(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5779081
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】加工廃液処理装置
(51)【国際特許分類】
B24B 55/12 20060101AFI20150827BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
B24B55/12
B23Q11/00 U
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-271289(P2011-271289)
(22)【出願日】2011年12月12日
(65)【公開番号】特開2013-121637(P2013-121637A)
(43)【公開日】2013年6月20日
【審査請求日】2014年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 幹
(72)【発明者】
【氏名】石黒 裕隆
【審査官】
亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−038575(JP,A)
【文献】
特開2006−150494(JP,A)
【文献】
特開平11−172237(JP,A)
【文献】
特開2003−326114(JP,A)
【文献】
特開2001−062669(JP,A)
【文献】
特開2002−113499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 55/12 − 57/00
B23Q 11/00
B01D 35/06
B03C 5/00 − 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン微粒子が混入された加工廃液をシリコン微粒子と清水に分離する加工廃液処理装置において、
加工廃液を処理するための廃液処理槽と、該廃液処理槽に収容された加工廃液からシリコン微粒子を分離するシリコン分離機構と、該シリコン分離機構によって分離されたシリコン微粒子を回収するシリコン回収機構と、を具備し、
シリコン分離機構は、該廃液処理槽内に間隔をおいて配設された複数の上部ローラと、該複数の上部ローラの下方に間隔をおいて配設された複数の下部ローラと、該廃液処理槽の外部に配設された駆動ローラと、該駆動ローラと該複数の上部ローラおよび該複数の下部ローラに順次掛架されプラスに帯電される可撓性を有するエンドレスベルトとを具備するシリコン吸着手段と、該複数の上部ローラおよび該複数の下部ローラに順次掛架された該エンドレスベルトの間に配設されマイナスに帯電される複数の陰極板を備えた陰極手段と、を具備しており、
該シリコン回収機構は、該廃液処理槽の外部に配設され該駆動ローラによって駆動される該エンドレスベルトに付着したシリコン微粒子を剥離して回収する、
ことを特徴とする加工廃液処理装置。
【請求項2】
該陰極手段は、該複数の陰極板と、該複数の陰極板の一端を支持する支持部材とからなっており、
陰極板は、枠体と、該枠体の内側に装着され加工廃液の流通を許容する2枚の網部とによって構成されており、
該支持部材には、該複数の陰極板を構成する2枚の網部の間に開口する複数の吸引通路が設けられている、請求項1記載の加工廃液処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物を切削する切削装置や被加工物を研削する研削装置等の加工装置に付設され、加工時に供給される加工液の廃液を処理する加工廃液処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。このように表面にデバイスが形成された半導体ウエーハをストリートに沿って切断することにより、デバイスが形成された領域を分割して個々の半導体デバイスを製造している。
【0003】
上述した半導体ウエーハのストリートに沿った切断は、通常、ダイサーと呼ばれる切削装置によって行われている。この切削装置は、半導体ウエーハ等の被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削するための切削ブレードを備えた切削手段と、切削ブレードに加工水を供給する加工水供給手段を具備し、該加工水供給手段によって切削水を回転する切削ブレードに供給することにより切削ブレードを冷却するとともに、切削ブレードによる被加工物の切削部に加工水を供給しつつ切削作業を実施する。
【0004】
このようにして分割されるウエーハは、ストリートに沿って切断する前に研削装置によって裏面が研削され、所定の厚さに加工される。研削装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブル上に保持された被加工物を研削する研削手段とを具備している。この研削手段は、回転スピンドルと、該回転スピンドルの下端に設けられたホイールマウントと、該ホイールマウントの下面に着脱可能に装着される研削ホイールとを具備しており、該研削ホイールがホイール基台と該ホイール基台の下面における外周部の砥石装着部に装着された複数の研削砥石とからなっており、研削ホイールを回転し研削水を供給しつつ研削砥石をチャックテーブルに保持された被加工物に押圧することにより被加工物を研削する。
【0005】
上述したように切削装置による切削時や研削装置による研削時に供給された加工液にはシリコンを切削や研削することによって発生するシリコン微粒子が混入される。このシリコン微粒子が混入された加工廃液は環境を汚染することから、加工廃液を処理して排水しなければならず、廃液処理コストがかかるという問題がある。
【0006】
上記問題を解消するために、加工廃液をフィルターで濾過して清水を生成し、切削水または研削水として循環して使用する加工廃液処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−95941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
而して、上述した加工廃液処理装置は、フィルターを交換しなければならず、生産性が悪いという新たな問題が生じた。特に、厚みが600μm程度のシリコンウエーハを100μm程度の厚みに研削する研削装置に付設する加工廃液処理装置においては、研削屑が多量に発生するため、フィルターを交換する作業が頻繁となる。
また、研削屑としてのシリコン微粒子はフィルターに捕捉されるので、フィルターからシリコン微粒子を回収してシリコンインゴットを再生することも可能であるが、フィルターに浸透したシリコン微粒子を効率よく回収することは困難である。
【0009】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、切削屑や研削屑としてのシリコン微粒子を含む加工廃液からシリコン微粒子を分離して清水を生成することができるとともに、シリコン微粒子を効率よく回収することができる加工廃液処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、シリコン微粒子が混入された加工廃液をシリコン微粒子と清水に分離する加工廃液処理装置において、
加工廃液を処理するための廃液処理槽と、該廃液処理槽に収容された加工廃液からシリコン微粒子を分離するシリコン分離機構と、該シリコン分離機構によって分離されたシリコン微粒子を回収するシリコン回収機構と、を具備し、
シリコン分離機構は、該廃液処理槽内に間隔をおいて配設された複数の上部ローラと、該複数の上部ローラの下方に間隔をおいて配設された複数の下部ローラと、該廃液処理槽の外部に配設された駆動ローラと、該駆動ローラと該複数の上部ローラおよび該複数の下部ローラに順次掛架されプラスに帯電される可撓性を有するエンドレスベルトとを具備するシリコン吸引手段と、該複数の上部ローラおよび該複数の下部ローラに順次掛架された該エンドレスベルトの間に配設されマイナスに帯電される複数の陰極板を備えた陰極手段と、を具備しており、
該シリコン回収機構は、該廃液処理槽の外部に配設され該駆動ローラによって駆動される該エンドレスベルトに付着したシリコン微粒子を剥離して回収する、
ことを特徴とする加工廃液処理装置が提供される。
【0011】
上記陰極手段は、複数の陰極板と、複数の陰極板の一端を支持する支持部材とからなっており、
上記陰極板は、枠体と、該枠体の内側に装着され加工廃液の流通を許容する2枚の網部とによって構成されており、
上記支持部材には、複数の陰極板を構成する2枚の網部の間に開口する複数の吸引通路が設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明による加工廃液処理装置は、加工廃液を処理するための廃液処理槽と、該廃液処理槽に収容された加工廃液からシリコン微粒子を分離するシリコン分離機構と、該シリコン分離機構によって分離されたシリコン微粒子を回収するシリコン回収機構とを具備し、シリコン分離機構を構成するシリコン吸引手段のエンドレスベルトに吸着したシリコン微粒子をシリコン回収機構によって連続的に回収することができるので、加工廃液からシリコン微粒子を容易に回収できるとともに、加工廃液から容易に清水を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に従って構成された加工廃液処理装置の斜視図。
【
図2】
図1に示す加工廃液処理装置を構成する廃液タンクの配設状態を示す斜視図。
【
図3】
図1に示す加工廃液処理装置を構成する廃液処理槽とシリコン分離機構を分解して示す斜視図。
【
図4】
図1に示す加工廃液処理装置を構成するシリコン分離機構の要部断面図。
【
図5】
図1に示す加工廃液処理装置を構成するシリコン回収機構の斜視図。
【
図6】
図5に示すシリコン回収機構を構成する上部剥離手段および下部剥離手段を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に従って構成された加工廃液処理装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1には本発明に従って構成された加工廃液処理装置の斜視図が示されている。
図示の実施形態における加工廃液処理装置は、加工廃液を収容する廃液タンク2と、該廃液タンク2に収容された加工廃液を処理するための廃液処理槽3と、該廃液処理槽3に収容された加工廃液からシリコン微粒子を分離するシリコン分離機構4と、該シリコン分離機構4によって分離されたシリコン微粒子を回収するシリコン回収機構7を具備している。
【0016】
廃液タンク2は、
図2に示すように端壁に廃液供給口21を備えており、該廃液供給口21が図示しない研削装置等の加工装置に装備される加工廃液送出手段に接続される。この廃液タンク2の上壁に加工廃液を送給するポンプ22が配設されている。このように構成された廃液タンク2は、支持基台5の上面に配設される。なお、支持基台5には、廃液タンク2に隣接して制御手段10が配設される。
【0017】
上記廃液処理槽3は、
図1に示すように支持基台5に配設された廃液タンク2の上側に配置された支持ラック6に載置される。支持ラック6は、矩形状に形成された底壁61と、該底壁61の両側縁から立設された側壁62、63と、底壁61の両端縁から立設された端壁64、65とからなっており、4本の支持柱66によって支持され、上記支持基台5に配設された廃液タンク2の上側に配置されている。支持ラック6を構成する底壁61の上面には、上記廃液処理槽3を支持するための複数の支持台67が配設されている。この複数の支持台67上に上記廃液処理槽3が載置される。
【0018】
上記廃液処理槽3は、
図3に示すように矩形状に形成された底壁31と、該底壁31の両側縁から立設された側壁32、33と、底壁31の両端縁から立設された端壁34、35とからなっている。側壁32、33の内面には、それぞれシリコン分離機構4を構成する後述するシリコン吸着手段の複数の上部ローラを支持するための複数の第1の支持溝32a、33aおよび複数の下部ローラを支持するための複数の第2の支持溝32b、33bが設けられている。この複数の第1の支持溝32a、33aと複数の第2の支持溝32b、33bは、配列方向に互いに交互に設けられている。また、廃液処理槽3の上部には、シリコン分離機構4を構成する後述するシリコン吸着手段の駆動ローラおよび従動ローラを支持するためのそれぞれ一対の支持ブラケット361、362および371、372が配設されている。一対の支持ブラケット361、362は、端壁34の両側に対向して配設されており、それぞれ支持溝361a、362aを備えている。なお、一方の支持ブラケット361には、後述する駆動ローラを回転駆動するための電動モータを支持する支持部361cが装着されている。また、上記一対の支持ブラケット371、372は、側壁32、33の端壁35側の端部上面に互いに対向して配設されており、それぞれ支持溝371a、372aを備えている。
【0019】
図3を参照して説明を続けると、上記廃液処理槽3を構成する側壁32には、シリコン分離機構4を構成する後述する陰極手段の陰極板を挿入するための複数の陰極板挿通開口32cが設けられている。この複数の陰極板挿通開口32cは、側壁32に形成された第1の支持溝32aと第2の支持溝32bとの間に設けられている。なお、上記廃液処理槽3を構成する端壁35には、廃液流入口35aが設けられており、この廃液流入口35aが上記廃液タンク2に配設されたポンプ22の吐出口に図示しないホースを介して接続されている。
【0020】
次に、シリコン分離機構4について、
図3を参照して説明する。
シリコン分離機構4は、シリコン吸着手段41と陰極手段42とからなっている。シリコン吸着手段41は、間隔をおいて配設された複数の上部ローラ411と、該複数の上部ローラ411の下方に上方から見て上部ローラ411と交互になるように間隔をおいて配設された複数の下部ローラ412と、駆動ローラ413および従動ローラ414と、該駆動ローラ413と従動ローラ414と複数の上部ローラ411および複数の下部ローラ412に順次掛架された可撓性を有するエンドレスベルト415を具備している。エンドレスベルト415は、導電性を有する例えば厚みが50μmのステンレス鋼板によって形成されている。このエンドレスベルト415が掛架された複数の上部ローラ411は、その支持軸411aが廃液処理槽3の側壁32、33に形成された複数の第1の支持溝32a、33aに係合され回転可能に支持される。また、エンドレスベルト415が掛架された複数の下部ローラ412は、その支持軸412aが廃液処理槽3の側壁32、33に形成された複数の第1の支持溝32b、33bに係合され回転可能に支持される。更に、シリコン吸着手段41を構成する駆動ローラ413は駆動軸413aが上記一対の支持ブラケット361、362に設けられた支持溝361a、362aに係合され回転可能に支持されており、この駆動ローラ413を回転駆動するための電動モータ416が支持ブラケット361に装着された支持部361cによって支持される。また、上記従動ローラ414は、その支持軸414aが上記一対の支持ブラケット371、372に設けられた支持溝371a、372aに係合され回転可能に支持されている。このように構成されシリコン吸着手段41は、
図1に示すように廃液処理槽3に配設される。
【0021】
図3を参照して説明を続けると、シリコン分離機構4を構成する陰極手段42は、上記廃液処理槽3を構成する側壁32に設けられた複数の陰極板挿通開口32cを通して廃液処理槽3内に挿入される複数の陰極板421と、該複数の陰極板421の一端を支持する支持部材422とからなっている。陰極板421は、金属材によって矩形状に形成された枠体421aと、
図4に示すように枠体421aの内側に装着され廃液の流通を許容する2枚の網部421b、421bとによって構成されている。このように構成された複数の陰極板421を支持する支持部材422は、矩形状に形成され4隅部に取り付け穴422aが設けられている。この支持部材422には上記複数の陰極板421を構成する2枚の網部421b、421b間に開口する複数の吸引通路422bが設けられている。このように構成された陰極手段42は、複数の陰極板421を廃液処理槽3を構成する側壁32に設けられた複数の陰極板挿通開口32cを通して廃液処理槽3内に挿入し、支持部材422に設けられた取り付け穴422aに
図1に示すように締結ボルト43を挿通し、廃液処理槽3を構成する側壁32に設けられたねじ穴32d(
図3参照)に螺合することにより、適宜のシール材を介して廃液処理槽3を構成する側壁32に取り付ける。
【0022】
以上のようにして廃液処理槽3に装着されたシリコン分離機構4を構成するシリコン吸着手段41のエンドレスベルト415と陰極手段42の陰極板421との間には直流電圧が印可される。即ち、
図4に示すようにエンドレスベルト415に直流電源44のプラス(+)が接続され、陰極板421に直流電源44のマイナス(−)が接続される。
【0023】
図示の実施形態における加工廃液処理装置は、
図1に示すように廃液処理槽3の外部に配設されシリコン分離機構4を構成するシリコン吸着手段41のエンドレスベルト415に付着したシリコン微粒子を回収するシリコン回収機構7を具備している。シリコン回収機構7は、
図5に示すように上部剥離手段71および下部剥離手段72と、該上部剥離手段71および下部剥離手段72に連結されたシリコン収集箱73と、該シリコン収集箱73に一端が接続されたダクト74と、該ダクト74の他端が接続されたシリコン回収箱75と具備している。上部剥離手段71および下部剥離手段72は、
図5および
図6に示すように断面が矩形状の中空体からなり、それぞれ底壁711および721と、前側壁712および722と、後側壁713および723と、天壁714および724と、端壁715および725とからなっており、底壁711と721が互いに対向し所定の隙間(s)を持って上下に配設されている。上部剥離手段71の底壁711および下部剥離手段72の底壁721は、それぞれ前側壁712および722に向けて先細になるように形成され先端部が剥離部を構成している。また、上部剥離手段71および下部剥離手段72の前側壁712および722には、それぞれ底壁711および721側が除去され受入れ開口712aおよび722aが設けられている。このように構成された上部剥離手段71および下部剥離手段72は、
図1に示すように互いの間に形成された隙間(s)に上記エンドレスベルト415を挿通した状態で、先端(シリコン収集箱73と反対側の端部)がエンドレスベルト415の矢印Aで示す移動方向上流側に向けて傾斜するように配設される。
【0024】
図示の実施形態における加工廃液処理装置は以上のように構成されている、以下その作用について説明する。
図示しない研削装置等の加工装置に装備される加工廃液送出手段から送られ廃液タンク2に収容された加工廃液は、ポンプ22によって廃液処理槽3内に送られる。このようにして廃液処理槽3に送られた加工廃液にはシリコン微粒子が混入されており、このシリコン微粒子はマイナス(−)に帯電されている。このようにして廃液処理槽3に収容された加工廃液に混入されているシリコン微粒子を分離するには、シリコン分離機構4を構成するシリコン吸着手段41のエンドレスベルト415に直流電源44のプラス(+)を印可するとともに、陰極手段42の陰極板421に直流電源44のマイナス(−)を印可する。そして、駆動ローラ413を回転駆動するための電動モータ416を駆動してエンドレスベルト415を
図1において矢印Aで示す方向に作動せしめる。このようにエンドレスベルト415にプラス(+)が印可され陰極板421にマイナス(−)が印可されると、加工廃液に混入されマイナス(−)に帯電されているシリコン微粒子は、マイナス(−)に帯電された陰極板421から反発されプラス(+)に帯電されたエンドレスベルト415に吸着する。
【0025】
上述したようにシリコン微粒子が付着されたエンドレスベルト415は
図1において矢印Aで示す方向に移動しているので、エンドレスベルト415に付着したシリコン微粒子は上部剥離手段71と下部剥離手段72との間を通過する際に、上部剥離手段71および下部剥離手段72を構成する底壁711および721によって剥離される。このように上部剥離手段71および下部剥離手段72を構成する底壁711および721によって剥離されたシリコン微粒子は、受入れ開口712aおよび722aから断面が矩形状の中空体からなる上部剥離手段71と下部剥離手段72を通ってシリコン収集箱73に送られ、更にダクト74を介してシリコン回収箱75に回収される。このような加工廃液処理を所定時間実施することにより、廃液処理槽3に収容された加工廃液はエンドレスベルト415に吸着しシリコン回収機構7によって回収されるシリコン微粒子と清水に分離される。このようにして分離された清水は、陰極手段42を構成する支持部材422に設けられ複数の陰極板421を構成する2枚の網部421bと421bとの間に開口する複数の吸引通路422bを通して吸引され図示しない清水タンクに搬送される。
【0026】
以上のように図示の実施形態における加工廃液処理装置は、シリコン分離機構4を構成するシリコン吸着手段41のエンドレスベルト415に吸着したシリコン微粒子をシリコン回収機構7によって連続的に回収するので、加工廃液からシリコン微粒子を容易に回収できるとともに、加工廃液から容易に清水を生成することができる。
また、陰極手段42を構成する陰極板421は、金属材によって矩形状に形成された枠体421aと、該枠体421aの内側に装着され廃液の流通を許容する2枚の網部421b、421bとによって構成されており、陰極手段42を構成する支持部材422に設けられ陰極板421を構成する2枚の網部421b、421b間に開口する吸引通路422bから清水を吸引するようにしたので、効果的に清水を回収することができる。
【符号の説明】
【0027】
2:廃液タンク
21:廃液供給口
22:ポンプ
3:廃液処理槽
4:シリコン分離機構
41:シリコン吸着手段
411:上部ローラ
412:下部ローラ
413:駆動ローラ
414:従動ローラ
415:エンドレスベルト
42:陰極手段
421:陰極板
422:支持部材
44:直流電源
7:シリコン回収機構
71:上部剥離手段
72:下部剥離手段
73:シリコン収集箱
74:ダクト
75:シリコン回収箱
10:制御手段