【実施例】
【0041】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳しく説明する。
【0042】
参考例1
表面の樹脂層(A)用樹脂として、ノルボルネン系モノマーの開環重合体〔三井化学株式会社製「アペル APL6015T」、MFR:10g/10分(260℃、21.18N)、ガラス転移温度:145℃;以下、「COC(1)」という。〕を用いた。反対の樹脂層(A)用樹脂として、ノルボルネン系モノマーの開環重合体〔三井化学株式会社製「アペル APL8008T」、MFR:15g/10分(260℃、21.18N)、ガラス転移温度:70℃;以下、「COC(3)」という。〕60質量部と超低密度ポリエチレン〔密度:0.880g/cm3、融点85℃、MFR:5g/10分(190℃、21.18N)、;以下、「VLLDPE」という。〕40質量部の樹脂混合物を用いた。また、樹脂層(B)用樹脂として、直鎖状中密度ポリエチレン〔密度:0.930g/cm3、融点125℃、MFR:5g/10分(190℃、21.18N);以下、「LMDPE」という。〕を用いた。これらの樹脂をそれぞれ、表面樹脂層(A)用押出機(口径40mm)及び樹脂層(B)用押出機(口径50mm)に供給して200〜230℃で溶融し、その溶融した樹脂をフィードブロックを有するTダイ・チルロール法の共押出多層フィルム製造装置(フィードブロック及びTダイ温度:250℃)にそれぞれ供給して共溶融押出を行って、フィルムの層構成が(A)/(B)/(A)の3層構成で、各層の厚さが2μm/16μm/2μm(合計20μm)である共押出多層フィルム(X1)を得た。樹脂層(A)にコロナ処理を施し、濡れ試薬による表面張力は45dyne/cmであった。
【0043】
実施例2
樹脂層(A)用樹脂として、COC(1)を用いた。また、樹脂層(B)用樹脂として、直鎖状中密度ポリエチレンLMDPEを用いた。フィルムの層構成が(A)/(B)/(A)の3層構成で、各層の厚さが2μm/16μm/2μm(合計20μm)となるように
参考例1と同様にして共押出多層フィルム(X2)を得た。樹脂層(A)にコロナ処理を施し、濡れ試薬による表面張力は45dyne/cmであった。
【0044】
上記で得た共押出多層フィルム(X2)の、表面処理をしていない側の樹脂層(A)に、帯電防止剤〔花王製「エレストマスター」〕を2%配合した低密度ポリエチレン〔密度:0.920g/cm
3、融点115℃、MFR:10g/10分(190℃、21.18N);以下、「LDPE」という。〕を溶融押出により20μmの押出ラミネートを実施した。
【0045】
実施例3
樹脂層(B)用樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン〔密度:0.900g/cm
3、融点85℃、MFR:5g/10分(190℃、21.18N)、;以下、「LLDPE」という。〕を用いた。フィルムの各層の厚さが4μm/12μm/4μm(合計20μm)となるように実施例2と同様にして共押出多層フィルムを作製し、共押出多層フィルム(X3)を得た。樹脂層(A)にコロナ処理を施し、濡れ試薬による表面張力は45dyne/cmであった。
【0046】
上記で得た共押出多層フィルム(X3)の表面処理をしていない側の樹脂層(A)に、帯電防止剤を0.2%配合したメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体〔密度:0.900g/cm
3、融点135℃、MFR:4g/10分(230℃、21.18N)、;以下、「MRCP」という。)を溶融押出により20μmの押出ラミネートを実施した。
【0047】
実施例4
樹脂層(A)用樹脂として、COC(1)50質量部及びCOC(3)50質量部の樹脂混合物を用いた。フィルムの各層の厚さが5μm/10μm/5μm(合計20μm)となるように
参考例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、共押出多層フィルム(X4)を得た。樹脂層(A)にコロナ処理を施し、濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。
【0048】
上記で得た共押出多層フィルム(X4)の表面処理をしていない側の樹脂層(A)に帯電防止剤を0.2%配合したLDPEを溶融押出により20μmの押出ラミネートを実施した。
【0049】
実施例5
表面の樹脂層(A)用樹脂としてCOC(1)70質量部とCOC(3)30質量部の樹脂混合物を、内層の樹脂層(A)用樹脂として、MRCPを用いた。内層の樹脂層(A)には、COC(3)を用いた。フィルムの各層の厚さが2μm/16μm/2μm(合計20μm)となるように
参考例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、共押出多層フィルム(X5)を得た。表面の樹脂層(A)にコロナ処理を施し、濡れ試薬による表面張力は45dyne/cmであった。
【0050】
上記で得た共押出多層フィルム(X5)の表面処理をしていない側の樹脂層(A)に帯電防止剤を0.2%配合したLDPEを溶融押出により20μmの押出ラミネートを実施した。
【0051】
実施例6
表面の樹脂層(A)用樹脂としてCOC(1)、内層の樹脂層(A)用樹脂としてCOC(3)を用いた。樹脂層(B)用樹脂として、LLDPEを用いた。フィルムの各層の厚さが2.5μm/20μm/2.5μm(合計25μm)となるように
参考例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、共押出多層フィルム(X6)を得た。樹脂層(A)にコロナ処理を施し、濡れ試薬による表面張力は45dyne/cmであった。
【0052】
上記で得た共押出多層フィルム(X6)の表面処理をしていない側の樹脂層(A)に帯電防止剤を0.2%配合したMRCPを溶融押出により20μmの押出ラミネートを実施した。
【0053】
実施例7
樹脂層(A)用樹脂として、COC(1)20質量部及びCOC(3)40質量部及びノルボルネン系モノマーの開環重合体〔三井化学株式会社製「アペル AP6013T」、MFR:15g/10分(260℃、21.18N)、ガラス転移温度:125℃;以下、「COC(2)」という。〕40質量部の樹脂混合物を用いた。また樹脂層(B)用樹脂として、LLDPEを用いた。フィルムの各層の厚さが8μm/9μm/8μm(合計25μm)となるように
参考例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、共押出多層フィルム(X7)を得た。樹脂層(A)にコロナ処理を施し、濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。
【0054】
上記で得た共押出多層フィルム(X7)の表面処理をしていない側の樹脂層(A)に帯電防止剤を0.2%配合したLDPEを溶融押出により20μmの押出ラミネートを実施した。
【0055】
実施例8
表面の樹脂層(A)用樹脂として、COC(2)70質量部及び高密度ポリエチレン〔密度:0.960g/cm3、融点128℃、MFR:10g/10分(190℃、21.18N);以下、「HDPE」という。〕を30質量部の樹脂混合物を用いた。また樹脂層(B)用樹脂として、LLDPEを用いた。内層の樹脂層(A)用樹脂としては、COC(1)50質量部とCOC(3)50質量部の樹脂混合物を用いた。フィルムの各層の厚さが9μm/12μm/9μm(合計30μm)となるように
参考例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、共押出多層フィルム(X8)を得た。表面の樹脂層(A)にコロナ処理を施し、濡れ試薬による表面張力は41dyne/cmであった。
【0056】
上記で得た共押出多層フィルム(X8)の表面処理をしていない側の樹脂層(A)に帯電防止剤を0.2%配合したLDPEを溶融押出により20μmの押出ラミネートを実施した。
【0057】
実施例9
表面の樹脂層(A)用樹脂として、COC(1)を、内層の樹脂層(A)用樹脂として、COC(3)を用いた。中間の樹脂層(B)用樹脂として、LMDPEを用いた。更に内層の樹脂層(A)上に積層する樹脂層(B)用樹脂として、VLLDPEを用いた。フィルムの各層の厚さが18μm/40μm/18μm/14μm(合計90μm)となるように
参考例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、共押出多層フィルム(X9)を得た。表面の樹脂層(A)にコロナ処理を施し、濡れ試薬による表面張力は45dyne/cmであった。
【0058】
実施例10
樹脂層(A)用樹脂として、COC(1)50質量部及びCOC(3)50質量部の樹脂混合物を用いた。中間の樹脂層(B)用樹脂として、LMDPEを用いた。最外層の樹脂層(B)用樹脂として、VLLDPEを用いた。フィルムの各層の厚さが10μm/25μm/10μm/5μm(合計50μm)となるように
参考例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、共押出多層フィルム(X10)を得た。表面の樹脂層(A)にコロナ処理を施し、濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。
【0059】
比較例1
表面樹脂層用樹脂としてCOC(1)を用いた。中間層用樹脂として、ホモポリプロピレン〔密度:0.900g/cm3、融点160℃、MFR:7g/10分(230℃、21.18N)、;以下、「PP」という。〕を用いた。フィルムの各層の厚さが10μm/10μm(合計20μm)となるように
参考例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、共押出多層フィルム(Y1)を得た。表面樹脂層にコロナ処理を施し、濡れ試薬による表面張力は40dyne/cmであった。
【0060】
上記で得た共押出多層フィルム(Y1)の中間樹脂層にヒートシール性樹脂として帯電防止剤を0.2%配合したLDPEを溶融押出により20μmの押出ラミネートを実施した。
【0061】
比較例2
表面樹脂層用樹脂としてCOC(1)を用いた。中間層用樹脂として、LMDPEを用いた。フィルムの各層の厚さが36μm/4μm(合計40μm)となるように
参考例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、共押出多層フィルム(Y2)を得た。表面樹脂層にコロナ処理を施し、濡れ試薬による表面張力は40dyne/cmであった。
【0062】
比較例3
表面樹脂層用樹脂として、COC(1)20質量部と、HDPE80質量部の混合物を用いた。中間層用樹脂として、LMDPEを用いた。フィルムの各層の厚さが4μm/100μm(合計104μm)となるように
参考例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、共押出多層フィルム(Y3)を得た。表面樹脂層にコロナ処理を施し、濡れ試薬による表面張力は38dyne/cmであった。
【0063】
上記で得た共押出多層フィルム(Y3)の中間層側に帯電防止剤を0.2%配合したMRCPを溶融押出により20μmの押出ラミネートを実施した。
【0064】
比較例4
フタムラ化学社製セロハン(#300)上にヒートシール性樹脂として帯電防止剤を0.2%配合したLDPEを溶融押出により20μmの押出ラミネートを実施した。
【0065】
上記の
参考例1、実施例2〜10及び比較例1〜4で得られた多層フィルムを用いて、下記の試験及び評価を行った。
【0066】
手切れ性
上記で得られた多層フィルムを、フィルムに切れ込みを入れずに、2枚重ねをした状態で、スムーズに手で引き裂けるかどうかを下記の基準によって引き裂き性を評価した。評価は長手方向(MD)および幅方向(TD)に対して、それぞれ実施した。
○:容易に手で引き裂くことができるもの。
×:容易には手で引き裂くことができないもの。
【0067】
インキ密着性
DIC(株)社製表刷りインキアルティマNT白を用い、乾燥後の塗膜の厚さが2μmになるようにコロナ処理を行なった表面に塗布し、乾燥し、評価フィルムを得た。40℃、24時間放置後、インキ塗布表面にニチバン(株)製セロハンテープ(18mm幅)を気泡の入らないように5cmの長さで貼り、この上を5kgの荷重ロールで一定荷重を与えた。手で力強く、高速に剥離した際の、剥離状態を下記の基準によってインキ密着性を評価した。
○:インキが全く剥離しない
△:フィルム面からインキは剥離するが、剥離する面積は10%未満の場合。
×:10%以上の面積でインキが剥離する。
【0068】
高湿度下での包装機械適性
実施例、比較例で作成したフィルムを自動包装機にて、33℃、湿度80%下で下記の条件で縦ピロー包装を行い、製袋した。
包装機:合理化技研株式会社 ユニパッカーNUV472
【0069】
横シール:速度30袋/分、縦ヒートシール温度150℃、エアーゲージ圧4kg/cm
2、横ヒートシール温度120℃から160℃まで10℃刻みで変更しながら表面処理を施していない樹脂層同士をシールした。縦200mm×横150mmの平袋とした。
【0070】
収縮・シワ試験
横(合掌貼り)シール、縦シールを行なった平袋のシール部の外観観察により収縮およびヒートシールバーへのフィルム融着状況およびシワ等の入り具合により評価した。
○:シール部の収縮、シールバーへの融着およびシワ等なし
△:シール部の収縮、シールバーへの融着およびシワ等若干あり
×:シール部の収縮、シールバーへの融着およびシワ等あり
【0071】
横シール性
上記条件で製袋したフィルムを23℃で自然冷却後、15mm幅の短冊状に試験片を切り出した。この試験片を23℃、50%RHの恒温室において引張試験機(株式会社エー・アンド・ディー製)を用いて、300mm/分の速度で90°剥離を行い、ヒートシール強度を測定した。得られたヒートシール強度の値から、下記の基準によってヒートシール性を評価した。
○:ヒートシール強度が300g/15mm幅以上。
×:ヒートシール強度が300g/15mm幅未満。
【0072】
耐カール性
上記で得られたフィルムを、縦横10cm四方に切り出し、40℃湿度90%下に24時間保存した。23℃湿度50%に1時間調湿しフィルムのカール状態を観察した。平面にフィルムを広げ両端面が捲り上がった高さを測定し下記の基準によって耐カール性を評価した。
○:高さ3cm未満
△:高さ3cm以上
×:フィルム両端が重なり完全に丸まってしまう
【0073】
上記で得られた結果を表1〜2に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】