(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シクロアルキル(メタ)アクリレート系単量体のシクロアルキル基は、炭素数が4から12であり、前記アリール(メタ)アクリレート系単量体のアリール基は、炭素数が6から12である、請求項1から3の何れか1項に記載の光学フィルム。
前記シクロアルキル(メタ)アクリレート系単量体またはアリール(メタ)アクリレート系単量体は、シクロペンチルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロへキシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、3、3、5−トリメチルシクロへキシルメタクリレート、4−t−ブチルシクロへキシルメタクリレート、3−シクロヘキシルプロピルメタクリレート、フェニルメタクリレート、4−t−ブチルフェニルメタクリレート、4−メトキシフェニルメタクリレート、1−フェニルエチルメタクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート及び2−ナフチルメタクリレートからなる群より選択される一つ以上である、請求項1から4の何れか1項に記載の光学フィルム。
前記(メタ)アクリルアミド系単量体は、N−置換されたメタクリルアミドまたは脂肪族環及び芳香族環の少なくとも一方を含むメタクリルアミドであり、前記N−置換されたメタクリルアミドの置換基は、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、シクロヘキシル、ベンジル及びフェニル基からなる群より選択される一つである、請求項1から5の何れか1項に記載の光学フィルム。
前記アクリル系共重合体は、50から98.9重量%の前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体と、1から49.9重量%の前記シクロアルキル(メタ)アクリレート系単量体またはアリール(メタ)アクリレート系単量体と、0.1から10重量%の前記(メタ)アクリルアミド系単量体と、を含んで重合される、請求項1から6の何れか1項に記載の光学フィルム。
【背景技術】
【0002】
最近は、光学技術の発展を基に従来のブラウン管を代替するプラズマディスプレイパネル(plasma display panel、PDP)、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)など、多様な方式を用いたディスプレイ技術が提案、市販されており、このようなディスプレイ向けのポリマー素材に対する要求特性がさらに高度化されている。例えば、液晶ディスプレイの場合、薄膜化、軽量化、画面面積の大型化が推進されて広視野角化、高コントラスト化、視野角による画像色調変化の抑制及び画面表示の均一化が特に重要な問題となった。
【0003】
これにより、偏光フィルム、偏光子保護フィルム、位相差フィルム、プラスチック基板、導光板などに多様なポリマーフィルムが用いられており、液晶としてツイステッドネマチック(twisted nematic、TN)、スーパーツイステッドネマティック(super twisted nematic、STN)、バーチカルアラインメント(vertical alignment、VA)、インプレーンスイッチング(in−plane switching、IPS)の液晶セルなどを用いた多様なモードの液晶表示装置が開発されてきた。上記液晶セルは全て固有の液晶配列のために固有の光学異方性を有するが、上記光学異方性を補償するために、多様な種類のポリマーを延伸して位相差機能が与えられたフィルムが提案されてきた。
【0004】
具体的には、液晶表示装置は、液晶分子が有する高い複屈折特性及び配向を用いるため、視野角によって屈折率が異なるようになって画面の色相及び明るさが変わる。例えば、バーチカルアラインメント方式に用いられるほとんどの液晶分子は、液晶表示面において厚さ方向にプラスの位相差を有するため、これを補償するために、厚さ方向にマイナスの位相差を有する補償フィルムを必要とする。また、直交した両偏光板の正面からは光が通過しないが、角度を傾けると、両偏光板の光軸が直交しなくなって光漏れ現象が発生する。これを補償するために、面方向の位相差を有する補償フィルムを必要とする。また、液晶を用いた表示装置は、視野角を広くするために、厚さ方向の位相差補償及び面方向の位相差補償を共に必要とする。
【0005】
位相差補償フィルムの要件としては、複屈折が容易に調節されなければならないことが挙げられる。ここで、上記フィルムの複屈折は、物質が有する根本的な複屈折のみならず、フィルムにおける高分子鎖の配向によっても行われる。高分子鎖の配向は、ほとんど外部から与えられる力によって行われたり、物質が有する固有特性に起因される。また、外部の力によって分子を配向する方法とは、高分子フィルムを一軸または二軸に延伸することである。
【0006】
最近は、上記のような液晶固有の複屈折特性によるLCDの視野角問題を解決するために、N−TAC、V−TAC、COP Filmが補償フィルムまたは位相差フィルムとして用いられている。しかし、上記フィルムは、値段が高く、製造工程が複雑になるという問題点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明をより具体的に説明する。
【0015】
本発明の一側面は、1)アルキル(メタ)アクリレート系単量体と、2)脂肪族
環及び/または芳香族
環を含む(メタ)アクリレート系単量体と、3)(メタ)アクリルアミド系単量体と、を含んで重合された光学フィルム用アクリル系共重合体に関する。
【0016】
本明細書において、単量体を含む共重合体樹脂は、単量体が重合されて共重合体樹脂内において反復単位として含まれることを意味する。
【0017】
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート系単量体」は、「アクリレート系単量体」または「メタクリレート系単量体」を含むことを意味する。
【0018】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリルアミド系単量体」は、「アクリルアミド系単量体」または「メタクリルアミド系単量体」を含むことを意味する。
【0019】
上記アクリル系共重合体は、ブロック共重合体またはランダム共重合体であることができるが、共重合の形態がこれに限定されるものではない。
【0020】
上記光学フィルム用アクリル系共重合体樹脂において、アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、アルキルアクリレート系単量体及びアルキルメタクリレート系単量体を全て意味する。上記アルキル(メタ)アクリレート系単量体のアルキル基は、炭素数1から10であることが好ましく、炭素数1から4であることがより好ましく、メチル基またはエチル基であることがさらに好ましい。上記アルキルメタクリレート系単量体は、メチルメタクリレートであることがさらに好ましいが、これに限定されるものではない。
【0021】
上記アクリル系共重合体樹脂において、アルキルメタクリレート系単量体の含量は、50から98.9重量%であることが好ましく、50から90重量%であることがさらに好ましい。アルキルメタクリレート系単量体の含量が上記範囲であると、透明性に優れると共に、耐熱性が維持されることができる。
【0022】
上記アクリル系共重合体樹脂において、脂肪族
環及び/または芳香族
環を含む(メタ)アクリレート系単量体は、主鎖に芳香族
環及び/または脂肪族
環を含む樹脂との相溶性を高める役割をする。例えば、シクロアルキル(メタ)アクリレート系単量体またはアリール(メタ)アクリレート系単量体であることができる。
【0023】
上記シクロアルキル(メタ)アクリレート系単量体のシクロアルキル基は、炭素数4から12であることが好ましく、炭素数5から8であることがさらに好ましく、シクロヘキシル基であることが最も好ましい。また、上記アリール(メタ)アクリレート系単量体のアリール基は、炭素数6から12であることが好ましく、フェニル基であることが最も好ましい。
【0024】
上記脂肪族
環及び/または芳香族
環を含む(メタ)アクリレート系単量体の具体的な例としては、シクロペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロへキシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、3、3、5トリメチルシクロへキシルメタクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、3−シクロヘキシルプロピルメタクリレート、フェニルメタクリレート、4−t−ブチルフェニルメタクリレート、4−メトキシフェニルメタクリレート、1−フェニルエチルメタクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、2−ナフチルメタクリレートなどを挙げることができる。また、シクロへキシルメタクリレートまたはフェニルメタクリレートが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0025】
上記アクリル系共重合体樹脂において、上記脂肪族
環及び/または芳香族
環を含む(メタ)アクリレート系単量体の含量は、0重量%超過50重量%未満であることが好ましく、0重量%超過30重量%以下であることがさらに好ましい。脂肪族
環及び/または芳香族
環を含む(メタ)アクリレート系単量体の含量が上記範囲であると、耐熱性が十分に確保されることができる。
【0026】
上記アクリル系共重合体樹脂において、上記(メタ)アクリルアミド系単量体は、本発明の共重合体がより高い耐熱性及び強度を示す役割をする。上記(メタ)アクリルアミド系単量体の例としては、N−置換されたメタクリルアミド、脂肪族
環及び/または芳香族
環を含むメタクリルアミドなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。上記N−置換されたメタクリルアミドの置換基には、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、フェニル基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0027】
上記メタクリルアミドは、0.1から10重量%含むことが好ましい。
【0028】
また、上記アクリル系共重合体樹脂の重量平均分子量は、耐熱性、加工性及び生産性の側面から5万から50万であることが好ましい。
【0029】
上記アクリル系共重合体樹脂は、ガラス転移温度(Tg)120℃以上が好ましく、130℃以上がさらに好ましい。上記アクリル系共重合体樹脂のガラス転移温度は、特に限定されないが、200℃以下であることができる。
【0030】
本発明の第二側面は、上記本発明の第一側面のアクリル系共重合体と、主鎖に芳香族
環及び/または脂肪族
環と、を含む樹脂が混合されたコンパウンディング樹脂に関する。
【0031】
上記樹脂組成物において、主鎖に芳香族
環及び/または脂肪族
環を含む樹脂は、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリナフタレン系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂などを用いることができる。また、ポリカーボネート系樹脂であることがさらに好ましいが、これに限定されるものではない。
【0032】
上記樹脂組成物は、アクリル系共重合体樹脂と主鎖に芳香族
環及び/または脂肪族
環を含む樹脂との重量比が60〜99.9:0.1〜40であることが好ましく、70〜99:1〜30であることがさらに好ましい。
【0033】
上記樹脂組成物は、上記アクリル系共重合体樹脂と、上記主鎖に芳香族
環及び/または脂肪族
環と、を含む樹脂を、コンパウンディング法のような当業界において周知の方法によってブレンディングすることで製造することができる。また、上記樹脂組成物は、着色剤、難燃剤、強化剤、充鎮剤、UV安定剤、酸化防止剤等のような当業界において周知の添加剤を0.001から70重量部含むことができる。
【0034】
上記樹脂組成物のガラス転移温度は、110℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがさらに好ましい。上記樹脂組成物のガラス転移温度は、特に限定されないが、200℃以下であることができる。
【0035】
また、上記樹脂組成物の重量平均分子量は、耐熱性、十分な加工性及び生産性などの面から5万から50万であることが好ましい。
【0036】
本発明の第三側面は、上記コンパウンディング樹脂を含む光学フィルムに関する。
【0037】
本発明による光学フィルムは、上記主鎖に芳香族
環及び/または脂肪族
環を含む樹脂の含量に応じて異なる位相差値を有することができる。これにより、位相差補償フィルムまたは保護フィルムとして用いられることができる。
【0038】
上記位相差補償フィルムは、位相差値に応じてVAモード型またはTNモード型において用いられることができる。本発明による光学フィルムは、面方向の位相差値(R
in)30nmから80nm及び厚さ方向の位相差値(R
th)−50nmから−300nmを有することができ、この場合は、VAモード型位相差補償フィルムとして用いられることができる。また、本発明による光学フィルムは、面方向の位相差値(R
in)150nmから200nm及び厚さ方向の位相差値(R
th)−90nm以下、即ち、厚さ方向の位相差値の絶対値90以上を有することができ、この場合は、TNモード型位相差補償フィルムとして用いられることができる。上記TNモード型位相差補償フィルムとして用いられる場合、厚さ方向の位相差値(R
th)は−90nmから−150nmであることがさらに好ましい。
【0039】
一例を挙げると、上記主鎖に芳香族
環及び/または脂肪族
環を含む樹脂の含量が10重量%から40重量%であると、光学フィルムの面方向の位相差値(R
in)は30nmから80nmであることができ、厚さ方向の位相差値(R
th)は−50nmから−300nmであることができる。この場合、本発明による光学フィルムは、VAモード型位相差補償フィルムとして用いられることができる。
【0040】
他の例を挙げると、上記主鎖に芳香族
環及び/または脂肪族
環を含む樹脂の含量が0.1重量%から10重量%、さらに好ましくは、1重量%から5重量%であると、光学フィルムにおいて面方向の位相差値(R
in)が0nmから10nm、0nmから5nmが好ましく、約0nmであることがさらに好ましい。また、厚さ方向の位相差値(R
th)は、−10nmから10nm、−5nmから5nmであることが好ましく、約0nmであることがさらに好ましい。この場合、本発明による光学フィルムは、偏光子保護フィルムとして用いられることができる。
【0041】
上記3)光学フィルムは、上記2)樹脂組成物を溶液キャスト法または押出法のような当業界においてよく知られている方法によってフィルムとして製造することができるが、このうち押出法が好ましい。
【0042】
上記のように製造されたフィルムを一軸または二軸延伸する段階をさらに含むことができ、場合によっては、改良剤を添加して製造することもできる。
【0043】
上記フィルムが一軸または二軸延伸される場合、上記延伸工程は、縦方向(MD)延伸または横方向(TD)延伸がそれぞれ行われることができ、両方とも行われることもできる。縦方向及び横方向の両方とも延伸される場合、何れか一方をまず延伸した後、他の方向に延伸することができ、両方向を共に延伸することもできる。延伸は一段階で延伸されることができ、多段階にわたって延伸されることもできる。縦方向に延伸される場合には、ロール間の速度差による延伸ができ、横方向に延伸される場合には、テンターが用いられることもある。テンターのレール開き角は通常10度以内にすることで、横方向の延伸時に生じるボーイング(Bowing)現象を抑制し、光学軸の角度を規則的に制御する。また、横方向の延伸を多段階にすることで、同一のボーイング抑制効果を得ることもできる。
【0044】
上記延伸は、上記樹脂組成物のガラス転移温度をTgとするとき、(Tg−20℃)〜(Tg+30℃)の温度で行われることができる。上記ガラス転移温度は、樹脂組成物の貯蔵弾性率が低下し始め、これによって損失弾性率が貯蔵弾性率より大きくなる温度から高分子鎖の配向が緩和して消失する温度までの領域を示す。ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)によって測定されることができる。上記延伸工程時の温度は、フィルムのガラス転移温度であることがさらに好ましい。
【0045】
延伸速度は、小型延伸機(Universal testing machine、Zwick Z010)の場合は、1から100mm/minの範囲で、また、パイロット延伸装備の場合は、0.1から2m/minの範囲で延伸操作を行うことが好ましく、5から300%の延伸率を適用してフィルムを延伸することが好ましい。
【0046】
本発明による光学フィルムは、前述した方法によって一軸または二軸に延伸されることで、位相差特性が調節されることができる。
【0047】
上記のように製造された光学フィルムは、下記数学式1で示される面方向の位相差値が0nmから200nmであることが好ましく、下記数学式2で示される厚さ方向の位相差値が10nmから−300nmであることが好ましい。
【0048】
[数1]
R
in=(n
x−n
y)×d
[数2]
R
th=(n
z−n
y)×d
上記数学式1及び2において、
n
xは、フィルムの面方向において、最も屈折率が大きい方向の屈折率であり、
n
yは、フィルムの面方向において、n
x方向の垂直方向の屈折率であり、
n
zは、厚さ方向の屈折率であり、
dは、フィルムの厚さである。
【0049】
本発明による光学フィルムは、上記主鎖に芳香族
環及び/または脂肪族
環を含む樹脂の含量に応じて面方向の位相差値及び厚さ方向の位相差値が調節されることができる。例えば、本発明による光学フィルムにおいて面方向の位相差値(R
in)は、20nmから80nmであることができ、厚さ方向の位相差値(R
th)は、−50nmから−300nmであることができる。この場合、本発明による光学フィルムは、VAモード型位相差補償フィルムとして用いられることができる。また、本発明による光学フィルムにおいて面方向の位相差値(R
in)が0nmから10nm、0nmから5nmであることが好ましく、約0nmであることがさらに好ましい。なお、厚さ方向の位相差値(R
th)が−10nmから10nm、−5nmから5nmであることが好ましく、約0nmであることがさらに好ましい。この場合、本発明による光学フィルムは、偏光子保護フィルムとして用いられることができる。
【0050】
本発明による光学フィルムが液晶表示装置に適用される場合、液晶パネルの何れか一側のみに備えられることができ(1枚型)、液晶パネルの両側にそれぞれ備えられることもできる(2枚型)。
【0051】
本発明による光学フィルムが液晶パネルの一側のみに備えられる場合、上記光学フィルムにおいて面方向の位相差値(R
in)は、30nmから80nm、35nmから70nmであることが好ましく、約40nmから60nmであることがさらに好ましい。また、厚さ方向の位相差値(R
th)は、−270nm以下、即ち、厚さ方向の位相差値の絶対値が270以上であることが好ましい。
【0052】
本発明による光学フィルムが液晶パネルの両側にそれぞれ備えられる場合、上記光学フィルムにおいて面方向の位相差値(R
in)は、30nmから80nm、35nmから70nmであることが好ましく、約40nmから60nmであることがさらに好ましい。また、厚さ方向の位相差値(R
th)は、−100nm以下、即ち、厚さ方向の位相差値の絶対値が100以上であることが好ましい。
【0053】
本発明による光学フィルムの脆性(brittleness)は、粒径15.9mm、重さ16.3gの鋼球をテストフィルム上に落とし、フィルムに孔が生じる高さを測定することで確認できる。本発明による光学フィルムは、上記高さが600mm以上であることが好ましく、700mm以上であることがさらに好ましい。
【0054】
本発明による光学フィルムのヘイズ値は、1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましく、0.1%以下であることが最も好ましい。
【0055】
以下では、本発明の理解を助けるために、好ましい実施例を記載する。下記実施例は本発明を例示するためだけのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0057】
本発明の実施例における物性の評価方法は下記の通りである。
1.重量平均分子量(Mw):製造された樹脂をテトラヒドロフランに溶かし、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。
2.Tg(ガラス転移温度):TA Instrument社のDSC(Differential Scanning Calorimeter)を用いて測定した。
3.位相差値(R
in/R
th):フィルムのガラス転移温度において延伸の後にAxometrics社のAxoScanを用いて測定した。
4.Haze値(透明度):Murakami color Research Laboratory社のHAZEMETER HM−150を用いてhaze値を測定した。
【0059】
メチルメタクリレート89重量部、フェニルメタクリレート10重量部、メタクリルアミド1重量部でアクリル系共重合体樹脂を製造した。製造された樹脂のガラス転移温度及び分子量を測定した結果、ガラス転移温度130℃、分子量11万の樹脂を得ることができた。上記樹脂99重量部をポリカーボネート1重量部とコンパウンディング(compounding)して最終的な樹脂組成物を製造した。上記樹脂組成物を溶液キャスト法によってフィルムとして製造した後、ガラス転移温度で延伸を行い、そのフィルムの位相差値を測定した。その結果、面方向の位相差値/厚さ方向の位相差値は1.5/−0.5であることが確認できた。
【0061】
メチルメタクリレート87重量部、フェニルメタクリレート10重量部、メタクリルアミド3重量部でアクリル系共重合体樹脂を製造した。製造された樹脂のガラス転移温度及び分子量を測定した結果、ガラス転移温度132℃、分子量10万5千の樹脂を得ることができた。上記樹脂98.5重量部をポリカーボネート1.5重量部とコンパウンディング(compounding)して最終的な樹脂組成物を製造した。上記樹脂組成物を溶液キャスト法によってフィルムとして製造した後、ガラス転移温度で延伸を行い、そのフィルムの位相差値を測定した。その結果、面方向の位相差値/厚さ方向の位相差値は0.9/−0.7であることが確認できた。
【0063】
メチルメタクリレート90重量部、フェニルメタクリレート5重量部、メタクリルアミド5重量部でアクリル系共重合体樹脂を製造した。製造された樹脂のガラス転移温度及び分子量を測定した結果、ガラス転移温度135℃、分子量12万の樹脂を得ることができた。上記樹脂99.2重量部をポリカーボネート0.8重量部とコンパウンディング(compounding)して最終的なコンパウンディング樹脂を製造した。上記コンパウンディング樹脂を溶液キャスト法によってフィルムとして製造した後、ガラス転移温度で延伸を行い、そのフィルムの位相差値を測定した。その結果、面方向の位相差値/厚さ方向位の相差値は0.3/−0.9であることが確認できた。
【0065】
上記実施例1から実施例3と同一の方法により、メチルメタクリレート、芳香族
環を含む(メタ)アクリレート系単量体及びメタクリルアミドアクリル系共重合体樹脂を製造した。但し、実施例4から12のそれぞれの実施例において用いられたメチルメタクリレート、芳香族
環を含む(メタ)アクリレート系単量体及びメタクリルアミドの含量は下記表1に示されているものと同一であり、得られたアクリル系共重合体樹脂のガラス転移温度及び重量平均分子量も下記表2に示されているものと同一である。
【0066】
上記で得られたアクリル系共重合体樹脂とポリカーボネートとを下記表3に示される比率で混合し、上記コンパウンディング樹脂を溶液キャスト法によってフィルムとして製造した後、ガラス転移温度で延伸を行い、そのフィルムの位相差値を測定した。結果は、下記表4に示されている通りである。
【0068】
メチルメタクリレート90重量部、フェニルメタクリレート10重量部でアクリル系共重合体樹脂を製造した。製造された樹脂のガラス転移温度及び分子量を測定した後、ガラス転移温度124℃、重量平均分子量10万の樹脂を得ることができた。上記樹脂とポリカーボネートとを90:10の重量比で混合し、これをコンパウンディングして最終的なコンパウンディング樹脂を製造した。上記コンパウンディング樹脂を溶液キャスト法によってフィルムとして製造した後、ガラス転移温度で延伸を行い、そのフィルムの位相差値を測定した。その結果、面方向の位相差値/厚さ方向位相差値は1.4/−0.7であることが確認できた。
【0070】
メチルメタクリレート80重量部、フェニルメタクリレート20重量部でアクリル系共重合体樹脂を製造した。製造された樹脂のガラス転移温度及び分子量を測定した結果、ガラス転移温度119℃、重量平均分子量9万の樹脂を得ることができた。上記樹脂とポリカーボネートとを90:10の重量比で混合し、これをコンパウンディングして最終的なコンパウンディング樹脂を製造した。上記コンパウンディング樹脂を溶液キャスト法によってフィルムとして製造した後、ガラス転移温度で延伸を行い、そのフィルムの位相差値を測定した。その結果、面方向の位相差値/厚さ方向の位相差値は48/−105であることが確認できた。
【0076】
上記実施例1、2、3及び比較例1において製造されたフィルムの強度を測定するために落球テストを行った。実験方法は、粒径15.9mm、重さ16.3gの鋼球をフィルム上に落としてフィルムに孔が生じる高さを測定した。測定された高さの結果は下記表5に示されている。
【0078】
上記表2に示されているように、本発明のアクリル系共重合体は、ガラス転移温度が高いために比較例に比べて優れた耐熱性を有することが確認できた。
【0079】
また、上記表5に示されているように、最終の光学フィルムの強度も比較例に比べて優れていることが確認できた。