特許第5780484号(P5780484)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780484
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】イオン液体
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/10 20060101AFI20150827BHJP
   C07C 311/48 20060101ALI20150827BHJP
   H01M 8/02 20060101ALN20150827BHJP
   H01M 14/00 20060101ALN20150827BHJP
【FI】
   C07D487/10CSP
   C07C311/48
   !H01M8/02 M
   !H01M14/00 P
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-40964(P2012-40964)
(22)【出願日】2012年2月28日
(65)【公開番号】特開2013-177324(P2013-177324A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2014年9月11日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発/要素技術開発/リチウム二次電池の安全性に資するイオン液体電解質の開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 一
(72)【発明者】
【氏名】都築 誠二
(72)【発明者】
【氏名】窪田 啓吾
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−506121(JP,A)
【文献】 特開2004−43407(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/136608(WO,A1)
【文献】 特開2013−84430(JP,A)
【文献】 特開2012−56897(JP,A)
【文献】 特開2008−163273(JP,A)
【文献】 CHOWDARI,N.S. et al,SYNLETT,2003年,No.12,pp.1906-1909
【文献】 SHI,M. et al,Chem. Pharm. Bull.,1994年,Vol.42, No.12,pp.2625-2628
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式
【化1】
で表されるMOMAS44カチオン。
【請求項2】
請求項1に記載のMOMAS44カチオンと下記式
【化2】
のTFSAアニオン、FTAアニオンまたはFSAアニオン、CnF2n+1SO3で表されるスルホン酸アニオン(nは1〜4の整数を示す)、CmF2m+1BF3で表されるパーフルオロアルキルトリフフルオロボレート(mは1〜4の整数を示す)、BF4及びPF6からなる群から選ばれるフルオロアニオン、N(CN)2、C(CN)3およびB(CN)4からなる群から選ばれるシアノ系アニオンの少なくとも1種のアニオンを含むイオン液体。
【請求項3】
下記式
【化3】
で表されるMOMAS44カチオンと下記式
【化4】
で表される少なくとも1種のアニオンを含む請求項2に記載のイオン液体。
【請求項4】
MOMAS44カチオンとTFSAアニオンからなる請求項3に記載のイオン液体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン液体に関し、詳しくは低粘度及び低融点かつ高い導電性を有するイオン液体に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン液体は、リチウム二次電池、色素増感太陽電池、アクチュエータ及び電気二重層キャパシタなどの各種電気化学デバイス用の電解質、反応媒体、有機合成の触媒としての応用可能性のためにここ数年 特別な注目を集めてきた。従来の有機液体電解質と比較して、イオン液体の電解質としての主な利点は、不燃性、不揮発性及び高い熱安定性である。
【0003】
特許文献1には、フルオロスルホニル(トリフルオロメチルスルホニルアミド(FTA)を含む塩が開示されているが、実施例で得られた塩の融点の開示はなく、この塩がイオン液体であることは実証されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-200359
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低粘度及び低融点、高導電性かつ熱安定性の高いイオン液体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題に鑑み検討を重ねた結果、特定のアゾニアスピロカチオンがTFSA、FTA、FSAからなる群から選ばれるスルホンイミドアニオンともイオン液体を形成できることを見出した。
【0007】
本発明は、以下のイオン液体を提供するものである。
項1. 下記式
【0008】
【化1】
で表されるMOMAS44カチオン。
項2. 項1に記載のMOMAS44カチオンと下記式
【0009】
【化2】
のTFSAアニオン、FTAアニオンまたはFSAアニオン、CnF2n+1SO3で表されるスルホン酸アニオン(nは1〜4の整数を示す)、CmF2m+1BF3で表されるパーフルオロアルキルトリフフルオロボレート(mは1〜4の整数を示す)、BF4及びPF6からなる群から選ばれるフルオロアニオン、N(CN)2、C(CN)3およびB(CN)4からなる群から選ばれるシアノ系アニオンの少なくとも1種のアニオンを含むイオン液体。
項3. 下記式
【0010】
【化3】
で表されるMOMAS44カチオンと下記式
【0011】
【化4】
で表される少なくとも1種のアニオンを含む項2に記載のイオン液体。
項4. MOMAS44カチオンとTFSAアニオンからなる項3に記載のイオン液体。
【発明の効果】
【0012】
本発明のMOMAS44カチオンは、TFSAアニオンなどの熱的および化学的に安定なアニオンともイオン液体を形成するので、リチウム二次電池、燃料電池、色素増感太陽電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイス、化学反応の溶剤、潤滑油として適している。特に本発明のMOMAS44カチオンとTFSAアニオンの塩が好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、「MOMAS44」は、1-(methoxymethyl)-5-azaspiro[4.4]nonan-5-ium
(1−(メトキシメチル)−5−アザニアスピロ[4.4]ノナン−5−イウム)を意味する。
【0014】
本発明で使用するカチオンの構造を以下に示す
【0015】
【化5】
本発明で提供される新規カチオンは、任意のアニオンと塩を形成することができ、このような塩も本発明に包含される。MOMAS44カチオンと組み合わせる好ましいアニオンとしては、例えばTFSA、FTA、FSAなどのスルホンイミドアニオン、CnF2n+1SO3(nは1〜4の整数を示す)、特にCF3SO3で表されるスルホン酸アニオン、CmF2m+1BF3(mは1〜4の整数を示す)、特にCF3BF3で表されるパーフルオロアルキルトリフフルオロボレート、BF4、PF6などのフルオロアニオン、N(CN)2、C(CN)3,およびB(CN)4などのシアノ系アニオンがあげられる。
【0016】
好ましい実施形態において、本発明のMOMAS44カチオンはTFSA、FTA、FSA
【0017】
【化6】
のいずれかのアニオンとイオン液体を形成することができる。
【0018】
本発明のMOMAS44カチオンは、不斉炭素(*)を有し、R体またはS体のエナンチオマーまたはいずれかのエナンチオマーが豊富なエナンチオマー混合物(ラセミ体を含む)のいずれであってもよい。
【0019】
本発明のカチオンは、以下の3種のアニオンと組み合わせることによりイオン液体を形成する。例えば、CF3SO3などのスルホン酸アニオン、CF3BF3などのパーフルオロアルキルトリフフルオロボレート、BF4、PF6、などのフルオロアニオン、N(CN)2、C(CN)3およびB(CN)4などのシアノ系があげられる。
【0020】
本発明により提供されるイオン液体の融点は、100℃以下、80℃以下、好ましくは50℃以下、より好ましくは25℃以下、さらに好ましくは0℃以下、特に−20℃以下である。例えば燃料電池に使用する場合には100℃以下のイオン液体を広く使用することができる。一方、太陽電池、リチウム電池、キャパシタなどのエネルギーデバイス、エレクトロクロミックデバイス、電気化学センサーなどの電気化学デバイスではイオン液体の融点は室温(25℃)以下が好ましく、特に0℃以下であるのがさらに好ましい。
【0021】
本発明のMOMAS44カチオンは新規物質であり、以下のスキーム1に従い製造することができる。
スキーム1
【0022】
【化7】
(式中、XはCl、BrまたはIを示す)
MOMAS44+に代表される置換基導入型のスピロアンモニウムカチオンは、窒素のオルト位に導入したい置換基を同じく窒素のオルト位に有するピロリジン(1)と当モル量の1,4−ジクロロブタン、1,4−ジブロモブタンあるいは1,4−ジヨードブタン(2)を同じく当モル量の水酸化ナトリウムを含む水中80℃で撹拌することによって得ることができる。ここで得られる粗生成物は有機溶媒中での再結晶あるいはアルミナカラム処理、またはその両方を行うことによって精製し、以後のイオン液体合成におけるカチオン原料として用いた。
【0023】
イオン液体を製造する場合、上記の各種アニオン、好ましくはTFSA、FTA、FSAのなどのアニオンのアルカリ金属イオン(Na+, K+, Li+, Cs+など)、アルカリ土類金属イオン(Ca2+, Mg2+,Ba2+など)、H+, Bu3Snなどのカチオン成分との塩を本発明のMOMAS44カチオンを含む塩と混合し、本発明のイオン液体を分離することにより製造できる。例えば、イオン交換樹脂を通すことにより得られるTFSA、FTA、FSAなどのアニオンとH+の塩と、MOMAS44カチオン(OH)の塩を混合し、水を除くことにより、本発明のイオン液体を好ましく得ることができる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明する。
実施例1
融点:Perkin/Elmer Pyris 1 DSCにより、-150℃から50℃までの熱相転移挙動を調べた。数mgのサンプルをアルミ密閉セルに封入し、ヘリウム気流中で10℃毎分での昇温と降温を繰り返すことによって、融点を求めた。サンプルによっては、融点を持たずにガラス転移点のみを示すものがあった。
熱重量分析: 熱分析システム(Seiko Instruments, TG/DTA 6200)を用いて熱重量分析を行った。5mgの平均重量サンプルをプラチナパンに配置し、窒素気流下に10℃/minの割合で約40〜600℃に加熱した。10%重量減少時の温度を分解温度(Td)として定義した。
導電率:イオン液体の25℃におけるイオン導電率は白金導電率セル(Radiometer Analytical, CDC749)を用い交流インピーダンス法によって求めた。
粘度:粘度は、25℃で0.6 mLのサンプルを使用して粘度計(Brookfield model DV-III+)を用いて測定した。
密度: イオン液体の密度は、25℃で0.5 mL のイオン液体の重量をヘリウムガスピクノメーター(Micromeritics AccuPyc II 1340)にて測定した。
合成
例としてS体からなるMOMAS44+((S)-MOMAS44+)およびビストリフルオロメチルスルホニル)アミド([TFSA])からなるイオン液体の合成について以下記す。(S)−2−メトキシメチルピロリジンと当モル量の1,4−ジブロモブタンを当モル量の水酸化ナトリウムを含む水中80℃で数時間撹拌して反応させた。反応後の溶液を真空脱気することによって得られる粗生成物をイソプロパノールあるいはアセトン中で還流溶解させたものを室温下で濾過し、ろ液にジイソプロピルエーテルを加えることによって薄褐色のゲル状固体を得た。大気中の水分により容易に潮解するため低湿度環境で再結晶あるいはアルミナカラム精製を行ったものをイオン液体原料とした。得られた臭化物原料と等モル量のLiTFSAを水中で混合することで、水に不溶の(S)-MOMAS44[TFSA]が沈降した。このまま分液漏斗で分離することも可能であるが、より純度の高いイオン液体を得るためにこれをジクロロメタンで抽出し、複数回milli-Q水での洗浄、およびジクロロメタン抽出を繰り返し、最終的にロータリーエバポレータにてジクロロメタンを留去することによって高純度のイオン液体が得た。(1H NMR (acetone-d6, TMS, 500.2 MHz) δ 2.12 (m, 1H), 2.25(m, 6H), 2.44 (m, 1H), 3.39 (s, 3H), 3.59 (m, 1H), 3.78 (m, 7H),4.17(m,1H); 19F NMR (acetone-d6, CFCl3, 470.6 MHz) : δ -78.8 (s); Anal Calcd. for C12H20F6N2O5S2: C, 32.0; H, 4.5; N, 6.2; F, 25.3; Found : C, 31.9; H, 4.3; N, 6.3; F, 25.4; FAB-MS: m/z (%): 170 (100) (S)-MOMAS44+, 280 (100) [TFSA]
本施例で用いたカチオン原料は光学異性体であり、R体を用いた場合には結果として得られるイオン液体もR体の光学異性イオン液体となる。また双方を当量含む場合にはラセミ体(RS)として合成される。さらにアニオン種にカリウム(ビスフルオロスルホニル)アミド、K[FSA])や、カリウム(フルオロスルホニル(トリフルオロスルホニル)アミド、K[FTA])を用いて同様の合成法が適用可能であり、得られたイオン液体の分析結果を以下に記す。
【0025】

(S)-MOMAS44[TFSA]
1H NMR (acetone-d6, TMS, 500.2 MHz) δ 2.12 (m, 1H), 2.25(m, 6H), 2.44 (m, 1H), 3.39 (s, 3H), 3.59 (m, 1H), 3.78 (m, 7H),4.17(m,1H); 19F NMR (acetone-d6, CFCl3, 470.6 MHz) : δ -78.8 (s); Anal Calcd. for C12H20F6N2O5S2: C, 32.0; H, 4.5; N, 6.2; F, 25.3; Found : C, 31.9; H, 4.3; N, 6.3; F, 25.4; FAB-MS: m/z (%): 170 (100) (S)-MOMAS44+, 280 (100) [TFSA].

(R)-MOMAS44[TFSA]
1H NMR (acetone-d6, TMS, 500.2 MHz) δ 2.10 (m, 1H), 2.24(m, 6H), 2.42 (m, 1H), 3.38(s, 3H), 3.54 (m, 1H), 3.73 (m, 7H),4.12(m,1H); 19F NMR (acetone-d6, CFCl3, 470.6 MHz) : δ -78.8 (s); Anal Calcd. for C12H20F6N2O5S2: C, 32.0; H, 4.5; N, 6.2; F, 25.3; Found : C, 32.3; H, 4.4; N, 6.3; F, 25.3; FAB-MS: m/z (%): 170 (100) (R)-MOMAS44+, 280 (100) [TFSA].

(S)-MOMAS44[FSA]
1H NMR (acetone-d6, TMS, 500.2 MHz) δ 2.11 (m, 1H), 2.27(m, 6H), 2.42 (m, 1H), 3.39 (s, 3H), 3.56 (m, 1H), 3.75 (m, 7H),4.13(m,1H); 19F NMR (acetone-d6, CFCl3, 470.6 MHz) : δ 52.5 (s); Anal Calcd. for C10H20F2N2O5S2: C, 34.3; H, 5.8; N, 8.0; F, 10.8; Found : C, 34.0; H, 5.9; N, 8.0; F, 10.7; FAB-MS: m/z (%): 170 (100) (S)-MOMAS44+, 180 (100) [FSA].

(R)-MOMAS44[FSA]
1H NMR (acetone-d6, TMS, 500.2 MHz) δ 2.12 (m, 1H), 2.27(m, 6H), 2.44 (m, 1H), 3.39(s, 3H), 3.60 (m, 1H), 3.78 (m, 7H),4.16(m,1H); 19F NMR (acetone-d6, CFCl3, 470.6 MHz) : δ 52.2 (s); Anal Calcd. for C12H20F6N2O5S2: C, 32.0; H, 4.5; N, 6.2; F, 25.3; Found : C, 34.1; H, 5.7; N, 8.0; F, 10.8; FAB-MS: m/z (%): 170 (100) (R)-MOMAS44+, 180 (100) [FSA].

(S)-MOMAS44[FTA]
1H NMR (acetone-d6, TMS, 500.2 MHz) δ 2.14 (m, 1H), 2.27(m, 6H), 2.43 (m, 1H), 3.39 (s, 3H), 3.58 (m, 1H), 3.78 (m, 7H),4.16(m,1H); 19F NMR (acetone-d6, CFCl3, 470.6 MHz) : δ 57.0 (s,F), -78.0 (s,3F); Anal Calcd. for C11H20F4N2O5S2: C, 33.0; H, 5.0; N, 7.0; F, 19.0; Found : C, 32.9; H, 4.9; N, 7.0; F, 19.0; FAB-MS: m/z (%): 170 (100) (S)-MOMAS44+, 230 (100) [FTA].

(R)-MOMAS44[FTA]
1H NMR (acetone-d6, TMS, 500.2 MHz) δ 2.12 (m, 1H), 2.27(m, 6H), 2.44 (m, 1H), 3.39(s, 3H), 3.60 (m, 1H), 3.74 (m, 7H),4.16 (m,1H); 19F NMR (acetone-d6, CFCl3, 470.6 MHz) : 57.0 (s,F), -78.0 (s,3F); Anal Calcd. for C11H20F4N2O5S2: C, 33.0; H, 5.0; N, 7.0; F, 19.0; Found : C, 33.0; H, 5.0; N, 7.0; F, 19.2; FAB-MS: m/z (%): 170 (100) (R)-MOMAS44+, 230 (100) [FTA].

これらのイオン液体の密度、熱物性(融点)および輸送特性(粘度、導電率)を以下の表1に示す。
【0026】
【表1】
表1中、「MOMAS」は、1-(methoxymethyl)-5-azaspiro[4.4]nonan-5-ium
(1−(メトキシメチル)−5−アザニアスピロ[4.4]ノナン−5−イウム)を意味し、「MAS」は、1-methyl-5-azaspiro[4.4]nonan-5-ium(1−メチル−5−アザニアスピロ[4.4]ノナン−5−イウム)を意味する。また接頭辞の(R)はR体を、(S)はS体を、(RS)はラセミ体をそれぞれ表す。
【0027】
なお、上記表1において、(S)-MOMAS44 [TFSA]と(S)-MOMAS44 [FTA]の融点が「無し」となっているが、これはガラス転移点以上の温度では液体であることを意味している。
【0028】
さらに、表1では(S)-MOMAS44の各アニオンとの塩の物性値(融点、ガラス転移点、熱分解温度)が示されているが、(R)-MOMAS44の旋光度以外の物性値(融点、ガラス転移点、熱分解温度)は(S)-MOMAS44とほぼ同じであると考えられるので、測定していない。