特許第5777818号(P5777818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777818
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】優れた製造工程性及び安全性の二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/18 20060101AFI20150820BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20150820BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   H01M2/18 Z
   H01M10/0587
   H01M10/04 W
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-527089(P2014-527089)
(86)(22)【出願日】2012年9月12日
(65)【公表番号】特表2014-527272(P2014-527272A)
(43)【公表日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】KR2012007307
(87)【国際公開番号】WO2013048037
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2014年2月24日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0097265
(32)【優先日】2011年9月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ド・ギュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ドン−ミュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ドン・サブ・イ
(72)【発明者】
【氏名】サン・ボン・ナム
(72)【発明者】
【氏名】サン・ソク・ジュン
【審査官】 山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−241251(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0154789(US,A1)
【文献】 特開2007−027109(JP,A)
【文献】 特開2002−231314(JP,A)
【文献】 特開2010−061815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/14−2/18
H01M 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極/分離膜/負極構造のゼリーロールが円筒形の電池ケースに装着されている構造の二次電池であって、前記ゼリーロールの上端に搭載される板状構造の絶縁部材は、繊維の織布または編物構造からなっており、
前記絶縁部材は、織布または編物構造の多層構造からなり、
微細気孔が前記織布または編物構造に形成されており、前記微細気孔は上下方向に不均一な直径を有する連通口形状からなり、
前記微細気孔の直径は、1μm〜100μmの範囲にあることを特徴とする、二次電池。
【請求項2】
前記繊維は、合成繊維及び/または天然繊維からなることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記絶縁部材の厚さは、0.1mm〜0.5mmの大きさであることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
前記電池はリチウム二次電池であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項5】
前記電池は、ガス排出及び電極端子の貫通のために絶縁部材上に穿孔されている開口を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項6】
請求項1ないしのいずれか1項に係る二次電池を電源として含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項7】
前記デバイスは、携帯電話、携帯用コンピュータ、LEV(Light Electronic Vehicle)、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、及び電力貯蔵装置から選択されることを特徴とする、請求項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた製造工程性及び安全性の二次電池に係り、より詳細には、正極/分離膜/負極構造のゼリーロールが円筒形の電池ケースに装着されている構造の二次電池であって、上記ゼリーロールの上端に搭載される板状構造の絶縁部材は、繊維の織布または編物構造からなっている二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器に対する技術開発及び需要の増加により、二次電池の需要もまた急増しており、その中でも、エネルギー密度と作動電圧が高く、且つ保存と寿命特性に優れたリチウム二次電池は、各種モバイル機器はもちろん、様々な電子製品のエネルギー源として広く使用されている。
【0003】
二次電池は、電池ケースの形状に応じて、電極組立体が円筒形または角形の金属缶に内蔵されている円筒形電池及び角形電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内蔵されているパウチ型電池とに分類される。そのうち、円筒形電池は、相対的に容量が大きく、構造的に安定的であるという長所を有する。
【0004】
電池ケースに内蔵される上記電極組立体は、正極/分離膜/負極の積層構造からなる充放電が可能な発電素子であって、活物質が塗布された長いシート状の正極と負極との間に分離膜を介在させて巻き取ったゼリーロール型と、所定の大きさの多数の正極及び負極を分離膜が介在した状態で順次積層したスタック型と、ゼリーロール型とスタック型との複合構造であるスタック/フォールディング型とに分類される。そのうち、ゼリーロール型電極組立体は、製造が容易で、且つ重量当たりのエネルギー密度が高いという長所を有している。
【0005】
これと関連して、従来の円筒形二次電池の構造が図1に示されており、円筒形二次電池において一般的に使用される絶縁部材が、図2及び図3に平面図として模式的に示されている。
【0006】
これら図面を参照すると、円筒形二次電池100は、ゼリーロール型(巻き取り型)電極組立体120を電池ケース130に収納し、電池ケース130内に電解液を注入した後、ケース130の開放上端に電極端子(例えば、正極端子(図示せず))が形成されているキャップアセンブリ140を結合して作製する。
【0007】
電極組立体120は、正極121と負極122及びこれらの間に分離膜123を介在させた後、丸く巻いた構造であって、その巻芯(ゼリーロールの中心部)には円筒形のセンターピン150が挿入されている。センターピン150は、一般に、所定の強度を付与するために金属素材からなり、板材を丸く折り曲げた中空状の円筒形構造からなっている。このようなセンターピン150は、電極組立体を固定及び支持する作用と、充放電及び作動時に内部反応によって発生するガスを放出する通路として作用する。
【0008】
また、電極組立体120の上端面には板状構造の絶縁部材180aが装着されており、この絶縁部材180aには、ガスが排出されるとともに、電極組立体120の正極タップ142がキャップアセンブリ140のキャッププレート145に連結され得るように、中央にセンターピン150の貫通口151と連通する開口181aが形成されている。
【0009】
しかし、ゼリーロールの上端に位置する絶縁部材180aは、電池の注液工程で電解液が電池の内部に浸透する経路を遮断している構造物である。そのため、センターピン150と連通する開口181a、及び絶縁部材180aが位置していない部位を介してのみ電解液が電池の内部に浸透するようになるため、注液工程に多くの時間がかかり、結果的に生産性が低下するという問題点を有している。
【0010】
このような注液工程時に電解液の浸透経路を円滑にするために、図3でのように、一部の絶縁部材180bにおいては、開口181bの周辺に多数の貫通口182bが形成されている構造が提案された。
【0011】
しかし、このような構造は、電池の安全性の面において深刻な問題を有していることが確認された。すなわち、キャップアセンブリ140、電池ケース130などの製造及び/または組立過程で発生した金属粉末などのような導電性不純物粒子が、絶縁部材180bに穿孔されている貫通口182bを介して電極組立体120に流入し、短絡を誘発させたり、電池の寿命特性を著しく低下させるという短所をもたらし得る。
【0012】
したがって、注液工程性を向上させるとともに、電池の組立工程中に発生する異物の流入を防止することによって寿命特性が向上した二次電池に対する高い需要が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記のような従来技術の問題点及び過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0014】
本発明の出願人らは、様々な実験と鋭意研究を続けた結果、後述するような特定の形態の絶縁部材を開発した。このような絶縁部材は、電解液の注液性を大きく向上させると同時に、ビーディング工程のような組立工程中に発生する異物がゼリーロール内に流入することを防止することによって、電池の不良を防止し、安全性を向上させることを確認し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するための本発明に係る二次電池は、正極/分離膜/負極構造のゼリーロールが円筒形の電池ケースに装着されている構造の二次電池であって、前記ゼリーロールの上端に搭載される板状構造の絶縁部材は、繊維の織布または編物構造からなっている。
【0016】
したがって、本発明に係る二次電池は、繊維の織布または編物(編織物)構造からなる絶縁部材を使用することによって、繊維の織布または編物構造によって電解液が注液される結果、注液経路が分散されて注液時間を減少させることができ、結果的に注液性が向上する。
【0017】
前記繊維は、電解液が容易に注液され、電気絶縁性を有する素材であれば特に制限はなく、例えば、合成繊維及び/または天然繊維からなることができる。
【0018】
具体的に、合成繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどであってもよい。
【0019】
一つの好ましい例において、前記織布または編物構造に形成されている微細気孔は、電解液は通過するが、100μm以上の大きさの異物は通過できない大きさを有することができる。
【0020】
したがって、本発明に係る二次電池は、電解液の注入時において、電解液のみが絶縁部材の微細気孔を介してゼリーロール内に注入されるので、100μm以上の大きさの異物がゼリーロール内に流入するおそれがなく、このような異物を選別して除去する工程を省略できるので、製造工程性を大きく向上させることができる。
【0021】
なお、本発明に係る二次電池は、異物の流入によるショート発生のおそれがないので、安全性が向上するという効果がある。
【0022】
前記微細気孔は、絶縁部材本来の機能である電気的絶縁状態を提供しながら、電解液の注入時に電解液に対する高い透過率を有し、100μm以上の大きさの異物の透過を防止するように、1μm〜100μmの範囲で形成されていることが好ましい。
【0023】
前記微細気孔の位置及び相互間の間隔は、異物の流入防止、電解液の注液性、及びガス排出性を阻害しない範囲内で非制限的である。
【0024】
一つの具体的な例において、前記微細気孔は、100μm以上の大きさの異物の流入を防止し、電解液の注液性及びガス排出性を向上させることができるように、互いに同一または異なる間隔で絶縁部材の全面にわたって形成されている構造であってもよい。ここで、前記間隔は、微細気孔同士間の間隔を意味し、相互間隔は、例えば、10μm〜100μmの大きさであってもよい。
【0025】
上記のように絶縁部材の全面にわたって形成されている微細気孔に電解液が注液される場合には、注液経路をさらに分散させることができるので、注液性が向上し、その結果、注液時間を減少させることができ、微細気孔同士間の間隔が同一である場合には、注液速度が一定になり、電解液がゼリーロールを均一に含浸させることができるので、結果的に電池特性が向上するという効果がある。
【0026】
また、互いに同一の間隔で絶縁部材の全面にわたって形成されている微細気孔は、例えば、電解液の分解によって発生したガスの排出経路となり、ガスの拡散性を考慮するとき、分散された排出経路を介して排出される場合、排気速度を向上させることができる。
【0027】
しかし、前述したように、微細気孔同士間の間隔が互いに異なる構造で構成してもよいことはもちろんである。
【0028】
前記微細気孔は、上下方向に均一な直径を有する貫通口形状であってもよく、上下方向に不均一な直径を有する連通口形状であってもよい。前記貫通口及び連通口の形状は絶縁部材内での電解液及びガスの移動経路と関連している。
【0029】
具体的に、均一な直径を有する貫通口形状は2次元の移動経路を形成させるのに対して、不均一な直径を有する連通口形状は3次元の移動経路を形成させる。電解液の均一な注入及びガスの拡散性の面において、前記微細気孔は、上下方向に不均一な直径を有する連通口形状であることがさらに好ましい。
【0030】
好ましくは、前記絶縁部材は、必要に応じて、織布または編物構造の単層または多層構造からなることができる。多層構造の層数は特に制限されるものではなく、例えば、2〜10層の範囲であってもよい。各層は、例えば、接着、熱融着、ニードルパンチングなどの方法で接合できるが、これに限定されるものではない。
【0031】
多層構造では、各層の配列形態や、各層の織布または編物構造を変化させて、前述したように、微細気孔が上下方向に不均一な直径を有する連通口形状を作ることができる。
【0032】
前記絶縁部材の全厚さは、0.1mm〜0.5mmの大きさを有することが好ましい。前記絶縁部材の厚さが薄すぎる場合には、絶縁部材本来の電気的絶縁機能を十分に発揮しにくく、逆に、厚すぎる場合には、同一規格の電池ケースにおいてゼリーロールの大きさの減少を誘発して電池容量が減少するため好ましくない。
【0033】
本発明に係る二次電池は、前記ゼリーロールにリチウム含有電解液を含浸させて製造されるリチウム二次電池に好ましく適用することができる。
【0034】
一般に、リチウム二次電池は、正極、負極、分離膜、リチウム塩含有非水電解液などで構成されている。
【0035】
前記正極は、正極活物質及び選択的に導電材、バインダー、充填剤などを含む正極合剤をNMPなどの溶媒に混合して製造されたスラリーを正極集電体上に塗布した後、乾燥及び圧延して製造することができる。
【0036】
前記正極活物質としては、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物や、一つまたはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li1+yMn2-y(ここで、yは、0〜0.33である)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(LiCuO);LiV、LiFe、V、Cuなどのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-y(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、y=0.01〜0.3である)で表現されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-y(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、y=0.01〜0.1である)またはLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表現されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土金属イオンで置換されたLiMn;ジスルフィド化合物;Fe(MoOなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
前記正極集電体は、一般的に3〜500μmの厚さに製造される。このような正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどを使用することができる。集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態が可能である。
【0038】
前記導電材は、通常、正極活物質を含む混合物全体の重量を基準として1〜30重量%で添加される。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などを使用することができる。
【0039】
前記バインダーは、活物質と導電材などの結合及び集電体に対する結合を助ける成分であって、通常、正極活物質を含む混合物全体の重量を基準として1〜30重量%で添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルローズ(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルローズ、再生セルローズ、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム、様々な共重合体などが挙げられる。
【0040】
前記充填剤は、正極の膨脹を抑制する成分として選択的に使用され、当該電池に化学的変化を誘発せずに繊維状材料であれば、特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレピン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が使用される。
【0041】
前記分離膜は、正極と負極との間に介在し、高いイオン透過度及び機械的強度を有する絶縁性の薄い薄膜が使用される。一般に、分離膜の気孔径は0.01〜10μmで、厚さは5〜300μmである。このような分離膜としては、例えば、耐化学性及び疎水性のポリプロピレンなどのオレピン系ポリマー;ガラス繊維またはポリエチレンなどで作られたシートや不織布などが使用される。電解質としてポリマーなどの固体電解質が使用される場合には、固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。
【0042】
前記負極は、例えば、負極集電体上に負極活物質を含んでいる負極合剤を塗布した後、乾燥して製造され、前記負極合剤には、必要に応じて、前述したような成分が含まれてもよい。
【0043】
前記負極活物質としては、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LiFe(0≦x≦1)、LiWO(0≦x≦1)、SnMe1-xMe’(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期律表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;錫系合金;SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、GeO、GeO、Bi、Bi、Biなどの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li−Co−Ni系材料などを使用することができる。
【0044】
前記負極集電体は、一般的に3〜500μmの厚さに製造する。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに高い導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム−カドミウム合金などを使用することができる。また、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させてもよく、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態で使用することができる。
【0045】
一方、前記電解液は、電解液とリチウム塩からなっているリチウム塩含有非水系電解液であることが好ましい。前記電解液としては、非水系有機溶媒、有機固体電解質、無機固体電解質などが使用される。
【0046】
前記非水系有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒を使用することができる。
【0047】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などを使用することができる。
【0048】
前記無機固体電解質としては、例えば、LiN、LiI、LiNI、LiN−LiI−LiOH、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiSiS、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiPO−LiS−SiSなどのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などを使用することができる。
【0049】
前記リチウム塩は、前記非水系電解質に溶解されやすい物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、CHSOLi、CFSOLi、(CFSONLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、イミドなどを使用することができる。
【0050】
また、電解液には、充放電特性、難燃性などの改善を目的で、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノン、N,N−置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されてもよい。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませることもでき、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含ませることもでき、FEC(Fluoro−Ethylene carbonate)、PRS(Propene sultone)、FPC(Fluoro−Propylene carbonate)などをさらに含ませることができる。
【0051】
一方、前記電池は、ガス排出及び電極端子の貫通のために絶縁部材上に穿孔されている開口を含んでいる構造であってもよい。
【0052】
本発明はまた、前記二次電池を電源として含むデバイスを提供し、本発明に係るデバイスは、携帯電話、携帯用コンピュータなどのモバイル機器だけでなく、優れた寿命特性及び安全性などを考慮するとき、LEV(Light Electronic Vehicle)、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車及び電力貯蔵装置などに好ましく使用することができる。
【0053】
このようなリチウム二次電池、これを単位電池として含む中大型電池モジュール及びデバイスの構造と製造方法は当業界に公知となっているので、それについての詳細な説明を本明細書では省略する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】円筒形二次電池の代表的な断面模式図である。
図2図1の二次電池で使用された絶縁部材の平面図である。
図3図1の二次電池で使用された他の形態の絶縁部材の平面図である。
図4】本発明の一つの実施例に係る絶縁部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下では、本発明の実施例に係る図面を参照して説明するが、これは、本発明のより容易な理解のためのものであり、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0056】
図4には、本発明の一つの実施例に係る絶縁部材の平面図が模式的に示されている。
【0057】
図4図1と共に参照すると、二次電池100は、正極121、分離膜123、負極122構造のゼリーロール120が、円筒形の電池ケース130に装着されている構造であって、ゼリーロール120の上端には板状構造の絶縁部材180cが搭載されている。
【0058】
絶縁部材180cは、略0.4mmの厚さのポリエチレンテレフタレート(PET)が織布構造からなっており、一側に開口181cが穿孔され、直径10〜30μmの多数の気孔182cがランダムに絶縁部材180cの全面にわたって形成されている。
【0059】
したがって、多数の微細気孔182cによって、電解液の注入時に絶縁部材180cの全面にわたって電解液が浸透するので、注液性が大きく向上し、ショートの発生を未然に防止することができる。
【0060】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳述するが、下記の実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の範疇がこれらに限定されるものではない。
【0061】
[実施例1]
織布構造からなるPETを使用して、厚さが0.4mmであり、図4に示すように、横6mm、縦2.5mmの四角形状の開口が一側に穿孔されており、直径が10〜30μmである多数の微細気孔が約10〜30μmの間隔で全面に形成されている絶縁部材を製造した。その後、センターピンによって正極/分離膜/負極が巻き取られている構造のゼリーロールの上端に上記絶縁部材を搭載し、電池の組立過程で一般的に発生する微細金属粉末を上記絶縁部材上に位置させた状態で、18650規格(直径18mm、長さ65mm)の円筒形二次電池を作製した。
【0062】
[実施例2]
直径が100μmである多数の微細気孔が約120μmの間隔で全面に形成されている絶縁部材を準備したこと以外は、上記実施例1と同様の方法で絶縁部材及び二次電池をそれぞれ作製した。
【0063】
[比較例1]
図2に示すように、多数の微細気孔を含んでいないこと以外は、上記実施例1と同様の方法で絶縁部材及び二次電池を作製した。
【0064】
[比較例2]
図3に示すように、多数の微細気孔の代わりに、直径が2.5mmである3個の貫通口が形成されたこと以外は、上記実施例1と同様の方法で絶縁部材及び二次電池をそれぞれ作製した。
【0065】
[比較例3]
直径が150μmである多数の微細気孔が約120μmの間隔で全面に形成されている絶縁部材を準備したこと以外は、上記実施例1と同様の方法で絶縁部材及び二次電池をそれぞれ作製した。
【0066】
[実験例1]
上記実施例1及び2と比較例1乃至3でそれぞれ作製された二次電池に対する電解液含浸実験を実施し、その結果を下記の表1に示した。電解液含浸実験は、1MのLiPFのカーボネート系電解液を、上記で作製された円筒形の電池ケースに注入した後、ゼリーロールの含浸率が100%になるのにかかる時間を測定し、このような過程を4回繰り返して平均値を得た。
【0067】
また、上記で作製された二次電池の開放上端にキャップアセンブリを溶接してそれぞれ10個ずつ作製し、充放電実験を進行して短絡の有無を確認し、その結果を下記の表1に表した。
【0068】
【表1】
【0069】
上記表1からわかるように、本発明の実施例1及び2の電池は、電解液の含浸時間が比較例1に比べて著しく短縮されることを確認することができる。すなわち、絶縁部材に形成されている織布構造の微細気孔によって、電解液が効果的に透過したことがわかる。
【0070】
比較例2の電池は、比較例1の電池に比べて含浸性が向上するが、短絡率が相対的に大きくなり、比較例3の電池もまた、実施例1及び2に類する含浸性を示しているが、短絡率が相対的に大きいことがわかる。これは、相対的に大きい気孔を介して金属粉末が通過して、ゼリーロールの内部で短絡が誘発されるからであると確認された。
【0071】
一方、比較例1の電池は、それに装着される絶縁部材に実施例1及び2でのような微細気孔が穿孔されていないにもかかわらず、実施例1及び2の電池に比べてさらに高い短絡率を示す。このような高い短絡率は、実施例1及び2の電池の場合、金属粉末が、微細気孔上にかかって移動が抑制されるのに対して、比較例1の電池の場合、絶縁部材の滑らかな表面で移動が自由であるため、開口または絶縁部材の外周面を介してゼリーロールに移動するからであると考えられる。
【0072】
本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記の内容に基づいて本発明の範疇内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上で説明したように、本発明に係る二次電池は、板状構造の絶縁部材を繊維の織布または編物構造で構成することによって、織布または編物構造によって、電解液の注入時に注液経路が分散されて注液時間を減少させることができ、結果的に注液性が向上する。
【0074】
また、本発明に係る二次電池は、異物を選別して除去する工程、場合によっては、反り現象を防止または除去する工程を省略することができ、一定の寸法に絶縁部材を裁断することが可能であるので、製造工程性を大きく向上させるという効果がある。
【0075】
なお、本発明に係る二次電池は、異物の流入によるショート発生のおそれがなく、ガス排出性が向上するので、結果的に安全性が向上する。
【0076】
さらに、本発明に係る二次電池は、ゼリーロールが電解液に均一に含浸されるので、レート特性が向上する。
図1
図2
図3
図4