(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板に対して熱処理を施すために前記基板を複数枚保持した基板保持具を、下端が開口されてキャップにより閉じられる筒体状の処理容器に対して昇降させるようにしたローディングユニットにおいて、
外側全体を囲んでローディング室を形成するローディング用筐体と、
前記基板保持具を保持して昇降させる昇降エレベータ機構と、
前記基板保持具が降下された時に前記処理容器の下端の開口部を閉じるシャッタ部と、
降下された前記基板保持具に対して前記基板の移載を行うために昇降可能になされた移載アームを有する基板移載機構と、
所定の隙間を介して同心円状に配置された内筒と外筒とにより二重管構造に形成されて前記昇降エレベータ機構を囲むように設けられると共に昇降される前記基板保持具の移動範囲を囲むようにして設けられた第1の区画箱と、
前記第1の区画箱に連結され、前記基板移載機構と該基板移載機構の移動範囲を囲むようにして設けられた第2の区画箱と、
前記第1の区画箱に連結され、前記シャッタ部を囲むようにして設けられた第3の区画箱と、
前記内筒の全周に亙って設けられる複数のガス噴射孔を有すると共に前記内筒と前記外筒との間の隙間に供給される冷却ガスを前記ガス噴射孔を介して前記第1の区画箱の内側に噴射するようにした冷却ガス噴射手段と、
を備えるように構成したことを特徴とするローディングユニット。
前記基板保持具は、前記基板を支持するウエハボートと、前記ウエハボートの下端部を支持する保温筒とを有し、前記基板保持具の降下時に前記保温筒に対応して降下させるようにした補助冷却手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のローディングユニット。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係るローディングユニット及び処理システムの一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係るローディングユニットを備える処理システム全体を示す断面図、
図2は
図1中のA−A線に沿った断面図、
図3は基板移載機構の部分を示す横断面図、
図4はシャッタ部の部分を示す横断面図、
図5は開閉ゲート部の一例を示す断面図、
図6は開閉ゲート部の一例を示す平面図、
図7は冷却ガス噴射手段に用いる不活性ガス(冷却ガス)のガス循環系の一例を示す系統図である。
【0017】
図1及び
図2に示すように、この処理システム2全体は、清浄空気のダウンフローが形成されているクリーンルーム内の床面に設置されている。そして、処理システム2の全体は、例えばステンレススチール等よりなる大きな筐体4によりその外殻が形成されている。
【0018】
この筐体4内には高さ方向に例えばステンレススチールよりなる中央区画壁6が設けられており、内部を左右に2分割してフロント側(
図1中の右側)がストッカユニット8として形成されている。また、上記中央区画壁6と筐体4のリア側の裏面区画壁10との間には、水平方向に例えばステンレススチールよりなる区画壁としてのベースプレート12が設けられており、内部を上下に2分割して上側に処理ユニット14を形成し、下側にローディングユニット16を形成している。従って、上記ローディングユニット16と先のストッカユニット8とは互いに並設された状態となっている。
【0019】
そして、この筐体4の底部を区画する底板区画壁18により、この処理システム2の全体の荷重が支えられている。上記ストッカユニット8の前面区画壁20の下部には、半導体ウエハ等よりなる複数枚の基板Wが収容された基板容器22を載置する搬出入ポート24が設けられている。この基板容器22の前面には、開閉可能な蓋22Aが取り付けられている。そして、この搬出入ポート24に対応する前面区画壁20には、開閉ドア26で開閉される搬出入口28が設けられており、上記基板容器22をストッカユニット8内へ搬出入できるようになっている。
【0020】
上記基板容器22としては、例えば25枚程度の基板Wを収容し得るカセットやFOUP(登録商標)と称される密閉容器を用いることができる。ここでは密閉容器が用いられており、その内部には基板Wの酸化を防止するためにN
2 ガス等の不活性ガスが封入されている。
【0021】
上記ストッカユニット8内には、上下方向に沿って複数段になされたストック棚30が設けられており、このストック棚30に未処理の基板Wや処理済みの基板Wを収容した基板容器22を載置して待機させるようになっている。そして、このストッカユニット8内には容器移載機構32が設けられている。具体的には、この容器移載機構32は、上下方向へ起立させて設けた案内レール34と、この案内レール34に沿って上下動する容器搬送アーム36とを有している。この案内レール34には、例えばモータにより駆動されるボールネジが含まれる。また容器搬送アーム36は、水平方向へ向けて屈曲自在になされると共に、水平面内で回転可能になされており、上記搬出入ポート24と上記ストック棚30との間で基板容器22を搬送し得るようになっている。
【0022】
また、このストッカユニット8内には、上記中央区画壁6に取り付けた容器移載ポート38が設けられると共に、この容器移載ポート38上に上記基板容器22を載置できるようになっている。この容器移載ポート38と上記ストック棚30又は搬出入ポート24との間の基板容器22の搬送は上記容器搬送機構32を用いて行われる。
【0023】
また、この容器移載ポート38を取り付ける上記中央区画壁6には開閉ドア40で開閉される基板搬出入口42が設けられており、この基板搬出入口42を介して上記容器移載ポート38とローディングユニット16内との間で基板Wを搬出入できるようになっている。また、上記ストッカユニット8内には、清浄空気のダウンフローが形成されている。
【0024】
そして、上記処理ユニット14内には、下端部が開口された開口部44を有する円筒体状の処理容器46が設けられている。この処理容器46は、例えば耐熱性及び耐腐食性の石英よりなる容器本体48と、この容器本体48の下端部に設けられる例えばステンレススチール製のマニホールド50とを有する。そして、このマニホールド50の下端が上記開口部44となる。この処理容器46の下部は、上記ベースプレート12により支持されており、ここで処理容器46の荷重を支えるようになっている。
【0025】
そして、この処理容器46の外周側には、筒体状の加熱ヒータ部54が同心円状に設けられており、この処理容器46内へ収容される基板を加熱するようになっている。またこの処理容器46のマニホールド50の側壁には、
図2に示すように熱処理に必要な各種のガスを供給するガス供給系51や処理容器46内の雰囲気を圧力制御しつつ排気する排気系53がそれぞれ接続されている。そして、この処理容器46内には、基板Wを多段に保持した基板保持具56が収容できるようになっている。
【0026】
この基板保持具56は、上記基板Wを所定のピッチで多段に支持する石英製のウエハボート58と、このウエハボート58の下部に設けられてこれを支持しつつ基板Wの温度を維持する石英製の保温筒60とを有している。この保温筒60は、上記処理容器46の開口部44を閉じる例えばステンレススチールよりなるキャップ62側に回転可能に、或いは固定的に支持される。そして、このキャップ62の周辺部と上記マニホールド50の下端部との間には、例えばOリング等よりなるシール部材64が介在され、処理容器46内を気密に密封できるようになっている。上記基板保持具56の昇降は、ローディングユニット16に設けた昇降エレベータ機構66(
図2参照)により行うようになっている。
【0027】
ここで上記ローディングユニット16の外殻は、ローディング用筐体68により構成され、この内側が気密に密閉されたローディング室70となっている。従って、このローディング室70は、
図1中においてローディング用筐体68を形成する上記ベースプレート12、裏面区画壁10の下側部分、中央区画壁6の下側部分、底板区画壁18の左側部分及び筐体4の側面区画壁19の下側部分(
図2参照)により区画されている。
【0028】
このように、上記ローディング用筐体68は、上記処理ユニット14の下部に連設された状態となっている。また、上記ベースプレート12は、処理ユニット14を区画する区画壁と共用され、また、中央区画壁6はストッカユニット8を区画する区画壁と共用されることになる。
【0029】
そして、上記処理容器46の直下の部分とストッカユニット8の容器移載ポート38との間には、基板保持具56のウエハボート58に対して基板Wの移載を行う基板移載機構72が設けられている。具体的には、この基板移載機構72は、中央区画壁6より延びる固定アーム74により上下端が支持されて上下方向へ起立させて設けた案内レール76と、この案内レール76に沿って上下動する移載アーム78とを有している。この案内レール76には、例えばモータにより駆動されるボールネジが含まれる。また上記移載アーム78は、複数本設けられており、水平面内で旋回及び屈伸可能になされて、上記ウエハボート58と上記容器移載ポート38上に設置された基板容器22との間で一度に複数板の基板Wを移載できるようになっている。
【0030】
また、上記基板保持具56を昇降させる上記昇降エレベータ機構66は、
図2にも示すように上下方向へ起立させて設けた案内レール80と、この案内レール80に沿って上下動する保持アーム82とを有している。この案内レール80には、例えばモータにより駆動されるボールネジが含まれる。ここでは、この案内レール80の上端をベースプレート12に固定し、下端を底部区画壁18に固定している。そして、上記保持アーム82は、水平方向に延びて、この保持アーム82で上記基板保持具58の下部を支えて保持するようになっている。
【0031】
また処理容器46の下端部の外周側のローディング室70内には、中央部の下方が上記開口部44として開口されたスカベンジャ箱84が設けられると共に、この開口部44には基板保持具56を下方へアンロードした時に閉じられるシャッタ部86が開閉可能に設けられている。具体的には、このシャッタ部86は、上記開口部44に接してこれを密閉するシャッタ本体86Aと、このシャッタ本体86Aを上下方向と水平方向へ移動させる開閉駆動アクチュエータ86Bとよりなっている。そして、このスカベンジャ箱84には、この内部雰囲気を排気する排気通路88が接続されており、処理容器46内の排気熱がローディング室70内へ流れ込むことを防止するようになっている。
【0032】
そして、このローディング室70内には、上記昇降エレベータ機構66とアンロードされた基板保持具56とを囲む第1の区画箱90と、上記第1の区画箱90に連結されて上記基板移載機構72を囲む第2の区画箱92と、上記第1の区画箱90に連結されて上記シャッタ部86を囲む第3の区画箱94と、上記第1の区画箱90内へ冷却ガスを噴射する冷却ガス噴射手段96とが設けられている。上記第1〜第3の各区画箱90、92、94は、それぞれ例えばステンレススチールのような金属により形成されている。
【0033】
具体的には、上記第1の区画箱90は、上記アンロードされた基板保持具56の周囲を囲むようにして設けた内筒98と、この内筒98の外側に所定の隙間を介して同心円状に設けた外筒100とを有しており、これら内筒98と外筒100とは二重管構造になっている。これらの内筒98と外筒100の各上端は、上記スカベンジャ箱84に接続され、各下端は底板区画壁18に接続されている。
【0034】
これにより、昇降される上記基板保持具56の上下方向への移動範囲を囲むようになっている。上記内筒98と外筒100の昇降エレベータ機構66側は、上下方向に沿って切り欠かれたような状態となっており、この切り欠かれた部分と上記筐体4の側面区画壁19(
図3参照)との間で、上記昇降エレベータ機構66を両側から囲むようにして一対のエレベータ区画壁102が設けられている。
【0035】
この一対のエレベータ区画壁102の上端は、上記ベースプレート12及びスカベンジャ箱84に接続され、下端は底部区画壁18に接続されており、これにより、上記エレベータ機構66及びこの移動範囲を囲むようになっている。この結果、
図3に示すように、上記内筒98内のウエハボート収容エリア104とエレベータ収容エリア106とは連通状態になされており、全体として気密状態になされている。
【0036】
また上記内筒98には、降下されている基板保持具56に対向させるようにして、複数のガス噴射孔108が形成されている。このガス噴射孔108は、上記冷却ガス噴射手段96の一部を形成するものであり、上記内筒98の全周及び高さ方向に亘って多数設けられている。そして、後述するように、上記内筒98と外筒100との間の隙間110に供給される冷却ガスを矢印112に示すように各ガス噴射孔108から噴射するようになっている。そして、上記内筒98と外筒100との間の隙間110に対して不活性ガスよりなる冷却ガス、例えば窒素ガスを導入するためのガス導入口114(
図1及び
図7参照)が形成されると共に、導入されたガスを排出するためのガス排出口116(
図3及び
図7参照)が形成されている。
【0037】
従って、上記内筒98と外筒100との間の隙間110が冷却ガスのヘッダとして機能していることになる。そして、上記第1の区画箱90と第2の区画箱92との連結部には、内部を互いに連通又は遮断するための開閉ゲート部122が設けられている(
図3参照)。具体的には、上記第1の区画箱90の内筒98と外筒100の基板移載機構72側は上下方向に沿って基板Wが通過できる幅で切り欠かれた状態となっており、ここに開口部120が形成されている。
【0038】
この開口部120の上下方向の長さは上記ウエハボート58と同じ長さに設定されており、上記基板移載機構72の移載アーム78が上記開口部120を通過して基板Wの移載ができるようになっている。そして、上記内筒98と外筒100との間の隙間110内には、上記開口部120を開閉するために上記開閉ゲート部122が設けられている。この開閉ゲート部122の構造については後述する。
【0039】
そして、上記第2の区画箱92は、上記基板移載機構72とこの基板移載機構72の移動範囲を囲むようにして設けた移載機構区画壁124を有している。
図3に示すように、この移載機構区画壁124の一端は、上記第1の区画箱90の外筒100の外面に接続されており、その内側に上記開口部120が位置されている。
【0040】
また、この移載機構区画壁124の他端は、中央区画壁6の基板搬出入口42の両側に接続されている。また、この第2の区画箱92の天井部側及び底部側も移載機構区画壁124により囲まれている。従って、この第2の区画箱92内は気密状態の移載機構収容エリア126となっている。そして、上記移載アーム78の屈曲方向の移載機構区画壁124には、上記移載アーム78の屈曲を許容するように外側へ突出した膨み部128(
図3参照)が形成されており、移載アーム78と移載機構区画壁124とが衝突しないようになっている。
【0041】
そして、この移載機構収容エリア126に対して不活性ガスよりなる冷却ガスを導入するためのガス導入口130(
図1及び
図7参照)が形成されると共に、導入されたガスを排出するためのガス排出口132(
図1及び
図7参照)が形成されている。
【0042】
更に、上記第1の区画箱90と第3の区画箱94との連結部、すなわち第1の区画箱90の上端部側には、内部を互いに連通又は遮断するための開閉ゲート部134が設けられている(
図4参照)。具体的には、上記第1の区画箱90の内筒98と外筒100のシャッタ部86側はシャッタ本体86Aが通過できる幅で切り欠かれた状態となっており、ここに開口部136が形成されている。そして、この開口部136を通過してシャッタ本体86Aが第1の区画箱90内に対して侵入及び退避をすることができるようになっている。そして、上記内筒98と外筒100との間の隙間110内には、上記開口部136を開閉するために上記開閉ゲート部134が設けられている。この開閉ゲート部134の構造については後述する。
【0043】
そして、上記第3の区画箱94は、上記シャッタ部86とこのシャッタ部86の移動範囲を囲むようにして設けたシャッタ部区画壁138を有している。
図4に示すように、このシャッタ部区画壁138の一端は、上記第1の区画箱90の外筒100の外面に接続されており、その内側に上記開口部136が位置されている。
【0044】
このシャッタ部区画壁138の全体は、箱状になされており、従って、この第3の区画箱94内は気密状態のシャッタ部収容エリア140となっている。そして、このシャッタ部収容エリア140に対して不活性ガスよりなる冷却ガスを導入するためのガス導入口142(
図1及び
図7参照)が形成されると共に、導入されたガスを排出するためのガス排出口144(
図1及び
図7参照)が形成されている。
【0045】
ここで上記第1の区画箱90と第2及び第3の区画箱92、94との間を開閉する上記2つの開閉ゲート部122、134について説明する。ここ両ゲート部は、大きさの大小の相異はあるが、構造的に同じなので、ここでは第1と第2の区画箱90、92との間を開閉する開閉ゲート部122を例にとって
図5及び
図6を参照しつつ説明し、他方の開閉ゲート部134の説明は省略する。
図5(A)は開口部を開閉ゲート部で密閉する前の状態を示し、
図5(B)は開口部を開閉ゲート部で密閉した状態を示している。また
図6は
図5(A)中のB−B線矢視の平面図を示している。
【0046】
この開閉ゲート部122は、開口部120の面積よりも少し大きくなされた2枚で一対の平行に配置されたゲート板150を有している。この2枚のゲート板150は、筒体状の第1の区画箱90の内筒98と外筒100の間の隙間110内をその周方向に沿って移動できるように曲面状に成形されている。
【0047】
上記各ゲート板150の下部には、ゲート板150をその曲面方向に沿って水平方向へ移動させる水平移動機構154が設けられる。具体的には、この水平移動機構154は、上記ゲート板150の下端部に設けたラック156と、内筒98及び外筒100側へ取り付けられて上記ラック156と歯合するピニオン158とを有し、両ピニオン158を同期させて正逆回転させることによりこのゲート板150を開口部側に向けて水平移動できるようになっている。尚、上記水平移動機構154は、ラック156とピニオン158の組み合わせに限定されず、ゲート板150を水平方向に移動できる機構ならばどのような機構を用いてもよい。
【0048】
また、上記開口部120の周囲の近傍の隙間110内には、この開口部120と同じか、又は大きくなされた開口160を有する固定枠162が設けられている。この固定枠162は、隙間110の幅方向の中央に位置され、取付アーム163等で内筒98又は外筒100側へ固定されている。ここでは取付アーム163は外筒100側へ固定されている。
【0049】
そして、この固定枠162の両面側には、開口部120に位置された上記ゲート板150の周辺部に対応させて押圧ピン164が設けられている。この押圧ピン164は、ゲート板150の周辺に沿って対応するようにそれぞれ複数個設けられており、
図5(B)に示すように、これらの押圧ピン164を出没させることにより、上記一対のゲート板150の内の一方を内筒98側へ、他方を外筒100側へそれぞれ同期させて押圧して密閉できるようになっている。この場合、上記内筒98と外筒100の対向面には、上記開口部120の周辺部に沿って例えばOリングよりなるシール部材166が環状に設けられており、このシール部材166に上記ゲート板150を押圧させることで密閉時におけるシール性を高めるようになっている。
【0050】
そして、ローディングユニット16には、上記第1〜第3の区画箱90、92、94内へ不活性ガスよりなる冷却ガスを循環させるために
図7に示すようなガス循環系170が設けられている。
【0051】
このガス循環系170は、不活性ガスを循環させる循環通路172を有している。この循環通路172の一端の上流側は上記第1の区画箱90のガス排出口116に接続され、他端の下流側は上記第1の区画箱90のガス導入口114に接続されおり、上記第1の区画箱90との間で循環系を形成している。
【0052】
そして、この循環通路172の途中には、ガスの流れ方向に沿って第1の開閉弁172A、冷却器192、送風ブロワ174及び第2の開閉弁172Bが順次介設されており、不活性ガスを冷却しつつ循環使用し得るようになっている。上記送風ブロワ174としては例えばシロッコファンを用いることができるが、これに限定されない。
【0053】
また、上記第1の開閉弁172Aと冷却器192との間の循環通路172には、不活性ガス、例えばN
2 ガスを補給するためのガス補給路194が分岐させて設けられており、このガス補給路194の途中にはガスの流れ方向に沿ってマスフローコントローラのような流量制御器194A及び開閉弁194Bが順次介設されている。更に、上記第1の開閉弁172Aの直ぐ上流側の循環通路172には、工場ダクトへ通じるガス排気路196が分岐させて設けられており、このガス排気路196の途中には開閉弁196Aが介設されて、不要なガスを工場ダクト側へ流して大気放散させるようになっている。
【0054】
また、上記第2及び第3の区画箱92、94内へも不活性ガスを供給できるようになっている。すなわち不活性ガスを補給する他のガス補給路182は2つのガス導入分岐路178、180に分岐されている。そして、一方のガス導入分岐路178は、その途中にマスフローコントローラのような流量制御器178A及び開閉弁178Bが順次介設されて、第2の区画箱92のガス導入口130へ接続されている。
【0055】
また、他方のガス導入分岐路180は、その途中にマスフローコントローラのような流量制御器180A及び開閉弁180Bが順次介設されて、第3の区画箱94のガス導入口142へ接続されている。尚、上記2つのガス補給路182、194を形成するには、1本のガス補給路から分岐させて他方のガス補給路を形成するようにしてもよい。
【0056】
そして、上記第2の区画箱92のガス排出口132からは途中に開閉弁184Aを介設したガス排気路184が延びている。また、上記第3の区画箱94のガス排出口144からは途中に開閉弁186Aを介設したガス排気路186が延びている。そして、上記各ガス排気路184、186、196は一本に合流されて、上述のように工場ダクト側へ排気するようになっている。上記構成により、各開閉弁の弁操作を行うことにより、第1〜第3の各区画箱90、92、94内へは、必要に応じて選択的に不活性ガスを供給できるようになっている。
【0057】
また、上記第1〜第3の各区画箱90、92、94内には、それぞれ酸素濃度測定器200、202、204が設定されており、各区画箱90、92、94中の酸素濃度を測定できるようになっている。そして、これらの各酸素濃度測定器200、202、204の各測定値は、雰囲気制御部206へ伝達されるようになっている。この雰囲気制御部206は、上記酸素濃度の測定値が設定値よりも低下した時に新たなN
2 ガスを供給したり、或いは基板Wの熱処理に伴って冷却ガスとして不活性ガスが必要になる時など、必要に応じて各開閉弁の開閉動作を行って不活性ガスを流すようになっており、第1〜第3の区画箱90、92、94内の雰囲気の酸素濃度を常時、設定値以下となるようにしている。そして、以上のように形成された処理システム2の全体の動作は、図示しないコンピュータ等よりなるシステム制御部により制御される。
【0058】
次に、以上のように構成された本発明の処理システムの動作について説明する。まず、全体の流れについて説明すると、ローディング室70内に設けた第1〜第3の各区画箱90、92、94内は、不活性ガスである窒素ガス雰囲気に満たされており、酸素濃度は一定の値以下に設定されている。すなわち、
図7に示すように、窒素ガスはガス補給路194を介してガス循環系170内に流量制御されつつ流れ、循環通路172を流れた窒素ガスは、第1の各区画箱90内へガス導入口114を介して導入される。
【0059】
そして、第1の区画箱90内の雰囲気はガス排出口116を介して循環通路172内へ再び流れて循環されて行く。また、第2及び第3の区画箱92、94内へも、窒素ガスがガス補給路182及びガス導入分岐路178、180を介してそれぞれ流量制御されつつ供給される。ここで第1〜第3の各区画箱90、92、94内に設けた酸素濃度測定器200、202、204の測定値が酸素濃度の測定値よりも高い場合には、上記各ガス排気路184、186、196に設けた各開閉弁184A、186A、196Aをそれぞれ個別に開いて工場ダクト側へ棄てられることになる。上記第1〜第3の各区画箱90、92、94内の雰囲気の排気は各第1〜第3の各区画箱90、92、94毎に独立して制御される。この時、第1の区画箱90内を流れてきた雰囲気を排気する場合には、循環通路172の第1の開閉弁172Aは閉じられている。
【0060】
このようにして、第1〜第3の各区画箱90、92、94内の空気が窒素ガスと置換されて全ての酸素濃度測定器200、202、204の測定値が設定値よりも低くなったならば、上記ガス排気路196の開閉弁196Aを閉じると共に、第1の開閉弁172Aを開いて窒素ガスを循環通路172内に循環させる(第2の開閉弁172Bは開状態となっている)。すなわち、この窒素ガスは冷却器192で冷却され、送風ブロワ174で圧送されて循環されて行く。そして、ガス補給路194の開閉弁194Bを閉じることにより、窒素ガスの供給は停止する。
【0061】
ここで第1〜第3の各区画箱90、92、94では、少しずつ雰囲気の洩れが生じることは避けられないので、上記各ガス補給路182、194に通じる開閉弁178B、180B、194Bは断続的、或いは連続的に開くようにして、不足した窒素ガスをそれぞれ適宜補充する。そして、上記各酸素濃度測定器200、202、204では常時、酸素濃度の測定が行われており、いずれかの酸素濃度測定器の測定値が設定値よりも高くなった場合には、直ちに上述したように、該当する区画箱内へ新たな窒素ガスが供給され、同時に該当する区画箱内の雰囲気は設定値以上の濃度の酸素を含んでいるのでガス排気路184、186、196を介して工場ダクト側へ排気されることになる。そして、第1の区画箱90内においては、酸素濃度の測定値が設定値以下になったならば、窒素ガスは再度循環使用されることになる。このような動作は、以下に説明する基板Wの熱処理中においても常時行われている。
【0062】
さて、上述のようにして、第1〜第3の各区画箱90、92、94内の雰囲気が窒素ガスに置換された状態で、基板Wの熱処理が行われる。まず、前工程にて処理が完了された複数枚の基板Wは、不活性ガスである窒素ガス雰囲気で満たされた基板容器22内に収容された状態で、処理システム2のフロント側の搬出入ポート24上に設置される。この搬出入ポート24に設置された基板容器22は、この搬出入ポート24の開閉ドア26を開いた後に、容器移載機構32の容器搬送アーム36により保持されて、ストッカユニット8内に取り込まれる。
【0063】
この取り込まれた基板容器22は、一時的にストック棚30上に載置されて待機される。そして、処理の順番がきた時に、この基板容器22は上記容器移載機構32を再度用いて、中央区画壁6に設けた容器移載ポート38上に載置されることになる。この容器移載ポート38上に基板容器22を載置したならば、反対側の基板搬出入口42側の開閉ドア40を開く。
【0064】
この際、基板搬出入口42に設けた蓋開閉機構(図示せず)により基板容器22の蓋22Aを同時に取り外して基板容器22内を開放する。この場合、上記容器移載ポート38上に載置した基板容器22を図示しないアクチュエータで基板搬出入口42の周縁部に気密状態になるように押し付け、このように押し付けた状態で上記基板容器22の蓋22Aを、ローディング室70内の開閉ドア40と共に開放させる。
【0065】
そして、ローディング室70内の基板移載機構72の移載アーム78を用いて、上記基板容器22内の全ての基板Wを、アンロードされている基板保持具56のウエハボート58上に移載する。この際、第1と第2の区画箱90、92の連結部に設けた開閉ゲート部122は、横方向へスライド移動されて、開口部120は開放されている。そして、上記操作を繰り返すことにより、複数の基板容器22内の基板Wが全てウエハボート58に移載され、例えば満載状態にされる。この際、移載アーム78は、移載のためにウエハボート58の高さ方向に沿って上下移動される。
【0066】
上述のように、基板Wがウエハボート58に満載されたならば、上記開閉ゲート部122を閉方向にスライド移動させて開口部120を閉じると共に、上記昇降エレベータ機構66を駆動して保持アーム82を上昇させ、このウエハボート58を処理ユニット14の処理容器46内へその下方より挿入して
図1中の仮想線に示すように基板Wを処理容器46内へロードする。この際、処理容器46の下端の開口部44に設けていたシャッタ本体86Aは第3の区画箱94内に収容されており、上記開口部44は開放状態になっている。そして、ウエハボート58を含む基板保持具56が完全に上昇してロードされることにより、上記キャップ62により処理容器46の下端の開口部44が密閉されることになる。
【0067】
このように処理容器46内を密閉したならば、処理容器46の外周に設けた加熱ヒータ部54により処理容器46内へロードされた基板Wをプロセス温度まで昇温し、この処理容器46内に所定の処理ガスを流すと共に所定のプロセス圧力に維持し、成膜処理等の所定の熱処理を施すことになる。
【0068】
このようにして、基板Wに対する所定の熱処理が終了したならば、前述した動作と逆の操作を行って処理済みの基板Wを搬出する。まず、昇降エレベータ機構66を駆動して保持アーム82を降下させることにより、ウエハボート58を含む基板保持具56を処理容器46内から下方へ取り出すことにより基板Wをアンロードする。
【0069】
この際、第1と第3の区画箱90、94の連結部に設けた開口部136は開閉ゲート部134で閉じておき(
図4参照)、また、第1と第2の区画箱90、92の連結部に設けた開口部120は開閉ゲート部122で閉じておき(
図3参照)、ローディング室70内を密閉状態にしておく。そして、ウエハボート58の降下の開始と同時に、冷却ガス噴射手段96の各ガス噴射孔108より、
図3中の矢印112に示すように冷却ガスを噴射し、高温状態の降下しつつある基板Wを冷却する。
【0070】
すなわち、ここでは
図7に示すように、ローディング室70に通じる循環通路172の第2の開閉弁172Bを開くことにより、冷却ガスをガス導入口114から内筒98と外筒100との間の隙間110内へ導入し、この導入した冷却ガスを上述したように各ガス噴射孔108より基板Wの周囲から基板Wに向けて噴射し続けることにより、基板Wを冷却させる。
【0071】
そして、基板保持具56のアンロードが完了した時点で、第1と第3の区画箱90、94の連結部に設けた開閉ゲート部134を、隙間110内へスライド移動させて開口部136を開き、そして、第3の区画箱94内に収容していたシャッタ部86を駆動して、このシャッタ本体86Aによりスカベンジャ箱84の開口部、すなわち処理容器46の開口部44を閉じ、熱排気がローディング室70内へ流入しないようにする(
図4参照)。
【0072】
そして、上記ガス噴射孔108より噴射された冷却ガス(窒素ガス)は、ガス排出口116(
図7参照)より流出して循環通路172を介して流される。そして、この冷却ガスは基板Wの冷却により高温になるので、冷却器192で冷却された後、再度、循環通路172内を流れて循環使用されることになる。
【0073】
この際、従来の処理システムにあっては、大きな容量のローディング室全体に亘って窒素ガスよりなる冷却ガスを流していたことから、多量の窒素ガスを必要とし且つ冷却効率がそれ程高くないことから冷却に長時間を要していたが、本発明の場合には、ローディング室70内に区画して設けた容量の小さな第1の区画箱90内に冷却ガスを流すようにしたので、窒素ガスの使用量は少量で済み、且つ基板Wの周方向から冷却ガスを吹き付けるようにしているので、冷却効率を上げて基板Wを短時間で迅速に冷却することが可能となる。
【0074】
そして、上記した冷却操作により、基板Wが所定の温度まで冷却されたならば、第2の区画箱92内である移載機構収容エリア126内に設けた酸素濃度測定器202(
図7参照)の測定値が所定の濃度値以下であることを確認した後、開閉弁178Bを閉じることにより冷却ガス噴射手段96のガス噴射孔108から噴射していた冷却ガスを停止する。そして、第1と第2の区画箱90、92との連結部に設けた開閉ゲート部122を間隙110内へスライド移動させて開口部120を開き、このウエハボート収容エリア104と移載機構収容エリア126とを連通させる(
図3参照)。
【0075】
そして、上記所定の温度まで冷却された基板Wは、前述した搬送経路とは逆の経路を辿って搬出される。すなわち、ウエハボート58中の処理済みの基板Wは、基板移載機構72の移載アーム78により取り出され、この基板Wは、容器移載ポート38上に載置されている空の基板容器22内へ収容される。そして、この容器移載ポート38の開閉ドア40及び基板容器22の蓋22Aを共に閉じた後に、この処理済みの基板容器22は、容器移載機構32の容器搬送アーム36を用いて、一時的にストック棚30内へ保管された後に、或いは直接的に搬出入ポート24へ搬出されることになる。これ以降は、前述したように、未処理の基板Wが、ウエハボート58に移載されて、熱処理が繰り返し行われることになる。
【0076】
このように、本発明では、大容量のローディング室70内を更に小容量になるように分離区画して形成した第1〜第3の区画箱90、92、94内に不活性ガスを流すようにしたので、使用する不活性ガスの使用量を大幅に削減することができる。特に、処理済みの高温状態の基板Wを冷却するために冷却ガスを流す場合には、第1の区画箱90の内筒98と外筒100との間に形成した隙間110に流した冷却ガスを、内筒98に設けた多数のガス噴射孔108から基板Wに向けて噴射するようにしたので、冷却に使用する冷却ガスの流量は非常に少量で済み、ガス使用量を削減することができる。しかも、基板Wの周縁部に接近してガス噴射孔108は設けられているので、短時間で且つ効率的に基板Wを冷却することができ、この結果、熱処理のスループットを向上させることができることになる。
【0077】
以上のように、本発明によれば、基板Wに対して熱処理を施すための筒体状の処理容器46に対して基板を複数枚保持した基板保持具56を昇降させるようにしたローディングユニット16において、ローディング室内の必要部分のみを第1〜第3の区画箱92、94、96で区画して、この区画箱内に不活性ガスを流すようにすることにより、不活性ガスの使用量を大幅に削減することが可能であり、しかも冷却効率も向上させることができる。
また、冷却効率を向上させて迅速な冷却が可能となることから、基板に対する熱処理のスループットも向上させることができる。
【0078】
<第1変形実施例>
次に本発明のローディングユニットの第1変形実施例について説明する。先に説明した実施例では、第1の区画箱90内のウエハボート収容エリア104内へ降下してくる基板保持具56に対しては、内筒98に設けた多数のガス噴射孔108から均等に冷却ガスを吹き付けるようにしたが、上記多数のガス噴射孔108からのガス噴射に加えて上記基板保持具56の熱容量が大きい部分、すなわち保温筒60に対して特に多量の冷却ガスを噴射して、基板保持具56の全体の冷却高率をより向上させるようにしてもよい。
図8はこのような本発明のローディングユニットの第1変形実施例を示す部分拡大断面図である。
図8において
図1及び
図2に示す構成部分と同一構成部分については同一参照符号を付して、その説明を省略する。
【0079】
図8に示すように、ここでは上記基板保持具56の降下時に、上記保温筒60に対応させて降下させるようにした補助冷却手段210を設けている。具体的には、この補助冷却手段210は、第1の区画箱90のウエハボート収容エリア104内に上下方向へ起立させて設けた複数本、例えば2本の案内レール212と、この案内レール212に沿って上下動するリング状の中空状の冷却ガスヘッダ214とを有している。この案内レール212には、例えばモータにより駆動されるボールネジが含まれる。
【0080】
この冷却ガスヘッダ214の上下方向の幅は、例えば保温筒60の高さとほぼ同一になるように設定されており、この冷却ガスヘッダ214内には上記循環通路172(
図7参照)から分岐されて設けた、例えば蛇腹管のような伸縮自在で且つ可撓性のあるガス路215が接続されている。そして、この冷却ガスヘッダ214の内周面側には、その周方向に沿って複数のガス噴射孔216が形成されており、この内側に位置する保温筒60に向けて冷却ガスを吹き付けるようになっている。
【0081】
この第1変形実施例では、基板Wの熱処理が終了して基板保持具56を処理容器46から降下させてアンロードする際、内筒98に設けた多数のガス噴射孔108からの冷却ガスを噴射させるのと同時に、上記基板保持具56の保温筒60に連動させて、この補助冷却手段210のリング状の冷却ガスヘッダ214も一緒に降下させる。そして、この降下と同時に、この冷却ガスヘッダ214に設けたガス噴射孔216から上記保温筒60に対してその周方向から冷却ガスを吹き付けるようにして、この熱容量の大きな保温筒60を冷却する。これにより、先の実施例の場合よりもこの保温筒60をより効率的に且つ短時間で冷却することができるので、熱処理のスループットを一層向上させることができる。
【0082】
尚、上記各実施例では、不活性ガスを流す場合に、ガス排気路196の開閉弁196Aを用いてガスを排気するときには循環用開閉弁172Aを閉状態にして不活性ガスを循環させないようにしたが、これに限定されず、例えば上記ガス排気路196の開閉弁196A、循環用開閉弁172A及びガス補給路194の開閉弁194Aとして弁開度の調整が可能な開閉弁、すなわち流量調整が可能な開閉弁を用いて、循環する不活性ガスの一部をガス排気路196から排気させつつ残りの不活性ガスを循環使用すると共に、不足分の不活性ガスをガス補給路194から補充するようにしてもよい。また、上記不活性ガスとしてはN
2 ガスを用いた場合を例にとって説明したが、これに限定されず、He、Ar等の希ガスを用いてもよい。また、
図7においては、図示されていないが第1〜第3の区画箱90、92、94には、清浄空気を供給する供給系もそれぞれ設けられている。
【0083】
また、
図7で説明したガス循環系170は、単に一例を示したに過ぎず、ここでの構成に限定されない。また、上記各実施例では容器移載ポート38をテーブル状に形成してこの上に処理容器22を載置するようにしたが、これに限定されず、容器移載ポート38として開閉可能になされた密閉型の容器格納室を設けるようにしてもよい。この場合には、この容器格納室にも、例えば第2の区画箱92内と同様に、不活性ガスの導入口、排気口及び酸素濃度測定器を設け、不活性ガスを導入して第2の区画箱92内等と同様に管理された雰囲気とするようにしてもよい。また、
図7においては、図示されていないが、第1〜第3の区画箱90、92、94には、清浄空気を供給する供給系もそれぞれ設けられている。
【0084】
また、ここでは基板として半導体ウエハを例にとって説明したが、この半導体ウエハにはシリコン基板やGaAs、SiC、GaNなどの化合物半導体基板も含まれ、更にはこれらの基板に限定されず、液晶表示装置に用いるガラス基板やセラミック基板等にも本発明を適用することができる。