【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するための本発明に係る二次電池は、正極/分離膜/負極構造のゼリーロールが円筒形の電池ケースに装着されている構造の二次電池であって、前記ゼリーロールの上端に搭載される板状構造の絶縁部材は、繊維の織布または編物構造からなっている。
【0016】
したがって、本発明に係る二次電池は、繊維の織布または編物(編織物)構造からなる絶縁部材を使用することによって、繊維の織布または編物構造によって電解液が注液される結果、注液経路が分散されて注液時間を減少させることができ、結果的に注液性が向上する。
【0017】
前記繊維は、電解液が容易に注液され、電気絶縁性を有する素材であれば特に制限はなく、例えば、合成繊維及び/または天然繊維からなることができる。
【0018】
具体的に、合成繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどであってもよい。
【0019】
一つの好ましい例において、前記織布または編物構造に形成されている微細気孔は、電解液は通過するが、100μm以上の大きさの異物は通過できない大きさを有することができる。
【0020】
したがって、本発明に係る二次電池は、電解液の注入時において、電解液のみが絶縁部材の微細気孔を介してゼリーロール内に注入されるので、100μm以上の大きさの異物がゼリーロール内に流入するおそれがなく、このような異物を選別して除去する工程を省略できるので、製造工程性を大きく向上させることができる。
【0021】
なお、本発明に係る二次電池は、異物の流入によるショート発生のおそれがないので、安全性が向上するという効果がある。
【0022】
前記微細気孔は、絶縁部材本来の機能である電気的絶縁状態を提供しながら、電解液の注入時に電解液に対する高い透過率を有し、100μm以上の大きさの異物の透過を防止するように、1μm〜100μmの範囲で形成されていることが好ましい。
【0023】
前記微細気孔の位置及び相互間の間隔は、異物の流入防止、電解液の注液性、及びガス排出性を阻害しない範囲内で非制限的である。
【0024】
一つの具体的な例において、前記微細気孔は、100μm以上の大きさの異物の流入を防止し、電解液の注液性及びガス排出性を向上させることができるように、互いに同一または異なる間隔で絶縁部材の全面にわたって形成されている構造であってもよい。ここで、前記間隔は、微細気孔同士間の間隔を意味し、相互間隔は、例えば、10μm〜100μmの大きさであってもよい。
【0025】
上記のように絶縁部材の全面にわたって形成されている微細気孔に電解液が注液される場合には、注液経路をさらに分散させることができるので、注液性が向上し、その結果、注液時間を減少させることができ、微細気孔同士間の間隔が同一である場合には、注液速度が一定になり、電解液がゼリーロールを均一に含浸させることができるので、結果的に電池特性が向上するという効果がある。
【0026】
また、互いに同一の間隔で絶縁部材の全面にわたって形成されている微細気孔は、例えば、電解液の分解によって発生したガスの排出経路となり、ガスの拡散性を考慮するとき、分散された排出経路を介して排出される場合、排気速度を向上させることができる。
【0027】
しかし、前述したように、微細気孔同士間の間隔が互いに異なる構造で構成してもよいことはもちろんである。
【0028】
前記微細気孔は、上下方向に均一な直径を有する貫通口形状であってもよく、上下方向に不均一な直径を有する連通口形状であってもよい。前記貫通口及び連通口の形状は絶縁部材内での電解液及びガスの移動経路と関連している。
【0029】
具体的に、均一な直径を有する貫通口形状は2次元の移動経路を形成させるのに対して、不均一な直径を有する連通口形状は3次元の移動経路を形成させる。電解液の均一な注入及びガスの拡散性の面において、前記微細気孔は、上下方向に不均一な直径を有する連通口形状であることがさらに好ましい。
【0030】
好ましくは、前記絶縁部材は、必要に応じて、織布または編物構造の単層または多層構造からなることができる。多層構造の層数は特に制限されるものではなく、例えば、2〜10層の範囲であってもよい。各層は、例えば、接着、熱融着、ニードルパンチングなどの方法で接合できるが、これに限定されるものではない。
【0031】
多層構造では、各層の配列形態や、各層の織布または編物構造を変化させて、前述したように、微細気孔が上下方向に不均一な直径を有する連通口形状を作ることができる。
【0032】
前記絶縁部材の全厚さは、0.1mm〜0.5mmの大きさを有することが好ましい。前記絶縁部材の厚さが薄すぎる場合には、絶縁部材本来の電気的絶縁機能を十分に発揮しにくく、逆に、厚すぎる場合には、同一規格の電池ケースにおいてゼリーロールの大きさの減少を誘発して電池容量が減少するため好ましくない。
【0033】
本発明に係る二次電池は、前記ゼリーロールにリチウム含有電解液を含浸させて製造されるリチウム二次電池に好ましく適用することができる。
【0034】
一般に、リチウム二次電池は、正極、負極、分離膜、リチウム塩含有非水電解液などで構成されている。
【0035】
前記正極は、正極活物質及び選択的に導電材、バインダー、充填剤などを含む正極合剤をNMPなどの溶媒に混合して製造されたスラリーを正極集電体上に塗布した後、乾燥及び圧延して製造することができる。
【0036】
前記正極活物質としては、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO
2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO
2)などの層状化合物や、一つまたはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li
1+yMn
2-yO
4(ここで、yは、0〜0.33である)、LiMnO
3、LiMn
2O
3、LiMnO
2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li
2CuO
2);LiV
3O
8、LiFe
3O
4、V
2O
5、Cu
2V
2O
7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi
1-yM
yO
2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、y=0.01〜0.3である)で表現されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn
2-yM
yO
2(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、y=0.01〜0.1である)またはLi
2Mn
3MO
8(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表現されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土金属イオンで置換されたLiMn
2O
4;ジスルフィド化合物;Fe
2(MoO
4)
3などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
前記正極集電体は、一般的に3〜500μmの厚さに製造される。このような正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどを使用することができる。集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態が可能である。
【0038】
前記導電材は、通常、正極活物質を含む混合物全体の重量を基準として1〜30重量%で添加される。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などを使用することができる。
【0039】
前記バインダーは、活物質と導電材などの結合及び集電体に対する結合を助ける成分であって、通常、正極活物質を含む混合物全体の重量を基準として1〜30重量%で添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルローズ(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルローズ、再生セルローズ、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム、様々な共重合体などが挙げられる。
【0040】
前記充填剤は、正極の膨脹を抑制する成分として選択的に使用され、当該電池に化学的変化を誘発せずに繊維状材料であれば、特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレピン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が使用される。
【0041】
前記分離膜は、正極と負極との間に介在し、高いイオン透過度及び機械的強度を有する絶縁性の薄い薄膜が使用される。一般に、分離膜の気孔径は0.01〜10μmで、厚さは5〜300μmである。このような分離膜としては、例えば、耐化学性及び疎水性のポリプロピレンなどのオレピン系ポリマー;ガラス繊維またはポリエチレンなどで作られたシートや不織布などが使用される。電解質としてポリマーなどの固体電解質が使用される場合には、固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。
【0042】
前記負極は、例えば、負極集電体上に負極活物質を含んでいる負極合剤を塗布した後、乾燥して製造され、前記負極合剤には、必要に応じて、前述したような成分が含まれてもよい。
【0043】
前記負極活物質としては、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;Li
xFe
2O
3(0≦x≦1)、Li
xWO
2(0≦x≦1)、Sn
xMe
1-xMe’
yO
z(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期律表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;錫系合金;SnO、SnO
2、PbO、PbO
2、Pb
2O
3、Pb
3O
4、Sb
2O
3、Sb
2O
4、Sb
2O
5、GeO、GeO
2、Bi
2O
3、Bi
2O
4、Bi
2O
5などの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li−Co−Ni系材料などを使用することができる。
【0044】
前記負極集電体は、一般的に3〜500μmの厚さに製造する。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに高い導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム−カドミウム合金などを使用することができる。また、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させてもよく、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態で使用することができる。
【0045】
一方、前記電解液は、電解液とリチウム塩からなっているリチウム塩含有非水系電解液であることが好ましい。前記電解液としては、非水系有機溶媒、有機固体電解質、無機固体電解質などが使用される。
【0046】
前記非水系有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒を使用することができる。
【0047】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などを使用することができる。
【0048】
前記無機固体電解質としては、例えば、Li
3N、LiI、Li
5NI
2、Li
3N−LiI−LiOH、LiSiO
4、LiSiO
4−LiI−LiOH、Li
2SiS
3、Li
4SiO
4、Li
4SiO
4−LiI−LiOH、Li
3PO
4−Li
2S−SiS
2などのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などを使用することができる。
【0049】
前記リチウム塩は、前記非水系電解質に溶解されやすい物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO
4、LiBF
4、LiB
10Cl
10、LiPF
6、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiAsF
6、LiSbF
6、LiAlCl
4、CH
3SO
3Li、CF
3SO
3Li、(CF
3SO
2)
2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、イミドなどを使用することができる。
【0050】
また、電解液には、充放電特性、難燃性などの改善を目的で、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノン、N,N−置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されてもよい。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませることもでき、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含ませることもでき、FEC(Fluoro−Ethylene carbonate)、PRS(Propene sultone)、FPC(Fluoro−Propylene carbonate)などをさらに含ませることができる。
【0051】
一方、前記電池は、ガス排出及び電極端子の貫通のために絶縁部材上に穿孔されている開口を含んでいる構造であってもよい。
【0052】
本発明はまた、前記二次電池を電源として含むデバイスを提供し、本発明に係るデバイスは、携帯電話、携帯用コンピュータなどのモバイル機器だけでなく、優れた寿命特性及び安全性などを考慮するとき、LEV(Light Electronic Vehicle)、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車及び電力貯蔵装置などに好ましく使用することができる。
【0053】
このようなリチウム二次電池、これを単位電池として含む中大型電池モジュール及びデバイスの構造と製造方法は当業界に公知となっているので、それについての詳細な説明を本明細書では省略する。