(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の熱輸送装置10を示す斜視図である。
本実施形態にかかる熱輸送装置10は、パソコンや情報家電等に搭載されるCPUや半導体メモリ等、各種の発熱素子14を冷却するものである。
熱輸送装置10は、
図1に示すように、ヒートパイプ11と、このヒートパイプ11の一端11A側に設けられた受熱板(受熱部)12と、他端11B側に設けられた放熱フィン(放熱部)13とを備える。受熱板12には、冷却対象部品としての発熱素子14が取り付けられている。
【0014】
ヒートパイプ11は、熱伝導性に優れた金属材料、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅等によって、内部が空洞状に構成されたコンテナ15を備え、このコンテナ15内には作動液24(
図2)が封入されている。
ヒートパイプ11は、
図1に示すように、一端11Aと他端11Bとの間に略直角に折り曲げられた曲げ部11Cを備え、ヒートパイプ11の一端11Aは、曲げ部11Cから鉛直上向きに延びている。すなわち、本実施形態のヒートパイプ11は、受熱板12が重力方向の上部に配置される、いわゆるトップヒートモードとなっており、曲げ部11Cは、重力方向の下部に配置されている。
【0015】
また、ヒートパイプ11は、一端11A及び他端11Bが扁平形状(断面略楕円形状)となっており、受熱板12及び放熱フィン13と広い範囲で接触して熱交換が可能となっている。また、曲げ部11Cは円筒形状に形成され、内部に大きな熱輸送空間が設けられている。本実施形態では、円筒形状のコンテナ15を途中で折り曲げて曲げ部11Cを形成するととともに、一端11A及び他端11Bに押圧扁平加工が施されている。
そして、ヒートパイプ11の一端11Aには、受熱板12が、例えば、溶接、ろう付けや半田付け等の手段により取り付けられ、ヒートパイプ11の他端11Bは、放熱フィン13に形成された孔部を貫通して固定されている。
受熱板12は、アルミニウム金属等の金属板により形成され、放熱フィン13は、アルミニウム等の金属板の両側縁をそれぞれ略平行に折り曲げて、断面略コ字状に形成された複数のフィン板を備える。これらフィン板は、ヒートパイプ11の延出方向に並べて配置され、各フィン板は半田付けによって一体に固定されている。
【0016】
図2は、熱輸送装置10の内部構造を模式的に示した図であり、
図3は、ヒートパイプ11の一端11A側の断面図、
図4は他端11B側の断面図である。
コンテナ15の内部には作動液24が封入されるとともに、コンテナ15の内壁面15A(内壁)には、
図2に示すように、封入された作動液24を毛細管圧力によって移送する第1ウィック21と第2ウィック22とが設けられている。
この第1ウィック21と第2ウィック22とは、互いに異なる種類のウィックであり、第1ウィック21はヒートパイプ11の一端11A側からヒートパイプ11(コンテナ15)の長手方向に沿って設けられ、第2ウィック22はヒートパイプ11の他端11B側からヒートパイプ11(コンテナ15)の長手方向に沿って設けられている。そして、これら第1ウィック21と第2ウィック22との境界部23がヒートパイプ11の曲げ部11Cにおける最下部に位置するように設けられている。
このため、境界部23では、ヒートパイプ11内で凝縮された作動液24が溜まり、この境界部23に連なる第1ウィック21には、常時、作動液24が浸る状態となっている。
【0017】
第1ウィック21は、相対的に毛細管圧力の大きいウィックであり、本実施形態では、
図3に示すように、内壁面15Aに、およそ45〜200μmの粒径を有する球状体または異型紛体金属を焼結して生成した多孔質焼結金属31を備えて構成されている。この多孔質焼結金属31に浸った作動液24は、毛細管圧力によって多孔質焼結金属31の隙間を染み上がり受熱板12に達する。そして、多孔質焼結金属31で囲まれた内部空間は、受熱板12(
図1)から供給された熱で蒸発した作動液蒸気が通流する蒸気流路32となる。
また、第2ウィック22は、相対的に流動抵抗が小さく透過性の高いウィックであり、本実施形態では、内壁面15Aに長手方向に延びる複数の溝部33を備えたグルーブウィック34として構成されている。放熱フィン13で凝縮された作動液24は、これら溝部33を通じて境界部23に達する。この場合、溝部33(グルーブ)のヒートパイプ11(コンテナ15)長手方向に対するリード角度は0度から20度の範囲とすることが好ましい。
本実施形態では、
図3及び
図4に示すように、ヒートパイプ11の一端11Aの高さH1は、他端11Bの高さH2よりも高く、更には、一端11Aのコンテナ15の肉厚t1は、他端11B側の肉厚t2よりも相対的に厚く形成されている。
【0018】
本実施形態によれば、作動液24が封入されたヒートパイプ11を備え、ヒートパイプ11の一端11A側に受熱板12を設け、他端11Bに放熱フィン13を設けた熱輸送装置10において、ヒートパイプ11は、一端11A側と他端11B側との間で曲げられた曲げ部11Cを備え、この曲げ部11Cを重力方向の下部に配置したため、曲げ部11Cに作動液24が溜まりやすくなる。さらに、ヒートパイプ11の内壁に作動液24を移送する第1ウィック21と第2ウィック22を設け、これら第1ウィック21と第2ウィック22の境界部23を曲げ部11Cに配置したため、第1ウィック21と第2ウィック22の境界部23は、曲げ部11Cに溜まった作動液24に浸る。このため、第1ウィック21の毛細管圧力により、該第1ウィック21は高い位置に作動液24を還流させるポンプの役目、第2ウィック22は液溜まりから第1ウィック21へ迅速に作動液24を送る送水管の役割を果たし、効率的な作動液循環が行われる。これにより、受熱板12が設けられるヒートパイプ11の一端11A側への作動液24の還流が促進されるため、簡単な構成で熱輸送効率を高めることができる。
【0019】
また、本実施形態によれば、ヒートパイプ11の一端11A側に、相対的に毛細管圧力の大きい第1ウィック21が配置され、該ヒートパイプ11の他端11B側に、相対的に流動抵抗の小さい第2ウィック22が配置されているため、例えば、受熱板12が重力方向の上部に配置されるトップヒートモードによる配置構成であっても、ヒートパイプ11の一端11A側への作動液24を効率良く還流させることができる。
【0020】
また、本実施形態によれば、第1ウィック21は、球状体または異型粉体を焼結して生成した多孔質焼結金属31を備える構成としたため、相対的に毛細管圧力の大きいウィックを簡単な構成で形成することができる。
また、本実施形態によれば、第2ウィック22は、ヒートパイプ11の内壁面15Aに長手方向に延びる複数の溝部33を備えるため、相対的に流動抵抗の小さいウィックを簡単な構成で形成することができる。
【0021】
次に、実施例について説明する。
(実施例1)
ヒートパイプ11のコンテナ15は、外径10mm、肉厚0.3mm、長さ260mmの円筒形状のコンテナを用いた。ヒートパイプ11(コンテナ15)の一端11A側の厚さH1を4.0mm、他端11B側の厚さH2を2.5mmに押圧扁平加工した。そして、一端11A側に銅金属製の受熱板12を配置するとともに、他端11B側にアルミニウム製の100mmの長さの放熱フィン13を配置した。
また、コンテナ15の内壁面15Aには、第1ウィック21として、一端11A側に多孔質焼結金属31を、厚み1.3mm、蒸気流路32の高さを0.8mmとなるように配置した。また、他端11B側にも第2ウィック22として、多孔質焼結金属31を厚み0.7mm、蒸気流路32の高さを0.5mmとなるように配置した。
そして、ヒートパイプ11は、一端11Aと他端11Bとの間に曲げ部11Cを備え、2種類の多孔質焼結金属31からなるウィックの境界部23が曲げ部11Cとなるように形成した。この状態で、受熱板12に大きさ16mm×16mmのヒーターを取り付け、最大熱輸送量と、ヒーター・室温間熱抵抗をそれぞれ測定した。
【0022】
最大熱輸送量とは、ヒートパイプ11が輸送できる最大熱量であり、作動液24がヒートパイプ11内でドライアウトしない最大値をいう。
蒸発部となる一端11A側と凝縮部となる他端11B側との温度をそれぞれ測定し、これらの温度差が所定温度差以上となるとドライアウトしたものと判断する。このドライアウトする直前のヒーター熱量を測定した。
また、ヒーター・室温間熱抵抗は、最大熱輸送時におけるヒーター温度と室温(雰囲気温度)との差温を最大熱輸送量で除した値である。この値を測定、算出した。
【0023】
(実施例2)
実施例1と比較して、第1ウィック21を構成する多孔質焼結金属31を、厚み1.0mm、蒸気流路32の高さを1.4mmとなるように配置した点で異なる。その他の構成については、実施例1と同一であるため、説明を省略する。
【0024】
(実施例3)
実施例3では、ヒートパイプ11の他端11B側に設けられる第2ウィック22が、多孔質焼結金属31によるものではなく、長手方向に延びる複数の溝部33を備えたグルーブウィック34である点で、実施例1と異なる。他の構成は実施例1と同一である。
この実施例3では、溝部33(グルーブ)の深さdを0.25mm、蒸気流路32の高さを1.4mmとなるように形成された。なお、他端11B側の厚みH2は、2.5mmであるため、該他端11B側におけるヒートパイプ11(コンテナ15)の肉厚t2は、0.3mmである。このため、ヒートパイプ11(コンテナ15)の肉厚t2に対する溝部33(グルーブ)の深さdは、83.3%となる。
【0025】
(実施例4)
実施例4では、第2ウィック22における溝部33(グルーブ)の深さdを0.20mm、蒸気流路32の高さを1.5mmとした点で実施例3と異なる。その他は実施例3と同一である。
この実施例4では、ヒートパイプ11(コンテナ15)の肉厚t2に対する溝部33(グルーブ)の深さdは、66.7%となる。
【0026】
(実施例5)
実施例5では、第1ウィック21を構成する多孔質焼結金属31を、厚み1.0mm、蒸気流路32の高さを1.4mmとなるように配置した点で異なる。その他は実施例4と同一である。
【0027】
(実施例6)
実施例6では、第2ウィック22における溝部33(グルーブ)の深さdを0.15mm、蒸気流路32の高さを1.6mmとした点で実施例3と異なる。その他は実施例3と同一である。
この実施例6では、ヒートパイプ11(コンテナ15)の肉厚t2に対する溝部33(グルーブ)の深さdは、50%となる。
【0028】
(実施例7)
実施例7では、第2ウィック22における溝部33(グルーブ)の深さdを0.10mm、蒸気流路32の高さを1.7mmとした点で実施例3と異なる。その他は実施例3と同一である。
この実施例6では、ヒートパイプ11(コンテナ15)の肉厚t2に対する溝部33(グルーブ)の深さdは、33.3%となる。
【0029】
これらの実施例1〜7における最大熱輸送量と、ヒーター・室温間熱抵抗との値を表1に示す。
【0030】
【表1】
この表1によれば、第2ウィック22に多孔質焼結金属31よりも相対的に流動抵抗の小さいグルーブウィック34を設けた構成では、第1ウィック21及び第2ウィック22に多孔質焼結金属31を設けた既存の構成に比べて、最大熱輸送量で1.5倍、熱抵抗において約0.2度/Wの低減という熱輸送特性の向上効果が得られた。
更に、第2ウィック22として、長手方向に延びる複数の溝部33を備えたグルーブウィック34を設けた構成の中でも、溝部33の深さdを0.10〜0.20mmとした構成では、最大熱輸送量が110W以上となり、ヒーター・室温間熱抵が0.70℃/W以下となる。
このため、溝部33の深さdを闇雲に設定するのではなく、溝部33の深さdは、ヒートパイプ11の肉厚に対して30〜70%の深さとすることで、より一層の熱輸送特性の向上を図ることができる。
【0031】
次に、第1ウィック21と第2ウィック22との境界部23の位置を変化させた構成について説明する。
(実施例A)
図5は、実施例Aにかかる熱輸送装置の内部構造の模式図である。
この実施例Aでは、第1ウィック21と第2ウィック22との境界部23を、曲げ部11Cに対して重力方向の0度となる位置に設けている。具体的には、曲げ部11Cの曲げ中心Oから重力方向(鉛直下方)に延びる基準線50と境界部23とのなす角が0度、すなわち基準線50上に境界部23が位置するように設けられている。
また、ヒートパイプ100の境界部23の位置以外の構成については、上述した実施例5と同一である。
【0032】
(実施例B)
図6は、実施例Bにかかる熱輸送装置の内部構造の模式図である。
この実施例Bでは、第1ウィック21と第2ウィック22との境界部23を、上記した基準線50よりもヒートパイプ11の他端11B側にずらした位置に設けている。具体的には、基準線50からヒートパイプ11の他端11B側に所定距離L(20mm)移動させた位置に境界部23を設けている。ヒートパイプ100の境界部23の位置以外の構成については、上述した実施例5と同一である。
【0033】
(実施例C)
図7は、実施例Cにかかる熱輸送装置の内部構造の模式図である。
この実施例Cは、第1ウィック21と第2ウィック22との境界部23を、曲げ部11Cに対して重力方向の45度となる位置に設けている。具体的には、基準線50と境界部23とのなす角が45度の位置に設けられている。
また、ヒートパイプ100の境界部23の位置以外の構成については、上述した実施例5と同一である。
【0034】
(実施例D)
図8は、実施例Dにかかる熱輸送装置の内部構造の模式図である。
この実施例Dでは、第1ウィック21と第2ウィック22との境界部23を、曲げ部11Cに対して重力方向の90度となる位置に設けている。具体的には、基準線50と境界部23とのなす角が90度、すなわち、曲げ部11Cの曲げ中心Oから水平方向に延びる水平基準線51上に境界部23が位置するように設けられている。
また、ヒートパイプ100の境界部23の位置以外の構成については、上述した実施例5と同一である。
【0035】
これらの実施例A〜Dにおける最大熱輸送量と、ヒーター・室温間熱抵抗との値(ウィック境界設置位置と特性との関係)を表2に示す。
【0037】
この構成によれば、境界部23を、曲げ部11Cに対して重力方向の45度よりも小さな角度位置に設けた実施例A〜Cにおいて、境界部23を、曲げ部11Cに対して重力方向の90度となる位置に設けた実施例Dに比べて、最大熱輸送量で1.5倍、熱抵抗において約0.2度/Wの低減という熱輸送特性の向上効果が得られた。
このように、第1ウィック21と第2ウィック22との境界部23が重力方向の下部に位置するようにヒートパイプ11を構成することにより、境界部23を作動液24に浸すことができる。このため、第1ウィック21の毛細管圧力により、該第1ウィック21は高い位置に作動液24を還流させるポンプの役目、第2ウィック22は液溜まりから第1ウィック21へ迅速に作動液24を送る送水管の役割を果たし、効率的な作動液循環が行われる。これにより、受熱板12が設けられるヒートパイプ11の一端11A側への作動液24の還流が促進されるため、簡単な構成で熱輸送効率を高めることができる。
【0038】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図9は、変形例にかかる熱輸送装置10の内部構造の模式図である。
この構成では、ヒートパイプ11は、
図9に示すように、一端11Aと他端11Bとの間に曲げ部11Cを備えるだけでなく、この曲げ部11Cがヒートパイプ11における重力方向の最下部に位置して作動液24を貯留する貯留部11Dを備える。そして、第1ウィック21と第2ウィック22との境界部23は、曲げ部11Cの貯留部11Dに位置するように形成されている。
この構成では、ヒートパイプ11の他端11B側の放熱フィン13にて凝縮された作動液24は、第2ウィック22を通じて貯留部11Dへ流れ、この貯留部11Dに貯留される。これにより、貯留部11Dに溜まった作動液24は、常時、第1ウィック21に浸った状態となるため、受熱板12が設けられるヒートパイプ11の一端11A側への作動液24の還流が促進され、熱輸送効率をより一層高めることができる。
【0039】
次に、別の実施形態について説明する。
図10は、別の実施形態にかかる熱輸送装置110の内部構造の模式図である。
上記した実施形態では、ヒートパイプ11の他端11B側に、相対的に流動抵抗の小さい第2ウィック22として、長手方向に延びる複数の溝部33を備えたグルーブウィック34を設けた構成について説明した。しかし、相対的に流動抵抗の小さいものであれば、異なる構成の第2ウィック122を備えても良い。
この別の実施形態では、第2ウィック122として金属編組線131を設けた構成としてもよい。この金属編組線131は、複数の金属細線を網状に形成したものであり、第1ウィック21の多孔質焼結金属31に比べて流動抵抗が小さく形成されている。
金属編組線131は、
図11に示すように、押圧扁平加工された他端11Bの幅方向の両端側にそれぞれ配置されて、中央部に蒸気流路132が形成されている。なお、金属編組線131は、上記した幅方向の片方の端に設けても良い。また、第2ウィック122として金属線メッシュ或いは微細金属網を配置した構成としても良い。また、この別に実施形態のヒートパイプ11に上記した貯留部11Dを備える構成を組み合わせても良い。
【0040】
(実施例8)
実施例8では、金属編組線として、250本の金属細線(素線Φ0.06mm)を網状に形成したものを2つ用い、これらの金属編組線131を他端11Bの幅方向の両端側にそれぞれ配置した。他端11B側を除く他の構成は、上記した実施例2と同一である。
【0041】
更に、別の実施形態について説明する。
図12は、別の実施形態にかかる熱輸送装置210の内部構造の模式図である。
この別の実施形態では、熱輸送装置210は、ヒートパイプ11の他端11B側に、第2ウィック222として、球状体または異型粉体を焼結して生成した多孔質焼結金属231を備える。この多孔質焼結金属231は、
図13に示すように、ヒートパイプ11の幅方向中央部に設けられ、該多孔質焼結金属231を挟んだヒートパイプ11内部の左右に蒸気流路232が形成されている。
また、この別に実施形態のヒートパイプ11に上記した貯留部11Dを備える構成を組み合わせても良い。
【0042】
(実施例9)
図14は、実施例9にかかるヒートパイプ11の他端11B側の断面図である。
この実施例9では、1つ以上の球状体または異型粉体を焼結して生成した半楕円型の多孔質焼結金属231,231を楕円側の円弧面同士を対向させてヒートパイプ11の幅方向中央部に設けている。具体的には、楕円型の多孔質焼結金属231は、幅6mmで2つ重ねた際の高さが0.95mmに設定されている。他端11B側を除く他の構成は、上記した実施例2と同一である。
【0043】
これらの実施例8、9における最大熱輸送量と、ヒーター・室温間熱抵抗との値を表3に示す。
【0045】
実施例8、9では、ヒートパイプ11の他端11Bの内壁面15Aに設けた第2ウィック122として、金属編組線131または多孔質焼結金属231を設けたことにより、実施例2の構成に比べて、最大熱輸送量で1.5倍以上、熱抵抗において約0.2度/Wの低減という熱輸送特性の向上効果が得られた。
特に、実施例9が良好な理由としては、半楕円形状の多孔質焼結金属231,231の毛細管力に加え、円弧面同士の接触で鋭角部が構築され、その部位でグルーブ溝のような付加毛細管力、かつ、低い流動抵抗を達成しているためと考えられる。
【0046】
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記実施形態では、熱輸送装置10、110、210は、受熱板12が重力方向の上部に位置するトップヒートモードである構成について説明したが、受熱板12が重力方向の下部に位置するボトムヒートモードの構成に、本願発明を適用しても良いことは明らかである。