(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5779834
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】有機多層基板上で埋め込み実装する方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20150827BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/46 X
H05K1/18 R
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-247608(P2013-247608)
(22)【出願日】2013年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-116603(P2014-116603A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2013年11月29日
(31)【優先権主張番号】13/711,092
(32)【優先日】2012年12月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003943
【氏名又は名称】インテル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ボールドウィン、クリス
(72)【発明者】
【氏名】ロイ、ミヒル ケー
【審査官】
遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/099820(WO,A2)
【文献】
特開2010−219367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H05K 1/18
H05K 3/00
H05K 3/34
H05K 3/38
H05K 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機多層基板の選択された層上に複数の導体をパターン化形成する工程と、
前記選択された層上で、パターン化形成された前記複数の導体間に、前記複数の導体と同じ厚さの離型層を形成する工程と、
前記選択された層および前記離型層上に追加層を形成する工程と、
前記有機多層基板に窪みを形成するために、前記追加層を貫通する開口を形成する工程と、
前記離型層を除去する工程と、
前記窪み内で前記有機多層基板に部材を取り付ける工程と
を備える方法。
【請求項2】
前記有機多層基板はポリマーコアを有し、
複数の対称な層が、前記ポリマーコアの頂部および底部に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記追加層を形成する工程は、複数の追加層を形成する工程を有し、
前記開口を形成する工程は、複数の層を貫通し前記選択された層に至る窪みを形成する工程を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記部材はコンデンサである、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記部材は抵抗器である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記部材はインダクタである、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記開口はレーザースクライビング加工により形成される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記離型層はスクイズ加工により形成される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記窪み内で前記有機多層基板に部材を取り付ける工程は、
前記選択された層上の前記パターン化形成された複数の導体上に半田ペーストをノズルを介して供給すること、
前記半田ペースト上に前記部材を載置すること、および、
前記半田ペーストをリフローし、前記パターン化形成された複数の導体へ前記部材を半田付けすること
により実行される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
有機多層基板の選択された層上に複数の導体をパターン化形成する工程と、
前記選択された層上で、パターン化形成された前記複数の導体間に、前記複数の導体と同じ厚さの離型層を形成する工程と、
前記選択された層および前記離型層上に追加層を形成する工程と、
前記有機多層基板に窪みを形成するために、前記追加層を貫通する開口を形成する工程と、
前記離型層を除去する工程と、
個別部材を、前記有機多層基板に埋め込むように前記選択された層へ表面実装する工程と
を備える方法。
【請求項11】
前記有機多層基板はガラス繊維強化樹脂コアを有し、
複数の対称な層が、前記ガラス繊維強化樹脂コアの頂部および底部に形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記追加層を形成する工程は、複数の追加有機層を形成する工程を有し、
前記開口を形成する工程は、複数の層を貫通し前記選択された層に至る窪みを形成する工程を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記個別部材は個別のコンデンサである、請求項10から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記個別部材は個別の抵抗器である、請求項10から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記個別部材は個別のインダクタである、請求項10から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記離型層はスクイズ加工により形成される、請求項10から15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
表面実装方法を用いて基板上に個別部材を実装することにより、一般的にZ高さと呼ばれるパッケージ高さが所望されない高さである電子回路パッケージが構成されることになる。
【背景技術】
【0002】
表面実装技術を用いると、コンデンサ、抵抗器、インダクタ、および他の部材などの個別部材は典型的には、当該部材が基板上の半田ボールに載置された状態でリフローが行われることにより、ダイ側の基板表面に取り付けられる。このことにより、基板への部材の電気接続であり、かつ、保持するための接続が直接的、および確実に実現される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
結果的に得られるパッケージおよび部材のZ高さは、パッケージが用いられることになる製品の所望される高さより高いことが多い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
装置は有機多層基板を含み、有機多層基板は、窪み層上にパターン化形成された複数の導体を有する。表面実装プロセスにより、有機多層基板の最上層に埋め込まれるように個別部材が窪み層に結合されている。
【0005】
方法は、有機多層基板の選択された層上に複数の導体をパターン化形成する工程と、選択された層上で、パターン化形成された複数の導体間に離型層を形成する工程と、選択された層および離型層上に追加層を形成する工程と、追加層を貫通する開口を形成し、有機多層基板に窪みを形成する工程と、離型層を除去する工程と、窪み内で有機多層基板に部材を取り付ける工程とを含む。
【0006】
他の方法は、有機多層基板の選択された層上に複数の導体をパターン化形成する工程と、選択された層上で、パターン化形成された複数の導体間に離型層を形成する工程と、選択された層および離型層上に追加層を形成する工程と、追加層を貫通する開口を形成し、有機多層基板に窪みを形成する工程と、離型層を除去する工程と、個別部材を、有機多層基板に埋め込むように選択された層へ取り付ける工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】例示的な一実施形態に係る、複数の層を有する有機基板の断面概略図である。
【
図2A】例示的な一実施形態に係る、積層および部材実装の間の、有機基板の断面概略図である。
【
図2B】例示的な一実施形態に係る、積層および部材実装の間の、有機基板の断面概略図である。
【
図2C】例示的な一実施形態に係る、積層および部材実装の間の、有機基板の断面概略図である。
【
図2D】例示的な一実施形態に係る、積層および部材実装の間の、有機基板の断面概略図である。
【
図2E】例示的な一実施形態に係る、積層および部材実装の間の、有機基板の断面概略図である。
【
図3】例示的な一実施形態に係る、複数の高さに部材が埋め込まれた有機基板の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明および図面において、当業者が実施出来るように特定の実施形態を十分に説明する。他の実施形態には、構造的、論理的、電気的、プロセス的、および他の面の変更が包含され得る。いくつかの実施形態の部分および特徴が、他の実施形態に含まれ得る、または他の実施形態の部分および特徴と入れ替えられ得る。請求項に明記される実施形態は、それら請求項の利用可能な同等物の全てを網羅する。
【0009】
図1は、複数の層を有する有機基板100の一部の断面概略図である。この断面概略図は基板全体を示さないかもしれないが、この説明との関連性がある特定のセグメントまたはセクションを示す。完全な基板は、めっきスルーホール(PTH)、ダイなどを用いて、
図1に示されるよりさらに多くの特徴を有し得る。一実施形態において、基板100には、最下層110、第2層115、第3層120、および第4層125が形成される。第4層125は、有機基板100の成長の際に形成される最終層である。最下層110は、中央処理装置または他の処理要素の実装に用いられ得る。一実施形態において、最終層より下方の第3層120上に個別部材130が実装される。他の実施形態において、当該部材は、最下層に近く、または最下層自体などさらに下方の層に直接的に実装されてもよい。個別部材130の取り付けに続き、保護的な層または保護層135が追加され得る。
【0010】
個別部材130と基板の層上の金属ランドとの間に確立される各電気接続に対応する標準的な表面実装プロセスにより、個別部材130が当該層上に実装され得る。一実施形態において、表面実装プロセスにはランド上に供給される半田ペースト(半田とフラックスとの混合物)が用いられる。個別部材130は当該ペースト上に載置され、リフロー(溶解)により適切な位置に位置付けされる。様々な実施形態において、個別部材は、コンデンサ、抵抗器、インダクタ、または他の部材であってもよい。そのような個別部材の高さは容易に低く出来ない。個別部材を基板100に埋め込むことにより、結果として得られる、基板100を含むパッケージのZ高さプロファイルは、部材自体の高さを低くしようとして資源を費やすことなく、より低くなり得る。また部材を埋め込むことにより、寄生容量および寄生抵抗を含む寄生効果も低減し得る。
【0011】
埋め込まれた個別部材を有する基板200を形成する処理工程は、
図2A、
図2B、
図2C、
図2D、および
図2Eの概略断面図に示されている。
図2Aはコア層210を示す。一実施形態において、コア層210が基板のコアを形成し、コア層210はガラス繊維強化樹脂により形成されている。一実施形態において、基板全体が対称的に形成され得、セミアディティブ処理において、複数の層がコア層210の両側に追加され得る。一実施形態において、コア層210には、示されるように導体215、220が両側にパターン化形成される。また導体は、示されるように層間にも形成され得る。一実施形態において、導体として銅が用いられる。導体215は基板200の取付側に形成され、部材が追加された場合に当該部材との間で確立される接続、並びに他のパターン化形成に対応する。
【0012】
図2Bにおいて、基板200の部材取付側に離型フィルム225が追加されている。一実施形態において、離型フィルム225はスクイズ加工により適用され得、これにより導体215とおよそ同じ厚さの層が形成されることになる。複数の異なる実施形態において、様々な離型フィルムが用いられ得る。それら様々な離形フィルムには、一般的なフォトレジスト、または乾燥塗膜などが含まれ、これらは適切なタイミングで剥がされ得る。離型フィルム225は、部材が実装されることになる層上に形成される。
【0013】
図2Cは、示されるようにSR層および表面仕上げが対称的に適用されるまでの、追加の対称な層240、245の積層を示す。一実施形態において、プラスチックおよびポリマーなどの有機材料、並びに、何らかの導電性パスのためのメタライズ層により基板の積層が行われる。
【0014】
図2Dは、部材が埋め込まれることになる、基板200の部材取付側の積み重ねられた層の除去を示す。導体215の高さまで開口260が形成され、また離型フィルム225も除去される。一実施形態において、積み重ねられた層は、レーザースクライビング加工または他の利用可能な方法により除去される。離型フィルム225はレジストであり得、一般的なエッチング処理により除去され得る。一実施形態において、離型フィルム225の残余物を一掃すべく、デスミア処理が実行され得る。一実施形態において、部材が実装されることになる層上に離型フィルムが形成される。一実施形態において、この層はコア層210より上方の一層として示されているが、部材が実装される場合に、基板200の最上層からの当該部材のある程度の埋め込みが可能となるような、外方の層より下方のいずれの層であってもよい。
【0015】
図2Eは、開口260に位置付けられた部材265を示す。部材265の位置付けを行う前に、部材のパッドのための有機被覆塗布(OSP)による表面仕上げが実行され得、選択された取付箇所においてノズルまたは他の手段を用いて半田ペーストが供給され得る。その後部材265が取り付けられ、半田ペーストのリフローにより基板200の層240へ部材265が固定される。
【0016】
一実施形態において、部材は、基板200の頂面に、または頂面より下方に埋め込まれる。他の複数の実施形態において、部材は、その頂部が基板の頂面より上方にありながらも、基板の頂面に取り付けられた場合に位置するであろう高さよりも低くなるように埋め込まれ得る。
【0017】
図3は、例示的な一実施形態に係る、複数の高さに部材が埋め込まれた有機基板300の断面概略図である。
図3においては図面を単純化すべく、複数の高さにおける、また複数の高さ間における導体のパターン化形成は最小とされている。有機コア303は、複数の、自身を挟んで対称的な有機層305、310、315、320、325、330を有する。コア303の1以上の面の複数の異なる高さにおいて、複数の個別部材が接合されている。基板300の上面において、導体340を介して層315に実装された部材335が示されている。導体350を介して層305に実装された部材345が示されている。単純化すべく2つの導体のみが示されている。基板300の下面において、導体360を介して層320に実装された部材355が示されている。また、基板300の下面において、層330に実装されたプロセッサ370も示されている。単純化すべく接点は省略されているが、プロセッサは、ボールグリッドアレー、表面実装プロセス、または何らかのタイプの半田付け接続により複数の導体に実装され得る。
【0018】
[項目]
1.有機多層基板の選択された層上に複数の導体をパターン化形成する工程と、
上記選択された層上で、パターン化形成された上記複数の導体間に離型層を形成する工程と、
上記選択された層および上記離型層上に追加層を形成する工程と、
上記追加層を貫通する開口を形成し、上記有機多層基板に窪みを形成する工程と、
上記離型層を除去する工程と、
上記窪み内で上記有機多層基板に部材を取り付ける工程と
を備える方法。
【0019】
2.上記有機多層基板はポリマーコアを有し、
複数の対称な層が、上記ポリマーコアの頂部および底部に形成される、項目1に記載の方法。
【0020】
3.上記追加層を形成する工程は、複数の追加層を形成する工程を有し、
上記開口を形成する工程は、複数の層を貫通し上記選択された層に至る窪みを形成する工程を有する、項目2に記載の方法。
【0021】
4.上記部材はコンデンサである、項目1から3のいずれか1項に記載の方法。
【0022】
5.上記部材は抵抗器である、項目1から4のいずれか1項に記載の方法。
【0023】
6.上記部材はインダクタである、項目1から5のいずれか1項に記載の方法。
【0024】
7.上記開口はレーザースクライビング加工により形成される、項目1から6のいずれか1項に記載の方法。
【0025】
8.上記離型層はスクイズ加工により形成される、項目1から7のいずれか1項に記載の方法。
【0026】
9.上記窪み内で上記有機多層基板に部材を取り付ける工程は、
上記選択された層上の上記パターン化形成された複数の導体上に半田ペーストをノズルを介して供給すること、
上記半田ペースト上に上記部材を載置すること、および、
上記半田ペーストをリフローし、上記パターン化形成された複数の導体へ上記部材を半田付けすること
により実行される、項目1から8のいずれか1項に記載の方法。
【0027】
10.有機多層基板の選択された層上に複数の導体をパターン化形成する工程と、
上記選択された層上で、パターン化形成された上記複数の導体間に離型層を形成する工程と、
上記選択された層および上記離型層上に追加層を形成する工程と、
上記追加層を貫通する開口を形成し、上記有機多層基板に窪みを形成する工程と、
上記離型層を除去する工程と、
個別部材を、上記有機多層基板に埋め込むように上記選択された層へ表面実装する工程と
を備える方法。
【0028】
11.上記有機多層基板はガラス繊維強化樹脂コアを有し、
複数の対称な層が、上記ガラス繊維強化樹脂コアの頂部および底部に形成される、項目10に記載の方法。
【0029】
12.上記追加層を形成する工程は、複数の追加有機層を形成する工程を有し、
上記開口を形成する工程は、複数の層を貫通し上記選択された層に至る窪みを形成する工程を有する、項目11に記載の方法。
【0030】
13.上記個別部材は個別のコンデンサである、項目10から12のいずれか1項に記載の方法。
【0031】
14.上記個別部材は個別の抵抗器である、項目10から13のいずれか1項に記載の方法。
【0032】
15.上記個別部材は個別のインダクタである、項目10から14のいずれか1項に記載の方法。
【0033】
16.上記離型層はスクイズ加工により形成される、項目10から15のいずれか1項に記載の方法。
【0034】
17.有機多層基板と、
上記有機多層基板の窪み層上にパターン化形成された複数の導体と、
上記有機多層基板の最上層に埋め込まれるように上記窪み層に結合された個別部材と
を備える装置。
【0035】
18.上記有機多層基板の複数の層は、有機コアを挟んで対称に設けられている、項目17に記載の装置。
【0036】
19.上記有機多層基板はポリマーコアを有し、
複数の対称な層が、上記ポリマーコアの頂部および底部に形成されている、項目17または18に記載の装置。
【0037】
20.上記部材は複数の層に亘り埋め込まれている、項目19に記載の装置。
【0038】
21.上記部材はコンデンサである、項目19または20に記載の装置。
【0039】
22.上記部材は抵抗器である、項目19から21のいずれか1項に記載の装置。
【0040】
23.上記部材はインダクタである、項目19から22のいずれか1項に記載の装置。
【0041】
少数の実施形態を詳細に説明していたが、他の修正を加えることが可能である。例えば、所望される結果を得るには図面に示したロジックフローは、示された特定の順番、または順序で必ずしも実施される必要はない。説明されたフローにおいて他の工程が設けられてもよく、若しくは、工程が省略されてもよい。また説明したシステムにおいて他の部材が追加されてもよく、若しくは省略されてもよい。ワイヤボンドにより基板に接続されたピングリッドアレイ、ランドグリッドアレイ、ダイなどのパッケージなど他の実施形態が以下の請求項の範囲に含まれ得る。
【0042】
連邦規則法典第37巻1.72(b)に従い、技術的開示の本質および主旨を読者が確認出来るようにするべく要約を提供する。請求項の範囲または意味を限定する、または解釈するのに用いられることがないものと理解した上で要約を提出する。以下の請求項は詳細な説明に組み込まれ、各請求項はそれ自体が独立した実施形態を表す。