特許第5780761号(P5780761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780761
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】光度計を備えた分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
   G01N21/27 Z
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2010-543846(P2010-543846)
(86)(22)【出願日】2009年12月22日
(86)【国際出願番号】JP2009007096
(87)【国際公開番号】WO2010073604
(87)【国際公開日】20100701
【審査請求日】2011年5月16日
【審判番号】不服2013-22969(P2013-22969/J1)
【審判請求日】2013年11月25日
(31)【優先権主張番号】特願2008-326796(P2008-326796)
(32)【優先日】2008年12月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】原田 邦男
(72)【発明者】
【氏名】足立 作一郎
(72)【発明者】
【氏名】山崎 功夫
【合議体】
【審判長】 森林 克郎
【審判官】 尾崎 淳史
【審判官】 信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−225339(JP,A)
【文献】 特表平10−510362(JP,A)
【文献】 特開昭60−114743(JP,A)
【文献】 特開2007−218633(JP,A)
【文献】 特開2007−304103(JP,A)
【文献】 特開2007−155477(JP,A)
【文献】 特開2008−134128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01N 21/00-21/83,35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定試料を入れる反応容器と、
前記反応容器を浸して保持する恒温流体を有する恒温槽と、
前記恒温槽の底部に設けられ前記反応容器に光を照射する光度計と、を備えた分析装置であって、
前記光度計は、
前記光源から照射された光を透過もしくは通過する第1の支持体と、
測定試料を入れた反応容器を通過した光を検出する検出器と、
前記検出器を設けた第2の支持体と、
測定試料を入れた反応容器が間に挿入されるよう前記第1の支持体と前記第2の支持体は配置され、
前記第1の支持体に設けられ、前記光源から照射された光を反射して前記反応容器に光を通過させる第1の反射部と、
前記光源から照射された光を集光して前記反応容器に光を通過させる集光部を有し、
前記第1の反射部は、放物面鏡であり、前記光源は、前記放物面鏡の焦点位置に配置されており、前記集光部は前記放物面鏡が兼ねる
ことを特徴とする分析システム。
【請求項2】
測定試料を入れる反応容器と、
前記反応容器を浸して保持する恒温流体を有する恒温槽と、
前記反応容器に光を照射する光度計を前記恒温槽の底部に備えた分析装置であって、
前記光度計は、
光源と、
前記光源から照射された光を透過もしくは通過する第1の支持体と、
測定試料を入れた反応容器を通過した光を検出する検出器と、
前記検出器を設けた第2の支持体と、
測定試料を入れた反応容器が間に挿入されるよう前記第1の支持体と前記第2の支持体は配置され、
前記第1の支持体に設けられ、前記光源から照射された光を反射して前記反応容器に光を通過させる第1の反射部と、
前記光源から照射された光を集光して前記反応容器に光を通過させる集光部を有し、
前記第1の反射部は楕円鏡であり、前記楕円鏡の第1の焦点位置に前記光源を配置し、
前記楕円鏡の第2の焦点位置に、前記反応容器の前記光が通過する長さの概略中心位置を配置し、前記集光部は前記楕円鏡が兼ねる
ことを特徴とする分析システム。
【請求項3】
請求項又はに記載の分析システムにおいて、前記光度計は複数並んで前記恒温槽の底部に配置されていることを特徴とする分析システム。
【請求項4】
請求項に記載の分析システムにおいて、前記恒温槽は、その断面がUの字型のリング状をしており、測定試料を入れる前記反応容器が、前記恒温槽の前記Uの字型をした部分に入り、かつ、複数の前記反応容器が前記恒温槽と同心の円周上に配列されており、前記複数の光度計は前記複数の反応容器と同心の円周上に配列されたことを特徴とする分析システム。
【請求項5】
請求項に記載の分析システムにおいて、前記恒温槽と同心の円周上に配列された前記複数の反応容器と前記複数の光度計の組み合わせを、前記恒温槽と同心で径の異なる円周上に複数配置したことを特徴とする分析システム。
【請求項6】
請求項に記載の分析システムであって、前記複数の光度計は、前記光源が、それぞれ波長の異なる光を出射することを特徴とする分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中に含まれる成分量を検出する液体分析システムに係わり、システムの要である光度計を小型、低価格化し、強いては液体分析システム全体の低価格化を可能にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
試料中に含まれる成分量を検出する分析装置として、ハロゲンランプ等からの白色光を反応容器に入れた試料溶液に照射し、試料溶液を透過してきた光を回折格子で分光して必要な波長成分を取り出し、その吸光度を割り出すことで目的の成分量を測定する分光分析装置が広く用いられている。あるいは、白色光を回折格子で分光した後、試料溶液に照射する場合もある。一例として、特許文献1の自動分析装置がある。
【0003】
ハロゲンランプ等の光源からの光を集光し精度良く試料に照射するために、レンズや鏡を用いた例として、特許文献2の分析装置や特許文献3の分析装置がある。
【0004】
ハロゲンランプに代え、光源にLEDを用いた分析装置として、特許文献4の分析機器や、特許文献5の分析装置がある。
【0005】
光源にLEDを用いた分析装置で、LEDの光を集光し多くの光を試料に照射するために、レンズを用いた例として特許文献6の分析装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3748321号
【特許文献2】特開2007‐225339
【特許文献3】特開2007−218883
【特許文献4】特許第3964291号
【特許文献5】特開2007−198935
【特許文献6】特開2007−225339
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術では、ハロゲンランプを使用した例では、ハロゲンランプからの発熱を伴うため冷却が必要となり、安定した光量を取り出すためには、冷却水等で精度良く温度制御することが必要と言う問題がある。また、ハロゲンランプは寿命が短いためにランプの交換が必要となり、交換作業は装置使用者の負担増になると言う問題、そのため、装置設計時にはランプ交換を想定したレイアウトを考慮することが必要となり、装置設計の自由度を阻害すると言う問題がある。
【0008】
ハロゲンランプを用いた光学系では、ハロゲンランプからの白色光を分光するために用いる回折格子や、光源からの光を集光し精度良く試料に照射するために用いるレンズや鏡等、多くの部品を用いているため光軸調整が難しいと言う問題もある。
【0009】
光源にLEDを用いた、上記特許文献4の分析機器や特許文献5の分析装置は、どちらも、LEDと検出器だけのシンプルな構成であるが、集光のためのレンズや鏡等を積極的に使用していないため試料に照射する光量が少なく、分析の目的によっては精度良く分析できないという問題がある。
【0010】
光源にLEDを用い、集光により光量を確保するためにレンズを用いた上記従来例である特許文献6の分析装置では、一つのステージ上に複数の測光ユニットを密集して設けているため、組立て調整が難しいと言う問題や、複数の測光ユニット内どれかを波長の変更やメンテナンスのために交換する必要が生じた場合に対応が難しいと言う問題がある。また、光軸が一直線上にあるため、占有する反応テーブルの半径方向のサイズが大きいと言う問題もある。
【0011】
LED光度計を構成するためには、少なくとも図1に示す光源、集光レンズ、スリット、及び、光検出器が必要である。(反応容器、検体は光度計には含まない。)光源と光検出器のみでも構成は可能であるが、高精度に分析するためには光量を確保するための集光部品(レンズやミラー)が必須であり、光束の断面形状を定義し、検体を通過する光線を一定にするため、もしくは、検出器に入る迷光を制限するためのスリットも必須である。
光度計により高精度に分析を行う生化学自動分析装置では、反応容器内の検体温度を一定に保つために、恒温槽内を循環する恒温水に反応容器を浸している。また、多数の検体を短時間に検査するために、複数の反応容器を円周上に並べて一体化した反応容器ディスクとし、反応容器ディスクと同心のリング状をした恒温槽内を回転しながら光度計部で検査する。図2に、前記最少構成のLED光度計を恒温槽に配置した例を、リング状をした恒温槽を縦に断面し、片方のみを示す。恒温槽には、恒温水を漏らさずに計測光を通す透明部材からなる窓が必要である。
【0012】
最少構成のLED光度計を恒温槽に配置すると、図2の様に、リング状をした恒温槽の外側に光源と集光レンズ、恒温槽の内側に光検出器が配置される。恒温槽に対する光源と光検出器の位置関係は逆でも良い。スリットは、反応容器に極力近い方が望ましいため、恒温槽の内部に配置されることになる。
【0013】
これらの構成部品を設定した位置に保持するため、更には、光軸の調整や組立てを容易にするためには、図3に示すように光度計の構成部品を保持部材に組み立てて一体化しておき、それを恒温槽に取り付けるようにするのが望ましい。
【0014】
しかし、これを恒温槽に取り付けるためには、恒温槽を大きく抉る事が必要となり、恒温水の漏れ防止のシール等が複雑になると言う問題がある。
【0015】
図4にスリットを除く構成部品を一体化し、恒温槽に取り付けた状態を示す。このようにすれば恒温槽を抉る必要は無く、恒温水を漏らさずに計測光を通す透明部材からなる窓を設ければよい。しかし、光軸調整はスリットを含めて行うことが必要であるため、一体化した部品を恒温槽に取り付けた後に光軸調整が必要となる。光軸は部品の機械的精度で合わせることも可能であるが、図3の保持部材と、それに取り付ける構成部品のみを機械的精度で合わせる場合と比較すると、図4の例では、スリットとスリット以外を一体化した部品をそれぞれ恒温槽に精度良く取り付けることが必要になり、通常直径300mm以上の大きさがある恒温槽に高い精度が必要になると言う問題がある。
【0016】
本発明の目的の一つとしては、装置の小型化、装置設計の自由度向上に寄与する事である。また、光源として、発光ダイオードや半導体レーザといった半導体光源を用いた場合、半導体光源に適した光度計構成で分析装置へ適用することで、さらなる装置の小型化、設計自由度向上することができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、光度計として、光源と、光源から照射された光を透過もしくは通過する第1の支持体と、測定試料を入れた反応容器を通過した光を検出する検出器と、検出器を設けた第2の支持体と、測定試料を入れた反応容器が間に挿入されるよう前記第1の支持体と前記第2の支持体は配置され、第1の支持体に設けられ、光源から照射された光を反射して反応容器に光を通過させる第1の反射部と、光源から照射された光を集光して反応容器に光を通過させる集光部を有することを特徴とする。
【0018】
また、分析システムとして、測定試料を入れる反応容器と、反応容器を浸して保持する恒温流体を有する恒温槽と、反応容器に光を照射する光度計を恒温槽の底部に備え、光度計は、光源と、光源から照射された光を透過もしくは通過する第1の支持体と、反応容器を通過した光を検出する検出器と、検出器を設けた第2の支持体と、第1の支持体に設けられ、光源から照射された光を反射して反応容器に光を通過させる反射部とを有し、反応容器が間に挿入されるよう第1の支持体と第2の支持体が配置されていることを特徴とする。
【0019】
反射部としては、平面鏡、放物面鏡、楕円鏡等を用いることができ、それぞれの特徴にあわせた配置をすることができる。
【0020】
また、発熱が少なく寿命の長い発光ダイオードや半導体レーザを光源に用い、光軸を一直線ではなく折り曲げることで小型化し、光軸を折り曲げる部品と光量を確保するために集光に使用する部品を共通化することで部品点数を減らすと同時に、小型化することと部品点数を減らすこと、及び一体化することで光軸調整を容易にし、より高精度な光度計及び分析システムを達成する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、光軸を反射鏡で曲げることにより、光度計の恒温槽や反応容器ディスクの半径方向の寸法を小さく抑えることが可能になり、装置の小型化に寄与することができる。また、放物面鏡や楕円鏡により光軸を曲げることで集光レンズを不要にし、構成部品点数を低減でき、光軸調整の容易さと相まってコストダウンが可能になる。更には、放物面鏡や楕円鏡を使い分けることで、検出感度に影響する光量を重視した光度計と散乱項目測定の特性を重視した光度計とを使い分けることが可能になり、システムの性能を向上可能にする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】LED光度計に必要な最小構成を表す略図である。
図2】最少構成のLED光度計を恒温槽に配置した例の略図である。
図3】最少構成のLED光度計を一体化し恒温槽に配置した例の略図である。
図4】最少構成のLED光度計のスリット以外を一体化し恒温槽に配置した例の略図である。
図5】本発明による液体分析システム用光度計の構成を示す略図である。
図6】本発明による液体分析システム用光度計を恒温槽に取り付けた構成を示す略図である。
図7】本発明による液体分析システム用光度計を恒温槽に複数取り付けて示す略図である。
図8】本発明による液体分析システム用光度計の構成を示す略図である。
図9】本発明による液体分析システム用光度計の構成を示す略図である。
図10】本発明による液体分析システム用光度計の構成を示す略図である。
図11】本発明による液体分析システム用光度計の構成を示す略図である。
図12】平行に入射する光が散乱される様子を示す略図である。
図13】角度を持って入射する光が散乱される様子を示す略図である。
図14】本発明による液体分析システム用光度計の構成を示す略図である。
図15】本発明による液体分析システム用光度計の構成を示す略図である。
図16】本発明による液体分析システム用光度計の構成を示す略図である。
図17】本発明による液体分析システム用光度計の構成を示す略図である。
図18】放物面鏡と楕円鏡による光量の違いをシミュレーションした結果を示す図である。
図19】本発明による液体分析システム用光度計の構成を示す略図である。
図20】本発明による液体分析システム用光度計の構成を示す略図である。
図21】本発明による液体分析システム用光度計の構成を示す略図である。
図22】本発明による液体分析システムの構成を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施の形態1)
図5は、本発明による液体分析システム用光度計(以下単に光度計と記す。)の構成を示す略図である。本光度計は、LED光源1、前記LED光源1から出射された光を透過もしくは通過する第1の支持体2、前記第1の支持体2に設けられた第1の反射鏡3、同じく前記第1の支持体2に設けられた第1のスリット4、第2のスリット5及び光検出器6を設けた第2の支持体7、前記第1の支持体2及び前記第2の支持体7との間で反応容器13を挟むように配置して溝8を形成し、前記第1の支持体2及び前記第2の支持体7を接続する第3の支持体9、及び、前記第1の支持体2もしくは第3の支持体9により保持されている集光レンズ10から構成される光度計11である。光源として発光ダイオード(LED)を例示しているが、他にも半導体レーザ等を用いることができる。
【0024】
本光度計11による測定試料の分析は、本光度計11を液体分析システムの恒温槽に取り付けて行うため、分析方法の説明に先立ち、液体分析システムの本光度計を取り付ける部分付近の構成と、本光度計との位置関係を説明する。
【0025】
図6は、液体分析システムの一部分であり、断面がUの字型をしたリング状の恒温槽12と、反応容器13を前記恒温槽12と同心の円周上に複数並べ持つ反応容器ディスク14を縦に断面して片方のみを示す。反応容器13は、光の入射面、光が透過する内面、及び、光の出射面が平行であり、かつ、光軸に対して直角に配置されている。前記恒温槽12は、その断面がUの字型をした流路15を持ち、前記流路5内を一定温度に保たれた恒温水16が一定の液面高さを保ち循環している。前記反応容器ディスク14は前記恒温槽12の上部で前記恒温槽12と共通の中心軸を中心に回転し、前記反応容器ディスク14に設置されている前記反応容器13は、前記恒温槽12内の前記恒温水16に浸され、前記恒温槽12の前記流路15内を移動する。測定試料17は、測定時に反応容器13に入れられる。光度計11は前記恒温槽12に、前記恒温槽12の下側から前記溝8内部を前記反応容器13が移動可能な位置に取り付けられている。また、前記光度計11は一個もしくは前記恒温槽12と同心の円周上に複数配置されている。
【0026】
本光度計11による測定試料の分析は、前記のように前記恒温槽12に光度計11が取り付けられ、前記反応ディスク14が回転し、目的の前記測定試料17が入った前記反応容器13が光度計11の溝8の位置に移動してきたときに行われる。
【0027】
分析時は、前記LED光源1から出射した光を前記集光レンズ10により前記反応容器13内の前記測定試料17位置に集光し、前記第1の反射鏡3で反射して略90度光軸を曲げ、前記第1のスリット4により照射領域を一定に制御して照射する。
【0028】
尚、通常恒温水16には、雑菌の繁殖等を防止するため、アルカリもしくは酸性の液体が用いられる。そのため、第1の支持体2、第1の反射鏡3、第1のスリット4、第2のスリット5、及び、第3の支持体9は、アルカリ及び酸性の液体に耐性を持つ、ガラス、金属、及びもしくは樹脂を用いており、LED光源1、光検出器6、及び、集光レンズ10等には恒温水16が入り込まないようにシールされている。
【0029】
本光度計が対象としている、液体分析システムによる試料の測定原理は、次の通りである。
【0030】
前記測定試料17には、分析項目により選択された試薬が混合されており、分析対象成分と反応し、前記分析対象成分が含まれる割合に合わせ、特定波長の光を吸収する。そのため、前記LED光源1から出射する光の波長は、分析項目により選択された波長を使用する。前記測定試料17に照射された光は、前述のように前記分析対象成分量により吸収され、前記第2のスリット5により迷光が取り除かれた上で前記光検出器6に照射される。前記光検出器6に照射された光は、前記光検出器6により電気信号に変換され、その信号量を解析することによって前記測定試料17に含まれる分析対象成分の量を知ることができる。通常このような計測方法を吸光度計測と呼ぶ。
【0031】
本光度計11によれば、前記図1から図4に示すような光度計に対し、光軸を第1の反射鏡3で曲げることと、光検出器6を第2のスリット5の直後に配置することにより、光度計の前記恒温槽12や前記反応容器ディスク14の半径方向の寸法を小さく抑えることが可能であるため、図7のように前記反応容器ディスク14の円周上に複数並んだ反応容器13と光度計11を更に同心円状に複数列配置することが可能となり、装置の大きさを大きく変えずに処理能力を向上、もしくは、処理能力を変えずに装置を小型化することも可能となる。また、複数配置した光度計それぞれの波長を異ならせることにより、複数項目の分析を同時に行うことができる。
【0032】
前記図5で示す例では、前記第1の支持体2は光透過部材を用いて説明しており、第1の反射鏡3はその外面を反射面として用いているが、図8に示すように、前記第1の支持体2に不透明部材を用い、その内部に光を通す空間18を設けた構成も考えられる。これにより部品製造方法の選択肢が増し、コスト低下が期待できる。
【0033】
また、前記図5では第2のスリット5の直後に光検出器6を配置しているが、第2のスリット5と光検出器6が近すぎると迷光を検出しやすくなるため、図9に示すように第2の反射鏡3’で光軸を下方に曲げる事も可能である。
(実施の形態2)
図10は、本発明による光度計の構成を示す略図である。本光度計は、LED光源21、前記LED光源21から出射された光を透過もしくは通過する第1の支持体22、前記第1の支持体22に設けられた第1の反射鏡23、同じく前記第1の支持体22に設けられた第1のスリット24、第2のスリット25及び光検出器26を設けた第2の支持体27、及び、前記第1の支持体22及び前記第2の支持体27との間で溝28を形成し、前記第1の支持体22及び前記第2の支持体27を接続する第3の支持体29から構成される光度計30である。光源として発光ダイオード(LED)を例示しているが、他にも半導体レーザ等を用いることができる。
【0034】
第1の反射鏡23は放物面鏡の一部を切り出した形状であり、放物面鏡の軸は概略水平に設定され、かつ、第1のスリット24と第2のスリット25の中心同士を結ぶ直線、つまり水平部分の光軸31と平行に設定されている。また、放物面鏡の焦点位置には前記LED光源21が配置されており、前記LED光源21から出射される光の光軸32は、概略鉛直に設定され、前記第1の反射鏡23で反射し直角に曲げられ、前記水平部分の光軸31となる。
【0035】
本光度計30による測定試料の分析は、本光度計30を液体分析システムの恒温槽に取り付けて行う。液体分析システムの本光度計を取り付ける部分付近の構成と、本光度計との位置関係は実施の形態1と同じであるため割愛する。
【0036】
本光度計30による測定試料の分析は、実施の形態1と同様に、前記恒温槽12に前記光度計30が取り付けられ、前記反応ディスク14が回転し、目的の前記測定試料17が入った前記反応容器13が前記光度計30の前記溝28の位置に移動してきた時に行われる。
【0037】
分析時は、前記LED光源21から出射した光を第1の反射鏡23により反射し、前記第1のスリット24により照射領域を一定に制御して、前記反応容器13内の前記測定試料17に照射する。前記第1の反射鏡23は放物面鏡であり、その焦点に配置されている前記LED光源21から出射する光は、前記第1の反射鏡23で反射して曲げられた後、水平部分の光軸31と平行に整形、かつ、平行に集光される。厳密に言えば、LED光源21は完全な点光源ではないために、放物面鏡の焦点からずれた位置から出射される光は前記水平部分の光軸31と完全な平行にはならないが、放物面鏡により第1のスリット24と第2のスリット25の両方のスリットを通過する光量を概略平行にして集光できればよい。
【0038】
尚、通常恒温水16には、雑菌の繁殖等を防止するため、アルカリもしくは酸性の液体が用いられる。そのため、第1の支持体22、第1の反射鏡23、第1のスリット24、第2のスリット25、及び、第3の支持体29は、アルカリ及び酸性の液体に耐性を持つ、ガラス、金属、及びもしくは樹脂を用いており、LED光源21、及び、光検出器26等には恒温水16が入り込まないようにシールされている。
【0039】
本光度計が対象としている、液体分析システムによる試料の測定原理は、実施の形態1と同じであるため割愛する。
【0040】
本光度計30においても、前記図1から図4に示すような光度計に対し、光度計の前記恒温槽12や前記反応容器ディスク14の半径方向の寸法を小さく抑えることが可能であるため、図7と同様に、前記反応容器ディスク14の円周上に複数並んだ反応容器13を更に同心円状に複数列配置することが可能となり、装置の大きさを変えずに処理能力を向上、もしくは、処理能力を変えずに装置を小型化することも可能となる。
【0041】
また、実施の形態1では、光軸を曲げるための第1の反射鏡3と光を集めるための集光レンズ10が必要であったが、本実施の形態の光度計30では、第1の反射鏡23が集光と反射を兼ねるため部品点数が少なくなり、光軸調整が容易になるという効果がある。
【0042】
前記図10で示す例では、前記第1の支持体22は光透過部材を用いて説明しており、第1の反射鏡23はその外面を反射面として用いているが、実施の形態1と同様に、図11に示すように、前記第1の支持体22に不透明部材を用い、その内部に光を通す空間33を設けた構成も考えられる。これにより部品製造方法の選択肢が増し、コスト低下が期待できる。
【0043】
本光度計30においては、前述のように試料に照射される光が概略平行に集光されているため、散乱光の測定に有利である。すなわち、図12に示すように、反応容器13内の測定試料17が散乱測定を目的とする項目の場合、光検出器26に照射される光は散乱によって減少した透過光34を受光することにより失った散乱光35の量を算出するが、この時、散乱光35が光検出器26に入り込まないのが望ましい。散乱光35は、照射される光が特定の角度分布で出射される。そのため、実施の形態1に示す光度計11で散乱光を測定する場合、反応容器13内の測定試料17には、図13のように角度を持って光が照射される場合があるため、散乱光35が光検出器26に入り易くなり、精度の良い散乱測定を行いにくい場合があるのに対し、本光度計30の場合は、試料に照射される光が概略平行に集光されているため、散乱光が光検出器26に入りにくくなり、散乱光の測定に有利である。
【0044】
また、前記図10では第2のスリット25の直後に光検出器26を配置しているが、第2のスリット25と光検出器26が近すぎると迷光を検出しやすくなるため、図14に示すように第2の反射鏡23’で光軸を下方に曲げる事も可能である。この場合、第2の反射鏡23’は放物面鏡でなくとも良い。更には、図15に示すように、LED光源21から出射される光を集光レンズ10’により放物面鏡の焦点位置に結像することでも良い。
(実施の形態3)
図16は、本発明による光度計の構成を示す略図である。本光度計は、LED光源41、前記LED光源41から出射された光を透過もしくは通過する第1の支持体42、前記第1の支持体42に設けられた第1の反射鏡43、同じく前記第1の支持体42に設けられた第1のスリット44、第2のスリット45及び光検出器46を設けた第2の支持体47、及び、前記第1の支持体42及び前記第2の支持体47との間で溝48を形成し、前記第1の支持体42及び前記第2の支持体47を接続する第3の支持体49から構成される光度計50である。光源として発光ダイオード(LED)を例示しているが、他にも半導体レーザ等を用いることができる。
【0045】
第1の反射鏡43は楕円鏡の一部を切り出した形状であり、楕円鏡の第1の焦点51にLED光源41を配置し、第2の焦点52が反応容器13内の測定試料17内を透過する光軸長さ方向の概略中心位置に来るように定義した楕円鏡である。さらに、前記LED光源41から出射される光の光軸53は、概略鉛直に設定され、前記第1の反射鏡43で反射し直角に曲げられ、水平部分の光軸54となる。LED光源41から出射される光の光軸53と検体を通過する水平部分の光軸54を直角に配置するには、出射される光の光軸53と検体を通過する水平部分の光軸54に対し、基準楕円の長軸が45度になるようにし、基準楕円の第1の焦点51と第2の焦点52の距離が、基準楕円の短軸長さと同じになるようにすれば良いが、反応容器13の光の入射面に光軸が直角に入射することが重要であり、前記第1の反射鏡43で反射し直角に曲げる事は必ずしも重要ではなく、直角に曲げない場合は、出射される光の光軸53が鉛直ではなくなる。
【0046】
本光度計50による測定試料の分析は、本光度計50を液体分析システムの恒温槽に取り付けて行う。液体分析システムの本光度計を取り付ける部分付近の構成と、本光度計との位置関係は実施の形態1と同じであるため割愛する。
【0047】
本光度計50による測定試料の分析は、実施の形態1と同様に、前記恒温槽12に前記光度計50が取り付けられ、前記反応ディスク14が回転し、目的の前記測定試料17が入った前記反応容器13が前記光度計50の前記溝48の位置に移動してきた時に行われる。
【0048】
分析時は、前記LED光源41から出射した光を第1の反射鏡43により反射し、前記第1のスリット44により照射領域を一定に制御して、前記反応容器13内の前記測定試料17に照射する。前記第1の反射鏡43は楕円鏡であり、その第1の焦点51に配置されている前記LED光源41から出射する光は、前記第1の反射鏡43で反射して曲げられた後、第2の焦点52の位置である反応容器13内の測定試料17内を透過する光軸長さ方向の概略中心位置に集光される。
【0049】
尚、通常恒温水16には、雑菌の繁殖等を防止するため、アルカリもしくは酸性の液体が用いられる。そのため、第1の支持体42、第1の反射鏡43、第1のスリット44、第2のスリット45、及び、第3の支持体49は、アルカリ及び酸性の液体に耐性を持つ、ガラス、金属、及びもしくは樹脂を用いており、LED光源41、及び、光検出器46等には恒温水16が入り込まないようにシールされている。
【0050】
本光度計が対象としている、液体分析システムによる試料の測定原理は、実施の形態1と同じであるため割愛する。
【0051】
本光度計50においても、前記図1から図4に示すような光度計に対し、光度計の前記恒温槽12や前記反応容器ディスク14の半径方向の寸法を小さく抑えることが可能であるため、図7と同様に、前記反応容器ディスク14の円周上に複数並んだ反応容器13を更に同心円状に複数列配置することが可能となり、装置の大きさを変えずに処理能力を向上、もしくは、処理能力を変えずに装置を小型化することも可能となる。
【0052】
また、実施の形態1では、光軸を曲げるための第1の反射鏡3と光を集めるための集光レンズ10が必要であったが、本実施の形態の光度計50では、第1の反射鏡43が集光と反射を兼ねるため部品点数が少なくなり、光軸調整が容易になるという効果がある。
【0053】
前記図16で示す例では、前記第1の支持体42は光透過部材を用いて説明しており、第1の反射鏡43はその外面を反射面として用いているが、実施の形態1と同様に、図17に示すように、前記第1の支持体42に不透明部材を用い、その内部に光を通す空間55を設けた構成も考えられる。これにより部品製造方法の選択肢が増し、コスト低下が期待できる。
【0054】
本光度計50においては、前述のように試料に照射される光は反応容器13内の測定試料17内を透過する光軸長さ方向の概略中心位置に集光されるため、散乱光の測定には実施の形態1、2と比較すると不利な点もあるが、第1のスリット44、第2のスリット45を通過後に光検出器46で検出する受光量は平行光の場合に比べて多くなる。それは実施の形態1においても同様であるが、光源からの光を平行光にする場合、光源からずれて出射する光は第1のスリットと第2のスリットの両方は通りにくくなるが、光源からの光を集光する場合は平行光にする場合に比べて光源からずれて出射する光を集光しやすいためである。
【0055】
図18に、第1の反射鏡を放物面鏡にした場合と、第1の反射鏡を楕円鏡にした場合とで比較シミュレーションして算出した受光量の割合を示す。図18(a)は放物面鏡の場合、図18(b)は楕円鏡の場合を示す。どちらも略同じ条件になるような出射光量、大きさにしてシミュレーションした結果、受光光量は、放物面鏡の場合を1とすると楕円鏡の場合が1.27であり、楕円鏡の光量の方が多いことが分かった。
【0056】
つまり、大きな光量を必要とする高感度の測定には実施の形態1のようにレンズで集光するか、本実施の形態3のように楕円鏡等で集光するのが適しており、散乱光測定には、実施の形態2のように平行に集光するのが適しており、用途に応じて使い分けるのが良い。また、前記図16では第2のスリット45の直後に光検出器46を配置しているが、第2のスリット45と光検出器46が近すぎると迷光を検出しやすくなるため、図19図20に示すように第2の反射鏡43’で光軸を下方に曲げる事も可能である。この場合、第2の反射鏡43’は楕円鏡でなくとも良い。更には、図20に示すように、LED光源41から出射される光を集光レンズ10”により楕円鏡の第1の焦点51に結像することでも良く、散乱光測定時の迷光の影響をより低減するために、図21に示すように、第3のスリット56を設けることも可能である。
(実施の形態4)
図22は本実施の形態による液体分析システム60を示す略図である。液体分析システム60は、恒温槽12、反応容器13を前記恒温槽12と同心の円周上に複数並べ持つ反応容器ディスク14、測定試料17を入れた検体容器61、複数の検体容器61を搬送するラック62、検体容器61内の測定試料17を一定量吸引して反応容器13に分注する検体ディスペンサ63、分析項目により選択可能な複数の試薬が入った試薬ボトル64を収めた試薬ディスク65、試薬ボトル64から一定量の試薬を吸引して反応容器13に分注する試薬ディスペンサ66、反応容器13に分注された測定試料17と試薬を撹拌する撹拌部67、分析が終了した後の反応容器13を洗浄するための洗浄部68、そして、前記実施の形態1、前記実施の形態2、前記実施の形態3いずれかによる光度計を、1つ又は複数並べた計測部69等から構成されている。
【0057】
図22において、反応容器ディスク14は測定試料17の分注、試薬の分注、反応容器13に分注された測定試料17と試薬の撹拌、及び、反応容器13の洗浄の動作時に停止し、同動作を次の反応容器13で行うために回転移動する。また、ラック62は複数の検体容器61を搬送するために直進移動し、試薬ディスク65は、所望の試薬ボトル64を試薬ディスペンサ66が吸引できる位置に回転移動する。通常、反応容器ディスク14は一定方向に回転し、測定試料17と試薬が分注され、撹拌されて測定可能になった反応容器13内の測定試料17が計測部69の位置に来たときに所望の光度計で計測される。
【0058】
液体分析システム60では、吸光度計測を行う場合と、吸光度計測でも散乱特性を重視する計測を行う場合とが混在するため、計測部69には、前記光度計11、前記光度計30、前記光度計50を目的に応じて複数混在させ、配置するようにしてもよい。また、複数配置した光度計それぞれの波長を異ならせることにより、複数項目の分析を同時に行ってもよい。
【0059】
その際、配置している光度計の配置間隔は、反応容器ディスク14に複数配置されている反応容器13の配置間隔と同じになっており、複数の測定試料17を複数の光度計で、同じタイミングで計測できるようにすることで、データ処理や装置制御の煩雑さを緩和し、また同じ条件での測定をすることができる。
【符号の説明】
【0060】
1…LED光源、2…第1の支持体、3…第1の反射鏡、3‘…第2の反射鏡、4…第1のスリット、5…第2のスリット、6…光検出器、7…第2の支持体、8…溝、9…第3の支持体、10…集光レンズ、10‘…集光レンズ、11…光度計、12…恒温槽、13…反応容器、14…反応容器ディスク、15…流路、16…恒温水、17…測定試料、18…光を通す空間、21…LED光源、22…第1の支持体、23…第1の反射鏡、23‘…第2の反射鏡、24…第1のスリット、25…第2のスリット、26…光検出器、27…第2の支持体、28…溝、29…第3の支持体、30…光度計、31…水平部分の光軸、32…出射される光の光軸、33…光を通す空間、34…透過光、35…散乱光、41…LED光源、42…第1の支持体、43…第1の反射鏡、43‘…第2の反射鏡、44…第1のスリット、45…第2のスリット、46…光検出器、47…第2の支持体、48…溝、49…第3の支持体、50…光度計、51…第1の焦点、52…第2の焦点、53…出射される光の光軸、54…水平部分の光軸、55…光を通す空間、56…第3のスリット、60…液体分析システム、61…検体容器、62…ラック、63…ディスペンサ、64…試薬ボトル、65…試薬ディスク、66…試薬ディスペンサ、67…撹拌部、68…洗浄部、69…計測部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
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図20
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図22