特許第5778866号(P5778866)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5778866非水電解液及びそれを用いたリチウム二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778866
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】非水電解液及びそれを用いたリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20150827BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20150827BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20150827BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20150827BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20150827BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20150827BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20150827BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20150827BHJP
【FI】
   H01M10/0567
   H01M10/0569
   H01M10/052
   H01M10/0568
   H01M4/38 Z
   H01M4/505
   H01M4/525
   H01M4/58
【請求項の数】18
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-521552(P2014-521552)
(86)(22)【出願日】2012年7月18日
(65)【公表番号】特表2014-523101(P2014-523101A)
(43)【公表日】2014年9月8日
(86)【国際出願番号】KR2012005729
(87)【国際公開番号】WO2013012248
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2014年1月15日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0071060
(32)【優先日】2011年7月18日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0078056
(32)【優先日】2012年7月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100109841
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 健史
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ソン−フン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ドゥ、キョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、ミン−ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ユ−ソク
(72)【発明者】
【氏名】カン、ユ−ソン
【審査官】 結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/043403(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/088002(WO,A1)
【文献】 特開2008−204788(JP,A)
【文献】 特開平09−204932(JP,A)
【文献】 特開平10−079262(JP,A)
【文献】 特開平09−213348(JP,A)
【文献】 特開2003−331923(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0042519(US,A1)
【文献】 国際公開第01/029920(WO,A1)
【文献】 特開2009−026675(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/078626(WO,A1)
【文献】 特開平10−189008(JP,A)
【文献】 特開2002−298912(JP,A)
【文献】 特表2014−523628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05−10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム二次電池用非水電解液であって、
電解質塩と、
有機溶媒と、及び
下記化学式1で表されるピリミジン系化合物を含んでなり、
前記有機溶媒が非フッ素系溶媒及びフッ素系溶媒を含んでなり、
前記有機溶媒におけるフッ素(F)の含量が0.1ないし50重量%である、リチウム二次電池用非水電解液。
【化1】
〔化学式1において、
1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して水素、置換された炭素数1ないし10のアルキル基、または置換された炭素数1ないし10のアルコキシ基である。〕
【請求項2】
前記ピリミジン系化合物の含量が、前記有機溶媒100重量部に対して0.1ないし20重量部であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項3】
前記ピリミジン系化合物が、ピリミジン、2‐メチルピリミジン、4‐メチルピリミジン、5‐メチルピリミジン、4,6‐ジメチルピリミジン、4,6‐ジメトキシピリミジン、2‐エチルピリミジン、4‐エチルピリミジン、5‐エチルピリミジン、4,6‐ジエチルピリミジン、2‐メトキシピリミジン、4‐メトキシピリミジン、5‐メトキシピリミジン、2‐エトキシピリミジン、4‐エトキシピリミジン、及び5‐エトキシピリミジンからなる群より選択される一種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項4】
前記フッ素系溶媒が、フッ素含有芳香族系溶媒、フッ素含有環状カーボネート系溶媒、フッ素含有線状カーボネート系溶媒、フッ素含有エステル系溶媒、フッ素含有エーテル系溶媒、フッ素含有ニトリル系溶媒、及びフッ素含有スルファ系溶媒からなる群より選択される一種又は二種以上の混合物であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項5】
前記フッ素含有芳香族系溶媒が、フルオロベンゼン、1,2‐ジフルオロベンゼン、1,2,3‐トリフルオロベンゼン、1,2,3,4‐テトラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、2‐フルオロトルエン、α,α,α‐トリフルオロトルエン、3‐フルオロトルエン、4‐フルオロトルエン、2,3‐ジフルオロトルエン、2,4‐ジフルオロトルエン、2,5‐ジフルオロトルエン、3‐フルオロ‐o‐キシレン、4‐フルオロ‐o‐キシレン、2‐フルオロ‐m‐キシレン、4‐フルオロ‐m‐キシレン、及び2‐フルオロ‐p‐キシレンからなる群より選択される一種又は二種以上の混合物であることを特徴とする、請求項4に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項6】
前記フッ素含有環状カーボネート系溶媒が、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロエチレンカーボネート、テトラフルオロエチレンカーボネート、3,3,3‐トリフルオロプロピレンカーボネート、及び1‐フルオロプロピレンカーボネートからなる群より選択される一種又は二種以上の混合物であることを特徴とする、請求項4又は5に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項7】
前記フッ素含有線状カーボネート系溶媒が、ジ(2,2,2‐トリフルオロエチル)カーボネート、2,2,2‐トリフルオロエチルメチルカーボネート、フルオロメチルメチルカーボネート、ジフルオロメチルメチルカーボネート、トリフルオロメチルメチルカーボネート、フルオロメチルエチルカーボネート、ジフルオロメチルエチルカーボネート、トリフルオロメチルエチルカーボネート、及び1‐フルオロエチルメチルカーボネートからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であることを特徴とする請求項4〜6の何れか一項に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項8】
前記フッ素含有エステル系溶媒が、α‐フルオロ‐γ‐ブチロラクトン、β‐フルオロ‐γ‐ブチロラクトン、α,α‐ジフルオロ‐γ‐ブチロラクトン、β,β‐ジフルオロ‐γ‐ブチロラクトン、α‐フルオロ‐γ‐バレロラクトン、β‐フルオロ‐γ‐バレロラクトン、α,α‐ジフルオロ‐γ‐バレロラクトン、α‐フルオロ‐δ‐バレロラクトン、及びβ‐フルオロ‐δ‐バレロラクトンからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であることを特徴とする請求項4〜7の何れか一項に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項9】
前記電解質塩が、リチウム塩であることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項10】
前記リチウム塩の陰イオンが、F-、Cl-、Br-、I-、NO3-、N(CN)2-、BF4-、ClO4-、PF6-、(CF32PF4-、(CF33PF3-、(CF34PF2-、(CF35PF-、(CF36-、CF3SO3-、CF3CF2SO3-、(CF3SO22-、(FSO22-、CF3CF2(CF32CO-、(CF3SO22CH-、(SF53-、(CF3SO23-、CF3(CF27SO3-、CF3CO2-、CH3CO2-、SCN-、及び(CF3CF2SO22-からなる群より選択された一種であることを特徴とする、請求項9に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項11】
前記非フッ素系溶媒が、線状カーボネート、環状カーボネート、エーテル、エステル、及びアミドからなる群より選択された一種又は二種以上の混合物を含むことを特徴とする、請求項1〜10の何れか一項に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項12】
前記非水電解液が、環状スルファイト、飽和スルトン、不飽和スルトン、及び非環状スルホンからなる群より選択される一種又は二種以上の混合物をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜11の何れか一項に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項13】
リチウム二次電池であって、
正極と、負極と、及び前記正極と前記負極との間に介在したセパレータとを備えた電極組立体と、及び
前記電極組立体に注入された非水電解液とを備えてなり、
前記非水電解液が、請求項1〜12の何れか一項に記載のリチウム二次電池用非水電解液である、リチウム二次電池。
【請求項14】
前記負極が、リチウム金属、炭素材、金属化合物、及びこれらの混合物を含む負極活物質層を備えることを特徴とする、請求項13に記載のリチウム二次電池。
【請求項15】
前記金属化合物が、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Al、Ga、In、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、Mg、Sr、及びBaからなる群より選択された一種以上の金属元素を含む化合物またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項14に記載のリチウム二次電池。
【請求項16】
前記正極が、リチウム含有酸化物を含む正極層を備えることを特徴とする、請求項13〜15の何れか一項に記載のリチウム二次電池。
【請求項17】
前記リチウム含有酸化物が、リチウム含有遷移金属酸化物であることを特徴とする、請求項16に記載のリチウム二次電池。
【請求項18】
前記リチウム含有遷移金属酸化物が、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn24、Li(NiaCobMnc)O2(0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1-yCoy2、LiCo1-yMny2、LiNi1-yMny2(0≦y<1)、Li(NiaCobMnc)O4(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2-zNiz4、LiMn2-zCoz4(0<z<2)、LiCoPO4、及びLiFePO4からなる群より選択される一種又は二種以上の混合物であることを特徴とする、請求項17に記載のリチウム二次電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非フッ素系溶媒、フッ素系溶媒、及びピリミジン系化合物を含むリチウム二次電池用非水電解液、及びそれを用いたリチウム二次電池に関する。
【0002】
本出願は、2011年7月18日出願の韓国特許出願第10−2011−0071060号及び2012年7月18日出願の韓国特許出願第10−2012−0078056号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
近年、エネルギー貯蔵技術に対する関心が高まりつつある。携帯電話、カムコーダー、及びノートパソコン、さらには電気自動車のエネルギーまで適用分野が拡がるとともに、このような電子機器の電源として用いられる電池の高エネルギー密度化に対する要求が高くなっている。リチウム二次電池は、このような要求に最も応えられ得る電池であって、現在、それに対する研究が活発に行われている。
【0004】
現在使用されている二次電池のうち、1990年代の初めに開発されたリチウム二次電池は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる炭素材からなる負極、リチウム含有酸化物からなる正極、及び混合有機溶媒にリチウム塩が適量溶解された非水電解液で構成されている。
【0005】
リチウム二次電池の平均放電電圧は約3.6〜3.7Vであって、他のアルカリ電池、ニッケル‐カドミウム電池などに比べて放電電圧が高いことが長所の1つである。このような高い駆動電圧が得られるためには、充放電電圧領域である0〜4.2Vで電気化学的に安定した電解液の組成が必要である。そのために、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート化合物と、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの線状カーボネート化合物とが適切に混合された混合溶媒を電解液の溶媒として使用する。電解液の溶質であるリチウム塩としては、通常LiPF、LiBF、LiClOなどを使用し、これらは電池内でリチウムイオンの供給源として作用してリチウム電池が作動できるようにする。
【0006】
リチウム二次電池の初期充電時、リチウム金属酸化物などの正極活物質から放出されたリチウムイオンはグラファイトなどの負極活物質に移動し、負極活物質の層間に挿入される。このとき、リチウムは反応性が強いため、グラファイトなどの負極活物質の表面で電解液と負極活物質を構成する炭素とが反応してLiCO、LiO、LiOHなどの化合物を生成する。これら化合物はグラファイトなどの負極活物質の表面に一種のSEI(Solid Electrolyte Interface)層を形成する。
【0007】
SEI層はイオントンネルの役割を果たしてリチウムイオンのみを通過させる。SEI層はこのようなイオントンネルの効果として、電解液中でリチウムイオンとともに移動する分子量の大きい有機溶媒分子が負極活物質の層間に挿入されて負極構造を破壊することを防止する。つまり、電解液と負極活物質との接触を防止することで電解液の分解が発生せず、電解液中のリチウムイオンの量が可逆的に維持されて安定的な充放電が続けられる。
【0008】
しかし、上述したSEI層形成反応中に、カーボネート系溶媒の分解により発生するCO、CO、CH、Cなどの気体によって充電時に電池の厚さが膨張する問題が生じる。また、満充電状態で高温放置時、経時的に、増加した電気化学的エネルギーと熱エネルギーによってSEI層が徐々に崩壊し、露出した負極の表面と周囲の電解液とが反応する副反応が持続的に起きる。このとき、継続的な気体の発生によって電池の内圧が上昇し、その結果、電池の厚さが増加し、このような電池が使用された携帯電話及びノートパソコンなどの機器で問題を引き起こす。すなわち、高温放置安全性に劣る。また、エチレンカーボネートを多量含む通常のリチウム二次電池は、SEI層が不安定であるため、上述した電池の内圧上昇の問題が一層目立つ。さらに、エチレンカーボネートは凝固点が37〜39℃と高く、室温で固体状態であるため、低温におけるイオン伝導度が低くて、多量のエチレンカーボネートを含む非水系溶媒を使用するリチウム電池は低温導電率に劣るという問題点がある。
【0009】
このような問題点を解決するため、カーボネート有機溶媒の溶媒成分の組成を多様に変化させるか、又は、特定添加剤を混合することで、SEI層形成反応の様相を変化させようとする研究が行われた。しかし、現在までは、電池性能の向上のために溶媒成分を変化させるか又は特定化合物を電解液に添加する場合、一部項目の性能は向上するものの、他の項目の性能は低下する場合が多いと知られている。
【0010】
したがって、高率充放電特性に優れながらも、サイクル寿命、低温放電特性、高温放電特性が全て良好なリチウム二次電池を提供できる非水電解液の組成を開発することが至急に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、常温及び高温サイクルが改善されたリチウム二次電池用非水電解液及びそれを用いたリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を達成するため、本発明の一態様は、電解質塩及び有機溶媒を含むリチウム二次電池用非水電解液において、前記非水電解液が下記化学式1で表されるピリミジン系化合物をさらに含み、前記有機溶媒が非フッ素系溶媒及びフッ素系溶媒を含み、前記有機溶媒のうちフッ素(F)の含量が0.1ないし50重量%であるリチウム二次電池用非水電解液を提供する。
【化1】
【0013】
化学式1において、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素、置換または非置換された炭素数1ないし10のアルキル基、または置換または非置換された炭素数1ないし10のアルコキシ基である。
【0014】
前記ピリミジン系化合物の含量は、前記有機溶媒100重量部に対して0.1ないし20重量部であり得る。
【0015】
前記ピリミジン系化合物は、ピリミジン、2‐メチルピリミジン、4‐メチルピリミジン、5‐メチルピリミジン、4,6‐ジメチルピリミジン、4,6‐ジメトキシピリミジン、2‐エチルピリミジン、4‐エチルピリミジン、5‐エチルピリミジン、4,6‐ジエチルピリミジン、2‐メトキシピリミジン、4‐メトキシピリミジン、5‐メトキシピリミジン、2‐エトキシピリミジン、4‐エトキシピリミジン、及び5‐エトキシピリミジンからなる群より選択される1種以上であり得る。
【0016】
前記フッ素系溶媒は、フッ素含有芳香族系溶媒、フッ素含有環状カーボネート系溶媒、フッ素含有線状カーボネート系溶媒、フッ素含有エステル系溶媒、フッ素含有エーテル系溶媒、フッ素含有ニトリル系溶媒、及びフッ素含有スルファ(sulfur)系溶媒からなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち少なくとも2種以上の混合物であり得る。
【0017】
前記フッ素含有芳香族系溶媒は、フルオロベンゼン、1,2‐ジフルオロベンゼン、1,2,3‐トリフルオロベンゼン、1,2,3,4‐テトラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、2‐フルオロトルエン、α,α,α‐トリフルオロトルエン、3‐フルオロトルエン、4‐フルオロトルエン、2,3‐ジフルオロトルエン、2,4‐ジフルオロトルエン、2,5‐ジフルオロトルエン、3‐フルオロ‐o‐キシレン、4‐フルオロ‐o‐キシレン、2‐フルオロ‐m‐キシレン、4‐フルオロ‐m‐キシレン、及び2‐フルオロ‐p‐キシレンからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
【0018】
前記フッ素含有環状カーボネート系溶媒は、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロエチレンカーボネート、テトラフルオロエチレンカーボネート、3,3,3‐トリフルオロプロピレンカーボネート、及び1‐フルオロプロピレンカーボネートからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
【0019】
前記フッ素含有線状カーボネート系溶媒は、ジ(2,2,2‐トリフルオロエチル)カーボネート、2,2,2‐トリフルオロエチルメチルカーボネート、フルオロメチルメチルカーボネート、ジフルオロメチルメチルカーボネート、トリフルオロメチルメチルカーボネート、フルオロメチルエチルカーボネート、ジフルオロメチルエチルカーボネート、トリフルオロメチルエチルカーボネート、及び1‐フルオロエチルメチルカーボネートからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
【0020】
前記フッ素含有エステル系溶媒は、α‐フルオロ‐γ‐ブチロラクトン、β‐フルオロ‐γ‐ブチロラクトン、α,α‐ジフルオロ‐γ‐ブチロラクトン、β,β‐ジフルオロ‐γ‐ブチロラクトン、α‐フルオロ‐γ‐バレロラクトン、β‐フルオロ‐γ‐バレロラクトン、α,α‐ジフルオロ‐γ‐バレロラクトン、α‐フルオロ‐δ‐バレロラクトン、及びβ‐フルオロ‐δ‐バレロラクトンからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
【0021】
前記電解質塩は、リチウム塩であり得る。
【0022】
前記リチウム塩の陰イオンは、F、Cl、Br、I、NO、N(CN)、BF、ClO、PF、(CFPF、(CFPF、(CFPF、(CFPF、(CF、CFSO、CFCFSO、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO、CFCO、CHCO、SCN、及び(CFCFSOからなる群より選択されたいずれか1つであり得る。
【0023】
前記非フッ素系溶媒は、線状カーボネート、環状カーボネートエーテル、エステル、及びアミドからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物を含むことができる。
【0024】
前記非水電解液は、環状スルファイト、飽和スルトン、不飽和スルトン、及び非環状スルホンからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物をさらに含むことができる。
【0025】
本発明の他の態様は、正極、負極、及び前記正極と負極との間に介在したセパレータからなる電極組立体、及び前記電極組立体に注入された非水電解液を備えるリチウム二次電池において、前記非水電解液が上述したリチウム二次電池用非水電解液であるリチウム二次電池を提供する。
【0026】
前記負極は、リチウム金属、炭素材、金属化合物、及びこれらの混合物を含む負極活物質層を備えることができる。
【0027】
前記金属化合物は、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Al、Ga、In、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、Mg、Sr、及びBaからなる群より選択された1種以上の金属元素を含む化合物、または、これらの混合物であり得る。
【0028】
前記正極は、リチウム含有酸化物を含む正極層を備えることができる。
【0029】
前記リチウム含有酸化物は、リチウム含有遷移金属酸化物であり得る。
【0030】
前記リチウム含有遷移金属酸化物は、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、Li(NiCoMn)O(0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−yCo、LiCo1−yMn、LiNi1−yMn(0≦y<1)、Li(NiCoMn)O(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−zNi、LiMn2−zCo(0<z<2)、LiCoPO、及びLiFePOからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一態様によれば、フッ素系溶媒、非フッ素系溶媒、及びピリミジン系化合物を含む非水電解液を備えるリチウム二次電池を使用することで、常温及び高温で数十回の充放電サイクルを繰り返しても電池容量の減少が格段に少なく、改善された二次電池の寿命特性及び安定性を具現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】ピリミジンの添加量が異なるそれぞれの電池に対し、初期充電時の電圧とdQ/dV曲線を示したグラフである。
図2】実施例2−1ないし2−6、比較例2−1及び2−5で製造されたリチウム二次電池の高温寿命特性を示したグラフである。
図3】実施例2−6及び比較例2−2ないし2−4で製造されたリチウム二次電池の高温寿命特性を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を詳しく説明する。本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0034】
本発明の一態様による電解質塩及び有機溶媒を含むリチウム二次電池用非水電解液は、下記化学式1で表されるピリミジン系化合物をさらに含み、前記有機溶媒は非フッ素系溶媒及びフッ素系溶媒を含み、前記有機溶媒のうちフッ素(F)の含量が0.1ないし50重量%である。
【化2】
【0035】
化学式1において、R、R、R及びRはそれぞれ独立して水素、置換または非置換された炭素数1ないし10のアルキル基、または置換または非置換された炭素数1ないし10のアルコキシ基である。
【0036】
上述した置換基の定義を具体的に見れば、以下のようである。
アルキル基とは、炭素数1ないし10、または1ないし8、または1ないし4の炭素原子の直鎖型または分枝型の飽和した一価炭化水素部位を意味する。このような非置換されたアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基などが挙げられる。前記アルキル基に含まれている1つ以上の水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、‐SH、ニトロ基、シアノ基、置換または非置換されたアミノ基(‐NH、‐NH(R)、‐N(R’)(R”)、R’とR”とは相互独立して炭素数1ないし10のアルキル基)、アミジノ基、ヒドラジンまたはヒドラゾン基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、C1〜C20のアルキル基、C1〜C20のハロゲン化されたアルキル基、C1〜C20のアルケニル基、C1〜C20のアルキニル基、C1〜C20のヘテロアルキル基、C6−C20のアリール基、C6−C20のアリールアルキル基、C6−C20のヘテロアリール基、またはC6−C20のヘテロアリールアルキル基に置換され得る。
【0037】
アルコキシ基とは、炭素数1ないし10、または1ないし8、または1ないし4の酸素含有直鎖型または分枝型の飽和した一価炭化水素部位を意味する。このような非置換されたアルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、及びt‐ブトキシが挙げられる。前記アルコキシ基は、フルオロ、クロロ、またはブロモのような1つ以上のハロゲン原子にさらに置換され、ハロアルコキシ基を提供することもできる。このような例としては、フルオロメトキシ、クロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、フルオロエトキシ、及びフルオロプロポキシなどが挙げられる。前記アルコキシ基のうち1つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様の置換基に置換され得る。
【0038】
前記有機溶媒のうちフッ素系溶媒は、電子吸引作用の強いフッ素を含み、電池初期充電時の誘電率が高く、リチウムイオン伝導性に優れ、耐久性に優れたSEI層を形成することができる。その結果、フッ素系溶媒を非水電解液に添加剤として含ませたとき、二次電池に高率寿命特性を与え、単位時間当り高容量充電が可能になる。
【0039】
しかし、非水電解液が注入された二次電池の充電及び放電サイクルが繰り返されるにつれて、負極も急激に収縮膨張するようになり、充電時に負極の膨張によりSEI層が崩壊すれば電解液の分解によって新たなSEI層が生成される。それによりフッ素系溶媒を含む電解液溶媒が徐々に枯渇し、その結果、電解液内に存在するリチウムイオンが消耗して、サイクルの進行とともに電池の容量が徐々に減少する。
【0040】
したがって、本発明の一態様による非水電解液では、前記化学式1で表されるピリミジン系化合物を導入することで、電池の容量低下を最小化し、寿命特性を一層向上させようとした。具体的に、前記ピリミジン系化合物は、電解液の構成成分として使用される通常の非フッ素系溶媒だけでなく、フッ素系溶媒よりも先に負極と反応し、負極の表面上に安定して稠密な被膜を形成することで、フッ素系溶媒が負極を持続的に分解する反応を抑制するため、フッ素系溶媒を単独で使用した場合より電池特性を改善することができる。
【0041】
すなわち、前記ピリミジン系化合物は負極の表面上でポリマー性被膜を形成し、該ポリマー性被膜中の窒素原子は電子密度が高くて、前記ポリマー性被膜は金属陽イオンのトラップ効果が良好であるため、ポリマー性被膜とそれに接触する電極上の被膜の間に、電子密度の低い金属陽イオンが捕集され得る。その結果、正極活物質層から溶出した金属陽イオンが負極の表面で金属として析出することを抑制する機能が果たせる。
【0042】
このようなピリミジン系化合物の金属陽イオンのトラップ効果によって、高温保存後にも放電レート特性を維持でき、二次電池の高温保存性を改善することができる。
【0043】
また、電解液が製造された後、時間が経過すれば、水分とHFの含量が増加し、それによって放電容量が減少するようになる。しかし、そこにピリミジン系化合物を使用すれば、ピリミジン系化合物の窒素原子とHFとの反応により、水分とHFの含量を減らすか又は増加を抑制することができ、二次電池の放電容量の減少現象を抑制することができる。
【0044】
一方、図1を参照すれば、前記ピリミジン系化合物がフッ素系溶媒より先に負極と反応し、負極の表面上に安定した被膜を形成することが確認できる。参考までに、このとき使用した二次電池は、正極としてLiCoOを、負極として天然黒鉛を使用して電極を製造した。電解液としてはフッ素系溶媒及び非フッ素系溶媒を使用し、具体的にフルオロエチレン(FEC):プロピレンカーボネート(PC):エチルメチルカーボネート(EMC)を3:1:6(体積比)にし、ピリミジン(PYM)を有機溶媒100重量部に対して0、0.5、1、2、3重量部でそれぞれ添加し、1,3‐プロパンスルトンを2重量部添加し、LiPFを1M濃度になるようにして製造した。
【0045】
具体的に、図1は、一定含量のフッ素系溶媒としてのフルオロエチレンカーボネートに異なる量のピリミジン(PYM)を添加したそれぞれの電池に対し、初期充電時の電圧(V)とdQ/dV曲線を示している。このとき、ピリミジンの添加量が多いほど1.8V付近のピークは大きくなる一方、2.4V付近のピークは小さくなることが見られる。これは、1.8V付近のピークはピリミジンによるピークであり、負極でフルオロエチレンカーボネートより先に安定した被膜を形成することを意味する。
【0046】
したがって、本発明の一態様による非水電解液に使用される有機溶媒は、フッ素系溶媒及び非フッ素系溶媒を含む。
【0047】
前記有機溶媒のうちフッ素(F)の含量は、0.1ないし50重量%、または0.5ないし40重量%、または3ないし30重量%であり得る。
【0048】
前記フッ素の含量が上記の範囲を満たす場合、長期間サイクルを繰り返してもフッ素系溶媒が消尽されず一定量を維持でき、電池の製造コストの上昇を制御でき、正極の抵抗が過度に増加して高率放電時に電池性能が低下することを防止でき、さらに、注液の後、電解液が電極に均一に浸透できる。
【0049】
前記フッ素系溶媒としては、リチウム二次電池用電解液に通常使用されるものなどを制限なく使用でき、例えばフッ素含有芳香族系溶媒、フッ素含有環状カーボネート系溶媒、フッ素含有線状カーボネート系溶媒、フッ素含有エステル系溶媒、フッ素含有エーテル系溶媒、フッ素含有ニトリル系溶媒、及びフッ素含有スルファ系溶媒などをそれぞれ単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0050】
前記フッ素含有芳香族系溶媒の具体的な例としては、フルオロベンゼン、1,2‐ジフルオロベンゼン、1,2,3‐トリフルオロベンゼン、1,2,3,4‐テトラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、2‐フルオロトルエン、α,α,α‐トリフルオロトルエン、3‐フルオロトルエン、4‐フルオロトルエン、2,3‐ジフルオロトルエン、2,4‐ジフルオロトルエン、2,5‐ジフルオロトルエン、3‐フルオロ‐o‐キシレン、4‐フルオロ‐o‐キシレン、2‐フルオロ‐m‐キシレン、4‐フルオロ‐m‐キシレン、及び2‐フルオロ‐p‐キシレンからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物が挙げられる。
【0051】
前記フッ素含有環状カーボネート系溶媒の具体的な例としては、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロエチレンカーボネート、テトラフルオロエチレンカーボネート、3,3,3‐トリフルオロプロピレンカーボネート、及び1‐フルオロプロピレンカーボネートからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物を使用できるが、これらに限定されることはない。
【0052】
前記フッ素含有線状カーボネート系溶媒の具体的な例としては、ジ(2,2,2‐トリフルオロエチル)カーボネート、2,2,2‐トリフルオロエチルメチルカーボネート、フルオロメチルメチルカーボネート、ジフルオロメチルメチルカーボネート、トリフルオロメチルメチルカーボネート、フルオロメチルエチルカーボネート、ジフルオロメチルエチルカーボネート、トリフルオロメチルエチルカーボネート、及び1‐フルオロエチルメチルカーボネートからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物などを代表的に使用できるが、これらに限定されることはない。
【0053】
前記フッ素含有エステル系溶媒の具体的な例としては、α‐フルオロ‐γ‐ブチロラクトン、β‐フルオロ‐γ‐ブチロラクトン、α,α‐ジフルオロ‐γ‐ブチロラクトン、β,β‐ジフルオロ‐γ‐ブチロラクトン、α‐フルオロ‐γ‐バレロラクトン、β‐フルオロ‐γ‐バレロラクトン、α,α‐ジフルオロ‐γ‐バレロラクトン、α‐フルオロ‐δ‐バレロラクトン、及びβ‐フルオロ‐δ‐バレロラクトンからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物などを代表的に使用できるが、これらに限定されることはない。
【0054】
前記非フッ素系溶媒としては、リチウム二次電池用電解液に通常使用されるものなどを制限なく使用でき、例えばエーテル、エステル、アミド、線状カーボネート、環状カーボネートなどをそれぞれ単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0055】
そのうち代表的には、環状カーボネート、線状カーボネート、またはこれらの混合物であるカーボネート化合物が挙げられる。
【0056】
前記環状カーボネート化合物の具体的な例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2‐ブチレンカーボネート、2,3‐ブチレンカーボネート、1,2‐ペンチレンカーボネート、2,3‐ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、及びこれらのハロゲン化物からなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物が挙げられる。ただし、前記ハロゲン化物からフッ素化物は除く。
【0057】
また、前記線状カーボネート化合物の具体的な例としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート、及びエチルプロピルカーボネートからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物などを代表的に使用できるが、これらに限定されることはない。
【0058】
特に、前記カーボネート系有機溶媒のうち環状カーボネートであるエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートは、高粘度の有機溶媒であって、誘電率が高いため、電解質内のリチウム塩を一層解離させ易く、このような環状カーボネートにジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートのような低粘度、低誘電率の線状カーボネートを適当な比率で混合して使用すれば、より高い電気伝導率を有する電解液が得られる。
【0059】
また、前記有機溶媒のうちエーテルとしては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、及びエチルプロピルエーテルからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物を使用することができるが、これらに限定されることはない。
【0060】
また、前記有機溶媒のうちエステルとしては、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、イソブチルプロピオネート、イソアミルプロピオネート、イソブチルブチレート、エチル2‐メチルブチレート、エチルイソバレレート、エチルイソブチレート、メチル2‐メチルブチレート、メチルイソバレレート、メチルイソブチレート、プロピル2‐メチルブチレート、プロピルイソバレレート、プロピルイソブチレート、γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトン、γ‐カプロラクトン、σ‐バレロラクトン、及びε‐カプロラクトンからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物を使用することができるが、これらに限定されることはない。
【0061】
前記フッ素系溶媒の含量は、前記有機溶媒の全体体積に対し、例えば5ないし95体積%、または10ないし80体積%、または20ないし70体積%であり得る。
【0062】
前記フッ素系溶媒の含量が上記の範囲を満たす場合、長期間サイクルを繰り返しても消尽されず一定量を維持でき、電池の製造コストの上昇を制御でき、正極の抵抗が過度に増加して高率放電時に電池性能が低下することを防止でき、さらに、注液の後、電解液が電極に均一に浸透できる。
【0063】
前記ピリミジン系化合物の含量は、前記有機溶媒100重量部に対し、0.1ないし20重量部、または0.1ないし10重量部、または0.5ないし5重量部であり得る。前記ピリミジン系化合物の含量が上記の範囲を満たす場合、高温性能改善効果が十分発揮され、電解液の粘度の過度な増加を防止して常温特性及び低温特性が改善でき、正極の抵抗が過度に増加して高率放電時に電池性能が低下することを防止できる。
【0064】
前記ピリミジン系化合物は、例えば、ピリミジン、2‐メチルピリミジン、4‐メチルピリミジン、5‐メチルピリミジン、4,6‐ジメチルピリミジン、4,6‐ジメトキシピリミジン、2‐エチルピリミジン、4‐エチルピリミジン、5‐エチルピリミジン、4,6‐ジエチルピリミジン、2‐メトキシピリミジン、4‐メトキシピリミジン、5‐メトキシピリミジン、2‐エトキシピリミジン、4‐エトキシピリミジン、及び5‐エトキシピリミジンからなる群より選択される1種以上であり得るが、これらに制限されない。
【0065】
上述した非水電解液に含まれる電解質塩は、リチウム塩である。前記リチウム塩は、リチウム二次電池用電解液に通常使用されるものなどを制限なく使用することができる。例えば、前記リチウム塩の陰イオンとしては、F、Cl、Br、I、NO、N(CN)、BF、ClO、PF、(CFPF、(CFPF、(CFPF、(CFPF、(CF、CFSO、CFCFSO、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO、CFCO、CHCO、SCN、及び(CFCFSOからなる群より選択されたいずれか1つであり得る。
【0066】
本発明のリチウム二次電池用非水電解液は、従来知られたSEI層形成用添加剤を本発明の目的から逸脱しない範囲でさらに含むことができる。本発明で使用可能なSEI層形成用添加剤としては、環状スルファイト、飽和スルトン、不飽和スルトン、非環状スルホンなどをそれぞれ単独でまたは2種以上混合して使用することができるが、これらに限定されることはない。また、上述した環状カーボネートのうちビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートも電池の寿命向上のためのSEI層形成用添加剤として使用することができる。
【0067】
前記環状スルファイトとしては、エチレンスルファイト、メチルエチレンスルファイト、エチルエチレンスルファイト、4,5‐ジメチルエチレンスルファイト、4,5‐ジエチルエチレンスルファイト、プロピレンスルファイト、4,5‐ジメチルプロピレンスルファイト、4,5‐ジエチルプロピレンスルファイト、4,6‐ジメチルプロピレンスルファイト、4,6‐ジエチルプロピレンスルファイト、1,3‐ブチレングリコールスルファイトなどが、飽和スルトンとしては、1,3‐プロパンスルトン、1,4‐ブタンスルトンなどが、不飽和スルトンとしては、エテンスルトン、1,3‐プロペンスルトン、1,4‐ブテンスルトン、1‐メチル‐1,3‐プロペンスルトンなどが、非環状スルホンとしては、ジビニルスルホン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、メチルエチルスルホン、メチルビニルスルホンなどがそれぞれ挙げられる。
【0068】
前記SEI層形成用添加剤は、添加剤の具体的な種類によって適切な含量で含むことができ、例えば非水電解液100重量部対比0.01重量部ないし10重量部で含むことができる。
【0069】
前記ピリミジン系化合物によって負極に安定した被膜が形成される場合にも、混用する添加剤によって固形分が生じ得、この場合には被膜形成による性能改善効果が低下する可能性もある。
【0070】
このような点から、上述した添加剤のうち環状スルファイトまたは不飽和スルトン、特にエチレンスルファイトまたは1,3‐プロペンスルトンなどと混用する場合は、ピリミジン系化合物との反応性が低いため、固形分が全く生成されず、上述したフッ素系溶媒とピリミジン系化合物との組合せによる相乗効果をさらに倍加させることができる。
【0071】
前記非水電解液は、それ自体が液体電解質または高分子に含浸されたゲルポリマー電解質の形態でリチウム二次電池の電解質として使用され得る。
【0072】
本発明の一態様による非水電解液は、前記フッ素系溶媒及び非フッ素系溶媒に前記電解質塩を混合し、前記化学式1で表されるピリミジン系化合物をさらに添加し溶解させることで得られる。
【0073】
このとき、使用するフッ素系溶媒、非フッ素系溶媒、及び電解液に添加する化合物は、生産性を著しく低下させない範囲内で予め精製し、不純物が非常に少ないものを用いることができる。
【0074】
前記非水電解液には、例えば空気や二酸化炭素を含ませて、電解液の分解によるガス発生の抑制や、長期間のサイクル特性や充電保存特性などの電池特性をさらに向上させることができる。
【0075】
高温における充放電特性向上の面で、非水電解液中に二酸化炭素を溶解させた電解液を用いることができる。二酸化炭素の溶解量は非水電解液の重量に対して0.001重量%以上、または0.05重量%以上、または0.2重量%以上であり得、非水電解液に二酸化炭素が飽和状態になるまで溶解させ得る。
【0076】
また、本発明の一態様によれば、正極、負極、及び前記正極と負極との間に介在したセパレータからなる電極組立体、及び前記電極組立体に注入された非水電解液を備えるリチウム二次電池において、前記非水電解液は上述したリチウム二次電池用非水電解液であるリチウム二次電池が提供される。
【0077】
前記電極組立体をなす正極、負極、及びセパレータとしては、リチウム二次電池の製造に通常使用されるものなどを全て使用することができる。
【0078】
前記正極は、正極活物質、導電材、及びバインダーを含む正極層が集電体の一面または両面に担持された構造を有する。
【0079】
前記正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物を使用することが望ましく、例えばLiCoO(0.5<x<1.3)、LiNiO(0.5<x<1.3)、LiMnO(0.5<x<1.3)、LiMn(0.5<x<1.3)、Li(NiCoMn)O(0.5<x<1.3、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−yCo(0.5<x<1.3、0<y<1)、LiCo1−yMn(0.5<x<1.3、0≦y<1)、LiNi1−yMn(0.5<x<1.3、0≦y<1)、Li(NiCoMn)O(0.5<x<1.3、0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−zNi(0.5<x<1.3、0<z<2)、LiMn2−zCo(0.5<x<1.3、0<z<2)、LiCoPO(0.5<x<1.3)、及びLiFePO(0.5<x<1.3)からなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物を使用することができる。
【0080】
また、前記リチウム含有遷移金属酸化物は、アルミニウム(Al)などの金属や金属酸化物でコーティングされ得る。また、前記リチウム含有遷移金属酸化物(oxide)の外に、硫化物(sulfide)、セレン化物(selenide)、及びハロゲン化物(halide)なども使用され得る。
【0081】
前記導電材としては、電気化学素子で化学変化を起こさない電子伝導性物質であれば特に制限されない。一般に、カーボンブラック(carbon black)、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ、金属粉末、導電性金属酸化物、有機導電材などを使用でき、現在導電材として市販されている商品には、アセチレンブラック系列(Chevron Chemical Company製またはGulf Oil Company製など)、ケッチェンブラック(Ketjen Black)EC系列(Armak Company製)、バルカン(Vulcan)XC−72(Cabot Company製)、及びスーパーP(MMM社製)などがある。例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などが挙げられる。
【0082】
前記負極は、負極活物質及びバインダーを含む負極層が集電体の一面または両面に担持された構造を有する。
【0083】
前記負極活物質としては、通常リチウムイオンを吸蔵及び放出できる炭素材、リチウム金属、金属化合物、及びこれらの混合物を使用することができる。
【0084】
具体的に、前記炭素材としては、低結晶性炭素及び高結晶性炭素などを全て使用することができる。低結晶性炭素としては軟質炭素(soft carbon)及び硬質炭素(hard carbon)が代表的であり、高結晶性炭素としては天然黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛(Kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、液晶ピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、メソカーボンマイクロビーズ(meso−carbon microbeads)、液晶ピッチ(Mesophase pitches)、及び石油または石炭系コークスなどの高温焼成炭素が代表的である。
【0085】
前記金属化合物としては、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Al、Ga、In、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、Mg、Sr、Baなどの金属元素を1種以上含む化合物が挙げられる。これら金属化合物は、単体、合金、酸化物(TiO、SnOなど)、チッ化物、硫化物、ホウ化物、リチウムとの合金など、如何なる形態も使用できるが、単体、合金、酸化物、リチウムとの合金は高容量化に適する。中でも、Si、Ge及びSnから選択される1種以上の元素を含み得、Si及びSnから選択される1種以上の元素を含めば、電池をさらに高容量化することができる。
【0086】
前記正極及び負極に使用されるバインダーは、正極活物質及び負極活物質を集電体に保持させ、活物質同士の間を結び付く機能を有するものであって、通常使用されるバインダーが制限なく使用される。
【0087】
例えば、フッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF‐co‐HFP)、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、スチレン‐ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの多様な種類のバインダー高分子を使用することができる。
【0088】
前記正極及び負極に使用される集電体としては、伝導性が高く、前記活物質のスラリーが容易に付着できる金属であって、電池の電圧範囲で反応性のないものであれば、全て使用することができる。正極用集電体の非制限的な例としては、アルミニウム、ニッケル、またはこれらの組合せによって製造されるホイルなどが挙げられ、負極用集電体の非制限的な例としては、銅、金、ニッケル、または銅合金またはこれらの組合せによって製造されるホイルなどが挙げられる。また、前記集電体は、上記のような物質でなる基材を積層して使用することもできる。
【0089】
前記正極及び負極は、活物質、導電材、バインダー、高沸点溶剤を用いて混練して電極合剤にした後、該合剤を集電体の銅箔などに塗布し乾燥、加圧成形してから、真空下、50℃ないし250℃程度の温度で2時間ほど加熱処理することでそれぞれ製造することができる。
【0090】
また、前記正極の電極層の厚さ(集電体の片面当り)は、30ないし120um、または50ないし100umであり得、前記負極の電極層の厚さは1ないし100um、または3ないし70umであり得る。前記正極及び負極がこのような厚さ範囲を満たす場合、電極材料層における活物質の量が十分確保され、電池容量が低下することを防止でき、また、サイクル特性やレート特性を改善することができる。
【0091】
また、前記セパレータとしては、従来セパレータとして使用した通常の多孔性高分子フィルム、例えばエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、及びエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムを単独でまたはこれらを積層して使用でき、または通常の多孔性不織布、例えば高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などでなる不織布を使用することができるが、これらに限定されることはない。
【0092】
本発明のリチウム二次電池は、その外形に制限がないが、缶を使用した円筒型、角形、パウチ型、またはコイン型などであり得る。
【実施例】
【0093】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0094】
非水電解液の製造
実施例1−1
フルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、及びメチルプロピオネート(MP)を30体積%:5体積%:65体積%で混合して有機溶媒混合液を製造した。このとき、前記有機溶媒混合液のうちフッ素の含量は5.4重量%であった。
【0095】
その後、製造された混合液100重量部を基準にピリミジン1重量部及び1,3‐プロパンスルトン3重量部をさらに添加し、LiPFを1M濃度になるように溶解させて非水電解液を製造した。
【0096】
実施例1−2
フルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、及びメチルプロピオネート(MP)を20体積%:15体積%:65体積%で混合した点を除き、実施例1−1と同様の方法で非水電解液を製造した。このとき、前記有機溶媒混合液のうちフッ素の含量は3.6重量%であった。
【0097】
実施例1−3
フルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、及びメチルプロピオネート(MP)を10体積%:25体積%:65体積%で混合した点を除き、実施例1−1と同様の方法で非水電解液を製造した。このとき、前記有機溶媒混合液のうちフッ素の含量は1.8重量%であった。
【0098】
実施例1−4
フルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、及びメチルプロピオネート(MP)を5体積%:30体積%:65体積%で混合した点を除き、実施例1−1と同様の方法で非水電解液を製造した。このとき、前記有機溶媒混合液のうちフッ素の含量は0.9重量%であった。
【0099】
実施例1−5
有機溶媒混合液としてフルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、2‐(トリフルオロメチル)‐3‐エトキシドデカフルオロヘキサン(HFE)、及びメチルプロピオネート(MP)を30体積%:5体積%:30体積%:35体積%で混合した点を除き、実施例1−1と同様の方法で非水電解液を製造した。このとき、前記有機溶媒混合液のうちフッ素の含量は26.4重量%であった。
【0100】
実施例1−6
有機溶媒混合液としてフルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、2‐(トリフルオロメチル)‐3‐エトキシドデカフルオロヘキサン(HFE)、及びエチルヘプタフルオロブチレートを30体積%:5体積%:30体積%:35体積%で混合した点を除き、実施例1−1と同様の方法で非水電解液を製造した。このとき、前記有機溶媒混合液のうちフッ素の含量は45.2重量%であった。
【0101】
比較例1−1
有機溶媒混合液としてエチレンカーボネート(EC)、及びメチルプロピオネート(MP)を35体積%:65体積%で混合した点を除き、実施例1−1と同様の方法で非水電解液を製造した。このとき、前記有機溶媒混合液のうちフッ素の含量は0重量%であった。
【0102】
比較例1−2
有機溶媒混合液としてフルオロエチレンカーボネート(FEC)、及び3‐メトキシペルフルオロ(2‐メチルペンタン)を30体積%:70体積%で混合した点を除き、実施例1−1と同様の方法で非水電解液を製造した。このとき、前記有機溶媒混合液のうちフッ素の含量は54.8重量%であった。この場合、2つの溶媒の極性差が大き過ぎて電解液が均一に製造されず、2つの層に分離して、リチウム二次電池に適用することができなかった。
【0103】
比較例1−3
ピリミジンの代りにピラジンを使用した点を除き、実施例1−1と同様の方法で非水電解液を製造した。
【0104】
比較例1−4
ピリミジンの代りにピリダジンを使用した点を除き、実施例1−1と同様の方法で非水電解液を製造した。
【0105】
比較例1−5
ピリミジンの代りにイミダゾールを使用した点を除き、実施例1−1と同様の方法で非水電解液を製造した。
【0106】
比較例1−6
有機溶媒混合液としてフルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、2‐(トリフルオロメチル)‐3‐エトキシドデカフルオロヘキサン(HFE)、及びエチルヘプタフルオロブチレートを10体積%:5体積%:30体積%:55体積%で混合した点を除き、実施例1−1と同様の方法で非水電解液を製造した。このとき、前記有機溶媒混合液のうちフッ素の含量は52.6重量%であった。
【0107】
リチウム二次電池の製造
実施例2−1
正極としてLiCoOを、負極として天然黒鉛を使用して電極を製造した後、実施例1−1で製造された非水電解液を注入する通常の方法で円筒型リチウム二次電池を製造した。
【0108】
実施例2−2
実施例1−2で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−1と同様の方法で円筒型リチウム二次電池を製造した。
【0109】
実施例2−3
実施例1−3で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−1と同様の方法で円筒型リチウム二次電池を製造した。
【0110】
実施例2−4
実施例1−4で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−1と同様の方法で円筒型リチウム二次電池を製造した。
【0111】
実施例2−5
実施例1−5で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−1と同様の方法で円筒型リチウム二次電池を製造した。
【0112】
実施例2−6
実施例1−6で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−1と同様の方法で円筒型リチウム二次電池を製造した。
【0113】
実施例2−7
正極としてLiCoOを、負極として天然黒鉛を使用して電極を製造した後、実施例1−1で製造された非水電解液を注入する通常の方法でコイン型リチウム二次電池を製造した。
【0114】
比較例2−1
比較例1−1で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−1と同様の方法で円筒型リチウム二次電池を製造した。
【0115】
比較例2−2
比較例1−3で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−6と同様の方法でコイン型リチウム二次電池を製造した。
【0116】
比較例2−3
比較例1−4で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−6と同様の方法でコイン型リチウム二次電池を製造した。
【0117】
比較例2−4
比較例1−5で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−6と同様の方法でコイン型リチウム二次電池を製造した。
【0118】
比較例2−5
比較例1−6で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−6と同様の方法でコイン型リチウム二次電池を製造した。
【0119】
リチウム二次電池の特性評価
高温寿命特性(1)
実施例2−1ないし2−5、及び比較例2−1で製造された円筒型リチウム二次電池(電池容量3、000mAh)を55℃で0.7Cの定電流で4.35Vになるまで充電し、その後4.35Vの定電圧で充電し、充電電流が150mAになれば充電を終了した。次いで、10分間放置した後、0.5Cの定電流で3.0Vになるまで放電した。このような充放電を200サイクル行った後、電池容量を測定し、図2に示した。ここで、Cはアンペア(A)で表される電池の充放電電流速度、C−rateを示すものであって、通常電池容量の比率として表される。すなわち、上記のように製造された電池の1Cは3Aの電流を意味する。
【0120】
高温寿命特性(2)
実施例2−6及び比較例2−2ないし2−4で製造されたコイン型リチウム二次電池(電池容量5.5mAh)を60℃で1.0Cの定電流で4.35Vになるまで充電し、その後4.35Vの定電圧で充電し、充電電流が0.275mAになれば充電を終了した。次いで、10分間放置した後、1.0Cの定電流で3.0Vになるまで放電した。このような充放電を100サイクル行った後、電池容量を測定し、図3に示した。ここで、Cはアンペア(A)で表される電池の充放電電流速度、C−rateを示すものであって、通常電池容量の比率として表される。すなわち、上記のように製造された電池の1Cは5.5mAの電流を意味する。
【0121】
図2を参照すれば、ピリミジン系化合物と、フッ素系溶媒としてフルオロエチレンカーボネートとを共に使用した電解液を備えるリチウム二次電池が、フッ素系溶媒を含まず、非フッ素系溶媒であるエチレンカーボネート及びメチルプロピオネートのみを含む電解液、または、有機溶媒のうちフッ素含量が50重量%を超える電解液を備えるリチウム二次電池より、すべて高温で優れた寿命特性を示していることが分かる。
【0122】
図3を参照すれば、窒素を含む化合物の中でもピリミジン系化合物が特別な寿命性能向上能力を有していると見られる。このことから、ピリミジン系における窒素の位置が適切に配分されており、ピリミジン系化合物のみが適切なSEI層を形成していることが分かる。
図1
図2
図3