特許第5778777号(P5778777)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778777
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】検体検査自動化システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
   G01N35/04 B
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-534661(P2013-534661)
(86)(22)【出願日】2012年9月6日
(86)【国際出願番号】JP2012072791
(87)【国際公開番号】WO2013042549
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2013年10月30日
(31)【優先権主張番号】特願2011-204047(P2011-204047)
(32)【優先日】2011年9月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077816
【弁理士】
【氏名又は名称】春日 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100156524
【弁理士】
【氏名又は名称】猪野木 雄一
(72)【発明者】
【氏名】安澤 賢一
(72)【発明者】
【氏名】鴨志田 幸司
(72)【発明者】
【氏名】圷 正志
【審査官】 清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−175513(JP,A)
【文献】 特表平11−500224(JP,A)
【文献】 特開2000−074925(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/040197(WO,A1)
【文献】 特開平07−234228(JP,A)
【文献】 特開2005−156196(JP,A)
【文献】 特開2002−357612(JP,A)
【文献】 特開平09−236608(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3059194(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理ユニットと、
前記複数の処理ユニットにおいて検体を搭載したホルダを搬送する主搬送路と、
検体を搭載していない空ホルダを搬送する空ホルダ搬送路と、
前記空ホルダ搬送路上の空ホルダを前記処理ユニットまたは前記主搬送路に供給する供給手段と、を備えた検体検査自動化システムにおいて、
前記空ホルダ搬送路は、前記主搬送路の一部を形成しない搬送路がループ状に配置された複数のループ搬送路が複数連結されて形成され、前記ループ搬送路上の一部に複数の空ホルダをまとめて停止させるストッパと、前記ストッパによって停止している空ホルダの個数を検知するセンサと、を備え、前記センサは、前記ストッパによって停止している空ホルダの個数が、所定の個数範囲におさまっているか否かを検知し、かつ、前記空ホルダ搬送路は第一のループ搬送路と、前記第一のループ搬送路に隣接して設けられた第二のループ搬送路と、を含む複数のループ搬送路からなり、
前記複数の処理ユニットは、前記第一のループ搬送路から空ホルダを供給する第一の処理ユニットグループと、前記第二のループ搬送路から空ホルダを供給する第二の処理ユニットグループを含む、複数の処理ユニットグループからなり、
前記主搬送路は、前記複数の処理ユニットグループ間で検体を搭載したホルダを搬送し、
前記第一の処理ユニットグループから前記第二の処理ユニットグループへ前記主搬送路を用いてn個のホルダを搬送した場合、前記第二のループ搬送路から前記第一のループ搬送路へn個の空ホルダを供給するよう制御する制御部を備える検体検査自動化システム。
【請求項2】
請求項1記載の検体検査自動化システムにおいて、
前記空ホルダ搬送路を形成するループ搬送路毎に、少なくとも1つずつの前記供給手段を備える検体検査自動化システム。
【請求項3】
請求項1記載の検体検査自動化システムにおいて、
前記制御部は、前記ストッパにより停止している空ホルダの個数が所定の範囲に収まっていない場合、隣接する他のループ搬送路から当該ストッパが設けられているループ搬送路に空ホルダを搬送する検体検査自動化システム。
【請求項4】
請求項1記載の検体検査自動化システムにおいて、
前記ストッパにより停止している空ホルダの最適な個数範囲を、前記空ホルダ搬送路を形成するループ搬送路毎に設定する設定手段を備える検体検査自動化システム。
【請求項5】
請求項4記載の検体検査自動化システムにおいて、
前記設定手段は、ループ搬送路から搬送される空ホルダが供給される処理ユニットの種別、当該検体検査自動化システムの稼動時間帯に基づいて最適な個数範囲を設定可能な検体検査自動化システム。
【請求項6】
請求項1記載の検体検査自動化システムにおいて、
前記複数の処理ユニットグループのうち、特定の処理ユニットグループを指定可能な指定手段と、前記指定手段で指定された処理ユニットグループに含まれる処理ユニット、および当該処理ユニットグループに空ホルダを供給するループ搬送路を、システムから切り離す手段を備えた検体検査自動化システム。
【請求項7】
請求項1記載の検体検査自動化システムにおいて、
前記複数のループ搬送路間で空ホルダの受け渡しを行う空ホルダ受け渡し手段を備えたことを特徴とする検体検査自動化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は臨床検査において血液や尿等の検体を処理する検体検査自動化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査において血液や尿等の検体を自動分析装置で分析する場合、検体の遠心分離、各自動分析装置の専用容器への検体の分注、バーコードラベル等の検体容器への貼付等、依頼内容により各種の前処理が発生する。多くの病院や検査センター等で、検査の省力化・効率化のためにこのような前処理を自動的に行う、検体検査自動化システムが導入されている。
【0003】
血液や尿等の検体が入った容器は、ラックや検体容器ホルダなどと呼ばれる検体を1本または複数本ずつ搬送するためのキャリアに積載し検体検査自動化システムに供給される。この検体は、測定する検査項目および前処理内容により、遠心分離処理し、容器の栓を外す開栓処理、用途に応じてこの検体をひとつ以上の別の容器へ取り分ける処理、すなわち親検体から子検体容器への分注処理、子検体容器にバーコードラベルを貼り付ける処理、子検体容器に栓をする閉栓処理、親検体や子検体をその後の処理に応じて仕分ける分類収納処理、子検体ラックを自動分析装置へ搬送して子検体を分析測定する処理等が実施される。これらの各処理の機能を有する装置が複数の搬送ラインによって結び付けられ検体検査自動化システムを構成している。
【0004】
キャリアとして1本ホルダを使用する検体検査自動化システムにおいては、複数の処理ユニットで実際の検体と空ホルダの載せ替えの行為を行うことになる。例えば、バッチで投入された検体をホルダに載せ替える場合や、遠心分離処理の終了した検体を遠心分離用バケットからホルダに載せ替える場合、子検体分注処理によって作成された子検体をホルダに積載する場合などにおいては、検体容器を積載するための空のホルダを各処理ユニットに供給する必要がある。このホルダ供給処理が迅速に行われないと、検体検査自動化システム全体の処理スピードが低下してしまう。
【0005】
検体検査自動化システムにラックまたはホルダを供給する方式としてはたとえば特許文献1に記載されているように、検体種別に応じた処理を行うために大量の検体ラックを予め装置にセットする方式が知られている。
【0006】
特許文献2では、大量の検体ラックの設置面積を低減するため、検体ラックをある一定の数をまとめてトレイに設置し、このトレイを検体ラック供給部・回収部共に多段に配置し、上下駆動のエレベータ機構により検体ラックの供給・回収をすることが述べられている。
【0007】
特許文献3ではエンドレス化した搬送ラインに装置を連結し、使用する検体ラックを使い回す方式が挙げられている。
【0008】
特許文献4には検体を搬送するラインとは別に空ホルダを搬送する専用の空ホルダ搬送ラインを設けておき、必要に応じて各処理ユニットに空ホルダを供給できる検体検査自動化システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許3618067号公報
【特許文献2】特開2007−309675号公報
【特許文献3】特開平8−122337号公報
【特許文献4】WO2011/040197
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1および特許文献2に記載された方法は、大量の検体を処理するために検査を行う検体分だけ検体ラックを準備する必要があり、これに伴い、システムの大型化・複雑化は避けられない。また、オペレータはシステムの使用前に大量の検体ラックを補充しなければならない手間を伴っていた。
【0011】
また、特許文献3はシステム内で検体ラックの搬送ラインをループしながら、検体ラック再利用を行うので大量の検体ラックは必要としない。ただし、空の検体ラックと検体が載った検体ラックが同じ搬送ラインを通ることになるので搬送ラインに渋滞が発生し、処理速度の高いシステムを構築することが困難である。また空の検体ラックと、検体が載った検体ラックの識別が必要であるなど、搬送制御についても複雑化が避けられなかった。
【0012】
特許文献4に記載された方式は、上記特許文献1〜3に開示された課題を回避することができる。しかし、空ホルダ周回路が全ての処理ユニットを経由しながら、ひとつの周回路として構成されていたため、処理ユニットの位置によっては空ホルダを供給するまでに、周回路のほぼ全周を搬送する必要があった。このため、空ホルダが所望の処理ユニットに供給されるまでの時間が長く、処理ユニット側では空ホルダの到着待ち、いわゆる枯渇が発生する可能性があった。さらに、検体検査自動化システムの一部に障害が起きた場合や、システム全体の稼動を継続できない事態となった場合に、特許文献4に開示された空ホルダ供給方法では一部のユニットをシステムから切り離す等の回避策をとることが難しかった。
【0013】
本発明ではこの従来の問題を解決するため、空ホルダ周回路を複数のループ搬送路から構成し、各ループ搬送路に空ホルダストッパを設置することにより、各ストッパから各処理ユニットまでの物理的な距離を短く保ち、空ホルダの供給時間を短縮することが可能な検体検査自動化システムを提供することを目的とする。
【0014】
さらに、空ホルダを必要とする複数の処理ユニットに対し、迅速に空ホルダを供給し、各処理ユニットでホルダの枯渇を抑止する検体検査自動化システムを提供することを目的とする。
【0015】
さらに、障害の発生時に切り離し等を行って業務継続を可能とする検体検査自動化システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目標を達成するための本発明の構成は以下の通りである。
【0017】
すなわち、複数の処理ユニットと、前記複数の処理ユニットにおいて処理すべき検体を搭載したホルダを搬送する主搬送路と、検体を搭載していない前記ホルダを搬送する空ホルダ搬送路と、前記空ホルダ搬送路上のホルダを前記処理ユニットまたは前記主搬送路に供給する供給手段と、を備えた検体検査自動化システムにおいて、前記空ホルダ搬送路は、搬送路がループ状に配置されたループ搬送路が複数連結されて形成されていることを特徴としている。
【0018】
なお、該システム利用施設である検査室の運用形態に合わせて、前記処理ユニットには必要となる装置群を揃え、様々な処理に対応可能な検体検査自動化システムを構築することができる。本明細書においては、前記処理ユニットの内訳に関する記載を省略するが、あらゆる処理ユニットについて本発明の実施範囲には影響を及ぼさない。
【発明の効果】
【0019】
本発明を採用した検体検査自動化システムにおいて、周回する経路長が延びても各処理ユニットへの空ホルダ供給を遅延することなく行うことができ、また、障害の発生時に切り離し等を行って業務継続を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】検体検査自動化システムの構成例を表すブロック図である。
図2】ストッパで貯蓄するホルダを検知するセンサの構成例を表すブロック図である。
図3】各ストッパで貯蓄すべき、空ホルダ数を設定する操作部の画面例である。
図4】ループの管理管轄間で、実際の検体を把持したホルダと空ホルダを交換するシステムの構成例を表すブロック図である。
図5】複数台の自動分析装置を接続する検体検査自動化システムのループ構成例を表すブロック図である。
図6】ループをオフライン設定する操作部の画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に図面を用いて本発明の実施態様を説明する。
【0022】
図1は本発明の検体検査自動化システムの一実施形態を採用した一構成例を表すブロック図である。
【0023】
図1に示す検体検査自動化システムは、処理ユニット101〜107によって構成している。これらの処理ユニット101〜107を結ぶように、空ホルダを周回する空ホルダライン111と、その外側に実際の検体を把持して搬送する検体搬送ライン112を備え、空ホルダが必要な処理ユニットへ空ホルダを供給する供給ライン114によって、空ホルダライン111と検体搬送ライン112を接続している。
【0024】
図1の例示では、ループ1〜3を構成し、各ループはミニライン113によって、ループ1とループ2とを、またループ2とループ3とを、それぞれ接続している。各ループ1〜3には、空ホルダライン111上に空ホルダ301をせき止めて貯蓄するための空ホルダストッパ121〜123を備えている。
【0025】
また、空ホルダライン111、検体搬送ライン112、ミニライン113、供給ライン114および各空ホルダストッパ121〜123を制御するための操作部201を備え、各ラインおよび各ストッパとの通信手段202を備えている。
【0026】
空ホルダ301は、空ホルダライン111上に設置した空ホルダストッパ121〜123によって、いずれかのループを構成する空ホルダライン上に貯蓄される。
【0027】
なお、図1では詳しい内訳を省略しているが、処理ユニット101〜107、およびそれ以上の数の処理ユニットは、検査室の運用ニーズに応じて種々の処理装置によって構成される。
【0028】
図2は、図1で示すループ1の空ホルダラインを一部拡大した実施例図である。空ホルダライン111上を流れる空ホルダ301を、空ホルダストッパ121でせき止めるのは図1と同様である。空ホルダストッパ121に十分な量の空ホルダが貯蓄されていることを検知するための満杯検知センサ251と、空ホルダ301が枯渇したことを検知するための枯渇検知センサ252を備える。他のループに設置するストッパについても図示しないが同様とする。
【0029】
操作部は通信手段202を経て各ループのストッパからこれらの検知情報を収集し、必要に応じて各ループ間での空ホルダ受け渡しを空ホルダラインへ指示する。具体的には、満杯検知センサ251が検知したストッパには、空ホルダを搬出するよう当該ストッパを開放するよう指示が出される。これによって、一部のループに空ホルダが偏って蓄積されるのを防止するのと同時に、ループが満杯になってラインが停滞してしまうことを回避する。
【0030】
また、枯渇検知センサ252を検知したストッパが位置するループではホルダの枯渇が予想されるため、当該ストッパ以外のストッパを開放するよう指示が出される。これによって、他のループから空ホルダが供給されることとなる。
【0031】
なお、各ループ上に貯蓄された空ホルダの個数が十分か否かの設定は、ループと供給ラインで接続されている処理ユニットの種別によって変更可能としても良い。例えば、分注処理ユニットなどで必要となるホルダの量は、コンスタントであるのに対し、投入ユニットなどでは、検体が投入された後のタイミングでは大量のホルダを必要とするが、その他のタイミングではホルダの供給はほぼ必要ない。制御部はこれら処理ユニットの特性に基づくホルダ必要量の情報を記憶しておき、記憶されたホルダ必要量の情報、センサの出力等に基づき、各ループ間でのホルダ蓄積量を調整しても良い。また、これらのホルダ必要量の情報はオペレータ側で設定できるような画面表示を備えていても良い。
【0032】
図3には、各ストッパで貯蓄すべき空ホルダの数を操作部の画面で設定することを可能とする実施例を図示している。
【0033】
パラメータ設定画面801では、ストッパごとに空ホルダの最大数パラメータ802を設定可能とし、操作部はこの設定値をもとに稼動中の各ストッパを監視し制御する。例えば、空ホルダストッパ122に対しては最大で空ホルダが10個貯蓄可能となるように設定する。すると、空ホルダストッパ122が設置されたループ上に20個の空ホルダが存在する場合には空ホルダストッパ122を開放して他のストッパに空ホルダを受け渡すか、空ホルダストッパ122から優先的に各処理ユニットに空ホルダを供給する。一方で、空ホルダストッパ122が設置されたループ上に2個しか空ホルダが貯蓄されていない場合には、空ホルダストッパ121または空ホルダストッパ123を開放して空ホルダストッパ122が設置されているループ上にホルダを供給するように制御する。
【0034】
ストッパごとに貯蓄可能なホルダの個数は、特定のロジックで変更するように制御しても良い。たとえば、オペレータが大量の検体を投入ユニットに投入した場合には、検体を搭載するための空ホルダが大量に必要となるため、投入ユニットにホルダを供給するループ上に蓄積するホルダ数を多くするよう調整しても良い。同様に、遠心分離ユニットは、一回の遠心分離処理に要する所定の時間間隔(約20分)毎に比較的多くのホルダを必要とする。そのため、遠心分離ユニットにホルダを供給するループ上に蓄積するホルダ数を多くするよう調整しても良い。
【0035】
このように、タイミングに応じて必要とするホルダ数が変化する場合には、オペレータが、予め特定の処理ユニットでホルダが必要となるタイミングや時間間隔を設定できるような画面を備えていても良いし、各処理ユニットから受信する信号に基づいてループに保持するホルダ数を制御しても良い。例えば、遠心処理ユニットから遠心処理の終了時刻と、それに伴い当該遠心処理ユニットから搬出される検体の個数を受信し、これらの情報に基づいてループに保持されるホルダ数をリアルタイムに制御する方式などが想定される。
【0036】
検体検査自動化システムの稼動中は、空ホルダが絶えず各ループを出入りしており、ループごとのホルダ管理数は常に変動している。しかし、各ストッパで貯蓄する理想的なホルダ数を予め設定し、システムの稼動開始前や、稼動中でも処理検体数が減って安定化しつつある状態の時など、なるべくこれらの値に近づくよう、操作部では空ホルダの制御を行う。
【0037】
この他にも、検体検査自動化システムでは、検体を搭載したホルダ302が検体搬送ライン112上を搬送され、ループ11の管理管轄内からループ12の管理管轄内へ搬送されることが多々ある(図4参照)。この状態は、ループ11からホルダがひとつ無くなったことを意味するので、検体を搭載したホルダの移動に伴い、ループ12からループ11へ空ホルダ301をひとつ搬送するよう制御部が空ホルダ搬送ラインを制御しても良い。
実際の検体を搭載したホルダ302は、検体に対する処理が終われば空ホルダ301となってループに回収されることになるので、このような仕組みをもってすれば、ほぼ全てのタイミングで各ループに空ホルダ301の平均的な量を維持することができる。
【0038】
図5に本発明の他の実施例を示す。
【0039】
本実施例では検体検査自動化システムに対して複数の自動分析装置403、404が並列に接続されている。またこの検体検査自動化システムに空ホルダを供給する空ホルダ搬送ラインは、ループ21、ループ22、ループ23により形成されている。なお、本実施例では3つのループで空ホルダ搬送ラインを構成しているが、より多数のループにより空ホルダ搬送ラインが形成されているとしても良い。
【0040】
3つのループ21〜23には、それぞれ空ホルダストッパ124、125および126を、分岐部のすぐ手前の位置に備えている。なお、ループ23と分岐部の間には、ループを構成するためのミニライン116を備えている。
【0041】
自動分析装置403はループ22の末端に設置された接続バッファ401を介して検体検査自動化システムに接続されている。該接続バッファ401では、検体検査自動化システムで使用するキャリアとしての1本ホルダから、自動分析装置403で使用する図示しないキャリアとしてのラックへの検体の載せ替え処理、および図示しないラックから1本ホルダへの戻し処理を行うことを想定している。したがって、検体検査自動化システムで使用するキャリアとしての1本ホルダが、自動分析装置403のキャリアと共通して利用できる形態である場合においては、接続バッファ401の必要性はなくなることが考えられる。
【0042】
接続バッファ402と自動分析装置404は、接続バッファ401と自動分析装置403と同様に、ループ23の末端に設置されている。
【0043】
この時、自動分析装置403と自動分析装置404とでは、測定する検査項目の重複している状態を考慮した検体検査自動化システムが考えられるが、本発明とは直接関係しないため記載を省略する。
【0044】
なお、図5においては、実際の検体を把持して搬送する主搬送ラインを図示していないが、実際の装置では当然ながら主搬送ラインを具備するものとする。
【0045】
また、図5のループ21〜23には、図示していない複数の処理ユニットに空ホルダを供給する供給ラインをそれぞれ設けられているが、処理ユニット101〜107とループの関係については上記の通りであるので処理ユニットに関する記述も省略する。
【0046】
図5のシステムでは、空ホルダ搬送ライン上に分岐部を設け、自動分析装置403にループ22が、自動分析装置404にループ23が対応するように構成しているのが特徴である。これにより、全体のシステムとしては稼動させつつ、一部の自動分析装置をオフラインとしたい場合には、停止させたい自動分析装置と、当該自動分析装置とセットとなるループをひとつのまとまりとして扱い、一時的にオフライン設定とすることで、部分的に稼動を停止することが可能となる。
【0047】
例として、自動分析装置404での分析を継続しつつ、自動分析装置403での測定およびループ22に接続された処理ユニットを停止させる場合について説明する。この場合は、自動分析装置403に接続される接続バッファ401を停止するとともに、ループ22を、ループ21およびループ23から切り離す。これによって、ループ21とループ23に接続している処理ユニット、および自動分析装置404の稼動を止めることなく、自動分析装置403とループ22の処理ユニットだけを選択的に停止することが可能となる。
【0048】
また、何らかの原因により一方の自動分析装置が故障した場合にも同様に、ループを構成する単位でシステムから切り離せば、故障していないユニットの部分稼動を継続することが可能となる。このような部分稼動を「縮退運転」と呼ぶ場合があるが、前記したオフライン設定のように、システムのトラブルとは関係なく、検査室の運用ニーズに応じて意図的に部分稼動をとることも「縮退運転」と呼んで差し支えない。例えば、24時間稼動の検査室において、夜間・休日モードとして一部のユニットおよび一部のループのみが駆動する状態としても良い。
【0049】
ここで、ループの構成について説明する。ループの最小構成単位は、ひとつの処理ユニット単体とすることも可能である。この場合には、1ループ=1処理ユニットとすることができ、処理ユニットを個々に切り離すことが可能となる。しかしこのように細かい単位でループを形成すると、ループが個々に孤立してしまうため、実用的には、システム稼動が成り立つ必要最小限の処理ユニット群によって一つのループを構成することが望ましい。例えば、投入ユニット、開栓ユニット、遠心分離ユニット、子検体分注ユニット、閉栓ユニット、分類ユニット、収納ユニット、分析ユニット、バッファ、からなる検体検査自動化システムの場合であれば、「前処理」を担当する処理ユニット群で第一のループ(図5のループ21)を構成し、分析ユニットの接続バッファ毎に第二、第三・・・のループ(図5のループ22、23)を形成するのが望ましい。
【0050】
ループ21の空ホルダストッパ124を開放することにより開放された空ホルダは、ループ21に供給ラインによって接続された処理ユニット、あるいはループ22に対して供給される。いずれに供給されるかは、分岐部に備わる分岐ユニットによって決定される。同様に、ループ22の空ホルダストッパ125を開放することにより開放された空ホルダは、ループ22に供給ラインによって接続された処理ユニット、あるいはループ23に対して供給される。また、ループ23の空ホルダストッパ126を開放することにより開放された空ホルダは、ループ23に供給ラインによって接続された処理ユニット、あるいはループ21に対して供給される。これらのストッパのON/OFFは操作部からの指示に基づいて相互に連携をとるものとする。
【0051】
図6は、前記オフライン設定を操作部の画面で可能とする実施例を図示している。
【0052】
オフライン設定画面803では、ループごとにオフライン指示を設定可能とする。操作部は、これらの設定値をもとに、各ループに対するオンライン/オフラインの切り替え指示を行う。該画面例では、チェックボックスにチェックが入っているループ22に対して、オフライン設定を行っていることを例示している。
【0053】
なお、該画面例では、ループごとに1行の設定欄がある、という比較的安易な画面レイアウトを例示しているが、ユーザの理解を助けるため、図5に示したようなシステム構成図を縮小したものを画面に掲出した上で、オフライン設定するループを画面上から直接選択する、という設定方法も実施例として採用が見込まれる。
【0054】
また、該画面例では、ループごとの設定であるが、処理ユニットごとの設定でも良い。この場合には、設定した処理ユニットを含むループがオフライン対象となるように実装することが想定される。
【0055】
以上の検体検査自動化システムの実施例により、次のような効果が得られる。
【0056】
検体検査自動化システムにおいて、周回する経路長が延びても各処理ユニットへの空ホルダ供給を遅延することなく行うことができ、また、障害の発生時に切り離し等を行って業務継続を実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1〜3、11、12、21〜23 ループ
101〜109 処理ユニット
111、115 空ホルダライン
112 検体搬送ライン
113、116 ミニライン
114 供給ライン
121〜126 空ホルダストッパ
201 操作部
202 通信手段
251 満杯検知センサ
252 枯渇検知センサ
301 空ホルダ
302 検体を搭載したホルダ
401、402 接続バッファ
403、404 自動分析装置
801、802 パラメータ設定画面
803、804 オフライン設定画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6