(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ガラス基板を移動させる際、特にガラス基板の移動開始時や移動停止時には、ガラス基板の加速する方向とは逆向きの力が加わり、この逆向きの力によってガラス基板の保持位置がずれてしまう虞がある。例えばガラス基板の移動開始時に保持位置がずれた場合、レジストの塗布される領域は本来の塗布領域に対してずれてしまうことになる。保持位置のズレが大きいと、レジストがガラス基板から外れた領域にも塗布されてしまい、ステージ上にレジストが付着する可能性もある。
【0007】
また、基板保持部が搬送機構の他部分よりもステージ側へ突出するように設けられる場合、搬送機構が移動する際に塗布装置の他の構成部材と衝突したり接触したりする虞があり、搬送機構や当該構成部材の破損、故障など、不具合の原因となる。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、塗布不良を防止することができ、基板搬送部上を清浄に保持することが可能な塗布装置及び塗布方法を提供することにある。また、本発明の目的は、装置の構成部材の破損、故障などの不具合を回避することが可能な塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る塗布装置は、基板を浮上させて搬送する基板搬送部と、当該基板搬送部によって搬送させつつ前記基板に液状体を塗布する塗布部とを備える塗布装置であって、前記基板搬送部に設けられ、前記基板を保持する保持部を有し、前記基板を保持した状態で搬送する搬送機構と、前記基板を前記保持部に押圧する補助機構とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、基板を保持する保持部を有し基板を保持した状態で搬送する搬送機構が基板搬送部に設けられており、当該基板を保持部に押圧する補助機構を備えることとしたので、搬送機構の保持部に加えて補助機構によっても基板を保持することができる。このため、基板がより強く保持されることになり、その分基板のズレが抑制されることになる。これにより、基板のズレに伴う塗布不良を防止することができ、基板搬送部上を清浄に保持することが可能となる。
【0011】
上記の塗布装置は、前記搬送機構は、前記基板のうち当該基板の搬送方向に沿った一の側部を保持することを特徴とする。
本発明によれば、搬送機構が基板のうち当該基板の搬送方向に沿った一の側部を保持する場合であっても、基板をより強く保持することができる。これにより、保持領域を広げることなく基板を安定して保持することができる。
【0012】
上記の塗布装置は、前記補助機構は、前記基板の搬送開始位置に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、補助機構が基板の搬送開始位置に設けられていることとしたので、基板の搬送開始位置での基板のズレを防ぐことができる。
【0013】
上記の塗布装置は、前記補助機構は、前記基板の搬送方向に移動可能に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、補助機構が基板の搬送方向に移動可能に設けられていることとしたので、基板の移動に合わせて補助機構を移動させることができる。このため、例えば基板が移動する間であれば保持部に基板を押圧することができる。これにより、安定して基板を保持することができる。
【0014】
上記の塗布装置は、前記補助機構は、前記搬送機構に搭載されていることを特徴とする。
本発明によれば、補助機構が搬送機構に搭載されていることとしたので、搬送機構と補助機構を一体的に移動させることができる。これにより、搬送機構の移動速度と補助機構の移動速度とを調整することなく両機構の位置ズレを防ぐことができるので、一層容易に基板の安定保持を実現させることができる。
【0015】
上記の塗布装置は、前記補助機構は、退避機構を有していることを特徴とする。
本発明によれば、補助機構が退避機構を有していることとしたので、例えば移動経路上に他の構成部材などが設置されている場合には、当該他の構成部材を回避することができる。これにより、補助機構と当該構成部材との間の衝突や接触を回避することができ、装置の破損、故障などといった不具合を回避することができる。
【0016】
上記の塗布装置は、前記補助機構は、前記基板のうち前記搬送機構が保持する面とは異なる面を押圧することを特徴とする。
本発明によれば、補助機構が基板のうち搬送機構が保持する面とは異なる面を押圧することとしたので、搬送機構と補助機構とによって基板の表裏両面が保持されることになる。これにより、基板を一層ずれにくくすることができる。
【0017】
上記の塗布装置は、前記補助機構は、前記基板を押圧する押圧部を有し、前記押圧部は、前記基板の押圧面の状態を保持する材質からなることを特徴とする。
本発明によれば、補助機構が基板を押圧する押圧部を有し、押圧部が基板の押圧面の状態を保持する材質からなることとしたので、補助機構によって基板を押圧する場合に基板の押圧面の状態が変化するのを抑制することができる。一般的に、押圧面の状態(温度、キズの有無など)の変化によって基板上に塗布される液状体の状態が変化することがある。これに対して、本発明の構成ではこのような押圧面の状態の変化を抑制することができるので、液状体の状態を安定させることができる。
【0018】
上記の塗布装置は、前記補助機構は、前記保持部に平面視で重なる位置を押圧することを特徴とする。
本発明によれば、補助機構が保持部に平面視で重なる位置を押圧することとしたので、補助機構と保持部とによって基板をピンポイントで挟持することができる。これにより、基板を一層ずれにくくすることができる。
【0019】
上記の塗布装置は、前記補助機構は、前記基板へ気体を噴出する気体噴出部を有し、前記気体の噴出によって前記基板を非接触に押圧することを特徴とする。
本発明によれば、補助機構が基板へ気体を噴出する気体噴出部を有し、気体の噴出によって基板を非接触に押圧することとしたので、基板に対する機械的な接触を少なくすることができる。これにより、基板の変形やキズの発生などを抑制することができる。
【0020】
上記の塗布装置は、前記気体噴出部は、前記基板の搬送方向に複数設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、気体噴出部が基板の搬送方向に複数設けられていることとしたので、基板が搬送されて移動する経路上においても基板を非接触で押圧することができる。これにより、基板をより安定して保持することができる。
【0021】
上記の塗布装置は、前記補助機構は、前記基板のうち前記搬送機構が保持する面と同一の面を引き付けることを特徴とする。
本発明によれば、補助機構が基板のうち搬送機構が保持する面と同一の面を引き付けることとしたので、その分、基板の保持される面とは反対の面上にスペースを確保することができる。
【0022】
上記の塗布装置は、前記補助機構は、前記基板に接触して引き付ける引き付け部を有し、前記引き付け部は、前記基板の引き付け面の状態を保持する材質からなることを特徴とする。
本発明によれば、補助機構が基板に接触して引き付ける引き付け部を有し、当該引き付け部が基板の引き付け面の状態を保持する材質からなることとしたので、補助機構によって基板を引き付ける場合に基板の引き付け面の状態が変化するのを抑制することができる。これにより、基板上に塗布される液状体の状態を安定させることができる。
【0023】
上記の塗布装置は、前記補助機構は、前記基板に吸着する吸着部を有することを特徴とする。
本発明によれば、補助機構が基板に吸着する吸着部を有することとしたので、当該吸着部によって基板を安定して保持することができる。
【0024】
上記の塗布装置は、前記補助機構は、前記基板との間の気体を吸引する気体吸引部を有し、前記気体の吸引によって前記基板を非接触に吸引することを特徴とする。
本発明によれば、補助機構が基板との間の気体を吸引する気体吸引部を有し、当該気体の吸引によって基板を非接触に吸引することとしたので、基板に対する機械的な接触を少なくすることができる。これにより、基板の変形やキズの発生などを抑制することができる。
【0025】
上記の塗布装置は、前記塗布部の上流側及び下流側のうち少なくとも一方には前記基板を浮上させる浮上機構を備えたステージが設けられており、前記ステージは平面視略正方形の形状を有していることを特徴とする。
本発明によれば、塗布部の上流側及び下流側のうち少なくとも一方には基板を浮上させる浮上機構を備えたステージが設けられていることとしたので、ステージ上で基板を搬送させる際に基板のズレを確実に防ぐことができる。また、ステージが平面視略正方形の形状を有していることとしたので、基板が長手及び短手を有する場合であっても、当該基板の長手方向及び短手方向のいずれの方向にも搬送させることができる。
【0026】
本発明に係る塗布方法は、基板を浮上させて搬送しつつ前記基板に液状体を塗布する塗布方法であって、前記基板を搬送する搬送機構の保持部によって前記基板を保持し、前記保持部に保持された前記基板を前記保持部へ押圧し、前記基板を保持した状態で、当該基板を搬送して前記液状体を塗布することを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、基板を搬送する搬送機構の保持部によって基板を保持し、保持部に保持された基板を保持部へ押圧し、基板を保持した状態で、当該基板を搬送して液状体を塗布することとしたので、保持部のみによって基板を単に保持する場合に比べて基板がより強く保持されることになり、その分基板のズレが抑制されることになる。これにより、基板のズレに伴う塗布不良を防止することができ、基板搬送部上を清浄に保持することが可能となる。
【0028】
上記の塗布方法は、前記基板を押圧した状態で前記基板を搬送することを特徴とする。
本発明によれば、基板を押圧した状態で当該基板を搬送することとしたので、基板の保持位置のズレをより確実に防ぐことができる。
【0029】
上記の塗布方法は、前記基板を搬送する前に前記基板の前記保持部への押圧を解除することを特徴とする。
本発明によれば、基板を搬送する前に基板の保持部への押圧を解除することとしたので、基板搬送の制御を容易に行うことができる。
【0030】
上記の塗布方法は、前記基板を搬送しているときに前記基板の前記保持部への押圧を解除することを特徴とする。
本発明によれば、基板を搬送しているときに当該基板の保持部への押圧を解除することとしたので、その分基板搬送の制御を容易に行うことができる。これにより、基板の保持位置のズレを防ぎつつ、基板搬送の制御を容易にすることができる。
【0031】
上記の塗布方法は、前記液状体の塗布の前に前記基板の前記保持部への押圧を解除することを特徴とする。
本発明によれば、液状体の塗布の前に基板の保持部への押圧を解除することとしたので、基板のズレを回避しつつ、塗布時の基板搬送の制御を容易に行うことができる。
【0032】
本発明に係る塗布装置は、基板を搬送する基板搬送部と、当該基板搬送部によって搬送させつつ前記基板に液状体を塗布する塗布部とを備える塗布装置であって、前記基板搬送部に設けられ、前記基板を保持する保持部を有し、前記基板を保持した状態で搬送する搬送機構を備え、前記搬送機構は、前記基板の搬送方向に移動可能に設けられており、前記保持部は、前記搬送方向とは異なる方向に移動可能に設けられていることを特徴とする。
【0033】
本発明によれば、基板を搬送する搬送機構が当該基板の搬送方向に移動可能に設けられており、搬送機構に設けられる保持部が搬送方向とは異なる方向に移動可能に設けられていることとしたので、保持部の搬送方向についての移動領域上に他の構成部材が設けられている場合であっても、当該構成部材を回避することができる。これにより、装置の構成部材の破損、故障などの不具合を回避することが可能となる。
【0034】
上記の塗布装置は、前記基板搬送部は、前記基板を浮上させる浮上機構を備えることを特徴とする。
本発明によれば、基板搬送部が基板を浮上させる浮上機構を備えることとしたので、基板を浮上させて搬送する際に保持部の移動領域上に他の構成部材が設けられている場合であっても、当該構成部材を回避することができる。基板を浮上させて移動させる場合、保持部としてはより精密な構成が求められるため、他の構成部材との衝突や接触を回避することの意義は大きいといえる。
【0035】
上記の塗布装置は、前記保持部は、基板搬送後、退避した状態で基板搬送部まで戻ってくる退避機構を備えることを特徴とする。
本発明によれば、保持部が基板搬送後、退避した状態で基板搬送部まで戻ってくる退避機構を備えることとしたので、基板搬送部まで戻ってくる際に保持部の移動領域上に他の構成部材が設けられている場合であっても、当該他の構成部材を避けるように移動することができる。
【0036】
上記の塗布装置は、前記塗布部の上流側及び下流側のうち少なくとも一方には前記基板を浮上させる浮上機構を有するステージが設けられており、前記ステージは平面視略正方形の形状を有していることを特徴とする。
本発明によれば、塗布部の上流側及び下流側のうち少なくとも一方には基板を浮上させる浮上機構を有するステージが設けられており、当該ステージは平面視略正方形の形状を有していることとしたので、基板の長手方向及び短手方向のうちいずれの方向にも基板を搬送することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、基板を保持する保持部を有し基板を保持した状態で搬送する搬送機構が基板搬送部に設けられており、当該基板を保持部に押圧する補助機構を備えることとしたので、搬送機構の保持部に加えて補助機構によっても基板を保持することができる。このため、基板がより強く保持されることになり、その分基板のズレが抑制されるので、当該基板のズレに伴う塗布不良を防止することができ、基板搬送部上を清浄に保持することが可能となる。
【0038】
また、本発明によれば、基板を搬送する搬送機構が当該基板の搬送方向に移動可能に設けられており、搬送機構に設けられる保持部が搬送方向とは異なる方向に移動可能に設けられていることとしたので、保持部の搬送方向についての移動領域上に他の構成部材が設けられている場合であっても、当該構成部材を回避することができる。これにより、装置の構成部材の破損、故障などの不具合を回避することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態に係る塗布装置1の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る塗布装置1は、例えば液晶パネルなどに用いられるガラス基板上にレジストを塗布する塗布装置であり、基板搬送部2と、塗布部3と、管理部4とを主要な構成要素としている。塗布装置1では、基板搬送部2によって基板が浮上した状態で搬送され、塗布部3によって基板上にレジストが塗布され、管理部4によって塗布部3の状態が管理されるようになっている。
【0041】
図2は塗布装置1の正面図、
図3は塗布装置1の平面図、
図4は塗布装置1の側面図である。これらの図を参照して、塗布装置1の詳細な構成を説明する。以下、塗布装置1の構成を説明するにあたり、表記の簡単のため、図中の方向をXYZ座標系を用いて説明する。基板搬送部2の長手方向であって基板の搬送方向をX方向と表記する。平面視でX方向(基板搬送方向)に直交する方向をY方向と表記する。X方向軸及びY方向軸を含む平面に垂直な方向をZ方向と表記する。なお、X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとする。
【0042】
(基板搬送部)
まず、基板搬送部2の構成を説明する。
基板搬送部2は、フレーム21と、ステージ22と、搬送機構23と、補助機構24とを有している。基板搬送部2では、本実施形態の特徴的構成要素である搬送機構23及び補助機構24によって基板Sがステージ22上を+X方向に搬送されるようになっている。
【0043】
フレーム21は、例えば床面上に載置されると共にステージ22及び搬送機構23を支持する支持部材である。フレーム21は3つの部分に分割されており、当該3つの部分はY方向上に配列されている。フレーム中央部21aは、分割された3つの部分のうちY方向の中央に配置される部分であり、ステージ22を支持している。フレーム側部21bは、フレーム中央部21aの−Y方向側に配置されており、搬送機構23を支持している。フレーム側部21bとフレーム中央部21aとの間には隙間が設けられている。フレーム側部21cは、フレーム中央部21aの+Y方向側に配置されており、搬送機構23を支持している。フレーム側部21cとフレーム中央部21aとの間には隙間が設けられている。フレーム中央部21a、フレーム側部21b及びフレーム側部21cはX方向に長手になっており、各部のX方向の寸法はほぼ同一になっている。
【0044】
ステージ22は、搬入側ステージ25と、処理ステージ27と、搬出側ステージ28とを有している。搬入側ステージ25、処理ステージ27及び搬出側ステージ28は、フレーム中央部21a上に、この順序で、基板搬送方向の上流側から下流側へ(+X方向に)配列されている。
【0045】
搬入側ステージ25は、例えばSUSなどからなり、平面視でほぼ正方形の板状部材である。搬入側ステージ25の形状を平面視略正方形にすることで、長手方向及び短手方向を有する基板を搬送する場合であっても、当該基板をいずれの方向にも搬送することができるようになっている。本実施形態では、搬入側ステージ25上の領域が基板搬入領域25Sとなる。基板搬入領域25Sは、装置外部から搬送されてきた基板Sを搬入する領域である。
【0046】
搬入側ステージ25には、エア噴出孔25aと、昇降ピン出没孔25bとがそれぞれ複数設けられている。エア噴出孔25a及び昇降ピン出没孔25bは、それぞれ搬入側ステージ25を貫通するように設けられている。
【0047】
エア噴出孔25aは、搬入側ステージ25のステージ表面25c上にエアを噴出する孔であり、平面視でマトリクス状に配置されている。エア噴出孔25aには図示しないエア供給源が接続されている。搬入側ステージ25では、エア噴出孔25aから噴出されるエアによって基板Sを+Z方向に浮上させることができるようになっている。
【0048】
昇降ピン出没孔25bは、搬入側ステージ25の基板搬入位置に設けられている。昇降ピン出没孔25bは、ステージ表面25cに供給されたエアが漏れ出さない構成になっている。
【0049】
搬入側ステージ25のうちY方向の両端部には、アライメント装置25dが1つずつ設けられている。アライメント装置25dは、搬入側ステージ25に搬入された基板Sの位置を合わせる装置である。各アライメント装置25dは長孔と当該長孔内に設けられた位置合わせ部材とを有しており、搬入ステージ25に搬入される基板を両側から機械的に挟持することで基板の位置を合わせるようになっている。
【0050】
搬入ステージ25の−Z方向側、すなわち、搬入ステージ25の裏面側には、リフト機構26が設けられている。リフト機構26は、搬入側ステージ25の基板搬入位置25L(
図6参照)に平面視で重なるように設けられている。リフト機構26は、昇降部材26aと、複数の昇降ピン26bとを有している。昇降部材26aは、図示しない駆動機構に接続されており、当該駆動機構の駆動によって昇降部材26aがZ方向に移動するようになっている。複数の昇降ピン26bは、昇降部材26aの上面から搬入側ステージ25へ向けて立設されている。各昇降ピン26bは、それぞれ上記の昇降ピン出没孔25bに平面視で重なる位置に配置されている。昇降部材26aがZ方向に移動することで、各昇降ピン26bが昇降ピン出没孔25bからステージ表面25c上に出没するようになっている。各昇降ピン26bの+Z方向の端部はそれぞれZ方向上の位置が揃うように設けられており、装置外部から搬送されてきた基板Sを水平な状態で保持することができるようになっている。
【0051】
処理ステージ27は、ステージ表面27cが例えば硬質アルマイトを主成分とする光吸収材料で覆われた平面視で矩形の板状部材であり、搬入側ステージ25に対して+X方向側に設けられている。処理ステージ27のうち光吸収材料で覆われた部分では、レーザ光などの光の反射が抑制されるようになっている。処理ステージ27は、Y方向が長手になっている。処理ステージ27のY方向の寸法は、搬入側ステージ25のY方向の寸法とほぼ同一になっている。本実施形態では、処理ステージ27上の領域がレジスト塗布の行われる塗布処理領域27Sである。
【0052】
処理ステージ27には、ステージ表面27c上にエアを噴出する複数のエア噴出孔27aと、ステージ表面27c上のエアを吸引する複数のエア吸引孔27bとが設けられている。これらエア噴出孔27a及びエア吸引孔27bは、処理ステージ27を貫通するように設けられている。処理ステージ27の内部には、エア噴出孔27a及びエア吸引孔27bを通過する気体の圧力に抵抗を与えるための図示しない溝が複数設けられている。この複数の溝は、ステージ内部においてエア噴出孔27a及びエア吸引孔27bに接続されている。
【0053】
処理ステージ27では、エア噴出孔27aのピッチが搬入側ステージ25に設けられるエア噴出孔25aのピッチよりも狭く、搬入側ステージ25に比べてエア噴出孔27aが密に設けられている。このため、この処理ステージ27では他のステージに比べて基板の浮上量を高精度で調節できるようになっており、基板の浮上量が例えば100μm以下、好ましくは50μm以下となるように制御することが可能になっている。
【0054】
搬出側ステージ28は、処理ステージ27に対して+X方向側に設けられており、基板搬入領域25Sに設けられた搬入側ステージ25とほぼ同様の材質、寸法で構成されている。したがって、搬出側ステージ28の形状についても、平面視略正方形となっている。本実施形態では、搬出側ステージ28上の領域が基板搬出領域28Sである。基板搬出領域28Sは、レジストの塗布された基板Sを装置外部へ搬出する基板搬出領域28Sである。
【0055】
搬出側ステージ28には、搬入側ステージ25と同様、エア噴出孔28a及び昇降ピン出没孔28bが設けられている。搬出側ステージ28の−Z方向側、すなわち、搬出側ステージ28の裏面側には、リフト機構29が設けられている。リフト機構29は、搬出側ステージ28の基板搬出位置に平面視で重なるように設けられている。リフト機構29の昇降部材29a及び昇降ピン29bは、搬入側ステージ25に設けられたリフト機構26の各部位と同様の構成になっている。このリフト機構29は、搬出側ステージ28上の基板Sを外部装置へと搬出する際に、基板Sの受け渡しのため昇降ピン29bによって基板Sを持ち上げることができるようになっている。
【0056】
搬送機構23は、基板Sを保持して+X方向に搬送する機構を有しており、フレーム側部21b及びフレーム側部21c上に一対設けられている。この一対の搬送機構23は、ステージ22のY方向中央に対して線対称の構成になっており、当該線対称である点を除いては同一の構成となっている。したがって、以下、フレーム側部21bに設けられる搬送機構23を例に挙げて説明する。
【0057】
搬送機構23は、搬送機23aと、基板保持部23bと、レール23cとを有している。搬送機23aは内部に例えばリニアモータが設けられた構成になっており、当該リニアモータが駆動することによって、搬送機23aがレール23c上を移動可能になっている。
【0058】
基板保持部23bは、基板Sのうち−Y方向側の側縁部Saを保持する保持部である。基板Sの当該側縁部Saは、ステージ22に対してはみ出した部分であり、基板搬送方向に沿った一の側部である。基板保持部23bは、搬送機23aの+X方向側の面上にY方向に沿って例えば4つ設けられており、それぞれ取付部材23dを介して搬送機23aに取り付けられている。
【0059】
レール23cは、フレーム側部21b上に設けられており、搬入側ステージ25、処理ステージ27及び搬出側ステージ28の側方に各ステージに跨って延在している。当該レール23cを摺動することで搬送機23aが当該各ステージに沿って移動できるようになっている。
【0060】
なお、フレーム側部21b及びフレーム側部21cに設けられた各搬送機構23は、独立して基板Sを搬送できるようになっている。例えば、
図3に示すようにフレーム側部21bに設けられた搬送機構23と、フレーム側部21cに設けられた搬送機構23とで異なる基板Sを保持させることができるようになっている。この場合、各搬送機構23によって基板を交互に搬送することが可能となるため、スループットが向上することになる。また、上記の基板Sの半分程度の面積を有する基板を搬送する場合には、例えば2つの搬送機構23で1枚ずつ保持し、これら2つの搬送機構23を+X方向に並進させることによって、2枚の基板を同時に搬送させることもできるようになっている。
【0061】
図5(a)及び
図5(b)を参照して、搬送機構23の詳細な構成を説明する。
図5(a)は搬送機構23の構成を示す平面図であり、
図5(b)は搬送機構23の構成を示す側面図である。
図5(a)及び
図5(b)に示すように、基板保持部23bは、パッド押圧部材23eと、吸着パッド23fと、軸部材23gとを有している。
【0062】
パッド押圧部材23eは、剛性を有する材料からなる板状部材である。パッド押圧部材23eの−Y方向側の端部(基端部)は軸部材23gに支持されており、当該軸部材23gを介して取付部材23dに取り付けられている。パッド押圧部材23eの+Y方向側の端部(先端部)は、基端部に比べてX軸方向の幅が広くなっている。
【0063】
吸着パッド23fは、パッド押圧部材23eの先端部に複数設けられている。吸着パッド23fの表面は吸着面になっている。吸着パッド23fは吸着面は基板Sの裏面に当接するように設けられており、当該吸着面が基板Sの裏面に当接して吸着することで基板Sを保持可能になっている。吸着パッド23fによる吸着量は可変に設けられており、吸着量を変化することによって例えば基板Sの保持高さを調節することができるようになっている。吸着パッド23fを構成する材料としては、例えばSUS、セラミックチャック、ゴム、ウルフ、パーフロなどの材料が挙げられる。本実施形態では、例えばパッド押圧部材23eの先端部にX方向に沿って3つ配列されている。
【0064】
軸部材23gは取付部材23dの例えば+X方向側の側壁に支持されており、軸部材23gには不図示のアクチュエータが取り付けられており、当該アクチュエータによって、側壁に支持された状態でX軸を回転軸として回転可能となっている。
図5(b)に示すように、軸部材23gが回転することでパッド押圧部材23eの先端部が当該軸部材23gを中心として円運動するようになっている。このように、軸部材23gの回転によってパッド押圧部材23eが基板Sの搬送方向(+X方向)とは異なる方向に移動可能になっている。
【0065】
また、補助機構24は、フレーム側部21b及びフレーム側部21cに設けられる各搬送機構23の取付部材23dに取り付けられており、基板Sの表面を押圧する構成を有している。補助機構24についても、ステージ22のY方向中央に対して線対称の構成になっており、当該線対称である点を除いては同一の構成になっている。したがって、以下、フレーム側部21bに設けられる補助機構24を例に挙げて説明する。
【0066】
図5(a)及び
図5(b)を参照して、補助機構24の詳細な構成を説明する。
補助機構24は、支持部材24aと、パッド保持部材24bと、押圧パッド24cと、軸部材24dと、支持板24eとを有している。
【0067】
支持部材24aは、所定の長さを有する棒状部材であり、一方の端部(基端部)が軸部材24dに支持されており、他方の端部(先端部)にはパッド保持部材24bが取り付けられている。パッド保持部材24bは、平面視で矩形となっており、Z軸を回転軸として支持部材24aに対して独立して回転可能となっている。
【0068】
押圧パッド24cは、パッド保持部材24bの−Z方向側の面上に配置されている。押圧パッド24cの−Z方向側は平坦面になっており、当該平坦面において基板Sを押圧するようになっている。押圧パッド24cの平面視における形状は、吸着パッド23fとほぼ同一の形状になっている。押圧パッド24cを構成する材料としては、基板Sの押圧時に基板Sの表面を傷つけたり基板Sの表面温度を急変させたりしないような材料、例えば基板Sと同一の材料や基板Sよりも硬度の低い材料などが好ましい。
【0069】
軸部材24dは、支持板24eによって支持されており、当該支持板24eを介して取付部材23dに取り付けられている。軸部材24dには不図示のアクチュエータが取り付けられており、当該アクチュエータによって、Z軸を中心として回転可能になっている。
図5(a)に示すように、軸部材24dが回転することで支持部材24aの先端部が当該軸部材24dを中心として円運動するようになっている。軸部材24dには、支持部材24aをZ方向に移動させる不図示の移動機構が設けられている。この移動機構により、支持部材24aを±Z方向へ移動させることができるようになっている。
【0070】
(塗布部)
図2から
図4に戻って、塗布部3の構成を説明する。
塗布部3は、基板S上にレジストを塗布する部分であり、門型フレーム31と、ノズル32とを有している。
【0071】
門型フレーム31は、支柱部材31aと、架橋部材31bとを有しており、処理ステージ27をY方向に跨ぐように設けられている。支柱部材31aは処理ステージ27のY方向側に1つずつ設けられており、各支柱部材31aがそれぞれフレーム側部21b及びフレーム側部21cに支持されている。各支柱部材31aは、上端部の高さ位置が揃うように設けられている。架橋部材31bは、各支柱部材31aの上端部の間に架橋されており、当該支柱部材31aに対して昇降可能となっている。
【0072】
この門型フレーム31は移動機構34に接続されている。移動機構34は、レール部材35及び駆動機構36を有している。レール部材35はフレーム側部21b及びフレーム側部21cの溝21d内に例えば1本ずつ設けられており、それぞれX方向に延在している。各レール部材35は、それぞれ管理部4よりも−X方向側に延在するように設けられている。駆動機構36は、門型フレーム31に接続され塗布部3をレール部材35に沿って移動させるアクチュエータである。また、門型フレーム31は、図示しない移動機構によりZ方向にも移動可能になっている。
【0073】
ノズル32は、一方向が長手の長尺状に構成されており、門型フレーム31の架橋部材31bの−Z方向側の面に設けられている。このノズル32のうち−Z方向の先端には、自身の長手方向に沿ってスリット状の開口部32aが設けられており、当該開口部32aからレジストが吐出されるようになっている。ノズル32は、開口部32aの長手方向がY方向に平行になると共に、当該開口部32aが処理ステージ27に対向するように配置されている。開口部32aの長手方向の寸法は基板SのY方向の寸法よりも小さくなっており、基板Sの周辺領域にレジストが塗布されないようになっている。ノズル32の内部にはレジストを開口部32aに流通させる図示しない流通路が設けられており、この流通路には図示しないレジスト供給源が接続されている。このレジスト供給源は例えば図示しないポンプを有しており、当該ポンプでレジストを開口部32aへと押し出すことで開口部32aからレジストが吐出されるようになっている。支柱部材31aには不図示の移動機構が設けられており、当該移動機構によって架橋部材31bに保持されたノズル32がZ方向に移動可能になっている。ノズル32には不図示の移動機構が設けられており、当該移動機構によってノズル32が架橋部材31bに対してZ方向に移動可能になっている。門型フレーム31の架橋部材31bの下面には、ノズル32の開口部32a、すなわち、ノズル32の先端32cと当該ノズル先端32cに対向する対向面との間のZ方向上の距離を測定するセンサ33が取り付けられている。このセンサ33はY方向に沿って例えば3つ設けられている。
【0074】
(管理部)
管理部4の構成を説明する。
管理部4は、基板Sに吐出されるレジスト(液状体)の吐出量が一定になるようにノズル32を管理する部位であり、基板搬送部2のうち塗布部3に対して−X方向側に設けられている。この管理部4は、予備吐出機構41と、ディップ槽42と、ノズル洗浄装置43と、これらを収容する収容部44と、当該収容部を保持する保持部材45とを有している。
【0075】
予備吐出機構41、ディップ槽42及びノズル洗浄装置43は、−X方向側へこの順で配列されている。予備吐出機構41は、レジストを予備的に吐出する部分である。当該予備吐出機構41は塗布部3が塗布処理領域27S上に配置されている状態でノズル32に最も近くなる位置に設けられている。ディップ槽42は、内部にシンナーなどの溶剤が貯留された液体槽である。ノズル洗浄装置43は、ノズル32の開口部32a近傍をリンス洗浄する装置であり、Y方向に移動する図示しない洗浄機構と、当該洗浄機構を移動させる図示しない移動機構とを有している。この移動機構は、洗浄機構よりも−X方向側に設けられている。ノズル洗浄装置43は、移動機構が設けられる分、予備吐出機構41及びディップ槽42に比べてX方向の寸法が大きくなっている。なお、予備吐出機構41、ディップ槽42、ノズル洗浄装置43の配置については、本実施形態の配置に限られず、他の配置であっても構わない。
【0076】
収容部44のY方向の寸法は上記門型フレーム31の支柱部材31a間の距離よりも小さくなっており、上記門型フレーム31が収容部44を超えてX方向に移動できるようになっている。また、門型フレーム31は、収容部44内に設けられる予備吐出機構41、ディップ槽42及びノズル洗浄装置43について、これらの各部を跨ぐようにアクセスできるようになっている。
【0077】
保持部材45は、管理部移動機構46に接続されている。管理部移動機構46は、レール部材47及び駆動機構48を有している。レール部材47は、フレーム側部21b及びフレーム側部21cの溝21e内にそれぞれ設けられており、それぞれX方向に延在している。各レール部材47は、塗布部3の門型フレーム31に接続されるレール部材35の間に配置されている。各レール部材47の−X方向の端部は、例えばフレーム側部21b及びフレーム側部21cの−X方向の端部まで設けられている。駆動機構48は、保持部材45に接続され管理部4をレール部材47上に沿って移動させるアクチュエータである。
【0078】
(塗布動作)
次に、上記のように構成された塗布装置1の動作を説明する。
図6は、塗布装置1の動作過程を示す平面図である。同図を参照して、基板SにレジストRを塗布する動作を説明する。この動作では、短手方向が搬送方向に平行になるように基板Sを基板搬入領域25Sに搬入し、当該基板Sを浮上させて搬送しつつ塗布処理領域27Sでレジストを塗布し、当該レジストを塗布した基板Sを基板搬出領域28Sから搬出する。
図6では管理部4の図示を省略し、搬入側ステージ25の構成を判別しやすくした。また、門型フレーム31を破線で示し、ノズル32及びセンサ33の構成を判別しやすくした。以下、各部分における詳細な動作を説明する。
【0079】
基板搬入領域25Sに基板を搬入する前に、塗布装置1をスタンバイさせておく。具体的には、搬入側ステージ25の基板搬入位置25Lの−Y方向側に搬送機23aを配置させ、吸着パッド23fの高さ位置を基板Sの浮上高さ位置に合わせておくと共に、搬入側ステージ25のエア噴出孔25a、処理ステージ27のエア噴出孔27a、エア吸引孔27b及び搬出側ステージ28のエア噴出孔28aからそれぞれエアを噴出又は吸引し、ステージ22の表面に基板が浮上する程度にエアが供給された状態にしておく。
【0080】
この状態で、例えば図示しない搬送アームなどによって外部から
図6に示す基板搬入位置25Lに基板Sが搬送されてきたら、昇降部材26aを+Z方向に移動させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25bからステージ表面25cに突出させる。この昇降部材26aの動作により、基板Sが昇降ピン26bに持ち上げられ、当該基板Sの受け取りが行われる。また、アライメント装置25dの長孔から位置合わせ部材をステージ表面25cに突出させておく。
【0081】
基板Sを受け取った後、昇降部材26aを下降させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25b内に収容する。このとき、ステージ表面25cにはエアの層が形成されているため、基板Sは当該エアによりステージ表面25cに対して浮上した状態で保持される。基板Sがエア層の表面に到達した際、アライメント装置25dの位置合わせ部材によって基板Sの位置合わせが行われる。位置合わせの後、基板搬入位置の−Y方向側に配置された各吸着パッド23fを基板Sの裏面に吸着させ、同時に押圧パッド24cによって基板Sを−Z方向へ押圧する。
【0082】
吸着パッド23fを基板Sに吸着させる際には、パッド押圧部材23eの先端部及び吸着パッド23fを基板Sに近づけるように軸部材23gを回転させる。軸部材23gの回転によって吸着パッド23fが軸部材23gを中心に円運動し、基板Sの裏面に当接する。吸着パッド23fを基板Sの裏面に当接させたら、吸着パッド23fの吸着量を調節しつつ基板Sを吸着させる。吸着パッド23fを基板Sの裏面に吸着させた状態(保持状態)において、基板保持部23bは
図5(a)及び
図5(b)に示す保持位置23Pに配置される。
【0083】
また、押圧パッド24cによって基板Sを押圧する際には、押圧パッド24cが3つの吸着パッド23fのうち例えばX方向の中央に配置される吸着パッド23fに平面視で重なる位置に配置されるように軸部材24dを回転させる。また、パッド保持部材24bの長手方向が基板Sの長手方向に一致するように当該パッド保持部材24bを回転させる。この状態においては、補助機構24は
図5(b)に示す上昇位置24Rに配置される。その後、押圧パッド24cを基板Sに当接するように支持部材24aを−Z方向へ移動させ、基板Sを押圧する。押圧パッド24cによって基板Sが押圧されている状態では、補助機構24は
図5(a)及び
図5(b)に示す押圧位置24Pに配置される。
【0084】
基板Sの裏面が吸着パッド23fによって吸着させ、基板Sの表面が押圧パッド24cによって押圧させた後、搬送機23aをレール23cに沿って移動させる。搬送機23aの移動に伴って基板Sが+X方向への移動を開始する。基板Sの移動開始時は、当該基板Sに移動方向とは逆向きの力が働くため、基板Sの位置がずれやすい状態にある。これに対して、本実施形態では、基板Sが吸着パッド23fに吸着されると共に及び押圧パッド24cによって押圧されているため、移動開始時に基板Sに力が働いても位置がずれにくくなる。
【0085】
基板Sの移動開始の後、例えば基板Sの移動速度がほぼ一定になった後、押圧パッド24cによる基板Sの押圧を解除する。具体的には、押圧パッド24cが基板Sから離れるように支持部材24aを+Z方向へ移動させる。支持部材24aを+Z方向へ移動させた状態においては、
図5(b)に示す上昇位置24Rに再び配置される。押圧パッド24cを基板Sから離した後、パッド保持部材24bが取付部材23d内に配置されるように軸部材24dを回転させる。また、パッド保持部材24bを回転させ、当該パッド保持部材24bが取付部材23dの枠内に収まるように位置を調整する。パッド保持部材24bが取付部材23dの枠内に収容されている状態(退避状態)においては、補助機構24は
図5(a)及び
図5(b)に示す退避位置24Qに配置される。このように軸部材24d及び不図示のアクチュエータは、補助機構24を退避させる退避機構として機能することとなる。これらの動作は、搬送機23aによって基板Sを搬送している期間に行われる。
【0086】
基板Sの搬送方向先端がノズル32の開口部32aの位置に到達したら、
図6に示すように、ノズル32の開口部32aから基板Sへ向けてレジストを吐出する。レジストの吐出は、ノズル32の位置を固定させ搬送機23aによって基板Sを搬送させながら行う。基板Sの移動に伴い、
図6に示すように基板S上にレジスト膜Rが塗布されていく。基板Sがレジストを吐出する開口部32aの下を通過することにより、基板Sの所定の領域にレジスト膜Rが形成される。
【0087】
レジスト膜Rの形成された基板Sは、搬送機23aによって搬出側ステージ28へと搬送される。搬出側ステージ28では、ステージ表面28cに対して浮上した状態で、
図6に示す基板搬出位置28Uまで基板Sが搬送される。
【0088】
基板Sが基板搬出位置28Uに到達したら、吸着パッド23fによる保持状態を解除する。具体的には、パッド押圧部材23eの先端部及び吸着パッド23fを基板Sから遠ざけるように軸部材23gを反対方向に回転させる。軸部材23gの回転によって、パッド押圧部材23e及び吸着パッド23fが取付部材23dに対して+Y方向にはみ出さない位置に収容された状態(退避状態)になる。基板保持部23bの退避状態においては、当該基板保持部23bは
図5(a)及び
図5(b)に示す退避位置23Qに配置される。このように軸部材23g及び不図示のアクチュエータは、基板保持部23bを退避させる退避機構として機能することとなる。
【0089】
基板保持部23bを退避状態にした後、リフト機構29の昇降部材29aを+Z方向に移動させる。昇降部材29aの移動により、昇降ピン29bが昇降ピン出没孔28bから基板Sの裏面へ突出し、基板Sが昇降ピン29bによって持ち上げられる。この状態で、例えば搬出側ステージ28の+X方向側に設けられた外部の搬送アームが搬出側ステージ28にアクセスし、基板Sを受け取る。基板Sを搬送アームに渡した後、搬送機23aを再び搬入側ステージ25の基板搬入位置25Lまで戻し、次の基板Sが搬送されるまで待機させる。
【0090】
このとき、基板保持部23bが退避状態になっているため、パッド押圧部材23eや吸着パッド23fが取付部材23dに対して+Y方向にはみ出していない状態のまま搬送機構23が移動することになる。このため、パッド押圧部材23eや吸着パッド23fが塗布装置1の他の構成部材等と衝突したり接触したりすることなく、搬送機構23が基板搬入位置25Lまで戻されることになる。
【0091】
次の基板Sの搬送を行う場合には、フレーム側部21c上に設けられた搬送機構23によって基板Sを保持して搬送するようにする。当該次の基板Sが搬送されてくるまでの間、塗布部3では、ノズル32の吐出状態を保持するための予備吐出が行われる。
図7に示すように、レール部材35によって門型フレーム31を管理部4の位置まで−X方向へ移動させる。
【0092】
管理部4の位置まで門型フレーム31を移動させた後、門型フレーム31の位置を調整してノズル32の先端をノズル洗浄装置43にアクセスさせ、当該ノズル洗浄装置43によってノズル先端32cを洗浄する。
【0093】
ノズル先端32cの洗浄後、当該ノズル32を予備吐出機構41にアクセスさせる。予備吐出機構41では、開口部32aと予備吐出面との間の距離を測定しながらノズル32の先端の開口部32aをZ方向上の所定の位置に移動させ、ノズル32を−X方向へ移動させながら開口部32aからレジストを予備吐出する。
【0094】
予備吐出動作を行った後、門型フレーム31を元の位置に戻す。フレーム側部21c上に設けられた搬送機構23によって次の基板Sが搬送されてきたら、ノズル32をZ方向上の所定の位置に移動させる。このように、基板Sにレジスト膜Rを塗布する塗布動作と予備吐出動作とを繰り返し行わせることで、基板Sには良質なレジスト膜Rが形成されることになる。
【0095】
なお、必要に応じて、例えば管理部4に所定の回数アクセスする毎に、当該ノズル32をディップ槽42内にアクセスさせても良い。ディップ槽42では、ノズル32の開口部32aをディップ槽42に貯留された溶剤(シンナー)の蒸気雰囲気に曝すことでノズル32の乾燥を防止する。
【0096】
このように、本実施形態によれば、基板Sを保持する基板保持部23bを有し基板Sを保持した状態で搬送する搬送機構23が基板搬送部2に設けられており、当該基板Sを保持部に押圧する補助機構24を備えることとしたので、搬送機構23の基板保持部23bに加えて補助機構24によっても基板Sを保持することができる。このため、基板Sがより強く保持されることになり、その分基板Sのズレが抑制されるので、当該基板Sのズレに伴う塗布不良を防止することができ、基板搬送部2のステージ22上を清浄に保持することが可能となる。
【0097】
また、本実施形態のように、基板搬送部23bの吸着パッド23fによって基板Sを吸着して保持する場合には、補助機構24が基板Sを押圧することにより、吸着パッド23fによる吸着を確実にすることができるので、基板Sを一層強く保持することができ、基板Sの保持位置のズレをより確実に防ぐことができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、補助機構24が基板Sの搬送方向に移動可能に設けられていることとしたので、基板Sの移動に合わせて補助機構24を移動させることができる。特に本実施形態では、補助機構24が搬送機構23の取付部材23dに搭載されていることとしたので、搬送機構23と補助機構24を一体的に移動させることができる。これにより、搬送機構23の移動速度と補助機構24の移動速度とを調整することなく両機構の位置ズレを防ぐことができるので、一層容易に基板Sの安定保持を実現させることができる。
【0099】
また、本実施形態によれば、補助機構24が退避機構として軸部材24dを有していることとしたので、例えば移動経路上に他の構成部材などが設置されている場合には、当該他の構成部材を回避することができる。これにより、補助機構24と当該構成部材との間の衝突や接触を回避することができ、塗布装置1の破損、故障などといった不具合を回避することができる。
【0100】
また、本実施形態によれば、基板Sを搬送する搬送機構23が当該基板Sの搬送方向に移動可能に設けられており、搬送機構23に設けられる基板保持部23bが搬送方向とは異なる方向に移動可能に設けられていることとしたので、基板保持部23bの搬送方向についての移動領域上に他の構成部材が設けられている場合であっても、当該構成部材を回避することができる。これにより、塗布装置1の構成部材の破損、故障などの不具合を回避することが可能となる。
【0101】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
第1実施形態と同様、以下の図では、各部材を認識可能な大きさとするため、縮尺を適宜変更している。また、第1実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態では、補助機構の構成が第1実施形態とは異なっているため、この点を中心に説明する。
【0102】
図8(a)は本実施形態に係る塗布装置101の一部の構成を示す側面図であり、
図8(b)は塗布装置101の一部の構成を示す平面図である。
図8(a)及び
図8(b)に示すように、本実施形態に係る塗布装置101は、補助機構124が基板Sに接触して当該基板Sを押圧する構成ではなく、基板Sに気体を噴出することによって非接触で基板Sを押圧する構成となっている。
【0103】
具体的には、補助機構124は、例えば不図示の気体供給部に接続されており、基板Sの側縁部Saに沿って複数設けられている。補助機構124は、搬送機構23に搭載されてはおらず、搬送機構23とは独立して設けられている。補助機構124には、気体噴出口124aが設けられている。気体噴出口124aは、基板Sの表面側において側縁部Saに対向するように配置されている。他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0104】
上記構成においては、補助機構124に接続された気体供給部を駆動させることによって気体噴出口124aから気体が噴出され、基板Sの+Z方向側の面(表面)に気体が噴射される。この気体の噴射によって基板Sは−Z方向側へ押圧される。基板Sの−Z方向側の面(裏面)は、搬送機構23の基板保持部23bによって支持されており、気体の負う圧力によって基板Sが基板保持部23b側へ押圧されることになる。
【0105】
このように、本実施形態によれば、補助機構124が基板Sへ気体を噴出する気体噴出口124aを有し、気体の噴出によって基板Sを非接触に押圧することとしたので、基板Sに対する接触を少なくすることができる。これにより、基板Sの変形やキズの発生などを抑制することができる。
【0106】
また、本実施形態によれば、気体噴出口124aが基板Sの搬送方向に複数設けられていることとしたので、基板Sが搬送されて移動する経路上において所望の位置で基板Sを非接触で押圧することができる。これにより、基板Sをより安定して保持することができる。
【0107】
なお、上記の補助機構124を基板Sの搬送方向に沿って移動可能に設ける構成としても構わない。補助機構124を移動可能とすることによって、補助機構124の個数を多くしなくても、例えば補助機構124が単数であっても、基板Sを搬送する間の所望のタイミングで基板Sを基板保持部23b側へ押圧することができる。
【0108】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
第1実施形態と同様、以下の図では、各部材を認識可能な大きさとするため、縮尺を適宜変更している。また、第1実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態では、補助機構の構成が第1実施形態とは異なっているため、この点を中心に説明する。
【0109】
図9(a)は本実施形態に係る塗布装置201の一部の構成を示す側面図であり、
図9(b)は塗布装置201の一部の構成を示す平面図である。
図9(a)及び
図9(b)に示すように、本実施形態に係る塗布装置201は、補助機構124が基板Sに接触して当該基板Sを押圧する構成ではなく、基板Sの裏面側(ステージ22側)の空間を吸引することによって非接触で基板Sを引き付ける構成となっている。基板Sをステージ22側に引き付けることで、基板Sの裏面側を保持する基板保持部23bへ基板Sが押圧されるようになっている。
【0110】
補助機構224は、搬送機構23に搭載されておらず、搬送機構23とは独立して設けられている。補助機構224は、例えばポンプなどの不図示の吸引機構に接続されており、基板Sの側縁部Saに沿って複数設けられている。補助機構224には、吸引口224aが設けられている。吸引口224aは、側縁部Saに対向するように基板Sの裏面側に配置されており、基板Sとの間に間隔を空けて設けられている。他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0111】
上記構成においては、補助機構224に接続された吸引機構を駆動させることにより、吸引口224aによって基板Sの−Z方向側の空間が吸引される。この吸引力によって基板Sが−Z方向側に引き付けられる。基板Sの−Z方向側の面(裏面)は搬送機構23の基板保持部23bによって保持されており、吸引力によって基板Sを引き付けることで当該基板Sが基板保持部23b側へ押圧されることになる。
【0112】
このように、本実施形態によれば、補助機構224が基板Sのうち搬送機構23が保持する面(裏面)と同一の面を引き付けることとしたので、その分、基板Sの保持される面とは反対の面上にスペースを確保することができる。
【0113】
なお、本実施形態においては、補助機構224の吸引口224aに吸着部を設けて、当該吸着部を基板Sの裏面に接触させて吸引する構成であっても構わない。この場合、基板Sに接触させる吸着部の構成材料として、基板Sの状態(温度、キズの有無など)を保持するような材料、例えば第1実施形態で挙げた材料などを用いることが好ましい。
【0114】
また、上記の補助機構224を基板Sの搬送方向に沿って移動可能に設ける構成としても構わない。補助機構224を移動可能とすることによって、補助機構224の個数を多くしなくても、例えば補助機構224が単数であっても、基板Sを搬送する間の所望のタイミングで基板Sを基板保持部23b側へ押圧することができる。
【0115】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記第1実施形態では、補助機構24が搬送機構23の取付部材23dに搭載された構成としたが、これに限られることは無く、補助機構24を搬送機構23に対して独立して設ける構成であっても構わない。この場合、補助機構24を搬送機構23の移動に伴って移動可能となるように構成することもできる。
【0116】
また、補助機構24が搬送機構23の移動に伴って移動する構成に限られることは無く、例えば補助機構24を移動させずに固定させておく構成であっても構わない。例えば、ステージ22とフレーム側部21bとの間や及びステージ22とフレーム側部21cとの間などに固定させておくことができる。ステージ22については、搬入側ステージ25のみならず、処理ステージ27や搬出側ステージ28についても適用可能である。
【0117】
また、上記実施形態では、基板Sの搬送開始時に補助機構24によって基板Sを基板保持部23b側へ押圧することとしたが、これに限られることは無く、例えば、基板Sの搬送終了時に基板Sを基板保持部23b側へ押圧するようにしても構わない。基板Sの搬送終了時、すなわち、基板Sの移動を停止させようとするときには、基板Sの移動方向に力が加えられることになる。この力によって基板Sの保持位置がずれると、基板Sの搬出に支障をきたす場合も考えられる。これに対して、基板Sの搬送終了時にも補助機構24によって基板Sを押圧し、基板Sの保持位置のズレを抑制することで、基板Sの搬出をスムーズに行うことができるという利点がある。
【0118】
また、基板Sの搬送中であっても、例えば搬入側ステージ25から処理ステージ27へと移動するタイミングや、処理ステージ27から搬出側ステージ28へと移動するタイミングなど、移動速度が変化する場合には、その都度補助機構24によって基板Sを押圧することも可能である。これにより、基板Sの保持位置のズレをより確実に抑制することができる。
【0119】
補助機構24によって基板Sを押圧するタイミングとしては、例えば、補助機構24によって基板Sを終始押圧した状態で当該基板Sを搬送することが可能である。これにより、基板Sの保持位置のズレをより確実に防ぐことができる。
【0120】
また、基板Sを搬入した直後に補助機構24によって基板Sを押圧し、基板Sの搬送前に当該の押圧を解除することも可能である。例えば上記実施形態のように吸着パッド23fによって基板Sを吸着して保持する場合などには、補助機構24が基板Sを押圧することで吸着パッド23fによる吸着を確保することができ、基板Sを一層強く保持することができる。
【0121】
また、基板Sの搬送中に当該基板Sの押圧を解除することも可能である。これにより、基板Sの保持位置のズレを防ぎつつ、基板Sの搬送の制御を容易にすることができる。
また、レジストRの塗布の前に押圧を解除することも可能である。これにより、基板Sの保持位置のズレを回避しつつ、塗布時の基板搬送の制御を容易に行うことができる。
【0122】
また、上記各実施形態においては、搬送機構23の退避機構(例えば軸部材23g)と補助機構24とを共に備える構成としたが、これら退避機構及び補助機構24は独立して効果を発揮しうる構成となっている。したがって、搬送機構23の退避機構及び補助機構24のうち一方を備える構成であれば、上記実施形態の対応する一方の効果を得ることができる。
【0123】
また、上記実施形態においては、搬送機構23をフレーム側部21b及びフレーム側部21cの両側に配置する構成としたが、これに限られることは無く、例えばフレーム側部21b及びフレーム側部21cのうち一方のみに搬送機構23を配置する構成であっても構わない。
【0124】
また、上記実施形態においては、基板Sを浮上させて搬送する塗布装置1を例に挙げて説明したが、搬送機構23の退避機構を備える場合においてはこの限りでは無く、基板を搬送させつつ塗布を行う塗布装置であれば、浮上搬送型以外の塗布装置、例えば搬送ローラなどの搬送機構によって基板を搬送する塗布装置であっても本発明の適用は可能である。
【0125】
また、上記各実施形態では、搬送機構23における基板保持部23bを軸部材23gを中心に旋回させて吸着パッド23fと基板Sとを接触させているが、これに限らず、例えば基板保持部23bをZ軸方向に昇降させて吸着パッド23fを接触させるようにしてもよい。