、より好ましくは40〜90℃である。
2段以上の多段重合を行う場合、以後2段目重合を3段目、4段目と読み換えて実行することができる。
【0041】
1段目で逆相懸濁重合終了後、あるいは2段目またはそれ以上の多段での逆相懸濁重合終了後、乾燥工程前または乾燥工程中に水溶性エチレン性不飽和単量体由来の官能基と反応性を有する官能基を2個以上含有する後架橋剤を添加することが好ましい。重合後に架橋剤を添加し反応させることにより、吸水性樹脂粒子の表面層の架橋密度が高まり、加圧下吸水能、吸水速度、ゲル強度等の諸性能を高めることができ、衛生材料用途として好適な性能が付与される。
前記架橋反応に用いられる後架橋剤としては、重合に用いた水溶性エチレン性不飽和単量体由来の官能基と反応しうるものであれば特に限定されない。
【0042】
使用される後架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールトリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物等の反応性官能基を2個以上有する化合物;3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル−3−オキセタンエタノール等のオキセタン化合物、1,2−エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物、エチレンカーボネート等のカーボネート化合物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0043】
これらの中でも、反応性に優れている観点から(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールトリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物が好ましい。
前記後架橋剤の添加量は、重合に付された水溶性エチレン性不飽和単量体の総量100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.02〜3質量部である。
後架橋剤の添加量が0.01質量部未満の場合、得られる吸水性樹脂の加圧下吸水能、吸水速度、ゲル強度等の諸性能を高めることができず、5質量部を超える場合、吸水能が低くなりすぎるため好ましくない。
【0044】
さらに、後架橋剤の添加方法は、後架橋剤をそのまま添加しても水溶液として添加してもよいが、必要に応じて、溶媒として親水性有機溶媒を用いた溶液として添加してもよい。この親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールおよびプロピレングリコール等の低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジオキサン、およびテトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、並びに、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。これら親水性有機溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0045】
前記後架橋剤の添加時期は、重合終了後であればよく、特に限定されない。後架橋反応は、重合後、乾燥工程において、吸水性樹脂100質量部に対して、1〜200質量部の範囲の水分存在下に実施されるのが好ましく、5〜100質量部の範囲の水分存在下に実施されるのがさらに好ましく、10〜50質量部の水分存在下に実施されるのがよりさらに好ましい。このように、後架橋剤添加時の水分量を調整することによって、より好適に吸水性樹脂の粒子表面層における後架橋を施すことができ、優れた吸水性能を発現することができる。
後架橋反応における温度は、50〜250℃が好ましく、60〜180℃がより好ましく、60〜140℃がさらに好ましく、70〜120℃が最も好ましい。
【0046】
本発明において、乾燥工程は常圧下でも減圧下で行ってもよく、乾燥効率を高めるため、窒素等の気流下で行ってもよい。乾燥工程が常圧の場合、共沸により系外に留出した分散媒と水のうち、分散媒だけを還流させることにより、脱水を進めることができる。常圧の乾燥工程の場合、乾燥温度は70〜250℃が好ましく、80〜180℃がより好ましく、80〜140℃がさらに好ましく、90〜130℃が最も好ましい。また、減圧下の場合、乾燥温度は60〜100℃が好ましく、70〜90℃がより好ましい。
乾燥後の吸水性樹脂の水分率は、流動性を持たせる観点から20質量%以下であり、通常は10質量%以下であることが好ましい。また、流動性を向上させるために、非晶質シリカ粉末を添加してもよい。
【実施例】
【0047】
各実施例及び比較例で得られた吸水性樹脂の中位粒子径、水分率、残存分散媒量(吸水性樹脂粒子内部に残存する石油系炭化水素分散媒の量)は、以下に示す方法により評価した。
【0048】
(1)中位粒子径
吸水性樹脂50gを、JIS標準篩の目開き250μmの篩を用いて通過させ、篩上に残る量がその50質量%以上の場合には<α>の篩の組み合わせを、50質量%未満の場合には<β>の篩の組み合わせを、用いて中位粒子径を測定した。
<α>JIS標準篩を上から、目開き850μmの篩、目開き600μmの篩、目開き500μmの篩、目開き425μmの篩、目開き300μmの篩、目開き250μmの篩、目開き150μmの篩および受け皿の順に組み合わせた。
<β>JIS標準篩を上から、目開き425μmの篩、目開き250μmの篩、目開き180μmの篩、目開き150μmの篩、目開き106μmの篩、目開き75μmの篩、目開き45μmの篩および受け皿の順に組み合わせた。
組み合わせた最上の篩に、前記吸水性樹脂約50gを入れ、ロータップ式振とう器を用いて20分間振とうさせて分級した。
分級後、各篩上に残った吸水性樹脂の質量を全量に対する質量百分率として計算し、粒子径の大きい方から順に積算することにより、篩の目開きと篩上に残った吸水性樹脂の質量百分率の積算値との関係を対数確率紙にプロットした。対数確率紙上のプロットを直線で結ぶことにより、積算質量百分率50質量%に相当する粒子径を中位粒子径とした。
【0049】
(2)水分率
吸水性樹脂約2.5gをアルミカップに精秤し(Xg)、105℃の熱風乾燥機を用いて2時間乾燥後、乾燥した吸水性樹脂の質量(Yg)を測定して、下記式より水分率を算出した。なお、アルミカップの乾燥前後の風袋質量は一定とした。
水分率(%)=(X−Y)÷X×100
【0050】
(3)残存分散媒量
吸水性樹脂に残存する石油系炭化水素系分散媒の量をヘッドスペース・ガスクロマトグラフを用いて測定した。
(a)検量線の作成
残存分散媒を測定するサンプルの重合に使用した石油系炭化水素分散媒(以後「分散媒」と表記)を10g程度スクリュー瓶等に入れ、氷水浴にて冷却した。同様に測定に使用するDMF(ジメチルフォルムアミド)80gと25質量%リン酸水溶液60gも氷水浴で冷却した。(仕込中の分散媒の蒸散抑制のため、充分冷却の後に仕込を行う。)
50ml容スクリュー瓶に上記分散媒を0.2g精秤し、そこに上記冷却したDMFを加え、合計20gにして精秤し、スターラチップで撹拌して標準試料液とした。この標準試料液も氷水浴により冷却をした。
20ml容のバイアル瓶(マルエム社製、No.5)に上記標準試料液より、0.01、0.05、0.1、および0.5gをそれぞれ精秤し、そこに冷却したDMFを加え、各バイアル瓶の内容量を計3.8g(4mL)とした。更に各バイアルに上記冷却した25質量%リン酸水溶液5mLを加え、セプタムゴム、アルミキャップで栓をして締め付けた後、瓶を振って攪拌した。
なお、20ml容のバイアルへの試料の仕込から栓の締め付けまではすばやく行い、分散媒がバイアルから蒸散するのを極力防ぐように留意した。また、DMFと25質量%リン酸水溶液の混合時の発熱で分散媒が蒸散しないように、両試薬の冷却を充分行っておき、アルミキャップ等で密栓状態にしてから、充分混合を行うようにも留意した。
【0051】
このバイアル瓶を110℃で2時間加温し、冷まさないように気相部を1ml採取し、ガスクロマトグラフに注入し、クロマトグラムを得た。(ヘッドスペースオートサンプラを使用)
仕込量を基に上記標準試料液の濃度を求め、各バイアル瓶中の分散媒の仕込量を算出し、その仕込量とクロマトグラムのピーク面積より、検量線を作成した。なお、分散媒として石油系炭化水素の混合物を用いた場合、複数のピークが表れるため、その面積の総和値と仕込量で検量線を作成した。
【0052】
(b)サンプルの残存分散媒量の測定
測定するサンプル約2gをアルミカップに入れ、105℃の熱風乾燥機にて2時間乾燥させ、含有する水分量を調整した。
測定に使用するDMFと25質量%リン酸水溶液も必要量スクリュー瓶に入れ氷水浴で冷却した。
20ml容のバイアル瓶(マルエム社製、No.5)に上記サンプルを0.10g精秤し、バイアル瓶底部を氷浴に漬け、バイアル瓶と吸水性樹脂を冷却した。このバイアル瓶内に、前述の冷却したDMFを4mL加え、更に前述の冷却した25質量%リン酸水溶液5mLを加え、セプタムゴム、アルミキャップで栓をしてすばやく締め付けた後、軽くバイアル瓶を振り混合した。10分静置後、中の吸水性樹脂が膨潤していることを確認し、同バイアル瓶を激しく振り混ぜ内部を強撹拌した。このバイアル瓶を110℃で2時間予備加熱し、加熱後再度強攪拌を行った。
なお、20ml容のバイアルへの仕込から栓の締め付けまでは、すばやく行い、分散媒がバイアルから蒸散するのを極力防ぐように留意した。
【0053】
このバイアル瓶を110℃で2時間加温し、冷まさないように気相部を1ml採取し、ガスクロマトグラフに注入し、クロマトグラムを得た。(ヘッドスペースオートサンプラを使用)
得られたクロマトグラムのピーク面積を基に、先に作成した検量線から、仕込サンプル量(0.10gの実測値)に含まれる分散媒量を算出し、サンプル1gあたりに含まれる分散媒量[ppm]に換算した。
【0054】
本発明において残存分散媒量の測定に使用したガスクロマトグラフの条件は下記のとおりである。
機種:島津製作所製 GC−14A+HSS2B(ヘッドスペースオートサンプラ)
充填剤:Squalane 25% Shimalite(NAW)(101)
80−100mesh
カラム:3.2mmφ×2.1m
カラム温度:80℃
注入口温度:180℃
検出器温度:180℃
検出器:FID
ガスキャリア:窒素ガス
バイアル瓶加熱温度:110℃
シリンジ設定温度:110℃
【0055】
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各例における単量体水溶液の比重は1.15g/mlとして計算を行った。
【0056】
比較例1
500mL容の三角フラスコに、80重量%アクリル酸水溶液92.0gを仕込み、フラスコを外部から冷却しつつ、攪拌しながら30重量%水酸化ナトリウム102.2gを滴下して中和を行なった。これに過硫酸カリウム0.11gとエチレングリコールジグリシジルエーテル8.3mg、イオン交換水43.6gを加え、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液(以後「単量体水溶液」と記載)を調製した。
1段の傾斜パドル翼を備えた攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、玉栓を備えた2L容の六ツ口セパラブルカバーと円筒形丸底セパラブルフラスコ(以後「丸底フラスコ」)に、n−ヘプタン342gを注ぎ、界面活性剤のショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、商品名:S−370)0.92gと疎水性高分子系分散剤として無水マレイン酸変性ポリエチレン(三井化学株式会社、商品名:HI−WAX1105A)0.92gを加えて内温80℃まで加温溶解した後、空冷により内温60℃とした。
【0057】
先端の開口部が内径8mmφのSUS製ロートを用いて、500rpmで攪拌している上記ヘプタン中に、上記単量体水溶液を一気に投入した。単量体水溶液の入れ始めから、入れ終わりまでの所要時間をストップウォッチで計測したところ12秒であった。単量体水溶液238gを比重1.15g/mlで換算し、容積207mlを12secで除して、投入時の平均容積流速17.3ml/secより、断面積A=π/4×0.8×0.8=0.503cm、線流速はF=17.3[ml/sec]÷0.503[cm]×60[sec/min]×0.01[cm/m]=20.6[m/min]、添加速度は、V=Vtotal=F×100[m/cm]×A÷207[ml]=5.0[min−1]であった。
【0058】
500rpmで攪拌しながら内温40℃前後に保ったまま系内を30分間200ml/minの流量で窒素ガス置換した後、70℃の湯浴で丸底フラスコを1時間加温し、重合反応を行なった。
重合反応後、120℃の油浴を用いて加熱し、共沸蒸留により、n−ヘプタンを還流しながら、水114gを系外に除去することにより脱水重合体を得た。得られた脱水重合体に後架橋剤として2%エチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液4.6gを添加し、83℃で2時間、後架橋反応を行なった。
その後、120℃の油浴を用いて加熱し、n−ヘプタンと水を蒸留により系外へ除去後、窒素気流下で乾燥し、吸水性樹脂91gを得た。この吸水性樹脂の中位粒子径は56μmで水分率は3%であった。
【0059】
実施例1
500mL容の三角フラスコに、80重量%アクリル酸水溶液92.0gを仕込み、フラスコを外部から冷却しつつ、攪拌しながら30重量%水酸化ナトリウム102.2gを滴下して中和を行なった。これに過硫酸カリウム0.11gとエチレングリコールジグリシジルエーテル8.3mg、イオン交換水43.6gを加え、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を調製した。
1段の傾斜パドル翼を備えた攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、玉栓を備えた2L容の六ツ口セパラブルカバーと丸底フラスコに、n−ヘプタン342gを注ぎ、界面活性剤のショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、商品名:S−370)0.92gと疎水性高分子系分散剤として無水マレイン酸変性ポリエチレン(三井化学株式会社、商品名:HI−WAX1105A)0.92gを加えて内温80℃まで加温溶解した後、空冷により内温60℃とした。
【0060】
あらかじめ用意しておいたチューブポンプ(MASTERFLEX L/Sシリーズ)のチューブの先に内径1mmφのノズル(内径1mmφのフッ素樹脂製チューブにて作成)を取り付け、そのノズルをセパラカバーの六ツ口部の開いている口に固定し、先述の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を、500rpmで攪拌されている上記ヘプタン中に(単量体水溶液が壁面に当たらないように配慮しながら)、ポンプ流量42ml/min(別途実測)にて添加をした。(前記単量体水溶液全量投入には約300秒を要した。)断面積A=π/4×0.1×0.1=7.85×10−3[cm]、線流速F=42[ml/min]÷(7.85×10−3[cm])×0.01[m/cm]=53.5[m/min]より、この時の添加速度V=Vtotal=F×100[cm/m]×A÷207[ml]=0.20[min−1]であった。
【0061】
500rpmで攪拌しながら内温40℃前後に保ったまま系内を30分間200ml/minの流量で窒素ガス置換した後、70℃の湯浴で丸底フラスコを1時間加温し、重合反応を行なった。
重合反応後、120℃の油浴を用いて加熱し、共沸蒸留により、n−ヘプタンを還流しながら、水114gを系外に除去することにより脱水重合体を得た。得られた脱水重合体に後架橋剤として2%エチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液4.6gを添加し、83℃で2時間、後架橋反応を行なった。
その後、120℃の油浴を用いて加熱し、n−ヘプタンと水を蒸留により系外へ除去後、窒素気流下で乾燥し、850μmの篩を通過した吸水性樹脂92gを得た。この吸水性樹脂の中位粒子径は61μmで水分率は3%であった。
【0062】
実施例2
実施例1において、チューブポンプで単量体水溶液の添加速度をポンプ流量42ml/minに代えて21ml/minとした以外は、実施例1と同様の操作を行った。添加速度は0.10[min−1]であった。(前記単量体水溶液全量投入には約600秒を要した。)
その結果、吸水性樹脂92gを得た。この吸水性樹脂の中位粒子径は59μmで水分率は3%であった。
【0063】
比較例2
実施例1において、チューブポンプで単量体水溶液の添加速度をポンプ流量42ml/minに代えて166ml/minとした以外は、実施例1と同様の操作を行った。添加速度は0.80[min−1]であった。(前記単量体水溶液全量投入には約75秒を要した。)
その結果、吸水性樹脂91gを得た。この吸水性樹脂の中位粒子径は58μmで水分率は3%であった。
【0064】
比較例3
実施例1において、チューブポンプで単量体水溶液の添加速度をポンプ流量42ml/minに代えて83ml/minとした以外は、実施例1と同様の操作を行った。(前記単量体水溶液全量投入には約150秒を要した。)
その結果、吸水性樹脂91gを得た。この吸水性樹脂の中位粒子径は61μmで水分率は2%であった。
【0065】
実施例3
実施例1において、単量体水溶液を42ml/minで添加するチューブポンプと1mmφノズルをそれぞれ2組用意し、セパラカバーのほぼ対角の2つの口にそれぞれのノズルを固定して、2箇所から同時に単量体水溶液を添加した以外は、実施例1と同様の操作を行った。このとき、両ノズルの断面積A=A=π/4×0.1×0.1=7.85×10−3[cm]、線流速F=F=42[ml/min]÷(7.85×10−3[cm])×0.01[m/cm]=53.5[m/min]より、各ノズルの添加速度はV=F×100[cm/m]×A÷207[ml]=0.20[min−1]、V=Vより、総添加速度Vtotal=V+V=0.40[min−1](前記単量体水溶液全量投入には約150秒を要した。)
その結果、吸水性樹脂93gを得た。この吸水性樹脂の中位粒子径は58μmで水分率は4%であった。
【0066】
比較例4
比較例3において、単量体水溶液を83ml/minで添加するチューブポンプと1mmφノズルをそれぞれ2組用意し、セパラカバーのほぼ対角の2つの口にそれぞれのノズルを固定して、2箇所から同時に単量体水溶液を添加した以外は、実施例1と同様の操作を行った。このとき、両ノズルの断面積A=A=π/4×0.1×0.1=7.85×10−3[cm]、線流速F=F=83[ml/min]÷(7.85×10−3[cm])×0.01[m/cm]=105.73[m/min]より、各ノズルの添加速度はV=F×100[cm/m]×A÷207[ml]=0.40[min−1]、V=Vより、総添加速度Vtotal=V+V=0.80[min−1]であった。(前記単量体水溶液全量投入には約75秒を要した。)
その結果、吸水性樹脂92gを得た。この吸水性樹脂の中位粒子径は58μmで水分率は3%であった。
【0067】
実施例4
実施例2において、単量体水溶液を21ml/minで添加するチューブポンプと1mmφノズルをそれぞれ4組用意し、セパラカバーの口に4つのノズルを固定し、ノズルからでる単量体水溶液がヘプタンの液面上で交差しないように留意して、4箇所から同時に単量体水溶液を添加した以外は、実施例1と同様の操作を行った。このとき各ノズルの断面積A=A=A=A=π/4×0.1×0.1=7.85×10−3[cm]、各線流速F=F=F=F=21[ml/min]÷(7.85×10−3[cm])×0.01[m/cm]=26.75[m/min]より、各ノズルの添加速度はV=F×100[cm/m]×A÷207[ml]=0.10[min−1]、V=V=V=Vより、総添加速度Vtotal=Σ(V〜V)=0.40であった。(前記単量体水溶液全量投入には約150秒を要した。)
その結果、吸水性樹脂91gを得た。この吸水性樹脂の中位粒子径は58μmで水分率は2%であった。
【0068】
実施例5
比較例1において用いた先端の開孔部が内径8mmφのSUS製ロートの先端に、先端に内径1mmφの孔が一つ開いたキャップをかぶせ、(ロートに注いだ液がこの1mmφの孔をとおしてのみ、ロート下のヘプタン中に添加されることを確認済)、ヘプタン中へ上記単量体水溶液を一括で投入した以外は、比較例1と同様の操作を行った。
なお、単量体水溶液の入れ始めから、入れ終わりまでの所要時間をストップウォッチで計測したところ260秒であった。単量体水溶液238gを比重1.15g/mlで換算し、207mlを260secで除して投入時の平均容積流速0.80ml/secより、この時の断面積A=π/4×0.1×0.1=7.85×10−3[cm]線流速F=0.80[ml/sec]÷(7.85×10−3[cm])×0.01[m/cm]×60[sec/min]=61.15[m/min]から添加速度V=Vtotal=F×100[cm/m]×A÷207=0.23[min−1]であった。
その結果、吸水性樹脂92gを得た。この吸水性樹脂の中位粒子径は60μmで水分率は3%であった。
【0069】
比較例5
比較例3において、チューブポンプの先のノズルを、内径1mmφから2mmφに取り替えた以外は比較例3と同様の操作を行った。断面積A=π/4×0.2×0.2=3.14×10−2[cm]、線流速F=83[ml/min]÷(3.14×10−2[cm])×0.01[m/cm]=26.43[m/min]より、この時の添加速度V=Vtotal=F×100[cm/m]×A÷207[ml]=0.40[min−1]であった。(線流速は実施例2と同程度であるが、添加速度は比較例3と同じであり、前記単量体水溶液全量投入には約150秒を要した。)
その結果、吸水性樹脂91gを得た。この吸水性樹脂の中位粒子径は56μmで水分率は2%であった。
【0070】
実施例6
500mL容の三角フラスコに、80重量%アクリル酸水溶液92.0gを仕込み、フラスコを外部から冷却しつつ、攪拌しながら30重量%水酸化ナトリウム102.2gを滴下して中和を行なった。これに過硫酸カリウム0.11gとエチレングリコールジグリシジルエーテル8.3mg、イオン交換水43.6gを加え、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を調製した。
1段の傾斜パドル翼を備えた攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、玉栓を備えた2L容の六ツ口セパラブルカバーと丸底フラスコに、n−ヘプタン342gを注ぎ、界面活性剤のショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、商品名:S−370)0.92gと疎水性高分子系分散剤として無水マレイン酸変性ポリエチレン(三井化学株式会社、商品名:HI−WAX1105A)0.92gを加えて内温80℃まで加温溶解した後、空冷により内温60℃とした。
あらかじめ用意しておいたチューブポンプ(MASTERFLEX L/Sシリーズ)のチューブの先に内径1mmφのノズル(内径1mmφのフッ素樹脂製チューブにて作成)を取り付け、そのノズルをセパラカバーの六ツ口部の開いている口に固定し、先述の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を、500rpmで攪拌されている上記ヘプタン中に(単量体水溶液が壁面に当たらないように配慮しながら)、ポンプ流量11ml/min(別途実測)にて添加をした。(前記単量体水溶液全量投入には約1150秒を要した。)断面積A=π/4×0.1×0.1=7.85×10−3[cm]、線流速F=11[ml/min]÷(7.85×10−3[cm])×0.01[m/cm]=14.0[m/min]より、この時の添加速度V=Vtotal=F×100[cm/m]×A÷207[ml]≒0.05[min−1]であった。
500rpmで攪拌しながら内温40℃前後に保ったまま系内を30分間200ml/minの流量で窒素ガス置換した後、70℃の湯浴で丸底フラスコを1時間加温し、重合反応を行なった。
【0071】
重合反応後、120℃の油浴を用いて加熱し、共沸蒸留により、n−ヘプタンを還流しながら、水113gを系外に除去することにより脱水重合体を得た。得られた脱水重合体に後架橋剤として2%エチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液4.6gを添加し、83℃で2時間、後架橋反応を行なった。
その後、120℃の油浴を用いて加熱し、n−ヘプタンと水を蒸留により系外へ除去後、窒素気流下で乾燥し、850μmの篩を通過した吸水性樹脂93gを得た。この吸水性樹脂の中位粒子径は60μmで水分率は4%であった。
【0072】
実施例7
実施例2を1段目重合として、2段重合を行った。
500mL容の三角フラスコに、80重量%アクリル酸水溶液92.0gを仕込み、フラスコを外部から冷却しつつ、攪拌しながら30重量%水酸化ナトリウム102.2gを滴下して中和を行なった。これに過硫酸カリウム0.11gとエチレングリコールジグリシジルエーテル8.3mg、イオン交換水43.6gを加え、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を調製した。
1段の傾斜パドル翼を備えた攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、玉栓を備えた2L容の六ツ口セパラブルカバーと丸底フラスコに、n−ヘプタン342gを注ぎ、界面活性剤のショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、商品名:S−370)0.92gと疎水性高分子系分散剤として無水マレイン酸変性ポリエチレン(三井化学株式会社、商品名:HI−WAX1105A)0.92gを加えて内温80℃まで加温溶解した後、空冷により内温60℃とした。
【0073】
あらかじめ用意しておいたチューブポンプ(MASTERFLEX L/Sシリーズ)のチューブの先に内径1mmφのノズル(内径1mmφのフッ素樹脂製チューブにて作成)を取り付け、そのノズルをセパラカバーの六ツ口部の開いている口に固定し、先述の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を、500rpmで攪拌されている上記ヘプタン中に(単量体水溶液が壁面に当たらないように配慮しながら)、ポンプ流量21ml/min(別途実測)にて添加をした。(前記単量体水溶液全量投入には約600秒を要した。)断面積A=π/4×0.1×0.1=7.85×10−3[cm]、線流速F=21[ml/min]÷(7.85×10−3[cm])×0.01[m/cm]=26.8[m/min]より、この時の添加速度V=Vtotal=F×100[cm/m]×A÷207[ml]=0.10[min−1]であった。
【0074】
500rpmで攪拌しながら内温40℃前後に保ったまま系内を30分間200ml/minの流量で窒素ガス置換した後、70℃の湯浴で丸底フラスコを1時間加温し、1段目の重合反応を行なった。
1段目重合終了後、撹拌速度を1000rpmに増速し、内温を25℃付近まで冷却し、界面活性剤を少なくとも一部析出させた。
【0075】
別途、500mL容の三角フラスコに、80質量%アクリル酸水溶液128.8gを仕込み、フラスコを外部から冷却しつつ、攪拌しながら30質量%水酸化ナトリウム142.9gを滴下して中和を行ない、これに過硫酸カリウム0.15gとエチレングリコールジグリシジルエーテル11.6mgとイオン交換水16.7gを加えて2段目重合の単量体水溶液を調製した。 次に冷却した重合液に、あらかじめ用意しておいたチューブポンプ(MASTERFLEX L/Sシリーズ)のチューブの先に内径1mmφのノズル(内径1mmφのフッ素樹脂製チューブにて作成)を取り付け、そのノズルをセパラカバーの六ツ口部の開いている口に固定し、先述の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を、1000rpmで攪拌されている重合液中に(単量体水溶液が壁面に当たらないように配慮しながら)、ポンプ流量30ml/min(別途実測)にて添加をした。(前記単量体水溶液全量投入には約500秒を要した。)単量体水溶液288.6gは比重1.17g/mlで換算し、容積246.7mlであり、断面積A=π/4×0.1×0.1=7.85×10−3[cm]=7.85×10−7[m]、線流速F=30[ml/min]÷(7.85×10−3[cm])×0.01[m/cm]=38.2[m/min]より、この時の添加速度V=Vtotal=F[m/min]×100[cm/m]×A[cm]÷246.7[ml]=0.12[min−1]であった。
次に前記分散液を含む丸底フラスコの内温を室温程度に保持しながら系内を充分に窒素置換した後、70℃の湯浴を用いて1時間加温し、ラジカル重合反応を行なった。
2段目の重合反応後、120℃の油浴を用いて加熱し、共沸蒸留により、n−ヘプタンをフラスコに還流しながら260gの水を系外に除去することによりヘプタンに分散された脱水重合体を得た。得られたヘプタン分散脱水重合体に、後架橋剤として2%エチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液8.2gを添加し、83℃で2時間、後架橋反応を行なった。
その後、120℃の油浴を用いて加熱し、n−ヘプタンと水を蒸留により系外へ除去後、窒素気流下で乾燥し、850μmの篩を通過させ、球状粒子が凝集した形状の吸水性樹脂238gを得た。この吸水性樹脂の中位粒子径は367μmで、水分率は6%であった。
【0076】
【表1】
【0077】
表1より、単量体水溶液の重合系への添加速度を、各投入ノズルの添加速度Vが0.30[min−1]以下であって、かつ総添加速度Vtotalが0.04[min−1]以上である場合に、比較例に比較して、残存分散媒量の低減が達成できた。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明により、吸水性樹脂中に含まれる逆相懸濁重合に使用された石油系炭化水素分散媒の残存量が少なく、石油系炭化水素分散媒に由来する臭気が低減された衛生材用途に適した吸水性樹脂が提供される。