【0022】
【化3】
(式中、Wは、下記一般式(Rd−1)から一般式(Rd−3)のいずれかの構造を表し、
【化4】
(式中、Ra及びRbは、それぞれ独立的に水素原子又は1〜12個の炭素原子を有するアルキルを表す。)
Rは水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数1〜30のアルコキシル基、炭素数2〜30のアルケニルオキシ基(それぞれの基中の1個以上の水素原子は独立的にフッ素原子に置換されていてもよく、またそれぞれの基中の一つ又は二つ以上の−CH
2−は互いに独立して酸素原子が相互に直接結合しないものとして、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCS−、−SCO−、−CONR
0−、−NR
0CO−(式中、R
0は水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を表す。)、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−又は−CH=CH−に置換されていても良い。)、又はU−Sp−を表し、
(式中、Uは以下の式(R−1)から式(R−15)の何れかの構造を有する重合性基を表し、
【化5】
Spは酸素原子同士が直接結合しないものとして炭素原子が酸素原子、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−に置き換えられても良い炭素数2〜12のアルキレン基、又は単結合を表す。)
A
1及びA
2は、それぞれ独立的にトランス−1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基(それぞれの基中の1個以上の水素原子は独立的にフッ素原子又は塩素原子に置換されていてもよく、また基中の芳香環の1個以上のCHは独立的にNに置換されていてもよい。)、又は単結合を表し、
m及びnは、それぞれ独立的に0、1、2又は3を表すが、m+nは1から6の整数であり、
Z
1及びZ
2は、それぞれ独立に−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCS−、−SCO−、−CONR
1−、−NR
1CO−、−CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−SH
2O−、−CF
2−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CH−、又は単結合を表し、
(式中、R
1は水素原子H又は炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
Vは酸素原子同士が直接結合しないものとして炭素原子が酸素原子、−COO−、−OCO−若しくは−OCOO−に置き換えられても良い炭素数2〜12のアルキレン基、又は単結合を表し、
Xは以下の一般式(X−1)又は一般式(X−2)で示されるイオン構造
【化6】
(式中、Lは−NR
2R
3R
4、−SR
2R
3、−PR
2R
3R
4、ピリジニウムカチオン、又は次式に示すアルキルピリミジニウムカチオン式(Py−1)から(Py−3)のいずれかを示し、
【化7】
(M
−)は塩素、臭素、ヨウ素、硝酸、硫酸、硫酸水素、亜硫酸、亜硝酸のいずれかのアニオン、
(G
−)はカルボン酸、スルホン酸、リン酸のいずれかのアニオン、
Qはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、ピリジニウムイオンのいずれかのカチオン、
R
2、R
3、R
4、R
5は、それぞれ独立的に水素原子H又は炭素数1〜12のアルキル基を表す。)を表す。)
【実施例】
【0056】
以下、例を挙げて本願発明を更に詳述するが、本願発明はこれらによって限定されるものではない。
(実施例1)ラジカルアンモニウム塩 (±)-6の合成
【0057】
【化20】
【0058】
よく乾燥させたニトロン(±)-2をアルゴンで満たした二口フラスコに入れ、THF (20ml)を加え、-78℃に冷却した。グリニャール試薬 (マグネシウム(0.253g, 10mmol)、4-ドデシルオキシフェニルブロミド (3.553g, 10mmol)、THF (20ml)より調製)を滴下した。ゆっくり昇温した後、常温で一晩攪拌を続けた。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液(100ml)に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出した (100ml×2回)。無水MgSO
4で乾燥後、溶媒留去を行った。残渣をMeOH (20ml)に溶解させ、25%濃アンモニア水 (2ml)とCu(OAc)
2・H
2O (0.40g, 2.0mmol)を加え、O
2を1~2分間吹き込んだ。溶液が濃青色に変化した後、反応液を減圧濃縮し、MeOHを留去した。残渣にジエチルエーテル (50ml)と飽和NaHCO
3水溶液 (50ml)を加え、有機層を回収し、さらに水相を1回、ジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機層を無水MgSO
4で乾燥後、溶媒を留去した。続いて、同様に、-78℃でヒドロキシ基をTBDMS保護されたp-ブロモフェノールとマグネシウムから調製したグリニャール試薬と反応させ、一晩常温で反応後、反応液に飽和NH
4Cl水溶液(50ml)を加え、CH
2Cl
2で抽出した (50ml×2回)。有機層を回収し、無水MgSO
4で乾燥後、溶媒を留去した。残渣をMeOH (20ml)に溶解させ、25%濃アンモニア水 (2ml)とCu(OAc)
2・H
2O (0.40g, 2.0mmol)を加え、先ほどと同様にO
2吹き込みにより酸化を行った。溶媒留去し、残渣をCH
2Cl
2 (50ml×2回) で抽出し、飽和NaHCO
3水溶液 (50ml)で洗浄し、無水MgSO
4で乾燥後、溶媒を留去した。生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane: Ether= 9: 1)で精製し、TBDMS保護された前駆体(±)-3を得た。(0.319g, 0.55mmol, 10.1%)
【0059】
濃度が0.05M程度になるように(±)-3をTHFに溶解させ、氷冷した。これに1Mテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF) 2当量を滴下した。30分後 (TLCで反応終了を確認)、飽和NH
4Cl水溶液 (30ml)を加え、ジエチルエーテル (30ml)で2回抽出を行った。有機層を無水MgSO
4で乾燥後、溶媒を留去し、粗生成物を得た。これをフラッシュカラムクロマトグラフ法(CH
2Cl
2: Ether= 9:1~8:2)により精製し、生成物(±)-4を得た。(0.262g, 0.56mmol, 97%)
【0060】
生成物(±)-4 (105mg, 0.23mmol)をアセトン(2ml)に溶かし、炭酸カリウム(95mg, 0.69mmol)、1-ブロモ-4-クロロブタン(990mg, 5.6mmol)、を加え、還流条件下で13時間加熱、撹拌した。反応液を常温まで冷却後、炭酸カリウムをろ過で除き、溶媒を留去した。その後粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(Hexane→Hexane: Ether= 9: 1)で精製し、生成物(±)-5を得た。(89mg, 0.164mmol, 79%)
【0061】
生成物(±)-5 (100mg, 0.185mmol)をアセトニトリル(2ml)に溶かし、トリメチルアミン(578μl, 1.85mmol)を加え、反応容器をアルゴンで満たした後に80℃で13時間加熱攪拌した。室温に冷却後、真空乾燥でアセトニトリルを除き、粗生成物(±)-6をエーテルで洗浄した。洗浄はエーテル中で生成物を超音波洗浄することにより行い、洗液は静置により生成物を沈降させた後に除いた。洗浄後の生成物を真空乾燥した。収量: 0.061g (0.099mmol), 収率: 55%, 黄白色粉末。
【0062】
図1に化合物(±)-6のカチオン部のESI-MSスペクトルを示す。また、
図2に化合物(±)-6のEPRスペクトル (THF中、濃度1mM、20℃)を示す。構造同定のためのNMRスペクトルとして、
図3に化合物(±)-6の
1H NMRスペクトル、
図4に化合物(±)-6の
13C NMRスペクトルを併せて示す。
【0063】
EPR (THF): g= 2.0064, a
N= 1.55mT. IR (KBr) ν 3431, 3412, 2918, 2872, 2850, 2360, 2343, 1608, 1514, 1238, 1184, 918, 721, 651 cm
-1.
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6, hydrazobenzeneで還元後): δ 0.86 (s, 3H), 1.17-1.39 (m, 26H), 1.73 (s, 3H) 1.89 (s, 3H), 2.09-2.18 (m, 4H), 3.08 (s, 9H), 3.92 (t, J= 2.8Hz, 2H), 4.00 (t, J= 2.8Hz, 2H), 6.84 (d, J=6.4Hz, 2H), 7.28-7.46 (m, 6H)
Hydrazobenzene:
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6): δ 6.63 (t, J= 7.2Hz, 2H), 6.73 (d, J= 7.6Hz, 4H), 7.10 (t, J= 7.6Hz, 4H)
Azobenzene:
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6): δ 7.60 (m, 6H), 7.90 (d, J=3.6Hz, 4H)
13C NMR (400MHz, DMSO-d
6, hydrazobenzeneで還元後): δ 13.9, 14.0, 19.2, 19.3, 22.0, 22.1, 25.5, 25.7, 27.3, 27.6, 28.7, 29.0, 31.2, 35.2, 35.4, 52.1, 64.9, 66.0, 66.3, 66.5, 67.0, 67.2, 113.2, 113.3, 127.7, 127.7, 127.9, 140.0, 140.1, 156.4, 156.6
Hydrazobenzene:
13C NMR (60MHz, DMSO-d
6): δ 111.6, 117.6, 129.4, 149.9
Azobenzene:
13C NMR (400MHz, DMSO-d
6): δ 122.5, 129.4, 131.5, 151.9
Anal. Calc. for C
37H
60ClN
2O
3・1.5H
2O: C, 69.06; H, 9.88; N, 4.35. Found: C, 69.10; H, 9.55; N, 4.35
【0064】
(実施例2)EPRスペクトル測定サンプルの調製
化合物(±)-6の水溶液をシランカップリング剤による表面処理を行ったキャピラリーに詰める。次いで、パテでキャピラリーを封じ、EPR管(3mmφ)に入れて測定を行った。
【0065】
(実施例3)シランカップリング剤によるキャピラリー及びバイアルの表面処理方法
3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシランの水とメタノールの10%溶液にキャピラリーあるいはバイアルを2時間浸した後、120℃で3時間乾燥させることにより、表面処理を行った。
【0066】
(実施例4)EPRスペクトルの濃度依存性
2.00×10
-4M以上のスペクトルにおいて、ニトロキシドラジカル特有の三本線のピークに加え、ブロードなシグナルが現れ、化合物(±)-6の水溶液の臨界会合濃度を2×10
-4Mと決定した。
図5に化合物(±)-6の水溶液のEPRスペクトルの濃度依存性を示す。
【0067】
(実施例5)化合物(±)-6のエマルションの調製
化合物(±)-6 (2.78mg, 4.51μmol)、トルエン (0.42mg, 4.56μmol)、水 (1.1ml)をシランカップリング剤による表面処理を行ったバイアルに加え、超音波照射を5分行うことにより、エマルションを調製した。
図6に化合物(±)-6のトルエン内包エマルションの偏光顕微鏡画像を示す。
【0068】
(実施例6)エマルションの温度変化測定
エマルション水溶液をカバーガラスに載せて偏光顕微鏡観察を行った。
EPR測定については、まず、調製したエマルション水溶液をシランカップリング剤による表面処理を施したキャピラリーに詰める。次いで、パテでキャピラリーを封じた上で、EPR管に入れ、測定を行った。
【0069】
偏光顕微鏡観察より、昇温過程の68℃において、エマルションは消失しミクロ化が起こったと考えられる。
図7に偏光顕微鏡観察によるエマルションの消失とミクロ化の様子を示す。
EPR測定により、60℃以上において、ニトロキシドラジカル特有の三本線に由来するピークを観察し、エマルションの消失とミクロ化を確認した。
図8に化合物(±)-6のトルエン内包エマルションのEPRスペクトルの温度依存性を示す。
【0070】
(比較例1)
次に示す安定ラジカル液晶(3.15mg, 4.51μmol)、トルエン (0.42mg, 4.56μmol)、水 (1.1ml)をシランカップリング剤による表面処理を行ったバイアルに加え、超音波照射を5分行ったがエマルションは生成しなかった。
【0071】
【化21】
【0072】
(比較例2)
次に示す安定ラジカル液晶(2.57mg, 4.51μmol)、トルエン (0.42mg, 4.56μmol)、水 (1.1ml)をシランカップリング剤による表面処理を行ったバイアルに加え、超音波照射を5分行ったがエマルションは生成しなかった。
【0073】
【化22】