(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アルキレンジオール(a1−1)及び前記オキシアルキレンジオール(a1−2)の合計質量が、前記ウレタン樹脂(A)の製造に使用する原料の全量に対して0.1質量%〜49質量%の範囲である請求項1に記載のウレタン樹脂組成物。
前記ポリオール(a1)が、さらにポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールまたはポリカーボネートポリオールを含有するものである請求項1に記載のウレタン樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のウレタン樹脂組成物は、下記一般式(1)で示される2個以上の重合性不飽和基を有するアルキレンジオール(a1−1)または下記一般式(2)で示される2個以上の重合性不飽和基を有するオキシアルキレンジオール(a1−2)を含有するポリオール(a1)と、ポリイソシアネート(a2)とを反応させて得られる重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(A)、及び、水性媒体(B)を含有するものであることを特徴とする。
【0015】
前記ウレタン樹脂(A)としては、重合性不飽和基を有するウレタン樹脂のうち、下記一般式(1)で示される2個以上の重合性不飽和基を有するアルキレンジオール(a1−1)または下記一般式(2)で示される2個以上の重合性不飽和基を有するオキシアルキレンジオール(a1−2)を含有するポリオール(a1)と、ポリイソシアネート(a2)とを反応させて得られるものを使用する。
【0017】
(一般式(1)中のR
1は、炭素原子数1個〜9個を有する直鎖アルキレン基の側鎖に重合性不飽和基を含む原子団を2個以上有する構造を表す。)
【0019】
(一般式(2)中のR
1及びR
3はエチレン基の側鎖に重合性不飽和基を含む原子団
を有する構造を表す。R
2は、炭素原子数1個〜5個を有するアルキレン基を表す。)
【0020】
前記ウレタン樹脂(A)の製造に使用するポリオール(a1)としては、ウレタン結合が主として存在する、ウレタン樹脂(A)の主鎖に対し、その側鎖に2個以上の重合性不飽和基を導入することを目的として、前記一般式(1)で示される2個以上の重合性不飽和基を有するアルキレンジオール(a1−1)または前記一般式(2)で示される2個以上の重合性不飽和基を有するオキシアルキレンジオール(a1−2)を含有するものを使用する。前記アルキレンジオール(a1−1)及び前記オキシアルキレンジオール(a1−2)由来の重合性不飽和基は、塗膜等を形成する際にラジカル重合する。これにより、優れた伸度及び屈曲性と、高硬度とを両立した塗膜を形成することができる。
【0021】
前記アルキレンジオール(a1−1)としては、前記一般式(1)で示される構造を有するものを使用することができる。前記一般式(1)中のR
1は、炭素原子数1個〜9個の直鎖アルキレン基の側鎖に重合性不飽和基を含む原子団を2個以上有する構造を表す。例えばペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートは、一般式(1)中のR
1は、炭素原子数3個のプロピレン基の側鎖に重合性不飽和基を含む原子団を2個有する構造である。
【0022】
前記アルキレンジオール(a1−1)としては、2個以上5個以下の重合性不飽和基を有するものを使用することが好ましく、2個以上3個以下の重合性不飽和基を有するものを使用することが、優れた伸度及び屈曲性と、高硬度とを両立した塗膜を形成可能なウレタン樹脂組成物を得るうえでより好ましい。
【0023】
前記アルキレンジオール(a1−1)としては、具体的にはペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート〔ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート〕、ジメチロールメタンジ(メタ)アクリレート(一般式(1)中のR
1は、炭素原子数3個、重合性不飽和基を有する原子団2個)、ジエチロールメタンジ(メタ)アクリレート、ジエチロールプロパンジ(メタ)アクリレート(一般式(1)中のR
1は、炭素原子数5個、重合性不飽和基を有する原子団2個)、ジプロパノールメタンジ(メタ)アクリレート、ジプロパノールプロパンジ(メタ)アクリレート(一般式(1)中のR
1は、炭素原子数7個、重合性不飽和基を有する原子団2個)、ジブタノールメタンジ(メタ)アクリレート、ジブタノールプロパンジ(メタ)アクリレート(一般式(1)中のR
1は、炭素原子数9個、重合性不飽和基を有する原子団2個)等を使用することができ、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールメタンジ(メタ)アクリレートを使用することが、優れた伸度及び屈曲性と、高硬度とを両立した塗膜を形成可能なウレタン樹脂組成物を得るうえで好ましい。
【0024】
また、前記オキシアルキレンジオール(a1−2)としては、前記一般式(2)で示される構造を有するものを使用することができる。前記一般式(2)中のR
1及びR
3は、エチレン基の側鎖に重合性不飽和基を含む原子団を有する構造である。前記一般式(2)中に、前記エチレン基の側鎖に重合性不飽和基を含む原子団を有する構造を合計2個以上有し、好ましくは2個以上5個以下の範囲で有し、より好ましくは2個以上3個以下の範囲で有する。
【0025】
また、前記一般式(2)中のR
2は、炭素原子数1個〜5個を有するアルキレン基を表し、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチル基が挙げられる。
【0026】
前記オキシアルキレンジオール(a1−2)としては、具体的にはビス(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロ
ポキシ)メタン(一般式(2)中のR
1は炭素原子数2個、R
2は炭素原子数1個、R
3は炭素原子数2個、重合性不飽和基を有する原子団2個)、1,2−ビス(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロ
ポキシ)エタン(一般式(2)中のR
1は炭素原子数2個、R
2は炭素原子数2個、R
3は炭素原子数2個、重合性不飽和基を有する原子団2個)、1,3−ビス(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロ
ポキシ)プロパン(一般式(2)中のR
1は炭素原子数2個、R
2は炭素原子数3個、R
3は炭素原子数2個、重合性不飽和基を有する原子団2個)、1,4−ビス(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロ
ポキシ)ブタン(一般式(2)中のR
1は炭素原子数2個、R
2は炭素原子数4個、R
3は炭素原子数2個、重合性不飽和基を有する原子団2個)、1,5−ビス(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロ
ポキシ)ペンタン(一般式(2)中のR
1は炭素原子数2個、R
2は炭素原子数5個、R
3は炭素原子数2個、重合性不飽和基を有する原子団2個)等を使用することができる。
【0027】
前記アルキレンジオール(a1−1)及び前記オキシアルキレンジオール(a1−2)は、前記ウレタン樹脂(A)の製造に使用する原料の全量に対して、合計0.1質量%〜49質量%の範囲で使用することが、優れた伸度及び屈曲性と、高硬度とを両立した塗膜を形成可能なウレタン樹脂組成物を得るうえで好ましく、1質量%〜15質量%の範囲であることがより好ましい。なお、前記ウレタン樹脂(A)の製造に使用する原料の全量とは、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)と、鎖伸長剤を使用した場合にはそれを含む合計質量を指す。
【0028】
前記ウレタン樹脂(A)の製造に使用可能なポリオール(a1)としては、前記アルキレンジオール(a1−1)及び前記オキシアルキレンジオール(a1−2)とともに、必要に応じてその他のポリオールを組み合わせ使用することができる。
【0029】
前記その他のポリオールとしては、例えばウレタン樹脂(A)に優れた水分散安定性を付与することを目的として、親水性基を有するポリオールを使用することができる。
【0030】
前記親水性基を有するポリオールとしては、例えばアニオン性基を有するポリオール、カチオン性基を有するポリオール、ノニオン性基を有するポリオールを使用することができる。なかでも、アニオン性基を有するポリオールを使用することが好ましい。
【0031】
前記アニオン性基を有するポリオールとしては、例えばカルボキシル基を有するポリオール、スルホン酸基を有するポリオールを使用することができる。
【0032】
前記カルボキシル基を有するポリオールとしては、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸等を使用することができ、なかでも2,2−ジメチロールプロピオン酸を使用することが好ましい。また、前記カルボキシル基を有するポリオールと各種ポリカルボン酸とを反応させて得られるカルボキシル基を有するポリエステルポリオールを使用することもできる。
【0033】
前記スルホン酸基を有するポリオールとしては、例えば5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5[4−スルホフェノキシ]イソフタル酸等のジカルボン酸またそれらの塩;前記ジカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の低分子ポリオールとを反応させて得られるポリエステルポリオール、さらに前記ポリエステルポリオールと、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物とを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用することができる。
【0034】
前記アニオン性基は、それらの一部または全部が塩基性化合物等によって中和されていることが、良好な水分散性を発現するうえで好ましい。
【0035】
前記アニオン性基を中和する際に使用可能な塩基性化合物としては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の沸点が200℃以上の有機アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を含む金属水酸化物等を使用することができる。前記塩基性化合物は、得られるウレタン樹脂組成物の水分散安定性を向上させる観点から、〔塩基性化合物/(カルボキシル基等の酸基の合計量)〕=0.5〜3(モル比)となる範囲で使用することが好ましく、0.7〜1.5(モル比)となる範囲で使用することがより好ましい。
【0036】
また、前記カチオン性基を有するポリオールとしては、例えば3級アミノ基を有するポリオールを使用することができ、具体的にはN−メチル−ジエタノールアミン、エポキシを2個有する化合物と2級アミンとを反応させて得られるポリオール等を使用することができる。
【0037】
前記カチオン性基は、その一部または全部が、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、アジピン酸、リン酸等の酸性化合物で中和されていることが好ましい。
【0038】
また、前記カチオン性基としての3級アミノ基は、その一部または全部が4級化されていることが好ましい。前記4級化剤としては、例えばジメチル硫酸、ジエチル硫酸、メチルクロライド、エチルクロライド等を使用することができ、ジメチル硫酸を使用することが好ましい。
【0039】
また、前記ノニオン性基を有するポリオールとしては、エチレンオキサイド由来の構造単位を有するポリアルキレングリコール等を使用することができる。
【0040】
前記親水性基を有するポリオールは、前記ウレタン樹脂(A)の製造に使用する原料の全量に対して、1質量%〜20質量%の範囲で使用することが好ましく、1質量%〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0041】
また、前記その他のポリオール(a1)としては、より一層優れた伸度及び屈曲性と、高硬度とを両立した塗膜を形成するうえで、例えばポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール等を使用することができ、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールを使用することが好ましい。
【0042】
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば低分子量のポリオールと、ポリカルボン酸とを反応して得られるポリエステルポリオール;ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステルポリオール;これらを共重合して得られるポリエステルポリオール等を使用することができる。
【0043】
前記低分子量のポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール等の分子量が50〜300程度である脂肪族ポリオール;シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族環式構造を有するポリオール;ビスフェノールA及びビスフェノールF等の芳香族構造を有するポリオールを使用することができる。なかでも、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールを使用することが好ましい。
【0044】
前記ポリエステルポリオールの製造に使用可能な前記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;それらの無水物またはエステル化物等を使用することができる。
【0045】
また、前記ポリカーボネートポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のジオールと、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の炭酸エステル、ホスゲン等とを反応させて得られたものを使用することができる。
【0046】
前記ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリカーボネートポリオールは、前記ウレタン樹脂(A)の製造に使用する原料の全量に対して、1質量%〜70質量%の範囲で使用することが好ましく、15質量%〜45質量%の範囲で使用することが、より一層優れた伸度及び屈曲性と、高硬度とを両立した塗膜を形成するうえでより好ましい。
【0047】
また、前記ウレタン樹脂(A)の製造に使用するポリイソシアネート(a2)としては、例えばシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族環式構造を有するポリイソシアネート;4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートを使用することができる。なかでも、前記ポリイソシアネート(a2)としては、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートを使用することが、優れた伸度及び屈曲性と、高硬度とを両立した塗膜を形成するうえで好ましい。
【0048】
前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)とを反応させウレタン樹脂(A)を製造する方法としては、例えば無溶剤下または有機溶剤の存在下で、前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)とを混合し、反応温度50℃〜150℃程度の範囲で反応させる方法が挙げられる。
【0049】
前記ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)との反応は、例えば前記ポリオール(a1)の水酸基に対する、前記ポリイソシアネート(a2)のイソシアネート基の当量割合が、0.8〜2.5の範囲で行うことが好ましく、0.9〜1.5の範囲で行うことがより好ましい。
【0050】
また、前記ウレタン樹脂(A)を製造する際には、より一層優れた伸度及び屈曲性と、高硬度とを両立した塗膜を形成するうえで、前記ポリオール(a1)及び前記ポリイソシアネート(a2)の他に、必要に応じて鎖伸長剤を使用することができる。
【0051】
前記ウレタン樹脂(A)を製造する際に使用できる鎖伸長剤としては、ポリアミン、ヒドラジン化合物、その他活性水素原子含有化合物等を使用することができる。
【0052】
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン;N−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等を使用することができる。
【0053】
前記ヒドラジン化合物としては、例えばヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン;コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド;β−セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド等を使用することができる。
【0054】
前記その他活性水素含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール、及び水等を、本発明のウレタン樹脂組成物の保存安定性が低下しない範囲内で単独で使用または2種以上を併用することができる。
【0055】
前記ウレタン樹脂(A)を製造する際に使用可能な有機溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル;アセトニトリル等のニトリル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミドを、単独で使用または2種以上を使用することができる。前記ウレタン樹脂(A)を製造する際に前記有機溶剤を使用した場合には、環境負荷低減等の観点から、前記ウレタン樹脂(A)の製造途中または製造後に、必要に応じて蒸留法等によって前記有機溶剤を除去することが好ましい。
【0056】
前記方法で得たウレタン樹脂(A)は、より一層優れた伸度及び屈曲性と、高硬度とを両立した塗膜を形成するうえで、10,000〜500,000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、20,000〜200,000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することがより好ましく、40,000〜100,000の範囲の重量平均分子量を使用することがさらに好ましい。
【0057】
また、前記ウレタン樹脂(A)としては、より一層優れた伸度及び屈曲性と、高硬度とを両立した塗膜を形成するうえで、ウレア結合を有するものを使用することが好ましい。
【0058】
前記ウレタン樹脂(A)としては、500〜50,000の範囲のウレア結合当量を有するものを使用することが、より一層優れた伸度及び屈曲性と、高硬度とを両立した塗膜を形成するうえで好ましい。
【0059】
前記方法で得たウレタン樹脂(A)を水性媒体(B)に溶解または分散させることによって本発明のウレタン樹脂組成物を製造する方法としては、例えば前記ウレタン樹脂(A)が親水性基を有する場合であれば、前記親水性基の一部または全部を中和し、次いで、その中和物と水性媒体(B)とを混合することによって製造する方法が挙げられる。
【0060】
前記水性媒体(B)としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム等が挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、または、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
【0061】
前記方法で得られた本発明のウレタン樹脂組成物は、前記ウレタン樹脂組成物の全量に対して、前記ウレタン樹脂(A)を5質量%〜85質量%の範囲で含有するものであることが好ましく、15質量%〜50質量%の範囲で含有するものであることが好ましい。また、前記方法で得られた本発明のウレタン樹脂組成物は、前記ウレタン樹脂組成物の全量に対して、前記水性媒体(B)を10質量%〜90質量%の範囲で含有するものを使用することが好ましく、45質量%〜80質量%の範囲で含有するものであることが好ましい。
【0062】
前記ウレタン樹脂組成物は、前記ウレタン樹脂(A)が有する重合性不飽和基のラジカル重合を進行させるうえで、重合開始剤を使用することが好ましい。
【0063】
前記重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン、ベンゾイン、ジアルコキシアセトフェノン、アシルオキシムエステル、ベンジルケタール、ヒドロキシアルキルフェノン、ハロゲノケトン等を使用することができる。前記光重合開始剤は、必要に応じてメチルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリブチルアミン等の第三アミンと組み合わせ使用してもよい。
【0064】
また、重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、4,4‘−アゾビス(4−シアノ)吉草酸、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物等の熱重合開始剤を使用することもできる。
【0065】
前記重合開始剤は、ウレタン樹脂(A)の固形分に対して0.5質量%〜5質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0066】
前記ウレタン樹脂組成物は、必要に応じて添加剤を含有してもよく、前記添加剤としては、例えば重合性不飽和基を有する化合物、成膜助剤、充填材、チキソトロピー付与剤、粘着性付与剤、顔料や抗菌剤等を、本発明の目的を阻害しない範囲で使用することができる。
【0067】
前記重合性不飽和基を有する化合物としては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を使用することができる。これらを使用することによって、より一層高硬度な塗膜を形成可能なウレタン樹脂組成物を得ることができる。
【0068】
前記成膜助剤としては、例えばアニオン界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸エステルソーダ塩等)、疎水性ノニオン界面活性剤(ソルビタンモノオレエート等)、シリコーンオイル等が挙げられる。
【0069】
前記チキソトロピー付与剤としては、例えば脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、パラフィン、樹脂酸、界面活性剤、ポリアクリル酸等で表面処理された前記充填材、ポリ塩化ビニルパウダー、水添ヒマシ油、微粉末シリカ、有機ベントナイト、セピオライト等が挙げられる。
【0070】
前記顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
【0071】
前記無機顔料としては、例えば酸化チタン、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等を使用することができる。
【0072】
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンツイミダゾロン顔料、アゾ顔料等の有機顔料を使用することができる。これらの顔料は2種類以上のものを併用することができる。また、これらの顔料が表面処理されており、水性媒体に対して自己分散能を有しているものであっても良い。
【0073】
前記抗菌剤としては、例えば塩化銀、トリフルアニド、ジクロルフルアニド、フルオロフォルペット、ジンクピリチオン、2−ベンゾイミダゾールカルバン酸メチル、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール等を使用することができる。
【0074】
その他の添加剤としては、例えば、反応促進剤(金属系反応促進剤、金属塩系反応促進剤、アミン系反応促進剤等)、安定剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤等)、水分除去剤(4−パラトルエンスルフォニルイソシアネート等)、吸着剤(生石灰、消石灰、ゼオライト、モレキュラーシーブ等)、接着性付与剤、消泡剤、レベリング剤等の種々の添加剤が挙げられる。
【0075】
本発明のウレタン樹脂組成物は、例えば、各種基材の表面保護や意匠性を付与しうるコーティング剤に好適に使用することができる。
【0076】
前記コーティング剤を塗布し塗膜を形成可能な基材としては、例えばガラス基材、金属基材、プラスチック基材、紙、木材基材、繊維質基材等が挙げられる。また、ウレタンフォーム等の多孔体構造の基材も使用することもできる。
【0077】
プラスチック基材としては、例えばポリカーボネート基材、ポリエステル基材、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン基材、ポリアクリル基材、ポリスチレン基材、ポリウレタン基材、エポキシ樹脂基材、ポリ塩化ビニル基材及びポリアミド基材を使用することができる。
【0078】
前記金属基材としては、例えば亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金鋼板等のめっき鋼板や、鉄板、アルミ板、アルミ合金板、電磁鋼板、銅板、ステンレス鋼板等を使用することができる。
【0079】
前記基材は前記材質からなる平面状のものであっても曲部を有するものであってもよく、また、不織布のような繊維からなる基材であってもよい。
【0080】
本発明のコーティング剤は、例えばそれを前記基材表面に直接、または、予めプライマー層等が設けられた基材の表面に、塗布し、次いで乾燥した後、前記ウレタン樹脂(A)が有する重合性不飽和二重基のラジカル重合を進行させることによって、塗膜を形成することができる。
【0081】
また、離型紙上に前記コーティング剤を塗布し、次いで乾燥、硬化させることによって離型紙の表面に塗膜を形成し、さらに前記塗膜上に接着剤もしくは粘着剤を塗布したものを、不織布のような繊維からなる基材に貼り合わせ、離型紙を剥離することによって、所望の基材の表面に、前記コーティング剤を用いて形成される塗膜を積層することができる。
【0082】
前記コーティング剤を前記基材上に塗布する方法としては、例えばスプレー法、カーテンコーター法、フローコーター法、ロールコーター法、刷毛塗り法、浸漬法等が挙げられる。
【0083】
また、前記コーティング剤を硬化する方法としては、加熱する方法、紫外線等の活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。
【0084】
前記加熱する方法としては、使用するラジカル重合開始剤の種類によって異なるが、例えば100℃〜150℃程度の温度で10分〜30分程度行うことで、前記ラジカル重合を進行させ硬化させることができる。
【0085】
また、前記活性エネルギー線を照射する方法としては、例えば紫外線であればキセノンランプ、キセノン−水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、LEDランプ等の公知のランプを使用する方法が挙げられる。
【0086】
前記活性エネルギー線の照射量は、50mJ/cm
2〜5,000mJ/cm
2の範囲であることが好ましく、100mJ/cm
2〜3,000mJ/cm
2の範囲であることがより好ましく、100mJ/cm
2〜1000mJ/cm
2の範囲であることが特に好ましい。なお、上記の紫外線照射量は、UVチェッカーUVR−N1(日本電池(株)製)を用いて300〜390nmの波長域において測定した値に基づく。
【0087】
本発明のコーティング剤を用いて形成可能な塗膜の厚さは、基材の使用される用途等に応じて適宜調整可能であるが、通常0.1μm〜100μm程度であることが好ましい。
【0088】
以上のように、前記基材上に前記コーティング剤を用いて形成された塗膜を設けた物品は、液晶ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ等の光学部材、携帯電話、家電製品をはじめとする各種プラスチック製品、自動車外装、建材等の金属製品として使用することが可能である。
【実施例】
【0089】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。
【0090】
〔実施例1〕
加熱装置、攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2リットル4つ口フラスコに、メチルエチルケトン89.9質量部、ポリカーボネートポリオール(1,6−ヘキサンジオールと1,5−ペンタンジオールとジエチルカーボネートとを反応させて得られるポリカーボネートポリオール、数平均分子量2000)90質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸12.2質量部、1,6−ヘキサンジオール11.8質量部、ペンタエリスリトールジアクリレート(一般式(1)中のR
1は、炭素原子数3個、重合性不飽和基を有する原子団2個)20.1質量部、メチルヒドロキノン0.004質量部、及び、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール0.04質量部を仕込み、撹拌しながら50℃に調整した。
【0091】
次に、前記4つ口フラスコにジシクロヘキシルメタンジイソシアネート97質量部を供給し、80℃で約5時間反応させた後、メチルエチルケトン64.2質量部を供給し、50℃に冷却した。冷却後、トリエチルアミン9.2質量部を供給し、イオン水交換水572.6質量部を滴下した。
【0092】
次に、前記4つ口フラスコに、鎖伸長剤として10質量%のピペラジン水溶液28.7質量部を供給し反応させて後、減圧下で脱溶剤することによって、不揮発分33質量%のウレタン樹脂組成物(I)を得た。
【0093】
〔実施例2〕
加熱装置、攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2リットル4つ口フラスコに、メチルエチルケトン49.9質量部、ポリカーボネートポリオール(1,6−ヘキサンジオールと1,5−ペンタンジオールとジエチルカーボネートとを反応させて得られるポリカーボネートポリオール、数平均分子量2000)50質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸6.8質量部、1,6−ヘキサンジオール6.6質量部、ペンタエリスリトールジアクリレート(一般式(1)中のR
1は、炭素原子数3個、重合性不飽和基を有する原子団2個)11.2質量部、メチルヒドロキノン0.0022質量部、及び、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール0.022質量部を仕込み、撹拌しながら50℃に調整した。
【0094】
次に、前記4つ口フラスコにジシクロヘキシルメタンジイソシアネート53.9質量部を供給し、80℃で約5時間反応させた後、メチルエチルケトン35.7質量部を供給し、50℃に冷却した。冷却後、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート12.8質量部、トリエチルアミン5.1質量部を供給し、イオン水交換水318.1質量部を滴下した。
【0095】
次に、前記4つ口フラスコに、鎖伸長剤として10質量%のピペラジン水溶液16質量部を供給し反応させて後、減圧下で脱溶剤することによって、不揮発分33質量%のウレタン樹脂組成物(II)を得た。
【0096】
〔実施例3〕
加熱装置、攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2リットル4つ口フラスコに、メチルエチルケトン89.1質量部、1,6−ヘキサンジオールとネオペンチルグリコールとアジピン酸とを反応させて得れるポリエステルポリオール(数平均分子量2,000)90質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸12質量部、1,6−ヘキサンジオール11.7質量部、ペンタエリスリトールジアクリレート(一般式(1)中のR
1は、炭素原子数3個、重合性不飽和基を有する原子団2個)19.8質量部、メチルヒドロキノン0.004質量部、及び、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール0.04質量部を仕込み、撹拌しながら50℃に調整した。
【0097】
次に、前記4つ口フラスコにジシクロヘキシルメタンジイソシアネート95.6質量部を供給し、80℃で約5時間反応させた後、メチルエチルケトン63.6質量部を供給し、50℃に冷却した。冷却後、トリエチルアミン9.1質量部を供給し、イオン水交換水567.8質量部を滴下した。
【0098】
次に、前記4つ口フラスコに、鎖伸長剤として10質量%のピペラジン水溶液28.3質量部を供給し反応させて後、減圧下で脱溶剤することによって、不揮発分33質量%のウレタン樹脂組成物(III)を得た。
【0099】
〔実施例4〕
加熱装置、攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2リットル4つ口フラスコに、メチルエチルケトン58.6質量部、ポリカーボネートポリオール(1,6−ヘキサンジオールと1,5−ペンタンジオールとジエチルカーボネートとを反応させて得られるポリカーボネートポリオール、数平均分子量2000)40質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸5.2質量部、1,6−ヘキサンジオール2.8質量部、ペンタエリスリトールジアクリレート(一般式(1)中のR
1は、炭素原子数3個、重合性不飽和基を有する原子団2個)22質量部、メチルヒドロキノン0.005質量部、及び、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール0.05質量部を仕込み、撹拌しながら50℃に調整した。
【0100】
次に、前記4つ口フラスコにジシクロヘキシルメタンジイソシアネート49.8質量部を供給し、80℃で約5時間反応させた後、メチルエチルケトン41.8質量部を供給し、50℃に冷却した。冷却後、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート12.1質量部、トリエチルアミン5.3質量部を供給し、イオン水交換水373.7質量部を滴下した。
【0101】
次に、前記4つ口フラスコに、鎖伸長剤として10質量%のピペラジン水溶液14.7質量部を供給し反応させて後、減圧下で脱溶剤することによって、不揮発分33質量%のウレタン樹脂組成物(IV)を得た。
【0102】
〔実施例5〕
加熱装置、攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2リットル4つ口フラスコに、1,4−ビス(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロ
ポキシ)ブタン(一般式(2)中のR
1は炭素原子数2個、R
2は炭素原子数4個、R
3は炭素原子数2個、重合性不飽和基を有する原子団2個)35.6質量部、メチルヒドロキノン0.007質量部、及び、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール0.07質量部を仕込み、攪拌しながら50℃で調整した。
【0103】
次に前記4つ口フラスコにジシクロヘキシルメタンジイソシアネート107.8質量部を供給し、80℃で約3時間反応させた後、メチルエチルケトン103.9質量部、1,6−ヘキサンジオールとネオペンチルグリコールとアジピン酸とを反応させて得れるポリエステルポリオール(数平均分子量2,000)100質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸13.6質量部、及び、1,6−ヘキサンジオール10.2質量部を供給し、80℃で約3時間反応させた。
【0104】
次に、前記4つ口フラスコにメチルエチルケトン74.1質量部を供給し、50℃に冷却した。撹拌しながら50℃に調整した。冷却後、トリエチルアミン10.2質量部を供給し、イオン水交換水663質量部を滴下した。
【0105】
次に、前記4つ口フラスコに、鎖伸長剤として10質量%のピペラジン水溶液31.9質量部を供給し反応させて後、減圧下で脱溶剤することによって、不揮発分33質量%のウレタン樹脂組成物(V)を得た。
【0106】
〔実施例6〕
加熱装置、攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2リットル4つ口フラスコに、1,4−ビス(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロ
ポキシ)ブタン(一般式(2)中のR
1は炭素原子数2個、R
2は炭素原子数4個、R
3は炭素原子数2個、重合性不飽和基を有する原子団2個)35.6質量部、メチルヒドロキノン0.007質量部、及び、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール0.07質量部を仕込み、攪拌しながら50℃で調整した。
【0107】
次に前記4つ口フラスコにジシクロヘキシルメタンジイソシアネート107.8質量部を供給し、80℃で約3時間反応させた後、メチルエチルケトン103.9質量部、1,6−ヘキサンジオールとネオペンチルグリコールとアジピン酸とを反応させて得れるポリエステルポリオール(数平均分子量2,000)100質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸13.6質量部、及び、1,6−ヘキサンジオール10.2質量部を供給し、80℃で約3時間反応させた。
【0108】
次に、前記4つ口フラスコにメチルエチルケトン74.1質量部を供給し、50℃に冷却した。撹拌しながら50℃に調整した。冷却後、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート27質量部、トリエチルアミン10.2質量部を供給し、イオン水交換水663.0質量部を滴下した。
【0109】
次に、前記4つ口フラスコに、鎖伸長剤として10質量%のピペラジン水溶液31.9質量部を供給し反応させて後、減圧下で脱溶剤することによって、不揮発分33質量%のウレタン樹脂組成物(VI)を得た。
【0110】
[比較例1]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、1,6−ヘキサンジオールとネオペンチルグリコールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(数平均分子量2,000)100質量部と、1,6−ヘキサンジオール10.6質量部と、2,2−ジメチロールプロピオン酸13.4質量部と、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート106.3質量部とを、メチルエチルケトン98質量部に混合し、前記反応容器中の温度80℃の条件下で反応させることによって、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。
【0111】
次に、前記ウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル21.9質量部、メチルヒドロキノン0.003質量部、及び、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール0.03質量部とを混合し、前記反応容器中の温度80℃の条件下で反応させることによって、側鎖に重合性不飽和結合を有し、主鎖の末端にイソシアネート基を有するウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
【0112】
次に、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液と、ジメチルエタノールアミン10質量部とを混合した後、水624.6質量部を加え十分に攪拌し、10質量%のピペラジン水溶液を31.5質量部加え鎖伸長反応させ、減圧蒸留することによって、不揮発分が33質量%であるウレタン樹脂組成物(I’)を得た。
【0113】
[比較例2]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、1,6−ヘキサンジオールとネオペンチルグリコールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(数平均分子量2,000)100質量部と、1,6−ヘキサンジオール21.2質量部と、2,2−ジメチロールプロピオン酸13.9質量部と、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート106.3質量部とを、メチルエチルケトン93.8質量部に混合し、前記反応容器中の温度80℃の条件下で反応させることによって、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。
【0114】
次に、前記ウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液と、ペンタエリスリトールトリアクリレート17.5質量部、メチルヒドロキノン0.003質量部、及び、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール0.03質量部とを混合し、前記反応容器中の温度80℃の条件下で反応させることによって、側鎖に重合性不飽和結合を有し、主鎖の末端にイソシアネート基を有するウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
【0115】
次に、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液と、ジメチルエタノールアミン10質量部とを混合した後、水641.4質量部を加え十分に攪拌し、10質量%のピペラジン水溶液を31.5質量部加え鎖伸長反応させ、減圧蒸留することによって、不揮発分が33質量%であるウレタン樹脂組成物(II’)を得た。
【0116】
[比較例3]
加熱装置、攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2リットル4つ口フラスコに、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物(一般式(2)中のR
1は炭素原子数2個、R
2は炭素原子数15個、R
3は炭素原子数2個、重合性不飽和基を有する原子団2個)73.4質量部、メチルヒドロキノン0.015質量部、及び、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール0.15質量部を仕込み、攪拌しながら50℃で調整した。
【0117】
次に前記4つ口フラスコにジシクロヘキシルメタンジイソシアネート122.6質量部を供給し、80℃で約3時間反応させた後、メチルエチルケトン124.3質量部、1,6−ヘキサンジオールとネオペンチルグリコールとアジピン酸とを反応させて得れるポリエステルポリオール(数平均分子量2,000)100質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸15.4質量部、及び、1,6−ヘキサンジオール8.2質量部を供給し、80℃で約3時間反応させた。
【0118】
次に、前記4つ口フラスコにメチルエチルケトン88.6質量部を供給し、50℃に冷却した。撹拌しながら50℃に調整した。冷却後、トリエチルアミン11.6質量部を供給し、イオン水交換水794.9質量部を滴下した。
【0119】
次に、前記4つ口フラスコに、鎖伸長剤として10質量%のピペラジン水溶液36.3質量部を供給し反応させて後、減圧下で脱溶剤することによって、不揮発分33質量%のウレタン樹脂組成物(III’)を得た。
【0120】
[比較例4]
加熱装置、攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2リットル4つ口フラスコに、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物(一般式(2)中のR
1は炭素原子数2個、R
2は炭素原子数15個、R
3は炭素原子数2個、重合性不飽和基を有する原子団2個)212質量部、メチルヒドロキノン0.04質量部、及び、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール0.4質量部を仕込み、攪拌しながら50℃で調整した。
【0121】
次に前記4つ口フラスコにジシクロヘキシルメタンジイソシアネート369.1質量部を供給し、80℃で約3時間反応させた後、メチルエチルケトン234.5質量部、1,6−ヘキサンジオールとネオペンチルグリコールとアジピン酸とを反応させて得れるポリエステルポリオール(数平均分子量2,000)100質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸29.9質量部を供給し、80℃で約3時間反応させた。
【0122】
次に、前記4つ口フラスコにメチルエチルケトン287.9質量部を供給し、50℃に冷却した。撹拌しながら50℃に調整した。冷却後、トリエチルアミン38.9質量部を供給し、イオン水交換水2580.2質量部を滴下した。
【0123】
次に、前記4つ口フラスコに、鎖伸長剤として10質量%のピペラジン水溶液65質量部を供給し反応させて後、減圧下で脱溶剤することによって、不揮発分33質量%のウレタン樹脂組成物(IV’)を得た。
【0124】
[塗膜の伸度の評価方法]
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとベンゾフェノンの混合物)を、実施例及び比較例で得た各ウレタン樹脂組成物に含まれるウレタン樹脂100質量部あたり4質量部混合し、それを、塗膜の膜厚が50μmとなるように、それぞれ離型フィルムの表面に塗布した。前記塗布物を25℃の環境下で24時間乾燥した後、高圧水銀灯(GSユアサ社製)を用いて、500mJ/cm
2の紫外線を1パス照射し、前記離型フィルムを除去することによって、前記ウレタン樹脂からなる試験フィルム(縦4cm、横5mm)を作製した。
【0125】
前記試験フィルムの伸度は、引張試験法(引張速度50mm/分)による測定結果をもとに、下記評価基準にしたがって評価した。
【0126】
◎:引張試験前の試験フィルムの長さに対して、引張試験後の試験フィルムの長さが100%以上伸長した。
【0127】
○:引張試験前の試験フィルムの長さに対して、引張試験後の試験フィルムの長さが50%以上100%未満伸長した。
【0128】
○△:引張試験前の試験フィルムの長さに対して、引張試験後の試験フィルムの長さが30%以上50%未満の範囲で伸長した。
【0129】
△:引張試験前の試験フィルムの長さに対して、引張試験後の試験フィルムの長さが10%以上30%未満の範囲で伸長した。
【0130】
×:引張試験前の試験フィルムの長さに対して、引張試験後の試験フィルムの長さが10%未満の範囲で伸長した。
【0131】
[塗膜の屈曲性の評価方法]
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとベンゾフェノンの混合物)を、実施例及び比較例で得た各ウレタン樹脂組成物に含まれるウレタン樹脂100質量部あたり4質量部混合し、それを、塗膜の膜厚が2μmとなるように、それぞれ金属板(未処理鋼板、厚さ0.8mm)の表面に塗布した。前記塗布物を100℃で30秒間乾燥した後、高圧水銀灯(GSユアサ社製)を用いて、500mJ/cm
2の紫外線を1パス照射し、前記離型フィルムを除去することによって、前記金属板の表面に塗膜が積層した物品を得た。
【0132】
前記物品を構成する塗膜の屈曲性は、JIS K−5600−5−1 耐屈曲性試験法(マンドレル直径2mm)による測定結果をもとに、下記評価基準にしたがって評価した。
【0133】
○:塗膜の屈曲部位で、塗膜のクラック、シワ、白化が見られなかった。
【0134】
△:塗膜の屈曲部位で、塗膜の若干のクラック、または、白いスジ状のシワが見られた。
【0135】
×:塗膜の屈曲部位の全体で、塗膜の著しいクラックが見られた。
【0136】
[塗膜の硬度の評価方法]
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとベンゾフェノンの混合物)を、実施例及び比較例で得た各ウレタン樹脂組成物に含まれるウレタン樹脂100質量部あたり4質量部混合し、それを、塗膜の膜厚が15μmとなるように、それぞれガラス基材の表面に塗布した。前記塗布物を140℃で5分間乾燥した後、高圧水銀灯(GSユアサ社製)を用いて、500mJ/cm
2の紫外線を1パス照射することによって、前記ガラス基材の表面に塗膜が積層した物品を得た。
【0137】
前記物品を構成する塗膜の硬度は、JIS K−5600−5−4 ひっかき硬度(鉛筆法)に基づいて測定した。
【0138】
【表1】
【0139】
【表2】
【0140】
表1〜2中の「ポリカーボネートポリオール」は、1,6−ヘキサンジオールと1,5−ペンタンジオールとジエチルカーボネートとを反応させて得られるポリカーボネートポリオール(数平均分子量2,000)を指す。「ポリエステルポリオール」は、1,6−ヘキサンジオールとネオペンチルグリコールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(数平均分子量2,000)を指す。